(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】伸長紙並びに拡張スリット梱包ラップ及び空間充填製品の製造における伸長紙の使用
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20230127BHJP
【FI】
B65D81/03 100Z
(21)【出願番号】P 2021140755
(22)【出願日】2021-08-31
(62)【分割の表示】P 2020520433の分割
【原出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-08-31
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519455988
【氏名又は名称】グッドリッチ,デビッド ポール
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】グッドリッチ,デビッド ポール
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-502718(JP,A)
【文献】特開2006-248538(JP,A)
【文献】特開2009-102031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0267018(US,A1)
【文献】英国特許出願公告第00951132(GB,A)
【文献】米国特許第5538778(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工を施すことで伸長可能なスリットシート紙を含む製品であって、前記スリットシート紙が、拡張と同時に開口セルを形成するスリット模様を有し、且つ、伸長可能であり、
前記スリットシート紙の材料となる紙における機械方向伸長可能範囲が3~9%
である、伸長可能スリットシート紙製品。
【請求項2】
前記スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、六角セルの配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成する、請求項1に記載の伸長可能スリットシート紙製品。
【請求項3】
前記スリットシート紙が、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から40ポンド(13.61から18.14キログラム)の範囲の重量を有する紙である、請求項1に記載の伸長可能スリットシート紙製品。
【請求項4】
包装された物体を備える輸送梱包物であって、
前記包装された
前記物体が、連結した六角セルを有する少なくとも2層の拡張スリットシート紙ラップで包装されており、
スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張されて、前記連結した六角セルを有する少なくとも2層の前記拡張スリットシート紙ラップが形成され、
スリットシート紙ラップが、
機械加工を施すことで伸長可能であり、前記スリットシート紙ラップの材料となる紙における機械方向伸長可能範囲が、3~9%
である前記スリットシート紙から形成され、
前記包装された
前記物体が輸送容器内に収容される輸送梱包物。
【請求項5】
前記スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、六角セルの配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成する、請求項4に記載の輸送梱包物。
【請求項6】
前記スリットシート紙が、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から40ポンド(13.61から18.14キログラム)の範囲の重量を有する紙である、請求項4に記載の輸送梱包物。
【請求項7】
拡張スリットシート紙材で物体を包装し衝撃を和らげることで、前記物体を輸送用に保護する方法であって、前記拡張スリットシート紙材が少なくとも1枚の拡張可能シート材であり、少なくとも1枚の
前記拡張可能シート材が柔軟な不織繊維材であり、繊維シート材の一端部から少なくとも1枚のシートの対向端部まで短手方向に延在するスリット模様状に、離間した平行な複数の列に個別のスリットを有し、前記列のそれぞれは、連続した前記スリットの間に離間間隔を有し、
各々の前記列の前記スリットは、隣接する平行なスリット列における連続したスリット間に
前記離間間隔をおいて隣り合って位置付けられ、前記拡張スリットシート紙材が
機械加工を施すことで伸長可能であり、前記拡張スリットシート紙材の材料となる紙における機械方向伸長可能範囲が、3~9%
であるスリットシート紙から形成され、
a)1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えることで少なくとも1枚の前記拡張可能シート材の長さを拡張して、開口部の配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成する工程であって、
柔軟な不織繊維シート材及び前記スリットが、組み合わされて、
i)ランド領域及びレッグ領域によって結び付けられ、概して同様の形状及び大きさをもち、一貫して模様を一様に繰り返し、繊維シートの一端部から対向端部まで
前記短手方向に延在する概して不規則な模様として、且つ繊維シート材の一端部から対向端部まで横断する繰返し不可能な一組目の
前記列にも隣接して開口する六角開口部の配列を、拡張と同時に形成することを特徴とする拡張可能シートを作り出すものである、工程と、
b)前記物体の周りに少なくとも1つの
前記拡張シートを巻き付ける工程と、
c)包装された前記物体を梱包物内に入れる工程と、を含む方法。
【請求項8】
前記スリットシート紙が、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、六角セルの配列を有する少なくとも1つの前記拡張シートを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スリットシート紙が、3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たりおおよそ30から40ポンド(13.61から18.14キログラム)の範囲の重量を有する紙である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
2層以上の連結した六角セルを拡張と同時に形成するスリットシート材を拡張する方法であって、
機械加工を施された前記スリットシート材の材料となる紙における機械方向伸長可能範囲が、3~9%であり、
前記スリットシート材を拡張する工程と、
連結接触した隣接する層を形成するように前記スリットシート材を巻き付けて、これにより、拡張された層が収縮すること及びはまり込むことを防止する工程と、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包ラップとしての用途等に採用される拡張スリットシート紙に関する。
【背景技術】
【0002】
〈関連出願の相互参照〉
本出願は、拡張スリット紙を製造するための伸長紙及びその使用と題され、2017年6月26日付で出願された米国仮出願第62/524,905の利益を主張するものであり、この開示の全てが参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
