(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】印刷制御装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230127BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20230127BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B41J29/38 201
G06F3/12 337
G06F3/12 303
G06F3/12 360
G06F3/12 373
G06F3/12 329
G06F3/12 385
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2019059990
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 俊晴
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-099107(JP,A)
【文献】特開2017-151591(JP,A)
【文献】特開2004-185048(JP,A)
【文献】特開2017-211997(JP,A)
【文献】特開2017-226126(JP,A)
【文献】特開2018-103633(JP,A)
【文献】特開2019-028996(JP,A)
【文献】特開2015-171134(JP,A)
【文献】特開2015-201173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0242565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/12
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザの印刷ジョブの入力を受け付ける印刷ジョブ受付部と、
前記印刷ジョブ受付部によって受け付けられた印刷ジョブの印刷処理に要する印刷処理時間を推定する推定部と
を備え、
前記推定部が、前記印刷ジョブ受付部によって現在受け付けられている印刷ジョブのユーザの情報と、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、前記ユーザの情報と前記印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する印刷
制御装置。
【請求項2】
前記推定部が、過去の印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力情報とし、前記過去の印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルであって、前記ユーザ毎に得られた前記学習済モデルに対して、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力することによって、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する請求項1記載の印刷
制御装置。
【請求項3】
前記学習済モデルの前記入力情報が、前記過去の印刷ジョブの印刷設定条件をさらに含み、
前記推定部が、前記学習済モデルに対して、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報および印刷設定条件を入力することによって、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する請求項2記載の印刷
制御装置。
【請求項4】
前記推定部が、前記現在受け付けられている印刷ジョブ以外の割り込み印刷ジョブであって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定し、前記現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間と前記将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とを全体印刷処理時間として推定する請求項1から3いずれか1項記載の印刷
制御装置。
【請求項5】
前記推定部が、現在の日時に関する情報と、前記現在の日時に関する情報に対応する過去の日時において受け付けられた割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、前記現在の日時において前記将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する請求項4記載の印刷
制御装置。
【請求項6】
前記推定部が、前記過去の割り込み印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力情報とし、前記過去の割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルに対して、前記現在の日時に関する情報を入力することによって、前記現在の日時において前記将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する請求項5記載の印刷
制御装置。
【請求項7】
前記推定部によって推定された印刷処理時間に基づいて算出された予想待機時間を出力する出力部を備える請求項1から6いずれか1項記載の印刷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザの印刷ジョブの入力を受け付け、その受け付けた印刷ジョブに基づいて印刷処理を行う印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコンピュータなどと通信し、各コンピュータから出力された各ユーザの印刷ジョブの入力を受け付け、その受け付けた印刷ジョブに基づいて、印刷媒体に印刷処理を施す印刷装置が提案されている。
【0003】
