(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230127BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022191925
(22)【出願日】2022-11-30
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2022106746
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(72)【発明者】
【氏名】渡慶次 道隆
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特許第7084584(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3237670(JP,U)
【文献】特開2016-126372(JP,A)
【文献】特開2015-049787(JP,A)
【文献】特開2017-211848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記使用商品が前記商品に用いられている割合に応じて前記第1の排出量を按分して、前記商品に係る前記使用商品の前記排出量である第3の排出量を計算し、前記第2及び第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記第3の排出量を計算し、前記使用商品が他の商品に用いられていない場合には、前記第1の排出量を計算し、前記第1ないし第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量を推定することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サプライチェーンの全体で温室効果ガスの排出状況を把握することが求められている。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、温室効果ガスの排出状況を把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温室効果ガスの排出状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】情報処理装置1のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】情報処理装置1のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】関連企業ごとの排出原単位を表示する処理の流れを説明する図である。
【
図5】PCFを計算する処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システム概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、情報処理装置1を含んで構成される。情報処理装置1は、他の情報処理装置1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。
図1の例では、2つの情報処理装置1(1)(2)が互いに通信可能に接続されている様子が示されている。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
情報処理装置1は、温室効果ガスの排出状況(排出係数(排出原単位)、活動量、排出量)を出力するコンピュータである。企業の活動量(例えば、商品の生産個数)に、当該企業に係る排出原単位を乗じることにより、当該企業による温室効果ガスの排出量を算出することができる。情報処理装置1はまた、自社の排出原単位(活動量や排出量を含めてもよい。)を他の情報処理装置1に送信することができ、他の情報処理装置1から他者の排出原単位を取得することができる。これにより、自社を含むサプライチェーンの全体についての排出量を計算することができる。
【0012】
本実施形態では、各社が自社について計算した排出原単位(一次データ)を交換して、より実際に合った排出量を算出できるようにしている。
【0013】
情報処理装置1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
<情報処理装置1>
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。情報処理装置1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する情報処理装置1の各機能部はCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、情報処理装置1の各記憶部はメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0015】
図3は、情報処理装置1のソフトウェア構成例を示す図である。情報処理装置1は、排出原単位記憶部231と、商品情報記憶部232と、使用商品情報記憶部233と、排出原単位取得部211と、活動量取得部212と、排出量計算部213と、排出量出力部214と、自社情報取得部215と、排出原単位計算部216と、排出原単位送信部217と、データ比率出力部218と、商品別排出量計算部220と、を備える。