従来の拡張スリットシート紙は伸長不可能であり、主にクラフト紙から作られていた。従来の拡張スリットシート紙は、手動又は電動の拡張システムを用いて拡張されていた。特許文献1、2、3、4及び5を参照し、これらの開示の全てが、全文が本明細書に記載されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0004】
従来の拡張スリットシート紙は、本発明の構想や本発明による潜在的な利点をもたない既存の技術の制約にも関わらず、数十年に亘り市場に存続してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5,538,778号明細書
【文献】米国特許第5,667,871号明細書
【文献】米国特許第5,688,578号明細書
【文献】米国特許第5,782,735号明細書
【文献】国際出願PCT/US2014/054615号明細書
【文献】米国出願第15/001,168号明細書
【文献】米国出願第15/428,144号明細書
【文献】米国出願第15/820,514号明細書
【文献】米国特許第3,908,071号明細書
【文献】米国特許出願第14/901,977号明細書
【文献】米国特許第9,945,077号明細書
【文献】国際出願WO1984002936号明細書
【文献】米国公開第2002/0060034号明細書
【文献】米国公開第2007/0240841号明細書
【文献】米国特許第7,918,966号明細書
【文献】米国特許第3,104,197号明細書
【文献】米国特許第3,220,116号明細書
【文献】米国特許第3,266,972号明細書
【文献】米国特許第3,269,393号明細書
【文献】米国特許第3,908,071号明細書
【文献】米国特許第6,024,832号明細書
【文献】米国特許第6,458,447号明細書
【文献】米国特許第6,712,930号明細書
【文献】米国特許第6,416,623号明細書
【文献】米国特許公開第2016/0355985号明細書
【文献】米国特許出願第14/480,319号明細書
【文献】米国特許第8,518,522号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】R.S.Seth,”Understanding Sheet Extensibility”,Pulp & Paper Canada T31,106:2(2005),III p.33~40(T31~T38)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
好適な実施形態によって、上記及び/又は他の背景技術における問題が克服される。
【0008】
本発明における幾つかの好適な実施形態の更なる重要な目的は、空間充填として用いられる紙から作られた軽量の拡張スリットシートを作り出すことである。
【0009】
本発明における幾つかの好適な実施形態の重要な目的は、先行技術の欠点を克服することである。本発明の広範の実施形態によれば、拡張スリットシート紙は、例えば拡張スリットシート材を拡張するのに必要な牽引力を有利且つ実質的に軽減する伸長紙によって作られる。他の利益として、この軽減された牽引力によって非常に価値のある様々な利益が生じ、これには、これまで求められこれまで必要とされていた複雑な抵抗装置を回避して、略完全に再生利用可能に製造可能なより小型の手動拡張装置に市場を開放することが含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、伸長可能スリットシート紙製品は、紙製品の拡張と同時に開口セルを形成するスリット模様を有して製造される。紙製品は、機械方向に1~9%且つ横方向に1~5%の範囲の伸長性を有する伸長紙である。好適には、伸長紙は、機械方向に1~6%且つ横方向に1~4%の伸長可能範囲を有する。最も好適には、伸長紙は、機械方向に1~4%且つ横方向に1~3%の伸長可能範囲を有する。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、伸長可能スリットシート紙製品は、前記紙製品の拡張と同時に開口セルを形成するスリット模様を有して製造され、前記スリットシートは、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、これによって、六角セルの配列を有する少なくとも1つの拡張シートが形成され、伸長紙は、機械方向に1~6%且つ横方向に1~4%の伸長可能範囲を有する。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、輸送梱包物が、包装された物体を備え、包装された物体は、連結した六角セルを有する少なくとも2層の拡張スリット紙ラップで梱包されている。1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることでスリットシートが拡張されて、連結した六角セルを有する少なくとも2層の拡張スリット紙ラップが形成される。スリット紙ラップは、機械方向に1~9%且つ横方向に1~5%の伸長可能範囲を有する伸
長紙から形成される。包装された物体は、好適には段ボール紙から形成された輸送容器内に収容される。好適には、伸長紙は、機械方向に1~6%且つ横方向に1~4%の伸長可能範囲を有する。最も好適には、伸長紙は、機械方向に1~4%且つ横方向に1~3%の伸長可能範囲を有する。好適には、スリットシートは、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、六角セルの配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成することを特徴とする。
【0013】
本発明の更なる実施形態によれば、2層以上の連結した六角セルを拡張と同時に形成するスリットシート材を拡張するために方法が提供され、スリットシート材は、機械方向に1~9%且つ横方向に1~5%の伸長可能範囲を有する伸長紙である。スリットシート材は、連結接触した隣接する層を形成するように拡張されて巻き付けられる。巻き付けられた層の特徴は、セルが収縮すること及び入れ子状になることを防止することである。好適には、伸長紙は、機械方向に1~6%且つ横方向に1~4%の伸長可能範囲を有する。最も好適には、伸長紙は、機械方向に1~4%且つ横方向に1~3%の伸長可能範囲を有する。好適には、スリットシートは、1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えられることで拡張可能であり、六角セルの配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成することを特徴とする。スリットシート材の巻き付けは、好適には、拡張スリットシートを物体に巻き付けることと、物体の周りを覆う少なくとも2層の連結六角セル層を形成することとを含む。好適には、覆っている連結六角セルは、実質的に層の幅に亘って直接接触している。
【0014】
本発明の更に他の実施形態によれば、本発明は、拡張スリットシート材で物体を包装し衝撃を和らげることで、物体を輸送用に保護することを含む。拡張スリットシート材は、柔軟な不織繊維材である少なくとも1枚の拡張可能シート材であり、繊維シート材の一端部から前記少なくとも1枚のシートの対向端部まで短手方向に延在するスリット模様状に、離間した平行な複数の列に個別のスリットを有し、前記列のそれぞれは、連続したスリットの間に離間間隔を有する。各列のスリットは、隣接する平行なスリット列における連続したスリット間に離間間隔をおいて隣り合って位置付けられ、拡張と同時に立体的な六角セルが形成されるようになっている。スリットシート材は、機械方向に1~9%且つ横方向に1~5%の伸長可能範囲を有する伸長紙から形成される。方法は以下の工程を含む。
【0015】
