(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20230127BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230127BHJP
F21V 29/15 20150101ALI20230127BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20230127BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230127BHJP
【FI】
F21S2/00 375
F21S2/00 373
F21V23/00 160
F21V29/15
F21S2/00 310
F21V29/83
F21S2/00 311
F21Y101:00 100
(21)【出願番号】P 2019525442
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2018022336
(87)【国際公開番号】W WO2018230540
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2017115494
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】八木 一乃大
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/109765(WO,A2)
【文献】特開2012-146495(JP,A)
【文献】特開2010-267596(JP,A)
【文献】特開2006-147438(JP,A)
【文献】特開2011-008979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 29/15
F21V 29/83
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1列又は複数列に並べられた複数の光源と、前記光源を収容するとともに、前記光源からの光を取り出すための光取出し口が形成されたケーシングとを具備する照明装置であって、
前記光源が、フィラメントを筒状の収容体に収容してなる発光部及び前記発光部が接続される被接続部を有し、前記収容体の外側周面から射出された光が前記光取出し口から取り出される姿勢で
あって、前記収容体の外側周面が前記光取出し口に対向する姿勢で配置されており、
前記被接続部の少なくとも一部を覆うとともに、前記発光部から射出されて前記被接続部に向かう光を遮蔽する遮蔽部材をさらに具備し、
前記発光部、前記被接続部、及び前記遮蔽部材が、前記ケーシング内に収容されている照明装置。
【請求項2】
前記フィラメントに電流を供給するための電気ケーブルが前記被接続部に接続された状態において、前記遮蔽部材が、前記電気ケーブルの少なくとも一部を覆うとともに、前記発光部から射出されて前記電気ケーブルに向かう光を遮蔽する請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材が、前記光源の配列方向に沿って延びる長尺状のものであり、1列に含まれる前記各光源の前記被接続部を覆っている請求項1記載の照明装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材が前記ケーシングに固定されており、該遮蔽部材に前記被接続部が取り付けられている請求項1記載の照明装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材が、前記被接続部を収容するとともに空気が流入出可能な収容空間を形成している請求項1記載の照明装置。
【請求項6】
列状に並べられた複数の前記光源が、配列方向と前記収容体の軸方向とが直交する姿勢で配置されている請求項1記載の照明装置。
【請求項7】
列状に並べられた複数の前記光源が、前記収容体の先端が互いに同じ向きになる姿勢で配置されている請求項1記載の照明装置。
【請求項8】
列状に並べられた複数の前記光源が、配列方向に沿って互いに隣り合う前記光源の前記収容体の先端が互いに逆向きになる姿勢で配置されている請求項1記載の照明装置。
【請求項9】
前記光源が、赤外波長を含む光を射出するものであり、
前記遮蔽部材が、赤外波長の光を反射させる材質で形成されている請求項1記載の照明装置。
【請求項10】
前記光取出し口に対向して設けられ、前記発光部から射出された光を反射させる反射部材をさらに具備し、
