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特許7217835磁気浮上列車リニアモータ及び磁気浮上列車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】磁気浮上列車リニアモータ及び磁気浮上列車
(51)【国際特許分類】
   B60L 13/04 20060101AFI20230127BHJP
   H02K 41/025 20060101ALI20230127BHJP
【FI】
B60L13/04 A
H02K41/025 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022512814
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2021073746
(87)【国際公開番号】W WO2021179816
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010168652.1
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516183897
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲機車車▼輌股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88 Jinhongdong Road, Chengyang District, Qingdao, Shandong, 266111, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】リアン ジエンイン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ウ ドンフア
(72)【発明者】
【氏名】ハン ウェイタオ
(72)【発明者】
【氏名】ルアン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン フージエ
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-060314(JP,A)
【文献】実開平05-086930(JP,U)
【文献】国際公開第1998/031073(WO,A2)
【文献】特開2001-112119(JP,A)
【文献】特開2003-032810(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0025827(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0011093(US,A1)
【文献】特開平06-165471(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108736592(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/04 - 13/10
H02K 41/00 - 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対して設置された一次セグメントと二次セグメントを含み、前記一次セグメントと前記二次セグメントとの間には、非作動状態の場合に第1の間隔を有し、作動状態の場合に第2の間隔を有するエアギャップが配置されており、
前記一次セグメントにおける前記二次セグメントに向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが前記第1の間隔よりも大きく前記第2の間隔よりも小さい導磁性フィルムが設けられ、
前記導磁性フィルムは、前記導磁性フィルムの表面に沿って交互に分布する導磁性基体と非導磁性基体を含み、前記導磁性基体内に導磁性材料が充填され、前記導磁性基体は前記一次セグメントにおける前記二次セグメントに向かう側の表面の磁極を覆い、前記非導磁性基体は隣接する前記磁極間のギャップを遮蔽することを特徴とする磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項2】
前記導磁性フィルムは、前記導磁性フィルムの表面に平行な方向に沿って剛性を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項3】
前記非導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面は、前記導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面より突出することを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項4】