【0016】
排出原単位記憶部231は、企業に対応付けて温室効果ガスの排出量を計算するための係数(排出原単位と呼ばれる。)を記憶する。排出原単位記憶部231は、企業を示す企業ID及び企業が提供する商品(サービスを含む。以下同じ。)を示す商品IDに対応付けて、排出原単位及び一次データ比率を記憶することができる。一次データとは、企業自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータである。一次データ以外のデータが二次データである。例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたものが二次データである。一次データ比率は、計算された排出量の全量における、一次データを用いて計算した排出量が占める割合である。
【0017】
商品情報記憶部232は、商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報には、商品を示す商品IDに対応付けて、商品名などの商品に関する各種の情報を含めることができる。商品情報記憶部232には、自社が他社に提供する全ての商品について商品情報が登録されているものとする。
【0018】
使用商品情報記憶部233は、商品の提供に用いられる他の商品(以下、使用商品という。)に関する情報(使用商品情報)を記憶する。使用商品は、例えば、商品を生産するために用いる原材料などである。使用商品情報には、商品を示す商品IDと、使用商品を示す使用商品IDと、当該使用商品を提供する企業を示す企業IDと、1つの商品のために用いられる使用商品の量(使用量)とを含めることができる。
【0019】
排出原単位取得部211は、サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業(関連企業)において計算された排出原単位を取得する。関連企業は、GHGプロトコルのスコープ3に定義されるカテゴリの商品を提供する企業である。排出原単位取得部211は、ユーザから排出原単位の入力を受け付けるようにしてもよいが、本実施形態では、他の情報処理装置1から排出原単位を取得するものとする。情報処理装置1は排出原単位とともに一次データ比率を提供することができる。排出原単位取得部211は、取得した排出原単位及ぶ一次データ比率により排出原単位記憶部231を更新することができる。排出願単位取得部211は、排出原単位の取得元の他の情報処理装置1に係る関連企業を示す企業IDと、当該関連企業から購入している商品を示す商品IDとに対応する排出原単位及び一次データ比率を,取得したものに更新することができる。排出原単位取得部211は、二次データの排出原単位を排出原単位記憶部231に登録した場合には、一次データ比率を「0」に設定することができる。
【0020】
活動量取得部212は、関連企業の使用商品に関する活動量を取得する。活動量は、例えば、商品の個数、エネルギーの量、物流で運んだ距離など、関連企業から提供を受けた商品の量とすることができる。活動量取得部212は、関連企業の情報処理装置1から関連企業に係る活動量を取得することができる。活動量取得部212は、ユーザから関連企業の活動量の入力を受け付けるようにしてもよい。また、活動量取得部212は、例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどにアクセスして、関連企業から仕入れた商品の数(量)を活動量として取得するようにしてもよい。
【0021】
排出量計算部213は、関連企業及び商品に対応する排出原単位を排出原単位記憶部231から読み出し、読み出した排出原単位を関連企業の活動量(例えば、使用商品の使用量)に乗じることにより、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。排出量の計算に係る使用量は、活動量取得部212が、例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどにアクセスして取得した関連企業の活動量(仕入れた商品の数など)としてもよいし、活動量取得部212が関連企業の情報処理装置1から受信したものであってもよい。
【0022】
排出量出力部214は、関連企業ごとに排出量を出力することができる。排出量出力部214は、関連企業及び使用商品ごとに排出量を出力することができる。排出量出力部214はまた、関連企業ごとに排出原単位を出力することができる。排出量出力部214は、同じ商品を提供する複数の関連企業について、排出原単位を比較可能に出力することができる。排出量出力部214は、ある商品を提供する関連企業と、当該商品の代替品を提供する関連企業とについて、排出原単位を比較可能に出力することができる。なお、排出量出力部214は、取引のない関連企業についても排出原単位を出力するようにしてよい。すなわち、使用商品の他の提供元である関連企業や、代替品を提供する関連企業などについても排出原単位を比較可能に出力することもできる。
【0023】