各コンピュータから出力された印刷ジョブは、印刷装置によって順次受け付けられ、通常、その受け付けた順番で印刷処理が行われる。そして、所定の印刷ジョブの印刷処理中に、その他の印刷ジョブを受け付けた場合には、その印刷ジョブは待機状態となる。待機状態の印刷ジョブは、その前に受け付けられた印刷ジョブの印刷処理が終了した時点から印刷処理が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば所定のユーザが、コンピュータから印刷装置に対して印刷ジョブを出力した際、他のユーザの印刷ジョブの印刷処理中である場合には、その他のユーザの印刷ジョブの印刷処理が完了するまで待たなければならず、時間の無駄である。特に、コンピュータと印刷装置とが離れて設置されている場合には、ユーザは、印刷装置の稼働状態を確認することができないため、自らの印刷ジョブの印刷処理が終了したと思って印刷物を取りにいったとしても、自らの印刷ジョブは待機状態となっていて、まだ印刷処理が終了しておらず、わざわざ印刷装置まで移動した分、時間の無駄となる。
【0006】
たとえば特許文献1には、印刷ジョブに実行順(優先順)を設け、最も優先度の高いジョブのユーザに印刷可能であることを報知する方法が提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、自らの印刷ジョブが印刷可能な状態となった時点を認識することはできるが、その印刷可能な状態となるまでの時間は分からないため、どのくらい待てば自らの印刷ジョブが印刷可能な状態となるのか、ユーザは把握することができない。
【0008】
印刷装置において待機状態の印刷ジョブの印刷処理時間については、その印刷設定条件や原稿のページ数からある程度の算出できるが、印刷する原稿の印字率や原稿データの大きさによって、印刷処理時間が大幅に長くなる場合があり、印刷処理時間を高精度に算出することは困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、現在受け付けられている待機状態の印刷ジョブの印刷処理時間を高精度に推定することができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の印刷装置は、複数のユーザの印刷ジョブの入力を受け付ける印刷ジョブ受付部と、印刷ジョブ受付部によって受け付けられた印刷ジョブに基づいて、印刷処理を行う印刷処理部と、印刷ジョブ受付部によって受け付けられた印刷ジョブの印刷処理に要する印刷処理時間を推定する推定部と、推定部によって推定された印刷処理時間を出力する出力部とを備え、推定部が、印刷ジョブ受付部によって現在受け付けられている印刷ジョブのユーザの情報と、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、ユーザの情報と印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の印刷装置によれば、現在受け付けられている印刷ジョブのユーザの情報と、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、ユーザの情報と印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定するようにしたので、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を高精度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の印刷装置の一実施形態を用いた印刷システムの概略構成を示すブロック図
【
図4】
図1に示す印刷システムの処理の流れを説明するためのフローチャート
【
図5】過去の印刷ジョブの印刷日時とその印刷処理時間の平均値とを対応付けたテーブルの一例を示す図
【
図6】過去の割り込み印刷ジョブの印刷日時とその印刷処理時間の平均値とを対応付けたテーブルの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の印刷装置の一実施形態を用いた印刷システムについて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の印刷システム1の概略構成図である。
【0014】
本実施形態の印刷システム1は、
図1に示すように、印刷装置10と、学習済モデルサーバ装置20と、印刷ジョブ出力装置30とを備えている。なお、
図1においては、印刷ジョブ出力装置30を1つしか示していないが、実際には、印刷装置10は、複数の印刷ジョブ出力装置30と通信可能に構成されている。
【0015】
印刷装置10は、印刷ジョブ出力装置30から出力された印刷ジョブに基づいて、紙やフィルムなどといったシート状の印刷媒体に対して印刷処理を行う。本実施形態の印刷装置10は、印刷処理部11と、制御部12とを備えている。
【0016】
印刷処理部11は、後述する印刷ジョブ受付部13によって受け付けられた印刷ジョブに基づいて、印刷媒体に対して印刷処理を施す。印刷処理部11の印刷方式としては、たとえばインクジェット方式、レーザ方式および孔版印刷方式などがあるが、如何なる印刷方式でもよい。
【0017】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備え、印刷装置10全体を制御する。制御部12は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶された制御プログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって、印刷装置10の各部の動作を制御し、印刷処理を行う。
【0018】
本実施形態の制御部12は、
図1に示すように、印刷ジョブ受付部13と、推定部14と、出力部15とを備えている。
【0019】
印刷ジョブ受付部13は、印刷ジョブ出力装置30から出力された印刷ジョブを受け付ける。印刷ジョブ受付部13は、複数の印刷ジョブ出力装置30から出力された印刷ジョブを受け付ける。
【0020】
印刷ジョブ受付部13は、通常、複数の印刷ジョブ出力装置30からそれぞれ出力された印刷ジョブを順次受け付け、その受け付けた順番で印刷処理が施されるように、複数の印刷ジョブを並べて管理する。
