(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-26
(45)【発行日】2023-02-03
(54)【発明の名称】空気調和装置および空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/88 20180101AFI20230127BHJP
F24F 11/87 20180101ALI20230127BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20230127BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20230127BHJP
【FI】
F24F11/88
F24F11/87
F24F11/52
F24F11/49
(21)【出願番号】P 2022557689
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2022019000
【審査請求日】2022-09-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紘太
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-140551(JP,A)
【文献】特開平03-067946(JP,A)
【文献】特開平05-180491(JP,A)
【文献】特開2002-089942(JP,A)
【文献】特開2007-162957(JP,A)
【文献】特開2010-065887(JP,A)
【文献】特開2013-198235(JP,A)
【文献】特開2015-161468(JP,A)
【文献】特許第7135241(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを備え
、前記室内機又は前記室外機のみがコンセントに接続される空気調和装置であって、
前記室内機へのオプション機器の接続時における
前記空気調和装置および該オプション機器の合計の最大電流が、前記コンセントの上限電流を超えないように、前記室内機への前記オプション機器の接続時における前記室外機の最大電流を、前記室内機への前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記室外機の最大電流より低くなるように制御する制御手段を含む、空気調和装置。
【請求項2】
前記室外機は、圧縮機を有し、
前記制御手段は、前記オプション機器の接続時における前記圧縮機の最大回転数を、前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記圧縮機の最大回転数より低くなるように制御する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記室外機は、室外ファンを有し、
前記制御手段は、前記オプション機器の接続時における前記室外ファンの最大回転数を、前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記室外ファンの最大回転数より低くなるように制御する、請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記室外機は、圧縮機を有し、
前記制御手段は、前記オプション機器の接続時と前記オプション機器の非接続時又は初期設定時とで前記圧縮機を停止する電流の停止閾値を等しくするとともに、前記オプション機器の接続時における前記圧縮機の回転数を下げる電流の上限値を、前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記圧縮機の回転数を下げる電流の上限値より低くなるように制御する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記オプション機器の接続時における前記圧縮機の回転数の変化として加速度を制限する電流の加速度閾値を、前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記圧縮機の加速度を制限する電流の加速度閾値より低くなるように制御する、請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記室外機の最大電流と前記オプション機器の接続時における前記室外機の最大電流との差は、前記オプション機器が消費する最大電流以上である、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記室外機の最大電流と前記オプション機器の接続時における前記室外機の最大電流との差は、前記オプション機器が消費する最大電流より大きい、請求項6に記載の空気調和装置。
【請求項8】
少なくとも前記室内機を操作するためのリモートコントローラを備え、
