(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】切削装置及び切削方法
(51)【国際特許分類】
B26D 3/08 20060101AFI20230127BHJP
B26D 1/02 20060101ALI20230127BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B26D3/08 Z
B26D1/02 Z
B26D3/00 601A
(21)【出願番号】P 2021524063
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 IB2019059226
(87)【国際公開番号】W WO2020095145
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】102018000010118
(32)【優先日】2018-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507015435
【氏名又は名称】サクミ コオペラティヴァ メッカニチ イモラ ソシエタ コオペラティヴァ
【住所又は居所原語表記】Via Selice Provinciale,17/A,I-40026 IMOLA(Bologna),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ルッジェーロ・メンツォリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ・ペナッツィ
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-247456(JP,A)
【文献】特表2013-510053(JP,A)
【文献】特表2005-531422(JP,A)
【文献】特開昭61-287560(JP,A)
【文献】特開平11-288151(JP,A)
【文献】特開2000-102604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/08
B26D 1/02
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を閉鎖するためのカプセル(C)が前記当接要素(2)に対して転動経路に沿って転動するように構成され、かつ、配置された少なくとも1つの当接要素(2)と、
前記当接要素(2)に配置され、前記当接要素(2)に当接して前記カプセル(C)の閉鎖部と前記カプセル(C)の保証バンドとの間に優先的な破断線を形成する少なくとも1つのブレード(3)と、
回転軸(X)を中心に回転可能な少なくとも1つのスピンドル(4)であって、カプセル(C)の少なくとも1つの内面と係合するように構成され、カプセル(C)が前記スピンドル(4)と前記当接要素(2)との間に係合されたときに前記カプセル(C)を転動させるように前記当接要素(2)に沿って移動可能であり、前記切断は前記カプセル(C)上で実行されて優先的な破断線を形成する、スピンドル(4)と、を備え、
前記少なくとも1つの接触面(6)が前記カプセル(C)の側壁に接触し得るように、前記当接要素(2)上および/または前記スピンドル(4)の側壁上に配置された合成樹脂からなる少なくとも1つの接触面(6)を備えることを特徴とする切削装置。
【請求項2】
前記接触面(6)は、回転軸を中心にして線を回転させることにより幾何学的に得られる回転面として構成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削装置。
【請求項3】
前記接触面(6)が、前記当接要素(2)の凹部内に配置されたインサート(7)上にある、請求項1または2に記載の切削装置。
【請求項4】
前記接触面(6)は、前記当接要素(2)に取り外し可能に固定されるインサート(7)上にある、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の切削装置。
【請求項5】
前記接触面(6)は、前記当接要素(2)上に配置され、前記転動経路に沿って連続的に延び、前記切削装置(1)は、前記スピンドル(4)を回転軸(Y)の周りに回転させる少なくとも1つのカルーセル(5)を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の切削装置。
【請求項6】
前記合成樹脂が超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の切削装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接触面(6)は、合成樹脂で形成されており、この合成樹脂は、
表面粗さが、Ra=6.3±3.0μm、又はRa>1.6μmおよび/またはRa<12.5μm、またはRa>0.8μmおよび/またはRa<13.8μm、および/または、
ショア硬度が、48と68の間、または50と66の間、または52と64の間、または54と62の間、又は56と60の間、および/または、
動摩擦係数が、0.50未満、または0.45未満、または0.40未満、または0.35未満、および/または、
動摩擦係数が、0.10より大きいか、または0.15より大きいか、または0.20より大きいか、または0.25より大きいか、および/または、
耐摩耗性が、回転する鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験によって測定され、20μm/km未満、または15μm/km未満、または10μm/km未満、および/または、
