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特許7217819半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/40 20100101AFI20230127BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20230127BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20230127BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
H01L33/40
H01L33/32
H01L33/62
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022005620
(22)【出願日】2022-01-18
【審査請求日】2022-01-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 紀隆
(72)【発明者】
【氏名】稲津 哲彦
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-087964(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105552191(CN,A)
【文献】特開2013-084906(JP,A)
【文献】特開2015-103768(JP,A)
【文献】特開2001-217206(JP,A)
【文献】特開2020-205401(JP,A)
【文献】Mario Caron, et al.,Calculation of a Al-Ti-O-N quaternary isotherm diagram for the prediction of stable phases in TiN/Al alloy contact metallization,Journal of Applied Physics,1996年04月15日,Vol.79, No.8,pp.4468-4470
【文献】A. S. Bhansali, et al.,A thermodynamic approach for interpreting metallization layer stability and thin-film reactions involving four elements: Application to integrated circuit contact metallurgy,Journal of Applied Physics,1990年08月01日,Vol.68, No.3,pp.1043-1049
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01L 21/28-21/288
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、
前記n型半導体層の第1上面上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、
前記活性層上に設けられるp型半導体層と、
前記n型半導体層の第2上面と接触するTi層と、前記Ti層上に設けられるAl層と、TiAlを含有する粒状部と、前記Al層および前記粒状部を被覆する窒化物層とを含むn側コンタクト電極と、を備え、
前記窒化物層は、前記Al層を被覆するTiNからなる第1部分と、前記粒状部を被覆するTiAlNを含有する第2部分とを有する半導体発光素子。
【請求項2】
前記第1部分は、前記Al層の上面を被覆し、前記第2部分は、前記Al層の側面を被覆する、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記第2部分は、前記Al層の外周部を被覆する、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記Al層の側面は、前記第2上面に対して傾斜する、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層の第1上面上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、
前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層の第2上面が露出するように、前記p型半導体層および前記活性層を部分的に除去する工程と、
前記n型半導体層の前記第2上面と接触する第1Ti層と、前記第1Ti層上のAl層と、前記Al層上の第2Ti層と、前記第2Ti層上のTiN層とを含む積層体を形成する工程と、
前記積層体を500℃以上650℃以下の温度にてアニールする工程と、
前記アニールされた前記積層体の表面にアンモニアプラズマ処理を施すことにより、前記積層体の表面に窒化物層を形成する工程と、を備える半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層の第1上面上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、
前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、
前記n型半導体層の第2上面が露出するように、前記p型半導体層および前記活性層を部分的に除去する工程と、
前記n型半導体層の前記第2上面と接触する第1Ti層と、前記第1Ti層上のAl層と、前記Al層上の第2Ti層と、前記第2Ti層上のTiN層とを含む積層体を形成する工程と、
