(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】搾乳装置及びその中の動物を搾乳する方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/12 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
A01K1/12
(21)【出願番号】P 2020504673
(86)(22)【出願日】2018-10-01
(86)【国際出願番号】 SE2018051006
(87)【国際公開番号】W WO2019070185
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-21
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】カウリング, トニー
(72)【発明者】
【氏名】ユーバンク, ダグ
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー, ジェフェリー
(72)【発明者】
【氏名】モーテンソン, ベンクト-ゴラン
(72)【発明者】
【氏名】パヴロヴィチ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】ウィルトジウス, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウィッパーファース, スチュアート
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-508925(JP,A)
【文献】特開平6-125673(JP,A)
【文献】特表2001-526475(JP,A)
【文献】特開平9-154428(JP,A)
【文献】特表平11-506303(JP,A)
【文献】特開平9-51735(JP,A)
【文献】特開平8-131005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/12
A01K 1/00
A01K 1/035
A01K 15/04
A01J 5/007
A01J 5/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの搾乳モジュール(1)を含む搾乳装置であって、搾乳モジュール(1)が、
- 縦軸(x)に沿って
並列配置された少なくとも二つの搾乳場所(3)、但し各搾乳場所(3)は、搾乳される各動物を受容するように構成される、
- 第一端(1′)、及び第一端(1′)と対向する第二端(1″)、但し搾乳装置が、縦軸(x)に沿って第一端(1′)から第二端(1″)に延びる、
- 前側(5)及び後側(6)、但しそれらはともに縦軸(x)と平行に延びる、
- 動物が前側(5)を通って各搾乳場所(3)を出ることを防止するために前側(5)を閉じる下方位置と、動物が前側(5)を通って各搾乳場所(3)を出ることを可能にするように構成された上方位置との間で移動可能な前ゲート装置(20)、
- 前記前側(5)と前記後側(6)の間に与えられた少なくとも二つの
整列ゲート(31)を含む
整列ゲート装置(30)、但し前記
整列ゲート(31)の各々が、
整列ゲート装置(30)の第一位置において、
整列ゲート(31)が搾乳場所(3)中への侵入に対する障壁を規定する閉鎖
状態と、
整列ゲート(31)が搾乳場所(3)の側壁を形成する開放
状態の間で旋回可能である、
- 搾乳モジュール(1)の第一端(1′)に与えられた入口ゲート(34)、但し前記入口ゲート(34)が、動物が前記少なくとも一つの搾乳モジュール(1)に侵入することを防止する閉鎖位置と、動物が第一端を通って搾乳モジュール(1)に侵入することを可能にする開放位置との間で移動可能である、
を含み、
- 搾乳装置が、前ゲート装置(20)をその下方位置と上方位置の間で移動させるための独立第一駆動装置(22)、及び入口ゲート(34)をその開放位置と閉鎖位置の間で移動させるための第二駆動装置(35)を含むものにおいて、
前記搾乳装置が、
整列ゲート装置(30)を前記第一位置から、
整列ゲート(31)が各搾乳場所(3)で立っている動物より上の高さでかつ背後に位置される高められた位置の第二位置に移動させるための独立第三駆動装置(32)を含むこと、
整列ゲート装置(30)が、前記第二位置からその
整列ゲート(31)を閉鎖
状態にする第一位置に移動し、
整列ゲート(31)が、各搾乳場所(3)で立っている動物を前側(5)の方に移動させ、前側(5)を通って搾乳場所(3)を出ることを促すように構成されていること、
搾乳装置が、
整列ゲート装置(30)の位置に基づいて入口ゲート(34)の開放を制御するように構成される制御装置(40)を含む
ことを特徴とする搾乳装置。
【請求項2】
前記制御装置は、第一、第二、及び第三駆動装置(22,35,32)の作動を制御することによって入口ゲート(34)、前ゲート装置(20)、及び
整列ゲート装置(30)の作動を制御するように構成される制御ユニット(40)を含む、請求項1に記載の搾乳装置。
【請求項3】
前記搾乳装置は、ユーザーインターフェースを含み、それによってユーザーが、第一、第二、及び第三駆動装置(22,35,32)の少なくとも一つの作動を制御することができる、請求項1又は2に記載の搾乳装置。
【請求項4】
前記搾乳装置は、動物がそれらの各搾乳場所(3)に到達したことを示す情報を制御ユニット(40)に与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニット(40)は、前記検出装置から前記情報を受けた後に
整列ゲート装置(30)をその第一位置からその第二位置に移動するように第三駆動装置(32)を制御するように構成される、請求項2に記載の搾乳装置。
【請求項5】
前記搾乳装置は、動物の搾乳が終了したことを示す情報を制御ユニット(40)に与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニット(40)は、前記検出装置から前記情報を受けた後に前ゲート装置(20)をその下方位置からその上方位置に移動するように第一駆動装置(22)を制御し、
整列ゲート装置(30)をその第二位置からその第一位置に移動するように第三駆動装置(32)を制御するように構成される、請求項2~
3のいずれかに記載の搾乳装置。
【請求項6】