前記反射部材が、前記遮蔽部材と一体的に設けられている請求項1記載の照明装置。
【請求項11】
前記光源、前記反射部材、前記遮蔽部材、及び前記光源を制御する回路基板が、これらが一体化されてなるユニット構造体を構成している請求項
10記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばハロゲンランプ等のようにフィラメントを用いた光源を備える照明装置は、広い波長領域であって赤外領域まで高い強度を有する光を射出する点において、LED光源を用いたものよりも優れており、例えば赤外カメラとともに異物混入検査や外観検査等に用いられている。
【0003】
この種の照明装置としては、特許文献1に示すように、先端が封止された筒状の収容体にフィラメントを収容してなるハロゲンランプを列状に複数並べたものがある。具体的にこの照明装置は、各ハロゲンランプの後方に楕円反射鏡を設けるとともに、前方に反射板を設けて、各ハロゲンランプから射出された光を集光しつつ対象物に向かって反射させるように構成されている。
【0004】
しかしながら、収容体の先端が封止されたハロゲンランプでは、フィラメントからの光が封止部分で予期せぬ方向に屈折してしまい、ハロゲンランプから射出された光の集光性や、対象物に照射される光の均一性を制御することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本願発明者は、先端が封止された筒状の収容体を倒した状態で列状に並べて、収容体の外側周面から射出される光を対象物に導く構成を、本願発明の開発に当たって中間的に考えた。
【0007】
このような構成であれば、フィラメントからの光は予期せぬ方向に屈折することなく収容体の外側周面から射出されて対象物に導かれるので、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くなる。
【0008】
ところで、上述したようにフィラメントを用いた光源は、フィラメントを収容する収容体をソケットに接続して、このソケットを介してフィラメントに電流を供給するように構成されているので、フィラメントの発光により生じた赤外波長を含む広い波長領域の光がソケットに照射される。
その結果、ソケットが熱によるダメージを受けたり、フィラメントからの光のうち特定波長の光がソケットに吸収されて、対象物に照射される光の強度分布に起伏が生じたりするといった問題が生じる。かかる問題は、ソケットを介さずに収容体を電気ケーブルや中継基板等の被接続部に接続する場合にも同様に生じる問題である。
【0009】
そこで、本願発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、フィラメントを用いた光源を備える照明装置において、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くするとともに、ソケット等の被接続部を熱から保護することができ、なおかつ対象物に照射する光の強度分布をよりフラットにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本願発明にかかる照明装置は、1列又は複数列に並べられた複数の光源と、前記光源を収容するとともに、前記光源からの光を取り出すための光取出し口が形成されたケーシングとを具備する照明装置であって、前記光源が、フィラメントを筒状の収容体に収容してなる発光部及び前記発光部が接続される被接続部を有し、前記収容体の外側周面から射出された光が前記光取出し口から取り出される姿勢で配置されており、前記被接続部の少なくとも一部を覆うとともに、前記発光部から射出されて前記被接続部に向かう光を遮蔽する遮蔽部材をさらに具備していることを特徴とするものである。なお、ここでいう「被接続部に向かう光」とは、発光部から直接被接続部に向かう光のみならず、周囲の部材で反射した後に被接続部に向かう光も含まれる。
【0011】
このように構成された照明装置であれば、光源が収容体の外側周面から射出された光が光取出し口から取り出される姿勢で配置されているので、収容体の先端が封止されているとしても、フィラメントからの光は予期せぬ方向に屈折することなく収容体の外側周面から射出されて対象物に導かれる。これにより、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くなる。
そのうえ、遮蔽部材が被接続部の少なくとも一部を覆うとともに、発光部から被接続部に向かう光を遮蔽しているので、被接続部を熱から保護することができ、なおかつ特定波長の光が被接続部に吸収されることなく、対象物に照射される光の強度分布をフラットにすることができる。
