(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】ファブリックの特徴を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
D21F 7/08 20060101AFI20230127BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
D21F7/08 Z
D03D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020136662
(22)【出願日】2020-08-13
(62)【分割の表示】P 2019126059の分割
【原出願日】2014-05-21
【審査請求日】2020-08-13
(32)【優先日】2013-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517310924
【氏名又は名称】ジーピーシーピー アイピー ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジィー ダニエル エイチ
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-537032(JP,A)
【文献】特表2011-506779(JP,A)
【文献】特表2010-522836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21F 7/08
D03D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙ファブリックを形成する方法であって、
(A)第1の製紙ファブリックの複数の特性の値を決定するステップであって、前記複数の特性は、(i)前記第1の製紙ファブリック内のナックル、(ii)前記第1の製紙ファブリック内のポケット、ならびに(iii)前記第1の製紙ファブリック内のナックルおよびポケットの両方、のうちの1つに関する特性であり、
(a)前記第1の製紙ファブリックの表面の一部分の表現であって、前記第1の製紙ファブリック内のナックルおよびポケットの配列を表す表現を形成し、
(b)前記表現内の複数の特定のナックルと、前記複数の特定のナックルによって囲まれた1つの特定のポケットとを識別し、
(c)前記複数の特定のナックルと前記1つの特定のポケットとに基づいて前記複数の特性の前記値を確認することを含むステップと、
(B)前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値を利用して、第2の製紙ファブリックの設計に対応する、前記複数の特性の値を決定するステップであって、前記第2の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値は、当該複数の特性のうち選択された特性については、前記第1の製紙ファブリックの前記値とは異なる値に修正され、残りの前記複数の特性については、前記第1の製紙ファブリックの前記値が設定される、ステップと、
(C)前記第1の製紙ファブリックの、糸直径、糸密度、糸形状、糸の織目、および糸を結合するために用いられる熱設定の少なくとも一つを含む糸態様と、前記第2の製紙ファブリックの前記糸態様を異ならせることにより、前記第2の製紙ファブリックが当該第2の製紙ファブリックの前記複数の特性に決定された前記値を有するように、前記第2の製紙ファブリックを形成するステップと、を含
み、
前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値を決定する前記ステップが、
前記第1の製紙ファブリックの前記表面の前記一部分のイメージを生成するステップと、
プロセッサを有するコンピュータに関連付けられた画面上に、前記イメージの少なくとも一部分を表示するステップと、
前記表示されたイメージ内でナックルのうちの少なくとも1つの周りに輪郭を描くステップと、
前記表示されたイメージ内にガイドラインを描くステップであって、前記ガイドラインが(i)前記輪郭を描かれたナックルの中心を通過し、(ii)他のナックルを通過し、(iii)前記ポケットが前記ナックル間に形成されている場所に対応する前記イメージの領域を取り囲む形状を形成するように描く、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックおよび前記第2の製紙ファブリックそれぞれの前記特性が、ナックル長さ、ナックル幅、ナックル面積、ナックル密度、接触面積、ポケット面積、ポケット密度、ポケット深さ、およびポケット体積のうちの1つである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記第2の製紙ファブリックの前記ポケット深さが、前記第1の製紙ファブリックの前記ポケット深さよりも大きい、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の製紙ファブリックの第2の特性の値を決定するステップであって、前記第2の特性は、(i)前記第1の製紙ファブリック内の前記ナックル、(ii)前記第1の製紙ファブリック内の前記ポケット、ならびに(iii)前記第1の製紙ファブリック内に形成された前記ナックルと前記ポケットの両方、のうちの1つに関する特性である、ステップをさらに含み、
前記第2の製紙ファブリックは、当該第2の製紙ファブリック内の前記第2の特性の値が前記第1の製紙ファブリック内の前記第2の特性に決定された前記値から変更されるように、形成される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックおよび前記第2の製紙ファブリックそれぞれの前記第2の特性が、ナックル長さ、ナックル幅、ナックル面積、ナックル密度、接触面積、ポケット面積、ポケット密度、ポケット深さ、およびポケット体積のうちの1つである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1及び前記第2の製紙ファブリックの間で前記糸態様を異ならせることにより、前記第1及び前記第2の製紙ファブリックの間で、ポケット深さ及びポケット面積の少なくとも一方が異なる、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記特性の前記値を決定する前記ステップが、
(d)前記第1の製紙ファブリックの前記表現において、前記複数の特定のナックルのうちの第1のナックルから前記特定のポケットを通って、前記複数の特定のナックルのうちの別のナックルに至る経路を決定することをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記特性の前記値を決定する前記ステップが、
(e)前記第1の製紙ファブリックの前記表現内で決定された前記経路に対応するラインに沿って、測定デバイスを用いて前記第1の織物ファブリックをスキャンして、前記第1の織物ファブリックの走査を提供し、
(f)前記決定した経路に対応する前記ラインに沿った前記第1の製紙ファブリックの前記走査に基づいて、前記特定のポケットの深さプロファイルおよび深さの少なくとも一方を決定することをさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記走査が、デジタル顕微鏡、レーザプロファイラ、およびレーザラインスキャナのうちの1つを用いて実行される、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、表現を形成する前記ステップが、前記ファブリック表現に基づいて前記ファブリックの前記表面の前記一部分のイメージを生成し、プロセッサを有するコンピュータに対応付けられた画面に前記イメージの少なくとも一部を表示することを含む、方法。
【請求項11】
製紙ファブリックを形成する方法であって、
第1の製紙ファブリックの複数の特性の値を決定するステップであって、前記複数の特性は、(i)前記第1の製紙ファブリック内のナックル、(ii)前記第1の製紙ファブリック内のポケット、ならびに(iii)前記第1の製紙ファブリックに形成されたナックルとポケットの両方、のうちのいずれか1つに関する特性である、ステップと、
前記第1の製紙ファブリックを用いて、ドームを有する第1の紙製品を形成するステップと、
前記第1の紙製品の前記ドームの特性を決定するステップと、
前記第1の紙製品の前記ドームの特性と、前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性に決定された前記値とを相関させるステップと、
第2の製紙ファブリックを形成するステップであって、前記第2の製紙ファブリックの前記複数の特性の値は、当該複数の特性のうち選択された特性については、前記第1の製紙ファブリックの前記値とは異なる値に修正され、残りの前記複数の特性については、前記第1の製紙ファブリックの前記値が設定される、ステップと、
前記第2の製紙ファブリックを用いて、ドームを有する第2の紙製品を形成するステップであって、前記第1の製紙ファブリックの、糸直径、糸密度、糸形状、糸の織目、および糸を結合するために用いられる熱設定の少なくとも一つを含む糸態様と、前記第2の製紙ファブリックの前記糸態様を異ならせることにより、前記第2の紙製品の前記ドームの特性が、前記第1の製紙ファブリックを用いて作製された前記第1の紙製品のドームに決定された前記特性と異なる、ステップとを含
み、
前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値を決定する前記ステップが、
前記第1の製紙ファブリックの前記表面の前記一部分のイメージを生成するステップと、
プロセッサを有するコンピュータに関連付けられた画面上に、前記イメージの少なくとも一部分を表示するステップと、
前記表示されたイメージ内でナックルのうちの少なくとも1つの周りに輪郭を描くステップと、
前記表示されたイメージ内にガイドラインを描くステップであって、前記ガイドラインが(i)前記輪郭を描かれたナックルの中心を通過し、(ii)他のナックルを通過し、(iii)前記ポケットが前記ナックル間に形成されている場所に対応する前記イメージの領域を取り囲む形状を形成するように描く、ステップと
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の紙製品および前記第2の紙製品それぞれの前記ドームの各特性は、ドームサイズおよびドーム密度のうちの少なくとも一方である、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックおよび前記第2の製紙ファブリックそれぞれの前記特性が、ナックル長さ、ナックル幅、ナックル面積、ナックル密度、接触面積、ポケット面積、ポケット密度、ポケット深さ、およびポケット体積のうちの1つである、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記第2の製紙ファブリックの前記ポケット深さが、前記第1の製紙ファブリックの前記ポケット深さよりも大きい、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値を決定する前記ステップが、
