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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】ロボット及び無線データカップリング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230127BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230127BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J19/00 J
B65G49/07 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020032497
(22)【出願日】2020-02-28
(62)【分割の表示】P 2018230524の分割
【原出願日】2012-09-14
(65)【公開番号】P2020167395
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】61/627,052
(32)【優先日】2011-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/678,721
(32)【優先日】2012-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514062448
【氏名又は名称】パーシモン テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】PERSIMMON TECHNOLOGIES, CORP.
【住所又は居所原語表記】200 Harvard Mill Square Wakefield, MA 01880 US
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホシェク マルチン
(72)【発明者】
【氏名】ハー トワン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマイスター クリストファー
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】佐藤 智康
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-265894(JP,A)
【文献】特開2010-40947(JP,A)
【文献】特開2008-28179(JP,A)
【文献】特開2010-41888(JP,A)
【文献】特開2009-24264(JP,A)
【文献】特開2007-73542(JP,A)
【文献】特表2007-511104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/07
B25J 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載せて動かすように構成されるアームと、前記アームを駆動するように構成されるモーターと、前記モーターに接続されるモーター制御カップリングとを備え、チャンバー内で水平に移動しうるように構成される搬送装置であって、
前記モーター制御カップリングは、複数のセンサーからもたらされる基板の位置についての情報に基づくデータをコントローラから受信し、前記コントローラからの前記データに基づいて前記基板の位置を調節するために前記モーターのための信号を生成し、前記信号を前記モーターに送信するように構成され;
前記モーター制御カップリングは、少なくとも一つの非接触通信デバイスを用いて前記コントローラと通信するように構成され;
前記少なくとも一つの非接触通信デバイスは、前記チャンバーの内側に位置するように構成される少なくとも一つの第1非接触通信デバイスと、前記チャンバーの外側に位置するように構成される少なくとも一つの第2非接触通信デバイスとを含み、前記少なくとも一つの第1非接触通信デバイス及び前記少なくとも一つの第2非接触通信デバイスは前記チャンバーの内側と前記チャンバーの外側との間で前記チャンバーを通して互いに無線信号を送受信するように構成される;
搬送装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの第1非接触通信デバイスは、前記モーターに接続される第1の光学的通信デバイスを備える、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの第2非接触通信デバイスは、第2の光学的通信デバイスを備え、前記第1の光学的通信デバイスと前記第2の光学的通信デバイスとは相手と光学的にやりとりするように構成される、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1の光学的通信デバイスと前記第2の光学的通信デバイスとは、前記モーターとアームとが前記チャンバー内で移動軸に沿って水平方向に移動する際に、相手と光学的にやりとりするように構成される、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記モーターは前記搬送装置のベース上でエンクロージャー内に配され、前記ベースは前記チャンバー内で水平方向に移動可能である、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記チャンバーの内部の気圧は前記エクロージャの内部の気圧とは異なる、請求項5に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の例示的かつ非限定的実施形態は概してロボットに関し、より具体的には基板を動かすロボットに関する。
【先行技術の簡単な説明】
【0002】
半導体集積回路とフラットパネルディスプレイに関する従来の製造技術は通常、基板と呼ばれるシリコンウェハーとガラスパネルのプロセスで、完全自動の真空クラスターツールでのプロセスを含む。典型的なクラスターツールは、ロードロックを備える円形真空チャンバーと、チャンバーの外周に星形になって接続する複数のプロセスモジュールとを備えている。ツールは通常、チャンバーの中心付近に配置されるロボットマニピュレータ(ロボット)によって操作され、ロードロックからプロセスモジュールを経由して基板を循環させ、またロードロックに戻す。真空チャンバーのロードロックと外部輸送システムによって運用される標準ロードポートとの間のインタフェースとして機能する大気搬送モジュールに別のロボットが配置されてもよい。
【摘要】
【0003】
以降の摘要は、単に例として示されたものである。この摘要が本願の特許請求の範囲を制限するものではない。
ある態様に従って、少なくとも三つの部分を持つフレーム,第1位置センサー,駆動部,チャンバーを備える例示的装置が提供される。前記少なくとも三つの部分には、エンドエフェクタと、可動アームを形成する少なくとも二つのリンクとが含まれる。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは基板を支持するように構成される。前記フレームにおいて、第1位置センサーは、第1ジョイントに近接していて、前記部分のうちの二つの相対位置を検知するように構成される。駆動部はフレームに連結し、可動アームを駆動するように構成される。フレームはチャンバー内に配置され、駆動部がチャンバーの壁を貫通していてもよい。
別の態様に従って、電気デバイス,フレーム,駆動部,熱伝導システムを備える例示的装置が提供される。前記フレームは前記電気デバイスを搭載すると共に、エンドエフェクタと、可動アームを形成する少なくとも二つのリンクとを含む、少なくとも三つの部分を有する。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは基板を支持するように構成される。駆動部は可動アームに連結され、可動アームを駆動するように構成される。熱伝導システムは駆動部に設けられ、可動アームから同アームと離隔した場所に熱を伝導するように構成される。
【0004】
また別の態様に従って、少なくとも三つの部分を持つフレーム,第1位置センサー,通信リンクを備える例示的装置が提供される。前記少なくとも三つの部分には、エンドエフェクタと、可動アームを形成する少なくとも二つのリンクとが含まれる。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは基板を支持するように構成される。第1位置センサーは、前記フレームにおいて第1ジョイントに近接していて、前記部分のうちの二つの相対位置を検知するように構成される。通信リンクは、第1位置センサーから気密エンクロージャーを通じて可動アームから離隔したデバイスへ信号を伝送するように構成される。
【0005】
別の態様では、次のような装置が提供される。この装置は、
回動可能な複数のリンクと、少なくとも一つの基板をその上に支持するように構成されるエンドエフェクタとを有するロボットアームであって、第一環境に位置するように構成されるロボットアームと;
前記ロボットアームに配される少なくとも一つのアクティブ要素と;
前記ロボットアームに配される気密エンクロージャーと;
前記ロボットアームに配される少なくとも一つの電気導体であって、前記気密エンクロージャーを貫通し、前記少なくとも一つのアクティブ要素に接続される、電気導体と;
を備え、
前記少なくとも一つのアクティブ要素は前記気密エンクロージャー内に配され、前記気密エンクロージャーは、該気密エンクロージャー内に、前記第一環境とは異なる第二環境を形成し、該気密エンクロージャー内において前記少なくとも一つのアクティブ要素を前記第二環境から隔離し;
前記気密エンクロージャーは、前記第二環境を前記第一環境から隔離し続けるために、前記気密エンクロージャーを通る前記少なくとも一つのアクティブ要素の通路を封止し;
前記少なくとも一つの電気導体は、前記複数のリンクの相互の動きを補償する、少なくとも一つの限定回転式フレクシャを備え、それによって、前記複数のリンクの相互の回動によって前記少なくとも一つの電気導体が破損することを防ぐ。
別の態様では、次のような方法が提供される。この方法は、
気密エンクロージャーの内部に少なくとも一つのアクティブ要素を位置させることと;
ロボットアーム上に前記気密エンクロージャーを位置させることと;
前記気密エンクロージャーを通る少なくとも一つの電気導体の通路を封止することと;
を含み、
前記ロボットアームは回動可能な複数のリンクと、少なくとも一つの基板をその上に支持するように構成されるエンドエフェクタとを備え、前記気密エンクロージャーは前記複数のリンクの第一のものに位置し、前記ロボットアームは第一環境に位置するように構成され;
前記少なくとも一つの電気導体は前記少なくとも一つのアクティブ要素に電気的に接続され、前記通路は前記第二環境を前記第一環境から隔離し続けるために封止され;