a)1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15から0.22ポンド(0.07から0.1キログラム)の範囲の拡張力を加えることで少なくとも1枚の拡張可能シート材の長さを拡張して、開口部の配列を有する少なくとも1つの拡張シートを形成することであって、
前記柔軟な不織繊維シート材及び前記スリット模様が、組み合わされて、
i)ランド領域及びレッグ領域によって結び付けられ、概して同様の形状及び大きさをもち、一貫して模様を一様に繰り返し、繊維シートの一端部から対向端部まで短手方向に延在する概して不規則な模様として、且つ繊維シート材の一端部から対向端部まで横断する繰返し不可能な一組目の列にも隣接して開口する六角開口部の配列を、拡張と同時に形成することを特徴とする拡張可能シートを作り出すものである、ことと、
b)物体の周りに前記少なくとも1つの拡張シートを巻き付けることと、
c)包装された物体を梱包物内に入れること。
【0016】
好適には、伸長紙は、機械方向に1~6%且つ横方向に1~4%の伸長可能範囲を有する。最も好適には、伸長紙は、機械方向に1~4%且つ横方向に1~3%の伸長可能範囲を有する。
【0017】
本発明の更なる実施形態によれば、伸長紙は、設計のとおり、紙強度の増大の一環として延伸する。スリットシートは、セルが引き伸ばされた形状へと替わり易くするためにのみ、伸長可能特性を利用する。これは、スリットが、セルが替わる明確な時点(スリットの各辺における1つのランド領域)でのみ、伸長紙の延伸能力を利用することを意味する。伸長可能特性は、セルがその立体形状へと替わり始めると直ちに利用され、終了する。その後、スリット模様の特性によって、紙の種類に関係なく、立体的な六角セルが形成される点に向かってより開き易くなる。紙の伸長性は、拡張における初めの一瞬にのみ発揮される。
【0018】
添付の図面に伴う以下の説明を考慮し、様々な実施形態の上記及び/又は他の態様、特徴及び/又は利点がより認められるであろう。様々な実施形態は、適用可能な場合は、異なる態様、特徴及び/又は利点を含むこと及び/又は除外することができる。また、様々な実施形態は、適用可能な場合は、他の実施形態の1つ以上の態様又は特徴を組み込むことができる。特定の実施形態の態様、特徴及び/又は利点の説明は、他の実施形態又はクレームを限定するものとして解釈されるべきではない。
【0019】
本発明の好適な実施形態は、添付の図面に関連して、限定なく、例として説明される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の広範の実施形態によれば、伸長紙の使用により、拡張スリットシート材を引き伸ばすのに必要な牽引力が軽減され、これにより、例えば、非常に壊れやすい物に対してより強力な緩衝効果をもつ空間充填使用や軽量紙を含む市場が拡大される。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、伸長紙の使用により、包装工程の最後に拡張可能スリットシート紙のロールから拡張スリットシート紙を破ることができる状態のまま、拡張可能スリットシート紙の拡張中におけるスリット紙の破れ易さが軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、開放位置且つ直ちに使用可能な位置にある、実例的な手動拡張機の斜視図である。
【
図2】
図2は、直ちに輸送可能な閉鎖構成にある、再生利用可能な手動拡張機の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る拡張可能紙を作る、スリット模様を有する実例的なスリット紙の一部の平面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る六角セルを作るように拡張されている、
図3のスリット模様を有するスリット紙の一部の平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の幾つかの実例的な実施形態に係る、ある長さの紙がロールから巻き外された伸長可能スリットシート紙のロールを示す概略説明図である。
【
図6】
図6は、仮定上の実例的な背景における拡張可能スリットシート製品と実例的且つ非限定の例示的な伸長可能スリットシート製品とを比較する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
好適な実施形態に関する定義
本発明の目的として、紙シートに適用される「拡張可能」という用語は、紙シートの長手方向に力を加えると同時にスリットを開くことで紙を拡張できるようにするスリット模様を有する紙を意味する。実例的な拡張可能紙シートは、特許文献1、2、3、4及び5に開示され、これらの開示は全て、全文が記載されるかのように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。スリット模様は、スリット模様の性質に基づき、関連する幅の減少と共に紙の長さの拡張を可能にする。スリット模様は、これらの開示全体が、全文が記載されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる特許文献5並びに係属中の特許文献6、7及び8に教示されるような拡張機で加工される際に、スリット模様に基づく長さの増加を生み出す。
【0024】
本発明の目的として、紙シートに適用される「伸長可能」という用語は、紙シートの長手方向に力を加えると同時に紙シートの長手方向への延伸を可能にする紙シートを意味する。実例的な伸長可能シートが特許文献9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22及び23に開示され、これらの開示全体が、全文が記載されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。伸長紙の延伸は、スリ
ットをもたない紙で測定しなければならないことが理解されるべきである。特許文献18に開示されるように、伸び(伸長性)特性の測定に採用される試験及び特性評価方法は、TAPPI規格試験の延長T457に従ってもよい。また、特許文献18に開示されるように、「伸長紙」という表現は、標準的で伸長不可能なクラフト紙と比べて、機械方向に増大可能な伸びを有する紙を意味する。
【0025】
本発明の目的として、「伸長可能スリットシート紙」は、伸長可能であり且つ拡張可能でもある紙を意味する。
【0026】
本発明は多くの様々な形態で実施されてもよいと共に、本開示が本発明の本質の例を提供するものとして考えられ、且つそうした例が本明細書に記載及び/又は例示される好適な実施形態に本発明を限定しようとするものでないという理解のもと、実例的な実施形態が本明細書に記載される。
【0027】
特許文献1、2、3、4及び7の開示によって拡張可能スリットシート紙が説明され、これらの開示全体が、全文が記載されるかのように、本発明の説明の一部として、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
特許文献13(特許文献24)に見られるような種類のクレープ紙が、本発明においては使用不可能な伸長可能シートの製造を教示している。この場合、拡張スリットシート製造プロセス中にクレープ紙が容易に引き伸ばされてしまうため、スリットシート材の製造は不可能である。この種類の伸長紙は過度の延伸を有し、歪んだ拡張スリットシートを作り出してしまうため、本発明では使用不可能である。また、このシートは、六角セルが限界まで引き伸ばされて実質的に閉じてしまうほど、非常に細くなる。
【0029】