前記非導磁性基体における前記二次セグメントに向かう側の表面と、前記導磁性基体における前記二次セグメントに向かう側の表面とは、互いに面一となることを特徴とする請求項3に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項5】
前記非導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面が前記導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面より突出した高さの範囲は、1.5mm以上2.5mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項6】
前記導磁性基体の厚さの範囲は7mm以上8mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項7】
前記導磁性材料は、粒状鉄材料または糸状鉄材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気浮上列車リニアモータ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の磁気浮上列車リニアモータを含むことを特徴とする磁気浮上列車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気浮上列車という技術的分野に関わり、特に磁気浮上列車リニアモータ及び磁気浮上列車に関わる。本出願は2020年03月11日にて中国特許庁に提出され、出願番号は202010168652.1であり、発明名称が「磁気浮上列車リニアモータ及び磁気浮上列車」である中国特許出願の優先権を出張し、その全ての内容が援用されることで本出願に結合される。
【背景技術】
【0002】
例えば、牽引、制動、正、逆方向への運行などの吸力型磁気浮上列車の運行状態は、完全にリニアモータ及びインバータシステムにより実現される。現在の磁気浮上列車は、いずれも、磁気浮上列車の運行性能を直接的に決定するリニア誘導モータ(LIM)を採用している。リニアモータの固定子と可動子との間の距離はエアギャップと呼ばれ、作動エアギャップの値はリニアモータ推力に影響を与えるキーパラメータである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
線路の施工誤差と磁気浮上列車の構成という二つの原因を考慮することで、実際の磁気浮上列車の作動エアギャップが大きく、大きな作動エアギャップはリニアモータの電力消費が大きく、効率が低いことを招致する主な原因である。したがって、磁気浮上列車リニアモータの作動エアギャップを低減させることは、車両全体システムの駆動効率を向上させる効果的な手段である。しかしながら、線路が理想的なスムーズではなく、リニアモータの一次セグメントと二次セグメントは両方とも剛体であり、衝突できないことを考慮して、設計された作動エアギャップは大きい。そのため、如何に、リニアモータを破損しにくいように保護する前提で、車両全体システムの駆動効率を向上させるかということは、当業者にとって急に解決すべき課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、リニアモータを破損しにくいように保護する前提で、車両全体システムの駆動効率を向上させることができる磁気浮上列車リニアモータを提供することであり、本発明は、さらに、リニアモータを破損しにくいように保護する前提で、車両全体システムの駆動効率を向上させることができる磁気浮上列車を提供する。
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、相対して設置された一次セグメントと二次セグメントを含み、前記一次セグメントと前記二次セグメントとの間には、非作動状態の場合、第1の間隔を有し、作動状態の場合、第2の間隔を有するエアギャップが配置され、
前記一次セグメントにおける前記二次セグメントに向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが前記第1の間隔よりも大きく前記第2の間隔よりも小さい導磁性フィルムが設けられ、
前記導磁性フィルムは、前記導磁性フィルムの表面に沿って交互に分布する導磁性基体と非導磁性基体を含み、前記導磁性基体内に導磁性材料が充填され、前記導磁性基体は前記一次セグメントの前記二次セグメントに向かう側の表面の磁極を覆い、前記非導磁性基体は隣接する前記磁極間のギャップを遮蔽する磁気浮上列車リニアモータを提供する。
【0006】
または、前記導磁性フィルムは、前記導磁性フィルムの表面に平行な方向に沿って剛性を有する。
【0007】
または、前記非導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面は、前記導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面より突出する。
【0008】