前記積層体をアニールする工程と、
前記アニールされた前記積層体の表面にアンモニアプラズマ処理を施すことにより、前記積層体の表面にTiAlNを含有する窒化物層を形成する工程と、を備える半導体発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
n型AlGaN系半導体材料の表面に形成されたオーミック接触用の電極として、TiとAlを含む電極が用いられる。アニール工程でのAl表面の酸化を防ぐために、Al層を被覆する窒化物層が設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-87964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アニール工程後のリソグラフィ工程において、電極に含まれるAl層の一部が腐食してしまうことがあった。半導体発光素子の信頼性を向上させるためには、Al層の腐食を防止できることが好ましい。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、半導体発光素子の信頼性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の半導体発光素子は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、n型半導体層の第1上面上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、活性層上に設けられるp型半導体層と、n型半導体層の第2上面と接触するTi層と、Ti層上に設けられるAl層と、Al層を被覆する窒化物層とを含むn側コンタクト電極と、を備える。窒化物層は、TiNからなる第1部分と、TiAlNを含有する第2部分とを有する。
【0007】
本発明の別の態様は、半導体発光素子の製造方法である。この方法は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層の第1上面上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、活性層上にp型半導体層を形成する工程と、n型半導体層の第2上面が露出するように、p型半導体層および活性層を部分的に除去する工程と、n型半導体層の第2上面と接触する第1Ti層と、第1Ti層上のAl層と、Al層上の第2Ti層と、第2Ti層上のTiN層とを含む積層体を形成する工程と、積層体をアニールする工程と、アニールされた積層体の表面にアンモニアプラズマ処理を施すことにより、積層体の表面に窒化物層を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、半導体発光素子の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。
図2】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図3】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図4】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図5】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図6】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図7】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図8】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
図9】半導体発光素子の製造工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
【0011】
本実施の形態に係る半導体発光素子は、中心波長λが約360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成され、いわゆるDUV-LED(Deep UltraViolet-Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料が用いられる。本実施の形態では、特に、中心波長λが約240nm~320nmの深紫外光を発する場合について示す。
【0012】
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、少なくとも窒化アルミニウム(AlN)および窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1-x-yAlGaN(0<x+y≦1、0<x<1、0<y<1)の組成で表すことができ、AlGaNまたはInAlGaNを含む。本明細書の「AlGaN系半導体材料」とは、例えば、AlN比率およびGaN比率のそれぞれが1%以上であり、好ましくは5%以上、10%以上または20%以上である。
【0013】
また、AlNを含まない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、GaNやInGaNが含まれる。同様に、GaNを含まない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、AlNやInAlNが含まれる。
【0014】
