(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】織物ワイヤー管腔内デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/01 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A61F2/01
(21)【出願番号】P 2019522446
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(86)【国際出願番号】 IB2017001487
(87)【国際公開番号】W WO2018078452
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-05
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514102803
【氏名又は名称】ラピッド メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スディン、ユーリ
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン、アハロン
(72)【発明者】
【氏名】エクハウス、ローネン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、モシェ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125018(WO,A2)
【文献】独国特許発明第102009042121(DE,B3)
【文献】国際公開第2011/151911(WO,A1)
【文献】特表2015-504735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワイヤーから形成された細長い構造体を含む管腔内デバイスであって、前記管腔内デバイスは、
複数のケーブルであって、それぞれのケーブルは、ループ状のワイヤーのセットから形成されており、前記ループ状のワイヤーは、前記細長い構造体の中間エリアに長手方向に位置付けされており、前記複数のケーブルは、前記細長い構造体の周りに円周方向に間隔を置いて配置されており、複数の血栓進入開口部を形成するように、互いに協働するように構成されている、複数のケーブルと、
一緒に織られているワイヤーの少なくとも1つのグループであって、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループは、前記中間エリアに隣接して長手方向に位置付けされており、開放力が前記細長い構造体に及ぼされるときに、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループが構造的なサポートを提供し、前記複数のケーブルの間の第1の隙間を開いた状態に保持するように構成されており、また、前記開放力に応答して、第2の隙間が、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループの中のワイヤー同士の間に形成され、前記複数のケーブルの間の前記第1の隙間は、前記少なくとも1つのグループのそれぞれの中のワイヤー同士の間の前記第2の隙間よりも大きくなっている、ワイヤーの少なくとも1つのグループと
を含み、
ケーブルのペアが、前記中間エリアの中の複数の交差場所において互いに交差しており、
前記複数の交差場所において、交差ケーブルのそれぞれのペアからのワイヤーは、巻きを解かれており、ペアにされた交差ケーブルからのワイヤーと一緒に織られて
おり、
前記細長い構造体の前記中間エリアは、前記交差場所において、前記複数のケーブルの少なくとも2つのケーブル構成、または、少なくとも2つのワイヤー編組構成を含む、管腔内デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのグループ
のワイヤーは、ワイヤーの少なくとも2つのグループ
で配置されており、前記少なくとも2つのグループのそれぞれの中の前記ワイヤーは、一緒に織られており、前記少なくとも2つのグループのそれぞれは、前記複数のケーブルを含有する前記中間エリアの両側に、互いから長手方向に間隔を置いて配置されており、前記ワイヤーの少なくとも2つのグループは、互いに協働し、開放力が前記細長い構造体に及ぼされるときに、前記少なくとも2つのグループが、構造的なサポートを提供し、前記複数のケーブルの間の第1の隙間を開いた状態に保持するようになっており、前記開放力に応答して、第2の隙間が、前記少なくとも2つのグループのそれぞれの中のワイヤー同士の間に形成され、前記複数のケーブルの間の前記第1の隙間は、前記少なくとも2つのグループのそれぞれの中のワイヤー同士の間の前記第2の隙間よりも大きくなっている、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項3】