【0012】
前記フィラメントに電流を供給するための電気ケーブルが前記被接続部に接続された状態において、前記遮蔽部材が、前記電気ケーブルの少なくとも一部を覆うとともに、前記発光部から射出されて前記電気ケーブルに向かう光を遮蔽することが好ましい。なお、ここでいう「電気ケーブルに向かう光」とは、発光部から直接電気ケーブルに向かう光のみならず、周囲の部材で反射した後に電気ケーブルに向かう光も含まれる。
このような構成であれば、電気ケーブルを熱から保護することができる。
【0013】
前記遮蔽部材が、前記光源の配列方向に沿って延びる長尺状のものであり、1列に含まれる前記各光源の前記被接続部を覆っていることが好ましい。
このような構成であれば、例えば各光源それぞれに対して遮蔽部材を設ける構成に比べて、部品点数を少なくすることができ、装置の組み立てが容易である。
【0014】
前記遮蔽部材が前記ケーシングに固定されており、該遮蔽部材に前記被接続部が取り付けられていることが好ましい。
このような構成であれば、被接続部を固定するための部材を別途設ける必要がなく、装置構成を簡単化することができる。
【0015】
前記遮蔽部材が、前記被接続部を収容するとともに空気が流入出可能な収容空間を形成していることが好ましい。
このような構成であれば、収容空間内にケーシング内の空気やケーシング外の空気が流れ込むので、この空気によって被接続部を冷却することができ、被接続部を熱からより確実に保護することができる。
【0016】
列状に並べられた複数の前記光源が、前記光取出し口に前記収容体の外側周面が対向する姿勢で配置されていることが好ましい。
このような構成であれば、フィラメントからの光が収容体の封止部分で予期せぬ方向に屈折しても、光取出し口から取り出される光はその影響をほとんど受けず、光取出し口から取り出される光の集光性や均一性をより向上させることができる。
【0017】
具体的な実施態様としては、列状に並べられた複数の前記光源が、配列方向と前記収容体の軸方向とが直交する姿勢で配置されている構成が挙げられる。
【0018】
より具体的には、列状に並べられた複数の前記光源が、前記収容体の先端が互いに同じ向きになる姿勢で配置されていることが好ましい。
このような配置であれば、遮蔽部材や電気ケーブルを片側に集約させることができ、全体構成の簡素化や配線の容易化を図れる。
【0019】
一方、上述したように収容体の先端が互いに同じ向きになる姿勢で光源を配置した場合、光源の間隔を狭くすると互いに隣り合う光源のソケットが干渉してしまう恐れがあり、光源の間隔をソケットが干渉しない程度に保つ必要がある。その結果ライン光の長手方向における照度ムラが生じてしまう。
そこで、列状に並べられた複数の前記光源が、配列方向に沿って互いに隣り合う前記光源の前記収容体の先端が互いに逆向きになる姿勢で配置されていることが好ましい。
このような配置であれば、ある方向を向いて並べられた光源の間に、その逆向きに並べられた光源を配置することができるので、光源の配置間隔を狭くすることができ、ライン光の長手方向における照度ムラを低減できる。
【0020】
前記光源が、赤外波長を含む光を射出するものであり、前記遮蔽部材が、赤外波長の光を反射させる材質で形成されていることが好ましい。
このような構成であれば、光取出し口から取り出される赤外光の出力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように構成した本願発明によれば、フィラメントを用いた光源を備える照明装置において、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くするとともに、熱によるソケット等の被接続部へのダメージを低減し、なおかつ対象物に照射する光の強度分布をよりフラットにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本実施形態の照明装置のケーシング内の構成を示す斜視図。
【
図3】本実施形態の光源の構成及び配置を示す平面図。
【
図4】本実施形態の照明装置のケーシング内の構成を示す断面図。
【
図5】本実施形態の照明装置のケーシング内の構成を示す斜視図。
【
図6】その他の実施形態における光源の構成を示す平面図。
【
図7】その他の実施形態における光源の構成を示す平面図。
【
図8】その他の実施形態における照明装置のケーシング内の構成を示す断面図。
【