前記室内機に前記オプション機器が接続されている状態から前記室内機に前記オプション機器が接続されていない状態に切り替わると、前記室内機の表示部又は前記リモートコントローラにエラーを表示する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記室内機に前記オプション機器が接続されている状態から前記室内機に前記オプション機器が接続されていない状態に切り替わっても、前記室内機への前記オプション機器の接続時における
前記室外機の最大電流の値を維持する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項10】
少なくとも前記室内機を操作するためのリモートコントローラを備え、
前記リモートコントローラに所定の操作が行われると、
前記室外機の最大電流を初期設定時の値に戻す、請求項9に記載の空気調和装置。
【請求項11】
前記室内機が商用電源に接続され、
前記室内機に前記オプション機器が接続される場合、前記室外機は、前記室内機から前記オプション機器を介して電流の供給を受ける、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項12】
前記室内機が商用電源に接続され、
前記室内機に前記オプション機器が接続される場合、前記室外機は、前記室内機から前記オプション機器とは別個に電流の供給を受ける、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項13】
室内機と室外機とを備え
、前記室内機又は前記室外機のみがコンセントに接続される空気調和装置と、前記室内機又は前記室外機に電気的に接続されるオプション機器とを含む空気調和システムであって、
前記空気調和装置が、
前記室内機への前記オプション機器の接続時における
前記空気調和装置および該オプション機器の合計の最大電流が、前記コンセントの上限電流を超えないように、前記室内機への前記オプション機器の接続時における前記室外機の最大電流を、前記室内機への前記オプション機器の非接続時又は初期設定時における前記室外機の最大電流より低くなるように制御する制御手段を含む、空気調和システム。
【請求項14】
少なくとも前記室内機又は前記オプション機器を操作するためのリモートコントローラを備え、
前記室内機に前記オプション機器が接続されている状態から前記室内機に前記オプション機器が接続されていない状態に切り替わっても、前記室内機への前記オプション機器の接続時における前記室外機の最大電流の値を維持し、
前記リモートコントローラに所定の操作が行われると、前記室外機の最大電流を初期設定時の値に戻す、請求項13に記載の空気調和システム。
【請求項15】
少なくとも前記室内機又は前記オプション機器を操作するためのリモートコントローラを備え、
前記室内機に前記オプション機器が接続されている状態から前記室内機に前記オプション機器が接続されていない状態に切り替わると、前記室内機の表示部もしくは前記オプション機器の表示部又は前記リモートコントローラにエラーを表示する、請求項13に記載の空気調和システム。
【請求項16】
室内機と室外機とを備え
、前記室内機又は前記室外機のみがコンセントに接続される空気調和装置であって、
前記室内機への換気装置の接続時における
前記空気調和装置および該換気装置の合計の最大電流が、前記コンセントの上限電流を超えないように、前記室内機への前記換気装置の接続時における前記室外機の最大電流を、前記室内機への前記換気装置の非接続時又は初期設定時における前記室外機の最大電流より低くなるように制御する制御手段を含む、空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置および空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置に加湿装置等の追加の機器(オプション機器)を接続する技術が提案されている。空気調和装置にオプション機器を接続した場合、オプション機器へも電源を供給する必要があるため、空気調和装置にオプション機器を接続したシステムが消費する電流が増加する。
【0003】
特許文献1には、システムが消費する電流を定格値に収めることを目的として、加湿ユニットの加湿運転開始に際し、最大電流を通常より低い値に降下設定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、オプション機器の電源をONにした際に電流の上限を超えるおそれがあるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、室内機と室外機とを備える空気調和装置であって、
室内機へのオプション機器の接続時における室外機の最大電流を、室内機へのオプション機器の非接続時又は初期設定時における室外機の最大電流より低くなるように制御する制御手段を含む、空気調和装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オプション機器の電源をONにした場合であっても、電流の上限を超えることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】オプション機器の一例である換気装置を示した外観図。