前記細長い構造体は、少なくとも12本のワイヤーから形成されており、前記複数のケーブルのそれぞれは、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループと同じ少なくとも12本のワイヤーから形成されている、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項4】
前記細長い構造体は、12本のワイヤーから形成されており、前記12本のワイヤーは、前記中間エリアにおいて、6つのケーブルを画定しており、隣接するエリアにおいて、前記12本のワイヤーは、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループを集合的に形成している、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項5】
前記12本のワイヤーのそれぞれは、約80ミクロンの直径を有している、請求項4に記載の管腔内デバイス。
【請求項6】
前記12本のワイヤーのそれぞれは、75ミクロンの直径を有している、請求項5に記載の管腔内デバイス。
【請求項7】
複数のワイヤーから形成された細長い構造体を含む管腔内デバイスであって、前記デバイスは、
前記複数のワイヤーのサブセットからそれぞれ形成された複数のケーブルであって、ケーブルのペアが複数の交差場所において互いに交差する、複数のケーブル
を含み、
前記複数の交差場所において、交差ケーブルのそれぞれのペアからのワイヤーは、巻きを解かれており、ペアにされた交差ケーブルからのワイヤーと一緒に織られており、
前記交差ケーブルの前記ワイヤーは、前記細長い構造体に印加されるときに、一緒に織られた前記ワイヤーが互いに対して移動することを可能にする様式で、前記交差場所において一緒に織られており、
前記細長い構造体に及ぼされる前記開放力に応答して、前記交差場所において、交差ケーブルのペアは、前記細長い構造体が治療部位への送達のためのつぶされた位置と膨張させられた血栓捕獲位置との間で移行するときに、互いに対して枢動するように構成されて
おり、
前記細長い構造体は、前記交差場所において、前記複数のケーブルの少なくとも2つのケーブル構成、または、少なくとも2つのワイヤー編組構成を含む、管腔内デバイス。
【請求項8】
前記細長い構造体は、少なくとも10本のワイヤーから形成されており、前記複数のケーブルのそれぞれは、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループと同じ少なくとも10本のワイヤーから形成されている、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも10本のワイヤーのそれぞれは、約70ミクロンの直径を有している、請求項
8に記載の管腔内デバイス。
【請求項10】
前記細長い構造体は、少なくとも8本のワイヤーから形成されており、前記複数のケーブルのそれぞれは、前記ワイヤーの少なくとも1つのグループと同じ少なくとも8本のワイヤーから形成されている、請求項1に記載の管腔内デバイス。
【請求項11】
前記少なくとも8本のワイヤーのそれぞれは、約70ミクロンの直径を有している、請求項
10に記載の管腔内デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも10本のワイヤーは、ワイヤーの4つのストランドによって形成されており、2つのストランドは、3本のワイヤーを含み、他の2つのストランドは、2本のワイヤーを含む、請求項
8に記載の管腔内デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも10本のワイヤーは、前記複数の交差場所のそれぞれの前および後でツイストされている、請求項
12に記載の管腔内デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも8本のワイヤーは、ワイヤーの4つのストランドによって形成されており、2つのストランドは、2本のワイヤーを含み、他の2つのストランドは、2本のワイヤーを含む、請求項
10に記載の管腔内デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも8本のワイヤーは、前記複数の交差場所のそれぞれの前および後でツイストされている、請求項