または、前記非導磁性基体における前記二次セグメントに向かう側の表面と前記導磁性基体における前記二次セグメントに向かう側の表面とは互いに面一となる。
【0009】
または、前記非導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面が前記導磁性基体における前記一次セグメントに向かう側の表面より突出した高さの範囲は、1.5mm以上2.5mm以下である。
【0010】
または、前記導磁性基体の厚さの範囲は、7mm以上8mm以下である。
【0011】
または、前記導磁性材料は、粒状鉄材料または糸状鉄材料を含む。
【0012】
本発明は、さらに、上記のいずれか1項に記載の磁気浮上列車リニアモータを含む磁気浮上列車を提供する。
【0013】
本発明が提供した磁気浮上列車リニアモータは、相対して設置された一次セグメントと二次セグメントを含み、一次セグメントと二次セグメントとの間には、非作動状態の場合、第1の間隔を有し、作動状態の場合に第2の間隔を有するエアギャップが配置され、一次セグメントにおける二次セグメントに向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが第1の間隔よりも大きく第2の間隔よりも小さい導磁性フィルムが設けられ、導磁性フィルムは、導磁性フィルムの表面に沿って交互に分布する導磁性基体と非導磁性基体を含み、導磁性基体内に導磁性材料が充填され、導磁性基体は一次セグメントの二次セグメントに向かう側の表面の磁極を覆い、非導磁性基体は隣接する磁極間のギャップを遮蔽する。
【0014】
動作の場合、一次セグメントにおける磁極に向かう側の表面の磁極は具体的に導磁性基体で覆われ、磁極間のギャップは非導磁性基体で遮蔽される。磁極によって発生する磁界は、導磁性基体とエアギャップを介して二次セグメントに伝達され、導磁性基体が一定の厚さを有するので、エアギャップの間隔を減少できることで、リニアモータの電力消費を低減させ、リニアモータの効率を向上させ、ひいては、車両全体システムの駆動効率を向上させ、さらに、導磁性フィルムが厚さ方向に弾性を有することで、停止状態の場合、一次セグメントと二次セグメントとの間の直接的な衝突を回避して、リニアモータを破損しにくいように保護する。
【0015】
本発明は、さらに、同様に上記の有益な効果を有する磁気浮上列車を提供して、ここで贅言していない。
【0016】
本発明の実施例または従来技術における技術案を明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載における図面は、ただ本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、これらの図面に応じて他の図面を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例が提供した磁気浮上列車リニアモータの構成概略図である。
図2】静止の場合、磁気浮上列車リニアモータの構成概略図である。
図3】作動の場合、磁気浮上列車リニアモータの構成概略図である。
図4】本発明の実施例が提供した具体的な導磁性フィルムの構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の核心は磁気浮上列車リニアモータを提供するものである。従来技術では、線路の施工誤差と磁気浮上列車の構成という二つの原因を考慮して、実際の磁気浮上列車の作動エアギャップが大きく、大きな作動エアギャップはリニアモータの電力消費が大きく、効率が低いことを招致する主な原因である。
【0019】
本発明が提供した磁気浮上列車リニアモータは、相対して設置された一次セグメントと二次セグメントを含み、一次セグメントと二次セグメントとの間には、非作動状態の場合、第1の間隔を有し、作動状態の場合、第2の間隔を有するエアギャップが残され、一次セグメントの二次セグメントに向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが第1の間隔よりも大きく第2の間隔よりも小さい導磁性フィルムが設けられ、導磁性フィルムは、導磁性フィルムの表面に沿って交互に分布する導磁性基体と非導磁性基体を含み、導磁性基体内に導磁性材料が充填され、導磁性基体が一次セグメントの二次セグメントに向かう側の表面の磁極を覆い、非導磁性基体が隣接する磁極間のギャップを遮蔽する。
【0020】
動作の場合、一次セグメントにおける磁極に向かう側の表面の磁極は具体的に導磁性基体で覆われ、磁極間のギャップは非導磁性基体で遮蔽される。磁極によって発生する磁界は、導磁性基体とエアギャップを介して二次セグメントに伝達され、導磁性基体が一定の厚さを有し、エアギャップの間隔を減少できることで、リニアモータの電力消費を低減させ、リニアモータの効率を向上させ、ひいては、車両全体システムの駆動効率を向上させ、さらに、導磁性フィルムが厚さ方向に弾性を有することで、停止状態の場合、一次セグメントと二次セグメントとの間の直接的な衝突を回避して、リニアモータを破損しにくいように保護する。
