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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230127BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230127BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230127BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230127BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230127BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/31
A61Q5/00
A61K8/81
A61K8/92
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018141275
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020015700
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】江原 雅宜
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-58771(JP,A)
【文献】特開2011-6358(JP,A)
【文献】特開2017-128513(JP,A)
【文献】国際公開第2017/170695(WO,A1)
【文献】特開2000-128746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤、及び(A-2)HLBが7~20の非イオン性界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤
(B)エステル油及び炭化水素油から選択される少なくとも1種を含む油剤;
(C)多価アルコール;
(D)ポリマー;および
(E)水を含有する毛髪化粧料であって、
前記(A-2)の配合量に対する(A-1)の配合量の比率「(A-1)/(A-2)」が0.01~0.2の範囲内であり、
前記(A)非イオン性界面活性剤の配合量((A-1)と(A-2)の合計配合量)と前記(B)油剤の配合量との比率「A/B」が2~5の範囲内であり、
前記(A)非イオン性界面活性剤の配合量((A-1)と(A-2)の合計配合量)と前記(C)多価アルコールの配合量との比率「A/C」が1~3の範囲内であり、
前記(A)非イオン性界面活性剤の配合量((A-1)と(A-2)の合計配合量)と前記(E)水の配合量との比率「A/E」が0.5~2の範囲内である、ことを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
前記(B)油剤がエステル油である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記(D)ポリマーが、毛髪セット用ポリマーである請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記(D)ポリマーが、(VP/VA)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-3、及び(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
前記(A)非イオン性界面活性剤の配合量が20~45質量%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
マイクロクリスタリンワックス及びキャンデリラロウを含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関する。より詳しくは、特定範囲の異なるHLB値を持つ2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて配合したグリース状の毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪仕上げ用化粧料の中で、特に整髪性を重視したヘアスタイリング剤(整髪剤)として、グリース状の整髪剤(ヘアグリースまたはポマードと呼ばれるもの)が知られ、取り扱い性や毛髪へのツヤの付与といった性能に優れている。グリース状整髪料は、ジェル状の整髪剤より流動性の低い固形状又はペースト状をなしており、ジャー容器等に充填して適量を指でとって使用するのが一般的である。
【0003】
グリース状整髪剤には、液状油及び固形油を用いた油性タイプ、水に多価アルコールや皮膜形成ポリマー及び増粘剤を配合した水性タイプが存在する。従来の油性グリース状整髪剤は、液状油分によって毛髪を押さえるため、ツヤは優れるが、ヘアスタイリング後の頭部の動き等によって前髪が垂れ落ちることがあった。
【0004】
特許文献1では、油性のグリース状整髪剤には油独特のべたつきの問題があると指摘され、油分を含まない水性タイプのグリース状整髪剤において、2種類の特定構造のポリオキシエチレンアルキルエーテルを組み合わせて配合することによって、べたつきの抑制、塗布しやすさ、整髪力、安定性を向上させたとされている。
【0005】
油分を含む化粧料としては、特許文献2に、ノニオン性界面活性剤、液状高級アルコール、液状油、及び水を含有するゲル状化粧料が開示されている。このゲル状化粧料は、適度な粘性を持ち、経時安定性が良好で、整髪料やクレンジング料として皮膚や毛髪にやさしいとされている。
【0006】
しかしながら、特許文献1における2種類のポリオキシエチレンアルキルエーテル、特許文献2に記載されているノニオン性界面活性剤は、HLBが10以上の親水性界面活性剤であり、べたつき抑制や洗髪性改善の点で不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-186296号公報
【文献】特開2001-335425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、油分を含有するグリース状の毛髪化粧料において、前髪の垂れ落ちがなくヘアスタイルを保持することが可能であり、なおかつ洗い流し性(洗髪性)に優れる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低HLB値と高HLBを持つ2種類の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用し、加えてポリマーを配合した油性のグリース状毛髪化粧料とすることにより、水なじみが良く洗髪性が良好で、前髪の垂れ落ちも生じにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(A)(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤、及び(A-2)HLBが7~20の非イオン性界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤
(B)エステル油及び炭化水素油から選択される少なくとも1種を含む油剤;
(C)多価アルコール;
(D)ポリマー;および
(E)水を含有する毛髪化粧料であって、