図1は、実施の形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、基板12と、ベース層14と、n型半導体層16と、活性層18と、p型半導体層20と、p側コンタクト電極22と、p側被覆電極層24と、誘電体保護層26と、誘電体被覆層28と、n側コンタクト電極30と、p側電流拡散層32と、n側電流拡散層34と、誘電体封止層36と、p側パッド電極38と、n側パッド電極40とを備える。
【0015】
図1において、矢印Aで示される方向を「上下方向」または「厚み方向」ということがある。また、基板12から見て、基板12から離れる方向を上側、基板12に向かう方向を下側ということがある。
【0016】
基板12は、半導体発光素子10が発する深紫外光に対して透光性を有する材料から構成され、例えば、サファイア(Al)から構成される。基板12は、第1主面12aと、第1主面12aとは反対側の第2主面12bとを有する。第1主面12aは、ベース層14からp型半導体層20までの各層を成長させるための結晶成長面である。第1主面12aは、深さおよびピッチがサブミクロン(1μm以下)である微細な凹凸パターンを有する。このような基板12は、パターン化サファイア基板(PSS;Patterned Sapphire Substrate)とも呼ばれる。第1主面12aは、パターン化されていない平坦面によって構成されてもよい。第2主面12bは、活性層18が発する深紫外光を外部に取り出すための光取出面である。
【0017】
ベース層14は、基板12の第1主面12aに設けられる。ベース層14は、n型半導体層16を形成するための下地層(テンプレート層)である。ベース層14は、例えば、アンドープのAlN層であり、高温成長させたAlN(HT-AlN;High Temperature-AlN)層である。ベース層14は、アンドープのAlGaN層であってもよい。ベース層14は、AlN層と、AlN層上に設けられるアンドープのAlGaN層とを含んでもよい。ベース層14は、1μm以上3μm以下の厚さを有し、例えば、2μm程度の厚さを有する。
【0018】
n型半導体層16は、ベース層14上に設けられる。n型半導体層16は、n型のAlGaN系半導体材料から構成され、例えば、n型の不純物としてSiがドープされる。n型半導体層16のAlN比率は、例えば25%以上であり、好ましくは、40%以上または50%以上である。n型半導体層16のAlN比率は、80%以下であり、好ましくは70%以下である。n型半導体層16は、1μm以上3μm以下の厚さを有し、例えば、2μm程度の厚さを有する。n型半導体層16は、第1上面16aと、第2上面16bとを有する。第1上面16aは、活性層18が形成される部分であり、第2上面16bは、活性層18が形成されない部分である。
【0019】
活性層18は、n型半導体層16の第1上面16aに設けられる。活性層18は、AlGaN系半導体材料から構成され、n型半導体層16とp型半導体層20の間に挟まれてダブルへテロ構造を形成する。活性層18は、355nm以下、例えば320nm以下の波長を有する深紫外光を出力するようにAlN比率が選択される。
【0020】
活性層18は、例えば、単層または多層の量子井戸構造を有し、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される障壁層と、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される井戸層とを含む。活性層18は、例えば、n型半導体層16と直接接触する第1障壁層と、第1障壁層上に設けられる第1井戸層とを含む。第1井戸層とp型半導体層20の間に、障壁層および井戸層の一以上のペアが追加的に設けられてもよい。障壁層および井戸層のそれぞれは、1nm以上20nm以下の厚さを有し、例えば、2nm以上10nm以下の厚さを有する。
【0021】
活性層18とp型半導体層20の間には、電子ブロック層がさらに設けられてもよい。電子ブロック層は、アンドープのAlGaN系半導体材料から構成される。電子ブロック層のAlN比率は、40%以上であり、好ましくは50%以上である。電子ブロック層のAlN比率は、80%以上であってもよい。電子ブロック層は、GaNを含有しないAlN系半導体材料から構成されてもよく、AlN層であってもよい。電子ブロック層は、1nm以上10nm以下の厚さを有し、例えば、2nm以上5nm以下の厚さを有する。
【0022】
p型半導体層20は、活性層18上に形成される。p型半導体層20は、電子ブロック層が設けられる場合、電子ブロック層上に形成される。p型半導体層20は、p型のAlGaN系半導体材料またはp型のGaN系半導体材料から構成される。p型半導体層20は、例えば、p型の不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされるAlGaN層またはGaN層である。p型半導体層20は、例えば、20nm以上400nm以下の厚さを有する。
【0023】
p型半導体層20は、複数層によって構成されてもよい。p型半導体層20は、例えば、p型クラッド層とp型コンタクト層を有してもよい。p型クラッド層は、p型コンタクト層と比較して相対的に高いAlN比率を有するp型AlGaN層であり、活性層18または電子ブロック層と直接接触する。p型コンタクト層は、p型クラッド層と比較して相対的に低いAlN比率を有するp型AlGaN層またはp型GaN層である。p型コンタクト層は、p型クラッド層上に設けられ、p側コンタクト電極22と直接接触する。p型クラッド層は、p型第1クラッド層と、p側第2クラッド層とを有してもよい。