14に記載の管腔内デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2016年10月27日に出願された米国仮出願第62/413,577号明細書からの優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、人間の血管から障害物を回収するように構成されている、血管内および/または管腔内の医療用デバイスに関する。回収されることとなる障害物は、血栓および血栓材料を含むことが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示されている実施形態は、複数のワイヤーから形成された細長い構造体を含む管腔内デバイスを含むことが可能である。管腔内デバイスは、細長い構造体の中間エリアに長手方向に位置付けされているループ状のワイヤーの複数のセットを含むことが可能である。複数のセットは、構造体の周りに円周方向に間隔を置いて配置され得り、複数の血栓進入開口部を形成するように、互いに協働するように構成され得る。織物ワイヤー(woven wires)の少なくとも1つのグルーピングが、中間エリアに隣接して長手方向に位置付けされ得り、また、開放力が細長い構造体に及ぼされるときに、少なくとも1つのグルーピングが構造的なサポートを提供し、ループ状のワイヤーの複数のセットの間の第1の隙間を開いた状態に保持することができるように構成され得る。開放力に応答して、第2の隙間が、織物ワイヤーの少なくとも1つのグルーピングの中のワイヤー同士の間に形成され得り、ループ状のワイヤーのセットの中の第1の隙間は、少なくとも1つのグルーピングのそれぞれの中のワイヤー同士の間の第2の隙間よりも大きくなっていることが可能である。
【0004】
別の実施形態では、管腔内デバイスの少なくとも1つのグルーピングは、織物ワイヤーの少なくとも2つのグルーピングを含むことが可能であり、それぞれのグルーピングは、ループ状のワイヤーの複数のセットを含有する中間エリアの両側に、互いから長手方向に間隔を置いて配置され得る。織物ワイヤーの少なくとも2つのグルーピングは、互いに協働することが可能であり、開放力がワイヤー構造体に及ぼされるときに、少なくとも2つのグルーピングが、構造的なサポートを提供し、ループ状のワイヤーの複数のセットの間の第1の隙間を開いた状態に保持するようになっている。開放力に応答して、第2の隙間が、少なくとも2つのグルーピングのそれぞれの中のワイヤー同士の間に形成され得り、ループ状のワイヤーのセットの中の第1の隙間は、少なくとも2つのグルーピングのそれぞれの中のワイヤー同士の間の第2の隙間よりも大きくなっていることが可能である。
【0005】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、少なくとも8本のワイヤーから形成され得り、ループ状のワイヤーの複数のセットのそれぞれは、織物ワイヤーの少なくとも1つのグルーピングと同じ少なくとも8本のワイヤーから形成され得る。
【0006】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、12本のワイヤーから形成され得り、12本のワイヤーは、中間エリアにおいて、6セットのループ状のワイヤーを画定することが可能である。隣接するエリアにおいて、12本のワイヤーは、織物ワイヤーの少なくとも1つのグルーピングを集合的に形成することが可能である。別の例示的な実施形態では、12本のワイヤーのそれぞれは、約80ミクロンの直径を有することが可能である。別の例示的な実施形態では、管腔内デバイスのそれぞれのワイヤーは、約75ミクロンの直径を有することが可能である。別の例として、管腔内デバイスのそれぞれのワイヤーは、60ミクロンから85ミクロンの間の直径を有することが可能である。さらなる他の例では、ワイヤーは、60ミクロンより小さくなっていることが可能であり、また、85ミクロンよりも大きくなっていることが可能である。さらなる例では、単一の管腔内デバイスは、変化する直径のワイヤーを有することが可能である。
【0007】
別の実施形態では、管腔内デバイスは、複数のワイヤーから形成された細長い構造体を含むことが可能である。管腔内デバイスは、第1の領域であって、第1の領域では、複数のワイヤーがシャフトを形成するようにツイストされ得る、第1の領域と、第1の領域に隣接する第2の領域であって、第2の領域では、複数のワイヤーがスキャフォールドを形成するように織られ得る、第2の領域とを含むことが可能である。また、管腔内デバイスは、第2の領域に隣接する第3の領域であって、第3の領域では、複数のワイヤーが、ループ状のペアのセットへと分離され得り、血栓捕獲構造体を形成している、第3の領域を含むことが可能である。また、管腔内デバイスは、第4の領域であって、第4の領域では、複数のワイヤーが、血栓を捕らえるように構成された高密度のフィルターを形成するように編み組みされ得る、第4の領域を含むことが可能である。
【0008】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、細長い構造体に及ぼされる開放力に応答して、治療部位への送達のためのつぶされた(または、後退させられた)位置と膨張させられた位置との間で移行するように構成され得る。
【0009】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、たとえば、開放力が印加されるときに、第1の隙間が第2の領域の中のワイヤー同士の間に形成され得り、第2の隙間が第3の領域の中のワイヤー同士の間に形成され得るように構成され得り、第2の隙間が第1の隙間よりも大きくなるようになっている。