搾乳装置は、動物が前記搾乳モジュール(1)に侵入したことを示す情報を制御ユニット(40)に与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニット(40)は、前記検出装置から前記情報を受けた後に入口ゲート(34)をその開放位置からその閉鎖位置に移動するように第二駆動装置(35)を制御するように構成される、請求項2~
3のいずれかに記載の搾乳装置。
【請求項7】
制御ユニット(40)は、
整列ゲート装置(30)がその第二位置からその第一位置に移動されたことに反応して入口ゲート(34)をその閉鎖位置からその開放位置に移動するように第二駆動装置(35)を制御するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載の搾乳装置。
【請求項8】
オペレーターピットによって分離され、かつ後側(6)が前記ピットに向かうように位置された請求項1~7のいずれかに記載の二つの搾乳装置を含む、二列搾乳施設。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の搾乳装置において少なくとも二頭の動物の群を搾乳する方法であって、
- 搾乳装置の搾乳場所(3)で立っている動物の搾乳を実施すること、但し前記搾乳中、前ゲート装置(20)がその下方位置にあり、入口ゲート(34)がその閉鎖位置にある、
- 搾乳が終了したときを決定するか又は搾乳が終了したことを検出すること、そしてそれへの反応として:
- 前ゲート装置(20)をその下方位置からその上方位置に移動させるように第一駆動装置(22)を制御すること、
-
整列ゲート装置(30)がその第二位置からその第一位置に移動し、それによって搾乳されていた動物が搾乳装置の前側(5)を通ってそれらの搾乳場所(3)を出ることを促すように第三駆動装置(32)を制御すること、そして
整列ゲート装置(30)がその第一位置に到達したときに、
- 入口ゲート(34)をその閉鎖位置からその開放位置に移動させ、それによって搾乳されるべきさらなる動物が、
整列ゲート装置(30)と搾乳装置の後側(6)の間の通路を通って第一端から第二端の方向に搾乳装置に侵入することを可能にするように第二駆動装置(35)を制御すること
を含む方法。
【請求項10】
搾乳場所(3)に侵入した動物の搾乳が開始される前に、又は前記動物の搾乳中に、前記方法は、
整列ゲート装置(30)をその第一位置からその第二位置に移動させるように第三駆動装置(32)を制御することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、
整列ゲート装置(30)がその第二位置からその第一位置に移動したことを検出装置によって検出して、そのことを示す情報を制御ユニット(40)に与えることを含み、制御ユニット(40)からの命令により、制御ユニット(40)が前記情報を受けたことに反応して、入口ゲート(34)がその閉鎖位置からその開放位置に移動される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、
整列ゲート装置(30)がその第一位置に到達したときを検出して、
整列ゲート装置(30)がその第一位置に到達したことが検出されたという情報を制御ユニット(40)に与えることを含み、制御ユニット(40)は、それに反応して、前ゲート装置(20)をその上方位置からその下方位置に移動させるように第一駆動装置(22)を制御するように構成される、請求項9~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、搾乳セッション中に搾乳装置中で搾乳される全ての動物がそれらの搾乳場所(3)に到達したときを検出して、動物がそれらの搾乳場所(3)に到達したことを示す情報を制御ユニット(40)に与えることを含み、制御ユニット(40)は、前記情報を受けたことに反応して、
整列ゲート装置(30)をその第一位置からその第二位置に移動させるように第三駆動装置(32)を制御するように構成される、請求項9~
10のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
動物がそれらの搾乳場所に到達したことが検出されたときから60秒以内に、好ましくは30秒以内に、
整列ゲート装置(30)がその下方位置からその上方位置に移動される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの搾乳モジュールを含む搾乳装置であって、搾乳モジュールが、
- 縦軸(x)に沿って互いの後に整列して配置された少なくとも二つの搾乳場所、但し各搾乳場所は、搾乳される各動物を受容するように構成される、
- 第一端、及び第一端と対向する第二端、但し搾乳装置が、縦軸(x)に沿って第一端から第二端に延びる、
- 前側及び後側、但しそれらはともに縦軸(x)と平行に延びる、
- 動物が前側を通って各搾乳場所を出ることを防止するために前側を閉じる下方位置と、動物が前側を通って各搾乳場所を出ることを可能にするように構成された上方位置との間で移動可能な前ゲート装置、
- 前記前側と前記後側の間に与えられた少なくとも二つの連続ゲート(整列ゲート)を含む連続ゲート装置、但し前記連続ゲートの各々が、連続ゲート装置の第一位置において、連続ゲートが搾乳場所中への侵入に対する障壁を規定する閉鎖位置と、連続ゲートが搾乳場所の側壁を形成する開放位置の間で旋回可能である、
- 搾乳モジュールの第一端に与えられた入口ゲート、但し前記入口ゲートが、動物が前記少なくとも一つの搾乳モジュールに侵入することを防止する閉鎖位置と、動物が第一端を通って搾乳モジュールに侵入することを可能にする開放位置との間で移動可能である、
を含み、
- 搾乳装置が、前ゲート装置をその下方位置と上方位置の間で移動させるための独立第一駆動装置、及び入口ゲートをその開放位置と閉鎖位置の間で移動させるための第二駆動装置を含む、搾乳装置に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明による搾乳装置において少なくとも二頭の動物の群を搾乳する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