【0024】
p型第1クラッド層のAlN比率は、p側第2クラッド層のAlN比率よりも大きい。p型第1クラッド層のAlN比率は、n型半導体層16のAlN比率と同程度、または、n型半導体層16のAlN比率よりも大きい。p型第1クラッド層のAlN比率は、25%以上であり、好ましくは40%以上または50%以上である。p型第1クラッド層のAlN比率は、70%以上または80%以上であってもよい。p型第1クラッド層は、10nm以上100nm以下の厚さを有し、例えば、15nm以上70nm以下の厚さを有する。
【0025】
p型第2クラッド層は、p型第1クラッド層上に設けられる。p型第2クラッド層のAlN比率は、p型第1クラッド層のAlN比率よりも低く、p型コンタクト層のAlN比率よりも高い。p型第2クラッド層のAlN比率は、25%以上であり、好ましくは40%以上または50%以上である。p型第2クラッド層のAlN比率は、例えば、n型半導体層16のAlN比率の±10%の範囲内である。p型第2クラッド層は、5nm以上250nm以下の厚さを有し、例えば、10nm以上150nm以下の厚さを有する。なお、p型第2クラッド層が設けられなくてもよく、p型クラッド層がp型第1クラッド層のみで構成されてもよい。
【0026】
p型コンタクト層は、p側コンタクト電極22と良好なオーミック接触を得るために、相対的に低いAlN比率を有する。p型コンタクト層のAlN比率は、20%以下であり、好ましくは10%以下、5%以下または0%である。p型コンタクト層は、p型AlGaN層またはp型GaN層である。p型コンタクト層は、実質的にAlNを含まないp型GaN系半導体材料から構成されてもよい。p型コンタクト層は、活性層18が発する深紫外光の吸収量を小さくするために薄く形成されることが好ましい。p型コンタクト層は、5nm以上30nm以下の厚さを有し、例えば、10nm以上20nm以下の厚さを有する。
【0027】
p側コンタクト電極22は、p型半導体層20上に設けられる。p側コンタクト電極22は、p型半導体層20(例えば、p型コンタクト層)とオーミック接触可能であり、深紫外光に対する反射率が高い材料で構成される。p側コンタクト電極22は、p型半導体層20と直接接触するRh層を含む。p側コンタクト電極22は、例えばRh層のみからなる。p側コンタクト電極22に含まれるRh層の厚さは、50nm以上200nm以下であり、例えば70nm以上150nm以下である。p側コンタクト電極22に含まれるRh層の膜密度は、12g/cm以上であり、例えば12.2g/cm以上12.5g/cm以下である。p側コンタクト電極22に含まれるRh層の膜密度を大きくすることにより、反射電極としての機能を高めることができる。Rh層の膜密度を12g/cm以上とすることにより、波長280nmの紫外光に対して65%以上の反射率が得られる。
【0028】
なお、p側コンタクト電極22の構成は特に限定されず、p側コンタクト電極22がRh層のみとは異なる構成を有してもよい。例えば、p側コンタクト電極22は、任意の金属材料から構成されてもよいし、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電性酸化物(TCO)材料から構成されてもよい。
【0029】
p側被覆電極層24は、p側コンタクト電極22の上面および側面と直接接触し、p側コンタクト電極22の全体を被覆する。p側被覆電極層24は、例えば、Ti/Rh/TiNの積層構造を有する。p側被覆電極層24のTi層の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。p側被覆電極層24のTi層は、p側コンタクト電極22のRh層とp側被覆電極層24のRh層の間の接着性を高める。p側被覆電極層24のRh層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。p側被覆電極層24のTiN層は、導電性を有する窒化チタン(TiN)から構成される。p側被覆電極層24のTiN層の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。
【0030】
誘電体保護層26は、第1接続開口26pを有し、第1接続開口26pとは異なる箇所においてp側コンタクト電極22およびp側被覆電極層24を被覆する。誘電体保護層26は、p側被覆電極層24の上面および側面と直接接触し、p型半導体層20の上面の一部と直接接触する。誘電体保護層26は、誘電体材料から構成され、例えば、酸化シリコン(SiO)から構成される。誘電体保護層26の厚さは、50nm以上であり、例えば100nm以上500nm以下である。
【0031】
誘電体被覆層28は、ベース層14、n型半導体層16、活性層18、p型半導体層20、p側コンタクト電極22、p側被覆電極層24および誘電体保護層26を被覆する。誘電体被覆層28は、誘電体保護層26とは異なる誘電体材料から構成され、例えば、Alから構成される。誘電体被覆層28の厚さは、10nm以上100nm以下であり、例えば20nm以上50nm以下である。
【0032】
誘電体被覆層28は、ベース層14の外周面14aと直接接触する。誘電体被覆層28は、n型半導体層16の第2上面16bと直接接触し、n型半導体層16の側面(メサ面)と直接接触する。誘電体被覆層28は、活性層18の側面(メサ面)と直接接触する。誘電体被覆層28は、p型半導体層20の側面(メサ面)と直接接触し、p型半導体層20の上面の一部と直接接触する。誘電体被覆層28は、n型半導体層16の第2上面16bに設けられるコンタクト開口28nを有し、コンタクト開口28nとは異なる箇所においてn型半導体層16の第2上面16bを被覆する。誘電体被覆層28は、誘電体保護層26の上面および側面と直接接触する。誘電体被覆層28は、第2接続開口28pを有し、第2接続開口28pとは異なる箇所において誘電体保護層26を被覆する。第2接続開口28pは、p側コンタクト電極22およびp側被覆電極層24の上方に位置する。