前記第1の製紙ファブリックの表面の一部分の表現であって、ポケットとナックルの配列を有する表現を形成し、
前記第1の製紙ファブリックの前記表現内のナックルのうち、前記表現内の前記ポケットのうちの1つの特定のポケットを囲む複数の特定のナックルを識別し、
前記第1の製紙ファブリックの前記表現において、識別された前記複数の特定のナックルのうちの第1ナックルから、前記第1の製紙ファブリックの前記表現内の前記特定のポケットを通る経路を決定することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記複数の特性の前記値を決定する前記ステップが、
前記第1の製紙ファブリックの前記表現内で決定された前記経路に対応するラインに沿って、測定デバイスを用いて前記第1の製紙ファブリックをスキャンして、前記第1の製紙ファブリックの走査を提供し、
決定した前記経路に対応する前記ラインに沿った前記第1の製紙ファブリックの前記走査に基づいて、前記特定のポケットの深さプロファイルおよび深さのうちの少なくとも一方を決定することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記第1の製紙ファブリックの前記走査が、デジタル顕微鏡、レーザプロファイラ、およびレーザラインスキャナのうちの1つを用いて実行される、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、表現を形成する前記ステップが、前記ファブリック表現に基づいて前記ファブリックの前記表面の前記一部分のイメージを生成し、プロセッサを有するコンピュータに対応付けられた画面に前記イメージの少なくとも一部を表示することを含む、方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用ファブリック(織物)の表面を特性評価することに関する。特定の例では、本発明は、製紙プロセスにおけるウェブの3次元構造の形成に使用されるファブリックの接触表面の特性を決定するための装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパーおよびペーパータオルなどのような紙製品を形成するプロセスでは、製紙ウェブ(製紙原料)が依然として高い変形性を持つ間に、すなわち、製紙ウェブが高い水分含有量を有しているときに、3次元成形が行われる。多くの場合、ウェブのこの3次元成形は、織物であるストラクチャリングファブリック(structuring fabric)の上で行われる。ファブリックは、ファブリックの糸の中のナックル(経糸が緯糸と交差して組織に織り込まれる交差部であって表面に露出される部分)から構成される接触表面を提供し、ポケットは、ナックル間のファブリック中に形成されている。製紙ウェブがファブリックに適用されるときに、ウェブの一部分がナックルに接触し、ウェブの他の部分がポケットの中へ引き込まれる。ファブリックから除去される前に、ウェブは、その形状が固定またはロックされるような程度まで乾燥させられる。それによって、ウェブがファブリックの中のポケットの中へ引き込まれた場所であるドームが、乾燥したウェブの中に形成され、ドームが、完成した紙製品の中に存在している。したがって、紙製品は、ストラクチャリングファブリックのナックルおよびポケット特性によって部分的に形成された独特な3次元構造を有する。
【0003】
ストラクチャリングファブリックの接触表面は、完成した製品の形状に直接的に関係するので、ストラクチャリングファブリックの選定は、望まれている製品の形状に基づくことが多い。しかし、ファブリックの単純な目視検査に基づいて、ストラクチャリングファブリックの接触表面を特性評価することは困難である。ファブリックのナックルは容易に見ることができるが、ナックルのサイズを正確に決定することは困難であり、ナックル間のポケットの面積を決定することは困難であり、製紙プロセスの間に製紙ウェブが引き込まれるポケットの深さを決定することは困難であることが多い。そのため、たとえば、ファブリックの糸パラメータに基づく公式を使用して、ファブリックの接触表面の特性を定量化しようと試みる以前の技法が存在している。しかし、そのような公式は、ファブリックによって形成されることになる紙製品構造の正確な予測を可能にするように、ファブリックの接触表面を特性評価するには十分に正確でないことが多いことが見出されている。さらに、接触領域特性は、ファブリックが製紙機械の上で走らされるときに、変化することになることが多い。たとえば、ファブリックの表面上の摩耗は、一般的に、ナックルの長さを増加させることになり、それによって、ファブリックによってウェブの上に与えられることになる構図を変化させる。したがって、最初のファブリック構成に適用される接触表面特性を決定するための公式は、時間の経過とともに摩耗したファブリックに必ずしも適用されることにはならない。
【0004】
したがって、製紙プロセスにおいて使用されるストラクチャリングファブリックの接触領域特性を正確に特性評価するための技法を提供することが有益であることになる。そのうえ、ファブリックが製紙機械の上に装着されながら、ファブリックが時間の経過とともに摩耗するときの接触領域特性を容易に決定することができる技法を提供することが有益であることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,494,563号明細書
【文献】米国特許第6,350,336号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ファブリックの特徴を決定する方法を提供する。当該方法は、ファブリックの表面の一部分の表現を形成するステップであって、当該表現は、ファブリックの表面の中のナックル(経糸が緯糸と交差して組織に織り込まれる交差部であって表面に露出される部分)およびポケットの場所およびサイズを示す、ステップと、表現に基づいて、ファブリックの表面の一部分のイメージを生成するステップと、プロセッサを有するコンピュータに関連付けられた画面上に、イメージの少なくとも一部分を表示するステップと、表示されたイメージ内でナックルのうちの少なくとも1つの周りに輪郭を描くステップとを含む。方法は、表示されたイメージ内にガイドラインを描くステップであって、ガイドラインが(i)輪郭を描かれたナックルの中心を通過し、(ii)他のナックルを通過し、(iii)ポケットがナックル間に形成されている場所に対応するイメージの領域を取り囲む形状を形成するように描く、ステップをさらに含む。輪郭およびガイドラインは、非一時的なコンピュータ可読媒体内に保存されているイメージ解析プログラムを使用して描かれる。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、ファブリックの特徴を決定する方法を提供する。当該方法は、ファブリックの表面の一部分の表現を形成するステップであって、表現は、ファブリックの表面の中のナックルおよびポケットの場所およびサイズを示しており、表現は、ファブリック表面のプリント、および、ファブリックの表面の写真のうちの1つである、ステップを含む。方法は、表現に基づいて、ファブリックの表面の一部分のイメージを生成するステップと、プロセッサを有するコンピュータに関連付けられた画面上に、イメージの少なくとも一部分を表示するステップと、表現の表示内のナックルのサイズおよび場所を決定するステップと、表現の表示内のポケットのサイズおよび場所を決定するステップとをさらに含む。また、方法は、表示されたイメージ内に、ファブリックの表面の一部分に関する単位セルを描くステップであって、単位セルは、ガイドラインによって画定されており、ガイドラインは、(i)ナックルの中心を通過し、(ii)ポケットがナックル間に形成されている場所に対応するイメージの領域を取り囲む形状を形成する、ステップを含む。ガイドラインによって形成された単位セルの性質に基づいて、ファブリックの表面の少なくとも1つの性質が計算され、輪郭およびガイドラインは、非一時的なコンピュータ可読媒体内に保存されているイメージ解析プログラムを使用して描かれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ストラクチャリングファブリックを使用する抄紙機の概略ダイアグラムである。
【
図2】ストラクチャリングファブリックのセクションの上面図である。
【
図3A】本発明による接触表面プリンティング装置の図である。
【
図3B】本発明による接触表面プリンティング装置の図である。
【
図4】
図3Aおよび
図3Bに示されているプリントフォーミング装置のプレスセクションの詳細図である。
【
図5A】本発明によって作製されたストラクチャリングファブリックのプリントの例である。
【
図5B】本発明によって作製されたストラクチャリングファブリックのプリントの例である。
【
図5C】本発明によって作製されたストラクチャリングファブリックのプリントの例である。
【
図5D】本発明によって作製されたストラクチャリングファブリックのプリントの例である。
【
図6A】ストラクチャリングファブリックプリントに関する座標系を確立するステップを示す図である。
【
図6B】ストラクチャリングファブリックプリントに関する座標系を確立するステップを示す図である。
【
図6C】ストラクチャリングファブリックプリントに関する座標系を確立するステップを示す図である。
【
図6D】ストラクチャリングファブリックプリントに関する座標系を確立するステップを示す図である。
【
図6E】ストラクチャリングファブリックプリントに関する座標系を確立するステップを示す図である。
【
図7A】ファブリックのナックルの写真に適用された本明細書の解析技法の適用を示す図である。
【
図7B】ファブリックのナックルの写真に適用された本明細書の解析技法の適用を示す図である。
【
図7C】ファブリックのナックルの写真に適用された本明細書の解析技法の適用を示す図である。
【
図8A】ファブリックのナックルの写真およびプリントに適用される代替的な解析技法を示す図である。
【
図8B】ファブリックのナックルの写真およびプリントに適用される代替的な解析技法を示す図である。
【
図9】ストラクチャリングファブリックの中のナックルによって取り囲まれたポケットを決定するための解析技法の適用を示す図である。
【
図10】
図8に示されているポケットの深さを決定するための解析技法の適用を示す図である。
【
図11A】紙製品のイメージおよびそのストラクチャリングファブリックに適用された解析技法の適用を示す図である。