【0010】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、細長い構造体は、たとえば、開放力が印加されるときに、第3の隙間が第4の領域の中のワイヤー同士の間に形成されるように構成され得り、たとえば、第3の隙間が第1の隙間および第2の隙間の両方よりも小さくなるようになっている。
【0011】
別の実施形態では、管腔内デバイスは、第4の領域に隣接する第5の領域をさらに含むことが可能であり、第5の領域の中の複数のワイヤーは、追加的なシャフトを形成するようにツイストされ得る。別の実施形態では、管腔内デバイスは、12本のワイヤーを含むことが可能であり、それぞれのワイヤーは、約80ミクロンの直径を有することが可能である。1つの実施形態では、たとえば、管腔内デバイスのそれぞれのワイヤーは、約75ミクロンの直径を有することが可能である。別の例として、管腔内デバイスのそれぞれのワイヤーは、60ミクロンから85ミクロンの間の直径を有することが可能である。
【0012】
別の実施形態では、管腔内デバイスの細長い構造体は、開放力が第1の領域の軸線方向の移動を通して印加されるように構成され得る。さらなる別の実施形態では、管腔内デバイスは、第3の領域と第4の領域との間に、スキャフォールドの追加的な第2の領域をさらに含むことが可能である。
【0013】
別の実施形態では、管腔内デバイスは、複数のワイヤーから形成された細長い構造体を含むことが可能であり、デバイスは、また、複数のワイヤーのサブセットからそれぞれ形成された複数のケーブルを含むことが可能である。ケーブルのペアが複数の交差場所において互いに交差することが可能であり、複数の交差場所において、交差ケーブルのそれぞれのペアからのワイヤーは、巻きを解かれており、ペアにされた交差ケーブルからのワイヤーと一緒に織られ得る。さらに、交差ケーブルのワイヤーは、細長い構造体に印加されるときに、一緒に織られたワイヤーが互いに対して移動することを可能にする様式で、交差場所において一緒に織られ得る。また、細長い構造体に及ぼされる開放力に応答して、交差場所において、交差ケーブルのペアは、細長い構造体が治療部位への送達のためのつぶされた(または、後退させられた)位置と膨張させられた血栓捕獲位置との間で移行するときに、互いに対して枢動するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本明細書の中に組み込まれており、本明細書の一部を構成しており、添付の図面は、説明とともに、開示されている実施形態を図示しており、開示されている実施形態を説明する役割を果たしている。
【0015】
【
図1】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つと一貫する、第1の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図2】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第2の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図3】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第3の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図4】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第4の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図5】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第5の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図6】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第6の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図7】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、第7の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図8】
図7に関連して開示されているような、例示的なケーブル編み込み部の図である。
【
図9A】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、別の例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図9B】
図9Aに示されている例示的な管腔内デバイスの一部分の拡大図である。
【
図10】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つと一貫する、管腔内デバイスの領域のさらなる説明図である。
【