【0033】
n側コンタクト電極30は、n型半導体層16の第2上面16bに設けられる。n側コンタクト電極30は、コンタクト開口28nを塞ぐように設けられ、コンタクト開口28nの外側において誘電体被覆層28の上に重なる。n側コンタクト電極30は、Ti層42と、Al層44と、粒状部46と、窒化物層48とを含む。
【0034】
Ti層42は、n型半導体層16の第2上面16bと直接接触する。Ti層42の厚さは、1nm以上10nm以下であり、好ましくは5nm以下または2nm以下である。Al層44は、Ti層42上に設けられ、Ti層42層と直接接触する。Al層44の厚さは、200nm以上であり、例えば300nm以上1000nm以下である。Al層44の側面44bは、第2上面16bに対して傾斜するように構成される。粒状部46は、Al層44の上面44aおよび側面44bの近傍に分布する。粒状部46は、Tiを含み、Tiを主成分とする。粒状部46は、Alを含んでもよく、TiAlを含んでもよい。粒状部46のサイズは、10nm以上500nm以下であり、例えば50nm以上200nm以下である。
【0035】
窒化物層48は、Al層44の上面44aおよび側面44bを被覆する。窒化物層48は、TiN、TiAlNまたはAlNから構成される。窒化物層48の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。
【0036】
窒化物層48は、第1部分50と、第2部分52と、第3部分54とを有する。第1部分50は、TiNから構成される部分である。第1部分50は、n側コンタクト電極30の中央部となる第1領域W1に設けられ、Al層44または粒状部46と直接接触する。第1部分50は、第1領域W1においてAl層44の上面44aを被覆する。第1部分50は、第1領域W1においてAl層44の側面44bを被覆してもよい。第2部分52は、n側コンタクト電極30の外周部となる第2領域W2に設けられる。第2部分52は、TiAlNを含有する。第2部分52は、第2領域W2において粒状部46と直接接触してもよい。第3部分54は、第2領域W2に設けられる。第3部分54は、AlNから構成される部分である。第3部分54は、第2領域W2においてAl層44の側面44bと直接接触する。
【0037】
p側電流拡散層32は、p側被覆電極層24上に設けられ、接続開口(第1接続開口26pおよび第2接続開口28p)においてp側被覆電極層24と直接接触する。p側電流拡散層32は、第1接続開口26pおよび第2接続開口28pを塞ぐように設けられ、第2接続開口28pの外側において誘電体被覆層28と直接接触する。p側電流拡散層32は、例えば、TiN/Ti/Rh/TiN/Ti/Auの積層構造を有する。
【0038】
n側電流拡散層34は、n側コンタクト電極30の上面および側面と直接接触し、n側コンタクト電極30を被覆する。n側電流拡散層34は、n側コンタクト電極30の外側において誘電体被覆層28と直接接触する。n側電流拡散層34は、p側電流拡散層32と同様の構成を有し、例えば、TiN/Ti/Rh/TiN/Ti/Auの積層構造を有する。
【0039】
誘電体封止層36は、誘電体被覆層28、p側電流拡散層32およびn側電流拡散層34と直接接触してこれらを被覆する。誘電体封止層36は、p側電流拡散層32の上に設けられるp側パッド開口36pと、n側電流拡散層34の上に設けられるn側パッド開口36nとを有する。誘電体封止層36は、p側パッド開口36pとは異なる箇所においてp側電流拡散層32を被覆し、n側パッド開口36nとは異なる箇所においてn側電流拡散層34を被覆する。誘電体封止層36は、誘電体被覆層28とは異なる誘電体材料から構成され、例えば、SiOから構成される。誘電体封止層36の厚さは、300nm以上1500nm以下であり、例えば、600nm以上1000nm以下である。
【0040】
p側パッド電極38は、p側電流拡散層32の上に設けられ、p側パッド開口36pにおいてp側電流拡散層32と接続する。p側パッド電極38は、p側パッド開口36pを塞ぐように設けられ、p側パッド開口36pの外側において誘電体封止層36と直接接触する。p側パッド電極38は、p側電流拡散層32およびp側被覆電極層24を介してp側コンタクト電極22と電気的に接続される。
【0041】
n側パッド電極40は、n側電流拡散層34の上に設けられ、n側パッド開口36nにおいてn側電流拡散層34と接続する。n側パッド電極40は、n側パッド開口36nを塞ぐように設けられ、n側パッド開口36nの外側において誘電体封止層36と直接接触する。n側パッド電極40は、n側電流拡散層34を介してn側コンタクト電極30と電気的に接続される。
【0042】
p側パッド電極38およびn側パッド電極40は、半導体発光素子10をパッケージ基板などに実装する際に接合される部分である。p側パッド電極38およびn側パッド電極40は、例えば、Ni/Au、Ti/AuまたはTi/Pt/Auの積層構造を含む。p側パッド電極38およびn側パッド電極40のそれぞれの厚さは、100nm以上であり、例えば200nm以上1000nm以下である。
【0043】