さらに前記方法は、前記複数のリンクの相互の動きを補償する少なくとも一つの限定回転式フレクシャを有する前記少なくとも一つの電気導体を設けることを含み、それによって、前記複数のリンクの相互の回動によって前記少なくとも一つの電気導体が破損することを防ぐ。
【0006】
別の態様では、次のような装置が提供される。この装置は、
基板を載せて動かすように構成されるアームと;
前記アームを駆動するように構成されるモーターと;
前記モーターに接続されるモーター制御カップリングと;
を備え、チャンバー内で水平に移動しうるように構成される搬送装置であって、
前記モーター制御カップリングは、複数のセンサーからもたらされる基板の位置についての情報に関するデータをコントローラから受信し、前記コントローラからの前記データに基づいて前記基板の位置を調節するために前記モーターのための信号を生成し、前記信号を前記モーターに送信するように構成され;
前記モーター制御カップリングは、少なくとも一つのワイヤレス通信デバイスを用いて前記コントローラと通信するように構成される。
別の態様では、次のような装置が提供される。この装置は、
チャンバーと;
ロボットアームと、前記ロボットアームを動かすように構成されるロボットモーターとを有するロボットと;
前記ロボットを前記チャンバーに接続し、前記チャンバー内で前記ロボットを水平方向に移動させるように構成されるロボットドライブと;
前記チャンバーに接続される第1ワイヤレス通信デバイスと;
前記ロボットに接続される第2ワイヤレス通信デバイスと;
を備え、前記第1ワイヤレス通信デバイスは前記第2ワイヤレス通信デバイスにワイヤレスでデータを送信するように構成され、前記ロボットは、前記第2のワイヤレス通信デバイスによって受信された前記データを、前記ロボットモーターの動きを制御するために使用するように構成される。
別の態様では、次のような装置が提供される。この装置は、
チャンバーと;
ロボットモーターと;
ロボットドライブと;
前記ロボットモーターに接続されるロボットアームと;
前記ロボットモーターに接続される、通信カップリングの第1部分と;
を備え、
前記ロボットモーターは前記ロボットドライブによって前記チャンバーに接続され、前記ロボットドライブは、前記チャンバー内で前記ロボットモーターを水平方向に移動させるように構成され;
前記ロボットモーターは前記ロボットアームを動かすように構成され;
前記通信カップリングの前記第1部分は、前記チャンバー内で前記ロボットモーターを水平方向に移動させるように構成され、前記通信カップリングの前記第1部分は、前記ロボットモーターに移動信号を送信するように構成され、前記通信カップリングの前記第1部分は、前記通信カップリングの前記第1部分の、前記チャンバー内における様々な水平位置のために、前記通信カップリングの第2部分とワイヤレスで通信するように構成される。
別の態様では、次のような方法が提供される。この方法は、
ロボットを、ロボットドライブによってチャンバーに接続することと;
前記チャンバーに第1ワイヤレス通信デバイスを接続することと;
前記ロボットに第2のワイヤレス通信デバイスを接続することと;
を含み、
前記ロボットドライブは、前記チャンバー内で前記ロボットを水平方向に移動させるように構成され、前記ロボットはロボットアーム及びロボットモーターを備え、前記ロボットモーターは前記ロボットアームを動かすように構成され;
前記第1ワイヤレス通信デバイスは前記第2ワイヤレス通信デバイスにワイヤレスでデータを送信するように構成され、前記ロボットは、前記第2のワイヤレス通信デバイスによって受信された前記データを、前記ロボットモーターの動きを制御するために使用するように構成される。
別の態様では、次のような方法が提供される。この方法は、ロボットをチャンバー内に配することを含む方法であって。
前記ロボットは、ロボットドライブによって前記チャンバーに接続され、前記ロボットドライブは前記ロボットを前記チャンバー内で直線路に沿って水平方向に移動させるように構成され、前記ロボットはロボットアーム及びロボットモーターを備え、前記ロボットモーターは前記ロボットアームを動かすように構成され、前記チャンバーに第1のワイヤレス通信デバイスが接続され、前記ロボットに第2のワイヤレス通信デバイスが接続され、前記方法は、
前記第1ワイヤレス通信デバイスから前記第2ワイヤレス通信デバイスにワイヤレスでデータを送信することと;
前記第1ワイヤレス通信デバイスから前記第2ワイヤレス通信デバイスに送信された前記データに基づいて、前記チャンバー内における前記直線路に沿った前記ロボットの様々な水平位置において、前記ロボットモーターの動きを制御することと;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の態様や他の特徴は以降の記述で説明されるが、次の添付図面を参照している。
【0008】
図1】基板プロセス装置の概略図である。
【0009】
図2図1に示す基板プロセス装置における基板搬送装置の上面図である。
【0010】
図3】真空互換モジュールおよび大気モジュール間の境界を示す図1に示す概略図である。
【0011】
図4】通信/電源フレクシャ(flexure)の透視図である。
【0012】
図5】別の通信/電源の透視図である。
【0013】
図6】冷却システムの透視図である。
【0014】
図7図2に示す装置の部品を示す略図である。
【0015】
図8図2に示す装置の冷却システムを示す略図である。
【0016】
図9図2に示す装置の部品の接続の一部を示す略図である。
【0017】
図10図2に示す装置の気密封入を示す略図である。
【0018】
図11図1に示す基板プロセス装置における別の基板搬送装置に関する、図2と同様の上面図である。
【0019】
図12図1に示す基板プロセス装置におけるまた別の基板搬送装置に関する、図2と同様の上面図である。
【0020】
図13図1に示す基板プロセス装置における更に別の基板搬送装置に関する、図2と同様の上面図である。
【0021】
図14図1に示す基板プロセス装置におけるまた更に別の基板搬送装置に関する、図2と同様の上面図である。
【0022】
図15】真空チャンバー内における図14に示す装置の上面略図である。
【0023】
図16A】異なるタイプのエンドエフェクタの上面図である。
図16B】異なるタイプのエンドエフェクタの上面図である。
【0024】
図16C】真空チャンバー内における図16Aに示すエンドエフェクタを備える図2のアームの上面略図である。
【0025】
図17図2に示す装置に取り付けられた図8の冷却システムを示す断面略図である。
【0026】
図18】別の例示的実施形態における、図17と同様の断面略図である。
【0027】
図19】例示的基板搬送装置の上面略図である。
【0028】
図20】例示的基板搬送装置の上面略図である。
【0029】
図21図19に示す装置を線21-21に沿って切り取った断面略図である。
【0030】
図22図19に示す装置を線22-22に沿って切り取った断面略図である。
【0031】
図23】例示的基板搬送装置の上面略図である。
図24】例示的基板搬送装置の上面略図である。
【0032】
図25図23-24に示す装置の断面略図である。
【0033】
図26】例示的基板搬送装置の上面略図である。
図27】例示的基板搬送装置の上面略図である。
図28】例示的基板搬送装置の上面略図である。
図29】例示的基板搬送装置の上面略図である。
図30】例示的基板搬送装置の上面略図である。
【実施形態の詳細説明】
【0034】
まず、図1を参照する。図1には、基板搬送装置12を備える例示的基板搬送装置10の上面略図が示されている。本発明は添付図面に示す実施形態を参照して記述されるが、本発明が他の実施形態の様々な形式でも具現化され得ることを理解されたい。また、任意適当な寸法や形状,材料・部品の種類が利用可能である。
【0035】
基板プロセス装置10は基板搬送装置12に加え、複数の基板プロセスチャンバー14と真空チャンバー15に接続する基板カセット昇降装置16を備えている。搬送装置12はチャンバー15の少なくとも一部に配置され、チャンバー14と昇降装置16との間で半導体ウェハーやフラットパネルディスプレイ等の平面基板を搬送するように構成される。別の実施形態では、搬送装置12が任意適当なタイプの基板プロセス装置に使用されてもよい。
【0036】
従来の真空環境ロボットマニピュレータは通常、ロボットマニピュレータの全ての能動部品を収納するドライブユニットを備える。こうした能動部品は前述したアクチュエーターやセンサー,一つ上のアーム等であり、ドライブユニットが駆動する。アームは通常、受動機構であり、アクチュエーターやセンサー等の能動部品を備えていない。これは主に、真空環境下におけるガス放出や配電,熱除去での困難さに起因する。
【0037】
従来の真空環境ロボットマニピュレータではロボットマニピュレータのアームが受動機構であるため、独立駆動する連結の数は、ドライブユニットが提供する動作軸の数に制限され、アームの独立連結に作動トルクを伝達する複雑さにも制約される。これにより、実際に使用されるアーム構成は前述のものに制限されることにもなり、同じく、既存の真空環境ロボットマニピュレータの可動範囲とスループット性能も制限されることになり得る。
【0038】
また、大気環境ロボットマニピュレータでは大抵、様々な基板グリッパを利用するが、真空対応ロボットでは通常、プロセス中の基板を、基板とロボットのエンドエフェクタとの間の摩擦力だけで保持する。基板に働く慣性力は、基板の滑脱を防止するためにエンドエフェクタに対して基板を確保する保持力を超えてはならない。そのため、基板の加速度も相応に制限される必要があり、その結果、ツールのスループット(単位時間当りの基板プロセス枚数)も制限されることになる。したがって、先端クランプ機構や静電保持構成等のグリッパが必要となる。こうしたグリッパにより、基板滑脱を防止するための加速度に対する制約を取り除くことができる。また、基板のアライメント補助や行程指示,その他同様の動作のために、ロボットのエンドエフェクタにセンサーを配置することも望ましい。
【0039】
こうして、真空対応ロボットのアームとエンドエフェクタに電源と信号を有利に供給できる。スリップリング式および転がり接触式の回転カップリングやサービスループ等の従来の構成は、大気下での使用に合わせて設計されており、大気環境ロボットでの利用で成功を収めてきた。しかし、こうした構成は、その性能(冷間圧接)とガス放出の問題のために、真空条件下で利用するのは困難である。
【0040】
要約すると、ロボットマニピュレータのアームが受動機構であるため、独立駆動する連結の数は、ドライブユニットが提供する動作軸の数に制限され、アームの独立連結に作動トルクを伝達する複雑さにも制約される。そして、基板を保持しセンサー検知を行う構成は、実質的にこれまで真空環境下で使用されることはなかったものである。こうした状況により、現存する真空ロボットマニピュレータの可動範囲やスループット性能,基板プレースの再現性が制限されている。したがって、ロボットマニピュレータのアームが動作し得る真空環境または他の非大気環境内に配置される、アクチュエーターやセンサー等の能動部品を備えるロボットシステムを提供することに利点がある。