弾性率が、600MPaより大きい、または650MPaより大きい、および/または、
弾性率が、800MPaより小さい、または750mpa未満である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の切削装置。
【請求項8】
前記当接要素上および/または前記スピンドルの側壁上に配置され、前記少なくとも1つのさらなる接触面が前記カプセル(C)の側壁に接触し得るように配置された合成樹脂からなる少なくとも1つのさらなる接触面を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の切削装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのさらなる接触面は、前記少なくとも1つの接触面(6)と実質的に平行に延びており、後者から離間している、請求項8に記載の切削装置。
【請求項10】
回転スピンドル(4)と当接要素(2)との間に容器を閉鎖するためのカプセル(C)を係合させるステップと、
スピンドル(4)を当接要素(2)に沿って移動させると同時にスピンドル(4)をそれ自体で回転させて、カプセル(C)を転動経路に沿って当接要素(2)上で転動させるステップと、
転動中、前記カプセルの閉鎖部と前記カプセルの保証バンドとの間に優先的な破断線を形成するために、固定ブレード(3)によって前記カプセル(C)に切り込みを形成するステップと、を備え、
前記当接要素(2)上および/または前記スピンドル(4)の側壁に配置された合成樹脂製の少なくとも1つの当接面(6)との摩擦により前記転動が発生することを特徴とする切削方法。
【請求項11】
前記接触面(6)は、回転軸を中心にして線を回転させることにより幾何学的に得られる回転面に対応するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の切削方法。
【請求項12】
前記接触面(6)が、前記当接要素(2)の凹部内に配置されたインサート(7)上にある、請求項10または請求項11に記載の切削方法。
【請求項13】
前記接触面(6)が、前記当接要素(2)に取り外し可能に固定されるインサート(7)上にある、請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項14】
前記接触面(6)は、前記当接要素(2)上に配置され、前記転動経路に沿って連続的に延び、前記スピンドル(4)は、回転軸(Y)を中心にカルーセル5によって回転される、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの接触面(6)が、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む合成樹脂で作られている、請求項10から請求項14のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの接触面(6)は、回転鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験で測定された、20μm/km未満、または15μm/km未満、または10μm/km未満の耐摩耗性を有する合成樹脂で作られている、請求項10から請求項15のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの接触面(6)が、48と68の間、または50と66との間、または52と64との間、または54と62との間、または56と60との間のショア硬度を有する合成樹脂から作られる、請求項10から請求項16のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの接触面(6)は、0.50より小さい、または0.45より小さい、または0.40より小さい、または0.35より小さい動摩擦係数を有する合成樹脂から作られ、および/または、0.10より大きい、または0.20より大きい、または0.254より大きい動摩擦係数を有する、請求項10から請求項17のいずれか1項に記載の切削方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの接触面(6)が、600MPaより大きい、または650MPaを超える弾性率、および/または、800MPa未満、または750MPa未満の弾性率を有する合成樹脂から形成される、請求項10から請求項18のいずれか1項に記載の切削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、合成樹脂(plastics)および/または金属材料(例えば、アルミニウムおよび/または鋼)から作られた製品を切断または切開するための切削装置および方法に関する。
【0002】
具体的には、限定されるものではないが、本発明は、容器を閉じるための合成樹脂製のカプセルを製造するために使用することができる。特に、カプセルの閉鎖部分と保証リングまたはバンドとの間に配置されて、カプセルの最初の開封が行われたことを証明することができる安全装置を規定するための優先的な脆弱部または切断線を作る。
【0003】
複数のスピンドルを搭載した回転カルーセルを備えた切削装置によってカプセルの保証バンドの優先的な破断線を作成することが知られており、それぞれのスピンドルはそれ自体の軸の周りで回転可能であり、スピンドルは切断されるそれぞれのカプセルと係合して、その軸の周りの回転およびカルーセルの軸の周りの回転を含む動きによって、実行したい切断のタイプに応じて成形ブレードを支持する当接要素上でカプセルを回転させることが望ましい。
【0004】