【
図11B】紙製品のイメージおよびそのストラクチャリングファブリックに適用された解析技法の適用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、製紙プロセスにおいて使用されるファブリックの接触表面の特性を決定するための装置、方法、およびシステムに関する。下記の議論から明らかになるように、「ファブリックの接触表面の特性」は、ファブリックの接触表面を構成するナックルおよびポケット構成から結果として生じる接触表面の特性を表している。特定の実施形態では、本発明は、製紙プロセスの中の、ウェブの3次元構造形成に使用されるストラクチャリングファブリックとともに使用するように適合されている。そのようなストラクチャリングファブリックは、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリアミド、およびポリプロピレンなどから作製される糸によって構築されることが多い。さらに下記に説明されるように、ストラクチャリングファブリックの特定の接触表面は、紙製品の構造に重要な影響を有することになり、本発明は、接触表面の態様を特性評価するための技法を利用する。しかし、本発明は、ウェブの構造形成以外の目的のために使用されるファブリックを含む、製紙プロセスにおいて使用される任意のタイプのファブリックに適用可能であることに留意されたい。
【0010】
図1は、通風乾燥(TAD)製紙プロセスの例を示している。通風乾燥(TAD)製紙プロセスでは、ストラクチャリングファブリック48が、紙製品の3次元構造を形成するために使用されている。プロセスを開始するために、ヘッドボックス20を通して供給される製紙原料(furnish)が、フォーミングファブリック24とトランスファファブリック28との間に形成されるニップ(nip)の中へジェットで方向付けされる。フォーミングファブリック24およびトランスファファブリックは、フォーミングロール32とブレストロール36との間を通る。フォーミングファブリック24およびトランスファファブリック28は、フォーミングロール32とブレストロール36との間を通った後に分かれる。次いで、トランスファファブリック28は、脱水ゾーン40を通過し、脱水ゾーン40では、サクションボックス44が、ウェブおよびトランスファファブリック28から湿分を除去し、それによって、ストラクチャリングファブリック48へのウェブの移送の前に、ウェブの濃度を、たとえば、約10%から約25%へ増加させる。いくつかの場合では、とりわけ、トランスファファブリック28がストラクチャリングファブリック48よりも速く移動する、いわゆるラッシュトランスファによって、ちりめん状となった(crepe)ファブリックのかなりの量がトランスファゾーン56の中のウェブに与えられるときに、真空アシストボックス52を通して示されているように、トランスファゾーン56において、いくらかの量の真空を印加することが有利であることになる。
【0011】
ウェブは、ストラクチャリングファブリック48へ移送されるときに、依然として高い含水率を有しているので、ウェブは変形可能であり、ウェブの一部分が、ストラクチャリングファブリック48を構成する糸間に形成されたポケットの中へ引き込まれ得る(ファブリックの中のポケットの構造は、詳細に下記に説明されることになる)。ストラクチャリングファブリック48が通風乾燥機60および64の周りを通るとき、ウェブの濃度が、たとえば、約60%から約90%へ増加させられる。それによって、ウェブは、ストラクチャリングファブリック48によって、おおむね永久的に形状を与えられ、それは、ドームを含む。ドームは、ウェブがストラクチャリングファブリック48のポケットの中へ引き込まれた場所である。したがって、ストラクチャリングファブリック48は、3次元形状をウェブに提供(転写)し、それは、ドーム構造を有する紙製品を結果として生じさせる。
【0012】
紙形成プロセスを完了するために、平行移動するウェブに接触する直前にヤンキーシリンダー68の上にスプレーされた接着剤とウェブを接触させることによって、その性質の大きな劣化なしに、ウェブは、ストラクチャリングファブリック48からヤンキーシリンダー68へ移送される。ウェブが少なくとも約96%の濃度に到達した後で、ライトクレーピング(light creping)が、ヤンキーシリンダー68からウェブを取り除くために使用される。
【0013】
図1は、ストラクチャリングファブリックが3次元形状を紙製品に与えるために使用されている1つのタイプのプロセスを示すが、ストラクチャリングファブリックが3次元構造を紙製品に与えるために使用され得る多くの他の製紙プロセスが存在している。たとえば、ストラクチャリングファブリックは、通風乾燥(TAD)を利用しない製紙プロセスにおいて使用され得る。そのような非TADプロセスの例は、米国特許第7,494,563号に開示されており、その開示は、その全体が参照により組み込まれている。当業者によって理解されるように、本明細書で開示されている本発明は、任意の特定の製紙プロセスにおいて使用されることに限定されず、むしろ、多種多様な製紙プロセスにおいて使用されるファブリックに適用され得る。
【0014】
図2は、ストラクチャリングファブリック200の、ウェブに面する側の一部分の図である。ファブリック200は、経糸202および緯糸204を含み、経糸202は、ファブリック200が製紙プロセスにおいて使用されるときに、マシン方向(MD)に走ることになり、緯糸204は、ファブリック200が製紙プロセスにおいて使用されるときに、クロスマシン方向(CD)に走る。経糸および緯糸202および204は、ファブリック200の構造を形成するように一緒に織られている。
図2を見下ろしたときに、ストラクチャリングファブリック200のウェブに接触する表面において、示されている糸202および204のいくつかは、製紙プロセスの間にウェブに接触する平面、すなわち、ファブリック200の接触表面よりも下(奥)にあることに留意されたい。接触表面の平面を画定する糸202および204の最も上側のポイントは、ナックル206および208である。すなわち、ナックル206および208は、フォーミングファブリック200の実際の接触表面を形成する。ポケット210(
図2の中に輪郭を描かれている領域として示されている)が、ナックル206および208の間の領域の中に画定されている。製紙動作の間に、ウェブの一部分は、ポケット210の中へ引き込まれ得、上記にも説明されているように、完成した紙製品の中のドームに対応するのは、ポケット210の中へ引き込まれるウェブの一部分である。
【0015】
ストラクチャリングファブリックは、最初は、
図2のナックル206および208などのようなナックルを備えて製造されなくてもよいことに留意されたい。その代わりに、ナックルは、ストラクチャリングファブリックの表面のうちの一方をサンディング(sanding)または研磨することによって形成されることが多い。さらに、ストラクチャリングファブリックが製紙動作において使用されるときに、ストラクチャリングファブリックの表面の上の摩耗が、ナックルの長さをさらに増加させる可能性がある。下記に説明されるように、本発明は、ファブリックが摩耗を受けているときのナックルの特性を含む、ナックルの特性を決定することを提供する。
【0016】
また、たとえば、経糸および緯糸の織目、ならびに、糸のサイズに応じて、ストラクチャリングファブリックは、多数の形態をとることが可能であることに留意されたい。
図2に示されているストラクチャリングファブリック200は、経糸202の上に形成されているナックル206と、緯糸204の上に形成されているナックル208とを含む。これは、ファブリック200がサンディングされることから、または、ナックルが経糸および緯糸202および204の両方の上に形成される時点までファブリック200が摩耗することから、結果として生じさせられる可能性がある。しかし、より少ないサンディングにより、ファブリック200は、経糸202の上にナックル206だけを有し、緯糸204の上にはナックル208を有さないことも可能であり、または、その逆も同様である。ストラクチャリングファブリックの中の緯糸および経糸の多数の構成が当技術分野で知られており、多数の構成が、異なる形状の紙製品がファブリックによって形成されることを可能にする。
【0017】
ファブリックのナックルによって形成される接触表面のプリント(転写物)を形成するための装置および技法が、
図3Aおよび
図3Bに示されている。
図3Aは、接触表面プリンティング装置300の側面図であり、
図3Bは、接触表面プリンティング装置300の正面図である。この装置300は、第1および第2のアーム303および305を備えるC字形状のフレーム構造302を含む。第1のプレート304が、第1のアーム303によって移動可能に支持されており、静止した第2のプレート306が、第2のアーム305によって支持されている。ファブリックのナックルのプリントが、詳細に下記に説明されるように、第1のプレート304と第2のプレート306との間に形成される。
【0018】
第1のプレート304は、第2のプレート306に向けての第1のプレート304の移動を作動させるための液圧式ポンプ308に動作可能に接続されている。いくつかの実施形態では、液圧式ポンプ308は、手動式であり、第1のプレート304が第2のプレート306から後退させられることを可能にするためのリリース弁を備える。しかし、ポンプ308は、第1のプレート304の移動を実現するために、多くの他の形態をとることが可能である。ポンプ308は、第1のプレート304が第2のプレート306に対してプレスされるときにポンプ308によって第1のプレート304に印加される圧力を測定するためのトランスデューサおよびトランスデューサインジケータ310に接続され得る。特定の例として、Milwaukee,WisconsinのActuant Corp.によるENERPAC(登録商標)Hydraulic Hand Pump Model CST-18381が使用され得る。圧力トランスデューサの特定の例として、Temecula,CaliforniaのTransducer Techniques,Inc.製の、対応するインジケータを備えるTransducer Techniques Load Cell Model DSM-5Kが使用され得る。当然のことながら、他の実施形態では、ポンプ308、ならびに、トランスデューサおよびトランスデューサインジケータ310は、単一のユニットへと組み合わせられ得る。
【0019】
接触表面プリンティング装置300のフレーム302は、フレーム302のフロントエンドに隣接するホイール312、ならびに、ポンプ308および/またはトランスデューサ310を保持するために使用され得るマウント313を含む。フレーム312に設けられる1つまたは複数のホイールは、フレーム302が移動することをより容易にする。本発明の実施形態によれば、接触表面プリンティング装置300の有利な特徴は、その可搬性である。たとえば、