牛の搾乳のために上述のように規定された搾乳装置は、オペレーターがそれぞれの搾乳装置に沿って移動することができるピットによって分離された平行な対でしばしば使用される。これらの搾乳装置は、二列施設とも称される。平行な搾乳装置は、それらの後側を互いに対して向けており、オペレーターの仕事の一つは、動物がその頭をそれぞれの搾乳装置の前側に向けて、かつその後端をピットに向けて、それぞれの搾乳場所に立っているときに、オペレーターがピットに立ちながら後ろから動物に搾乳器具を取り付けることである。搾乳装置における搾乳は通常、オペレーターが一度に一つの搾乳装置において働けるように、動物が他方の搾乳装置で搾乳されている間に、一群の動物が搾乳装置のうちの一つに侵入するような手順に従って行なわれる。
【0004】
搾乳装置の第一端に与えられた入口開口を通って動物が搾乳装置の一つ又は複数のモジュールに侵入するとき、動物は、閉鎖された連続ゲートと搾乳装置の後側の間に規定された通路に沿って、搾乳装置の縦軸の方向に移動するだろう。この通路は、一頭の動物がそれを通過することができるほど十分大きい幅ではあるが、複数の動物が並んで歩いてそれを通過するのを防止するのに十分狭い幅を有する。通路に入る第一の動物は、動物がその反対の第二端に到達するまで通路を歩くだろう。いったん第二端に到達すると、動物は、搾乳装置の最後の連続ゲートの方を向き、それを押して、それをその閉鎖位置から開放位置に旋回させるだろう。その後、動物は、搾乳装置の前側へとさらに歩くことによって搾乳場所に侵入するだろう。前ゲートは、その下方位置にあり、動物がこの段階で前側を通って搾乳場所を出ることを防止するだろう。次の動物は、隣りの上流の搾乳場所の連続ゲートを押して、それによりそれをその閉鎖位置から開放位置に旋回させることによって、搾乳場所に歩いて入るだろう。動物が搾乳装置の残りの搾乳場所を満たすにつれて、オペレーターは、搾乳装置の第二端から第一端へと作業することができ、それぞれの搾乳場所に最近侵入した動物に搾乳器具を取り付けることができる。代わりに、オペレーターは、全ての動物がそれらの搾乳場所に侵入するまで待ち、それから搾乳器具の取り付けを開始することができる。
【0005】
搾乳装置中での動物の搾乳が終了すると、前ゲートが開放され、動物は搾乳装置の前側を通って搾乳装置を出ることができる。動物がそれらの搾乳場所を出ることを確実にするため、動物がそれらの搾乳場所を出ることを促す装置が与えられてもよい。かかる装置の一例は、US7644681に提示されている。そこでは、前記動物がそれらの搾乳場所を出ることを促す装置は、伸長可能な支持部材に配置された押しバーであり、それは、搾乳場所の上の支持体構造に配置された空気シリンダーによって移動される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、動物が搾乳装置の一つ又は複数のモジュールの前側を通ってそれらの搾乳場所を出ることを促す装置を含む代替的な搾乳装置の設計を提示することである。
【0007】
本発明の目的はまた、対応する従来技術の設計と比べて空間を節約する設計を有する代替的な搾乳装置の設計を提示することである。
【0008】
本発明の目的は、上述のようにそして請求項1の前提部分において規定されるような搾乳装置において、前記搾乳装置が、連続ゲート装置を前記第一位置から、連続ゲートが各搾乳場所で立っている動物より上の高さでかつ背後に位置される高められた位置の第二位置に移動させるための独立第三駆動装置を含むこと、連続ゲート装置が、前記第二位置からその連続ゲートを閉鎖位置にする第一位置に移動し、連続ゲートが、各搾乳場所で立っている動物を前側の方に移動させ、前側を通って搾乳場所を出ることを促すように構成されていること、搾乳装置が、連続ゲート装置の位置に基づいて入口ゲートの開放を制御するように構成される制御装置を含むことを特徴とする搾乳装置によって達成される。
【0009】
換言すれば、本発明は、連続ゲートに二重の機能(つまり、動物がそれらの搾乳場所に侵入するための連続ゲートの機能と、搾乳の終了後に動物がそれらの搾乳場所を出ることを促すための装置の機能)を有するようにさせるというアイデアを使用する。促しの目的のためのみにさらなる装置を配置することは、要求されない。第一位置と、第二の高められた位置との間で移動可能な連続ゲート装置を有するという発明的なアイデアは、動物の搾乳中に動物の間の領域からの連続ゲートの除去を可能にし、それにより動物により広い空間を与え、重要な問題である動物の快適性を改善する。
【0010】
好ましくは、それぞれの連続ゲートは、そのデフォルト位置が閉鎖位置であるように偏らされている。連続ゲート装置の前記第一位置において、連続ゲートがそれらの閉鎖位置にあるとき、連続ゲートは、連続ゲートと一つ又は複数のモジュールの後側の間に規定された通路に沿って第一端から第二端に向かって動物が歩くにつれて、壁の印象を動物に与えるだろう。もし連続ゲートをその開放位置に旋回させるように力が連続ゲートに付与されると、連続ゲートは、この力が除去されるとすぐに閉鎖位置に戻るだろう。開放位置は、準安定的な位置であることができ、実際に連続ゲートを閉鎖位置に戻すために小さな対向力のみが必要であることができる。かかる準安定性は、スナップ装置などによって達成されることができ、小さな対向力だけで、連続ゲートをその開放位置にさせるスナップ係合から解放して、閉鎖位置に戻させるだろう。
【0011】
連続ゲートの設計は、多少複雑であってもよい。比較的複雑でない実施形態によれば、連続ゲートは、アームのような支持体構造から延びるバーによって規定される。しかし、連続ゲートはまた、よりゲート状、格子状、又は扉状の設計のものであることもできる。それは、動物に対して壁の印象を多少与えるために、多少目に見えるものであることができる。好ましくは、それぞれの連続ゲートは、アームのまわりで旋回可能であり、アームは、搾乳装置の縦軸の方向に、搾乳場所の上に延びるバーに接続されている。連続ゲート装置をその第一位置と第二位置の間で移動可能にするために、前記バーがその軸のまわりに回転可能であるか、又は前記アームが前記バーに対して旋回可能である。連続ゲート装置の第一位置において、前記アームは、前記バーから略垂直に延びる。連続ゲート装置の第二位置において、前記アームは、水平面に対して45°~90°の範囲の角度で延びることができる。前記バーは、搾乳装置中で搾乳されるべき動物の予測される最大高さより上のレベルに配置されるべきである。
【0012】
第一、第二、及び第三駆動装置は、それぞれのゲート装置及びゲートを移動させるために好適ないかなる装置も含むことができる。例えば、駆動装置は、加圧ガス又は液体、又は電気エンジンによって駆動されるシリンダー-ピストンユニットを含むことができる。
【0013】