特許公開WO2004/004993A1およびWO2011/058500A1は、上述したタイプの切削装置の例を示す。
【0005】
既知のタイプの切削装置では、カプセルを切削工具に対して回転させるために、後者は、一般に、カプセルの側壁に設けられた相補的ローレットと噛合することにより結合可能なローレットを備えた円形セクタに取り付けられる。
【0006】
しかしながら、公知の装置は、いくつかの限界及び欠点を有している。
【0007】
第1に、カプセルの寸法および/またはローレットの形状および/またはピッチの変化を伴って、ローレット加工されたセクタが交換されなければならず、結果として、機械加工の複雑さおよびコストが増大する。
【0008】
第2に、歯が離れたローレットを有するカプセルの場合には、円形セクタのローレットとカプセルのローレットとの間の噛み合いが不規則であるかまたは不正確であり、特に、1つのローレットの歯ともう1つのローレットの歯との間の移行の重要なステップで起こり得る課題を伴い、その結果、不正確で不均一な切断が行われるリスクがある。
【0009】
さらに、ローレットを欠いたカプセルの場合、円形セクタのローレットは、カプセルと効果的に係合することができない。これらの場合、一般に、カプセルの閉鎖部分と保証バンドとの間に弱化線を形成することに加えて、カプセルの正確な回転を確実にする刻み付きブレードが使用される。それにもかかわらず、これには重大な構造の複雑さや誤動作の危険性がある。
【0010】
本発明の1つの目的は、先行技術の上述の欠点のうちの1つまたは複数を改善することができる切削装置および/または方法を提供することである。
【0011】
1つの利点は、切削装置の構成要素を交換する必要なしに、カプセルの寸法および/またはカプセルのローレット加工の形状および/またはピッチの変化を伴う切削加工を可能にすることである。
【0012】
1つの利点は、互いに離れた歯を有するローレットを備えたカプセルを閉鎖する場合、および/または横方向のローレットがないカプセルを閉じる場合にも正確な切削を確実にすることである。
【0013】
1つの利点は、様々な寸法およびタイプのカプセルに適用可能な、大きな汎用性を有する切削装置および方法を作ることである。
【0014】
1つの利点は、構造的に簡単で安価な切削装置を利用可能にすることである。
【0015】
1つの利点は、特に摩耗および破壊に対して比較的高い機械的抵抗を有する切削装置を提供することである。
【0016】
これらの目的および他の目的は、以下に記載する請求項のうちの1つまたは複数に従った装置および/または方法によって達成される。
【0017】
1つの実施形態では、切削装置は、特に円形セクタの形状で、カプセルと接触するように意図される。摩擦によるカプセルの回転を保証するのに適した摩擦係数を有する合成樹脂から作られた当接要素、例えば、0.15と0.3との間に含まれる動摩擦係数を備える。摩擦による転がりが生じる接触面の合成樹脂は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むことができる。
【0018】
1つの実施形態では、容器を閉鎖するためのカプセルに優先的な破断線を形成するのに適した切削装置は、超高分子量ポリエチレンを含む材料から作られた当接要素の接触面に対して転動されるそれぞれのカプセルと係合することができる少なくとも1つの回転スピンドルと、ローリングカプセルに対して切断を実行するために配置される固定ブレードとを備える。接触面は、当接要素の接触面に加えて、またはその代わりに、スピンドル上に配置することができる。
【0019】
1つの実施形態では、切断方法は、合成樹脂、特に超高分子量ポリエチレンの接触面に対して容器を閉鎖するためのカプセルを転動する工程を含み、一方、固定ブレードは転動回転カプセルに優先的な破断線を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、非限定的な例として、そのいくつかの実施形態を例示する添付の図面を参照してよりよく理解され、実施されることができる。
【
図1】本発明に係る切削装置の一実施形態の平面図である。
【
図4】
図1の装置の一部分の垂直平面に従った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記の図を参照して、容器を閉鎖するためのカプセル(特に合成樹脂製(plastics))を製造する、特にカプセルの閉鎖部分と保証リングまたはバンドとの間に配置されて、カプセルの最初の開封が行われたことを証明することができる安全装置を規定するための優先的な弱化または破断線を作成する、プラントで使用可能な切削装置が全体として示されている。
【0022】
切削装置1は、特に、容器を閉鎖するためのカプセルCが、転動経路に沿って当接面に接触することができるように構成された少なくとも1つの当接面を含む、少なくとも1つの当接要素2を備える。当接面および対応する転動経路は、この特定の実施形態におけるように、実質的に円形セクタの形状を有する。
【0023】
切削装置1は、特に、当接要素2に配置され、当接面に当接してカプセルCの閉鎖部とカプセルCの保証バンドとの間に優先的な破断線を形成する少なくとも1つのブレード3を備えることができ、ブレード3は、この特定の実施形態において、円形セクタの形状の長手方向範囲を有することができる。ブレード3は、以下のように構成されていてもよい。ブレード3は、特に、容器を閉じるためのカプセルの安全装置の優先的な破断線を切削するのに適した公知のタイプのブレードを含むことができる。
【0024】
