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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】警報トリガ装置及びそのための回路
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20230127BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230127BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
G08B25/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021087720
(22)【出願日】2021-05-25
(62)【分割の表示】P 2019524509の分割
【原出願日】2016-07-22
(65)【公開番号】P2021184251
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】519022757
【氏名又は名称】スティロス、デザイン、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】STYLOS DESIGN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ハンネ、ポルソン
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008059463(DE,A1)
【文献】特開2004-272860(JP,A)
【文献】特表2008-501159(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231375(US,A1)
【文献】国際公開第2016/103978(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0194976(US,A1)
【文献】特開2003-256956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 19/00-31/00
H04M 1/00
H04M 1/72- 1/72516
H04M 11/00-11/10
H04W 4/00-99/00
H04L 12/28
H04L 12/44-12/46
H04L 12/50-12/66
H04L 45/00-49/9057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって着用されるようになっているリストバンド(10)と、
回路(30)と、
を備え、
前記回路(30)は、
前記回路の1つ以上のユニットに給電するように構成される電源(31)と、
前記リストバンドを把持することにより把持力を加えるユーザによる同時作動を可能にする前記リストバンドの周方向延在部に沿う別個の位置に配置される第1及び第2のトリガボタン(32a,32b)と、
前記第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成される警報検出ユニット(33)と、
警報の検出時に警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに無線で送信するように構成される無線通信ユニット(34)と、
前記警報検出ユニットによる警報の検出時にフィードバックをユーザに与えるように構成されるフィードバックユニット(35)と、
を備え、
前記無線通信ユニットは、前記1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上から確認メッセージを受信するように構成され、
前記フィードバックユニットは、前記確認メッセージの受信時にフィードバックをユーザに与えるように更に構成され、前記警報検出ユニットによる警報の検出時のユーザへのフィードバックは、前記確認メッセージの受信時のユーザへのフィードバックとは異なるものであり、
前記第1及び第2のトリガボタンは、弾性力に打ち勝つことによって作動されるように構成され、
前記第1のトリガボタンは、前記リストバンドの周方向延在部に沿う前記第2のトリガボタンとは反対側の位置に配置され、
前記警報検出ユニットは、所定の時間にわたって前記第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成されるものであり、
前記第1のトリガボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることによって作動されるように配置され、前記第2のトリガボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることによって作動されるように配置されるものであり、
前記無線通信ユニットは、前記警報検出ユニットが警報を検出しているときに起動されるように構成される、警報トリガ装置。
【請求項2】
前記電源、前記警報検出ユニット、及び、前記無線通信ユニットは、前記リストバンドと取り外し可能に一体化される電子モジュール(20)内に備えられ、