連続ゲート装置の位置に基づいて入口ゲートの開放を制御するように構成された制御装置は、リレー機構などのいずれかの種類の好適な論理、又は連続ゲートが予め決定された位置に到達したことを示す信号に基づいて第二駆動装置を制御するソフトウェアベースの制御機構を含むことができる。好ましくは、制御装置は、連続ゲート装置が第二位置から第一位置に移動したことを示す信号(これはまた、動物が前側を通って搾乳装置の一つ又は複数のモジュールを出たことを示す)に反応して、入口ゲートをその閉鎖位置からその開放位置に移動させるように第二駆動装置を制御するように構成されている。搾乳されていた一群の動物が前側を通って搾乳モジュールを出るとすぐに入口ゲートを迅速かつ自動で開放することは、搾乳装置を通る動物の高くてかつ信頼できる流れを確実にし、オペレーターは、開放を手動で行なう必要がなく、代わりに、平行する搾乳装置中の搾乳されるべき動物に搾乳器具を取り付けるなどの他の仕事に集中することができる。
【0014】
一つの実施形態によれば、前記制御装置は、第一、第二、及び第三駆動装置の作動を制御することによって入口ゲート、前ゲート装置、及び連続ゲート装置の作動を制御するように構成される制御ユニットを含む。それによって、制御装置は、異なる駆動装置がリレー制御される場合と比べて、大きな機能的な多能性を搾乳装置にもたらすソフトウェアを使用することができる。異なる種類の検出装置は、データ入力を与えるために配置されることができ、このデータ入力に基づいて、制御ユニットは、異なる工程を行なうように構成されるだろう。
【0015】
一つの実施形態によれば、前記搾乳装置は、ユーザーインターフェースを含み、それによってユーザーが、第一、第二、及び第三駆動装置の少なくとも一つの作動を制御することができる。好ましくは、ユーザーインターフェースは、ユーザーが、第一、第二、及び第三駆動装置のそれぞれの作動を制御することができるように構成されている。好ましくは、ユーザーインターフェースは、オペレーターがそうする必要性を見出したときには、第一、第二、及び第三駆動装置のソフトウェアによって指図される制御にオペレーターが干渉することができるように、ユーザーが制御ユニットの論理をくつがえすことを可能にする。
【0016】
一つの実施形態によれば、前記搾乳装置は、動物がそれらの各搾乳場所に到達したことを示す情報を制御ユニットに与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニットは、前記検出装置から前記情報を受けた後に連続ゲート装置をその第一位置からその第二位置に移動するように第三駆動装置を制御するように構成される。検出装置は、カメラなどであることができるが、搾乳器具も含むことができ、それによって、搾乳モジュールに侵入した全ての動物の搾乳の開始は、全ての動物がそれらのそれぞれの搾乳場所に到達したことの指標として使用されることができる。検出装置はまた、好ましくは入口ゲートに配置された動物計数装置を含むことができ、この動物計数装置は、どれくらい多くの動物が搾乳装置の一つ又は複数のモジュールに侵入したかを計数する。動物の搾乳の初期の段階で連続ゲート装置を第二位置に移動させることによって、搾乳期間中に横方向により広い空間が動物に与えられ、動物に改善された快適性を追加する。
【0017】
一つの実施形態によれば、前記搾乳装置は、動物の搾乳が終了したことを示す情報を制御ユニットに与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニットは、前記検出装置から前記情報を受けた後に前ゲート装置をその下方位置からその上方位置に移動するように第一駆動装置を制御し、連続ゲート装置をその第二位置からその第一位置に移動するように第三駆動装置を制御するように構成される。検出装置は、例えば、動物の搾乳のために使用される搾乳器具に接続されたミルク計量器を含むことができる。このミルク計量器は、搾乳が終了したことを記録する。
【0018】
一つの実施形態によれば、搾乳装置は、動物が前記搾乳モジュールに侵入したことを示す情報を制御ユニットに与えるように構成された検出装置を含み、制御ユニットは、前記検出装置から前記情報を受けた後に入口ゲートをその開放位置からその閉鎖位置に移動するように第二駆動装置を制御するように構成される。上述のように、かかる検出装置は、開放された入口ゲートを通過する動物の数を数える動物計数装置を含むことができ、制御ユニットは、予め決定された数の動物が入口ゲートを通過したときに入口ゲートを閉鎖するように第二駆動装置を制御する。
【0019】
一つの実施形態によれば、制御ユニットは、連続ゲート装置がその第二位置からその第一位置に移動されたことに反応して入口ゲートをその閉鎖位置からその開放位置に移動するように第二駆動装置を制御するように構成される。
【0020】
本発明の目的はまた、本発明による搾乳装置において少なくとも二頭の動物の群を搾乳する方法であって、
- 搾乳装置の搾乳場所で立っている動物の搾乳を実施すること、但し前記搾乳中、前ゲート装置がその下方位置にあり、入口ゲートがその閉鎖位置にある、
- 搾乳が終了したときを決定するか又は搾乳が終了したことを検出すること、そしてそれへの反応として:
- 前ゲート装置をその下方位置からその上方位置に移動させるように第一駆動装置を制御すること、
- 連続ゲート装置がその第二位置からその第一位置に移動し、それによって搾乳されていた動物が搾乳装置の前側を通ってそれらの搾乳場所を出ることを促すように第三駆動装置を制御すること、そして連続ゲート装置がその第一位置に到達したときに、
- 入口ゲートをその閉鎖位置からその開放位置に移動させ、それによって搾乳されるべきさらなる動物が、連続ゲート装置と搾乳装置の後側の間の通路を通って第一端から第二端の方向に搾乳装置に侵入することを可能にするように第二駆動装置を制御すること
を含む方法によっても達成される。
【0021】
一つの実施形態によれば、搾乳場所に侵入した動物の搾乳が開始される前に、又は前記動物の搾乳中に、前記方法は、連続ゲート装置をその第一位置からその第二位置に移動させるように第三駆動装置を制御することを含む。好ましくは、連続ゲートは、搾乳装置の搾乳モジュール中の全ての動物の搾乳が開始されたときから予め決定された時間期間内に第二位置に移動される。
【0022】
一つの実施形態によれば、前記方法は、連続ゲート装置がその第二位置からその第一位置に移動したことを検出装置によって検出して、そのことを示す情報を制御ユニットに与えることを含み、制御ユニットからの命令により、制御ユニットが前記情報を受けたことに反応して、入口ゲートがその閉鎖位置からその開放位置に移動される。