【0021】
また、印刷ジョブ受付部13は、上述した通常の印刷ジョブ以外に割り込み印刷ジョブを受け付ける。割り込み印刷ジョブは、通常の印刷ジョブよりも印刷処理の優先度が高く設定された印刷ジョブである。印刷ジョブ受付部13は、割り込み印刷ジョブを受け付けた際には、通常の印刷ジョブよりも順位を上げて割り込み印刷ジョブを並べて管理する。割り込み印刷ジョブは、たとえば最も早い順に並べられる。
【0022】
推定部14は、印刷ジョブ受付部13によって受け付けられた印刷ジョブであって、待機状態の印刷ジョブの印刷処理に要する印刷処理時間を推定する。本実施形態の推定部14は、印刷ジョブ受付部13によって現在受け付けられている印刷ジョブのユーザの情報と、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、上記ユーザの情報と上記印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間に基づいて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。なお、現在受け付けられている印刷ジョブとは、印刷装置10において既に受け付けられているが、印刷処理前の待機状態の印刷ジョブのことである。また、現在受け付けられている印刷ジョブには、割り込み処理によって割り込んだ割り込み印刷ジョブも含む。
【0023】
このように、現在受け付けられている印刷ジョブのユーザの情報とその印刷ジョブの印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間に基づいて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定するのは、ユーザ毎に使用する原稿の種類にある程度の傾向があり(たとえば報告書のような文字ベースの原稿を多く印刷するユーザがいたり、写真やイラストの多い原稿を印刷するユーザなどがいたりする。)、また、ユーザ毎に日時や曜日などでルーチンワークとして印刷している原稿がある場合が多く、待機状態の印刷ジョブのユーザの情報とその印刷ジョブの印刷日時に関する情報とに対応する過去の印刷ジョブの印刷処理時間から、待機状態の印刷ジョブの印刷処理時間を高精度に推定することができるからである。
【0024】
具体的には、本実施形態の推定部14は、学習済モデルサーバ装置20に予め記憶された学習済モデルを用いて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。
【0025】
学習済モデルサーバ装置20に記憶された学習済モデルは、過去の印刷ジョブの印刷日時に関する情報とその印刷ジョブの印刷設定条件とを入力情報とし、その過去の印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルである。また、学習済モデルは、印刷ジョブのユーザ毎に生成される。
【0026】
このように、学習済モデルを使用することによって、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間をより高精度に推定することができる。
【0027】
また、本実施形態では、過去の印刷ジョブの印刷設定条件を学習済モデルの入力情報に含めるようにしている。これは、印刷ジョブに設定される印刷設定条件は、ユーザや日時や曜日などである程度の傾向があるからである。これにより、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間をさらに高精度に推定することができる。
【0028】
なお、学習済モデルの生成方法については、後で詳述する。
【0029】
本実施形態の推定部14は、現在受け付けられている印刷ジョブからユーザ情報を抽出し、そのユーザ情報を学習済モデルサーバ装置20に出力する。学習済モデルサーバ装置20は、入力されたユーザ情報に対応する学習済モデルを推定部14に出力する。
【0030】
推定部14は、学習済モデルサーバ装置20から出力されたユーザ毎の学習済モデルを取得し、その学習済モデルに対して、現在受け付けている印刷ジョブ毎に、その印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、印刷設定条件の情報とを入力することによって、現在受け付けられている印刷ジョブ毎の印刷処理時間を推定する。
【0031】
具体的には、たとえば
図2に示すように、現在受け付けられている印刷ジョブが、印刷ジョブAと、印刷ジョブBと、印刷ジョブCであり、印刷ジョブAのユーザ情報がXであり、印刷ジョブBのユーザ情報がYであり、印刷ジョブCのユーザ情報がZであるとする。
【0032】
この場合、推定部14は、まず、印刷ジョブAからユーザ情報Xを抽出し、印刷ジョブBからユーザ情報Yを抽出し、印刷ジョブCからユーザ情報Zを抽出し、これらのユーザ情報X,Y,Zを学習済モデルサーバ装置20に出力する。
【0033】
学習済モデルサーバ装置20は、印刷装置10の推定部14から出力されたユーザ情報X,Y,Zを取得し、ユーザ情報Xについて予め生成された学習済モデルMXと、ユーザ情報Yについて予め生成された学習済モデルMYと、ユーザ情報Zについて予め生成された学習済モデルMZとを特定し、これらの学習済モデルMX,MY,MZを印刷装置10の推定部14に出力する。
【0034】
推定部14は、印刷ジョブAの印刷処理時間を推定する際には、学習済モデルMXに対して、印刷ジョブAの印刷日時に関する情報と、印刷ジョブAの印刷設定条件の情報とを入力することによって、印刷ジョブAの印刷処理時間TAを推定する。また、印刷ジョブBの印刷処理時間を推定する際には、学習済モデルMYに対して、印刷ジョブBの印刷日時に関する情報と、印刷ジョブBの印刷設定条件の情報とを入力することによって、印刷ジョブBの印刷処理時間TBを推定する。また、印刷ジョブCの印刷処理時間を推定する際には、学習済モデルMZに対して、印刷ジョブCの印刷日時に関する情報と、印刷ジョブCの印刷設定条件の情報とを入力することによって、印刷ジョブCの印刷処理時間TCを推定する。
【0035】