つづいて、半導体発光素子10の製造方法について説明する。図2図9は、半導体発光素子10の製造工程を概略的に示す図である。まず、図2において、基板12の第1主面12aの上にベース層14、n型半導体層16、活性層18およびp型半導体層20を順に形成する。ベース層14、n型半導体層16、活性層18およびp型半導体層20は、有機金属化学気相成長(MOVPE;Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、分子線エピタキシ(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
【0044】
つづいて、図2に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層20上に第1マスク60を形成する。次に、第1マスク60の上から活性層18およびp型半導体層20をドライエッチングすることにより、第1マスク60と重ならない領域においてn型半導体層16の第2上面16bが形成される。その後、第1マスク60が除去される。
【0045】
つづいて、図3に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、n型半導体層16、活性層18およびp型半導体層20を被覆するように第2マスク62を形成する。次に第2マスク62の上からn型半導体層16をドライエッチングすることにより、第2マスク62と重ならない領域においてベース層14の外周面14aが形成される。その後、第2マスク62が除去される。
【0046】
つづいて、図4において、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p型半導体層20上にp側コンタクト電極22を形成する。p側コンタクト電極22は、p型半導体層20の上面と直接接触するRh層を含む。p側コンタクト電極22のRh層は、蒸着法により100℃以下の温度で形成される。蒸着法によりRh層を形成することにより、スパッタリング法を用いる場合に比べて、p型半導体層20の上面に対するダメージを抑制でき、p側コンタクト電極22のコンタクト抵抗を向上できる。
【0047】
p側コンタクト電極22の形成後、p側コンタクト電極22をアニールする。p側コンタクト電極22は、例えば、RTA(Rapid Thermal Annealing)法を用いて、500℃以上650℃以下の温度にてアニールされる。p側コンタクト電極22のアニール処理により、p側コンタクト電極22のコンタクト抵抗が低下するとともに、p側コンタクト電極22に含まれるRh層の膜密度が12g/cm以上に増加する。アニール処理後のRh層は、例えば12.2g/cm以上12.5g/cm以下の膜密度を有し、波長280nmの紫外光に対して65%以上の反射率、例えば66%~67%程度の反射率を有する。
【0048】
次に、図4において、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p側コンタクト電極22の全体を被覆するようにp側被覆電極層24を形成する。p側被覆電極層24は、p側コンタクト電極22の上面および側面と接触し、例えば、Ti/Rh/TiNの積層構造を有する。p側被覆電極層24は、例えば、スパッタリング法により100℃以下の温度で形成される。p側被覆電極層24をスパッタリング法により形成することにより、p側コンタクト電極22に対するp側被覆電極層24の接着性を高めることができる。
【0049】
次に、図4において、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、p側被覆電極層24の全体を被覆するように誘電体保護層26を形成する。誘電体保護層26は、例えばSiOから構成され、プラズマ励起化学気相成長(PECVD;Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成できる。
【0050】
次に、図4において、誘電体被覆層28を形成する。誘電体被覆層28は、素子構造の上部全面にわたって形成され、ベース層14、n型半導体層16、活性層18、p型半導体層20、p側コンタクト電極22、p側被覆電極層24および誘電体保護層26を被覆する。誘電体被覆層28は、誘電体保護層26は、例えばAlから構成され、原子堆積(ALD;Atomic Layer Deposition)法により形成できる。
【0051】
次に、図4において、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、誘電体被覆層28をドライエッチングなどにより部分的に除去し、コンタクト開口28nを形成する。コンタクト開口28nは、n型半導体層16の第2上面16bの一部領域に形成される。コンタクト開口28nは、誘電体被覆層28を貫通するように形成され、コンタクト開口28nにおいてn型半導体層16の第2上面16bが露出する。
【0052】
つづいて、図5に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、アンダーカット形状の開口65を有する第3マスク64を形成する。第3マスク64の開口65は、誘電体被覆層28のコンタクト開口28nに対応する位置に設けられる。次に、第3マスク64の開口65を通じて、第1Ti層42、Al層44、第2Ti層56およびTiN層58を順に積層して積層体70を形成する。第1Ti層42、Al層44、第2Ti層56およびTiN層58は、スパッタリング法により形成できる。Al層44上の第2Ti層56の厚さは、1nm以上50nm以下であり、例えば、5nm以上25nm以下である。TiN層58の厚さは、5nm以上100nm以下であり、例えば、10nm以上50nm以下である。第2Ti層56およびTiN層58のそれぞれの厚さは、アンダーカット形状の開口65に起因して、積層体70の中央部となる第1領域W1に比べて、積層体70の外周部となる第2領域W2において相対的に小さくなる。積層体70の形成後、第3マスク64が除去される。