【0021】
当業者が本発明の技術案をよりよく理解するために、以下は図面と具体的な実施形態を結合して、本発明をさらに詳しく説明する。明らかに、記載された実施例は、ただ本発明の一部の実施例であって、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0022】
図1図2及び図3を参照して、図1は本発明の実施例が提供した磁気浮上列車リニアモータの構成概略図であり、図2は静止の場合、磁気浮上列車リニアモータの構成概略図であり、図3は作動の場合、磁気浮上列車リニアモータの構成概略図である。
【0023】
図1を参照し、本発明の実施例において、磁気浮上列車リニアモータは、相対して設置された一次セグメント1と二次セグメント2を含み、前記一次セグメント1と前記二次セグメント2との間には、非作動状態の場合、第1の間隔を有し、作動状態の場合、第2の間隔を有するエアギャップが残され、前記一次セグメント1の前記二次セグメント2に向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが前記第1の間隔よりも大きく前記第2の間隔よりも小さい導磁性フィルム3が設けられ、前記導磁性フィルム3は、前記導磁性フィルム3の表面に沿って交互に分布する導磁性基体31と非導磁性基体32を含み、前記導磁性基体31内に導磁性材料が充填され、前記導磁性基体31が前記一次セグメント1の前記二次セグメント2に向かう側の表面の磁極を覆い、前記非導磁性基体32が隣接する前記磁極間のギャップを遮蔽する。
【0024】
上記の一次セグメント1は、リニアモータにおける固定子であり、二次セグメント2は、リニアモータにおける回転子である。本発明の実施例が提供したリニアモータは通常、短い固定子構造を採用し、通常、一次セグメント1の二次セグメント2に向かう側の表面にはコギングが設けられ、コギングの中に巻線が設けられる。この場合、隣接するコギングの間の突起は磁極に相当し、隣接する磁極間にはコギングであるギャップがある。上記の一次セグメント1及び二次セグメント2の間に一つのエアギャップがあり、リニアモータは非作動状態にあると、一次セグメント1及び二次セグメント2の間は間隔が小さい第1の間隔を有し、リニアモータは作動状態にあると、一次セグメント1及び二次セグメント2の間は間隔が大きい第2の間隔を有する。通常の状況では、非作動状態の場合、上記のエアギャップの第1の間隔は通常5mm程度であり、作動状態の場合、上記のエアギャップの第2の間隔は通常13mm程度である。上記の一次セグメント1及び二次セグメント2の具体的な材料等について、従来技術を参考できるため、ここで贅言していない。
【0025】
図2及び図3を参照し、上記の一次セグメント1の二次セグメント2に向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有する導磁性フィルム3が設けられている。導磁性フィルム3の厚さ方向は、一次セグメント1と二次セグメント2との間の間隔の方向であり、該導磁性フィルム3が厚さ方向に弾性を有するとは、一次セグメント1及び二次セグメント2が該導磁性フィルム3を圧縮できることを意味しており、一次セグメント1と二次セグメント2との間のエアギャップが広くなると、該導磁性フィルム3の厚さは初期状態に回復する。本発明の実施例において、導磁性フィルム3の厚さは第1の間隔よりも大きく第2の間隔よりも小さい必要があり、即ち、非作動状態の場合、一次セグメント1及び二次セグメント2は導磁性フィルム3を相互に圧縮し、作動状態の場合、一次セグメント1及び二次セグメント2の間には、該導磁性フィルム3に加えて、さらに一定のエアギャップを有する。導磁性フィルム3が厚さ方向に一定の弾性を有することで、一次セグメント1と二次セグメント2とは相互に衝突すると、衝突による力を効果的に吸収でき、一次セグメント1及び二次セグメント2を破損しにくいように保護する。
【0026】
上記の導磁性フィルム3は、導磁性フィルム3の表面に沿って交互に分布する導磁性基体31と非導磁性基体32を含み、即ち、導磁性フィルム3は、厚さ方向に沿った多層構造ではなく、導磁性フィルム3の表面方向に沿ったストライプ構造であり、該当ストライプ構造において、導磁性基体31と非導磁性基体32とが交互に分布する。非導磁性基体32と比較して、上記の導磁性基体31は、導磁性を持たせるように該導磁性基体31内に導磁性材料が充填される。上記の導磁性基体31は一次セグメント1における二次セグメント2に向かう側の表面の磁極を覆い、非導磁性基体32は隣接する磁極間のギャップを遮蔽しており、上記の導磁性基体31の長さ及び幅は通常、磁極の長さ及び幅に対してだいたい同じであり、非導磁性基体32の長さ及び幅も磁極間のギャップ、即ちコギングの長さ及び幅に対してだいたい同じまたはわずかに小さいである。導磁性基体31の中に導磁性材料が充填されたことで、その導磁率が一定の場合、空気の導磁率よりも大きく、そして、充填された導磁性材料の多寡を制御することにより、導磁性フィルム3の導磁性率に対する制御を実現することが可能となる。磁力線は導磁性基体31を通過する経路であれば、大幅にエネルギーの損失を低減できる。エアギャップと浮上力との関係は、ほぼ指数関係であるため、エアギャップを小さくすることにより、大幅にエネルギーを節約できる。