図3Aおよび
図3Bに示されているような構成によって、プリント装置300は、製紙機械の上に装着されているファブリックのセクションの周りに容易に移動させられ得る。当業者によって確実に理解されるように、ファブリックが製紙機械に装着されている間にファブリックの接触表面のプリントを形成する能力、および、したがって、下記に説明されている技法にしたがってファブリックを特性評価する能力は、多数の利益を提供する。1つの例としてではあるが、製紙機械の上のファブリックの摩耗は、接触表面プリンティング装置300を使用することによって容易に監視され、製紙機械の動作の異なる期間の後に、ファブリックのナックルのプリント(転写物)をとることができるように描く。
【0020】
図3Aおよび
図3Bに示されている接触表面プリンティング装置300は、第1のプレート304および第2のプレート306を接続するフレーム構造302を含むが、他の実施形態では、接触表面プリンティング装置は、そのような単一のフレーム構造302を含まなくてもよい。その代わりに、第1および第2のプレート304および306は、接続されていない構造であってもよく、それは、ファブリックのプリントを形成するために個別に整合させられる。さらなる他の実施形態では、プレート304および306は、
図3Aおよび
図3Bに示されているものとは非常に異なる形態をとることが可能である。たとえば、プレート304および306のうちの一方は、拡大された表面として形成され得るが、他方のプレートは、拡大された表面を横切って転がされる円形構造として形成されている。「プレート」という用語は、本明細書で使用されているように、ファブリックのプリントを作製するためのコンポーネントに接触および/または支持するのに十分な任意の構造を包含する広義の用語である。さらに、上記の説明から明確であるように、任意の実施形態の第1および第2のプレート304および306の相対運動は反転させられ得、第1のプレート304が静止した状態に維持される間に、第2のプレート306が移動可能にされるように描く。
図4は、
図3Aに示されている接触表面プリンティング装置300のセクションAの詳細図であり、装置300は、ファブリック312のセクションのプリントを作製するためにセットアップされている。ファブリック312は、プレート304とプレート306との間に位置決めされており、圧力測定フィルム314のストリップが、ストラクチャリングファブリック312に対向して位置決めされている。圧力測定フィルム314と第1のプレート304との間に、1つまたは複数のシートの紙316がある。ファブリック312と第2のプレート306との間に、ゴム318のストリップがある。
【0021】
圧力測定フィルムは、フィルムに力を印加することがフィルムの中のマイクロカプセルを破裂させるように構造化された材料であり、瞬間的で永久的な高分解能イメージを、フィルムの接触された領域の中に作り出す。そのような圧力測定フィルムの例は、日本の東京の富士フィルムホールディングス株式会社によってPrescaleフィルムとして販売されている。圧力測定フィルムの別の例は、Madison,New JerseyのSensor Products,Inc.によるPRESSUREX-MICRO(登録商標)である。当業者は、他のタイプの圧力測定フィルムが、本明細書で説明されているプリンティング技法において使用され得ることを理解することになる。この点において、下記に説明されている解析技法に関して、圧力測定フィルムは、ファブリックによってフィルムに印加される実際の圧力の指示を提供する必要がないが、むしろ、圧力測定フィルムは、ファブリックのナックルによって形成される接触表面を示すプリントイメージを提供することだけが必要であることに留意されたい。
【0022】
プレート304に印加される圧力は、圧力測定フィルム314の上のファブリック310のプリントを形成するときに、実際の製紙プロセスにおいてファブリック312に対向するウェブに印加されることになる圧力をシミュレートするために選択され得る。すなわち、ポンプ308は、プレート304の上に(トランスデューサ310によって測定されるような)圧力を生成するために使用され得、それは、製紙プロセスにおいてファブリック312に対向するウェブに印加されることになる圧力をシミュレートする。
図1に関連して上記に説明されている製紙プロセスにおいて、シミュレートされた圧力は、ファブリック48からヤンキーシリンダー68に対向するウェブに印加される圧力であることになる。上述の米国特許第7,494,563号に説明されている方法などのような、いくつかの製紙プロセスでは、ファブリックに対向するウェブに印加される圧力は、一般的に600psiの範囲にある。したがって、この製紙プロセスをシミュレートするために、圧力測定フィルム314の中にファブリック312のナックルのイメージを形成するときに、600psiの圧力が、液圧式ポンプ308によってプレート304に印加されることになる。そのような動作に関して、富士フィルムによる中圧10~50MPa用Prescaleフィルムは、ストラクチャリングファブリックのナックルの良好なイメージを提供することが可能であることが見出された。
【0023】
再び
図4を参照すると、紙316は、圧力測定フィルム314の上に形成されるファブリック312のプリントを改善するために、クッションとしての役割を果たす。すなわち、紙316は、圧縮性および滑らかな表面を提供し、その結果、ファブリック312のナックルが、圧力測定フィルム314の中へ「沈む」ことが可能であり、それは、フィルム314の中のナックルの高分解能イメージを形成する。これらの性質を提供するために、コンストラクションおよびクラフトは、紙316に関して使用され得る紙のタイプの例である。
【0024】
ゴム318のストリップは、ファブリック314を支持するための水平な接触表面を生成させる。本発明の実施形態では、プレート304および306は、鋼などのような金属材料から作製されている。鋼板は、圧力測定紙316の中に形成されるファブリックのナックルのプリントの品質を低減させる不完全性を有する可能性が最も高くなる。しかし、プレート304とプレート306との間で使用される紙316およびゴム318、ならびに、圧力測定フィルム314およびファブリック312は、金属製プレート304および306の表面よりも水平な接触表面を提供し、それによって、より良好なイメージが圧力測定フィルム314の中に形成される。紙316およびゴム318に対する代替例として、他の材料が、装置300のプレート304とプレート306との間に水平な表面を提供する構造体として使用され得ることを、当業者は理解することになる。
【0025】
他の実施形態では、プリントは、圧力測定フィルム以外の材料の中のファブリックのナックルから作製される。フィルムのプリントを形成するために使用され得る材料の別の例は、ワックスペーパーである。ファブリックの接触表面のプリントは、ファブリックの接触表面をワックスペーパーに対してプレスすることによって、ワックス表面の中に作製され得る。ワックスペーパーの中のプリントは、上記に説明されているプリントフォーミング装置300の中のプレート304および306を使用して作製され、または、プレートの他の構成によって作製され得る。次いで、ワックスペーパープリントは、下記に説明されるように、圧力測定フィルムプリントと同じように解析され得る。
【0026】
図5Aから
図5Dは、接触表面プリンティング装置300を使用して、圧力測定フィルムの中に形成されるナックルのプリントの例を示す。これらのプリントでは、ファブリックのナックルの独特な形状およびパターンを見ることが可能である。上記に議論されているように、ナックルは、ファブリックのための接触表面を形成する。したがって、
図5Aから
図5Dに示されているものなどのような、圧力測定フィルムの中のナックルの高分解能プリントは、ファブリックの接触表面の優良な表現を提供する。
【0027】
次に、
図5Aから
図5Dに示されているものなどのような、ナックルのプリントを解析するためのシステムが説明されることになる。システムの中では、グラフィカルな解析が、従来のコンピュータシステムの上で行われることになる。そのようなコンピュータシステムは、通信インフラストラクチャ(たとえば、通信バス、クロスオーバーバーデバイス、またはネットワーク)に接続されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(たとえば、中央処理装置または複数の処理ユニット)などのような、周知のコンポーネントを含むことになる。コンピュータシステムのさらなるコンポーネントは、表示画面上での表示のためにビデオグラフィック、テキストなどを転送するディスプレイインターフェース(または、他の出力インターフェース)である。コンピュータシステムは、キーボード、マウスデバイス、メインメモリ、ハードディスクドライブ、リムーバブルストレージドライブ、ネットワークインターフェースなどのような、共通のコンポーネントをさらに含むことが可能である。
【0028】
解析における第1のステップとして、ファブリックのナックルの接触領域のプリントが、フォトスキャナを使用して、コンピュータ可読のイメージへ転換される。任意のタイプのフォトスキャナが、コンピュータ可読のイメージを生成するために使用され得る。しかし、特定の実施形態では、少なくとも2400dpiを有するフォトスキャナが、解析のために良好なイメージを提供することが見出された。イメージのスキャンの分解能によって、(下記に説明されるような)イメージング解析プログラムは、正確なスケールをイメージに適用することが可能である。下記に説明されるように、正確なスケーリングが、ストラクチャリングファブリックの表面特性の計算において使用されることになる。
【0029】
スキャンされたイメージは、下記に説明されている解析を容易にするために、非一時的なコンピュータ可読媒体内に保存され得る。本明細書で使用されているように、非一時的なコンピュータ可読媒体は、一時的な伝搬信号を除いて、すべてのコンピュータ可読媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、たとえば、ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブなどを表すハードディスクドライブおよび/またはリムーバブルストレージドライブを含む。
【0030】
スキャンされるイメージ、ならびに、下記に説明されている技法にしたがって決定される接触表面スキャンされるイメージの特性は、データベースに関連付けられ得る。本明細書で使用されているように、「データベース」は、コンピュータプログラムが、たとえば、電子ファイリングシステムなど、データの所望のピースを迅速に選択するような方式で組織されたデータの収集を意味している。いくつかの実装形態では、「データベース」という用語は、「データベース管理システム」の省略表現として使用され得る。