前記電子モジュールが形状安定ポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料から形成され、 前記リストバンドは、弾性ポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料から形成される請求項1に記載の警報トリガ装置。
【請求項3】
前記フィードバックユニットは、視覚的なフィードバックを与えるための照明装置(35a)、聴覚的なフィードバックを与えるためのラウドスピーカ(35b)、又は、触覚的なフィードバックを与えるためのバイブレータ(35c)のうちの1つ以上を備える請求項1から2のいずれか一項に記載の警報トリガ装置。
【請求項4】
警報トリガ装置のための回路であって、
前記回路の1つ以上のユニットに給電するように構成される電源と、
第1及び第2のトリガボタンと、
前記第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成される警報検出ユニットと、
警報を含む警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに無線で送信するように構成され、且つ、
前記1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上から確認メッセージを受信するように構成される無線通信ユニットと、
第1の安全保証をユーザに提供するために、前記警報検出ユニットによる警報の検出時にフィードバックを前記ユーザに与えるように構成され、且つ、第2の安全保証を前記ユーザに提供するために、前記確認メッセージの受信時にフィードバックを前記ユーザに与えるように構成されるフィードバックユニットであって、前記警報検出ユニットによる警報の検出時の前記ユーザへのフィードバックは、前記確認メッセージの受信時のユーザへのフィードバックとは異なる、フィードバックユニットと、
を備えるものであり、
前記第1及び第2のトリガボタンは、弾性力に打ち勝つことによって作動されるように構成され、
前記第1のトリガボタンは、前記リストバンドの周方向延在部に沿う前記第2のトリガボタンとは反対側の位置に配置され、
前記警報検出ユニットは、所定の時間にわたって前記第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成されるものであり、
前記第1のトリガボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることによって作動されるように配置され、前記第2のトリガボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることによって作動されるように配置されるものであり、
前記無線通信ユニットは、前記警報検出ユニットが警報を検出しているときに起動されるように構成される、回路。
【請求項5】
前記回路は、前記警報トリガ装置のリストバンドに取り外し可能に挿入されるように構成される請求項4に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報トリガ装置及び警報トリガアラームの回路に関する。
【背景技術】
【0002】
緊急警報システムは、高齢者や障害者が自宅で一人暮らしをすることを可能にする。
【0003】
今日の緊急警報システムは、ユーザの家のどこかに位置される基地局と、トリガボタンを伴うリストバンドとから成る。基地局は、1人以上の所定の介護者と通信するように構成される。介護者は例えば親戚又はヘルプセンターである。トリガボタンを伴うリストバンドはユーザによって着用される。トリガボタンを伴うリストバンドは、基地局と無線通信するように更に構成される。基地局とトリガボタンを伴うリストバンドとの間の無線接続の作動距離は、障害物のない環境では一般に100~150メートルである。
【0004】
緊急時に、ユーザがリストバンド上のトリガボタンを作動させ、警報信号が基地局に送信される。通信有効範囲内にある場合、基地局は、警報信号を受信し、警報メッセージを1人以上の所定の介護者に送信する。警報メッセージに答える際には、介護者と基地局との間の電話接続が確立され得る。ユーザ及び介護者は、その後、電話接続を介して通信できる。しかしながら、前提条件は、介護者が基地局から可聴距離内にいることである。
【0005】
前述したことに加え、ユーザがリストバンド上のトリガボタンを実際に作動させることが面倒な場合がある。
【0006】
したがって、緊急警報システムを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上を考慮して、本発明の目的は、緊急警報システムの改善をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、警報トリガ装置が提供される。警報トリガ装置は、ユーザにより着用されるようになっているリストバンドと回路とを備える。回路は、該回路の1つ以上のユニットに給電するように構成される電源と、リストバンドを把持することにより把持力を加えるユーザによる同時作動を可能にするリストバンドの周方向延在部に沿う別個の位置に配置される第1及び第2のトリガボタンと、第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成される警報検出ユニットと、警報の検出時に警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに無線で送信するように構成される無線通信ユニットとを備える。