【0027】
本発明の実施例が提供した磁気浮上列車リニアモータは、相対して設置された一次セグメント1と二次セグメント2を含み、一次セグメント1と二次セグメント2との間には、非作動状態の場合、第1の間隔を有し、作動状態の場合、第2の間隔を有するエアギャップが配置され、一次セグメント1の二次セグメント2に向かう側の表面には、厚さ方向に弾性を有し、厚さが第1の間隔よりも大きく第2の間隔よりも小さい導磁性フィルム3が設けられ、導磁性フィルム3は、導磁性フィルム3の表面に沿って交互に分布する導磁性基体31と非導磁性基体32を含み、導磁性基体31内に導磁性材料が充填され、導磁性基体31が一次セグメント1における二次セグメント2に向かう側の表面の磁極を覆い、非導磁性基体32が隣接する磁極間のギャップを遮蔽する。
【0028】
動作の場合、一次セグメント1における磁極に向かう側の表面の磁極は具体的に導磁性基体31で覆われ、磁極間のギャップは非導磁性基体32で遮蔽される。磁極によって発生する磁界は、導磁性基体31とエアギャップを介して二次セグメント2に伝達され、導磁性基体31が一定の厚さを有し、エアギャップの間隔を減少できることで、リニアモータの電力消費を低減させ、リニアモータの効率を向上させ、ひいては、車両全体システムの駆動効率を向上させ、さらに、導磁性フィルム3が厚さ方向に弾性を有することで、停止状態の場合、一次セグメント1と二次セグメント2との間の直接的な衝突を回避して、リニアモータを破損しにくいように保護する。
【0029】
本発明が提供した磁気浮上列車リニアモータの具体的な内容について、下記の発明の実施例において、詳しく紹介する。
【0030】
図4を参照し、図4は本発明の実施例が提供した具体的な導磁性フィルムの構成概略図である。
【0031】
上記の発明の実施例と相違し、本発明の実施例は、上記の発明の実施例を基礎として、磁気浮上列車リニアモータにおける導磁性フィルム3の具体的な構成をさらに紹介するものである。その他の内容は上記の発明実施例において詳細に紹介したので、ここで贅言していない。
【0032】
図4を参照し、本発明の実施例において、前記導磁性フィルム3は前記導磁性フィルム3の表面に平行な方向に沿って剛性を有する。説明すべきなのは、リニアモータが通電する場合、導磁性フィルム3は列車の進行方向に沿った力を受ける。導磁性フィルム3が水平方向における受けた力に抗することができ、導磁性フィルム3が水平方向に変形することを回避するために、該導磁性フィルム3は、該導磁性フィルム3の表面方向、即ち水平方向に沿って剛性を有する。
【0033】
さらに、本発明の実施例において、前記非導磁性基体32の前記一次セグメント1に向かう側の表面は前記導磁性基体31の前記一次セグメント1に向かう側の表面より突出する。非導磁性基体32の一次セグメント1に向かう側の表面は導磁性基体31の一次セグメント1に向かう側の表面より突出すると、該非導磁性基体32が突出した部分は一次セグメント1の表面のコギング、即ち磁極間のギャップに埋め込まれている。導磁性フィルム3が水平方向の力を受けると、該非導磁性基体32が突出した部分は磁極の側壁に対して一定の力を与えることで、磁性フィルムが水平方向に摺動したり変形したりしないことを保証する。通常の場合、前記非導磁性基体32の前記一次セグメント1に向かう側の表面が前記導磁性基体31の前記一次セグメント1に向かう側の表面より突出した高さの範囲は、1.5mm以上2.5mm以下である。即ち、導磁性基体31と比較して、上記の非導磁性基体32は、一次セグメント1に向かう側の表面が突出した部分の高さは、通常、2mm程度であることで、磁性フィルムは水平方向に摺動したり変形したりしないことを保証する。
【0034】
通常の場合、在本発明の実施例において、前記導磁性基体31厚さの範囲は7mm以上8mm以下である。相応する磁性フィルムは、作動状態の場合、一次セグメント1及び二次セグメント2の間のエアギャップを7mm~8mmだけ減少できる。動作の場合、エアギャップの厚さが13mmであれば、本発明の実施例が提供した導磁性フィルム3を設置した後に、動作の場合、該エアギャップの厚さは5mm~6mmに減少することで、車両全体システムの駆動効率を向上させる。
【0035】
本発明の実施例において、前記非導磁性基体32の前記二次セグメント2に向かう側の表面と前記導磁性基体31の前記二次セグメント2に向かう側の表面とは、通常、互いに面一となる、即ち、導磁性フィルム3の二次セグメント2に向かう側の表面は、通常、平坦面であることで、二次セグメント2が導磁性フィルム3を押圧する時、導磁性フィルム3が受けた力はより均一になり得る。
【0036】