【0031】
スキャンされたプリントイメージの定量的な解析を行うために、イメージ解析プログラムが、ファブリックのナックルのスキャンされたイメージとともに使用される。そのようなイメージ解析プログラムは、たとえば、グラフィカルなイメージとともに働く計算ソフトウェアによって開発される。そのような計算開発ソフトウェアの1つの例は、Champaign,IllinoisのWolfram Research,LLCによるMATHMATICA(登録商標)である。下記に説明されるように、イメージ解析プログラムは、ストラクチャリングファブリックのファブリックプリントイメージ内のナックルを具体的に識別するために使用されることになり、また、ファブリックプリントイメージの公知のスケーリングによって、イメージ解析プログラムは、ナックルのサイズを計算し、ポケットのサイズを推定することが可能である。
【0032】
スキャンされたイメージを解析するときには、複数のナックルおよびポケットを含む任意のサイズ領域が、下記に説明されている解析のために使用され得る。特定の実施形態では、ファブリックのイメージの1.25インチ×1.25インチ(3.175×3.175センチメートル)の領域が、本明細書で説明されている技法を使用して、ポケットサイズなどのような性質の良好な推定を可能にすることが見出された。とりわけ、イメージが2400dpi分解能(上記に議論されている)を用いて形成されているときに、および、解析のためのイメージの1.25インチ×1.25インチ(3.175×3.175センチメートル)の領域を使用するときに、接触表面の良好な特性評価が行われ得ることが見出された。当然のことながら、他の分解能および/または領域も、良好な結果を提供することが可能である。
【0033】
図6Aから
図6Eは、イメージ解析プログラムを使ったプリントのスキャンイメージの拡大部分において、ナックルを識別するステップを示す。最初に、
図6Aに示されているように、イメージ600の拡大された部分が、解析プログラムを走らせているコンピュータシステムの表示画面上に見られる。イメージ602は、上記に説明されているプリント技法を使用して形成され得、イメージ602は、ナックル602を示す。解析プログラムによってイメージ600を使用することともに、イメージ600のスケーリングが、解析プログラムの中へ入力され得る。そのようなスケーリングは、たとえば、2400dpiとして入力され得、それから、解析プログラムはスケールSCをイメージ600に適用することが可能である。次いで、解析プログラムは、下記に説明されているように、スケールを使用して、ナックルのサイズおよび位置を計算することになる。
【0034】
図6Bおよび
図6Cは、解析プログラムを使用して、特定のナックル602Aを識別するためのステップを示す。ナックル602Aは、拡大されたイメージ600の中央領域におけるその場所に基づいて最初に選択される。このステップでは、ナックル602Aの粗い輪郭が適用される。長方形ボックス604は、解析プログラムの中に保存された形状であることが可能であり、長方形ボックス604は、最初に、ナックル識別プロセスを開始させるために、ナックル602Aの周りに適用される。次いで、最初の長方形ボックス604形状は、
図6Cに示されているように、ナックル602Aの形状にマッチングするように、より念入りに精密化させられ得る。このケースでは、端部606および608は、より丸みを帯びるように、および、したがって、ナックル602Aの端部により正確に対応するように、再度、形決めされる。示されてはいないが、さらなる精密化が、十分なマッチングが行われるまで、ナックル602Aの輪郭に対して行われ得る。そのような精密化は、イメージ600をさらに拡大することによって行われ得る。
【0035】
図6Dに示されているように、ナックル602Aが輪郭によって識別された後に、ガイドライン610および612が描かれる。ガイドライン610および612は、ナックル602Aの中心を通過し、他のナックルの中心を通る真線で延在するようにそれぞれ描かれる。また、特に、ガイドライン610および612は、ポケットがファブリックの中に形成されている領域を交差しないように描かれており、その領域は、ナックルのグループの間の領域に対応することが知られている。ガイドライン610および612をナックルの中心の間に真っ直ぐに描くことによって、ガイドライン610および612は、ナックル間に形成されているポケットの領域を交差しない。
【0036】
ガイドライン610および612が描かれた後に、
図6Eに示されているように、さらなるガイドラインが描かれる。これらのガイドラインは、ガイドライン610および612と同様に、すなわち、ナックルの中心を通して描かれており、ポケットが形成されている領域を通過しない。ガイドラインを描くプロセスを支援するために、より低い倍率が使用され得る。ガイドラインによって、座標系が、事実上、ナックルの位置に関して確立される。したがって、解析プログラムは、ここで、輪郭602Aに基づいて、ナックルのサイズおよび形状を識別することが可能であり、ガイドラインが交差するポイントによって決定されるものとして、ナックルの場所を識別することが可能である。解析プログラムは、イメージ600入力のスケールSCをさらに有している。したがって、解析プログラムが、輪郭ナックル602Aおよびナックル位置決めにスケールを適用し、ナックルの実際のサイズおよびスペーシングを計算することが可能であることになる。同様に、解析プログラムは、単位長さ当たりにガイドライン612がガイドライン610に交差するときの数などのような、ガイドラインの頻度を計算することが可能であることに留意されたい。ガイドライン610および612のそれぞれのセットの頻度は、ファブリックの性質の計算において使用されることになり、本発明の他の態様では、下記に説明されるように使用されることになる。
【0037】
図6Dおよび
図6Eに示されているように、ナックルは、すべてで同じサイズであり、かつ、すべてで同じ形状であり、ナックルは、ガイドラインに沿って規則的に間隔を置いて配置されていることに留意されたい。これは、驚くことではない。その理由は、製紙機械に関するほとんどのファブリックは、高度に一貫した糸パターンで製造されており、それは、一貫したナックルサイズおよび位置を結果として生じさせるからである。ナックルのサイズ、形状、および設置の一貫性は、単一の選択されたナックルに基づいて、または、識別されたナックルの限定された数に基づいて、ファブリックの接触表面の上のすべてのナックルのサイズおよび形状の正確な推定を可能にしており、また、ナックルのサイズおよび場所の精密な推定が、それぞれのナックルを識別することなく実現され得る。当然のことながら、さらなる精度を実現するために、2つ以上のナックルが、識別され得、輪郭およびガイドラインが、イメージの異なる部分で描かれ得る。
【0038】
図6Eに示されているように、ガイドライン610および612は、複数の単位セルを画定している。特定の単位セル613が、ガイドラインセグメント610A、610B、612A、および612Bの間に示されている。単位セル613は、事実上、ファブリックの中の最小繰り返しパターン、および、最大許容可能なポケットサイズを示す。
図6Aから
図6Eに示されているファブリックは、単位セル当たりに約1つの経糸方向ナックルを有しているが、他のファブリックは、単位セル当たりに2つ以上の経糸方向ナックルおよび/または2つ以上の緯糸方向ナックルを有することも可能であることに留意されたい。換言すれば、ナックルパターンによって画定される単位セルは、異なるファブリックパターンによって変化することになる。
【0039】
当業者には容易に明らかになるように、
図6Aから
図6Eに示されているステップのいずれかまたはすべては、表示画面上でユーザによって行われ得るか、または、代替として、解析プログラムの実行により行われるように自動化され得るかのいずれかであることが可能である。すなわち、解析プログラムは、イメージの黒ずんだ領域としてナックルを自動的に識別し、ナックルの輪郭を描き、次いで、上記に説明されているように、識別されたナックルに基づいてガイドラインを描くように構成され得る。
【0040】
選択されたナックルが識別された後に、および、ガイドラインがナックルを通して確立された後に、ファブリックの複数の性質が、解析プログラムによって決定されるナックルサイズおよび位置を使用して計算され得る。そのような計算を行うために、ナックルサイズおよび位置決めデータは、解析プログラムから従来のスプレッドシートプログラムへエクスポートされ、ファブリックの性質を計算することが可能である。解析プログラムによってなされる決定、および、そのような決定から続く計算の例が、表1に示されている。
【0041】
【0042】
イメージ600から得られたファブリックは、経糸条の上のナックル602だけを含んでいた。しかし、他のファブリックは、
図5Bおよび
図5Dのプリントを形成したファブリックなどのような、緯糸条の上のナックルを含むことが可能である。そのようなファブリックによって、緯糸条の上のナックルは、上記に説明されている輪郭を描く技法を使用して識別され得、ガイドラインは、上記に説明されている技法を使用して、緯糸方向ナックルを通して描かれ得る。
【0043】
ファブリックの接触表面は、たとえば、接触表面プリンティング装置300によって形成されるファブリックのナックルのプリント(転写物)を使用することによって特性評価され得るが、他の実施形態では、ファブリックの接触表面のイメージは、異なるように得られ得る。ファブリックのナックルのプリントを形成することの代替例は、ファブリックのナックルを写真に撮り、次いで、写真から形成されたイメージを解析するための上記に説明されている手順および技法を使用することである。この点において、2400dpiを有する写真が、本明細書で説明されている技法によって解析されるのに十分に高く低い分解能を提供することが見出されている。
【0044】
ナックル702aを備える製紙ファブリックの一部分の写真700の例が、
図7Aに示されており、上記に説明されている解析技法を、写真700から生成されたイメージに適用することが、
図7Bおよび
図7Cに示されている。
図7Aの写真700は、定規Rの隣にファブリック701を示す。写真が、解析プログラムとともに使用するためのイメージに転換されるときに、イメージ700Aのためのスケールは、写真を撮られた定規Rに基づいて入力され得る。すなわち、イメージ700Aの中の定規Rは、入力を提供し、解析は、その入力から、スケールをイメージに適用することが可能である。表示されるイメージ700Aが、スケールSCとともに、
図7Bに示されている。
【0045】
ファブリックの写真から得られたイメージ内のナックルのサイズおよび場所を識別するために、ファブリックのプリントからのイメージを用いて上記に説明されている同じ技法が使用され得る。たとえば、輪郭を描かれたナックル702A、ならびに、ガイドライン710および712が、