【
図4】室内機にオプション機器を接続したところを示した外観図。
【
図5】室内機、室外機およびオプション機器の構成例を示した図。
【
図6】室内機、室外機およびオプション機器の電源ケーブルの接続例を示した図。
【
図7】室外機の最大電流と圧縮機の回転数との関係を示した図。
【
図8】室外機の最大電流を制限する制御の流れを示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、空気調和システムの構成例を示した図である。空気調和システムは、住宅等の室内に設置される室内機10と、室外に設置される室外機11とを含んで構成される。空気調和システムは、室内機10が設置される室内に、室内機10と無線により通信を行い、室内機10を操作するための操作装置(リモートコントローラ)12を備える。リモートコントローラ12は、室内機10に加え、後述するオプション機器13を操作する機能を備えていてもよい。
【0010】
室内機10と室外機11とは、熱媒体としての冷媒が循環する2本の配管により接続される。冷媒としては、例えばR410aやR32等のハイドロフルオロカーボンが用いられる。また、室内機10と室外機11とは、互いに通信を行うために通信ケーブル等により接続される。なお、室内機10と室外機11とは、通信ケーブル等により有線接続されることに限定されるものではなく、Wi-Fi(登録商標)等を使用して無線接続されていてもよい。さらに、室内機10と室外機11とは、商用電源を供給するコンセントが1箇所しかない場合、例えばコンセントと室内機10を電源ケーブルで接続し、室内機10から室外機11へ電源を供給することができる。なお、これに限られるものではなく、コンセントと室外機11を電源ケーブルで接続し、室外機11から室内機10へ電源を供給してもよい。
【0011】
室内機10は、リモートコントローラ12からの指示を受けて起動し、または停止する。室内機10は、起動した際、室外機11に対して起動を指令し、室内機10において設定された設定温度や測定した室温等を通知する。室内機10は、リモートコントローラ12から運転モードや設定温度等の運転条件の変更を受け付けた場合、室外機11に対して変更された運転条件も通知する。室内機10は、停止する際、室外機11に対して運転の停止を指令する。
【0012】
室内機10は、運転中、室内の空気を取り込み、取り込んだ空気と、室外機11から供給される冷媒との間で熱交換し、冷却された空気または暖められた空気を吹き出し、室内を設定温度になるように冷却または暖める。
【0013】
室外機11は、配管を介して室内機10と接続され、冷媒を循環させる。室外機11は、冷媒を圧縮し、冷媒を外気と熱交換し、冷媒の流量を調整して、室内機10へ冷媒を供給する。
【0014】
空気調和装置は、ユーザの選択により、オプション機器を追加で接続することが可能とされている。
図1に示す例では、室内機10の隣に、オプション機器13が接続されている。オプション機器13は、空気調和装置に機能を追加するために接続される機器であり、例えば換気装置、加湿装置、空気清浄機、芳香器、遠隔アダプタ等が挙げられる。遠隔アダプタは、スマートフォンやタブレット端末等の通信端末と空気調和装置との通信を中継する中継機器である。
【0015】
ここで、「オプション」とは、所定の標準仕様に対して購入者の選択で取り付けることができるという意味のほか、後付け可能という意味や、室内機10や室外機11とは別体であるという意味も含んでいる。例えば、換気装置を取り付けるか否かをユーザが選択できないような販売形態で、室内機10や室外機11とともに換気装置がセットで販売されていたとする。このような場合でも、換気装置が室内機10や室外機11とは別体であるときには、換気装置はオプション機器13であるものとする。
【0016】
換気装置をオプション機器13として接続した場合、コンセントから電源の供給を受けた室内機10から換気装置へ電源を供給し、室内機10により室内を設定温度に維持するように運転しながら室内の換気を実施することができる。加湿装置をオプション機器13として接続した場合、コンセントから電源の供給を受けた室内機10から換気装置へ電源を供給し、室内機10により室内を設定温度に維持するように運転しながら室内を所定の湿度に維持することができる。コンセントに室外機の電源プラグが接続される場合、オプション機器13へは、室外機11から電源を供給することができる。
【0017】
図2は、空気調和装置の冷媒回路を示した図である。
図2中、実線で示す矢印は、暖房運転時における冷媒の流れを示し、破線で示す矢印は、冷房運転時における冷媒の流れを示す。
【0018】
室内機10は、熱交換器20と、送風機として室内ファン21とを含む。熱交換器20は、複数の伝熱管を有し、複数の伝熱管内を流れる冷媒と、複数の伝熱管の外側を流れる室内の空気との間で熱交換を行う。室内ファン21は、モータの駆動により、室内機10の筐体内に室内の空気を取り込み、熱交換器20による熱交換後の空気を室内へ吹き出す。
【0019】