さらに、本実施形態の推定部14は、現在受け付けている印刷ジョブ以外の割り込み印刷ジョブであって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。割り込み印刷ジョブの発生頻度は、日時や曜日などによってある程度傾向がある。したがって、本実施形態の推定部14は、現在の日時に関する情報と、現在の日時に関する情報に対応する過去の日時において受け付けられた割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。これにより、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を高精度に推定することができる。
【0036】
具体的には、本実施形態の推定部14は、学習済モデルサーバ装置20から割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルDを取得する。
【0037】
割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルDは、過去の割り込み印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力情報とし、その過去の日時において受け付けられた割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルである。
【0038】
推定部14は、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルDに対して、現在の日時情報を入力することによって、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間TDを推定する。現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間は、現在の日時において受け付けられる可能性が高い割り込み印刷ジョブの印刷処理時間である。現在の日時情報としては、たとえば3月10日12時~13時のように所定の時間帯が学習済モデルDに入力され、学習済モデルDは、この時間帯に受け付けられる可能性が高い割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を出力する。所定の時間帯に受け付けられる割り込み印刷ジョブの数は、1つに限らず、複数の場合もあり、その場合、推定部14は、複数の割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を加算して、印刷処理時間TDを推定する。
【0039】
このように、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルDを用いて将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定することによって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間をより高精度に推定することができる。
【0040】
そして、推定部14は、現在受け付けられている印刷ジョブA,B,Cの印刷処理時間TA,TB,TCと将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間TDとを加算して、予想待機時間WT(本発明の全体印刷処理時間に相当する)を算出し、出力部15に出力する。
【0041】
このように、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間だけでなく、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定して加算することによって、より現実に近い予想待機時間を算出することができる。
【0042】
出力部15は、推定部14において算出された予想待機時間WTを印刷ジョブ出力装置30に出力する。具体的には、本実施形態の出力部15は、現在受け付けられている印刷ジョブの情報と、現在受け付けられている印刷ジョブのユーザ情報と、上述した予想待機時間WTとを印刷ジョブ出力装置30に出力する。
【0043】
印刷ジョブ出力装置30は、印刷装置10の出力部15から出力された、現在受け付けられている印刷ジョブの情報と、現在受け付けられている印刷ジョブのユーザ情報と、予想待機時間WTを取得し、これを表示する。印刷ジョブ出力装置30は、たとえば
図3に示すように、印刷装置10において現在受け付けられている印刷ジョブの数を待機ジョブ数としてテキスト表示し、その印刷ジョブのユーザの数を待機ユーザ数としてテキスト表示し、予想待機時間WTをテキスト表示する。
【0044】
印刷ジョブ出力装置30は、コンピュータから構成されるものである。印刷ジョブ出力装置30は、CPU、半導体メモリおよびハードディスクなどを有する本体部31と、種々の情報を表示する表示部32と、種々の情報の入力を受け付ける入力部33とを備えている。表示部32は、たとえば液晶パネルを備え、入力部33は、キーボードやマウスなどを備える。なお、印刷ジョブ出力装置30をタブレット端末としてもよく、その場合、表示部32と入力部33は、タッチパネルから構成される。
【0045】
本体部31の半導体メモリまたはハードディスクには、印刷装置10のプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、印刷設定条件および割り込み処理の有無の情報の入力を受け付ける入力画面や、上述した待機ジョブ数、待機ユーザ数および予想待機時間を含む印刷装置待機情報を表示部32に表示させる。
【0046】
印刷設定条件は、ユーザによって入力部33を用いて設定入力される。印刷設定条件としては、印刷ページ数、印刷部数、Nアップ印刷の情報および後処理(たとえばオフセット出力、ステープル処理および製本処理など)の情報などがあるが、その他の印刷に関する設定条件であれば、如何なる条件を含めてもよい。
【0047】
上述した学習済モデルを得る際に用いられる過去の印刷ジョブの印刷設定条件や、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際に学習済モデルに入力される印刷設定条件も同様である。