図7Cのイメージ700Aの上に示されている。解析プログラムからのナックルサイジングおよび場所データによって、上記に説明されている計算のすべてが実施され、写真を撮られたファブリック700の接触表面を特性評価することが可能である。
【0046】
下記の表2は、ファブリックに関する表面特性の計算の結果を示しており、計算の1つのセットは、ファブリックのプリントから導出されており、第2のセットの計算は、ファブリックの写真から導出されている。
【0047】
【0048】
表2に示されている結果は、写真技法を使用して実現される接触表面特性評価計算が、ファブリックのプリントを使用して実現される計算に緊密に対応していることを示す。
【0049】
上記に説明されている技法は、とりわけ、ガイドラインセグメントによって形成される単位セルの形状が実質的に長方形であるときに、ファブリックの性質の良好な推定を提供する。しかし、ガイドラインによって形成される単位セルの形状が非長方形の平行四辺形である場合には、代替的な技法が、ファブリックの性質のより正確な推定を提供するために使用され得る。この代替的な技法の例が、
図8Aに示されており、それは、上記に説明されているイメージ解析プログラムを使用して、ファブリックの表面の写真から生成されたイメージである。この図では、単位セル813は、ガイドラインセグメント810A、810B、812A、および812Bによって画定されている。ガイドラインセグメント810A、810B、812A、および812Bによって形成される単位セル813は、実質的に非長方形の平行四辺形形状である。この平行四辺形において、角度θが、ガイドラインセグメント810Aおよび812Bが交差する角部Aにおいて定義され、また、角度θが、ガイドラインセグメント810Bおよび812Aが交差する角部Bで定義される。この角度θは、ガイドラインの配向角度の相違に基づいて、イメージ解析プログラムを使用して、容易に決定され得る。さらに、イメージ解析プログラムは、全体的に上記に説明されているようにイメージのスケールに基づいて、ガイドラインセグメント810Aと810Bとの間の距離(「DIST1」)およびガイドラインセグメント812Aと812Bとの間の距離(「DIST2」)を決定することが可能である。交差角度θ、DIST1、およびDIST2を決定すると、単位セル(UCA)の面積が、公式(1)または公式(2)のいずれかを使用して計算され得る。
UCA=(DIST1/sinθ)×DIST2 (1)
UCA=(DIST2/sinθ)×DIST1 (2)
公式(1)および(2)は、平行四辺形の面積を計算するための標準的な公式、すなわち、面積=底辺長さ×高さから導出され、ここで、DIST1またはDIST2は、平行四辺形の高さとして使用されており、次いで、底辺長さは、角度θの正弦、および、DIST1またはDIST2のうちの他方から計算される。
【0050】
表3は、非長方形の平行四辺形単位セルの面積計算に基づく代替的な技法を使用するときの、解析プログラムによってなされる決定、および、そのような決定から続く計算の例を示す。
【0051】
【0052】
表3の中の特性のいくつかは、表1において上記に説明されているものと同じように決定または計算されているが、ナックル密度、経糸方向または緯糸方向ナックル接触面積の合計、接触面積比、パーセント面積寄与率、ポケット面積推定、およびポケット密度特性は、表1におけるものとは異なって、表3で計算されていることに留意されたい。単位セルの非長方形の平行四辺形形状を考慮することによって、これらの異なる計算は、非長方形の平行四辺形形状の単位セルを有するファブリックの特性のより正確な推定を提供する。
【0053】
図8Bは、上記に説明されている技法を用いて作製されたファブリックのプリントである。このケースでは、ファブリックは、過度に非長方形の単位セルを有しており、単位セルを画定する平行四辺形の角部における角度θの1つは、約140度である。説明された第1の技法(それは、平行四辺形形状の単位セルに特別には適合されていない)と、非長方形の平行四辺形単位セルのための技法との間の相違を実証するために、2つのセットの計算が、ファブリックに対して行われ、その結果は、表4に示されている。
【0054】
【0055】
表4に示されている性質のいくつかは、2つの計算に関して同じであるが、合計面内接触面積およびポケット密度は異なっていることに留意されたい。非長方形の平行四辺形単位セルに適合された計算方法は、
図8Bに示されているファブリックの実際に内在する形状および構造により緊密にマッチングする測定を利用することを考慮すると、非長方形の平行四辺形単位セルに特別に適合された計算技法によって決定される合計面内接触面積(すなわち、ナックルに対応するファブリックのパーセンテージ)およびポケット密度は、より正確であることになる。当業者は理解するように、ファブリックの合計面内接触面積およびポケット密度は、ファブリックの製紙性質に大きな影響を及ぼす。したがって、非長方形の平行四辺形計算は、所定のファブリックの重要な性質に関して、より正確な推定を提供する。
【0056】
製紙ファブリックの別の重要な特性は、製紙プロセスの間にウェブがファブリックの中のポケットの中へ引き込まれ得る深さである。上記に議論されているように、ドームが、最終紙製品の中に形成されており、それは、ファブリックの中のポケットの中へ引き込まれたウェブの一部分に対応している。したがって、製紙ファブリックのポケット深さは、ファブリックを使用して形成される紙製品に直接的に影響を及ぼす。ファブリックのポケット深さを決定するための技法が、ここで説明されることになる。
【0057】
図9は、ストラクチャリングファブリックの拡大された写真を示す。写真を用いて、および、上記に説明されているイメージ解析プログラムを使用して、4つのナックルK1~K4が識別される。平行四辺形は、ナックルK1~K4を接続するように描かれており、平行四辺形のラインは、ナックルK1~K4の間に形成されているポケット面積を通過しないように描かれている。平行四辺形が描かれた状態で、ナックルK1から、ポケットの中心を通って、ナックルK3へ至るプロファイル方向ラインPLが描かれ得る。プロファイル方向ラインPLは、下記に説明されているように、深さ測定器具を使用してポケット深さを決定するために使用されることになる。ナックルK1およびナックルK3からのプロファイル方向ラインPLは、ポケットの中心を通過することに留意されたい。下記に説明されるように、ストラクチャリングファブリックのポケット深さは、製紙プロセスにおいてセルロース系繊維が到達することができるポケットの中の深さとして決定される。
図9に示されているファブリックの場合は、最大繊維移行深さは、ポケットの中心にある。したがって、プロファイル方向ラインが、代替として、ナックルK2からナックルK4へポケットの中心を通って描かれ得、代替的なプロファイル方向ラインが、下記に説明されているポケット深さ決定のために使用され得ることになる。また、異なるストラクチャリングファブリックは、ナックルおよびポケットの異なる構成を有することになるが、プロファイル方向ラインは、プロファイル方向ラインが
図9に示されているように決定されるのと同じように、異なるストラクチャリングファブリックに関して容易に決定され得ることを当業者は理解することになる。
【0058】
図10は、
図9に示されているストラクチャリングファブリックのポケットのプロファイルを決定するために使用されるプログラムのスクリーンショットである。スクリーンショットは、日本の大阪の株式会社キーエンスによって製造されているVHX-1000デジタル顕微鏡を使用して形成された。顕微鏡は、これもまた株式会社キーエンスによって提供されるVHX-H3Mアプリケーションソフトウェアを装備していた。ポケットの顕微鏡イメージが、
図10の上部部分に示されている。このイメージでは、ナックルK’1およびK’3、ならびに、ナックル間のポケットを容易に見ることが可能である。深さ決定ラインDLが、ポイントDからポイントCへ描かれており、深さ決定ラインDLが、ナックルK’1およびK’3、ならびに、ポケットの中心を通過している。深さ決定ラインDLは、
図8に示されているプロファイル決定ラインPLを緊密に近似するように描かれている。すなわち、
図9に示されているナックルおよびポケットイメージを使用して導出される深さ決定ラインDLの検査に基づいて、ユーザは、
図10に示されている顕微鏡イメージ内に深さ決定ラインDLを描くことが可能であり、深さ決定ラインDLは、ナックルK’3およびK’1、ならびに、ポケットの中心部分に対応する領域を通過する。
【0059】
深さ決定ラインDLが描かれることにより、デジタル顕微鏡は、次いで、
図10の底部部分に示されているように、深さ決定ラインDLに沿って、ポケットの深さプロファイルを計算するように指示され得る。ポケットのプロファイルは、ナックルK’3およびK’1に対応する領域において最も高くなり、プロファイルは、ポケットの中心においてその最も低いポイントまで落ちる。ポケット深さは、ナックルK’3およびK’1の高さから開始するものとして、このプロファイルから決定され、ナックルK’3およびK’1の高さは、深さプロファイルの上のラインAによってマークを付けられている。この程度の精度に測定されるストラクチャリングファブリックの任意の2つのナックルと同様に、ナックルK’3およびK’1は、正確に同じ高さを有していない。したがって、高さAは、ナックルK’3およびK’1の2つの高さの間の平均として決定される。ポケット深さは、深さプロファイルの最も低いポイントの直ぐ上方のポイントで終了するものとして決定され、それは、深さプロファイルの上にラインBによってマークを付けられている。当業者は理解するように、ラインAからラインBへのポケットの深さは、ウェブの中のセルロース系繊維が製紙プロセスにおいて移行することができるポケットの中の深さにおおよそ対応している。VHX-H3Mソフトウェア(上記に議論されている)は、ファブリックの厚さ方向の複数のスライスから完全な深さプロファイルを形成することに留意されたい。また、深さプロファイルを形成する際に、VHX-H3Mソフトウェアは、フィルタリング関数を用い、厚さスライスから形成される深さプロファイルを滑らかにすることにも留意されたい。測定されるポケット深さは、ファブリックの中のポケットごとにわずかに変化することになることに留意されたい。しかし、我々は、ストラクチャリングファブリックに関する5つの測定されたポケット深さの平均が、ポケット深さの良好な特性評価を提供することを見出した。
【0060】