係属中の特許文献7は、非拡張スリットシート材に取り付けられた延長紙芯に対して直接的に張力を変化させる拡張装置を説明している。驚くべきことに、本発明者は、本出願に記載されているように、例えば拡張スリットシート材を拡張するのに必要な力を大幅に促進させ且つ軽減させるように紙の延伸を提供する、小さく適度に伸長可能な種類の紙の使用によって、実質的な利益が生じることを発見した。注目すべきことに、従来の拡張スリットシート紙は、本発明の如何なる構想も本発明による潜在的な利点ももたない既存の技術の制約にも関わらず、数十年に亘り市場に存続してきた。
【0030】
幾つかの好適な実施形態では、紙にひだを付ける際に見られるような、微視的な大きさの紙の列を紙にもたせるように余分な線維を捕らえる乾燥方法における給紙プロセスの速度を本質的に落として、紙線維の集まり方に変化をつけることにより、伸長紙を製造できる。異なるのは、伸長紙の微視的な列が、乾燥プロセスと同時に、結合剤や他の種類の接着剤の使用によって互いに接着される点である。自ら分裂し難い非クレープ伸長紙を作り出すことを目的とした特許文献14(特許文献15)を参照する。また、伸長紙の表面はそれでも極めて平坦である。
【0031】
本発明の好適な実施形態では、採用される伸長紙は、他の種類の伸長紙と比べて低い伸長可能特性を有する。これに関して、最適な伸長紙は、伸長可能スリットシート紙材の拡張の当初から僅かに延在を提供することで、非拡張から拡張スリットシートへの滑らかな変遷を可能にする。
【0032】
幾つかの例示的な構成では、スリットシートの拡張において、拡張の開始に必要な力が、拡張の継続に必要な力よりも実質的に高い。例えば、スリットにおける紙の曲げ加工が開始し始めると、スリットでの継続的な曲げ加工の間、拡張はより容易に継続される。この継続的な曲げ加工の間の、スリットシートの拡張を継続するのに必要な力は、上述の拡
張開始よりも劇的に軽減される。幾つかの好適な実施形態では、伸長可能スリットシート紙は、拡張開始に必要な力を実質的に軽減する。一方、幾つかの好適な実施形態では、上述の継続的な拡張の間、伸長紙は、スリットシート紙の拡張のプロセスと同時には実質的に引き伸ばされず、そうでなければ、拡張シートを緩衝ラップへと最適に作ることができない場合がある。
【0033】
なお、本出願では、本発明の機能に関する全ての理論が、限定を目的とするよりも、むしろ本発明の概念の出願を促進するように提供される。伸長紙は、設計のとおり、紙強度の増大の一環として延伸する。幾つかの実施形態では、本発明の機能は、伸長可能スリットシート紙が伸長可能特性を実質的に利用して、セルを延伸形状へと替え易くし且つスリットシートが拡張工程中に破れるのを防止することを含む。これは、セルが替わる(すなわち、スリットの両側にあるレッグ38a及び38bとランド20との間の交替を開始する)初期時点において、伸長紙の延伸能力によって伸長可能スリットシート紙が実質的に強化されることを意味する。このように、幾つかの実施形態では、本発明の機能は、伸長紙の特性がこの初期時点において実質的に利用され、セルが立体形状へと替わり始めると直ちに実質的に終了する(すなわち、この初期時点の後、紙の伸長可能性質への依存が減少するか、むしろなくなる)ことを含む。その初期時点の後、スリット模様特性は、紙の種類に関わらず、六角形を形成する点に向かってより容易に開く。従って、幾つかの実施形態では、伸長可能特性は、実質的には拡張の初期の瞬間でのみ発揮される。幾つかの他の実施形態では、紙の伸長可能特性は、最も実質的にはこの交替の初期時点において発揮されるが、紙の伸長可能特性は、紙の更なる拡張中に幾らか影響してもよく、これにより、拡張の初期時点を、伸張性に基づいて実質的に促進でき、更なる拡張も、伸張性に基づいて少なくともある程度促進できる。
【0034】
好適な実施形態の幾つかでは、採用されうる好適な伸長紙が、セメントや種等といった重たい物用の多層袋の使用のために見出された種類の延伸を提供することを伸長可能性質の目的とする伸長紙を含む。特許文献25(特許文献10)並びに特許文献16及び18は、この形態の伸長紙の製造及び特性を教示している。非特許文献1に更なる教示が見られる。先行する特許、特許公報及び刊行物の開示が、全文が記載されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0035】
従来の拡張スリットシート技術(例えば、特許文献1、2、3及び4参照)は、紙強度に注目して拡張プロセス中の破れを抑止しており、必要とされる強度が、満足な包装製品を作るのに必要な厚さと一致していたため、クラフト紙は満足のいくものであった。拡張可能シートの強度増大は、スリットシート材の拡張の価値/性能への寄与又はその向上ではない。現在では、本発明者によって、拡張可能スリットシート紙は、伸長可能シートの使用によって実質的に改善できることが判明している。好適な実施形態では、この伸長可能スリットシート紙の使用によって、スリットシートを開くのに必要な力の軽減が有利に提供され、これにより、拡張スリットシートの使用者のために、より速くより容易な拡張プロセスが提供される。スリットシートの拡張当初における力の軽減による予期せぬ利益によって、スリットシート梱包製品の予期せぬ改善が提供され、極めて独特な伸長紙が採用される。注目すべきことに、従来の拡張スリットシート紙は、本発明の構想や本発明による潜在的な利点をもたず、数十年に亘り市場に存続し、広く使用されてきた。
【0036】
本出願に記載のように、本発明者は、拡張可能スリットシート紙を拡張するのに求められる力が、伸長可能スリットシート紙を拡張するのに必要な力よりも大幅に大きいことを発見した。例えば、拡張前の、15インチ(38.1センチメートル)幅の50ポンド(22.68キログラム)クラフト紙の拡張可能スリットシートは、1インチ(2.54センチメートル)当たり約4~6ポンド(1.81~2.72キログラム)又は0.4ポンド(0.18キログラム)を必要とするのに対して、同じ紙重量の伸長可能スリットシートを拡張するのに必要な力は1インチ(2.54センチメートル)当たり0.15~0.22ポンド(0.07~0.1キログラム)である。これは、紙同士における明白な違いである。
【0037】
クラフト紙は、容認可能な拡張可能スリットシートを提供するだけの強度を有する。しかしながら、想定外に、引張強さを増大させるという伸長紙の主な目的ではなく、むしろその延伸性能の増大に基づき、伸長可能スリットシートが拡張を容易にして、スリットシートを拡張するのに必要な力を大幅に軽減する。伸長紙の方がコストが高く、クラフト紙が十分に強かったことから、伸長紙が、特許文献1、2、3、4及び7に見られる種類のスリット紙シートを作るのに有益となりうることが、以前は知られていなかった。
【0038】
例えば、伸長可能スリットシートが、かつては包装製品としての適用性をもっていなかった軽量で薄い紙と同等の強度を提供できるとは考えられていなかった。軽量クラフト紙は、より重たいクラフト紙よりもより容易に破れる。現在では、伸長紙によって、より重たい拡張スリットシート紙が提供するより強固な緩衝と比べて、スリットシートが拡張された際に、壊れやすい物が必要とするより優しい緩衝も有利に提供する、軽量拡張スリットシート紙の使用が可能であることが判明している。
【0039】
所定の製造技術に基づいた紙強度を説明する特許文献25(現在は特許文献11)の第5頁の表1のグラフを、全文が記載されるかのように特に参照する。グラフには、機械方向(MD)及び短手方向とも称される横方向(CD)の2つの副次的な欄へと分かれる、紙の破断(又は繊維の引裂)の時点における伸びを説明する欄がある。表1の伸び率は、横方向(CD)に5.3%から7.1%且つ機械方向(MD)に3.3%から10.6%の範囲に及ぶ。
【0040】
また、CD又は横方向に3.7%から4.6%且つ機械方向に9.7%から11.1%の割合範囲の伸びを示す、特許文献18の段5の表IIIも参照する。