【0048】
また、割り込み処理の有無の情報とは、印刷ジョブが、通常の印刷ジョブであるか、割り込み印刷ジョブであるかを示す情報である。割り込み処理有りの場合には、割り込み処理有りの情報が、たとえば印刷ジョブのヘッダ部分などに含まれ、印刷装置10によってその印刷ジョブが受け付けられた際、割り込み印刷ジョブとして処理される。
【0049】
プリンタドライバは、ユーザの印刷指示を受け付けた場合、原稿データと、上述した印刷設定条件と、ユーザの情報と、割り込み処理の有無の情報とを含む印刷ジョブを生成し、その印刷ジョブを印刷装置10に出力する。
【0050】
ただし、本実施形態のプリンタドライバは、印刷ジョブを出力する前に、上述した印刷装置待機情報の取得要求を印刷装置10に出力する。そして、印刷装置10が上記取得要求を受け付けた場合に、印刷装置10からプリンタドライバに対して現在の印刷装置待機情報が出力され、プリンタドライバが、表示部32に表示させる。ユーザは、表示部32に表示された印刷装置待機情報を確認し、印刷指示を継続して行うか判断する。ユーザが継続して印刷指示を行った場合に、プリンタドライバから印刷装置10に印刷ジョブが出力される。
【0051】
なお、本実施形態においては、印刷装置待機情報を印刷ジョブ出力装置30において表示するようにしたが、これに限らず、印刷装置10が有するタッチパネルなどの表示部に表示させるようにしてもよい。
【0052】
学習済モデルサーバ装置20は、上述したようにユーザ毎の学習済モデルと、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルとを生成する学習済モデル生成部21と、学習済モデル生成部21で生成されたユーザ毎の学習済モデルと割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルとを記憶する記憶部22とを備える。
【0053】
学習済モデルサーバ装置20は、CPU、半導体メモリおよびハードディスクなどを備え、その半導体メモリまたはハードディスクには、学習済モデルを生成するための学習済モデル生成プログラムがインストールされている。この学習済モデル生成プログラムがCPUによって実行されることによって、学習済モデル生成部21および記憶部22が機能する。
【0054】
以下、ユーザ毎の学習済モデルの生成方法について説明する。
【0055】
まず、本実施形態の印刷装置10は、印刷ジョブの印刷処理が終了する度にまたは一定の期間毎に、印刷処理が終了した印刷ジョブと、その印刷ジョブの印刷日時の情報と、その印刷ジョブの印刷処理に実際に要した印刷処理時間とを学習済モデルサーバ装置20に出力する。なお、印刷ジョブの印刷日時の情報としては、たとえば印刷装置10がその印刷ジョブを受け付けた時点が何月の何週目の何曜日であるといった粒度の情報が用いられるが、これに限らず、日付と時間帯の情報などその他の情報を用いるようにしてもよい。また、印刷ジョブの印刷処理に実際に要した印刷処理時間は、たとえば印刷装置10に設けられたタイマなどによって計測される。
【0056】
そして、印刷装置10から出力された印刷ジョブと印刷日時の情報と実際に要した印刷処理時間は、学習済モデル生成部21に入力される。学習済モデル生成部21は、入力された印刷ジョブからユーザの情報を抽出し、そのユーザの情報に基づいて、印刷ジョブをユーザ毎に分類する。
【0057】
次いで、学習済モデル生成部21は、印刷ジョブの印刷日時の情報と、印刷ジョブに含まれる印刷設定条件とを入力情報とし、その印刷ジョブの実際に要した印刷処理時間を出力情報として機械学習を行うことによって、学習済モデルを生成する。機械学習の方法としては、公知な手法を用いることができ、サポートベクタマシン(SVM)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、およびデノイジングスタックオートエンコーダ(DSA)などを用いることができる。
【0058】
学習済モデル生成部21は、ユーザ毎に分類された印刷ジョブの印刷日時の情報と、印刷ジョブに含まれる印刷設定条件と、その印刷ジョブの実際に要した印刷処理時間とを用いて、ユーザ毎の学習済モデルを生成する。
【0059】
次に、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルを生成する方法について説明する。
【0060】
まず、本実施形態の印刷装置10は、割り込み処理有りの情報を含む割り込み印刷ジョブの印刷処理が終了する度にまたは一定の期間毎に、印刷処理が終了した割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報と、その割り込み印刷ジョブの印刷処理に実際に要した印刷処理時間とを学習済モデルサーバ装置20に出力する。なお、割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報は、通常の印刷ジョブの印刷日時の情報と同様である。
【0061】
そして、印刷装置10から出力された割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報と実際に要した印刷処理時間は、学習済モデル生成部21に入力される。
【0062】
次いで、学習済モデル生成部21は、割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報を入力情報とし、その印刷ジョブの実際に要した印刷処理時間を出力情報として機械学習を行うことによって、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルを生成する。機械学習の方法としては、公知な手法を用いることができ、サポートベクタマシン(SVM)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、およびデノイジングスタックオートエンコーダ(DSA)などを用いることができる。
【0063】