デジタル顕微鏡が、ポケット深さを決定するために、上記に説明されている実施形態において使用されているが、他の器具が、代替として、本明細書で説明されている技法によってポケット深さを決定するために使用され得る。たとえば、他の実施形態では、レーザプロフィロメータ(または、「レーザプロファイラ」)が使用され、上記に説明されているデジタル顕微鏡と同様に、ポケット深さを決定することが可能である。レーザプロファイラは、ポケットの深さプロファイルを決定することが可能であり、ポケットの深さプロファイルは、上記に説明されているように、デジタル顕微鏡を使用して生成された深さプロファイルがポケット深さを決定するために使用されるのと同じように、ポケット深さを決定するために使用され得る。そのようなレーザプロファイラの例は、Leicester,United kingdomのTaylor Hobson,Ltd.によって製造されているTALYSURF(登録商標)CLI高分解能3D表面プロファイリングシステムである。さらなる他の実施形態では、インラインレーザプロファイル測定デバイス(「レーザラインスキャナ」)が使用され、本明細書で説明されている技法によって、ファブリックのポケット深さを決定することが可能である。そのようなレーザラインスキャナの例は、株式会社キーエンスによって製造されているLJ-V7000シリーズ高速インラインプロファイル検査デバイスである。
【0061】
レーザプロファイラまたはレーザラインスキャナを使用するとき、デジタル顕微鏡に関連して上記に説明されているものと同じステップが、ポケット深さを決定するために使用され得る。すなわち、
図9に示されているように、ナックルおよびポケットは、ストラクチャリングファブリックの表面の表現に基づいて決定される。次いで、レーザプロファイラまたはレーザラインスキャナは、1つのナックルから別のナックルへポケットを横切る深さプロファイルを決定するように設定され、すなわち、レーザプロファイラまたはレーザラインスキャナは、
図9のラインPLのように配向されているラインを横切ってスキャンする。この測定されたプロファイルから、ポケット深さが、
図10に関連して上記に説明されているその方法と同様に決定され得る。レーザプロファイラまたはレーザスキャナによって測定される深さプロファイルの解析を行うために、様々な解析ソフトウェアプログラムが使用され得る。1つの例は、North Huntingdon,PennsylvaniaのTrueGageによって提供される表面計量ソフトウェアである。
【0062】
代替的な深さ測定器具のそれぞれ、すなわち、デジタル顕微鏡、レーザプロファイラ、またはレーザラインスキャナは、特定の利点を提供することが可能である。たとえば、デジタル顕微鏡は、ポケット深さの高度に正確な測定を提供することが可能である。他方では、レーザプロファイラは、一般的に、それを用いて作業するのに容易な器具であり、それによって、ポケット深さの迅速な測定を提供することが可能である。別の例として、レーザラインスキャナは、大容量のデータを迅速に収集し、したがって、多くの深さプロファイルを短期間に測定する能力を有している。この点において、本発明の実施形態は、製紙機械の上を走っているストラクチャリングファブリックのポケット深さプロファイルを決定するためにレーザラインスキャナを使用することを含む。この実施形態では、レーザラインスキャナは、マシンの上のストラクチャリングファブリックに隣接して位置決めされ、レーザラインスキャナは、ファブリックがスキャナを通過して進行するときに、ポケット深さプロファイルを測定する。当業者によって理解されるように、製紙機械の中のストラクチャリングファブリックは、毎分3,000フィート(914.4m/min)よりも速い速度で進行することが可能である。しかし、株式会社キーエンスによる上述のLJ-V7000シリーズ検査システムなどのようなレーザラインスキャナは、毎秒数千の深さプロファイルを測定する能力を有している。したがって、レーザラインスキャナは、迅速に移動するストラクチャリングファブリックの中のポケット深さを測定する能力を有しており、それによって、ストラクチャリングファブリックが製紙機械の上で実際の使用されている状態で、高度に有用なポケット深さデータを提供する。
【0063】
ポケット深さを決定するために使用される測定器具および技法にかかわらず、測定されるポケット深さは、ファブリックの中のポケットごとにわずかに変化することになることに留意されたい。一般的に言えば、ストラクチャリングファブリックに関する5つの測定されたポケット深さの平均が、ポケット深さの良好な特性評価を提供することを見出した。当然のことながら、たとえば、測定において望まれる精度のレベルに応じて、平均ポケット深さを決定するために、より多くのまたはより少ない測定が行われ得る。
【0064】
上記に説明されているポケット深さ決定技法において、ストラクチャリングファブリック自体が、ポケット深さを決定するために使用される。いくつかのケースでは、ファブリックの表現を形成し、次いで、その表現からポケット深さを決定することが、より容易である可能性がある。たとえば、ファブリックのナックルおよびポケット構造の表現は、上記にも説明されているように、ファブリックの接触表面をワックスペーパーに対してプレスすることによって形成され得る。次いで、ファブリックのワックス表現は、上記に説明されている技法のうちの1つを使用してスキャンされ得る。たとえば、レーザラインスキャナが使用され、ワックスプリントの中のナックル間で、ワックスプリントの中の深さを決定することが可能である。
【0065】
ストラクチャリングファブリックのポケットの有効体積は、ストラクチャリングファブリックの重要な性質であり、それは、上記に説明されている技法のうちの1つにしたがってポケットサイズが計算されると、容易に決定され得ることを当業者は理解することになる。ポケットの有効体積は、ストラクチャリングファブリックの表面におけるポケットの断面積(すなわち、ナックル表面の間)に、製紙プロセスの間にウェブの中のセルロース系繊維が移行することができるポケットの深さを乗じた積である。ポケットの断面積は、上記の表1または表2において説明されているような、ポケット面積(PA)の推定と同じである。したがって、有効ポケット体積は、ポケット面積推定値と測定されたポケット深さとの積として簡単に計算され得る。
【0066】
ストラクチャリングファブリックの別の重要な性質は、ファブリックに関する平面的なボリュームインデックス(planar volumetric index)として定義され得る。一般的に言えば、ファブリックを使用して作製される紙製品の柔軟性、吸収性、および厚さ(caliper)は、ファブリックの接触面積、すなわち、製紙プロセスにおいてウェブが接触するファブリックのナックル表面によって形成される面積によって影響を受ける可能性がある。さらに、紙製品の柔軟性、吸収性、および厚さは、ファブリックの中のポケットのサイズによって影響を受ける可能性がある。平面的なボリュームインデックスは、(上記の表1または表2において述べられているような)接触面積比(CAR)に有効ポケット体積(EPV)を乗じ、それに、100を乗じたもの、すなわち、CAR×EPV×100として計算されるので、平面的なボリュームインデックスは、接触面積およびポケットサイズの指示を提供する。接触面積比および有効ポケット体積は、上記に説明されている技法を使用して計算され得、その後に、ファブリックに関する平面的なボリュームインデックスが、容易に計算され得る。
【0067】
当業者によって確実に理解されるように、ナックルおよびポケットのサイズおよび密度などのような、ファブリックのナックルおよびポケットの特性を知ることは、ファブリックの深い理解を提供する。特性を使用する用途の1つの例は、特定の接触表面特性と結果として生じる紙製品との間の相関関係を開発することに関与する。相関関係によって、さらなるファブリック構成が開発され得、それらの構成は、製紙機械の上でフルスケールファブリックをテストすることなく特性評価され得る。したがって、ファブリックの接触表面特性を決定するための上記に説明されている技法は、異なるファブリックを試しているファブリック製造業者および/または製紙業者の両方にとって、時間および資源を節約することが可能である。
【0068】
また、上記に説明されている技法は、製紙ファブリックの上の摩耗を解析する方法においても使用され得る。1つのそのような方法では、ファブリックの一部分の中のナックルの第1の表現が、媒体内で形成される。この第1の表現は、圧力測定フィルムの上のプリントであることが可能であり、または、その表現は、ファブリックの一部分の写真であることが可能であり、カメラの中に保存され得る。ファブリックのナックルの第1のイメージは、たとえば、圧力測定フィルムをスキャンすることによって、または、カメラから写真をダウンロードすることなどによって、第1の表現に基づいて生成される。生成されたイメージから、ファブリックの接触領域に関する少なくとも1つの特性は、上記に説明されているように決定され得る。次いで、ファブリックは、摩耗を受ける可能性がある。ファブリックが製紙機械の上に装着されている場合には、摩耗は、製紙機械を動作させることによって簡単に起こる可能性がある。代替として、摩耗のシミュレーションが、サンディングまたは研磨することによって、ファブリックの上で行われ得る。
【0069】
ファブリックが摩耗した後で、ファブリックの一部分のイメージを得て、接触表面特性を決定するプロセスが、再び行われる。すなわち、ファブリックの一部分の中のナックルの第2の表現が、媒体内で形成され、それは、第2のイメージを生成するために使用され、第2のイメージは、フィルムの表面特性を決定するために解析される。この点において、第2の表現は、第1の表現と同じファブリックの部分から取られてもよいし、または取られなくてもよい。ファブリックの中のナックルは、摩耗の結果としてサイズが増加することになることが予期されることになる。さらに、新しいナックルが、ファブリックの中に形成され得る。接触表面特性評価の一部として、ナックルサイズの増加は、摩耗の後の第2のイメージの解析と摩耗の前の第1のイメージの解析とを比較することによって定量化され得る。ファブリックを摩耗させ、その後に接触表面特性を決定するというようなプロセスが、任意の回数だけ、および、それぞれの解析の間の任意の所与の量の摩耗を用いて、繰り返され得る。
【0070】
ファブリックの上の摩耗を解析するさらなる一部は、ファブリックを使用して作製される紙製品を、摩耗に起因する接触表面の変化に相関させることを含む。たとえば、ファブリックの第1の表現がとられる前に、紙製品が、ファブリックを使用して形成される。製品の中のドームのサイズ、または、製品の厚さなどのような、紙製品の性質が、次いで、第1の表現によって形成される第1のイメージの解析を通して決定される接触表面特性と相関させられる。次いで、ファブリックが摩耗を受けた後に、および、ファブリックの第2の表現がとられる前に、第2の紙製品が、ファブリックを使用して形成される。次いで、第2に形成された紙製品の性質は、第2のイメージの解析を通して決定された接触表面特性と相関させられる。したがって、特定のファブリック構成が摩耗するにつれて、形成される紙製品がどのように変化するかの理解が実現され得る。