図9】その他の実施形態における光源の周辺構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本願発明に係る照明装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る照明装置100は、例えば、赤外カメラを使用して異物混入検査や外観検査等を実施するために用いられるものであり、検査対象に赤外波長の光(以下、赤外光という)を照射する面発光装置である。
なお、赤外カメラとしては、例えば分光器を備えて広い波長領域の情報を取得することができるハイパースペクトルカメラが好ましいが、その他の種々のタイプのものを用いることができる。
【0025】
具体的にこの照明装置100は、
図1及び
図2に示すように、光取出し口Xが形成されたケーシング10と、ケーシング10内に収容された複数の光源20とを具備している。なお、
図2は、ケーシング10の内部構成を示しているが、後述する電気ケーブルELの記載は省略している。
【0026】
ケーシング10は、例えば略直方体形状をなし、その一面(上板11)に前記光取出し口Xが形成されたものであり、ここでは前記光取出し口Xに透過性を有する拡散板30が設けられている。なお、光取出し口Xには、拡散板30の代わりに、光を拡散させることなく透過させる光透過窓を設けても良い。
また、光取出し口Xとは反対側の底板12の裏面(外面)には、光源20からの熱を放熱するための放熱フィン等の放熱部材40が設けられており、底板12の表面(内面)には赤外光を反射させる反射板50が設けられている。さらに本実施形態では、ケーシング10の側板13の内面における少なくとも一部に反射板50を設けている。なお、底板12や側板13には必ずしも反射板50を設けておく必要はない。
【0027】
光源20は、
図2に示すように、ケーシング10内において列状に配置されており、具体的には
図3に示すように、フィラメント21を先端が封止された筒状の収容体22に収容してなる発光部20Aと、発光部20Aが接続される被接続部たるソケット20Bとを有した所謂ハロゲンランプである。
【0028】
より具体的に説明すると、フィラメント21は導線が巻回されてなり、電流が供給されるとジュール熱を発生しながら発光するものである。ここでのフィラメント21は、収容体22の軸方向と垂直な方向に延びており、その両端からは導入線23が延びている。これらの導入線23はそれぞれ、収容体22の外側に引き出された端子24に接続されており、各端子24がソケット20Bに差し込まれることで発光部20Aとソケット20Bとが接続される。
【0029】
収容体22は、ガラス製のバルブと呼ばれるものであり、ここでは円筒状の先細り形状をなすものであり、先端には先端開口をガラス融着などによって封止する際に形成されたチップ25が設けられている。また、後端開口は扁平状の封止部材26によって封止されている。
【0030】
ソケット20Bは、端子24が接続される図示しない差込口が形成されたブロック状のものであり、ここでは収容体22の軸方向に沿って発光部20Aが差し込まれるように構成されている。具体的にこのソケット20Bは、収容体22の軸方向から視たときに、収容体22よりも外側にはみ出す例えば収容体22よりも大径の円筒状をなすものであり、発光部20Aに対向する取付面27に前記差込口が形成されている。ソケット20Bには、フィラメント21に電流を供給するための電気ケーブルELが接続されており、電気ケーブルELは、
図1に示すように、例えば複数本が束ねられた状態でケーシング10の側板13に形成された貫通孔1hからケーシング10の外部に引き出されて図示しない電源に接続される。
【0031】
上述した光源20は、
図2に示すように、互いに平行な複数列に並べられており、各列に並べられた複数の光源20は、収容体22の外側周面221が光取出し口Xに対向する姿勢で配置されている。より詳細に説明すると、各光源20は、収容体22の軸方向と光取出し口Xの平面方向(光取出し口Xの法線方向に垂直な方向)とが平行になる姿勢で配置されている。
なお、収容体22の軸方向は必ずしも光取出し口Xの平面方向と平行である必要はなく、光取出し口Xに対して傾斜していても良い。
【0032】
本実施形態では、列状に並べられた各光源20は、配列方向と収容体22の軸方向とが直交する姿勢、すなわち配列方向に沿って各光源20のフィラメント21が延びるように配置されており、各収容体22の軸方向は互いに平行である。また、列状に並べられた各光源20は、収容体22の先端が互いに同じ向きになる姿勢、すなわち各収容体22の先端及び後端それぞれが配列方向に沿って直線上に位置する姿勢で配置されている。