図11】例示的な管腔内デバイスの編組構造体の図である。
【
図12】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、例示的な管腔内デバイスの編組構造体の図である。
【
図13】ツイストのない例示的な編み組みされている構造体の断面図、および、関連の荷重を受けたビームのダイアグラムである。
【
図14】ツイストを備えた例示的な編み組みされている構造体の断面図、および、関連の荷重を受けたビームのダイアグラムである。
【
図15】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つと一貫する、例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図16】
図15に示されている例示的な管腔内デバイスの一部分の拡大図である。
【
図17】膨張させられた位置にある、
図15に示されている例示的な管腔内デバイスの一部分の拡大図である。
【
図18】開示されている実施形態のうちの少なくとも1つによる、膨張させられた位置にある例示的な管腔内デバイスの図である。
【
図19A】開示されている実施形態のうちの少なくともいくつかと一貫する、複数の編組構造体を図示する図である。
【
図19B】開示されている実施形態のうちの少なくともいくつかと一貫する、複数の編組構造体を図示する図である。
【
図19C】開示されている実施形態のうちの少なくともいくつかと一貫する、複数の編組構造体を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図の中に出現する注記は、単に例示的なものに過ぎず、特許請求されているような本発明を限定するものではない。
【0017】
ここで、本開示の本実施形態(例示的な実施形態)を詳細に参照することとなり、その例が、添付の図面に図示されている。可能な場合にはいつでも、同じ参照数字が、同一または類似のパーツを表すために、図面の全体を通して使用されることとなる。
【0018】
図1は、5つの交互のワイヤーゾーン1001、1002、1003、1004、および1005を含む例示的な管腔内デバイス1000を図示している。ゾーン1001、1003、および1005は、織物ワイヤー1010のグループを含み、ゾーン1002および1004のための構造的なサポートを提供することが可能である。追加的に、ゾーン1および5のワイヤー1010同士の間の開口部ははるかに小さいので、それらは、また、遠位フィルターおよび近位フィルターを提供することが可能である。(可変サイズの開口部の例が、下記に議論されている
図10に図示されている。)結果として、回収の間に出現し得る血栓粒子は、たとえば、これらのゾーンにおいて捕獲され得る。
図1にさらに示されているように、ゾーン1002および1004は、ループ状のワイヤー1020から構築され得り、大きい血栓を捕獲するエリアを可能にする。また、
図1に示されているように、ゾーン1001、1003、および1005は、織物ワイヤー1010によって構築され得る。図示されているゾーンの数は、例示的なものである。より多くのまたはより少ないゾーンが設けられ得る。
【0019】
図2は、
図1に図示されているものよりも開いた位置にある管腔内デバイス2000を図示しており、血栓進入セル2020を強調しており、血栓進入セル2020は、ループ状のワイヤー1020から作製され得る。
図2にさらに示されているように、ゾーン1002および1004は、ループ状のワイヤー1020から構築され得り、大きい血栓を捕獲するエリアを可能にする。
【0020】
図3は、さらなる別の例示的な管腔内デバイス3000を図示している。この例では、
図3に示されているように、デバイス3000は、2つだけの異なるゾーンを含むように構成され得る。ゾーン3001は、たとえば、密に編み組みされているものなど、織物ワイヤー3010のグループから構築され得り、それは、デバイス3000のための構造的なサポートを提供している。それに加えて、ゾーン3001は、また、遠位の血管系からの塞栓を防止する遠位フィルターとしての役割を果たすことが可能である。また、
図3に示されているように、ゾーン3002は、ループ状になっているワイヤーから構築され得り、それは、長手方向に位置付けされ、血栓進入ゾーン3020を提供している。追加的に、ゾーン3001は、たとえば、構造的なサポートを与えることが可能であり、また、遠位フィルターとしての役割を果たすことも可能である。
図3にさらに示されているように、ゾーン3002は、血栓が進入するゾーンであることが可能である。
【0021】