【0009】
リストバンドを把持することにより把持力を加えるユーザによる同時作動を可能にすることによって、警報をトリガするための簡単で効率的な失敗のない手段がもたらされる。把持力を加えることは、人間、特に高齢者や障害者にとって力を加える最も簡単な方法のうちの1つである。
【0010】
第1及び第2のトリガボタンは、弾性力に打ち勝つことによって作動されるように構成されてもよい。したがって、第1及び第2のトリガボタンを作動させるための効率的な手段がもたらされる。
【0011】
第1のボタンは、リストバンドの周方向延在部に沿う第2のボタンとは反対側の位置に配置されてもよい。
【0012】
第1のボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることにより作動されるように配置されてもよい。第2のボタンは、径方向内側に向けられる力を加えることにより作動されるように配置されてもよい。特に、第1のボタンは、警報トリガ装置を把持するユーザの親指により作動されるように配置されてもよく、また、第2のボタンは、警報トリガ装置を把持するユーザの人差し指により作動されるように配置されてもよい。
【0013】
電源、警報検出ユニット、及び、無線通信ユニットは、リストバンドと取り外し可能に一体化されてもよい電子モジュール内に備えられる。したがって、組み立てがより簡単な警報トリガ装置がもたらされる。更に、これにより、リストバンド及び電子モジュールの容易なリサイクルが可能となる。
【0014】
電子モジュールは、形状安定ポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料から形成されてもよい。電子モジュールが形状安定ポリマー材料から形成されることにより、電子モジュールのユニットは、それらの間の接続が破壊されないようにそれらの相互の位置に安全に保持される。したがって、電子モジュールの長い寿命がもたらされる。熱可塑性材料の使用は電子モジュールの製造を容易にする。
【0015】
リストバンドは、弾性ポリマー材料、好ましくは熱可塑性材料から形成される。リストバンドをそのように形成することにより、リストバンドをユーザの手首の周囲に弾性的に適用することが容易となり得る。更に、リストバンドの弾性特性は、手首に摩耗を何ら引き起こすことなくユーザの手首の周りに良好な感触をもたらす。熱可塑性材料の使用はリストバンドの製造を容易にする。
【0016】
警報検出ユニットは、所定の時間にわたって第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成されてもよい。警報をトリガするための所定の時間を設定することによって、誤警報を回避することができる。
【0017】
回路は、警報検出ユニットによる警報の検出時にフィードバックをユーザに与えるように構成されるフィードバックユニットを更に備える。警報の検出時にフィードバックを与えることにより、ユーザは、自分が警報をトリガしたことを直ちに確認することができる。これは、警報トリガ装置の安全な装着感をユーザに与えることができる。
【0018】
無線通信ユニットは、1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上から確認メッセージを受信するように構成されてもよい。
【0019】
フィードバックユニットは、確認メッセージの受信時にフィードバックをユーザに与えるように更に構成されてもよい。確認メッセージの受信時にフィードバックを与えることにより、ユーザは誰かが警報を受信したことを直ちに確認することができる。これは、警報トリガ装置のより一層安全な装着感をユーザに与えることができる。
【0020】
警報検出ユニットによる警報の検出時のユーザへのフィードバックは、確認メッセージの受信時のユーザへのフィードバックと異なってもよい。これにより、ユーザはフィードバック信号間を簡単に区別できる。
【0021】
フィードバックユニットは、視覚的なフィードバックを与えるための照明装置、聴覚的なフィードバックを与えるためのラウドスピーカ、又は、触覚的なフィードバックを与えるためのバイブレータのうちの1つ以上を備えてもよい。これにより、ユーザの異なる感覚がフィードバックのために引き起こされ得る。
【0022】
回路が位置決定ユニットを更に備えてもよく、この位置決定ユニットは、警報のトリガ時にユーザの位置を決定するように構成され、また、無線通信ユニットは、警報メッセージにユーザの位置を含めるように更に構成される。したがって、警報受信ユニットのオペレータは、警報トリガ装置のユーザの位置に関連する情報を簡単且つ安全に受信することができる。特に、警報がトリガされる位置を受信できる。警報のトリガ時のユーザの位置だけを決定するように位置決定ユニットを設定することにより、警報トリガ装置のユーザの個人的な完全性を保つことができる。
【0023】
無線通信ユニットは、遠隔通信リンクを介して音声を送受信するように構成されてもよく、この場合、回路は、遠隔通信リンクを介して無線通信ユニットによって送信されるべき音声を記録するように構成されるマイクロホンユニットと、遠隔通信リンクを介して無線通信ユニットにより受信される音声を再生するように構成されるラウドスピーカユニットとを更に備える。これにより、警報トリガ装置のユーザとオペレータ又は警報受信ユニットとの間の通信が容易になる。
【0024】