自社情報取得部215は、自社の排出量及び/又は活動量を取得する。自社情報取得部215は、例えば、排出量及び/又は活動量の入力を受け付けることができる。自社情報取得部215は、周知の手法により排出量を計算するようにしてもよい。自社情報取得部215は、例えば会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから活動量(販売した自社の商品の数など)を取得するようにしてもよい。自社情報取得部215は、商品別の排出量及び/又は活動量を取得することができる。また、自社情報取得部215は、自社の排出量のうち一次データに基づいて計算した量(自社一次データ排出量という。)を取得する。自社情報取得部215は、自社の直接的又は間接的な排出量(スコープ1及びスコープ2)のうち、例えば、スコープ2の排出量が電気料金に係る二次データに基づいて計算された場合には、スコープ1及びスコープ2の全排出量から、スコープ2の電力使用に係る排出量を除いて自社一次データ排出量を計算することができる。
【0024】
使用商品が複数の商品に使用されている場合、自社情報取得部215は、商品ごとに使用されている使用商品の使用量を取得し(例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから取得することができる。)、活動量取得部212は、商品ごとの使用量に応じて使用商品の活動量を按分することにより、商品別の使用商品の活動量を計算し、排出量計算部213は、按分された商品別の使用商品の活動量に、使用商品の排出原単位を乗じて、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。
【0025】
また、活動量取得部212が、関連企業が複数の使用商品に係る活動量をまとめて取得した場合には、自社情報取得部215は、関連企業から調達した複数の使用商品のうち、当該商品に使用した使用量を取得し(例えば、会計システムや販売管理システム、在庫管理システムなどから取得することができる。)、取得した使用商品ごとの使用量に応じて活動量を按分することにより、商品及び使用商品に対応する使用商品の活動量を計算し、排出量計算部213は、商品及び使用商品に対応する活動量に、使用商品の排出原単位を乗じて、関連企業による当該使用商品に係る排出量を計算することができる。
【0026】
排出原単位計算部216は、取得した自社の排出量及び自社の活動量に基づいて自社の排出原単位である自社排出原単位を計算する。
【0027】
排出原単位送信部217は、他の情報処理装置1(関連企業のシステム)に対して自社排出原単位を送信することができる。排出原単位送信部217は、他の情報処理装置1からのリクエストに応じて自社排出原単位を送信するようにしてもよいし、定期的に又は自社排出原単位を計算する度に、自社排出原単位を送信するようにしてもよい。
【0028】
データ比率出力部218は、自社の商品に係る排出量に係る一次データ比率を出力することができる。データ比率出力部218は、一次データ比率を計算することができる。データ比率出力部218は、例えば、ある商品に使用された各使用商品について、使用商品に係る排出量に当該使用商品の一次データ比率を乗じたもの(一次データ排出量という。)を計算し、当該商品について自社が排出した排出量(スコープ1及び2)と、計算した全ての使用商品についての一次データ排出量の合計とを加算して、一次データに基づく排出量の合計値を計算し、計算した合計値を当該商品に係る排出量(スコープ1ないし3の合計)で割って、当該商品に係る一次データ比率を計算することができる。データ比率出力部218は、例えば、自社の商品を示す商品IDに対応する使用商品ID、使用量及び企業IDを使用商品情報記憶部233から取得し、企業ID及び使用商品IDに対応する一次データ比率を排出原単位記憶部231から取得し、使用商品の排出量(使用量に排出原単位を乗じた値であってもよいし、排出量の入力を受け付けるようにしてもよい。)に、一次データ比率を乗じて一次データ排出量を計算することができる。また、データ比率出力部218は、自社が排出した排出量について二次データを使用して算出している場合には、自社一次データ排出量のみを使用商品の一次データ排出量の合計に加算することができる。
【0029】
排出原単位取得部211は、1又は複数の商品に使用される使用商品について、使用商品を提供する関連企業が排出した排出量を、当該関連企業の情報処理装置1から取得することもできる。この場合に、排出原単位取得部211は、排出量を所定の基準で按分して、商品別排出量を計算することができる。排出原単位取得部211は、同じ使用商品を用いる複数の商品について、商品の生産量などで使用商品の排出量を按分することができる。排出原単位取得部211は、商品別排出量を使用商品の使用量で割って、関連企業の使用商品についての排出原単位を計算することができる。
【0030】
商品別排出量計算部220は、商品に係る排出量(PCF(Product Carbon Footprint)と呼ばれる。)を計算する。商品別排出量計算部220は、排出原単位取得部211が排出原単位を取得できた場合には、排出原単位に使用商品の使用量を乗じて使用商品に係る第1の商品別排出量を計算することができる。商品別排出量計算部220は、排出原単位取得部211が排出原単位を取得できず、自社に提供した全ての使用商品に係る排出量を取得できた場合には、排出量を所定の基準で按分して第2の商品別排出量を計算することができる。商品別排出量計算部220は、第1の商品別排出量(排出原単位を用いて積み上げた排出量)と、第2の商品別排出量(組織単位の排出量を按分して求めた排出量)と、自社の直接又は間接排出量(自社情報取得部215が取得した排出量のうち商品に関するもの)を合計した合計値を計算し、計算した合計値を活動量(例えば商品の生産量)で割ってPCFを算出することができる。