【0041】
次に図2を参照する。図2には、従来装置から改良された特徴を備える基板搬送装置12(または真空対応ロボットシステム)が示されている。基板搬送装置12は駆動部18とフレーム部20を備える。フレーム部20は、アームアセンブリ25とエンドエフェクタ26を形成する少なくとも二つのリンク22,24を含む部材を備える。駆動部18には二つの回転軸がある。アームアセンブリ25は駆動部18に連結されている。アームアセンブリ25は第1リンク22と第2リンク24,エンドエフェクタ26を備えてもよい。第1リンク22は駆動部18の第1回転軸に直結している。第2リンク24は第1回転ジョイント28を介して第1リンク22に連結されている。エンドエフェクタ26は第2回転ジョイント30を介して第2リンク24に連結されている。第2リンク24はベルト/バンドを介して駆動する。このベルト/バンドは、駆動部18の第2回転軸に取り付けられた第1プーリー34を備えてもよい。第1ベルト/バンド36と第2プーリー38はアームアセンブリ25の第2リンク24に取り付けられている。エンドエフェクタ26は、別のベルト/バンド構成を介して、駆動部18に対して概ね半径方向を向くように拘束されている。このベルト/バンド構成は、第1リンク22に対して回転可能に連結する第3プーリー42と、エンドエフェクタ26に取り付けられた第2ベルト/バンド44と第4プーリー46を備えてもよい。別の様々な例示的実施形態では、任意適当な駆動機構やアクチュエーター,センサー,その他の機構によって本願が開示する特徴が提供されてもよい。また、次の文献で開示する事項、またはそれらの組合せからのものも含む:2011年9月16日出願の米国仮出願第61/627,030号および2012年8月15日出願の米国仮出願第61/683,297号に基づく、本願と同日出願の米国特許出願。これらの出願全体を参照することにより、その全てが本願に組み込まれる。
【0042】
第3プーリー42は第1アクチュエーター48によって、アームアセンブリの第1リンク22に対して段階的に可動する。第1アクチュエーター48は、アームアセンブリの第1リンク22に対する第3プーリー42の方向を所定の範囲内に調節することができる。第1アクチュエーター48はオートロック式であって、第3プーリーにトルクが働いても逆向きに駆動しないことが望ましい。例えば第1アクチュエーター48は、リードスクリュー機構やウォーム構成を備える電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えていてもよい。第1アクチュエーター48はまた、アームアセンブリの第1リンク22に対する第3プーリー42の角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等の第1アクチュエーターの能動部品は、気密容器50に完全にまたは一部だけが収容されていてもよく、そうでなくてもよい。また、能動部品は電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよく、そうでなくてもよい。第1アクチュエーター48は、以下で説明する例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されている。
【0043】
第1アクチュエーター48は第1制御部52で制御される。第1制御部52はアームアセンブリの第1リンク22に接続されていてもよい。第1制御部52は第1アクチュエーター48と同じ気密容器50に収納されていてもよく、別の気密容器(図示せず)に配置されていてもよい。第1制御部52は、以下で説明する例示的冷却サブシステムの一つである冷却サブシステムに接続されている。第1制御部52は第1アクチュエーター48にある位置検知装置が出力する信号を処理し、第1アクチュエーター48に制御信号を出力してもよい。例えば、アクチュエーターに組込まれた電気モーターの巻線を通電する目的であってもよい。第1制御部52は、以下で詳述する配電・通信サブシステムを介して給電され、ロボットコントローラ54と通信できてもよい。
【0044】
配電・通信サブシステムは、ロボットマニピュレータ25の各回転ジョイントに配置また関連する電気回転カップリング56,57,58を備えてもよい。回転カップリング56,57,58は、ロボットコントローラ54から第1制御部52や、エンドエフェクタ26のグリッパ60やセンサー62等のアームアセンブリ25の他の能動部品に電力を伝送してもよい。真空対応ロボットアームシステムの1または複数の実施形態に従う電気回転カップリングの例は、以降で説明される。
【0045】
エンドエフェクタ26は能動基板グリッパ60を備えてもよい。能動基板グリッパ60は例えば、電気的に作動する先端クランプ機構や静電保持構成,これらに同種の装置を利用してもよい。グリッパは配電・通信サブシステムだけでなく、以降で詳述するロボットアームの冷却サブシステムに接続されていてもよい。1または複数の実施形態に従うアームシステムは、様々な回転ジョイントに電源および/または信号を供給する回転電気カップリング56-58を利用してもよい。電気カップリング56-58は例えば、連続回転型または限定回転型でもよい。グリッパは次の文献に記載の特徴を有していてもよい:米国仮出願第61/629,838号(名称「真空対応ロボットグリッパ(Vacuum Compatible Robot Gripper)」,2011年11月29日出願)。この出願は、その全体を参照することにより本願に組み込まれる。ただし、他の例示的実施形態では任意適当なグリッパが提供されてもよい。
【0046】
連続回転カップリングの一つの例として、電磁誘導の原理に基づいていてもよい。図3に示すように、例示的な連続回転カップリング56が大気モジュール64と真空対応モジュール66の構成を有し、二つのモジュールが間隙68を挟んで相互作用できてもよい。分離壁70は、真空対応モジュール66が存在する環境から大気モジュール64が存在する環境を分ける間隙の中に存在してもよい。二つのモジュール64,66は1または複数の回転変圧器を有する。大気環境から真空環境へ電源および/または信号を供給するために、回転変圧器の一次巻線が大気モジュール64に配置され、対応する二次巻線が真空対応モジュール66に配置されてもよい。真空環境から大気環境へ信号送信するために、回転変圧器の一次巻線が真空対応モジュール66に配置され、対応する二次巻線が大気モジュール64に配置されてもよい。通常、大気モジュールは大気環境中に存在し、真空モジュールは真空または非大気環境中に存在する。真空対応モジュール66は、ガス放出の防止等のために真空対応モジュールの構成要素を密閉する気密容器72を備えてもよい。真空対応モジュール66は、以下で説明する例示的冷却サブシステム等の、ロボットアームの冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0047】
本発明の1または複数の実施形態に従う連続回転カップリングの別の例は、電力供給用の電磁誘導原理と通信用の無線ネットワークベースの構成を組合せてもよい。
【0048】
次に、限定回転式フレクシャ(flexure)カップリングの実施例を図4に示す。この実施例では、電源および/または通信信号の各々が1または複数の導体73で運ばれる(図2を参照)。導体の一部は、螺旋(helical)コイルフレクシャ74を備える。螺旋コイルフレクシャ74の端部76は、好ましくは絶縁体78を介してロボットの一部分に接続されてもよい。螺旋コイルフレクシャ74の別の端部80は、好ましくは絶縁体を介してロボットの別の部分に接続されてもよい。接続される二つの部分は、回転ジョイントの一つを介して接続されていてもよい。複数の電源および/または通信信号用の経路を提供するために、複数の螺旋コイルフレクシャ74が回転ジョイントで実質的に同心円状に配置されてもよい。個別の螺旋コイルフレクシャが反対の向きに巻かれ、回転ジョイントの変位とは無関係に出来るだけ個別の螺旋コイルフレクシャに関連する復元力が平衡に保たれるようにしてもよい。絶縁シリンダー82は、隣接する螺旋コイルフレクシャ間での短絡の危険性を取り除くために、個別の螺旋コイルフレクシャの間に使用されてもよい。例として、図4には二つの螺旋コイルフレクシャが示されているが、これは明確に図示するためであって、螺旋コイルフレクシャの数は一つでも二つ以上でも、任意適当な数だけ用いてよい。
【0049】
本発明の限定回転式フレクシャカップリングの別の実施例を図5に示す。この実施例では、電源および/または通信信号の各々は渦巻(spiral)コイルフレクシャ74'で運ばれてもよい。図5には二つの渦巻コイルフレクシャ74'が示されている。渦巻コイルフレクシャ74'の端部76'は、好ましくは絶縁体を介してロボットの一部分に接続されてもよい。渦巻コイルフレクシャの別の端部80'は、好ましくは絶縁体を介してロボットの別の部分に接続されてもよい。接続される二つの部分は、回転ジョイントを介して接続されていてもよい。複数の電源および/または通信信号用の経路を提供するために、複数の渦巻コイルフレクシャが積み重ねられてもよい。個別の渦巻コイルフレクシャが反対の向きに巻かれ、回転ジョイントの変位とは無関係に出来るだけ個別の渦巻コイルフレクシャに関連するばね力が平衡に保たれるようにしてもよい。絶縁ディスクは、隣接する渦巻コイルフレクシャ間での短絡の危険性を取り除くために、個別の渦巻コイルフレクシャの間に使用されてもよい。図5には二つの渦巻コイルフレクシャが示されているが、これは明確に図示するためであって、渦巻コイルフレクシャは任意適当な数だけ用いてよい。
【0050】
単体の回転カップリングに使用される螺旋・渦巻コイルフレクシャの数は、回転ジョイントを介して伝送される電源・通信信号の数に関連してもよい。電流密度の下げるため、または冗長性を持たせるために、一つの信号が複数の螺旋・渦巻コイルフレクシャに分配されてもよい。
【0051】
真空対応ロボットのアームアセンブリに従って使用されうる冷却サブシステムの目的は、ロボットアームアセンブリに組込まれた能動部品によって生じる熱を取り除くである。真空中では周囲の空気による対流が起きないために、大気中と比べて熱除去はより困難である。熱伝導もまた、熱源から駆動部までの経路が長いために制限され、熱放射は低温において効果は限定的である。
【0052】
真空対応ロボットアームシステムに用いられる冷却サブシステムは例えば、熱を発生する能動部品に接続するヒートシンクやロボットアームアセンブリの外部に晒されるラジエーター,ヒートシンクとラジエーターに接続する熱電冷却装置を備えてもよい。図6は、熱電冷却装置84の実施例を示す。熱電冷却装置84は、固体アクティブヒートポンプでもよく、電気エネルギーを消費して(低温から高温の)温度勾配に対して、装置のヒートシンク側(低温側)86からラジエーター側(高温側)88へ熱を移動させる。熱電冷却装置の主な利点は、可動部分や循環液がなく、小型の形状(フォームファクタ)も柔軟に選択可能であることである。