なお、上記説明では、現在の日時の情報に基づいて、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定するようにしたが、この際、現在受け付けている印刷ジョブの推定された印刷処理時間も考慮するようにしてもよい。すなわち、現在受け付けている印刷ジョブの印刷処理時間が長ければ長いほど、その印刷処理時間の間に受け付け可能な割り込み印刷ジョブの数は増えることになる。
【0064】
したがって、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルを生成する際、入力情報として、割り込み印刷ジョブの印刷日時の時点において受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間またはその印刷ジョブの数を含めるようにしてもよい。
【0065】
そして、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際には、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルに対して、現在の日時の情報と、その時点において受け付けられている印刷ジョブの推定された印刷処理時間またはその印刷ジョブの数を入力するようにすればよい。
【0066】
また、上述したように将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際、これから印刷装置10に入力しようとする印刷ジョブの優先度も考慮するようにしてもよい。
【0067】
具体的には、たとえば印刷ジョブに対して印刷処理の優先度を設定可能なように構成した場合、これから印刷装置10に入力される印刷ジョブの優先度が高い場合には、たとえ既に複数の印刷ジョブが受け付けられている場合でも、その印刷ジョブの印刷処理が開始されるまでの時間が短いため、割り込み印刷ジョブが割り込まれる可能性が低くなる。
【0068】
したがって、これから印刷装置10に入力される印刷ジョブの優先度が高いほど、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間が短くなるように推定するようにしてもよい。
【0069】
具体的には、上述したように割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルによって推定された将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間に対して、これから印刷装置10に入力される印刷ジョブの優先度に応じた係数を掛けあわせることによって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を調整するようにしてもよい。
【0070】
記憶部22は、たとえばハードディスクから構成され、学習済モデル生成部21によって生成されたユーザ毎の学習済モデルと割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルを記憶する。
【0071】
次に、本実施形態の印刷システム1の処理の流れについて、
図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0072】
まず、印刷ジョブ出力装置30において印刷ジョブが生成される(S10)。そして、印刷ジョブ出力装置30において印刷ジョブの印刷指示が入力された際、印刷ジョブ出力装置30から印刷装置10に対して、上述した印刷装置待機情報の取得要求が出力される(S12)。
【0073】
印刷装置10は、上記取得要求を受け付けた場合には、現在受け付けている印刷ジョブのユーザ情報を学習済モデルサーバ装置20に出力する(S14)。学習済モデルサーバ装置20は、印刷装置10から出力されたユーザ情報を取得し、そのユーザ情報に対応する学習済モデルと、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルとを印刷装置10に出力する(S16)。
【0074】
そして、印刷装置10は、現在受け付けている印刷ジョブの印刷日時に関する情報と、その印刷ジョブの印刷設定条件の情報とを、ユーザ毎の学習済モデルに入力することによって、現在受け付けている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する(S18)。
【0075】
また、印刷装置10は、現在の日時の情報を割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルに入力することによって、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する。
【0076】
そして、印刷装置10は、現在受け付けている印刷ジョブの印刷処理時間と将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とを加算した予想待機時間を含む現在の印刷装置待機情報を印刷ジョブ出力装置30に出力する(S20)。そして、印刷ジョブ出力装置30の表示部32に現在の印刷装置待機情報が表示される(S22)。
【0077】
印刷ジョブ出力装置30の表示部32に表示された印刷装置待機情報がユーザによって確認され、ユーザは、印刷指示を継続して行うか判断する(S24)。そして、ユーザが継続して印刷指示を行った場合には(S24,YES)、プリンタドライバから印刷装置10に印刷ジョブが出力される(S26)。一方、ユーザが継続して印刷指示を行わなかった場合には(S24,NO)、プリンタドライバから印刷装置10に印刷ジョブが出力されず、そのまま処理を終了する。
【0078】
そして、印刷装置10は、入力された印刷ジョブの印刷処理(S28)が終了した際、その印刷ジョブと、その印刷ジョブの印刷日時の情報と、その印刷ジョブの印刷処理に実際に要した印刷処理時間とを学習済モデルサーバ装置20に出力する(S30)。
【0079】