【0031】
<動作>
図4は、関連企業ごとの排出原単位を表示する処理の流れを説明する図である。
【0032】
情報処理装置1は、関連企業の情報処理装置1から、排出原単位を取得する(S301)。情報処理装置1は、排出原単位を取得できなかった場合(S302:NO)、関連企業から自社に提供される使用商品全体に係る排出量を取得する(S303)。情報処理装置1は、排出量が取得できた場合には(S304:YES)、所定の基準(例えば、自社商品のそれぞれの生産量)で排出量を按分して、使用商品の商品別排出量を計算し(S305)、商品別排出量を使用商品の使用量で割って排出原単位を計算する(S306)。一方、情報処理装置1は、排出量が取得できなかった場合には(S304:NO)、使用商品に係る二次データを取得する(S307)。情報処理装置1は、関連企業ごとの排出原単位を比較可能に表示する(S304)。これにより、企業は、サプライチェーンの上流又は下流の関連企業ごとの排出原単位を把握することが可能となり、温室効果ガスの排出量の低減に取り組んでいる関連企業を把握することが可能となる。
【0033】
図5は、PCFを計算する処理の流れを説明する図である。
【0034】
情報処理装置1は、自社の商品に係る使用商品のそれぞれについて、関連企業から自社に提供される使用商品全体に係る排出量を取得した場合には(S321:YES)、所定の基準(例えば、自社商品のそれぞれの生産量)で排出量を按分して、使用商品の商品別排出量を計算し(S322)、排出量を取得しなかった場合には(S321:NO)、排出原単位(一次データ又は二次データ)を使用量に乗じて商品別排出量を計算する(S323)。情報処理装置1は、商品別排出量を合計し(S324)、合計した排出量を、商品に係る活動量(生産量や販売量など)で割ってPCFを計算することができる(S325)。これにより、LCA(Life Cycle Assessment)などにより求められた排出原単位を用いて計算した排出量(積み上げ方式で計算した排出量)であろうと、全社の排出量を商品数や売上等で割って求めた排出量(按分方式で計算した排出量)であろうとも、利用可能なものを用いてPCFを計算することができる。
【0035】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0036】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記使用商品が前記商品に用いられている割合に応じて前記第1の排出量を按分して、前記商品に係る前記使用商品の前記排出量である第3の排出量を計算し、前記第2及び第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目2に記載の情報処理システムであって、
前記排出量計算部は、前記使用商品が他の商品にも用いられている場合には、前記第3の排出量を計算し、前記使用商品が他の商品に用いられていない場合には、前記第1の排出量を計算し、前記第1ないし第3の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目5]
サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得するステップと、
前記排出原単位を前記関連企業ごとに排出原単位記憶部に記憶するステップと、
自社の商品に使用される使用商品に係る前記関連企業の第1の活動量を取得するステップと、
前記自社の商品に係る前記自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得するステップと、
前記関連企業に対応する前記排出原単位を前記排出原単位記憶部から取得し、取得した前記排出原単位を前記関連企業の前記第1の活動量に乗じて前記第1の排出量を計算し、前記第1及び第2の排出量の合計値を前記第2の活動量で按分して前記商品に係る排出量を計算するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0037】
1 情報処理装置
【要約】
【課題】温室効果ガスの排出状況を把握することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、サプライチェーンの上流及び下流の少なくともいずれかに該当する企業である関連企業において計算された、温室効果ガスの第1の排出量を計算するための排出原単位を取得する排出原単位取得部と、排出原単位を関連企業ごとに記憶する排出原単位記憶部と、自社の商品に使用される使用商品に係る関連企業の第1の活動量を取得する活動量取得部と、自社の商品に係る自社の第2の排出量及び第2の活動量を取得する自社情報取得部と、関連企業に対応する排出原単位を排出原単位記憶部から取得し、取得した排出原単位を関連企業の第1の活動量に乗じて第1の排出量を計算し、第1及び第2の排出量の合計値を第2の活動量で按分して商品に係る排出量を計算する排出量計算部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1