室外機11は、圧縮機30と、熱交換器31と、送風機として室外ファン32と、室外膨張弁33と、四方弁34とを含む。圧縮機30は、モータの駆動により、低温低圧の冷媒ガスを圧縮し、高温高圧の冷媒ガスとして吐出する。熱交換器31は、圧縮機30からの高温高圧の冷媒ガスまたは室内機10からの低温低圧の液冷媒と、外気との間で熱交換を行う。室外ファン32は、モータの駆動により、室外機11の筐体内に外気を取り込み、熱交換器31による熱交換後の空気を室外へ吹き出す。
【0020】
室外膨張弁33は、熱交換器31または室内機10の熱交換器20により凝縮した冷媒を減圧し、系内を循環する冷媒の量を調整する。四方弁34は、空気調和装置の運転モードに応じて、冷媒が流れる方向を切り替える弁である。
【0021】
リモートコントローラ12により空気調和装置の運転モードが暖房運転モードに設定された場合、四方弁34の切り替えにより、冷媒が、実線で示す矢印の方向へ流れる。圧縮機30で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、四方弁34を介して室内機10へ供給される。
【0022】
室内機10では、熱交換器20により高温高圧の冷媒ガスと、室内の空気との間で熱交換を行い、凝縮して高圧の液冷媒となる。室内機10は、高圧の液冷媒を室外機11へ戻す。
【0023】
室外機11へ戻された高圧の液冷媒は、室外膨張弁33により減圧される。減圧された冷媒は、液冷媒または一部がガス化し、液とガスが混在した二相流となって、熱交換器31へ送られる。熱交換器31では、冷媒と外気との間で熱交換を行い、気化して低圧低温の冷媒ガスとなる。低温低圧の冷媒ガスは、四方弁34を介して圧縮機30へ供給される。
【0024】
リモートコントローラ12により空気調和装置の運転モードが冷房運転モードに設定された場合、四方弁34の切り替えにより、冷媒が、破線で示す矢印の方向へ流れる。圧縮機30で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、四方弁34を介して熱交換器31へ供給される。
【0025】
熱交換器31では、冷媒と外気との間で熱交換を行い、凝縮して高圧の液冷媒となる。液冷媒は、室外膨張弁33により減圧される。減圧された冷媒は、液冷媒または液とガスの二相流となって、室内機10へ供給される。
【0026】
室内機10では、熱交換器20により液冷媒または二相流の冷媒と、室内の空気との間で熱交換を行い、蒸発して低圧の冷媒ガスとなる。室内機10は、低圧の冷媒ガスを室外機11へ供給する。
【0027】
室外機11へ戻された低圧の冷媒ガスは、四方弁34を介して圧縮機30へ戻される。
【0028】
図3は、オプション機器の一例である換気装置を示した外観図である。換気装置40は、背面が室内の壁に隣接して配置することができるように略平坦とされ、側面が室内機10の側面形状と同じで、ほぼ同じ大きさとされている。したがって、換気装置40は、室内機10の一方の側面に隣接して配置することができる。
【0029】
図4は、室内機10の一方の側面に隣接して換気装置40を配置したところを示した外観図である。
図4(a)は、室内機10と換気装置40を上方から見た斜視図であり、
図4(b)は、室内機10と換気装置40を下方から見た斜視図である。
【0030】
室内機10は、上面に室内の空気を吸い込む吸込口22を有する。室内機10は、正面の下側に熱交換後の空気を吹き出す吹出口を有する。吹出口には、複数の羽根であるルーバー23が設けられ、ルーバー23の角度を変更することにより、吹き出す空気の流量が調整される。
【0031】
室内機10は、筐体内の中央に室内ファン21が配置され、室内ファン21の上側を包囲するように熱交換器20が配置されている。このため、室内ファン21の回転により、吸込口22から熱交換器20を介して室内の空気を筐体内に吸い込み、ルーバー23により熱交換後の空気の流量を調整して吹出口から吹き出す。
【0032】
図5は、室内機10、室外機11およびオプション機器13の構成例を示した図である。室内機10は、
図2に示した熱交換器20、室内ファン21、吸込口22、ルーバー23のほか、室内端子台24、室内制御回路25、室内表示部26、電源プラグ27を備える。
図5では、室内端子台24、室内制御回路25、室内表示部26、電源プラグ27のみを例示する。
【0033】
室内制御回路25は、リレー50、ノイズフィルタ(NF)51、整流回路(CNV)52、スイッチング(SW)電源53、通信回路54、ホームオートメーション(HA)端子55を備える。
【0034】
リレー50は、空調運転や換気運転の停止時に室外機11や換気装置40への給電を停止し、空調運転や換気運転の開始時に室外機11や換気装置40への給電を開始するように制御する。NF51は、ケーブル等で発生する不要なノイズを除去する。CNV52は、交流電流を直流電流に変換する。SW電源53は、半導体スイッチ素子のオン時間とオフ時間の比率(DUTY比)を制御し、出力を安定させる電源装置である。
【0035】