マイクロホンユーザ及び/又はラウドスピーカユニットは、警報検出ユニットが警報を検出しているときに起動されるように構成されてもよい。これにより、警報トリガユニットの電源の電力を節約できる。更に、警報を検出する際にマイクロホンユニット及び/又はラウドスピーカユニットを起動させることにより、警報トリガ装置のユーザの個人的な完全性を保つことができる。
【0025】
無線通信ユニットは、警報検出ユニットが警報を検出する際に起動されるように構成されてもよい。これにより、警報トリガユニットの電源の電力を節約できる。更に、警報を検出する際に無線通信ユニットを起動させことにより、警報トリガ装置のユーザの個人的な完全性を保つことができる。
【0026】
回路は、ユーザの転倒を検出して転倒警報信号を発するように構成される転倒検出ユニットを更に備えてもよく、この場合、警報検出ユニットは、転倒警報信号を受信することによって警報を検出するように更に構成される。
【0027】
電源は充電式バッテリであってもよく、この場合、回路は、電源を充電するための誘導充電ユニットを更に備える。これにより、電子モジュールの寿命を延ばすことができる。また、電源の面倒な交換も回避できる。更に、電源の誘導充電を行うことにより、警報トリガ装置に対する物理的な接続は不要となる。これにより、警報トリガ装置に対する埃や汚れの付着が減少する。更に、これにより、警報トリガ装置を防水にすることが更に容易になる。
【0028】
第2の態様によれば、警報トリガ装置のための回路が提供される。回路は、回路の1つ以上のユニットに給電するように構成される電源と、第1及び第2のトリガボタンと、第1及び第2のトリガボタンの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成される警報検出ユニットと、警報を含む警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに無線で送信するように構成される無線通信ユニットとを備える。
【0029】
回路は、警報トリガ装置のリストバンドに取り外し可能に挿入されるように構成されてもよい。したがって、組み立てがより簡単な警報トリガ装置がもたらされる。更に、これにより、リストバンド及び電子モジュールの容易なリサイクルが可能となる。
【0030】
警報トリガ装置の前述の特徴は、適用可能な場合、この第2の態様にも当てはまる。過度の反復を避けるために、上記を参照する。
【0031】
本発明の更なる適用範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるため、詳細な説明及び特定の実施例が本発明の好ましい実施形態を示しつつ単なる例示として与えられているにすぎないことが理解されるべきである。
【0032】
したがって、記載された装置及び記載された方法のステップの特定の構成要素部分にこの発明が限定されないことが理解されるべきである。これは、そのような装置及び方法が変化し得るからである。本明細書中で使用される用語が、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定しようとするものではないことも理解されるべきである。本明細書中及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び、「前記(said)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ要素のうちの1つ以上が存在することを意味するようになっていることに留意すべきである。したがって、例えば、「1つのユニット」又は「そのユニット」への言及は、幾つかの装置などを含んでもよい。更に、「備える」、「含む」、「含んでいる」という用語、及び、同様の表現は、他の要素又はステップを排除しない。
【0033】
ここで、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明の前記態様及び他の態様について更に詳しく説明する。図は、本発明を特定の実施形態に限定するとみなされるべきでなく、代わりに、それらの図は、本発明を説明して理解するために使用される。
【0034】
図に示されるように、層及び領域のサイズは、説明のために誇張されており、したがって、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するために与えられる。同様の参照番号は全体にわたって同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】電子モジュールがリストバンドから分解される、リストバンドと電子モジュールとを備える分解された警報トリガ装置の概略側面図である。
図2】組み立てられた警報トリガ装置の断面図である。
図3】警報トリガ装置の回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の現在好ましい実施形態が示される添付図面を参照して、本発明を更に詳しく説明する。しかしながら、この発明は、多くの異なる形態で具現化することができるとともに、本明細書中に記載される実施形態に限定されるように解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底且つ完全のために及び本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために与えられる。
【0037】