【0053】
あるいは冷却サブシステムは、任意適当なヒートポンプと特定の流体を利用してもよい。こうした流体は液体または気体の何れかであって、アームアセンブリの熱を発する能動部品に接続するヒートシンクを経由して循環し、システムから排出される、あるいはラジエーターに流入する。ラジエーターは好ましくは、ロボット駆動部に組込まれ、外気に晒されていてもよい。流体は、図4および5に示すフレクシャと同様に配置された真空対応ハウジング内をロボットシステムのジョイントを経由して循環してもよい。
【0054】
次に図7および8も参照する。同図には、基板搬送装置12が異なる概略図で示されている。基板搬送装置12は真空ロボットに関連して記述されているが、大気用またはその以外に関しても、任意適当な基板搬送装置が本願で記載されるような特徴を有して提供されてもよい。基板搬送装置12は、コントローラ54と駆動部18,アーム25を備え、基板Sを搬送するように構成される。コントローラ54はプロセッサやメモリ,パワーアンプ等を備えてもよい。アーム25はSCARA型アームとして示され、駆動部18によって駆動される。基板搬送装置12は2リンクアームに関して記述されているが、任意適当なリンク数でもよい。また、任意適当なアーム数でもよい。さらに、回転および/または直動の任意の組合せの軸が任意適当なアームに備えられてもよい。
【0055】
図示される実施形態では、アーム25は三つの回転軸90,92,94を有する。各軸にはそれぞれ位置検出装置96,98,100が直結している。位置検出装置は、光学式や電磁誘導式,または任意適当な位置検出装置でもよい。位置検出装置96,98,100は、インクリメンタル(相対)型や絶対型,または両者の組合せでもよい。位置検出装置96,98,100は、駆動部18の駆動軸内にある別の位置検出装置を伴って使用されてもよい。位置検出装置96,98,100は、ジョイント92,94,98の位置を知るためにコントローラ54と連動する。これは、ジョイントに直結する位置検出装置を持たないロボット駆動部とは対照的である。あるいは、全ジョイントが位置検出装置を備えなくてもよい。位置検出装置96,98,100は、アームを経由して送信される信号を用いてコントローラ54と連動してもよい。信号は電気的,光学的,またはそれ以外でもよい。あるいは、無線または別の適当な非接触通信を備えてもよい。ここで、ヒステリシスは、各ジョイントの直接位置測定を行う基板搬送装置12の測位精度を決定する要因とはならない。
【0056】
駆動部18は更に、モーターと別の位置検出装置を有してもよい。コントローラ54は駆動部18および位置検出装置96,98,100と連動して、ペイロードSでの振動を最小にし、かつペイロードSのピックおよびプレース時の位置の再現性を最大にする制御アルゴリズムを使用する。また、温度検出装置102,104,106がリンク22,24,26にそれぞれ接続され、各リンクにおける1または複数の場所の温度を検出してもよい。温度検出装置102,104,106は更にコントローラ54に接続され、エンドエフェクタ26の位置を決定する際に熱膨張や熱撓み等の熱による影響を織り込むようにしてもよい。温度検出装置102,104,106に加えて、またあるいは、コントローラ54に接続する振動検出装置108および/または撓み検出装置110が備えられ、振動をモニターしたり、測位や平滑測定に撓みを織り込むようにしたりしてもよい。別の例示的実施形態では、任意の装置が任意適切な部品に取付けられてもよい。こうした装置はヒートシンクであってもよく、そうでなくてもよい。別の態様では、1または複数のリンク内において各装置は、コントローラ52等の1または複数のコントローラに接続されてもよい。
【0057】
次に図8も参照する。図8には、図2の基板搬送装置12の冷却サブシステムが示されている。駆動部18は2軸駆動である。駆動部18は垂直駆動部120と蛇腹122を有し、真空チャンバー15に接続されている。駆動部18はまた、ベース128と蛇腹122に接続する固定子を備える回転駆動部126を有する。回転駆動部126はリンク22を直接旋回し、ギアドライブまたはダイレクトドライブのモーターと測位エンコーダ,電源カップリングを備えてもよい。電源カップリングは、リンク22に電力供給する非接触回転電源カップリングや任意適当な電源カップリングであってよい。ここで、電源カップリングは非接触式誘導変圧器であって、電源および/または通信信号が非接触方式で与えられてもよい。あるいは、電源および/またはデータが接触方式または他の適当なスリップリングやカップリングで伝送されてもよい。駆動部18はまた、第1および第2光ファイバチャネル132,134を有する非接触式光フィードスルー130を備える。光ファイバチャネルはリンク22のコントローラ52に高速通信を提供する。ここで、コントローラ52は光デバイスやイーサキャット(ethercat,登録商標),他の適当な変換装置を有してもよい。あるいは、変換装置とフィードスルー130は電磁誘導式であって、例えば、電源とCANやその他の高周波信号またはデータの両方を伝送するカプラでもよい。これらは、ワイヤやフレクシャ,またはその他の手段と共に使用されてもよい。
【0058】
適切な非接触光フィードスルーが固定グリンレンズと固定鏡を用いてもよい。こうしたフィードスルーの例はMoogコンポーネント・グループ(Moog Components Group)が提供しているが、真空用のものである。あるいは、任意適当なカップリングやフィードスルーを用いてもよい。ここで、非接触光ファイバー高速通信は、非接触回転電源供給コントローラ52に接続される。このコントローラはアーム25の駆動に必要である。高速通信カップリングに加え、非接触式誘導電源カップリングも備わっていてよい。駆動部18は更に、大気側にヒートシンク140または80を有し、真空側または大気側に熱電冷却器142を備えていてもよい。放熱シンク144はベース128に接続されている。放熱シンク144は、高放射率を有する一連の同心チューブ145を備えてもよい。同様に、放熱シンク146は熱電冷却器148に接続され、熱電冷却器148はリンク本体22に接続される。放熱シンク146は高放射率を有する一連の同心チューブ147を備え、シンク144のチューブ145と交互に配置している。こうして、冷却器142,148はリンク本体22から放射冷却接続144,146を介して熱を移動し、シンク140を用いて放散するように動作する。
【0059】
同様に、任意のジョイントがこうした熱的結合を利用してもよい。あるいは任意適当なヒートポンプが用いられてもよい。例えば、能動部品を冷却し、任意適当なラジエーターを非常に高い温度に熱する相変化(phase change)ヒートポンプでもよい。放熱量は温度の4乗に比例するため、こうしたヒートポンプによって、表面積が小さい程より高い熱伝導効率を得られる。また、ヒートシンク冷却や一連の熱的結合とは対称的に、熱をアームの外側に放散させてもよい。例えば、前述の機構が利用されてもよい。あるいは、アームのリンク等のロボットの個別のセクション内に閉ループ冷却回路を備えてもよい。例として、こうした回路はコンピュータで使用されるものと同様のヒートポンプでもよい。こうしたヒートポンプは実質的にリークがなくガス放出を行わないように完全密閉されていてもよい。あるいは他の例示的実施形態において、能動冷却や冷却設備が無くてもよい。
【0060】
カップリング144,146は窒化アルミニウムセラミックス等の被膜アルミニウムで製造されてもよい。あるいは、任意適当な材料でも製造されてもよい。モジュール136は冷却器148のサーマルシンクやハウジング,リンク本体22でもよい。モジュール136は制御・モーター駆動回路や測位符号化読取ヘッド,外部装置用入出力を備えてもよい。こうした外部装置は熱電冷却器148や他の読取ヘッド,先端グリップアクチュエーターやその他の装置でもよい。
【0061】
例として、図9を参照する。エンコーダ150はエンドエフェクタ26に関連する手首ジョイント30と直結し、モジュール52と連動する読取ヘッドと連結していてもよい。同様に、エッジ検出装置やエッジグリップ,エッジ配置装置62,60も、エンドエフェクタ26に接続され、モジュール52と連動してもよい。記述した実施形態では、エンコーダがジョイントの一部または各々に設けられてもよく、モーターがジョイントの一部または各々に設けられてもよい。モーターとエンコーダ,コントローラの組合せがジョイントの一部または各々に設けられてもよい。別の態様では、モジュール52等にある部品は露出していても、封入されていてもよい。封入される場合、密封金属エンクロージャーやリンク本体22,一部金属のエンクロージャー,またはこれらの組合せで封入されてもよい。給電と通信は、ケーブルと固定フィードスルーを用いる手段や非接触式磁気スリップリング,接触式スリップリング,個別のベアリングを介する手段,フレクシャやその他の手段,またはこれらの組合せを用いて行われてもよい。ヒートシンクは、放射冷却や対流,伝導によって行われてもよい。例えば、冷媒がフィードスルーを通過するのでもよく、移動しないか循環するかでもよい。別の態様では、1または複数の軸に磁性流体シールや他の適当なシール等のフィードスルーが備わっていてもよい。別の態様では、駆動部18に同心円状にまたは一定のオフセットで複数のリンクが設けられ、これらが独立駆動軸の1または複数または全てを備えてもよい。加えて、冷却器の数は多くても少なくてもよい。例えば、複数の熱電冷却器を備えなくてもよく、追加の熱電冷却器が備えられてもよい。更に、アームや駆動部の一部から他の部分に熱を移動して放散させるためにヒートポンプが備えられてもよい。
【0062】
次に図10も参照する。図10には気密容器(vessel)/エンクロージャー(enclosure)50が示されている。この実施例では、気密エンクロージャーはアクチュエーター48と制御部52,センサー98の少なくとも一部を封入している。別の実施例では、こうした構成要素を1または複数備えてもよい。各構成要素48,52,98は電源および/または通信導体73A,73B,73Cをそれぞれ有し、これらは気密エンクロージャー50のシール75等を通って導体73に接続している。胴体73A,73B,73Cは電気的および/または光学的でもよい。エンクロージャー50は真空チャンバー15の内部を構成要素48,52,98からの気体または混入物質から保護する。そうしないと、真空エンクロージャー15内の真空度が下がることになる。代替可能な別の例示的実施形態では、気密エンクロージャーを用いてもよく、用いなくてもよい。代替可能な別の例示的実施形態では、気密エンクロージャーを用いてもよく、用いなくてもよい。例えば、モーターの一部やセンサーの一部が真空に晒されてもよく、モーター全体やセンサー全体が晒されてもよい。あるいは、モーター全体やセンサー全体がエンクロージャー内に封止されてもよい。こうした構成は気密エンクロージャーに封入できるあらゆるタイプの装置に適用できる。