通信回路54は、室内端子台24を介して室外機11と通信を行う。室内機10と室外機11の通信では、例えばリモートコントローラ12から受信した指示等の情報の送受信が行われる。送受信される情報は、室外機11の運転開始の指示、室外機11の運転停止の指示、温度設定変更の指示等の空調制御に係る情報である。
【0036】
ホームオートメーション端子55は、換気装置40に設けられるHA端子76とケーブルで接続され、室内機10と換気装置40との間の通信を可能にする。室内機10と換気装置40の通信では、例えばリモートコントローラ12から受信した指示等の情報の送受信が行われる。送受信される情報は、換気装置40の運転開始の指示、換気装置40の運転停止の指示等の換気制御に係る情報である。
【0037】
室内表示部26は、室内機10の運転や停止等の状態を表示する。電源プラグ27は、室内に設置されるコンセントに接続され、室内機10へ商用電源を供給する。
【0038】
室外機11は、
図2に示した圧縮機30、熱交換器31、室外ファン32、室外膨張弁33、四方弁34のほか、室外端子台35、室外制御回路36を備える。
図5では、室外端子台35と室外制御回路36のみを例示する。
【0039】
室外制御回路36は、NF60、CNV61、SW電源62、通信回路63を備える。NF60、CNV61、SW電源62については、室内機10のNF51、CNV52、SW電源53と同じ機能であるため、ここでは説明を省略する。通信回路63は、室外端子台35を介して室内機10と通信を行う。
【0040】
換気装置40は、第1端子台41、第2端子台42、換気制御回路43、表示部44、SW45、換気ファン46、ステッピング(ST)モータ47を備える。
【0041】
第1端子台41は、室内機10の室内端子台24と2本の電源ケーブルと1本の通信ケーブルで接続される。第2端子台42は、室外機11の室外端子台35と2本の電源ケーブルと1本の通信ケーブルで接続される。
【0042】
換気制御回路43は、NF70、CNV71、SW電源72、電界効果トランジスタ(FET)73、MPU(Micro Processing Unit)74、フォトカプラ75、HA端子76を備える。NF70、CNV71、SW電源72については、室内機10のNF51、CNV52、SW電源53と同じ機能であり、HA端子76については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0043】
FET73は、MPU74の下で、SW電源72から換気ファン46等へ供給する電流を制御する。MPU74は、SW電源72から電源の供給を受けて動作し、室内機10との通信やSTモータ47の回転数等を制御する。フォトカプラ75は、室内機10から送信された光信号を電気信号に変換する。
【0044】
表示部44は、LED(Light-Emitting Diode)等により構成され、換気装置40の状態を表示する。SW45は、MPU74の下で、STモータ47のON、OFFを切り替える。換気ファン46は、STモータ47により回転し、室内の空気と外気の入れ替えを実施する。
【0045】
図6は、室内機10、室外機11および換気装置40の接続例を示した図である。室内機10が備える電源プラグ27は、室内に設置されるコンセントに接続される。コンセントから供給される商用電源は、電源プラグ27および電源ケーブルを介して室内機10へ供給し、室内機10のリレー50を介して室外機11や換気装置40へ供給することができる。このため、空気調和装置の設置場所の近くにコンセントが1つしかない場合においても、室内機10の電源プラグ27を介して室外機11やオプション機器13へ電源を供給することができる。
【0046】
図6(a)は、室内機10から換気装置40を介して室外機11へ電源を供給するように接続した接続例を示し、
図6(b)は、室内機10から室外機11と換気装置40にそれぞれ電源を供給するように接続した接続例を示す。なお、これらの接続例は一例であり、室外機11に電源プラグを設け、室外機11に供給された電源を、室内機10と換気装置40に別個に供給するように接続してもよいし、室内機10を介して換気装置40へ、あるいは換気装置40を介して室内機10へ供給するように接続してもよい。
【0047】
1つのコンセントに室内機10の電源プラグ27を差し込み、室内機10が商用電源を受け、室外機11へその電源を供給する場合に、空気調和装置の電源をONにすると、空気調和装置の運転が開始される。
【0048】
各コンセントには上限電力が定められており、空気調和装置は上限電力を超えた電気がコンセントに流れることを防ぐ必要がある。オプション機器を接続可能な空気調和装置において、オプション機器が未接続の状態で最大電流値をコンセントの上限電流付近の値に設定した場合、オプション機器を接続することにより、上限電力を超えた電気がコンセントに流れる可能性がある。
【0049】
その反対に、予めオプション機器が接続されることを想定した最大電流値にしてしまうと、オプション機器が未接続の状態でも、使用する最大電流値が低減され、能力が抑えられてしまう。
【0050】