前記(A-2)の配合量に対する(A-1)の配合量の比率「(A-1)/(A-2)」が0.01~0.2の範囲内であることを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料は、HLB値の異なる2種類の非イオン性界面活性剤を組み合わせて配合しているため、水なじみが良好で洗い流しやすい。また、ポリマーを配合しているので望みのヘアスタイルが長時間保持され、前髪の垂れ落ちを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の毛髪化粧料について詳述する。
(A)非イオン性界面活性剤
本発明の毛髪化粧料に配合する(A)非イオン性界面活性剤は、(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤と(A-2)HLBが7~20の非イオン性界面活性剤を含む。
【0013】
(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤は、HLBが1~6、好ましくは2~6、より好ましくは3~5の比較的親油性の性質を持つ界面活性剤であって、化粧料等に使用されるものであれば特に限定されない。
例えば、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ソルビタン、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコール脂肪酸エステル、アルカロイルジエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等から選択できる。具体例には、自己乳化型ステアリン酸ポリエチレングリコール(ステアリン酸PG(SE))、オレス-2、PEG-5水添ヒマシ油、セテス-2、ステアレス-2、ステアレス-3、トリステアリン酸PEG-10グリセリル、イソステアリン酸PEG-5水添ヒマシ油等が含まれる。
【0014】
(A-2)HLBが7~20の非イオン性界面活性剤は、HLBが7~20、好ましくは8~19、より好ましくは10~18の比較的親水性の性質を持つ界面活性剤であって、化粧料等に使用されるものであれば特に限定されない。
例えば、グリセリン又はポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE脂肪酸エステル類、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体、POE蜜ロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル類、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド等から選択することができる。ここで、「POE」はポリオキシエチレン、「POP」はポリオキシプロピレンを意味する。具体例には、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG-60グリセリル、コハク酸PEG-50水添ヒマシ油等の水添ヒマシ油誘導体、セテス-25等が含まれる。
【0015】
本発明の毛髪化粧料における(A)界面活性剤の配合量は、15~45質量%とするのが好ましく、より好ましくは20~45質量%、さらに好ましくは25~40質量%である。
【0016】
本発明においては、前記(A-2)HLBが7~20の非イオン性界面活性剤の配合量に対する(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤の配合量の比率「(A-1)/(A-2)」が0.01~0.2の範囲内とすることによって、優れた洗髪性といった本発明の効果を奏する。この比率「(A-1)/(A-2)」が0.01未満になるか0.2を超えると、所望のセット力及び洗髪性を達成することができない。
【0017】
(B)油剤
本発明の毛髪化粧料は、(B)エステル油及び炭化水素油から選択される少なくとも1種の油剤を含有する。本発明における(B)油剤は常温で液状の油(液状油)であり、エステル油又は炭化水素油のいずれか一方を含有していればよいが、両方を含有していてもよく、両者の中でもエステル油を含有するのが好ましい。
【0018】
エステル油としては、特に限定されないが、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸-2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソデカン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコ-ル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコ-ル、ジカプリン酸プロピレングリコ-ル、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0019】
炭化水素油としては、例えば、ミネラルオイル、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、ワセリン、ポリブテン、ポリイソブチレン等を挙げることができる。
【0020】
エステル油及び/又は炭化水素油に加えて配合可能な他の液状油としては、小麦胚芽油、米胚芽油、メドウフォーム油、ローズマリー油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油などの植物油;モノイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルなどの脂肪酸ジグリセリル;ラノリン;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、イソステアリルアルコール等の液状高級アルコー ル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・べへニル・オクチルドデシル)、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸コレステリル等のコレステロール誘導体、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・べへニル・オクチルドデシル)、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル等のフィトステロール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の毛髪化粧料における(B)油剤の配合量は、1~30質量%とするのが好ましく、より好ましくは3~25質量%、さらに好ましくは5~20質量%である。
また、(B)油剤の全配合量に占めるエステル油の配合量の比率を50質量%以上とするのが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
【0022】
また、本発明においては、前記(A)界面活性剤の配合量(すなわち、(A-1)と(A-2)を含む非イオン性界面活性剤の合計配合量)と前記(B)油剤の配合量との比率「A/B」を2~5の範囲内とするのが好ましい。この比率が2未満であると安定に乳化できない場合がある。
【0023】
(C)多価アルコール
本発明で用いられる(C)多価アルコールは、化粧料等に使用されるものであれば特に限定されない。具体例としては、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンなどの2~4価アルコールや、ソルビトール、マンニトール等の5~6価アルコールが例示される。また、多価アルコールにアルキレンオキシドを付加した誘導体を用いてもよい。