【0063】
次に図11も参照する。図11には真空対応ロボットアームシステムの別の例示的実施形態であって、二つのリンク22,24と一つの旋回エンドエフェクタ25を備える単一のアームが示されている。この例では、ロボットシステムは少なくとも二つの回転軸を持つ駆動部と、駆動部に連結するアームアセンブリを備えてもよい。アームアセンブリは、第1リンク22と第2リンク24,エンドエフェクタ26を備えてもよい。第1リンクは駆動部18の第1回転軸に直結され、第2リンク24は第1回転ジョイントを介して第1リンクに連結され、エンドエフェクタは第2回転ジョイントを介して第2リンクに連結されている。第2リンク24はベルト/バンドを介して駆動してもよい。このベルト/バンドは、駆動部18の第2回転軸に取り付けられた第1プーリー34を備えてもよい。第1ベルト/バンド36と第2プーリー38はアームアセンブリの第2リンクに取り付けられてもよい。
【0064】
エンドエフェクタ26は第1アクチュエーター48によって動作されてもよい。第1アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンク24に対するエンドエフェクタ26の方向を制御してもよい。例えば第1アクチュエーター48は、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。第1アクチュエーター48はまた、アームアセンブリの第2リンク24に対するエンドエフェクタ26の角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等の第1アクチュエーターの能動部品は気密容器50に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。第1アクチュエーターは、前述した冷却器等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0065】
第1アクチュエーター48は第1制御部52で制御されてもよい。第1制御部52はアームアセンブリの第2リンクに接続されていてもよい。第1制御部は第1アクチュエーターと同じ気密容器50に収納されていてもよく、別の気密容器に配置されていてもよい。第1制御部52は、前述した例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。第1制御部52は第1アクチュエーター48にある位置検知装置100が出力する信号を処理し、第1アクチュエーター48に制御信号を出力して、例えばアクチュエーターに組込まれる電気モーターの巻線の通電等を行ってもよい。第1制御部は、配電・通信サブシステム73を介して給電され、ロボットコントローラ54と通信できてもよい。
【0066】
配電・通信サブシステムは、ロボットマニピュレータの各回転ジョイントに配置また関連する電気回転カップリングを備えてもよい。回転カップリング56,57,58は、ロボットコントローラ54から第1制御部52や、エンドエフェクタ26のグリッパ60やセンサー62等のアームアセンブリ25の他の能動部品に電力を伝送してもよい。
【0067】
真空対応ロボットアームシステムの別の例示的実施形態を図12に示す。この例では、ロボットシステムは少なくとも二つの回転軸を持つ駆動部18と、駆動部に連結するアームアセンブリ1225を備えてもよい。アームアセンブリは第1リンク22と第2リンク24,二つのエンドエフェクタ26A,26Bを備えてもよい。二つのエンドエフェクタ26A,26Bはそれぞれ第1エンドエフェクタ,第2エンドエフェクタと称する。第1リンク22は駆動部18の第1回転軸に直結され、第2リンク24は第1回転ジョイント28を介して第1リンクに連結されていてもよい。第1および第2エンドエフェクタ26A,26Bはそれぞれ、第2回転ジョイント30および第3回転ジョイント31を介して第2リンク24に連結されていてもよい。第2リンク24はベルト/バンドを介して駆動してもよい。このベルト/バンドは、駆動部の第2回転軸に取り付けられた第1プーリー34を備えてもよい。第1ベルト/バンド36と第2プーリー38はアームアセンブリ1225の第2リンク24に取り付けられてもよい。
【0068】
第1エンドエフェクタ26Aは第1アクチュエーター48Aによって動作されてもよい。第1アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンクに対する第1エンドエフェクタの方向を制御してもよい。同様に、第2エンドエフェクタ26Bは第2アクチュエーター48Bによって動作されてもよい。第2アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンク24に対する第2エンドエフェクタ26Bの方向を制御してもよい。例えば第1および第2アクチュエーター48A,48Bは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。第1および第2アクチュエーター48A,48Bはまた、アームアセンブリの第2リンクに対する、対応するエンドエフェクタの角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等の第1および第2アクチュエーターの能動部品は気密容器50に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。両アクチュエーター48A,48Bに対して単一の気密容器が用いられてもよい。あるいは、各アクチュエーターがそれぞれの気密容器に収納されてもよい。第1および第2アクチュエーターは、前述した例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0069】
第1および第2アクチュエーター48A,48Bは第1制御部52で制御されてもよい。第1制御部52はアームアセンブリの第2リンクに接続されていてもよい。第1制御部は第1および第2アクチュエーターと同じ気密容器50に収納されていてもよく、別の気密容器に配置されていてもよい。第1制御部は、前述した例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。第1制御部52は第1および第2アクチュエーターにある位置検知装置が出力する信号を処理し、第1および第2アクチュエーターに制御信号を出力して、例えばアクチュエーターに組込まれる電気モーターの巻線の通電等を行ってもよい。第1制御部は、配電・通信サブシステムを介して給電され、ロボットコントローラと通信できてもよい。
【0070】
配電・通信サブシステムは、ロボットマニピュレータの各回転ジョイントに配置また関連する電気回転カップリングを備えてもよい。回転カップリングは、ロボットコントローラから第1制御部や、エンドエフェクタのグリッパやセンサー等のアームアセンブリの他の能動部品に電力を伝送してもよい。あるいは、二つの別々の制御部が用いられ、その一方を第1アクチュエーター48A用、もう一方を第2アクチュエーター48B用としてもよい。
【0071】
本発明の真空対応ロボットアームシステムの別の実施形態を図13に示す。この例では、ロボットシステムは少なくとも三つの回転軸を持つ駆動部1318と、駆動部に連結するアームアセンブリ1325を備える。アームアセンブリ1325は第1リンク1322と第2リンク1324,第3リンク1326,エンドエフェクタ26を備えてもよい。第1リンク1322は駆動部の第1回転軸に直結され、第2リンク1324は第1回転ジョイントを介して第1リンクに連結され、第3リンク1326は第2回転ジョイントを介して第2リンクに連結されていてもよい。エンドエフェクタは、第3回転ジョイントを介して第3リンクに連結されていてもよい。第2リンク1324はベルト/バンドを介して駆動してもよい。このベルト/バンドは、駆動部1318の第2回転軸に取り付けられた第1プーリー1334を備えてもよい。第1ベルト/バンド1336と第2プーリー1338はアームアセンブリの第2リンク1324に取り付けられてもよい。第3リンク1326は、駆動部の第3回転軸から2ステージ・ベルト/バンド駆動を通じて駆動されてもよい。ベルト/バンド駆動の第1ステージはプーリー1340,1342とベルト/バンド1344を備え、ベルト/バンド駆動の第2ステージはプーリー1346,1348とベルト/バンド1350を備えてもよい。プーリー1340は駆動部1318の第3回転軸で直接駆動されてもよい。プーリー1338,1346は互いに連結され、プーリー1348はアームアセンブリの第3リンク1326に取り付けられていてもよい。
【0072】
エンドエフェクタ26は第1アクチュエーター48によって動作されてもよい。第1アクチュエーターは、アームアセンブリの第3リンクに対するエンドエフェクタの方向を制御してもよい。例えば第1アクチュエーターは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。第1アクチュエーターはまた、アームアセンブリの第3リンクに対するエンドエフェクタの角度方向を決定する位置測定装置100を備えてもよい。電気モーターの固定子等の第1アクチュエーターの能動部品は気密容器50に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。第1アクチュエーター48は、前述した例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0073】
第1アクチュエーター48は第1制御部52で制御されてもよい。第1制御部52はアームアセンブリの第3リンクに接続されていてもよい。第1制御部は第1アクチュエーターと同じ気密容器50に収納されていてもよく、別の気密容器に配置されていてもよい。第1制御部52は、前述したような例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。第1制御部52は第1アクチュエーター48にある位置検知装置100が出力する信号を処理し、第1アクチュエーター48に制御信号を出力して、例えばアクチュエーターに組込まれる電気モーターの巻線の通電等を行ってもよい。第1制御部52は、配電・通信サブシステム73を介して給電され、ロボットコントローラと通信できてもよい。
【0074】
配電・通信サブシステム73は、ロボットマニピュレータの各回転ジョイントに配置また関連する電気回転カップリングを備えてもよい。回転カップリングは、ロボットコントローラから第1制御部や、エンドエフェクタのグリッパやセンサー等のアームアセンブリの他の能動部品に電力を伝送してもよい。
【0075】