そこで、オプション機器が接続されていることを識別し、オプション機器が接続されている場合に、電流の上限値を下げることにより最大電流値を低減するように制御する構成を採用する。
【0051】
空気調和装置は、電流の大部分が室外機11の圧縮機30で消費される。圧縮機30へ供給する電流は、圧縮機30の回転数に依存する。
【0052】
図7は、室外機11が消費する電流と圧縮機30の回転数との関係を示した図である。
図7(a)は、室内機10へのオプション機器13の接続がない場合(非接続時)のグラフである。室外機11が使用する電流は、圧縮機30の回転数が上昇するにつれて増加する。空気調和装置は、圧縮機30の回転数の上限値を所定の回転数とすることで、電流の制限値を、例えば19Aとしている。
【0053】
室内機10へオプション機器13が接続された場合、
図7(b)に示すように、圧縮機30の回転数の上限値を下げることで、電流の制限値を、例えば18.5Aに下げる。ここでは、オプション機器13が消費する最大電流を0.5Aとし、オプション機器13の非接続時の制限値19Aから0.5Aを減算し、オプション機器13の接続時の制限値を18.5Aとしている。なお、
図7(a)に示したグラフと、
図7(b)に示したグラフとを比較したグラフを、
図7(c)に示す。
【0054】
このようにして、オプション機器13を接続した場合、予め最大電流を制限しておくことで、確実に最大電流を超えることを防ぐことができる。
【0055】
オプション機器13の接続時と非接続時の最大電流の差(制限幅)は、オプション機器13が消費する最大電流以上とすればよく、必ずしも制限幅をオプション機器13が消費する最大電流と等しくする必要はない。安全性を確保するためには、制限幅をオプション機器13が消費する最大電流より大きくすることが望ましい。
【0056】
一方、室内機10の最大消費電力と室外機11の最大消費電力の合計値が商用電源を供給するコンセントの上限電流よりも低い場合、コンセントの上限電流を超えない範囲内で制限幅をオプション機器13が消費する最大電流より小さい値にすることも可能である。
【0057】
また、オプション機器13の種類によって、オプション機器13が消費する最大電流は異なるので、オプション機器13の機種コード等に基づき、オプション機器13の種類によって制限幅を変えてもよい。
【0058】
室外機11には、電流を消費する機器として、圧縮機30のほか、室外ファン32がある。オプション機器13の非接続時には、室外機11の電流の制限値が高いため、圧縮機30の回転数の上限値が高い。圧縮機30を高回転数で運転する場合、冷媒の循環量が多く、室外ファン32も高回転で運転する必要がある。
【0059】
オプション機器13の接続時に、圧縮機30の回転数の上限値を下げることで、冷媒の循環量が減少し、室外ファン32の回転数を低減することができる。このため、室外ファン32を高回転で回す必要がなくなる。
【0060】
圧縮機30等のモータを動力とする機器は、運転電流が定格値を超えた場合にモータを保護するために運転を停止するように構成されている。機器が運転を停止する電流値は、停止閾値である。停止閾値によれば、電流が制限値を超えることを防ぐことができ、電子部品へ過電流が流れ、電子部品が壊れるのを防ぐことができる。圧縮機30を停止する電流の停止閾値は電子部品の保護を目的とする閾値であることから、室内機10へのオプション機器13の接続時と非接続時とで停止閾値は変更せず、室外機11の電流の制限値のみを変更する。
【0061】
圧縮機30の回転数は、モータの単位時間当たりに回転する回数(速さ)であり、回転数の変化が加速度となる。回転数の急激な変化は、回転数の上限値へ急激に向かうことになり、上限値近くでは急停止させたとしてもオーバーランして上限値を超えてしまう可能性がある。
【0062】
そこで、圧縮機30の回転数についても、回転数の変化である加速度を制限する加速度閾値を設けることができる。
【0063】
オプション機器13の接続時において電流の制限値を、非接続時より低く制御するため、接続時は電流の上限値が低くなることから、上限値に達しやすくなる。このため、加速度閾値は、オプション機器13の接続時と非接続時とで変更し、接続時には非接続時より加速度閾値を下げることができる。
【0064】
図8は、室外機11の最大電流を制限する制御の流れを示したフローチャートである。リモートコントローラ12は、ユーザによる空調運転開始ボタンが押下されたことを受けて、室内機10へ運転開始を指示する。室内機10では、リモートコントローラ12からの運転開始の指示を受けて、室内制御回路25が室内機10の制御を開始し、室外機11に対して運転開始を指示する。室外機11は、室内機10からの運転開始の指示を受けて、室外制御回路36が、ステップ100から室外機11の制御を開始する。
【0065】
ステップ101では、室内制御回路25は、室内機10にオプション機器13が接続されているか否かを判断する。室内機10にオプション機器13が接続されているか否かは、室内制御回路25が問合せを行い、応答があるか否かにより、また、室内機10から電流を供給し、オプション機器13から電流が戻されるか否かにより判断することができる。すなわち、オプション機器13が接続されている場合、オプション機器13は、MPU等により応答を返すことが可能であり、室内機10から供給された電流を変換して使用するため、変換された電流が戻される。