【0041】
特許文献25及び18の両方における変動は、横方向又は機械方向のいずれかにおいて引張強さ及び延伸を適宜重視する製造プロセスに基づく。
【0042】
本発明者は、梱包ラップ及び/又は空間充填として使用される伸長可能スリットシート紙を拡張するためには、1%~9%、好適には1%~6%、最も好適には1%~4%の機械方向伸長可能範囲によって適切な伸長性が提供されることを発見した。伸長性が低いほど、1平方フィート(0.09平方メートル)当たりの紙のコストの低さに一致する。上述したように、伸長性は、スリットをもたない紙で測定されることが理解されるべきである。
【0043】
幾つかの代替実施形態では、伸長可能スリットシート紙の機械方向伸長性範囲は、以下の範囲を有してもよい。
【0044】
a)1.5%から9%、若しくはより好適には1.5%から6%が好ましく、更により好適には1.5%から4%、又は、
b)2%から9%、若しくはより好適には2%から6%が好ましく、更により好適には2%から4%、又は、
c)3%から9%、又はより好適には3%から6%が好ましく、更により好適には3%から4%。
【0045】
梱包ラップ及び/又は空間充填として使用されるスリットシート紙を拡張するためには、1%~5%、好適には1%~4%、最も好適には1%~3%の横方向伸長可能範囲によって適切な伸長性が提供されることが判明した。
【0046】
幾つかの代替実施形態では、伸長可能スリットシート紙の横方向伸長性範囲は、a)1
.5%から5%、又はより好適には1.5%から4%、若しくは更に好適には1.5%から3%、又は、b)2%から5%、若しくはより好適には2%から4%、又は更に好適には2%から3%の範囲を有してもよい。
【0047】
伸長紙と共に、(例えば、幾つかの実例的な実施形態における、再生利用可能な厚紙によって全体又は実質的に全体が作られるといった)より小型で、軽量で、再生利用可能な拡張機を採用してもよい。これにより、産業市場と比べて極めて少量のラップを使用する顧客に対する市場が拡大される。また、これにより、スリット紙を拡張するために採用される、より低価格な拡張装置も提供される。また、これにより、張力が適切に設定されていない場合に生じる、包装プロセス中の破り取る作業が減ることで、荷造り業者にとっての使い易さが向上する。これは、ロールが、その継続的な使用において、小さく軽くなるにつれて生じる。拡張スリットシートのロールが軽くなるほど、必要な張力が増加する。このため、張力を変動させる方法が求められる。伸長紙の使用によって、必要とされる張力は著しく減少し、紙の強度は増大する。僅かな調整か又は一切調整することなく単一の張力設定を使用できるようになるまで、必要な張力が厳密でなくなることから、包装する者にとっていずれも有益である。張力が必要以上に高く設定されている場合、伸長紙からの強度の増大によって製品の破れが防止され、これにより、荷造り業者にとってより使い易くなる。このため、荷造り業者は、スリットシートロールがより小さくなるほど、調整を少なくすることができる。
【0048】
スリット紙を拡張するのに必要な力を軽減することで、軽量の紙を用いて新たな製品を作り出すことが可能になる。過去には、拡張スリットシート紙は主に包装製品として使用されていたが、その空間充填としての使用は、通常、空間充填が全ての梱包製品の中で最も安価、すなわち最も低コストであることから、環境が限定されていた。伸長可能シートの強度が増大されることで、より薄くより軽量のスリットシート紙を空間充填製品として使用することが可能となる。拡張スリットシートがラップとして使用されない場合は、より厚い、0.005インチ(0.013センチメートル)且つ3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たり50ポンド(22.68キログラム)以上の紙は不要であり、厚さ0.003~0.0045インチ(0.008~0.011センチメートル)且つ3,000平方フィート(278.71平方メートル)当たり30~40ポンド(13.61~18.14キログラム)の軽量の紙を空間充填として使用できる。これは、他の紙空間充填製品が提供不可能であった緩衝を提供するのに使用することも可能である。現在では、伸長紙が10%高価だとしても、より薄い紙の使用によってより多くの1トン当たりの平方フィートが提供され、クラフト紙と比べて増加した伸長紙のコストを補って余りあることが判明している。
【0049】
スリットシート拡張紙の空間充填としての使用は、特許文献3の段12に説明され、
図6及び7に示される。しかしながら、本発明では、隔離シートは、好適には、同時係属中の特許文献26、5、6及び8に開示されているように必要とされず、これらの開示の全てが、本明細書に全文が記載されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
添付の図面が、本発明の幾つかの好適且つ非限定の実施形態に関連して、詳細に記載される。
【0051】
図1は、幾つかの実例的な実施形態に係る実例的な拡張機の斜視図であり、拡張機は、ロール状に巻かれて拡張機上に支持された、伸長可能スリット付きシート体を拡張するために採用される。
図1に示すように、要素108が、カートン側部の段ボールヨーク102及び109を収容し且つそれらに接着する段ボールカートンフレームである。2つのヨーク102及び109は、芯の周りに巻きつけられた(すなわち、芯の周りに複数の巻き又は層を有する)非拡張スリットシート紙のロール103を支持する円柱形の紙芯106
の対向端部を支持する受入開口部を有する。幾つかの好適な実施形態では、本発明者による同時係属中の特許文献7に説明されるように、任意のロールホルダ101がヨークの1つ(例えば、図示のようにヨーク102)に取り付けられ、ばね105及びロールホルダ101を通りヨーク102のねじ付き冶具107内へと向かう止めねじ104の使用によって、紙芯106に外面に対して締め付け力を加えるように適用される。止めねじ104を調整することで芯106への締め付け力を調整でき、これにより、作業中にロールから紙を引っ張ると同時にロール103に加わる引張力を調整できる。
【0052】
図2は、段ボール拡張装置を支持する
図1に示した下方段ボール箱108に嵌合し且つそれを隠す上方段ボール箱カバー201を含む、直ちに輸送可能な構成にある、
図1に示す拡張機の斜視図である。この実例的な例では、ストラップ202が、上方段ボール箱202を下方段ボール箱に固定する。
【0053】
図3は、実例的な拡張スリットシートにおける、例示的なスリット模様の図である。好適な実施形態では、伸長可能スリットシート紙は、
図3に示すものと同様のスリット模様を含む。
図3に示す拡張可能スリットシート紙は、(後述の)
図4に示すような拡張状態に拡張することができる拡張可能セル形成紙として機能する。
図3は、シート10の幅全体に亘って交互に配列されたスリット14及び16の列と、列14及び16内の隣接するスリット間に延在するランド部20とを含む、非拡張(開いていない)状態の拡張可能スリットシート10の実例的な部分を示す。
図3に示すように、好適な実施形態では、スリット長さ14L及び16Lがシート10の面に亘って一様であり、同様に、各列間隔38(すなわち、隣接する列の間)及び各スリット間隔36(すなわち、隣接するスリットの間)の距離及び面積も一様である。伸長可能スリットシートは様々なスリット模様と共に形成できるが、
図3及び4に示す実例的な例は、幾つかの実例的且つ非限定の実施形態の縮尺になっている図面等を含む幾つかの実例的な例に従い、実例的なスリットの長さ、スリット間の間隔、形成された六角セル、ランド部及びレッグ部の大きさの比例関係等の縮尺で、実例的な例を示す。
【0054】