図4は、4つの領域を備えたさらなる別の例示的な管腔内デバイス4000を図示している。第1の領域4001において、ワイヤーは、ツイストされるかまたはコイル状に巻かれ、シャフト4015を形成することが可能である。第2の領域4002において、ワイヤーは、スキャフォールド4017を形成するように織られ得り、スキャフォールド4017は、第3の領域4003の開口部を支持している。第3の領域4003において、ワイヤーは、ループ状のペアの織物セットであり、血栓捕獲構造体4020を形成することが可能である。たとえば、第3の領域4003のワイヤーは、緩くループ状になっているかまたは緩く連結され得る。さらに、第4の領域4004は、遠位フィルター4030を形成するように織られ得り、遠位フィルター4030は、遠位の塞栓または血栓粒子を捕獲する。また、第4の領域4004は、第3の領域4003のためのスキャフォールドとしての役割を果たすことが可能である。
【0022】
図5は、さらなる別の例示的な管腔内デバイス5000を図示している。たとえば、
図5に示されているように、血栓開口部領域5001は、一緒にループ状になっている3本のワイヤーから織られ得る。さらに、一緒にループ状になっているワイヤーの数は、3つ以上になっていてもよい。
【0023】
図6は、さらなる別の例示的な管腔内デバイス6000を図示している。たとえば、
図6に示されているように、血栓開口部領域6001は、一緒に緩くループ状になっている3本のワイヤーから織られ得る。さらに、一緒にループ状になっているワイヤーの数は、3つ以上になっていてもよい。
【0024】
図7は、さらなる別の例示的な管腔内デバイス7000を図示している。たとえば、
図7に示されているように、デバイス7000は、6つのケーブル7025を含むことが可能であり、それぞれのケーブル7025は、ペアにされたワイヤーを含むことが可能である。これは、強力であるが可撓性の交差を生成させることが可能である。また、これは、たとえば、デバイス7000が高い半径方向の力を有する可撓性の構造体を実現することをさらに可能にすることができる。
【0025】
図8は、上記に議論されているように、ケーブル編み込み部8000の例を図示している。それぞれのケーブル7025は、たとえば、交差ケーブルからのワイヤー8027のペアとともに織られているワイヤー8027のループ状のペアから作製され得る。結果として、たとえば、半可撓性の強力な交差ポイントが実現され得る。
【0026】
図9A~
図9Bは、さらなる別の例示的な管腔内デバイスを図示している。
図9Aに示されているように、ケーブルは、たとえば、3本のワイヤーから作製され得り、3本のワイヤーは、巻きを解かれており、次いで、交差ケーブルからのワイヤーと一緒に織られている。また、
図9Bは、ケーブル交差ポイント9006を図示しており、ケーブル交差ポイント9006では、ケーブル(ケーブル9024および9025を含む)が、巻きを解かれており、また、一緒に織られて戻されている。
図12および
図19Cに関連して下記に議論されているように、
図9Aの編組構造体は、それぞれの接合フレームの前および後にツイストを備えた12ワイヤー編組構造体を含むことが可能である。
【0027】
図1に関連して上記に議論されているように、
図10は、可変サイズの開口部を備えたデバイス10000を図示している。領域10001は、中間場所10002に隣接する、織物ワイヤー10010のグループを含み、中間場所10002のための構造的なサポートを提供することが可能である。具体的には、領域10001の中での織物ワイヤー10010のグルーピングは、第1の隙間10028を開いた状態に保持するためのサポートを提供することが可能である。第1の隙間10028は、第2の隙間10018よりも大きくなっており、第2の隙間は、領域10001の中に存在している。断面10050は、どのようにケーブル10025が中間場所10002において円周方向に変位させられているかということを示している。断面10050の中に示されているリングを構成するラインは、中央領域の周りのケーブル10025の概して円周方向の変位を示すためのものである。そのうえ、第1の隙間10028の内部にある断面10050の中に示されているドット付きの領域は、中間場所10002の中に血栓進入のために設けられた比較的に大きい開口部を示すために使用されている。
【0028】
本開示と一貫する実施形態によれば、例示的な管腔内デバイスは、たとえば、2つの編組メカニズム、構成、または構造体を含むことが可能であり、それは、標準的な編組構造体を組み込むデバイスに対して、デバイスの性能の増加を助けることが可能である。
【0029】
たとえば、
図12に示されているように、本開示と一貫する管腔内デバイスの少なくともいくつかの実施形態によれば、編組構造体12000は、それぞれの接合フレーム12050の前および後に、ワイヤーのツイストを含むことが可能である。編組構造体12000は、2本のワイヤー・ペア(2本のワイヤー12030および12040)の3つのストランドと編み組みされている、2本のワイヤー・ペア(2本のワイヤー12015および12025)の3つのストランドを含む。
図12は、合計で9つの接合フレームを示している。メッシュ構造体の中の接合位置は、ツイストを横切ってワイヤーがスリップするのを防止することを助けることが可能であり、それは、そうでなければ、管腔内デバイスのメッシュ構造体の周囲部の上に均質に分離された状態になるように働く可能性がある。