【0023】
一つの実施形態によれば、前記方法は、連続ゲート装置がその第一位置に到達したときを検出して、連続ゲート装置がその第一位置に到達したことが検出されたという情報を制御ユニットに与えることを含み、制御ユニットは、それに反応して、前ゲート装置をその上方位置からその下方位置に移動させるように第一駆動装置を制御するように構成される。それによって、搾乳装置の搾乳モジュールに侵入する新しい群の動物が、搾乳の開始の前に前側を通って搾乳装置から外に出ることができないことが確実になる。
【0024】
一つの実施形態によれば、前記方法は、搾乳セッション中に搾乳装置中で搾乳される全ての動物がそれらの搾乳場所に到達したときを検出して、動物がそれらの搾乳場所に到達したことを示す情報を制御ユニットに与えることを含み、制御ユニットは、前記情報を受けたことに反応して、連続ゲート装置をその第一位置からその第二位置に移動させるように第三駆動装置を制御するように構成される。
【0025】
一つの実施形態によれば、動物がそれらの搾乳場所に到達したことが検出されたときから60秒以内に、好ましくは30秒以内に、連続ゲート装置がその下方位置からその上方位置に移動される。
【0026】
本発明のさらなる特徴及び利点は、実施形態の続く詳細な記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照してさらに詳述されるだろう。
【0028】
【
図1】
図1は、上から見た、オペレーターピットによって分離された、本発明による二つの平行な搾乳装置を含む二列搾乳施設の概略図である。
【0029】
【
図2A-2B】
図2Aは、負荷位置にある搾乳装置の搾乳モジュールの透視図を開示する。
図2Bは、
図2Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0030】
【
図3A-3B】
図3Aは、搾乳位置にある搾乳モジュールの透視図を開示する。
図3Bは、
図3Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0031】
【
図4A-4B】
図4Aは、最初に高められたさらなるゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図4Bは、
図4Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0032】
【
図5A-5B】
図5Aは、さらに25%まで高められた前ゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図5Bは、
図5Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0033】
【
図6A-6B】
図6Aは、さらに50%まで高められた前ゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図6Bは、
図6Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0034】
【
図7A-7B】
図7Aは、さらに75%まで高められた前ゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図7Bは、
図7Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0035】
【
図8A-8B】
図8Aは、上方位置にある前ゲート装置と、上方位置にあるさらなるゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図8Bは、
図8Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0036】
【
図9A-9B】
図9Aは、下方位置にあるさらなるゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図9Bは、
図9Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0037】
【
図10A-10B】
図10Aは、下げられる用意ができている前ゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図10Bは、
図10Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【0038】
【
図11A-11B】
図11Aは、指標位置(index position)にある前ゲート装置を有する搾乳モジュールの透視図を開示する。
図11Bは、
図11Aの搾乳モジュールの側面図を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、オペレーターピットによって分離された、本発明による二つの平行な搾乳装置を含む二列搾乳施設を開示する。搾乳装置は、それらの後側を互いに対して向けて配置されている。それぞれの搾乳装置は、一列の搾乳モジュール1を含む。開示された実施形態では、それぞれの列は、四つの搾乳モジュール1を含み、これらは、それぞれの縦軸xに沿って互いの後に連続的に配置されている。搾乳装置は、搾乳房の建物2の中に収容されている。それぞれの搾乳装置の第一端1′には、入口ゲート34が与えられている。この入口ゲート34は、動物が搾乳モジュール1の列に侵入することを防止する閉鎖位置と、動物が搾乳モジュール1の列に侵入することを可能にする開放位置との間で移動可能である。
【0040】
図2A~
図11Bを参照すると、一つの搾乳装置の搾乳モジュール1がより詳しく説明されるだろう。それぞれの搾乳モジュール1は、
図1に見られるように、縦軸xに沿って互いの後に整列して配置された五つの搾乳場所3を含む。それぞれの搾乳場所3は、搾乳モジュール1の一つにおいて
図1に模式的に示されている、いずれかの好適な搾乳器具4の助けを借りて、搾乳されるべきそれぞれの動物を受容するように構成されている。
【0041】
それぞれの列は、四つ以外の別の数の搾乳モジュール1を含むことができる。搾乳装置は、二つ以外の別の数の列を含むことができる。
【0042】
それぞれの搾乳モジュール1は、第一端1′及び第一端1′と対向する第二端1″を含む。搾乳モジュール1は、第一端1′から第二端1″に縦軸xに沿って延びる。ここで、縦軸xは、第一端1′及び第二端1″を通って延びる。