図4では、
図3に示すシート10が、その最適なセル形成のために、矢印B及びCの方向に引っ張られている。これに関連して、最適なセル形成によって、
図4に示すような六角形状のセルがもたらされる。特に、図示のように、スリット14及び16は開いた状態にあり、スリット間隔36内の実質的に矩形のランド部20が傾斜角度で配置され(すなわち、シート10の元の平面を横断するように)、列間隔の間でランド部を接続するレッグ部38a及び38bが、シートの元の平面に対して、例えば90%よりやや小さい角度で曲げられている状態で、シート10が立体的な六角セル26の配列をもつように配向される。レッグ部38a及び38bは基本的に互いの鏡像であり、立体的な六角セルを形成するようにランド部20を接続する。
【0055】
図5は、長さLLの紙がロール103から巻き外された伸長可能スリットシート紙のロール103を示す概略図である。伸長可能スリットシート紙は、この巻き外された状態では、拡張力が紙に加えられない限り拡張状態にならない。このために、幾つかの好適な実施形態では、操作者に、操作者の手HHで長さLLの前方端部を掴ませて、伸長可能スリットシート材の平面に対して平行に延在する長手方向MD(本明細書では機械方向とも称される)に沿って長さLLを引っ張らせることで、拡張力が加えられる。このようにして、
図5に示す実例的な実施形態では、手による引っ張りとロール103における回転の抵抗との対抗する力によって、方向MDの力がシートに対して加わるであろう。注目すべきことに、この回転の抵抗は、上記のように、好適には、操作者によって、上述の止めねじ104を介して所望の力に調整できる。
図5を参照すると、機械方向MDは、伸長可能スリットシート材の平面に沿った長手方向MDに対して垂直に延在する短手方向CD(本明細書では横方向とも称される)に対して垂直である。また、
図5に示すように、機械方向
MD及び横方向CDは、
図5に示す描かれた例において実質的に鉛直に延在する厚さ方向TDに対して、いずれも垂直である。
【0056】
図6は、本発明の幾つかの好適な実施形態に係る、本発明の機能性の説明を助ける概略説明図である。この図は説明を目的とし、本発明の実施形態を制限したり或いは限定したりするものとして解釈されるべきではない。
【0057】
このために、
図6は、仮定上の実例的な背景の拡張可能スリットシート製品(左側参照)と実例的且つ非限定の例示的な伸長可能スリットシート製品(右側参照)とを比較する概略図である。当然のことながら、この図において、図示の力軸の値は先行技術の値の導入ではない(すなわち、拡張可能スリットシート例の描写が、一切の特定の値の縮尺又は比例であったり、提案又は示唆をしたりするものではない)。同様に、図示の力軸の値は、本発明のいずれの実施形態も限定するものとして不適切に解釈されるべきではないことから、実例的な目的で描かれ、限定を目的とするものではない。
【0058】
図6は、既存の拡張可能スリットシート紙に対して、シートを破るのに必要な力(すなわち、図面の左側に示す引裂力)が、本発明の幾つかの実例的な実施形態に係る伸長可能スリットシート紙の、シートを破るのに必要な力(すなわち、図面の右側に示す引裂力)よりも実質的に低いということを概略的に示す。一方、
図6は、既存の拡張可能スリットシート紙に対して、スリットを拡張する又は開くのを開始し始めるのに必要な力(すなわち、図面の左側のT1)が、a)拡張可能スリットシートを破るのに必要な引裂力に実質的に近く、b)本発明の幾つかの実例的な実施形態に係る伸長可能スリットシート紙の、スリットを拡張する又は開くのを開始し始めるのに必要な力(すなわち、図面の右側のT1)よりも実質的に高いということも概略的に示す。
【0059】
また、
図6は、図面の左側の点T1において拡張可能スリットシート例が開き始めた後に、スリットの継続的な拡張から完全に拡張した状態が、伸長可能スリットシート例でより低い力の値であること(すなわち、図面の左側のT2)も概略的に示す。同様に、この実例的な例では、
図6は、図面の右側の点T1において実例的な伸長可能スリットシート例が開き始めた後に、スリットの継続的な拡張から完全に拡張した状態が、伸長可能スリットシート例でより低い力の値であること(すなわち、図面の右側のT2)も概略的に示す。しかしながら、
図6は、伸長可能スリットシート例の値T1とT2との間の範囲が、
図6に示す伸長可能スリットシートの値T1とT2との間の範囲よりも実質的に狭いことを示す。
【0060】
とりわけ、
図6は、本発明の幾つかの実例的且つ非限定の実施形態において達成できる、多くの実質的な利点の強調を助ける。1つ目は、伸長可能スリットシート材の使用によって、シートの破損を招く引裂力が実質的に軽減することである。とりわけ、幾つかの実施形態において、シートが不注意に破れるリスクが減った状態で、使用者がシートを手動で容易く拡張できることを意味する。2つ目は、伸長可能スリットシート材の使用によって、開き始めるのに必要な初期力T1が実質的に低減し、スリットシート材の拡張が実質的に容易になり、例えば手動の拡張も容易になることである。3つ目は、伸長可能スリットシート例におけるT1とT2との値の間が狭まることによって、例えば、伸長可能スリットシート例におけるスリットが開くT1からT2の範囲の間により一定の力を必要とすることで制御及び動作が容易になり、これにより、例えば手動の拡張も容易になることである。
【0061】
4つ目は、伸長可能スリットシート例の引裂力が増大することによって、例えば手動の例等における使用及び動作が容易になる他の実質的な利点も生まれることである。例えば、伸長可能スリットシート例の引裂力が増大することによって、幾つかの実施形態におけ
るシートが破れるリスクが軽減された(例えば、使用者が、紙を破いてしまう実質的な心配もなく、例えば紙を片手で掴んだり或いは掴み方を変えたり等、どのように紙を掴むかについて、より柔軟になることができる)状態で、(例えば
図5に示すような)手による紙の把持が容易になる。例えば他には、伸長可能スリットシート紙が完全に拡張された後、更なる引っ張りによって拡張紙が不注意に破れてしまうリスクが低い。この結果、伸長可能スリットシート例における伸長紙の使用は、従来の拡張スリットシート製品よりも多くの実質的な利点をもつことができる。
【0062】
幾つかの実例的且つ非限定の伸長可能スリットシートの実施形態では、力の値T1が力の値T2に実質的に近く、スリットの閉じた状態から完全に開いた六角形までの拡張において加わる力が、拡張の全範囲の間、実質的により一定となるようになっている。幾つかの実例的且つ非限定の例では、力T1は力T2の3倍より小さく、他の実例的な実施形態では、力T1は力T2の2倍より小さく、他の実例的な実施形態では、力T1は力T2の1.5倍より小さく、幾つかの他の実例的な実施形態では、力T1は力T2と略等しい。
【0063】
また、当然のことながら、力T2は、紙においてセルが完全に開いた状態に到達するのに必要な力を示し、T1における開き始めからT2における完全に開いた状態までの力は、幾つかの実施形態において僅かに変動してもよい。多くの例示的な実施形態では、力は、当初、T1において最も大きく、T2において最も小さくなりうる。このため、完全な拡張を達成する、開口全体に対する力は、幾つかの例示的な実施形態におけるそうした比率に維持されてもよい。また、幾つかの実施形態では、T1からT2(完全に開き終わった状態)の間の力は、T2よりも小さくてもよい。しかしながら、幾つかの実例的な実施形態では、開き始めから完全な拡張までに必要な力の全幅(例えば、最大値と最小値との値の近さや比率)が、上記のような範囲に収まりうる。これらは実例的な実施形態であり、異なる力比率をもった他の実施形態を限定するものではないことが理解されるべきである。