図11に示されているように、編組構造体11000は、ワイヤー11040が(たとえば)平行のワイヤー11030に到達するまで、ズレ(矢印11005によって図示されている)を実現することが可能であるが、
図12に示されている編組構造体12000に示されているようなツイストは、ツイストを横切る実質的なズレを禁止することを助けるように動作し、管腔内デバイスが膨張させられているときに、しっかりした構造体を実現することが可能である。
【0030】
本開示と一貫する管腔内デバイスの少なくともいくつかの実施形態によれば、ならびに、
図13および
図14に図示されているように、ツイスト構造体を含む編組構造体は、ワイヤーを把持する拘束システムとして動作することによって、および、メッシュに印加される外力を追加的なエレメントの上に分割することによって、メッシュ構造体に強度を追加することが可能である。
図13は、
図11の編組構造体11000の断面11010を示しており、
図14は、
図12の編組構造体12000の断面12010を示している。
図14の断面12010の中の点線は、ワイヤー12015および12025の中のツイストを図示しており、また、ワイヤー12030および12040の中のツイストを図示している。編組構造体の中の力分配メカニズムは、たとえば、変化する数のサポートを備えた荷重を受けたビームの力分配と同様である。また、これは、荷重を受けたビームのダイアグラム13000(編み組みされている構造体11000に関連付けられる)、および、荷重を受けたビームのダイアグラム14000(編み組みされている構造体12000に関連付けられる)とともに、
図13および
図14に図示されている。
図13および
図14に図示されているように、3つのサポート14010を備えた荷重を受けたビーム13020は、たとえば、2つのサポート13010を備えた荷重を受けたビーム13020よりも効果的に力を受け止めて分配することとなる。その理由は、3つのサポート14010の間に、より小さい距離が存在しているからである。
【0031】
本開示と一貫する少なくともいくつかの実施形態によれば、例示的な管腔内デバイスは、0.017”の内部直径を有するマイクロカテーテルを通して送達され得る。結果として、リトリーバーは、(後退させられる状態または圧縮された状態において)ロー・プロファイルを有することが可能であり、それは、内部直径のものよりも小さい。本開示と一貫する管腔内デバイスの少なくともいくつかの実施形態によれば、デバイスは、5つの以下のパーツ、たとえば:
制御ハンドルと、
硬い近位シャフト(たとえば、ステンレス鋼ハイポチューブ)と、
フレキシブル・シャフト(たとえば、ワイヤーのケーブルから作製されている)と、
ケーブルの同じワイヤーから作製されている膨張可能なメッシュと、
コアワイヤー/制御ワイヤー(それは、メッシュの遠位先端部に接続され得り、シャフトを通ってハンドルまで走っている)と
を有することが可能である。
【0032】
たとえば、管腔内デバイス19300(
図9Aに示されている)は、8本のワイヤー(それぞれのワイヤーは、70μmの直径を有している)を備えたフレキシブル・シャフトと、8本のワイヤー(それぞれのワイヤーは、70μmの直径を有している)を含むメッシュとを含むことが可能である。たとえば、8本のワイヤーは、たとえば、一緒に編み組みされているワイヤーの4つのストランドを生成させることによって形成され得り、それぞれのストランドは、2本のワイヤーをそれぞれ含む。
図19Aに示されているように、および、上記に議論されているように、編組構造体19200は、それぞれの接合フレームの前および後に、ワイヤーのツイストを含み、ズレを防止することを助けることが可能である。また、ケーブル編み込み部8000(
図8に関連して議論されている)の詳細図が、
図19Aに示されている。ケーブル編み込み部8000は、デバイス19300の編組構造体19200の中の接合を詳細に図示している。ワイヤーは、たとえば、ニチノールから作製され得る。また、
図19Aは、接合フレームの前および後にツイストのない編組構造体19100を示している。
【0033】
別の例示的な実施形態では、管腔内デバイスは、12本のワイヤーを備えたフレキシブル・シャフトと、12本のワイヤーを含むメッシュとを含むことが可能である。12本のワイヤーは、たとえば、一緒に編み組みされているワイヤーの6つのストランドを生成させることによって形成され得り、3つのストランドが、2本のワイヤーをそれぞれ含み、一方、他の3つのストランドが、2本のワイヤーをそれぞれ含むことが可能である。
図19Cに示されているように、および、上記に議論されているように(たとえば、ケーブル編み込み部8000を示している
図8、および、編組構造体12000を示している
図12などを参照して)、この実施形態に関する編組構造体12000は、それぞれの接合フレームの前および後にワイヤーのツイストを含み、ズレを防止することを助けることが可能である。また、
図19Cは、接合フレームの前および後にツイストのない編組構造体11000を示している。12本のワイヤーを備えた例示的な管腔内デバイスは、