【0043】
それぞれの搾乳モジュール1は、前側5と後側6も含む。両者は、縦軸xと平行に延びる。第一端1′は、搾乳されるべき動物のための搾乳モジュール1への入口を形成する。搾乳モジュール1に侵入するとき、動物は、搾乳モジュール1に歩いて入り、その頭が前側5に位置され、その後側が後側6に位置されるように向くだろう。搾乳器具4は、
図1に見られることができるように、後側の近位に配置されている。
【0044】
搾乳装置では、
図1に見られるように、それぞれの搾乳モジュール1の後側6は、上述のピットに配置された中央搾乳者(milker)領域MAに面する。搾乳者は、動物の乳頭に搾乳器具4の乳頭カップ(この開示では、搾乳器具とも称される)を取り付けるために存在することができる。搾乳モジュール1のそれぞれの列の外側には、動物が出ることを可能にする出口レーンELが与えられている。
【0045】
それぞれの搾乳モジュール1は、第一端1′を規定する第一構造要素7、及び第二端1″を規定する第二構造要素8を含む静止支持体構造も含む(
図2A及び
図2B参照)。
【0046】
第一構造要素7及び第二構造要素8はそれぞれ、上方の細長い要素9を含む。この上方の細長い要素9は、後側6と前側5の間で縦軸xに対して横方向に延びる。
【0047】
第一構造要素7及び第二構造要素8はそれぞれ、前柱10を含む。前柱10は、前側5に垂直に延びる。前柱10は、上方の細長い要素9のそれぞれ一つを支持する。上方の細長い要素9と前柱10は、コーナー部材11によって互いに接続されている。
【0048】
後側6には、後部シールド12が与えられている。後部シールド12は、二つの垂直バー13によって上方の細長い要素9から吊り下げられている。二つの垂直バー13の一つは、上方の細長い要素9の一つから延びている。
【0049】
開示されている実施形態では、第一構造要素7は、搾乳モジュール1の最上点15を規定する(
図2B及び
図8B参照)。最上点15は、第一構造要素7に含まれている支持板16によって形成されている。
【0050】
支持板16は、
図2B及び
図8Bに開示されるように、上方の細長い要素9の後端に取り付けられることができる。
【0051】
第一構造要素7は、さらなる支持板17も含む。さらなる支持板17は、上方の細長い要素9にその前端で取り付けられることができる(
図2B参照)。
【0052】
支持板16及び/又はさらなる支持板17は、第二構造要素8に代替的に取り付けられることもできる。
【0053】
搾乳モジュール1は、
図2A~
図11Bに見られることができるように、地面に取り付けられている。搾乳モジュール1の取り付けは、前柱10を地面に固定することによって達成される。地面、又は床は、開示された実施形態では、搾乳モジュール1の一部ではない。しかし、所望により床板によって形成された地面を搾乳モジュール1の一部とすることも可能である。
【0054】
床板を有するか又は有さない搾乳モジュール1は、組み立て式のユニットとして搾乳房の建物2の中に設置されることができる。従って、搾乳モジュール1は、ユニットとして搾乳房の建物2の中に移動されて、その適切な位置に配置されることができる。
【0055】
それぞれの搾乳モジュール1は、前ゲート装置20及び連続ゲート装置30も含む。
【0056】
前ゲート装置20は、前側5に与えられており、縦軸xと平行に延びる。前ゲート装置20は、下方位置(
図2A及び
図2B参照)と上方位置(
図8A、
図8B、
図9A、及び
図9B参照)との間で移動可能である。下方位置では、前ゲート装置20は、動物が前側5を通って各搾乳場所3を出ることを防止するために前側5を閉じる。上方位置では、前ゲート装置20は、動物が前側5を通って各搾乳場所3を出ることを可能にする。
【0057】
【0058】
前ゲート装置20と連続ゲート装置30の両方は、静止支持体構造によって支持されており、より正確には、第一構造要素7及び第二構造要素8によって支持されている。
【0059】
連続ゲート装置30は、複数の(ここでは五つの)連続ゲート31を含み、これらの連続ゲート31は、閉鎖位置から開放位置へと開放可能である(
図2A及び
図2B参照)。閉鎖位置では、それらは、縦軸xと平行に延び、搾乳場所3への侵入に対する障壁を形成する。開放位置では、それらは、縦軸xに対して横方向に延び、それぞれの搾乳場所3へのアクセスを与え、搾乳場所3の側壁を形成する。ばね負荷によって、連続ゲート31は、それらの正常な位置が閉鎖位置であるように偏らされている。しかし、それらは、動物によって付加される力によってそれらの開放位置へと容易に旋回される。動物は、それらの搾乳場所に到達するために何をしなければならないかを学習するだろう。
【0060】
連続ゲート31は、動物がそれぞれの搾乳場所3に侵入するときに動物によって開放位置へともたらされる。搾乳モジュール1に侵入する動物は、可能な限り奥へと進み、そして既に他の動物の侵入していない最後の搾乳場所3の方に向き、それによってそれぞれの連続ゲート31を公知の態様で開放する。
【0061】
例えば
図3A及び
図3Bにおいて見られるように、連続ゲート31は、連続ゲート装置30が上方位置にあるときには開放位置にある。連続ゲート装置30は、搾乳モジュールに侵入した全ての動物が搾乳場所にも到達して搾乳が開始されたことを検出した後、可能な限り早く、その下方位置から上方位置に移動される。
【0062】
開示された実施形態では、五つの連続ゲート31のうちの四つのみが下方位置から上方位置へと、及び上方位置から下方位置へと移動可能である。第一端1′に最も近い第一連続ゲート31(
図3A及び
図3B参照)は、隣りの四つの連続ゲート31が上方位置に移動したときでも、下方位置にあるままである。従って、第一連続ゲート31は、それぞれの搾乳モジュール1の第一端1′における第一ゲートとして機能し、動物の搾乳中の搾乳装置における搾乳モジュール1の列における各搾乳モジュール1間の一種の境界を形成するだろう。
【0063】
連続ゲート装置30は、縦軸xと平行な軸x′のまわりに回転可能なように、第一構造要素7及び第二構造要素8によって支持されている(
図6A参照)。例えば
図6A及び
図6Bにおいて見られるように、連続ゲート装置30は、第一構造要素7及び第二構造要素8のコーナー部材11によって回転可能に支持されている。
【0064】