なお、フィラメント21は必ずしも配列方向に沿って延びている必要はなく、配列方向に対して傾いた方向に延びていても良い。また、各収容体22の軸方向は必ずしも全てが互いに平行である必要はない。
【0033】
然して、本実施形態の照明装置100は、
図4に示すように、ソケット20Bの少なくとも一部を覆うとともに、発光部20Aから射出されてソケット20Bに向かう光を遮蔽する遮蔽部材60をさらに具備してなる。
【0034】
遮蔽部材60は、赤外光を透過させずに反射させる材質からなる。なお反射には、鏡面反射や拡散反射が含まれる。
【0035】
本実施形態の遮蔽部材60は、
図2及び
図4に示すように、少なくとも一部がソケット20Bの取付面27と収容体22との間に介在して取付面27を覆うものであり、光源20の配列方向に沿って延びる長尺状をなす。この遮蔽部材60は、列状に配置された光源20の各列毎に設けられており、各遮蔽部材60が対応する列に含まれる全ての光源20のソケット20Bを覆うように構成されている。
【0036】
遮蔽部材60は、ソケット20Bを収容する収容空間Sを形成するものであり、横断面が下向きに開口した矩形形状をなす。具体的にこのものは、
図4に示すように、ソケット20Bの取付面27を覆う前壁61、前壁61と対向するとともにソケット20Bの後方に設けられた後壁62、及び前壁61と後壁62との間に介在するとともにソケット20Bの上方に設けられた上壁63とを有している。なお、前壁61、後壁62、及び上壁63は、一体的に形成されていても良いし、別部材であっても良いが、ここでは前壁61と上壁63とを一体的に形成するとともに、後壁62をこれらと別体にしている。また、遮蔽部材60は、必ずしも前壁61、後壁62、及び上壁63を有している必要はなく、少なくとも前壁61を有していれば、
図2及び
図4の最後列に示す遮蔽部材60のように、例えば上壁63を有していないものであっても良いし、図示していないが上壁63及び後壁62を有していないものであっても良い。
【0037】
前壁61は、発光部20Aが挿通される貫通孔6hが形成された平板状のものであり、ここでは長手方向に沿って複数の貫通孔6hが例えば等間隔で形成されている。これらの貫通孔6hは、列状に並べられた各光源20の発光部20Aそれぞれに対応する位置に形成されており、各貫通孔6hを対応する光源20の先端から通すことで、前壁61がソケット20Bの取付面27に対面した状態で配置される。
本実施形態では、上述したように上壁63が前壁61と一体的に設けられていることから、前壁61をソケット20Bの取付面27に近接配置させることで、上壁63がソケット20Bの上方に配置される。
【0038】
後壁62は、前壁61と平行に設けられた平板状のものであり、その下端部にはケーシング10の底面に沿うように折れ曲げられたフランジ部が形成されている。そして、このフランジ部をケーシング10の底面に螺子等によって取り付けることで、遮蔽部材60がケーシング10に固定されている。
本実施形態では、後壁62における前壁61と対向する面にソケット20Bが螺子等を介して取り付けられており、遮蔽部材60がソケット20Bの固定やソケット20Bの位置決めに兼用されている。
【0039】
上述した前壁61、後壁62、及び上壁63によって囲まれた空間が収容空間Sであり、ここでの収容空間Sは、密閉されることなく、空気が流入出可能に構成されている。具体的には、
図2に示すように、遮蔽部材60の長手方向の一端又は両端が塞がれることなく開放されており、この一端開口又は両端開口を介してケーシング10内の空気が収容空間Sに流入出するように構成されている。
【0040】
本実施形態では、遮蔽部材60の長手方向の一端は開口するとともに、他端は上述した反射板50によって一部が塞がれている。ただし、この反射板50には、
図5に示すように、電気ケーブルELを通すための貫通孔5hが形成されており、反射板50とケーシング10の内側面との間に沿って配線された電気ケーブルELが前記貫通孔5hを介して収容空間S内に挿入できるように構成されている。つまり、本実施形態の収容空間Sは、電気ケーブルELの少なくとも一部を収容しており、遮蔽部材60が電気ケーブルELの少なくとも一部を覆って、発光部20Aから射出されて電気ケーブルELに向かう光を遮蔽するように構成されている。
【0041】