図1は、警報トリガ装置1の概略側面図である。警報トリガ装置1は、リストバンド10と電子モジュール20とを備えることが好ましい。電子モジュール20はリストバンド10に取り外し可能に挿入可能である。図1では、警報トリガ装置1が分解状態で示される。
【0038】
リストバンド10は好ましくは弾性ポリマー材料から形成される。弾性ポリマー材料は好ましくは熱可塑性材料である。非限定的な例によれば、弾性ポリマー材料がシリコン系材料であってもよい。電子モジュール20は形状安定ポリマー材料を備える。
【0039】
リストバンド10は、その中に電子モジュール20を挿入するための開口12を備えてもよい。電子モジュール20は、リストバンド10内に挿入されると、開口12を介してそこから取り外されてもよい。電子モジュール20は突起21を備えてもよい。突起21は、リストバンド10の開口12に対して相補的な形態を有してもよく、また、これにより、リストバンドと電子モジュールとの間のシールが達成されてもよい。そのため、簡単で清浄な警報トリガ装置1が提供される。したがって、警報トリガ装置1は、汚れが堆積することなく、ユーザによって毎日24時間着用され得る。
【0040】
電子モジュール20がブーメラン形状を有していてもよい。したがって、電子モジュール20は円形セグメントの形態を成してもよい。そのため、電子モジュール20はユーザの手首の形状に従う。円形セグメントの端部は丸みを帯びていてもよい。これにより、リストバンド10内への電子モジュール20の挿入が容易になる。
【0041】
図2は組み立てられた警報トリガ装置1の断面図である。したがって、電子モジュール20がリストバンド10内に挿入される。リストバンド10は、リストバンドを形成するためにリストバンドの2つの端部を互いに固定するためのロック機構14を備えてもよい。ロック機構14は、当業者に知られている多くの異なる方法で具現化されてもよい。
【0042】
警報トリガ装置1の使用中、リストバンド10は、その中に挿入された電子モジュール20とともに、警報トリガ装置1のユーザの手首の周りに着用されることが好ましい。
【0043】
図2に示されるように、警報トリガ装置1は第1及び第2のトリガボタン32a,32bを備える。第1及び第2のトリガボタン32a,32bはリストバンド10の周方向延在部に沿う別個の位置に配置される。第1及び第2のトリガボタン32a,32bは、ユーザによる同時作動を可能にする。同時作動は、第1及び第2のトリガボタン32a,32bに把持力を同時に加えることによって行われる。把持力は、ユーザがリストバンドを片手で把持することによって加えられる。言うまでもなく、把持力は、リストバンドがユーザによって着用される手以外の手によって加えられる。したがって、第1のトリガボタン32aは、径方向内側に向けられる力を加えることにより作動されるように配置されてもよい。同様に、第2のトリガボタン32bは、径方向内側に向けられる力を加えることにより作動されるように配置されてもよい。第1のトリガボタン32aは、弾性力に打ち勝つことによって作動されてもよい。第2のトリガボタン32bは、弾性力に打ち勝つことによって作動されるように構成されてもよい。
【0044】
前述のように、警報は、第1及び第2のトリガボタン32a,32bを同時に作動させることによって警報トリガ装置1のユーザによってトリガされる。同時作動は、リストバンド10、したがってそこに備えられる第1及び第2のトリガボタン32a,32bを片手で把持して把持力を加えることによってユーザにより行われる。ユーザは、リストバンド10をユーザの一方の手の手首の周りに装着し、ユーザの他方の手でリストバンド10を把持している。リストバンドを把持することにより把持力を加えるユーザによる同時作動を可能にすることによって、警報をトリガするための簡単で効率的な失敗のない手段がもたらされる。把持力を加えることは、人間、特に高齢者や障害者にとって力を加える最も簡単な方法のうちの1つである。
【0045】
図2にも示されるように、第1のトリガボタン32aは、リストバンド10の周方向延在部に沿う第2のトリガボタン32bとは反対側の位置に配置されてもよい。第1のトリガボタン32aは、リストバンド10の周方向延在部全体の少なくとも5%、好ましくはリストバンド10の周方向延在部全体の5~40%であるリストバンド10の周方向延在部に沿う延在長を有してもよい。第2のトリガボタン32aは、リストバンド10の周方向延在部全体の少なくとも5%、好ましくはリストバンド10の周方向延在部全体の5~10%であるリストバンド10の周方向延在部に沿う延在長を有してもよい。
【0046】
リストバンド10は、トリガボタン32a,32bが位置されている場所を示す突起を備えてもよい。
【0047】
前述のように、警報トリガ装置1は、第1及び第2のトリガボタン32a,32bを備える。第1及び第2のトリガボタン32a,32bは回路30に備えられる。回路30は電子モジュール20に備えられてもよい。図3に関連して、警報トリガ装置1の回路30について説明する。図3は、警報トリガ装置の回路30のブロック図である。第1及び第2のトリガボタン32a,32bに加えて、回路は、警報検出ユニット33、無線通信ユニット34、及び、電源31を備える。
【0048】
電源31は、回路30の1つ以上のユニットに給電するように構成される。電源とは、回路30の1つ以上のユニットに電力を供給するように構成される供給源を意味する。例えば、電源31は充電式バッテリであってもよい。回路30は、電源31を充電するための誘導充電ユニット41を更に備えてもよい。