図13に示すアームアセンブリの別の実施形態として、アームアセンブリの第3リンク1326が第2リンク1324に組込まれるアクチュエーターによって動作されてもよい。アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンク1324に対する第3リンク1326の方向を制御してもよい。例えばアクチュエーターは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。アクチュエーターはまた、アームアセンブリの第2リンクに対する第3リンクの角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等のアクチュエーターの能動部品は気密容器に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。アクチュエーターは冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0076】
図13のアームアセンブリのまた別の実施形態として、アームアセンブリの第3リンク1326が第3リンク1326に組込まれるアクチュエーターによって動作されてもよい。アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンク1324に対する第3リンク1326の方向を制御してもよい。
【0077】
真空対応ロボットアームシステムのさらに別の例示的実施形態を図14および15に示す。この例では、ロボットシステムは少なくとも三つの回転軸を持つ駆動部1318と、駆動部に連結するアームアセンブリ1325を備えてもよい。アームアセンブリは第1リンク1322と第2リンク1326,第3リンク1326,二つのエンドエフェクタ26A,26Bを備えてもよい。二つのエンドエフェクタ26A,26Bはそれぞれ第1エンドエフェクタ,第2エンドエフェクタと称する。第1リンク1322は駆動部の第1回転軸に直結され、第2リンク1324は第1回転ジョイントを介して第1リンクに連結され、第3リンク1326は第2回転ジョイントを介して第2リンクに連結されていてもよい。第1および第2エンドエフェクタ26A,26Bはそれぞれ、第3回転ジョイントおよび第4回転ジョイントを介して第3リンクに連結されていてもよい。
【0078】
第1エンドエフェクタ16Aは第1アクチュエーター48Aによって動作されてもよい。第1アクチュエーターは、アームアセンブリの第3リンクに対する第1エンドエフェクタの方向を制御してもよい。同様に、第2エンドエフェクタ26Bは第2アクチュエーター48Bによって動作されてもよい。第2アクチュエーターは、アームアセンブリの第3リンクに対する第2エンドエフェクタの方向を制御してもよい。例えば第1および第2アクチュエーターは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。第1および第2アクチュエーターはまた、アームアセンブリの第3リンクに対する、対応するエンドエフェクタの角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等の第1および第2アクチュエーターの能動部品は気密容器に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。両アクチュエーターに対して単一の気密容器が用いられてもよい。あるいは、各アクチュエーターがそれぞれの気密容器に収納されてもよい。第1および第2アクチュエーターは冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0079】
第1および第2アクチュエーター48A,48Bは第1制御部52で制御されてもよい。第1制御部52はアームアセンブリの第3リンクに接続されていてもよい。第1制御部は第1および第2アクチュエーターと同じ気密容器50に収納されていてもよく、別の気密容器に配置されていてもよい。第1制御部は、前述したような冷却サブシステムに接続されていてもよい。第1制御部52は第1および第2アクチュエーターにある位置検知装置が出力する信号を処理し、第1および第2アクチュエーターに制御信号を出力して、例えばアクチュエーターに組込まれる電気モーターの巻線の通電等を行ってもよい。第1制御部52は、配電・通信サブシステム73を介して給電され、ロボットコントローラと通信できてもよい。
【0080】
配電・通信サブシステムは、ロボットマニピュレータの各回転ジョイントに配置また関連する電気回転カップリングを備えてもよい。回転カップリングは、ロボットコントローラから第1制御部や、エンドエフェクタのグリッパやセンサー等のアームアセンブリの他の能動部品に電力を伝送してもよい。あるいは、二つの別々の制御部が用いられ、その一方を第1アクチュエーター用、もう一方を第2アクチュエーター用としてもよい。
【0081】
図14のアームアセンブリのまた別の代替可能な実施形態として、アームアセンブリの第3リンクが第2リンクに組込まれるアクチュエーターによって動作されてもよい。アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンクに対する第3リンクの方向を制御してもよい。例としてアクチュエーターは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。アクチュエーターはまた、アームアセンブリの第2リンクに対する第3リンクの角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等のアクチュエーターの能動部品は気密容器に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。アクチュエーターは、前述したような冷却サブシステムに接続されていてもよい。
【0082】
図14のアームアセンブリの更に別の代替可能な実施形態として、アームアセンブリの第3リンクが第3リンクに組込まれるアクチュエーターによって動作されてもよい。アクチュエーターは、アームアセンブリの第2リンクに対する第3リンクの方向を制御してもよい。例えばアクチュエーターは、電気モーターや圧電アクチュエーター,その他の適切なアクチュエーター構成を備えてもよい。アクチュエーターはまた、アームアセンブリの第2リンクに対する第3リンクの角度方向を決定する位置測定装置を備えてもよい。電気モーターの固定子等のアクチュエーターの能動部品は気密容器に収容され、電気モーターの回転子等の受動部品とは分離壁で別々に分けられていてもよい。アクチュエーターは、前述した例示的冷却サブシステム等の冷却サブシステムに接続されていてもよい。図15は、プロセスモジュール14とロードロック16を備える装置1510内のアセンブリ1325を示す。
【0083】
特徴の一部を有する別の例示的実施形態として、前述したエンドエフェクタの位相と動きに対する構成が、デュアルアーム・ロボットマニピュレータに使用されてもよい。エンドエフェクタの位相に対する構成は、デュアルアーム・ロボットマニピュレータの両方のアーム/エンドエフェクタに使用されてもよく、デュアルアーム・ロボットマニピュレータの両方アーム/エンドエフェクタの片方にだけ使用されてもよい。
【0084】
図16A,16Bおよび16Cで示すように、前述した例示的アームアセンブリがデュアル基板サイドバイサイド(side-by-side)エンドエフェクタを使用してもよい。ある実施例では、デュアル基板サイドバイサイド・エンドエフェクタ1626は、実質的に固定された二つの基板ホルダー1628A,1628Bを備えてもよい。別の実施例では、二つの基板ホルダー 1628D,1628Eが可動式に構成され、二つの基板ホルダー間の相対距離および/または基板ホルダーの相対配向をアクティブに調節できるようにしてもよい。図16Cは、真空チャンバー1615とプロセスモジュール1614,ロードロック1616を備える装置内で使用される、アーム1626を持つロボットアームアセンブリを示す。
【0085】
次に図17も参照する。図17には、駆動部18と図8の冷却システムの概略図が図12のアーム1225と合わせて示されている。電源カップリングは非接触式誘導変圧器であって、電源および/または通信信号が非接触方式で与えられてもよい。あるいは、電源および/またはデータが接触方式または他の適当なスリップリングやカップリングで伝送されてもよい。非接触式光フィードスルー130は第1および第2光ファイバチャネル132,134を有し、光ファイバチャネルはリンク22のコントローラ136に高速通信を提供する。ここで、コントローラ136は光デバイスやイーサキャット(ethercat,登録商標),他の適当な変換装置138を有してもよい。あるいは、変換装置138とフィードスルー130は電磁誘導式であって、例えば、電源とCANやその他の高周波信号またはデータの両方を伝送するカプラでもよい。これらは、ワイヤやフレクシャ,またはその他の手段と共に使用されてもよい。適切な非接触光フィードスルーが固定グリンレンズと固定鏡を用いてもよい。こうしたフィードスルーの例はMoogコンポーネント・グループが提供しているが、真空用のものである。あるいは、任意適当なカップリングやフィードスルーを用いてもよい。ここで、非接触光ファイバー高速通信は、非接触回転電源供給コントローラ136に接続される。このコントローラはアームの駆動に必要である。高速通信カップリングに加え、非接触式誘導電源カップリングも備わっていてよい。モジュール136は制御・モーター駆動回路や測位符号化読取ヘッド,外部装置用入出力を備えてもよい。こうした外部装置は熱電冷却器148や他の読取ヘッド,先端グリップアクチュエーターやその他の装置でもよい。例えば、エンコーダ150,152はエンドエフェクタ26A,26Bに関連する手首ジョイントと直結し、モジュール136と連動する読取ヘッドと連結していてもよい。同様に、エッジ検出装置やエッジグリップ,エッジ配置装置154,156も、エンドエフェクタ26A,26Bに接続され、モジュール136と連動してもよい。
【0086】
記述した実施形態では、エンコーダがジョイントの一部または各々に設けられてもよく、モーターがジョイントの一部または各々に設けられてもよい。モーターとエンコーダ,コントローラの組合せがジョイントの一部または各々に設けられてもよい。別の態様では、モジュール136等にある部品は露出していても、封入されていてもよい。封入される場合、封止金属エンクロージャーやアーム本体112,一部金属のエンクロージャー,またはこれらの組合せで封入されてもよい。給電と通信は、ケーブルと固定フィードスルーを用いる手段や非接触式磁気スリップリング,接触式スリップリング,個別のベアリングを介する手段,フレクシャやその他の手段,またはこれらの組合せを用いて行われてもよい。ヒートシンクは、放射冷却や対流,伝導によって行われてもよい。例えば、冷媒がフィードスルーを通過するのでもよく、移動しないか循環するかでもよい。別の態様では、1または複数の軸に磁性流体シールや他の適当なシール等のフィードスルーが備わっていてもよい。別の態様では、駆動部に同心円状にまたは一定のオフセットで複数のアームが設けられ、これらが独立駆動軸の1以上または全てを備えてもよい。加えて、冷却器の数は多くても少なくてもよい。例えば、複数の熱電冷却器を備えなくてもよく、追加の熱電冷却器が備えられてもよい。更に、アームや駆動部の一部から他の部分に熱を移動して放散させるためにヒートポンプが備えられてもよい。