このように構成された本実施形態の照明装置100によれば、光源20が収容体22の外側周面221から射出された光が光取出し口Xから取り出される姿勢で配置されているので、フィラメント21からの光は予期せぬ方向に屈折することなく収容体22の外側周面221から射出されて対象物に導かれる。これにより、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くなる。
そのうえ、遮蔽部材60がソケット20Bを覆って発光部20Aから射出される光を遮蔽しているので、ソケット20Bを熱から保護することができ、なおかつ特定波長の光がソケット20Bに吸収されることなく、対象物に照射される光の強度分布をフラットにすることができる。
【0042】
また、遮蔽部材60が電気ケーブルELを覆って発光部20Aから射出される光を遮蔽しているので、電気ケーブルELを熱から保護することができる。
【0043】
さらに、遮蔽部材60が光源20の配列方向に沿って延びる長尺状のものであり、各列に対応して遮蔽部材60を設けているので、各光源20それぞれに対して遮蔽部材60を設ける構成に比べて、部品点数が少なく装置の組み立てが容易である。
【0044】
加えて、遮蔽部材60がケーシング10に固定されており、遮蔽部材60にソケット20Bが取り付けられているので、ソケット20Bを固定したり位置決めしたりするための部材を別途設ける必要がなく、装置構成を簡単化することができる。
【0045】
さらに加えて、収容空間Sを空気が流入出可能に構成しているので、ケーシング10内の空気やケーシング10の外部の空気が収容空間Sに流れ込む。これにより、ソケット20Bを冷却することができ、ソケット20Bを熱からより確実に保護することができる。
【0046】
そのうえ、列状に並べられた複数の光源20が、収容体22の外側周面221が光取出し口Xに対向する姿勢で配置されているので、フィラメント21からの光が収容体22の封止部分で予期せぬ方向に屈折しても、光取出し口Xから取り出される光はその影響をほとんど受けず、光取出し口Xから取り出される光の集光性や均一性をより向上させることができる。
【0047】
また、列状に並べられた複数の光源20が、収容体22の先端が互いに同じ向きになる姿勢で配置されているので、遮蔽部材60や電気ケーブルELを収容体22の軸方向片側に集約させることができ、全体構成の簡素化や配線の容易化を図れる。
【0048】
また、遮蔽部材60が、赤外波長の光を反射させる材質で形成されているので、光取出し口Xから取り出される赤外光の出力を向上させることができる。
【0049】
なお、本願発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0050】
例えば、照明装置は、前記実施形態では光源を複数列に並べた面発光装置として説明したが、光源を1列に並べたライン光照射装置として用いても良い。
【0051】
また、前記実施形態では遮蔽部材が長尺状のものであり、1列に含まれる光源全てのソケットを覆う構成であったが、例えば1つの光源に対して1つの遮蔽部材を設けるなど、遮蔽部材の形状や配置は適宜変更して構わない。
【0052】
さらに、前記実施形態の遮蔽部材は、横断面が下向きに開口した矩形形状をなすものであったが、下向きに開口する半円形状や楕円形状や三角形状等、横断面形状は適宜変更して構わない。
また、前記実施形態の遮蔽部材は、光源から射出されて直接ソケットに向かう光を遮蔽するように配置されていたが、例えば光取出し口に設けた拡散板などの周囲部材で反射した後にソケットに向かう光を遮蔽するように配置されていても良い。
【0053】
前記実施形態では、ソケットを遮蔽部材に取り付けていたが、ソケットは例えばケーシングの底面に取り付けられていても良いし、遮蔽部材と別の部材に取り付けられていても良い。
【0054】
また、前記実施形態のソケット20Bは、収容体22の軸方向に沿って発光部20Aが差し込まれるように構成されていたが、発光部20Aの差込方向は軸方向に沿っている必要はなく、種々の構成に変更して構わない。
【0055】
さらに、前記実施形態の光源は、フィラメントが収容体の軸方向と垂直な方向に延びるものとして説明したが、
図6に示すように、フィラメント21が収容体22の軸方向に沿って延びるものであって良い。
【0056】
また、前記実施形態では、列状に並べられた各光源は、収容体の先端が互いに同じ向きになる姿勢で配置されていたが、
図7に示すように、配列方向に沿って互いに隣り合う光源20の収容体22の先端が互いに逆向きになる姿勢で配置されていても良い。
このような構成であれば、ある方向を向いて並べられた光源20の間に、その逆向きに並べられた光源20を配置することができるので、互いに隣り合うソケット20Bを干渉させることなく光源20の配置間隔を狭くすることができ、ライン光の長手方向における照度ムラを低減できる。