【0024】
本発明の毛髪化粧料における(C)多価アルコールの配合量は、10~40質量%とするのが好ましく、より好ましくは13~35質量%、さらに好ましくは15~30質量%である。
【0025】
また本発明においては、前記(A)界面活性剤の配合量(すなわち、(A-1)と(A-2)を含む非イオン性界面活性剤の合計配合量)と前記(C)多価アルコールの配合量との比率「A/C」を1~3の範囲内とするのが好ましい。この比率が3を超えると、べたつきを生じてセット力の低下を招く場合がある。
【0026】
(D)ポリマー
本発明の毛髪化粧料に配合される(D)ポリマーは、従来から毛髪化粧料(整髪剤)に配合されていた水溶性高分子あるいは皮膜形成剤に相当する高分子樹脂(毛髪セット用ポリマーとも言う)から選択できる。本発明における「毛髪セット用ポリマー」は、例えば、特開2011-140500号公報に記載された毛髪セット樹脂から選択することができる。
【0027】
本発明で好ましく用いられるポリマーの具体例は以下のものを含む。
非イオン性(ノニオン性)ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ビニルメチルエーテル/マレイン酸アルキル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体、ポリビニルカプロラクタム、オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル)コポリマー、(PVP/ビニルカプロラクタム/アクリル酸DMAPA)コポリマー、(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、(ビニルピロリドン/ビニルアルコール)コポリマー[(VP/VA)コポリマーとも表記する]、ポリアクリレートクロスポリマー-3、ポリウレタン-24、ポリウレタン-10グルカン等がある。
【0028】
両性ポリマーとしては、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー、アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド共重合体、オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0029】
陰イオン性(アニオン性)ポリマーとしては、アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド共重合体、アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アミド/アクリル酸エチル共重合体、等が挙げられる。
【0030】
本発明においては、(VP/VA)コポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-3、及び(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマーからなる群から選択される1種又は2種以上を用いるのが特に好ましい。
【0031】
本発明の毛髪化粧料における(D)ポリマーの配合量は、0.5~5質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.8~4質量%、さらに好ましくは1~3質量%である。
【0032】
(E)水
本発明の毛髪化粧料に配合される水は、特に限定されないが、化粧料の20~40質量%とするのが好ましく、より好ましくは22~38質量%、さらに好ましくは24~35質量%である。
【0033】
本発明では、前記(A)界面活性剤の配合量(すなわち、(A-1)と(A-2)を含む非イオン性界面活性剤の合計配合量)と前記(E)水の配合量との比率「A/E」を0.5~2の範囲内とするのが好ましい。この比率が2を超えると、化粧料の取り扱い性やセット力が低下する傾向がある。
【0034】
本発明の毛髪化粧料には、前記の必須成分(A)~(E)に加えて、整髪剤等の毛髪化粧料に通常配合される他の任意成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。他の任意成分としては、常温で固形の高級アルコール(ベヘニルアルコール等)、炭素数6以下の低級アルコール(エタノール等)、粉末、保湿剤(多価アルコール以外)、分散剤、防腐剤、酸化防止剤、各種薬剤、紫外線吸収剤、増粘剤、香料等が挙げられる。
【0035】
本発明の毛髪化粧料は、グリース状化粧料に従来から用いられている製造方法に従って製造することができる。
【0036】
本発明の毛髪化粧料は、グリース又はポマードといった剤形の整髪剤(ヘアスタイリング剤)として特に好適に使用でき、また、眉毛や髭の流れを整える製剤としても使用できる。
【0037】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%で示す。
【実施例
【0038】
下記の表1~3に掲げる組成で毛髪化粧料を調整して、各例の化粧料についての実使用試験を実施した。試験方法は、各例の化粧料を専門パネル5名に使用してもらい、下記の評価点基準に基づく各人の評価点を合計し、合計点を下記基準に基づいて評価した。評価項目は「伸ばしやすさ」、「剤の取りやすさ」、「ベタツキのなさ」、「セット力」、「ツヤ感」及び「洗髪性」とした。
【0039】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0040】
(評価基準)
◎:合計点が20点以上である。
○:合計点が15点以上20点未満である。
△:合計点が10点以上15点未満である。
×:合計点が10点未満である。
【0041】
一方、各例の化粧料の状態を目視で観察し、その結果を次のように評価した。
◎:かなり透明な状態であった。
○:透明な状態であった(若干の濁り)。
×:乳化した(不透明であった)、もしくは、乳化せず分離した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表1~表3の脚注:
*1:NIKKOL PMS-SE(日光ケミカルズ社製)
*2:エマレックス 502(日本エマルジョン社製)
*3:NIKKOL HCO-5(日光ケミカルズ社製)
*4:NIKKOL HCO-40(日光ケミカルズ社製)
*5:ユースモール50(日光ケミカルズ社製)
*6:NIKKOL HCO-50(日光ケミカルズ社製)
*7:NIKKOL HCO-60(日光ケミカルズ社製)
*8:エマレックス 125(日本エマルジョン社製)
*9:エマレックス GWIS-160(日本エマルジョン社製)
*10:NIKKOL CIO(日光ケミカルズ社製)
*11:NIKKOL IPM(日光ケミカルズ社製)
【0046】
表1に示すように、本発明の毛髪化粧料である実施例1~5は、評価したすべての特性において十分に満足できるものであった。それに対して、(A-1)HLBが1~6の非イオン性界面活性剤を配合しない比較例1は、若干のべたつきを生じ、洗髪性も低下した。また、HLBの異なる界面活性剤の配合量比率「(A-1)/(A-2)」が0.2を超える比較例2は、べたつき及び洗髪性が更に悪化した。また、油剤を配合しない比較例3は乳化することができず分離した(表2)。
【0047】
表3に示した結果では、配合量の比率「A/B」が2未満となる比較例5及び6、配合量の比率「A/C」が3を超える比較例5及び7、配合量の比率「A/E」が2を超える比較例4が、評価したいずれかの特性において使用上許容できる範囲を超えて低下したことが示されている。