【0053】
次に、積層体70をアニールする。積層体70は、例えば、RTA法を用いて、500℃以上650℃以下の温度にてアニールされる。積層体70のアニール温度は、Al層44の融点に近いため、Al層44が軟化する。Al層44が軟化することにより、Al層44上に設けられる第2Ti層56が流動し、TiとAlが合金化して粒状に変化し、図6に示されるように粒状部46が形成される。粒状部46は、アニール工程において第2Ti層56に由来して形成され、Tiを主成分とする。粒状部46の少なくとも一部は、Al層44と第2Ti層56が混ざり合ったTiAlとなりうる。積層体70のアニール工程において粒状部46が形成されると、TiN層58の厚さが相対的に小さい第2領域W2において粒状部46の少なくとも一部が外部に露出する。粒状部46の露出に起因して、TiN層58によるAl層44の被覆が第2領域W2において破れる。
【0054】
次に、積層体70の表面をアンモニア(NH)ガスプラズマで処理することで、積層体70の表面を窒化させる。積層体70の窒化処理により、図7に示されるように、第1部分50、第2部分52および第3部分54を有する窒化物層48が形成される。第1部分50は、中央部(つまり、第1領域W1)に形成されるTiN層58に由来する部分である。第2部分52は、外部に露出した粒状部46が窒化されることによって形成される部分であり、TiAlNを含有する。第3部分54は、外部に露出したAl層44が窒化されることによって形成される部分であり、AlNを含有する。第2部分52および第3部分54は、TiN層58の厚さが相対的に小さい外周部(つまり、第2領域W2)において形成される。積層体70の窒化処理は、例えば300℃未満の低温でなされることがより好ましい。このような比較的低温でのプラズマ処理により窒化処理をすることにより、アニール後の積層体70の構造を維持したまま、積層体70の表面全体に窒化物層48を形成できる。窒化物層48は、Al層44の上面44aおよび側面44bの全体を被覆するように形成される。積層体70の表面の窒化処理により、n側コンタクト電極30ができあがる。
【0055】
つづいて、図8において、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、誘電体保護層26および誘電体被覆層28をドライエッチングなどにより部分的に除去し、第1接続開口26pおよび第2接続開口28p(総称して接続開口ともいう)を形成する。まず、誘電体被覆層28を貫通するように第2接続開口28pが形成され、つづいて、誘電体保護層26を貫通するように第1接続開口26pが形成される。第1接続開口26pにおいてp側被覆電極層24の上面が露出する。
【0056】
第1接続開口26pおよび第2接続開口28pは、共通のマスクを用いて連続的に形成することができる。なお、第1接続開口26pおよび第2接続開口28pは、共通のマスクではなく、個別のマスクを用いて形成されてもよい。第2接続開口28pは、n側コンタクト電極30の形成後に形成されてもよいし、n側コンタクト電極30の形成前に形成されてもよい。例えば、図4に示すコンタクト開口28nを形成する工程において、第2接続開口28pを同時に形成してもよい。
【0057】
次に、図8に示すように、例えば公知のリソグラフィ技術を用いて、接続開口(第1接続開口26pおよび第2接続開口28p)においてp側被覆電極層24と接続するp側電流拡散層32を形成し、n側コンタクト電極30の上面28aおよび側面28bを被覆するようにn側電流拡散層34を形成する。p側電流拡散層32およびn側電流拡散層34は、例えば、TiN/Ti/Rh/TiN/Ti/Auの積層構造を有する。p側電流拡散層32およびn側電流拡散層34は、スパッタリング法を用いて同時に形成できる。
【0058】
次に、図9に示すように、誘電体封止層36が形成される。誘電体封止層36は、素子構造の上部全面にわたって形成され、誘電体被覆層28、p側電流拡散層32およびn側電流拡散層34と直接接触し、これらを被覆する。誘電体封止層36は、例えばSiOから構成され、PECVD法により形成できる。誘電体封止層36は、例えば、200℃以上300℃以下の温度にて形成される。
【0059】
次に、図1に示すように、誘電体封止層36をドライエッチングなどにより部分的に除去し、p側パッド開口36pおよびn側パッド開口36nを形成する。p側パッド開口36pおよびn側パッド開口36nは、誘電体封止層36を貫通するように形成され、p側パッド開口36pにおいてp側電流拡散層32が露出し、n側パッド開口36nにおいてn側電流拡散層34が露出する。つづいて、p側パッド開口36pを塞ぐように、p側パッド開口36pにおいてp側電流拡散層32と接続するp側パッド電極38を形成し、n側パッド開口36nを塞ぐように、n側パッド開口36nにおいてn側電流拡散層34と接続するn側パッド電極40を形成する。p側パッド電極38およびn側パッド電極40は、同時に形成できるが、別々に形成されてもよい。
【0060】
以上の工程により、図1に示す半導体発光素子10ができあがる。
【0061】
本実施の形態によれば、窒化物層48の少なくとも一部にTiAlNが含まれるため、TiNのみで窒化物層を形成する場合に比べてn側コンタクト電極30の耐食性を高めることができる。その結果、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0062】