【0049】
警報検出ユニット33は、好ましくは所定の時間にわたって第1及び第2のトリガボタン32a,32bの同時作動を検出することによって警報を検出するように構成される。所定の時間は、例えば、1~10秒の間隔内の時間に設定されてもよい。
【0050】
無線通信ユニット34は、警報の検出時に警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニット(図示せず)に無線で送信するように構成される。無線通信ユニット34は、例えば、1つ以上の警報受信ユニットとの通話を確立するように構成される電話モジュールであってもよい。したがって、無線通信ユニット34は、無線通信ユニット34を携帯電話ユニットとして設定するための固定された又は交換可能なSIMカードを備えてもよい。無線通信ユニット34は、1つ以上の警報受信ユニットを警報トリガ装置1のユーザによって設定できる或いは警報トリガ装置1をユーザに提供するサービスプロバイダによって設定できるようにプログラム可能であってもよい。無線通信ユニット34は、1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上から確認メッセージを受信するように更に構成されてもよい。1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上から確認メッセージを受信する際、無線通信ユニット34は、1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上との遠隔通信リンクを確立するように更に構成されてもよい。したがって、無線通信ユニット34は、遠隔通信リンクを介して音声を送受信するように構成されてもよい。無線通信ユニット34は、警報検出ユニット33による警報の検出時に起動するように構成されてもよい。
【0051】
1つのシナリオによれば、無線通信ユニット34は、少なくとも1つの確認メッセージが受信されるまで、1つ以上の警報受信ユニットに警報メッセージを送信するように構成される。
【0052】
無線通信ユニット34は、1つ以上の警報受信ユニットに同時に警報メッセージを送信するように更に構成されてもよい。
【0053】
無線通信ユニット34は、1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つから確認メッセージを受信する際、1つ以上の警報受信ユニットの他の警報受信ユニットに対する警報メッセージの送信を停止するように更に構成されてもよい。
【0054】
回路30はマイクロホンユニット37を更に備えてもよい。マイクロホンユニット37は、無線通信ユニット34によって送信されるべき又は回路30のメモリ(図示せず)に記憶されるべき音声を記録するように構成される。マイクロホンユニット37は、確認メッセージの受信時に起動されるように構成されてもよい。これにより、ユーザは、警報に関連して1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上と通信することができる。或いは、マイクロホンユニット37は、警報のトリガ時に起動されるように構成されてもよい。ユーザに1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上と通信させることに加えて、これは、警報をトリガする事象と1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上からの確認メッセージの受信との間のユーザの位置で音を記録及び記憶できるようにする。
【0055】
回路30は、遠隔通信リンクを介して無線通信ユニット34により受信される音声を再生するように構成されるラウドスピーカユニット38を更に備えてもよい。ラウドスピーカユニット38は、確認メッセージの受信時に起動されるように構成されてもよい。或いは、ラウドスピーカユニット38は、警報検出ユニット33が警報を検出しているときに起動されるように構成されてもよい。これらの選択肢のいずれによって、電源31の電力が節約されてもよい。
【0056】
1つのシナリオによれば、警報トリガ装置1のユーザは、上記に従ってリストバンド10を把持することにより警報をトリガする。これがマイクロホンユニット37を起動させ、ユーザの位置における音声が記録されてもよい。無線通信ユニット34が警報によっても起動され、また、無線通信ユニット34は、場合により、ユーザの位置で記録される音声を含む警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに送信する。前述したように、警報メッセージに応答する際、警報受信ユニットは、確認メッセージを警報トリガ装置1に送信する。確認メッセージの受信時又は警報をトリガする際に、ラウドスピーカユニット38が起動されてもよい。その後、音声が警報受信ユニットから警報トリガ装置1に直接に送信されてもよい。これにより、警報受信ユニットのオペレータ及び警報トリガ装置1のユーザが互いに話し合うことができる。
【0057】