切削装置1は、特に、それ自体の回転軸X周りに回転可能な少なくとも1つのスピンドル4を備えてもよく、特に、切削装置1は、(垂直)回転軸Yを中心に回転する少なくとも1つのカルーセル5を備えていてもよい。カルーセル5は、互いに角度を隔てて配置された複数のスピンドル4を有していてもよい。各スピンドル4は、スピンドル4を支持するカルーセル5の回転軸Yを中心とする円軌道に沿って移動可能である。
【0025】
各スピンドル4は、特に、容器用カプセルCの少なくとも1つの内面と係合するように構成することができる。各スピンドル4は、例えば、切削装置1の動作を制御する(電子的およびプログラム可能)制御手段によって制御される駆動手段によって、それ自体の回転軸Xを中心に回転する。
【0026】
各スピンドル4は、転動経路に沿って、すなわち当接面に平行な経路に沿って移動可能であり、カプセルCを所定の抗力でスピンドル4と当接面との間に係合させたときに、カプセルCに切り込みを施して優先的な破断線を形成するために、各カプセルCの回転を引き起こす。
【0027】
切削装置1は、特に合成樹脂製の少なくとも1つの接触面6を備えていてもよく、この接触面6は、接触面6がカプセルの側壁に接触して摩擦によって転動されるように、当接要素2(特に、図示の実施形態のように当接面)上および/またはスピンドル4の側壁(実施形態内で図示されていない)上に配置することができる。
【0028】
具体的な実施形態では、合成樹脂製の接触面6は、当接要素2の当接面を実質的に構成しているので、図示しない他の実施形態では、合成樹脂製の接触面がスピンドル4の(外側)側壁に配置されている。
【0029】
接触面6は、回転軸の周りで生成線を回転させることによって得られる少なくとも1つの回転面セクタ(例えば、円筒面および/または円錐面)から構成されるか、またはそれからなることができる。生成線は、例えば、直線セグメント(回転軸に対して傾斜または平行な)、または曲線セグメント、または破断線セグメント、または、混合曲線および直線複合ライン、または成形ラインなどを含むことができる。接触面6は、少なくとも1つの回転面セクタによって、その全体または少なくとも大部分(50%を超える)に形成されてもよい。
【0030】
回転面は、図示されていない実施形態において、無限遠に配置された回転軸を中心に生成線を回転させることによって得られる回転面の特定の場合と同様に、理論的な幾何学的視点から、直線状または実質的に直線方向に長手方向に延在する表面を含むことができる。
【0031】
図示の実施形態では、回転面セクタで形成された接触面6は、当接要素2の上に配置されている。接触面6は、特に、転動経路に沿って連続的に、または少なくともほとんどの転動経路に沿って延在することができる。
【0032】
図示の実施形態では、回転面は、スピンドル4を回転させるカルーセル5の回転軸Yを中心に線を回転させることによって得られる。図示されていない他の実施形態では、接触面6は、各スピンドル4に配置することができ、回転面(例えば、円筒の)は、それぞれのスピンドル4の回転軸Xを中心に線を回転させることによって得ることができる。
【0033】
当接面6は、特に、当接要素2の凹部の内側に配置されたインサート7に配置されてもよい。インサート7は、当接要素2に対して着脱可能に固定されていてもよい(例えば、この特定の場合のようにねじ結合手段によって)。
【0034】
カルーセル5は、特に、カプセルCを支持することを可能にするための支持手段8を備え、一方、スピンドル4がカプセルCに係合し、カプセルCを当接要素2およびブレード3に対して転がす。
【0035】
切削装置1は、特に、図示されていない一実施形態によれば、当接面および/またはスピンドルの側壁に配置された合成樹脂からなる少なくとも1つのさらなる接触面を備えることができる。
【0036】
合成樹脂製のさらなる接触面は、特に、カプセルの側壁と接触して係合可能であり、さらなる摩擦面を供給して、接触面と協働して、摩擦によるカプセルの転がりを促進するように配置されてもよい。
【0037】
さらなる接触面は、特に、接触面に実質的に平行に延びることができる。さらなる接触面は、特に、接触面から離間していてもよい(特に垂直方向に離間していてもよい)。
【0038】
接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む合成樹脂で作られてもよい。超高分子量ポリエチレンUHMWPEは、比較的高い耐摩耗性および比較的高い衝撃強度を有することが知られている。さらに、UHMWPEは、優断線の形成のための切削工程の間にカプセル(特に、合成樹脂製、例えば、HDPEまたは共重合体PPから作られたカプセル)の正確で効果的な転動を可能にし、同時に、多数のカプセルを適切に処理することを可能にする接触面(例えば、接触面6および/またはさらなる接触面)を形成するのに特に適して、すなわち、表面の使用寿命が高いことが見出された。特に、UHMWPEを製造する特性は、カプセルの摩擦による正確な転がりを可能にする接触面を作るのに特に適した材料を、動摩擦係数の適切な値および/または摩耗および/または硬さに対する抵抗の適切な値とすることができると考えられる。
【0039】
接触面6および/またはさらなる接触面の合成樹脂は、添加剤(特定の添加剤)を添加したUHMWPEを含んでいてもよく、添加剤(特に、耐摩耗性の向上および/または材料の酸化速度を低下させるおよび/または材料の酸化速度を低下させるのに適している添加剤)を含んでいてもよい。接触面6および/またはさらなる接触面の合成樹脂は、特に、TIVAR(登録商標)として商業的に知られているUHMWPE製品のファミリーの材料、より具体的には、製品TIVAR(登録商標)H.OR.T.を含むことができる。
【0040】