学習済モデルサーバ装置20は、入力された印刷ジョブが通常の印刷ジョブである場合には(S32,通常の印刷ジョブ)、その印刷ジョブをユーザ毎に分類した後、その印刷ジョブの印刷日時の情報と、印刷ジョブに含まれる印刷設定条件とを入力情報とし、その印刷ジョブの実際に要した印刷処理時間を出力情報として機械学習を行うことによって、ユーザ毎の学習済モデルの機械学習をさらに進める(S34)。
【0080】
一方、学習済モデルサーバ装置20は、入力された印刷ジョブが割り込み印刷ジョブである場合には(S32,割り込み印刷ジョブ)、その割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報を入力情報とし、その印刷ジョブの実際に要した印刷処理時間を出力情報として機械学習を行うことによって、割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルの機械学習をさらに進める(S36)。なお、割り込み印刷ジョブの印刷日時の情報、印刷設定条件および印刷処理時間を、ユーザ毎の学習済モデルの機械学習に用いるようにしてもよい。
【0081】
なお、上記実施形態の印刷システム1においては、ユーザ毎の学習済モデルおよび割り込み印刷ジョブ用の学習済モデルを、印刷装置10とは別の学習済モデルサーバ装置20に記憶するようにしたが、これに限らず、印刷装置10に記憶するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態の印刷システム1においては、ユーザ毎の学習済モデルを生成する際、過去の印刷ジョブの印刷日時に関連する情報を入力情報とするようにしたが、入力情報として、その印刷日時におけるイベント情報を含めるようにしてもよい。イベント情報としては、たとえば夏休みの情報やゴールデンウィークの情報など休暇に関する情報や、会社などで企画されるイベントの開催情報などがある。これらのイベント情報は、印刷ジョブの原稿内容に関連がある情報であるので、学習済モデルの入力情報とすることによって、印刷ジョブの印刷処理時間の推定精度を上げることができる。
【0083】
イベント情報は、印刷ジョブ内に含めるようにしてもよいし、ユーザが、印刷装置10において日時情報と対応付けて設定入力するようにしてもよい。そして、学習済モデルを用いて現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際には、現在受け付けられている印刷ジョブからイベント情報を抽出して学習済モデルに入力するか、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に対応するイベント情報を求めて、学習済モデルに入力するようにすればよい。
【0084】
また、上記実施形態の印刷システム1においては、印刷装置10において現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際、ユーザ毎の学習済モデルを使用するようにしたが、学習済モデルを使用するのではなく、過去の印刷ジョブの印刷処理時間の統計値に基づいて、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定するようにしてもよい。
【0085】
具体的には、たとえば
図5に示すように、ユーザ毎について、過去の印刷ジョブの印刷日時とその印刷処理時間の統計値とを対応付けたテーブルを印刷装置10の制御部12に予め設定しておく。なお、
図5においては、ユーザXのテーブルのみ示している。
【0086】
図5に示すテーブルにおける印刷処理時間Tx1は、たとえば2000年~2019年の各年の3月10日9時~10時において、ユーザXが印刷ジョブの印刷処理を行った際に要した印刷処理時間の平均値である。また、
図5に示すテーブルにおける印刷処理時間Tx5は、2000年~2019年の各年の3月10日13時~14時において、ユーザXが印刷ジョブの印刷処理を行った際に要した印刷処理時間の平均値である。
【0087】
このように、
図5に示すテーブルは、2000年~2019年の各年において、同一日、同一時間帯において印刷ジョブの印刷処理が行われた際に要した印刷処理時間の平均値を、時間帯毎およびユーザ毎に設定したテーブルである。
【0088】
制御部12は、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際には、現在受け付けられている印刷ジョブのユーザ情報および印刷日時の情報に基づいて、
図5に示すテーブルを参照し、現在受け付けられている印刷ジョブとユーザ情報が同じであり、かつ現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時が属する時間帯の印刷処理時間の平均値を特定し、その特定した平均値を現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間として推定する。
【0089】
なお、
図5に示すテーブルにおける時間帯の長さについては、1時間に限らず、これよりも短くしてもよいし、長くしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態の印刷システム1においては、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際にも、学習済モデルを使用するのではなく、過去の割り込み印刷ジョブの印刷処理時間の統計値に基づいて、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定するようにしてもよい。
【0091】
具体的には、たとえば
図6に示すように、過去の割り込み印刷ジョブの印刷日時とその印刷処理時間の統計値とを対応付けたテーブルを印刷装置10の制御部12に予め設定しておく。
図6に示すテーブルにおける印刷処理時間Tin1は、たとえば2000年~2019年の各年の3月10日9時~10時において、割り込み印刷ジョブの印刷処理が行われた際に要した印刷処理時間の平均値である。なお、この時間帯において、複数の割り込み印刷ジョブの印刷処理が行われた場合には、その印刷処理時間の加算値を用いて平均値を算出する。
【0092】
また、
図6に示すテーブルにおける印刷処理時間Tin5は、2000年~2019年の各年の3月10日13時~14時において、割り込み印刷ジョブの印刷処理が行われた際に要した印刷処理時間の平均値である。このように、