回路30はフィードバックユニット35を更に備えてもよい。フィードバックユニット35は、視覚的なフィードバックを与えるための照明装置35a、聴覚的なフィードバックを与えるためのラウドスピーカ35b、又は、触覚的なフィードバックを与えるためのバイブレータ35cのうちの1つ以上を備えてもよい。非限定的な例によれば、照明装置35aがLEDを備えてもよい。リストバンド10は、フィードバックユニット35の照明装置35aからの光がそこを通って逃げることを可能にする半透明部を備えてもよい。リストバンド10の半透明部は、リストバンド10の側面に位置されてもよく、また、リストバンド10の周方向延在部に沿う延在部を有してもよい。フィードバックユニット35は、警報検出ユニット33による警報の検出時にユーザにフィードバックを与えるように構成されてもよい。更に、フィードバックユニット35は、1つ以上の警報受信ユニットのうちの1つ以上からの確認メッセージの受信時にユーザにフィードバックを与えるように構成されてもよい。好ましくは、フィードバックユニット35は、フィードバックが起動された警報の確認として与えられるか又はフィードバックが受信された確認メッセージの確認として与えられるかどうかに応じて、異なるフィードバックをユーザに与えるように構成される。非限定的な例として、照明装置35aは、警報の起動時に第1の色の光を発するフィードバックを与えるとともに確認メッセージの受信時に第2の色の光を発するフィードバックを与えるように設定されてもよく、この場合、第2の色は第1の色と異なる。フィードバックユニット35のラウドスピーカ35bは、フィードバックの種類に応じて異なる音を発するように設定されてもよく、及び/又は、フィードバックユニット35のバイブレータ35cは、フィードバックの種類に応じて異なる触覚信号を発するように設定されてもよい。これに代えて又はこれと組み合わせて、警報の起動に関連するフィードバック及び確認メッセージの受信に関連するフィードバックは、照明装置35a、ラウドスピーカ35b、及び、バイブレータ35cのうちの異なるものによって与えられてもよい。
【0058】
回路30は位置決定ユニット36を更に備えてもよい。非限定的な例によれば、位置決定ユニット36がGPSユニットであってもよい。位置決定ユニット36は、警報のトリガ時にユーザの位置を決定するように構成される。そのような場合、無線通信ユニット34は、ユーザの位置を警告メッセージに含めるように更に構成されてもよい。したがって、1つ以上の警報受信ユニットの全ては、警報がトリガされたときにユーザがいた位置を得ることができる。1つのシナリオによれば、警報トリガ装置1のユーザは、上記に従ってリストバンド10を把持することにより警報をトリガする。これにより、ユーザの位置を決定する位置決定ユニット36が起動される。無線通信ユニット34が警報によっても起動され、また、無線通信ユニット34は、ユーザの位置を含む警報メッセージを1つ以上の警報受信ユニットに送信する。更に、位置決定ユニット36は、アクティブな遠隔通信リンク中にユーザの位置を更新してもよい。無線通信ユニット34は、ユーザの更新された位置を1つ以上の警報受信ユニットに送信するように構成されてもよい。
【0059】
回路30は通信バス40を更に備えてもよい。回路30のユニット33,34,35,36,37,38,39が通信バス40を介して通信するように構成されてもよい。
【0060】
回路30のユニット33,34,35,36,37,38,39のうちの1つ以上が専用のハードウェアコンポーネントとして実装されてもよい。回路30のユニット33,34,35,36,37,38,39のうちの1つ以上は、データ処理ユニット上で実行されるデジタルソフトウェアコンポーネントとして実装されてもよい。したがって、回路30が処理ユニットを備えてもよい。回路30は、前述の1つ以上のデジタルソフトウェアコンポーネントを記憶するための持続性コンピュータ可読デジタル記憶媒体を更に備えてもよい。
【0061】
当業者であれば分かるように、本発明は決して前述の好ましい実施形態に限定されない。逆に、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。
【0062】
例えば、上記において、警報トリガ装置1は、リストバンド10と、リストバンド10内に取り外し可能に挿入できる電子モジュール20とを備える装置として例示されていた。しかしながら、実施形態によれば、警報トリガ装置1は、リストバンド10を回路30の周囲に成形することによって形成されてもよい。したがって、回路30がリストバンド10内に封入されてもよい。更なる他の実施形態によれば、警報トリガ装置1は、回路30を内部に備える電子モジュール20の周囲にリストバンド10を成形することによって形成されてもよい。したがって、電子モジュール20及びその中に備えられる回路30がリストバンド10内に封入されてもよい。
【0063】
更に、回路30は転倒検出ユニット39を備えてもよい。転倒検出ユニット39は、ユーザの転倒を検出するように構成される。ユーザの転倒を検出すると、転倒検出ユニット39は転倒警告信号を発するように構成される。そのような場合、警報検出ユニット33は、転倒警報信号を受信することによって警報を検出するように更に構成される。転倒検出ユニット39は、当業者に知られている様々な方法で実施されてもよい。非限定的な例は、加速度計に基づく転倒検出ユニット39である。
【0064】
加えて、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示内容、及び、添付の特許請求の範囲の検討により、特許請求の範囲に記載される発明を実施する際に当業者によって理解されて達成され得る。
図1
図2
図3