接触面6は、特に、表面粗さが、Ra=6.3±3.0μm(マイクロメートル)、またはRa>1.6μmおよび/またはRa<12.5μm、または表面粗さRaが>0.8μm、または>1.8μm、または>2.8μm、または>3.8μm、または>4.8μmとなるように処理され得る。表面粗さRaは、13.8μm未満、または12.8μm未満、または11.8μm未満、または10.8μm未満であってもよい。
【0041】
接触面6は、特に、48と68との間、または52と64との間に構成されるか、または54と62との間に含まれるか、または56と60との間に構成されたショア硬度を有する合成樹脂で作られてもよい。接触面は、特に、ショア硬度が58±5である合成樹脂で作られていてもよい。
【0042】
本明細書では、示されたショア硬度値は、特に、厚さ10mmの試験片(特に厚さが20-30mmであるスラブから除去された)を用いて、23℃の環境で実施される標準ISO868に従って実施された試験で実施された測定で得られる値であってもよい。
【0043】
接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、回転鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験によって測定された動摩擦係数が0.50未満、または0.45未満、または0.40未満、または0.35未満の合成樹脂で作られてもよい。接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、0.10より大きい、または0.15より大きい、または0.20より大きい、または0.25よりも大きい動摩擦係数を有する合成樹脂で作られてもよい。この場合にも回転する鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験により動摩擦係数が測定される。
【0044】
接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、回転鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験によって測定された、20μm/km未満、または15μm/km未満、または10μm/km未満の耐摩耗性を有する合成樹脂から作製されてもよい。
【0045】
特定の実施形態では、接触面6および/または更なる接触面は、回転する鋼ディスク上の合成樹脂製のピン上の摩擦システム試験によって測定された、0.15-0.30間の動摩擦係数を有し、約6μm/kmに等しい耐摩耗性を有する合成樹脂で作られていてもよい。
【0046】
本説明において、動摩擦係数および耐摩耗性に関連する表示値は、回転する鋼ディスク(摩擦システム)上の合成樹脂製のピンで実施された試験で実施された測定から得られる値であると理解される。試験条件は以下:圧力:3MPa;摺動速度:0.33m/秒;C35鋼製結合面の表面粗さ:Ra=0.70-0.90μ,;全距離走行:28km;正常環境(空気23℃、相対湿度50%)、無潤滑操作。
【0047】
接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、600MPaより大きい弾性率、または650MPaを超える弾性率を有する合成樹脂で作られてもよい。接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、800MPa未満、または750MPa未満の弾性率を有する合成樹脂で作られてもよい。接触面6および/またはさらなる接触面は、特に、700±25MPaに等しい弾性率を有する合成樹脂で作られてもよい。
【0048】
本説明では、指示された弾性率値は、特に、1mm/minに等しい速度で標準ISO527-1/-2に従って実施された試験で行われた測定から得られる値であってもよい。
【0049】
上記切削装置1の動作は、回転可能なスピンドル4と当接要素2の当接面との間に容器を閉じるための少なくとも1つのカプセルCを係合させるステップを含む切断方法を実施する。
【0050】
切削方法は、特に、スピンドル4を当接面に沿って移動させ、同時にスピンドル4をそれ自体で回転させて、カプセルCを当接要素2の当接面に転動させるステップを含むことができる。
【0051】
この切断方法は、特に、カプセルCの転動回転中に、カプセルCの閉鎖部とカプセルCの保証帯域との間に優先的な破断線を形成するために、固定ブレード3によるカプセルCの切断を行う工程を含んでいてもよい。
【0052】
カプセルCの回転は、特に、少なくとも当接要素2の当接面および/またはスピンドル4の側壁上に配置された合成樹脂製の接触面6に対して少なくとも摩擦によって生じ得る。カプセルCのローリングは、当接要素2の当接面および/またはスピンドル4の側壁上に配置された合成樹脂製のさらなる接触面との摩擦によってさらに生じ得る。
【0053】
接触面6および/またはさらなる接触面のために、切削装置1の任意の構成要素も交換する必要なしに、カプセルCの様々な寸法および/またはカプセルC上に形成され得るローレットのピッチおよび/またはカプセルC上に形成され得るローレットのピッチに対して、優先的な破断線を形成するのに適したカプセルCの切削加工を行うことができる。ローレット加工を可能にする結合は、ローレット加工の歯の噛み合いではなく、カプセルCの壁(ローレット加工がある場合とない場合)と任意のタイプのカプセルCに適した接触面との間の摩擦によって発生するためです。
【0054】
したがって、互いに離れた歯を有するローレットを備えた閉鎖カプセルCの場合および/または横方向のローレットを完全に欠いたカプセルCの場合にも正確な切削を確実にすることが可能である。