図9のデバイス9000を含む。
【0034】
本開示と一貫する別の実施形態によれば、例示的な管腔内デバイスのフレキシブル・シャフトは、10本のワイヤーを備えたフレキシブル・シャフトと、10本のワイヤーを含むメッシュとを含むことが可能である。10本のワイヤーは、たとえば、一緒に編み組みされているワイヤーの4つのストランドを生成させるによって形成され得り、2つのストランドが、3本のワイヤーをそれぞれ含み、一方、他の2つのストランドが、2本のワイヤーをそれぞれ含むことが可能である。10本のワイヤーを備えた例示的な編組構造体が、
図19Bに図示されている。編組構造体19500は、それぞれの接合フレームの前および後にワイヤーのツイストを含むことが可能である。編組構造体19500は、2本ワイヤー・ストランド(ワイヤー12030および12040)ならびに3本ワイヤー・ストランド(12030、12040、および19040)と編み組みされている、2本ワイヤー・ストランド(ワイヤー12015および12025)ならびに3本ワイヤー・ストランド(ワイヤー12015、12025、および19025)を含む。また、ズレ矢印19505も示されている。また、ツイストのない編組構造体19400も図示されている。編組構造体19400は、2本ワイヤー・ストランド(ワイヤー11030および11040)ならびに3本ワイヤー・ストランド(11030、11040、および19030)と編み組みされている、2本ワイヤー・ストランド(ワイヤー11015および11025)ならびに3本ワイヤー・ストランド(ワイヤー11015、11025、および19015)を含む。また、ズレ矢印19005も示されている。ワイヤーのそれぞれのストランドの中で、ワイヤーは、たとえば、撚り合わせられ、安定したストランドを生成させることが可能である。ワイヤーは、たとえば、ニチノールから作製され得り、この構成は、ケーブルとメッシュとの間の移行部においてたとえば、2本のワイヤーをカットすることによって実現され得る(これは、別の製造ステップを必要とする可能性があるが)。
図15は、本開示による例示的な管腔内デバイス15000の全体図を表しており、
図15に示されているように、ストランドは、大きい開口部(セル)を生成させるように互いに交差することが可能である。交差部において、たとえば、ストランドは、緩く連結された接合を生成させるように、互いと撚り合わせられ得る。接合の前および後に、たとえば、ストランドのワイヤーが、撚り合わせられ得る。
【0035】
図16に示されているように、2本のワイヤー(すなわち、ワイヤー16020)のストランドが、3本のワイヤー(すなわち、ワイヤー16010)のストランドと交差することが可能である。接合の前および後の撚り合わせられたワイヤー、ならびに、接合の内側のワイヤーを撚り合わせることは、緩く連結されているが安定した接合および断面を生成させることが可能であり、それは、ズレを防止することを助け、大きいセルを生成させ、チューブの中の高い半径方向の力によって膨張させられるときに、デバイスのつぶれに抵抗することを最終的に助ける。そして、
図17~
図18に示されているように(ここで、
図17は、膨張させられた構成の
図16の領域16015の詳細であり、
図18は、膨張させられた構成の
図15の詳細である)、メッシュが膨張させられているときに、接合構造体は、メッシュが膨張させられているときでもワイヤーを一緒に維持する。結果として、メッシュ・サイズは、同じままである。
【0036】
図19A、
図19B、および
図19Cは、それぞれ、8本、10本、および12本のワイヤー接合および構成を図示している。それに加えて、上記に議論されているように、デバイス15000および18000、ならびに、
図16および
図17の詳細図は、
図19Cの12本のワイヤー接合を使用することが可能である。当然のことながら、これらは、単なる例であり、より多くのまたはより少ないワイヤーを備えたワイヤー接合および構成が使用され得り、ワイヤーの数にかかわらず、異なる編組配置が用いられ得る。
【0037】
そのうえ、例示目的の実施形態が本明細書で説明されてきたが、その範囲は、本開示に基づく均等エレメント、修正例、省略、(たとえば、さまざまな実施形態を横切る態様の)組み合わせ、応用例、または代替例を有する、任意のおよびすべての実施形態を含む。特許請求の範囲の中のエレメントは、特許請求の範囲の中で用いられている言語に基づいて広い意味に解釈されるべきであり、本明細書に説明されている例に限定されず、または、本出願の出願経過の間に、その例は、非包括的なものとして解釈されるべきである。さらに、開示されている方法のステップは、(ステップを並び替えることによって、または、ステップを挿入もしくは削除することによって、を含む)任意の様式で修正され得る。したがって、本明細書および例は、例としてのみ考慮されるべきであり、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物の全範囲によって示されているということが意図される。