【0057】
また、本願発明に係る照明装置100としては、
図8及び
図9に示すように、光取出し口Xに対向して設けられた反射部材たる反射板50が、遮蔽部材60と一体的に設けられていても良い。
【0058】
より具体的に説明すると、遮蔽部材60は、前記実施形態と同様に、前壁61、後壁62、及び上壁63を有しており、ここでは後壁62が反射板50と一体的に設けられている。なお、前壁61と反射板50とが一体的に設けられていても良い。
【0059】
さらに、これらの反射板50及び遮蔽部材60は、光源20とさらに一体化されている。具体的には、光源20を構成するソケット20Bがネジ等によって遮蔽部材60に連結されている。これにより、光源20、反射板50、及び遮蔽部材60は、これらがユニット化されてなるユニット構造体Zを構成している。ここでは、光源20の光軸と直交する方向に沿って並べられた複数の光源20と、これら複数の光源20に対応して設けられた反射板50及び遮蔽部材60とがユニット構造体Zを構成している。
【0060】
このユニット構造体Zは、
図9に示すように、支持部材70に支持されている。この支持部材70は、ユニット構造体Zをケーシングの光取出し口Xに対向する面(底板12)から光取出し口X側に離間させて支持するものである。ここでの支持部材70は光源20を支持しているが、反射板50や遮蔽部材60を支持しても良い。また、
図9では、2つの支持部材70を示しているが、支持部材70の数はこれに限らず、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
このようにユニット構造体Zを底板12から離間させて配置することで、ユニット構造体Zと底板12との間に例えば回路基板Cや図示しない電気ケーブル等を収容する第2収容空間S2が形成される。なお、ここでの回路基板Cは、支持部材70によって支持されており、ユニット構造体Zの一部を構成している。
【0061】
このように構成された照明装置100であれば、反射板50及び遮蔽部材60が一体化されているので、これらを光源20に取り付けることで、光源20の周囲に反射板50が配置されるとともに、ソケット20Bを遮蔽部材60により遮蔽する構造を得ることができ、組立性の向上を図れる。しかも、光源20、反射板50、遮蔽部材60、及び回路基板Cがユニット化されてなるユニット構造体Zを構成しているので、構造の簡易化や組立性のさらなる向上を図れる。
【0062】
さらに別の実施形態を述べると、前記実施形態の光源は、収容体の外側周面が光取出し口と対向する姿勢で配置されており、各光源から射出された光がそのまま光取出し口に向かう構成であったが、各光源から射出された光を例えば反射ミラー等を用いて光取出し口に向かわせる構成としても良い。
【0063】
さらに加えて、本願発明の照明装置としては、列状に配置された複数の光源が接続される中継基板をさらに備えていても良い。
具体的にこの中継基板は、各光源のソケットに接続された電気ケーブルが電気的に接続されるものであり、例えば前記実施形態において中継基板を収容空間Sに設けることで熱から保護することができる。
【0064】
また、前記実施形態では、発光部をソケットに接続する態様を説明したが、発光部にソケットを介さずに電気ケーブルを接続しても良いし、発光部を中継基板に接続しても良い。このような場合には、電気ケーブルや中継基板が被接続部である。
【0065】
その上、前記実施形態の照明装置は、検査用途に用いられるハロゲンランプであったが、検査用途に限らず一般用途等としても良いし、ハロゲンランプ以外にも、クリプトンランプや白熱灯やUVランプ等であっても良い。
【0066】
その他、本願発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0067】
100・・・照明装置
EL ・・・電気ケーブル
10 ・・・ケーシング
X ・・・光取出し口
20 ・・・光源
21 ・・・フィラメント
22 ・・・収容体
221・・・外側周面
20A・・・発光部
20B・・・ソケット
25 ・・・チップ
60 ・・・遮蔽部材
S ・・・収容空間
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、フィラメントを用いた光源を備える照明装置において、対象物に照射する光の集光性や均一性を制御し易くするとともに、ソケット等の被接続部を熱から保護することができ、なおかつ対象物に照射する光の強度分布をよりフラットにすることができる。