参照によって組み込まれた開示から引用された本発明に採用される技術の詳細な説明
以下は、クルパック紙の特許(特許文献11)からの引用である。
【0064】
実施例1:
84.9g/m2の坪量を有する重包装用クルパック紙が、28%の高凝縮で打ち延ばされた100%未晒の針葉樹クラフトパルプを材料として使用して、480m/分の製紙速度で、クルパックシステムを備えた間隙形成製紙機を用いて作製された。クルパックに対するマイナス延伸(negative draw)は-4.5%に設定された。
【0065】
実施例2:
紙が有する坪量が76.1g/m2であり、クルパックに対するマイナス延伸が-6.0%に設定されたこと以外は実施例1と同じように、重包装用クルパック紙が作製された。
【0066】
実施例3:
紙が有する坪量が73.4g/m2であり、クルパックに対するマイナス延伸が-4.0%に設定されたこと以外は実施例1と同じように、重包装用クルパック紙が作製された。
【0067】
実施例4:
紙が有する坪量が85.0g/m2であり、クルパックに対するマイナス延伸が-4.0%に設定され、パルプの配合において90%が未晒の針葉樹クラフトパルプで10%が未晒の広葉樹クラフトパルプであったこと以外は実施例1と同じように、重包装用クルパック紙が作製された。
【0068】
比較例1:
紙が有する坪量が71.9g/m2であり、クルパックに対するマイナス延伸が-10.0%に設定されたこと以外は実施例1と同じように、重包装用クルパック紙が作製された。
【0069】
比較例2:
紙が有する坪量が85.4g/m2であり、クルパックに対するマイナス延伸が-1.0%に設定されたこと以外は実施例1と同じように、重包装用クルパック紙が作製された。
【0070】
比較例3:
紙が有する坪量が76.0g/m2であり、クルパックプロセスが行われなかったこと以外は実施例1と同じように、重包装用クラフト紙が作製された。
【0071】
【表1】
評価方法:
(比引張エネルギー吸収量の測定)
JIS P8113:2006に規定する方法によって測定
(破断伸びの測定)
JIS P8113:2006に規定する方法によって測定
(比引裂強さの測定)
JIS P8116:2000に規定する方法によって測定
(比破裂強さの測定)
JIS P8112:2008に規定する方法によって測定
(比引張剛性の測定)
ISO/DIS 1924-3に規定する方法によって測定
(離解後のろ水度の測定)
JIS P8220:1998及びJIS P8121:1995に規定する方法によって測定
実施例1~4及び比較例1及び2のクルパック紙の特性並びに比較例3のクラフト紙の特性を見ると、表1に示すように、実施例1~4に記載のクルパック紙は様々な強度と伸びとの良好なバランスを示し、全体的に優れた強度を有しているが、一方で、比較例1及び2に記載のクルパック紙の特性並びに比較例3に記載のクラフト紙は様々な強度と伸びとの不良なバランスを示し、全体的に優れた強度を有しているとは言えない。
【0072】
以下は、非特許文献1(カナダ紙パルプ研究所,V6S 2L9カナダ,ブリティッシュコロンビア州,バンクーバー,ウェスブルック・モール3800)からの引用である。
【0073】
引張強さ及び伸長性又は延伸性は、紙の2つの重要な破損特性である。これらは、シートの荷重-伸び曲線(
図1)の終点によって定義される。これらは、個別一斉に関わらず、多くの製品性能特性にとって重要である。例えば、破損の前にシートに吸収される引張エネルギーであるTEAは、荷重-伸び曲線の下の領域に比例する。このように、TEAはシートの引張強さ及び伸長性の両方に依存する。袋用紙には高いTEAが望まれる[1]。紙の破裂強さは、製品の引張強さ及び延伸の平方フィートに比例することが示されてきた[2]。紙の破壊靭性が、シートの引張強さ及び延伸性に強く依存することが判明している[3,4]。シートの延伸性も、抄紙機のドライエンド及び加圧室の両方における紙送り性にとって重要と見なされてきた[5~8]。また、高い延伸性をもつ紙は、幾分高い引裂強さ[9]及び耐折強さを有すると見られ、これらは寸法的により不安定であることも判明している[10]。シートの引張強さを制御する要因は、極めてよく理解されている[4]。繊維が強く、長く、繊細且つ薄壁であると、引張強さが高い。繊維は、規格に準拠し且つ高い繊維間結合強度を有するべきである。繊維が真っ直ぐで変形せず、シートが形良く形成されていると、シートの引張強さも高い。そうでない場合、シートが張り詰めた際に応力が不均一に分配されて、早すぎる破損を引き起こす。
【0074】
この報告は、シートの延伸性を制御する要因に対処するものである。
シートの延伸性を制御する要因:
引張荷重下にある試料が延長するほど、試料が長くなる。このため、材料特性としての伸長性又は延伸性又は破壊時のひずみが、元の試料の長さの比率として表される(
図1)。
結合の役割:
ウェットプレス、ビーティング若しくはリファイニング又は添加剤による、繊維間の結合の強化方法に関わらず、完成紙料のシートの延伸性が、強化された繊維間の結合によって全体的に向上する。これは、化学的、機械的、木製、非木製又は再利用の略全ての製紙繊維で観測される。理由は以下の通りである。繊維は所定の「延伸潜在性」を有している。しかしながら、この潜在性は、紙の中で繊維が結合ネットワークを形成したときにのみ実現する。結合が弱いと、延伸潜在性が実現する前にネットワークが崩れて、シートの延伸性が低くなる。ネットワーク内の結合が増大するほど、繊維の延伸潜在性が次第に実現し、シートの延伸性が向上する。増大した繊維間結合によってシートの引張強さも増大することから、ハンドシートでの延伸性及び引張強さの増大がしばしば観測される(
図2)。シートが強いほど、繊維の延伸潜在性が活用される。この引張強さと延伸性との関係によって、引張強さに影響しやすいシートの坪量又は形成といった要因が、シートの延伸性にも影響を及ぼす[11]。同様の引張強さにおけるハンドシートの延伸値の比較によっ
て、様々な完成紙料の延伸潜在性の有意義な比較が提供される。
【0075】
以下は、Traniらによる伸長紙の特許(特許文献15)からの引用である。
【0076】
伸長紙は、その製造における特殊な処理を理由に公知の紙であり、長手方向(すなわち、製造ラインに沿ったその進行方向)及び短手方向(すなわち、前者に対して垂直な方向)の両方における著しい伸長性を示す。この処理は、本質的に、おおよそ35%/45%の含水量を示す未形成の紙ウェブを、異なる速度で回転する2つのローラーの間に通過させることを含む。一般には下方ローラーであるこれらのローラーのひとつはゴム製で、低速で回転しているが、上方ローラーは鋼製で、その円柱面に連続的な螺旋形状の溝を備える。2つのローラーの異なる材質及び異なる速度によって、紙形成材料の長手方向の集積のようなものが生じ、長手方向の伸長性が15~20%に達することができるように整えられる。同時に、螺旋溝によって2つの機能が働き、一方では、紙を形成する材料の短手方向の集積のようなものが生じ、短手方向の伸長性に向けて整えられる。10~15%に達することができるように。他方では、螺旋溝は、処理中の紙ウェブの機械に沿った長手方向の進行を維持することに寄与する。
【0077】
以下は、Cabellらによる伸長紙ウェブの特許(特許文献22)からの引用である。
引張及び延伸率試験:
引張試験は、力対伸び率の性質を測定するために用いられる。試験は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのThwing-Albert社から利用可能なThwing Albert Intellect II-STDモデル番号1451-24PGBで実施される。
【0078】