前ゲート装置20は、いわゆるネックレール(neck rail)を形成し、四つのびん形の要素を有する前ゲート21を含む。前ゲート装置20の前ゲート21は、前ゲート装置20が下方位置にあるときに動物が前ゲート21を通過することを防止するが、この位置において、例えば前ゲート装置20の前でかつ外側に与えられた飼料を食べるために動物がそれらの頭を前ゲート21を通して、特にびん形の要素の間に延ばすことを可能にする。
【0065】
前ゲート21は、前ゲート装置20が下方位置と上方位置の間で移動されるときに、湾曲した経路に沿って移動可能である。前ゲート装置20はまた、下方位置を越えて、後側6へと向かう方向に、指標位置へと移動可能である(
図3A、
図3B、
図11A、
図11B参照)。
【0066】
それぞれの搾乳モジュール1はまた、前ゲート装置20及び連続ゲート装置30をそれらの下方位置と上方位置の間で移動させるための駆動装置を含む。
【0067】
駆動装置は、静止支持体構造に取り付けられており、第一端1′と第二端1″の間で搾乳モジュール1の内部に配置されている。
【0068】
駆動装置は、前ゲート装置20を移動させるための第一駆動装置22(
図3A及び
図3B参照)、入口ゲート34を移動させるための第二駆動装置35、及び連続ゲート装置30を移動させるための第三駆動装置32を含む。ここでは、第一、第二及び第三駆動装置22,35,32は、油圧式の又はガスで駆動されるシリンダー-ピストン装置である。
【0069】
搾乳装置は、制御装置40を含む。この制御装置40は、第一駆動装置22、第二駆動装置35、第三駆動装置32を互いに独立して制御するために、第一駆動装置22、第二駆動装置35、第三駆動装置32と通信する。
【0070】
ユーザーインターフェース(図示されず)も与えられることができる。このユーザーインターフェースは、電気回路と押ボタンなどからなることができ、それによってオペレーターは、それぞれの駆動装置の作動を制御することができ、それによって制御ユニットの作動論理に介入することができる。もちろん、ユーザーインターフェースは、制御ユニットに接続されてそれと相互作用するいかなる装置であることもできる。
【0071】
第一駆動装置22は、前ゲート装置20を駆動する。第二駆動装置35は、入口ゲート34を駆動する。第三駆動装置32は、連続ゲート装置30を駆動する。
【0072】
第三駆動装置32は、
図1において模式的に示されるように、第二構造要素8に取り付けられることができる。もちろん、第三駆動装置32を第一構造要素7に取り付けることも可能である。
【0073】
前ゲート装置20は、シャフト23を含み、このシャフト23に、四つのびん形の要素を有する前ゲート21が取り付けられている(
図2A及び
図2B参照)。シャフト23は、二つのレバー24によって回転可能に保持されている。これらの二つのレバー24のうち、一つは、第一端1′にあり、もう一つは、第二端1″にある。二つのレバー24は、それぞれの接合部によって、第一構造要素7及び第二構造要素8において、レバー24の後端で回転可能に保持されている。
【0074】
前ゲート装置20はまた、シャフト23に取り付けられた二つのアーム25を含む。二つのアーム25は、シャフト23に対して反対側の外部端に、案内車輪を有する。この案内車輪は、それぞれの案内バー27の案内溝の中にスライド可能に配置されている。
【0075】
開示された実施形態では、前ゲート装置20は、二つのアーム25及び二つの案内バー27を含む。しかし、一つだけのアーム25及び一つだけの案内バー27を与えることも可能である。
【0076】
第一駆動装置22は、シリンダーを含み、レバー24を下方位置(
図3B参照)から上方位置(
図8B参照)へと移動させるためにレバー24に接続されている。下方位置では、第一駆動装置22は、延ばされており、上方位置では、第一駆動装置22は、引っ込められている。下方位置から上方位置へと移動されるとき、レバー24はアーム25を引っ込め、従って、アーム25は、案内バー27の案内溝の中の下方点から案内溝の上方点へとスライドするだろう。これは、前ゲート装置20が、
図4A及び
図4Bに開示される下方位置から
図8A及び
図8Bに開示される上方位置へと、
図5A~
図7Bに開示される中間位置を介して、湾曲された経路に沿って移動されることを可能にするだろう。
【0077】
前ゲート21は、内部端を有し、この内部端は、シャフト23に、かつ外部端に位置されている。前ゲート21は、前ゲート21の外部端が前側に沿って上方に移動するように(つまり、前側5に対して実質的に平行に移動するように)、案内バー27によって、湾曲された経路に沿って案内される(
図4B、
図5B、
図6B、
図7B、及び
図8B参照)。前ゲート21の内部端は、同時に、後側6の方に移動されるか又は押される。
【0078】
上述のように、前ゲート装置20は、下方位置を越えて、指標位置へと移動可能である(
図3A、
図3B、
図11A、
図11B参照)。この移動は、案内バー27によって得られる。
【0079】
案内バー27は、それぞれの接合部28によって、第一構造要素7及び第二構造要素8のうちの一つにそれぞれ取り付けられる。接合部28は、案内バー27がそれぞれの接合部28のまわりで回転することを可能にする。案内バー27の回転は、
図2A~
図3Bにおいて見られることができるように、第一構造要素7のコーナー部材11に取り付けられた指標駆動装置(index drive device)29によって与えられる。この指標駆動装置29は、第一構造要素7に取り付けられた案内バー27の延長に接続されている。指標駆動装置29は、シリンダーを含む。
【0080】
図2A及び2Bにおいて、指標駆動装置29は、引っ込められており、案内バー27は、前ゲート装置20をその下方位置に保持する第一位置にある。第一位置は、垂直であるか、又は実質的に垂直である。
【0081】
図3A及び3Bにおいて、指標駆動装置29は、延ばされており、案内バー27を第一位置から第二位置へと移動させ、それにより、前ゲート装置20を下方位置から指標位置へと移動させている。
【0082】
上述のように、連続ゲート装置30は、第三駆動装置32によって移動されることができる。連続ゲート装置30は、シャフト33を含む。このシャフト33は、第一構造要素7及び第二構造要素8に対して回転可能である(
図4A~
図8B参照)。
【0083】
連続ゲート装置30の第一連続ゲート31は、第一構造要素7に固定して取り付けられている。隣りの四つの連続ゲート31は、連続ゲート装置30及び四つの連続ゲート31の下方位置と上方位置の間で回転可能なシャフト33に固定して取り付けられている。第三駆動装置32は、シャフト33に接続されて、連続ゲート装置30の前記回転を与える。