本発明の実施例において、前記導磁性材料は、粒状鉄材料または糸状鉄材料を含む。即ち、導磁性フィルム3の導磁性基体31では、通常に充填された磁性材料は通常、鉄材料である。具体的には、磁性フィルムが厚さ方向に一定の弾性を有することを保証するために、該充填された鉄材料は通常、粒状鉄材料または糸状鉄材料である。
【0037】
本発明の実施例が提供した磁気浮上列車リニアモータは、非導磁性基体32の前記一次セグメント1に向かう側の表面を前記導磁性基体31の前記一次セグメント1に向かう側の表面より突出させることで、磁性フィルムは水平方向に摺動したり変形したりしないことを保証でき、導磁性フィルム3の二次セグメント2に向かう側の表面を平坦面にすることで、二次セグメント2が導磁性フィルム3を押圧する場合、導磁性フィルム3が受けた力はより均一になり得る。
【0038】
本発明はさらに磁気浮上列車を提供しており、該磁気浮上列車には具体的に上記のいずれかの発明の実施例が提供した磁気浮上列車リニアモータが設けられ、磁気浮上列車リニアモータの詳しい内容について、上記の発明実施例を参照し、磁気浮上列車の他の構成について、従来技術を参考できるため、ここで贅言していない。
【0039】
本発明の実施例が提供した磁気浮上列車は、磁気浮上列車リニアモータが動作の場合、より狭いエアギャップを有し、且つ導磁性フィルム3が厚さ方向に弾性を有することで、リニアモータを破損しにくいように保護するとともに、車両全体システムの駆動効率を向上させることができる。
【0040】
本明細書において、各実施例は漸進的な方式で記載されており、それぞれの実施例は他の実施例との相違点を中心に説明し、各実施例の間に同じまたは類似の部分について、互いに参照すればよい。実施例に開示された装置について、それが実施例に開示された方法に対応するため、記載されたのが比較的簡単であり、関連する部分が方法の部分の説明を参照すればよい。
【0041】
当業者は、さらに、本明細書に開示された実施例に関連して記載された各例示のユニット及びアルゴリズムのステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実現できることを認識し、ハードウェアとソフトウェアの同義性を明らかに説明するために、上記の説明において、機能に従って、各例示の構成及びステップを一般的に記載した。これらの機能は、いったいハードウェアまたはソフトウェアで実行されるかということは、技術案の特定の適用と設計の制約条件に依存する。当業者は、それぞれの特定の適用に対して、記載された機能を実現するために異なる方法を使用できるが、このような実現が本発明の範囲を超えるものとしてみなされるべきではない。
【0042】
本明細書に開示された実施例に関連して記載された方法またはアルゴリズムのステップは、直接的に、ハードウェア、プロセッサーによって実行されるソフトウェアモジュールまたはそれらの組み合わせで実施されることができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブル可能ROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、可動ディスク、CD-ROM、あるいは技術分野で公知の他の形式の任意の記憶媒体に配置されることができる。
【0043】
最後に、説明すべきなのは、本明細書では、例えば、第1及び第2といった関係を表す用語は、1つのエンティティまたは操作を別の1つのエンティティまたは操作から区別するために使用されるにすぎず、必ずしもこれらのエンティティまたは操作の間に何らかの実際の関係または順番が存在することを要求または暗示するものではない。さらに、「含む」、「含有する」という用語またはそれらのあらゆる変形は、非排他的包含を含むように意図され、それにより一連の要素を含む過程、方法、品物、もしくはデバイスはそれらの要素を含むだけでなく、さらに明確に列挙されない他の要素を含み、またはこのような過程、方法、品物もしくはデバイスが固有する要素をさらに含む。これ以上制限しない限り、「一つの・・・を含む」という語句によって限定される要素は、前記要素を含む過程、方法、品物もしくはデバイスには別の同一の要素も存在することを排除するものではない。
【0044】
以上、本発明が提供した磁気浮上列車リニアモータ及び磁気浮上列車について詳しく紹介した。本明細書では、具体的な例を応用して本発明の原理及び実施形態を説明し、以上の実施例の説明は、ただ本発明の方法及びその核心的な考えの理解を支援するために用いられる。指摘すべきことは、当業者にとって、本発明の原理から逸脱しない前提で、さらに本発明に対して若干の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾も本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 一次セグメント
2 二次セグメント
3 導磁性フィルム
31 導磁性基体
32 非導磁性基体
図1
図2
図3
図4