この試験に使用されるサンプルは幅1インチ(2.54センチメートル)×長さ6インチ(15.24センチメートル)であり、サンプル片の長軸がサンプルの最大伸長方向に対して平行である。サンプルは、サンプルを正確に1インチ(2.54センチメートル)幅に切るよう設計された鋭利なExactoナイフ又は適切な鋭利な切取装置によって切られるべきである。(材料の伸長性の方向が1つ以上ある場合、サンプルは、代表的な伸びの方向に対して平行に取られるべきである)。サンプルは、変形領域における模様全体の対称性の代表的な領域を示すように切られるべきである。本明細書に提案されるものよりも大きく又は小さく切る必要がある場合もあるだろう(変形部分の大きさ又は領域1及び2の相対的な形状のいずれかにおける変動による)。この場合、好適にはサンプルに使用された代表的な領域の概要を含めて、サンプルの大きさ、そして変形領域のどの部分が取られたかを(報告された全てのデータと共に)明記することが極めて重要である。所定の材料の3つのサンプルの試験が行われる。
【0079】
以下は、Cramerらによる伸長紙の特許(特許文献18)からの引用である。
試験及び特性評価方法:
本明細書に報告される様々な特性の測定に採用される試験及び特性評価方法が、以下の表Iに記される。特に記載がない限り、コード、文字、数字はTAPPI試験規格を示す。
伸びT457:
「伸長紙」という表現は、機械方向に伸びが増大する(一般的には最低おおよそ6%)紙を意味する。
【0080】
この例における運転IA及びIBでは、ロジンの大きさ(pl upの重さに基づく重量0.3%)がビーターに追加され、ミョウバンによってpHが4.5に調整される。3.6%の粘度を有する紙料をビーターのチェストに垂らし、その後第2チェストへと注入し、ジョーダン(Jordan)を通過させ、長網抄紙機のヘッドボックスで「白水」によって0.3%の粘度まで連続的に希釈する。様々な紙について測定された特性が表IIIに報告される。各紙は、1連当たり49.4~50.3ポンド(22.41~22.82キログラム)の坪量を有する。
【表III】
以下は、Traniらによる多層紙材の特許(特許文献27)からの引用である。
【0081】
これらの、そしてこの後の説明から明らかになるであろう他の目的が、本発明により、元のシートの幅よりも小さい最大の大きさを有する起伏を示す少なくとも1つの第1の立体構造シートであって、前記起伏が、全方向において5%以上の元の伸長性の度合いを有する前記第1のシートの局所的な延伸によって得られる、少なくとも1つの第1の立体構造シートと、前記第1の構造シートに結合し、その起伏によって空いた空間を画成する、紙のような材料から作られた少なくとも1つの第2のシートとを備える、多層の紙のような材料によって達成される。
【0082】
図面から分かるように、
図1に示す実施形態では、本発明の多層材料は、長手方向及び短手方向の両方において5%以上、好適には15%以上の伸長性特徴を示す紙の2つの層2及び4から成る。
【0083】
以下は、Traniらによる伸長紙材の出願(特許文献14)からの引用である。
【0084】
[0002]伸長紙は、その製造における特殊な処理を理由に公知の紙であり、長手方向(すなわち、製造ラインに沿ったその進行方向)及び短手方向(すなわち、前者に対して垂直な方向)の両方における著しい伸長性を示す。この処理は、本質的に、おおよそ35%/45%の含水量を示す未形成の紙ウェブを、異なる速度で回転する2つのローラーの間に通過させることを含む。一般には下方ローラーであるこれらのローラーのひとつはゴム製で、低速で回転しているが、上方ローラーは鋼製で、その円柱面に連続的な螺旋形状の溝を備える。2つのローラーの異なる材質及び異なる速度によって、紙形成材料の長手方向の集積のようなものが生じ、長手方向の伸長性が15~20%に達することができるように整えられる。同時に、螺旋溝によって2つの機能が働き、一方では、紙を形成する材料の短手方向の集積のようなものが生じ、短手方向の伸長性が10~15%に達することができるように整えられる。他方では、螺旋溝は、処理中の紙ウェブの機械に沿った
長手方向の進行を維持することに寄与する。
本発明の広範囲
本出願において、個々の数値の使用は、値の前に「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった単語が付くかのように、近似として記される。同様に、本出願に明記される様々な範囲の数値は、特に明記しない限り、記載の範囲内の最小値及び最大値の両方の前に「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった単語が付くかのように、近似として記される。このように、記載の範囲から上又は下への変動を、範囲内の値のように、実質的に同じ結果に達するように使用できる。本明細書で使用されているように、数値に言及する場合の「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった用語は、開示主題が最も近い分野、又は論点における範囲又は要素に関連する分野の当業者にとって、それらの平易且つ平常の意味を有するものとする。厳密な数値境界からの広がりの度合いは多くの要因に依存する。例えば、考えられる要因の幾つかには、所定量の変動が有するであろう、請求主題の実行に対する要素及び/又は影響の臨界、そして当業者に知られる他の配慮事項が含まれる。本明細書で使用されているように、異なる数値に対して異なる数の有効桁数を使用することは、「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった単語の使用が特定の数値又は範囲をどのように広げる働きをしうるかを限定することを意味するものではない。このように、一般事項として、「おおよそ」、「実質的に」又は「約」は数値を広げるものである。また、範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値に加え、「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった用語の使用によってもたらされる範囲の広がりを含む継続的な範囲として意図されるものである。このように、本明細書内の値の範囲の詳述は、範囲内に収まる各個別の値をそれぞれに参照する簡略的な方法としての機能のためだけのものであり、各個別の値は、特に記載がない限り、本明細書に個別に記されているかのように明細書に組み込まれる。スリット模様、拡張前と後とで異なる紙幅、紙重量及び種類の臨界、そして開示主題が最も近い分野、又は請求主題の実行に係る論点における範囲又は要素に関連する分野の当業者に知られる他の配慮事項といった要因等の所定量の変動を決定するということが、当業者の能力のひとつに含まれるものとして考えられていない、又はクレーム内に明確に記載されていない限りは、「おおよそ」、「実質的に」又は「約」といった用語は、数値プラス又はマイナス15%を意味するものとして理解されるべきである。
【0085】
本出願に引用される全ての米国及び外国の特許、特許出願、特許公報及び他の全ての出版物の全体が、本出願において本明細書に全文が記載されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0086】
本明細書に開示される全てのデータから形成されうる、又は導き出されうる全ての範囲、比率及び比率の範囲が、本開示の更なる実施形態を示し、それらが明確に記載されているかのように開示の一部として含まれていることが理解されよう。これには、上限及び/又は下限の有限境界を含む、又は含まないように形成されうる範囲が含まれる。従って、特定の範囲、比率又は比率の範囲と最も緊密に関係する当業者には、こうした値が本明細書に示すデータから一義的に導き出されることが認識されるだろう。