【0087】
次に図18も参照する。図18には、図17に関連して記述したような光フィードスルー1812と回転式熱フィードスルーを用いた、回転および垂直駆動を備える搬送装置の概略図が示されている。ローター1816は二つの独立可動アーム1818,1820を備え、それぞれが回転駆動部1822,1824によって駆動される。回転駆動部1822,1824は同様に、光結合1826,1828と熱結合1830,1832をそれぞれ備える。別の態様では、アームや軸が直接または遠隔で駆動されてもよく、その数も多くても少なくてもよい。この実施形態では、熱は一連のジョイントと一連の熱結合、すなわちそれぞれが1830から1831と1832から1831を通じて 放散される。別の態様では、ジョイントの数が多くても少なくてもよい。例えば、一つの軸または複数の軸の一部若しくは全部で独立して動作できる二つ以上のアームであって、各アームは共通軸または他の適当な構成に対して同心円状に駆動されるメインリンクを備えてもよい。
【0088】
次に図19も参照する。図19には例示的システム400のブロック図が示されている。システム400は真空チャンバー402と第1および第2トランスポート404,406を備える。ここで、トランスポート404はコンビネーションリニア/回転駆動(combination linear and rotary drive)で、リニアツール配置400等で使用されてもよい。次に図20も参照する。図20にはシステム410が示されている。システム410は真空チャンバー412とトランスポート414,416,418,420を備える。図示した実施形態は単なる例である。したがって、図示したようなリニアロボットの組合せや固定ロボット,その他のロボットが使用されてもよく、その軸の数が多くても少なくてもよい。例えば、1または複数のトランスポートチャンバーに複数の固定ロボットが使用され、各々が前述した特徴を有する単軸または多軸リニアシャトルを備えていてもよい。
【0089】
次に図21も参照する。図21にはシステム400の断面図が示されている。チャンバー402は、基板を挿入および抜去するスロット430,432を備える。トランスポートまたはロボットドライブは、駆動部434とアーム部436を備え、アーム部436は前述の特徴を備えてもよく、駆動部434が駆動するSCARA型アームでもよい。次に図22も参照する。図22にはシステム400の部分断面図が示されている。チャンバー402の床に設置されたスライド部440,442を有する駆動部434が示されている。別の態様では、駆動部434は中間プレートやその他の部分に接続されていてもよい。スライド部440,442は従来のリニアスライド構造でもよく、あるいは磁気サスペンションや非接触スライド,アクティブ,パッシブ,またはその他の構造でもよい。図示した実施形態は、動作や冷却,電源等のためのフィードスルーおよび/またはサービスループを必要としないが、別の態様では1または複数のフィードスルーおよび/またはサービスループを備えてもよい。スライド部440,442はベースまたは熱伝導プレート444に設置されている。ここで、駆動部434の部品から発生する熱は、ベース444に放散される。別の態様では、部品から発生する他の熱をベース444や別の部品に放散してもよく、何処にも放散しなくてもよい。この際、部品から発生する熱が放射やその他の機構で周囲に放散されてもよい。ベース444とそこに設置される部品はスライド部440,442を横切って、システム400のチャンバー402内のスロットに選択的にアクセスしてもよい。電磁誘導カップリング446で電源および/または通信が提供されてもよい。ここで、電磁誘導カップリング446は、チャンバー402に接続するベースカップリング448とプレート444に接続するピックアップ450を備えてもよい。ベースカップリング448は、駆動部434が選択的に横切った場所とは無関係に、チャンバー402の全長またはその一部に亘ってピックアップ450に電源および/または通信を提供してもよい。カップリング446の数は多くて少なくてもよく、直列や並列,その他の配列で、1または複数の駆動部を同時にでも個別にでも動作させてもよい。あるいは、前述のようなカップリングや、通信等の短距離用のフレクシャベースのカップリング等、任意適当なカップリングが使用されてもよい。ベース444上には、固定プレート454を備える線形駆動モジュール452が横断する。固定プレートはチャンバー402に接続され、チャンバー長によって1または複数の駆動部とベース444に接続するフォーサー(forcer)456とを動作させる。ここでモジュール452は、任意適当なリニア電気ドライブであって、例えば、マグネット付アクティブプラテンやマグネット無しのパッシブプラテン,それ以外のものを備えるブラシレスリニアモーター等でもよい。駆動モジュール452はまた、電磁誘導式や光学式でインクリメンタル型や絶対型,それ以外の方式やタイプの位置検出装置を備えてもよい。ここで、読取ヘッドはフォーサー456で、またはその近傍でパッケージされてもよい。読取トラックはプラテン454やチャンバー402で、またはその近傍でパッケージされてもよい。熱はベース444に取り付けられたシンク458からチャンバー402に取り付けられたシンク460へ移動される。ここで、各シンクは放射結合を形成するように交互配置された表面を有し、シンク460はチャンバー402の長手方向に沿っていてもよい。駆動部434は、モーター巻線やエンコーダ読取ヘッド,ブレーキ,コントローラ,増幅器,イーサキャット(ethercat,登録商標)接続用光素子,整流器,電力調整器等の熱を発生しうる能動部品や、その他の任意適当な熱源となる能動部品、または熱に敏感な部品を備えている。こうした部品は、ベース444に熱的に結合したり、放熱させたりしてもよい。こうしたベース444はカップリング458,460等を介して放熱してもよい。こうした部品は、エンクロージャーに全部または一部だけ格納されてもよく、樹脂で埋込まれてもよい。こうしたエンクロージャーや埋込み,その他の適当な構造や結合によって、熱エネルギーがベース444に移動されるようになる。例えば、フォーサー456がベース444に直接放熱してもよい。リニアモーター456は、固定プラテンにマグネットを備えてもよい。また、米国特許第7,800,256号に記載されるマグネットレス・パッシブプラテンを備えてもよい。これらは、その全体を参照することにより本願に組み込まれる。さらなる例として、駆動部434の回転・垂直パワー素子が前述のように格納・埋込みされたり、その他の方法でベース444に放熱されたりしてもよい。
【0090】
この例示的実施形態において例示的アーム436は、バンドやプーリー等の受動部品やエンコーダやモーター等の能動部品を備えるSCARA型アームでもよい。駆動部434の回転・垂直部分は、リードスクリュードライブ等の垂直起動部462と第1および第2回転駆動部464,466を備える。スクリュー470は、回転駆動部466のシャフト472に連結する駆動部462のナット468を駆動する。シャフト472,472は、アーム436と動作可能に連結され、垂直運動や回転運動,半径方向運動を可能にする。シャフト472,472は、直動ジョイントによって駆動部466,464のシャフト476,478と動作可能に連結される。直動ジョイントは、駆動部434の下部にある能動部品をベース444に対して固定させながら自由や垂直運動を伴うトルクを伝達できるように回転に対して抵抗するように働く。ここで駆動部462,464,466は、前述のようにからベース444に放熱するモーター巻線480や読取ヘッド482,電子部品,アセンブリ484,ブレーキ巻線486等の能動部品、またはその他の能動部品を備えてもよい。既に説明したように、高速通信は接続446あるいは1または複数の光接続488,490によって行われてもよい。こうした接続は、交差する運動軸に沿ってチャンバー402の対応する接続と連動してもよい。別の態様では、本願で記載するモジュールや部品の任意適当な組合せが使用されてもよい。
【0091】
次に図23も参照する。図23には記載した実施形態を幾つか取り入れた駆動部600が収縮位にある状態が示されている。次に図24も参照する。図23には記載した実施形態を幾つか取り入れた駆動部600が伸長位にある状態が示されている。駆動部600は半径方向に独立して動く四つのエンドエフェクタ602,604,606,608を備える。また、エンドエフェクタ602,606はリニア駆動部610に対して線形に取付けられ、エンドエフェクタ604,608はリニア駆動部612に対して線形に取付けられている。リニア駆動部610は回転駆動部614に取付けられており、リニア駆動部612は回転駆動部616に取付けられている。回転駆動部614,616は独立して回転できる。ここで、2枚の処理基板Sがピックされ、2枚の未処理基板S'がプレースされてもよい。例えば、プレースされる基板は他の基板とは別の2箇所に同時にプレースされてもよい。また、エラー補正は空中で互いに独立して実行されてもよい。
【0092】
次に図25も参照する。図25にはシステム600の断面図が示されている。リニア駆動部610,612の各々は、二つの独立したリニア駆動モーターを駆動してそれぞれ連結するエンドエフェクタ602,606,604,608を駆動する。リニア駆動部610,612と回転駆動部614,616は、本願に記載される特徴と、記載した実施形態とは別の側面に関して開示される特徴を備えてもよい。この例示的実施形態では、駆動部600は4箇所にリニアモーター620を備える。この例示的実施形態では、駆動部600は4箇所に電源接続や通信接続,リニア位置センサー622を備える。ここでトランスファー624も4箇所に設けされている。回転駆動部626は、位置エンコーダと電源・通信接続を備えて2箇所に設けられる。通信リンク628も設けられている。熱交換器630は外の熱交換器632と合わせて設けられている。
【0093】