本実施の形態によれば、窒化物層48の中央部を構成する第1部分50が導電性を有するTiNから構成されるため、n側コンタクト電極30とn側電流拡散層34の間の電気的接続を確保できる。一方、窒化物層48の外周部を構成する第2部分52および第3部分がTiAlNやAlNから構成されるため、n側コンタクト電極30の外周部における耐食性を高めることができる。
【0063】
本実施の形態によれば、積層体70のアニール後に積層体70の表面に窒化処理をすることで、アニールによって外部に露出するAl層44や粒状部46を窒化物層48によって被覆できる。その結果、図8に示されるリソグラフィ工程において使用される薬液によって、Al層44や粒状部46が腐食することを防止できる。その結果、半導体発光素子10の信頼性を向上できる。
【0064】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0065】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0066】
本発明の第1の態様は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層と、前記n型半導体層の第1上面上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層と、前記活性層上に設けられるp型半導体層と、前記n型半導体層の第2上面と接触するTi層と、前記Ti層上に設けられるAl層と、前記Al層を被覆する窒化物層とを含むn側コンタクト電極と、を備え、前記窒化物層は、TiNからなる第1部分と、TiAlNを含有する第2部分とを有する半導体発光素子である。第1の態様によれば、Al層を被覆する窒化物層がTiAlNを含有することにより、窒化物層の耐食性を高めることができる。これにより、半導体発光素子の信頼性を向上できる。
【0067】
本発明の第2の態様は、前記第1部分は、前記Al層の上面を被覆し、前記第2部分は、前記Al層の側面を被覆する、第1の態様に記載の半導体発光素子である。第2の態様によれば、窒化物層による被覆性が低下しやすいAl層の側面がTiAlNを含有する第2部分により被覆されるため、Al層の耐食性をより高めることができる。
【0068】
本発明の第3の態様は、前記第2部分は、前記Al層の外周部を被覆する、第1または第2の態様に記載の半導体発光素子である。第3の態様によれば、窒化物層による被覆性が低下しやすいAl層の外周部がTiAlNを含有する第2部分により被覆されるため、Al層の耐食性をより高めることができる。
【0069】
本発明の第4の態様は、前記Al層の側面は、前記第2上面に対して傾斜する、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光素子である。第4の態様によれば、Al層の側面を傾斜させることにより、Al層の側面からの窒化物層の剥離を抑制することができ、Al層の耐食性をより高めることができる。
【0070】
本発明の第5の態様は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層の第1上面上にAlGaN系半導体材料から構成される活性層を形成する工程と、前記活性層上にp型半導体層を形成する工程と、前記n型半導体層の第2上面が露出するように、前記p型半導体層および前記活性層を部分的に除去する工程と、前記n型半導体層の前記第2上面と接触する第1Ti層と、前記第1Ti層上のAl層と、前記Al層上の第2Ti層と、前記第2Ti層上のTiN層とを含む積層体を形成する工程と、前記積層体をアニールする工程と、前記アニールされた前記積層体の表面にアンモニアプラズマ処理を施すことにより、前記積層体の表面に窒化物層を形成する工程と、を備える半導体発光素子の製造方法である。第5の態様によれば、積層体のアニール後に積層体の外部に露出するAl層やTi層を窒化させることにより窒化物層が形成されるため、積層体に含まれるAl層の耐食性を高めることができる。これにより、半導体発光素子の信頼性を向上できる。
【0071】
本発明の第6の態様は、前記窒化物層は、TiAlNを含有する、第5の態様に記載の半導体発光素子の製造方法である。第6の態様によれば、窒化物層がTiAlNを含有することにより、窒化物層の耐食性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0072】
10…半導体発光素子、16…n型半導体層、18…活性層、20…p型半導体層、30…n側コンタクト電極、42…第1Ti層、44…Al層、46…粒状部、48…窒化物層、50…第1部分、52…第2部分、54…第3部分、56…第2Ti層、58…TiN層、70…積層体。
【要約】
【課題】半導体発光素子の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体発光素子10は、n型AlGaN系半導体材料から構成されるn型半導体層16と、n型半導体層16の第1上面16a上に設けられ、AlGaN系半導体材料から構成される活性層18と、活性層18上に設けられるp型半導体層20と、n型半導体層16の第2上面16bと接触するTi層41と、Ti層41上に設けられるAl層44と、Al層44を被覆する窒化物層48とを含むn側コンタクト電極30と、を備える。窒化物層48は、TiNからなる第1部分50と、TiAlNを含有する第2部分52とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9