【0071】
本発明のさらなる態様では、上記に説明されている技法および方法は、とりわけ、ファブリックが長い期間にわたって製紙機械の上を走った後に、ファブリックの異なる部分を比較するために使用され得る。ファブリックの異なる部分は、ファブリックが製紙機械の中で辿るトラックの中の非一貫性に起因して異なる摩耗を示すことになることが知られている。異なる実施形態によれば、表面特性評価技法は、たとえば、ファブリックが製紙機械の上を走らされる前および後に、ファブリックの異なる部分に適用され得る。代替として、表面特性評価技法は、ファブリックが製紙機械の上に依然として装着されている間に、ファブリックの異なる部分に適用され得る。したがって、ファブリックの異なる部分が製紙機械の中でどのように摩耗するかことの理解が実現され得る。
【0072】
本発明のさらに別の態様によれば、接触表面特性評価は、特定の3次元構造を備える紙製品を作製するためのファブリックを得るために使用され得る。
図11Aおよび
図11Bは、そのようなプロセスを示す。
図11Aは、上記に説明されている技法を使用して解析される紙製品のイメージ800の例を示す。特に、紙製品は、3次元構造を有しており、3次元構造は、ランド領域によって分離されている複数のドームを含む。上記に説明されているように、そのような紙製品は、ストラクチャリングファブリックを使用して作製され得る。しかし、そのような製品を作製するために使用された特定のストラクチャリングファブリック構成が知られていない場合には、本発明による方法が使用されて、ストラクチャリングファブリック構成を識別することが可能である。
図11Aに示されているように、輪郭802Aは、紙製品のランド領域において解析プログラムを使用することによって、紙製品のイメージの上に描かれ得、それは、紙製品を作製するために使用されたストラクチャリングファブリックのナックルの位置に対応している。さらに、ガイドライン812および814を含む座標系が、輪郭802Aを通して、および、他のナックルに対応する位置を通して、描かれ得る。紙製品の中のドームは、ストラクチャリングファブリックの中のポケットに対応しており、したがって、座標系は、ドームを通過することなく描かれることに留意されたい。
【0073】
輪郭802Aが形成され、ガイドライン812および814を備える座標系が描かれた後に、
図11Aに示されているように、輪郭802Aおよび座標系は、紙製品の3次元構造を作り出す構成を決定するように、ファブリックのイメージにマッチングさせられ得る。そのようなマッチングの例が、
図11Bに示されており、
図11Bでは、輪郭802A、ならびに、ガイドライン812および814を備える座標系は、ファブリックのイメージ800Aの上に重ね合わせられている。輪郭802Aは、ファブリックの中のナックルのサイズおよび形状にマッチングしており、ガイドラインは、ナックルを通過するが、ファブリックの中のポケットに対応する領域を通過しないことに留意されたい。このマッチングは、イメージ800Aに示されているファブリックが、イメージ800に示されているものと同様の紙製品を作り出すために使用され得ることを示す。
【0074】
紙製品からの輪郭および座標系を特定のファブリックにマッチングさせることは、公知のファブリックの検索可能なデータベースを生成させることによって容易にされ得る。そのようなデータベースは、ナックルサイズ、場所、ポケットサイズなどのような、ファブリックの以前に決定された接触表面特性を含むことになる。紙製品から形成された輪郭および座標系からのファブリックのナックルおよびポケットに関するサイズおよび位置を決定した後に、データベースは、同様のナックルおよびポケットのサイズおよび位置を備えるファブリックを求めて検索され得る。
【0075】
紙製品の解析されたイメージをファブリックとマッチングさせるプロセスを容易にするために、紙製品の解析の中で開発された追加的なパラメータが使用され得る。1つのそのような追加的なパラメータは、一方のセットのガイドラインが他方のセットのガイドラインからのガイドラインと交わる頻度である。ガイドラインの「セット」は、平行なガイドラインを表しており、たとえば、ガイドライン812、および、それに平行なすべてのガイドラインが、セットを形成することに留意されたい。
図11Aでは、ガイドライン812を含むガイドラインのセットの頻度が計算されることになり、たとえば、1つのガイドライン810に沿って測定されるときに、ガイドライン810と交わるガイドラインのうちの2つの間の距離を解析プログラムに決定させる。たとえば、ガイドライン810と交わるガイドラインが、ガイドライン810に沿って測定されるときに、0.130cmだけ間隔を離して配置されている場合には、交わるガイドラインは、7.7cm
-1(1/0.130cm)の頻度を有することになる。ガイドライン812のうちの1つに沿ったこのセットのガイドライン間のスペーシング(間隔)を測定することによって、同様の頻度計算が、ガイドライン812と交わる他方のセットのガイドラインに関して行われ得る。決定されると、紙製品に関するガイドラインスペーシングの頻度は、ファブリックに関するガイドラインスペーシングの以前に決定された頻度にマッチングさせられ得、それは、検索可能なデータベースの中に保存されてきた。
【0076】
紙製品から輪郭を描かれたナックルおよびガイドラインを特定のファブリックにマッチングさせるプロセスを容易にするように計算され得る別のパラメータは、基準ラインからのセットのガイドラインに対する角度である。たとえば、
図11Aの中のスケールラインSCは、基準として使用され得、角度αは、スケールラインSCとガイドラインの一方のセットとの間で決定され得る。また、スケールラインSCからガイドラインの他方のセットへの角度も決定され得る。決定されると、紙製品に関する基準からガイドラインのセットへの角度は、ファブリックに関する基準からガイドラインのセットへの以前に決定された角度にマッチングさせられ得、その以前に決定された角度は、検索可能なデータベースの中に保存されてきたものである。
【0077】
上記に説明されている方法は、紙製品を公知のファブリックにマッチングさせる観点から説明されているが、他の実施形態は、望まれているがまだ作り出されていない3次元の紙構造の上に作製された公知のファブリックを選択することを含むことが容易に理解されることになる。すなわち、1つまたは複数の輪郭ナックルが、ブランクイメージ内に生成され得、また、ナックルおよびポケットパターンが、ブランクイメージ内にガイドラインを描くことによって生成され得る。次いで、生成されたイメージは、上記に説明されているように、公知のファブリックにマッチングさせられ得る。
【0078】
さらに別の実施形態では、ファブリックは、紙製品イメージの解析に基づいて、または、ナックルおよびポケット構成を表す生成されたイメージに基づいて、設計および製造され得る。この方法では、経糸および緯糸が、紙製品イメージの解析によって決定されるように、または、ブランクイメージ内に生成されるように、所望のナックルおよびポケット構成に対応するように選ばれる。経糸および緯糸の特定の織目を備えるファブリックを作り出すための技法が、当技術分野で周知である。したがって、ファブリックは、選ばれた経糸および緯糸構成によって作り出され得る。
【0079】
本発明の他の実施形態では、本明細書で説明されているファブリック特性評価技法が使用され、異なる特性を有する新しい第2の製紙ファブリックを作り出すために、第1の製紙ファブリックの構成を修正することが可能である。これらの実施形態では、第1の製紙ファブリックの少なくとも1つのナックルまたはポケット特性が、上記に説明されている技法によって決定される。特性は、たとえば、上記の表1または表2において説明されている特性のうちの1つまたは複数であることが可能である。さらに、特性は、ポケット深さまたは有効ポケット体積であることが可能であり、それは、上記に説明されている技法にしたがって決定される。決定された特性に基づいて、修正されたファブリック設計が生成され、特性が変化させられる。たとえば、ポケット深さは、第1の製紙ファブリックの中で測定されるポケット深さから増加させられ得る。当業者は、製紙ファブリックの特性を決定する要因を理解することになり、また、そのため、第1の製紙ファブリックの設計が、異なる特性を有する新しい製紙ファブリックを作り出すために、どのように変更させられ得るかことを理解することになる。たとえば、糸直径、糸密度、糸形状、織目、および、糸を一緒に結合させるために使用される熱設定のうちの1つまたは複数などのような、ファブリックの態様は、修正された特性を有する第2の製紙ファブリックを作り出すために変更させられ得る。これらの要因のうちのいくつかを利用する製紙ファブリック製造技法の多くの例のうちの1つは、米国特許第6,350,336号に見ることが可能であり、その開示は、その全体が参照により組み込まれている。
【0080】
製紙ファブリック設計の構成を修正するための実施形態に加えて、または、それとともに、ストラクチャリングファブリックを使用して作製された紙製品の特性が、特定の特性を有する製紙ファブリックの開発において使用され得る。たとえば、第1の製紙ファブリックの特性は、上記に説明されている技法を使用して決定され得る。また、第1の製紙ファブリックは、たとえば、上記に説明されている製紙方法を使用して、製紙製品を作製するために使用され得る。次いで、紙製品の特性が決定され得、その後に、第1の製紙ファブリックの決定された特性と相関させられ得る。たとえば、紙製品の中に形成されたドームの密度および高さは、顕微鏡によってドームを調べることによって測定され得る。上記に議論されているように、ドームは、製紙ファブリックのポケットの中に形成される。したがって、製紙ファブリックの中に決定されるポケット密度およびポケット深さは、製紙ファブリックを使用して作製された紙製品の中に見出されるドーム密度およびドーム高さに相関させられ得ることになる。次いで、そのような相関関係が使用され、どのような紙製品が、比較可能な特性を有する別の製紙ファブリックによって作製されることが予期され得るかことを決定することが可能である。さらに、上記に説明されているように、必要に応じて修正された特性を備えた紙製品を作り出すために、調節された特性を備える、新しい製紙ファブリック設計が開発され得る。
【0081】
本発明は、ある特定の例示的な実施形態において説明されてきたが、本開示を考慮して、多くの追加的な修正例および変形例が、当業者に明らかであることになる。したがって、本発明は、具体的に説明されているもの以外にも実施され得ることが理解されるべきである。したがって、本発明の例示的な実施形態は、すべての観点において、例証的なものであり、制限的なものではないことが考慮されるべきであり、本発明の範囲は、先述の説明によってというよりも、本出願によってサポート可能な任意の特許請求の範囲およびその均等物によって決定されるべきである。