次に図26-18も参照する。これらには、3リンク・アームロボット700,800を備えるリニアプラットフォームの様々な概略図が示されている。各アームロボットは独立可動する二つのエンドエフェクタ804を備える。プロセスチャンバー14とロードロック16を備える真空チャンバー715内にロボット700(800)が示されている。ロック16は単一のロードロックや積層ロードロックでもよい。あるいは、1または複数のロードロックがロック16に隣接して、またはその他の位置に設けられてもよい。この実施形態では、7のプロセスモジュール14が示されている。プロセスモジュールの数がこれより多くても少なくてもよい。プロセスモジュール14は例えば、カルーセル方式で積層またはバッチのウェハーを伴って、または積層の従属または独立プロセスモジュールで、単体のウェハーまたは複数のウェハーをプロセスしてもよい。この実施形態で示すように、ロボット700はモジュール14,16に独立してアクセスしてもよい。ここで、三つの向かい合うモジュールの組はリニアプラットフォームの長手方向に沿って示され、リニアプラットフォームの両端には一組の向かい合うモジュールがある。向かい合うか両端,それ以外にあるプロセスモジュールの数は、これより多くても少なくてもよい。あるいは、1または複数のプラットフォームが互いに連結され、そのうちの1基はウェハー供給用であってもよい。ウェハーは続く1または複数のプラットフォームを通じてプロセス・搬送され、供給用プラットフォームや中間プラットフォームの末端等を通じて取り出される。各モジュールで高速スワップを可能にするデュアルエンドエフェクタが示され、その一方は処理基板をピックし、他方は未処理基板をプレースする。あるいは、単一のエンドエフェクタや複数のエンドエフェクタ,その他の適当なエンドエフェクタが使用されてもよい。ロボット700は1台のみが示されているが、複数のロボットが使用されてもよい。こうして、より多くのプロセスモジュールがアクセスされ、要求スループットによって高いプロセス能力を持ってもよい。3リンクロボットが示されているが、前述したような、またはそれ以外の任意適当なロボットが使用されてもよい。例えば、デュアルアームロボットや任意のリンク数を持つロボット,回転式およびリニア式のリンクおよびジョイントの組合せを持つロボットが使用されてもよい。次に図29-30も参照する。これらには、デュアルエンドエフェクタ806を持つ3リンク・アームロボット802を備えるリニアプラットフォームの様々な概略図が示されている。エンドエフェクタは互いに固定されていてもよく、独立可動でもよい。各々で2枚の基板がプロセスされるプロセスチャンバーとロードロックを備える真空チャンバー内にロボット802が示されている。ロックは2枚の基板を支持する単一のロードロックや積層ロードロックでもよい。あるいは、1または複数のロードロックが隣接して、またはその他の位置に設けられてもよい。この実施形態では、7のプロセスモジュールが示されている。プロセスモジュールの数がこれより多くても少なくてもよい。プロセスモジュールは例えば、カルーセル方式で積層またはバッチのウェハーを伴って、または積層の従属または独立プロセスモジュールで、2枚以上のウェハーをプロセスしてもよい。この実施形態で示すように、ロボット802はモジュールに独立してアクセスしてもよい。ここで、三つの向かい合うモジュールの組はリニアプラットフォームの長手方向に沿って示され、リニアプラットフォームの両端には一組の向かい合うモジュールがある。向かい合うか両端,それ以外にあるプロセスモジュールの数は、これより多くても少なくてもよい。あるいは、1または複数のプラットフォームが互いに連結され、そのうちの1基はウェハー供給用であってもよい。ウェハーは続く1または複数のプラットフォームを通じてプロセス・搬送され、供給用プラットフォームや中間プラットフォームの末端等を通じて取り出される。図示したデュアルエンドエフェクタは、2枚の基板を同時にピックまたはプレースできる。また、各モジュールで高速スワップを可能にする追加エンドエフェクタが使用され、その一方は処理基板の組をピックし、他方は未処理基板の組をプレースしてもよい。あるいは、単一のエンドエフェクタや複数のエンドエフェクタ,その他の適当なエンドエフェクタが使用されてもよい。ロボット800は1台のみが示されているが、複数のロボットが使用されてもよい。こうして、より多くのプロセスモジュールがアクセスされ、要求スループットによって高いプロセス能力を持ってもよい。3リンクロボットが示されているが、前述したような、またはそれ以外の任意適当なロボットが使用されてもよい。例えば、デュアルアームロボットや任意のリンク数を持つロボット,回転式およびリニア式のリンクおよびジョイントの組合せを持つロボットが使用されてもよい。
【0094】
例示的実施形態のあるタイプにおいて装置25は、少なくとも三つの部分を持つフレーム,第1位置センサー98または100,気密エンクロージャー50を備えてもよい。該三つの部分には、エンドエフェクタ26と、可動アームを形成する少なくとも二つのリンク22,24とを含む。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは実質的に平面の基板を支持するように構成される。フレームにおいて第1位置センサーは第1ジョイントに近接していて、前記部分のうちの二つの相対位置を検知するように構成される。気密エンクロージャーは可動アームに設けられ、気密エンクロージャー内には第1位置センサーが少なくとも一部または完全に封止される。
【0095】
装置はまた、フレームに連結する駆動部18を備え、可動アームを駆動するように構成されてもよい。装置はまた、真空チャンバー15を備え、フレームが真空チャンバー内に配置され、駆動部が真空チャンバーの壁を貫通していてもよい。装置はまた、駆動部に熱伝導システム(図8等を参照)を備え、熱伝導システムが可動アームから同アームと離隔した場所に熱を伝導するように構成されてもよい。装置はまた、駆動部および/または第1位置センサーに接続するコントローラ52および/または54を備えてもよい。第1位置センサーは駆動部から離隔していてもよい。第1位置センサー位置検出エンコーダを備えていてもよい。装置はまた第2位置センサーを備える。第2位置センサーは、フレームにおいて第2ジョイントに近接して配され、前記部分のうちの二つの相対位置を検知するように構成されてもよい。装置はまた、フレームに配置される電動アクチュエーター48を備える。この電動アクチュエーターは、気密エンクロージャー50に少なくとも一部、または第2気密エンクロージャーに完全に封入されていてもよい。第1位置センサーは光エンコーダであって、光ファイバー部材73Bが第1位置センサーから気密エンクロージャー50を通じて伸ばされていてもよい。装置はまた、光エンコーダに接続されたコントローラ52をフレームに備え、コントローラ52は気密エンクロージャー50に少なくとも一部、または第2気密エンクロージャーに完全に封入されていてもよい。気密エンクロージャーは、フレームのリンク22,24の一つによって少なくとも一部形成されてもよい。装置はまた、気密エンクロージャーを貫通する少なくとも一つの電気導体を備えてもよい。
【0096】
熱伝導システムは、駆動部の第1部分1840に接続する第1熱伝導部材146と第2熱伝導部材144を備えてもよい。第2熱伝導部材144は第1熱伝導部材に関連するように配置され、そこから熱を受け入れる。第1熱伝導部材146は、駆動部の第1部分1840が動くとき、第2熱伝導部材に対して可動である。
【0097】
熱伝導システムは、熱伝導部材の第1組1830とそれから離隔した熱伝導部材の第2組1832とを備えてもよい。熱伝導部材の第1組1830は、駆動部1844の第1部分と第2熱伝導部材1846に接続する第1熱伝導部材1842を備える。第2熱伝導部材1846は第1熱伝導部材1842に関連するように配置され、そこから熱を受け入れる。第1熱伝導部材1842は、駆動部の第1部分1844が動くとき、第2熱伝導部材に対して可動である。熱伝導部材の第2組は、駆動部の第2部分1850に接続する第3熱伝導部材1848と第4熱伝導部材1852を備えてもよい。第4熱伝導部材1852は第3熱伝導部材に関連するように配置され、そこから熱を受け入れる。第3熱伝導部材1848は、駆動部の第2部分1850が動くとき、第4熱伝導部材に対して可動である。熱伝導システムはまた熱伝導部材の第3組を備えてもよい。熱伝導部材の第3組は、駆動部の第3部分1840に接続する第5熱伝導部材146と第6熱伝導部材144を備える。第6熱伝導部材144は第5熱伝導部材146に関連するように配置され、そこから熱を受け入れる。第5熱伝導部材146は、駆動部の第3部分1840が動くとき、第6熱伝導部材144に対して可動である。第2および第4熱伝導部材1846,1852は、駆動部の第3部分1840で支持されてもよい。装置は、エンドエフェクタで真空チャンバー内の平面基板を移動するように構成される平面基板移動ロボットでもよい。
【0098】
別の例示的実施形態において装置12は、電気デバイス48および/または52および/または100,フレーム25,駆動部18,熱伝導システムを備えてもよい。フレーム25は上記電気デバイスを搭載する。またフレーム25は、エンドエフェクタ26と、可動アームを形成する少なくとも二つのリンク22,24とを含む、少なくとも三つの部分を有する。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは実質的に平面の基板を支持するように構成される。駆動部は可動アームに連結され、可動アームを駆動するように構成される。熱伝導システムは駆動部に設けられ(図8等を参照)、可動アームから同アームと離隔した場所に熱を伝導するように構成されてもよい。
【0099】
また別の例示的実施形態において装置12は、少なくとも三つの部分を持つフレーム,第1位置センサー100,通信リンク73を備えてもよい。該三つの部分には、エンドエフェクタ26と、可動アームを形成する少なくとも二つのリンク22,24とを含む。エンドエフェクタとリンクとは可動ジョイントで連結され、エンドエフェクタは実質的に平面の基板を支持するように構成される。フレームにおいて第1位置センサーは第1ジョイントに近接していて、前記部分のうちの二つの相対位置を検知するように構成される。通信リンクは、第1位置センサーから、可動アームから離隔したデバイスへ、気密エンクロージャーを通じて信号を伝送するように構成される。
【0100】
ここで「ジョイント」という用語は広義の用語であると見做されなくてはならない。例えばジョイントは、回転ジョイントや直動ジョイント,その他の適切なタイプのジョイントでもよい。同様に、「リンク」や「部材(部分)」という用語も、複数の要素が結合した複合体を含む広義の用語であると見做されなくてはならない。つまり、任意適当なリンクや部材が使用可能である。
【0101】
なお、前述した説明は単なる実例であることも理解しなければならない。種々の変形および修正を当業者が考えることができる。例えば、特許請求の範囲にある種々の従属請求項に記載の特徴は、任意適当な組合せで互いに組合せ可能である。加えて、前述した様々な実施形態からの特徴を選択的に組合せて新たな実施形態とすることも可能である。したがって本願は、添付の特許請求の範囲に含まれる変更や修正,変形等の全ての事項を包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
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