図6に示すテーブルは、2000年~2019年の各年において、同一日、同一時間帯において割り込み印刷ジョブの印刷処理が行われた際に要した印刷処理時間の平均値を、時間帯毎に設定したテーブルである。
【0093】
制御部12は、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する際には、現在の日時の情報に基づいて、
図6に示すテーブルを参照し、現在の日時が属する時間帯の印刷処理時間の平均値を特定し、その特定した平均値を、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間として推定する。
【0094】
なお、
図6に示すテーブルにおける時間帯の長さについても、1時間に限らず、これよりも短くしてもよいし、長くしてもよい。
【0095】
また、上記説明では、現在の日時の情報に基づいて、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定するようにしたが、この際、現在受け付けている印刷ジョブの推定された印刷処理時間も考慮して、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を長くしたり、短くしたりしてもよい。
【0096】
すなわち、現在受け付けている印刷ジョブの印刷処理時間が長ければ長いほど、その印刷処理時間の間に受け付け可能な割り込み印刷ジョブの数は増えることになる。したがって、たとえば
図6に示すテーブルを用いて推定された将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間に対して、現在受け付けている印刷ジョブの印刷処理時間の長さに応じた係数をかけ合わせることによって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を調整するようにしてもよい。
【0097】
また、上述したように
図6に示すテーブルを用いて将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定する場合においても、これから印刷装置10に入力しようとする印刷ジョブの優先度も考慮するようにしてもよい。すなわち、これから印刷装置10に入力される印刷ジョブの優先度が高いほど、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間が短くなるように推定するようにしてもよい。具体的には、上述したように
図6に示すテーブルを用いて推定された将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間に対して、これから印刷装置10に入力される印刷ジョブの優先度に応じた係数を掛けあわせることによって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を調整するようにしてもよい。
【0098】
本発明の印刷装置に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0099】
本発明の印刷装置において、推定部は、過去の印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力情報とし、過去の印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルであって、ユーザ毎に得られた学習済モデルに対して、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力することによって、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定することができる。
【0100】
また、上記本発明の印刷装置において、学習済モデルの入力情報は、過去の印刷ジョブの印刷設定条件をさらに含むことができ、推定部は、学習済モデルに対して、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷日時に関する情報および印刷設定条件を入力することによって、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間を推定することができる。
【0101】
また、上記本発明の印刷装置において、推定部は、現在受け付けられている印刷ジョブ以外の割り込み印刷ジョブであって、将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定し、現在受け付けられている印刷ジョブの印刷処理時間と将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とを全体印刷処理時間として推定することができる。
【0102】
また、上記本発明の印刷装置において、推定部は、現在の日時に関する情報と、現在の日時に関する情報に対応する過去の日時において受け付けられた割り込み印刷ジョブの印刷処理時間とに基づいて、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定することができる。
【0103】
また、上記本発明の印刷装置において、推定部は、過去の割り込み印刷ジョブの印刷日時に関する情報を入力情報とし、過去の割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を出力情報として機械学習して得られた学習済モデルに対して、現在の日時に関する情報を入力することによって、現在の日時において将来受け付け見込みの割り込み印刷ジョブの印刷処理時間を推定することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 印刷システム
10 印刷装置
11 印刷処理部
12 制御部
13 印刷ジョブ受付部
14 推定部
15 出力部
20 学習済モデルサーバ装置
21 学習済モデル生成部
22 記憶部
30 印刷ジョブ出力装置
31 本体部
32 表示部
33 入力部