【0084】
前ゲート装置20及び連続ゲート装置30は、最上点より下に常に位置されるだろう。
図8A及び
図8Bにおいて、前ゲート装置20及び連続ゲート装置30は、それらの上方位置において示されており、それらが最上点15を越えず、搾乳房の建物2の天井50より下に位置されていることを見ることができる。搾乳房の建物2の地面と天井50との間の距離hは、3.5m未満であり、好ましくは3m未満、より好ましくは2.5m未満である。従って、最上点15は、天井50から小さな距離dに位置されることができる(
図8B参照)。
【0085】
図8Bにおいて見られることができるように、前ゲート21の内部端は、前ゲート装置20及び連続ゲート装置30が互いの近くでそれらの上方位置にあるときに、上方に位置し、連続ゲート31と重複する。これにより、動物は、連続ゲート31及び前ゲート21の下を通過することができ、一方、連続ゲート31及び前ゲート21は、最上点15の下にあるままである。
【0086】
搾乳装置及び個々の搾乳モジュール1は、制御ユニット40の制御を通して主に作動されるが、もし必要なら、先に述べたようにユーザーインターフェースを介してオペレーターによって介入されることができる。制御ユニット40は、それぞれの駆動装置の作動を制御するソフトウェアを与えられている。
【0087】
一つの制御シナリオは、以下の通りである。搾乳器具に接続されたミルク計量器であって、従って搾乳が終了したことを制御ユニット40に通知する検出装置として作用するミルク計量器からの情報に基づいて、制御ユニット40は、前ゲート装置20をその下方位置からその上方位置に移動させるように第一駆動装置22を制御する。いったん前ゲート装置がその上方位置に到達したら、制御ユニット40は、連続ゲート装置30をその第二の上方位置からその第一の下方位置に移動させるように第三駆動装置32を制御する。連続ゲート31は、その偏りの結果として、それらの閉鎖位置にあるようになり、動物が前側5を通ってそれらの搾乳場所3を出ることを促す壁として機能するだろう。連続ゲート装置がその第一位置に到達したときを検出するように構成された検出装置又はセンサー(図示されず)は、連続ゲート装置がその第一位置に到達したという情報を制御ユニット40に与えるだろう。それへの即座の反応として、制御ユニット40は、前ゲート装置をその上方位置からその下方位置に移動させるように第一駆動装置22を制御し、かつ入口ゲート34を開放して、他の群の動物が搾乳モジュール1に侵入することを可能にするように第二駆動装置35を制御する。好ましくは、搾乳モジュール1に侵入する動物の数を計数して、予め決定された最大数の動物が搾乳モジュール1に侵入したことを示す情報を制御ユニット40に与える検出装置(ここでは、36で示されている)が与えられており、これにより、制御ユニット40は、入口ゲート34を閉鎖するように第二駆動装置35を制御するように構成されている。
【0088】
搾乳されるべき動物の新しい群が搾乳モジュール1に侵入すると、連続ゲート31は、閉鎖位置にある。搾乳モジュール1に侵入する最初の動物は、最後の搾乳モジュール1の最後の搾乳場所3にとどまり、そこで搾乳場所3の方を向き、それにより、それぞれの連続ゲート31を開放するだろう。続く動物は、次に、全ての搾乳モジュール1が動物によって満たされるまで搾乳場所3に連続的に侵入するだろう。
【0089】
一つの搾乳モジュール1が満たされるとすぐに、前ゲート装置20は、制御ユニット40を通した指標駆動装置29の活性化によって、
図3A及び
図3Bに開示されるように指標位置に移動される。次に、搾乳器具4の乳頭カップは、動物の乳頭に取り付けられ、その後、搾乳が開始される。
【0090】
次に、連続ゲート装置30は、制御ユニット40を通した第三駆動装置32の活性化によって、
図3A及び
図3Bに開示されるようにその上方位置に移動される。ただし、四つの最後の連続ゲート31は、上方位置に持ち上げられているが、第一の連続ゲート31は、その下方位置にあるままである。好ましくは、搾乳モジュール内の全ての動物について搾乳が開始されたときを検出して、このことを示す情報を制御ユニット40に与える検出装置が与えられており、これにより、制御ユニット40は、それへの反応として、連続ゲート装置30をその上方の第二位置に移動させるように第三駆動装置32を制御するように構成されている。
【0091】
搾乳が終了して乳頭カップが一つの搾乳モジュール1中の動物の乳頭から除去されたとき、前ゲート装置20は、制御ユニット40を通した指標駆動装置29の活性化によって、
図4A及び
図4Bに開示されるように、指標位置から下方位置に移動される。前に述べたように、ミルク計量器は、搾乳が終了したことを検出するために使用されることができる。代替として、検出装置は、乳頭カップが除去されたとき(これも、搾乳が終了したことを示す)を検出する検出装置であることができる。
【0092】
次に、前ゲート装置20は、制御ユニット40を通した第一駆動装置22の活性化によって、
図5A~
図7Bに開示される中間位置を介して、湾曲された経路に沿って、
図4A及び
図4Bに開示される下方位置から
図8A及び
図8Bに開示される上方位置に移動される。前ゲート装置20のその上方位置への移動中に、連続ゲート装置30は、上方の第二位置にとどまっている。
【0093】
次に、又は動物が前側5を通って搾乳モジュール1の外に歩き出し始めるとき、連続ゲート装置30は、制御ユニット40を通した第三駆動装置32の活性化によって、
図8A及び
図8Bに開示される上方位置から
図9A及び
図9Bに開示される下方位置に移動される。次に、連続ゲート装置30は、それぞれの搾乳場所3をまだ出ていない動物を押し、前側5を通って搾乳モジュール1の外へと出させるだろう。前に述べたように、連続ゲート装置30がその第一位置に到達したことを検出する検出装置は、このことを示す情報を制御ユニット40に与え、それによって制御ユニット40は、動物の別の群の侵入のために入口ゲート34を再び開放する。
【0094】
前側5を通って搾乳モジュール1を出た動物は、次に、出口レーンELを介して検出装置を出ることができる。次に、案内バー27は、指標位置に移動され(
図10A及び
図10B参照)、次に、前ゲート装置20は、
図11A及び
図11Bに開示されるように、上方位置から直接、指標位置に移動される。
【0095】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更され、修正されることができる。