【0066】
室内機10にオプション機器13が接続されているか否かは、オプション機器13を接続したときに、オプション機器13を接続したことを設定することができ、その設定の有無により判断してもよい。なお、これらの方法は一例であり、オプション機器13の接続の有無を判断する方法はこれらの方法に限定されるものではない。オプション機器13に電気が供給されていれば、オプション機器13の接続の有無を判断することができるので、例えば、空調運転開始時やオプション機器13の単独運転開始時に判断する方法等が考えられる。
【0067】
ここで、オプション機器13を接続したことが設定されている状態において、オプション機器13からの応答がない場合、設定値をオプション機器13の接続から非接続に切り替えず、室内機10の室内表示部26又はオプション機器13の表示部44にエラーを表示する。オプション機器13が故障したことでオプション機器13からの応答がない可能性があることから、エラー表示により、オプション機器13が故障した状態で運転を継続することを防ぐことができる。室内機10のリモートコントローラ12又はオプション機器13を操作するためのリモートコントローラ12にエラーを表示させてよい。これらのリモートコントローラ12にはインターネット通信による操作機器も含まれることとする。
【0068】
一方、オプション機器13を取り外したことでオプション機器13からの応答がない可能性もある。そこで、リモートコントローラ12又はオプション機器13を操作するためのリモートコントローラ12の操作によってエラー表示を解除し、設定値をオプション機器13の接続から非接続に切り替えるようにしてもよい。
【0069】
ステップ101でオプション機器13が接続されていると判断した場合、ステップ102へ進み、室外制御回路36は、室内制御回路25からオプション機器13が接続されていることの通知を受けて、室外機11の最大電流値を制限する。室外機11の最大電流値は、室外機11が備える圧縮機30の回転数の上限値を下げることにより制限することができる。具体的には、上限値の設定値を、例えば19Aから18.5Aに下げる。最大電流値は、オプション機器13の最大電流値分だけ下げることができる。
【0070】
ステップ101でオプション機器13が接続されていないと判断した場合、またはステップ102で室外機11の最大電流値を制限した後、ステップ103へ進み、この制御を終了する。
【0071】
また、室内機10で最大電流値の制限情報を保持し、運転開始毎に室外機11に信号を送ってもよいし、室外機11で最大電流値の制限情報を保持してもよい。
【0072】
これまで本発明の空気調和装置および空気調和システムについて上述した実施形態をもって詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0073】
上記の実施形態では、オプション機器13の接続から非接続に切り替わった際に室外機11の最大電流を19Aに戻すことを前提として説明したが、最大電流を19Aに戻さないようにしてもよい。また、上述した通り、オプション機器13の接続から非接続への切り替えを検出した後、リモートコントローラ12またはオプション機器13の操作によって19Aに戻すようにしてもよい。室内機10へのオプション機器13の非接続時を基準とする代わりに、室外機11の初期設定時の値を基準としてもよい。例えば、オプション機器13が消費する最大電流を0.5Aとする場合、初期設定時における室外機11の制限値19Aから0.5Aを減算し、オプション機器13の接続時の制限値を18.5Aとしてもよい。初期設定時の値とは、例えば、空気調和装置の製造時又は初回の据付時に設定される値である。
【符号の説明】
【0074】
10…室内機
11…室外機
12…リモートコントローラ
13…オプション機器
20…熱交換器
21…室内ファン
22…吸込口
23…ルーバー
24…室内端子台
25…室内制御回路
26…室内表示部
27…電源プラグ
30…圧縮機
31…熱交換器
32…室外ファン
33…室外膨張弁
34…四方弁
35…室外端子台
36…室外制御回路
40…換気装置
41…第1端子台
42…第2端子台
43…換気制御回路
44…表示部
45…SW
46…換気ファン
47…STモータ
50…リレー
51…NF
52…CNV
53…SW電源
54…通信回路
55…HA端子
60…NF
61…CNV
62…SW電源
63…通信回路
70…NF
71…CNV
72…SW電源
73…FET
74…MPU
75…フォトカプラ
76…HA端子
【要約】
空調単独運転中にオプション機器の電源をONにした場合であっても、電流の上限を超えることを確実に防止できる装置およびシステムを提供する。空気調和装置は、室内機10と室外機11とを備え、室内機10へのオプション機器13の接続時における室外機11の最大電流を、室内機10へのオプション機器13の非接続時又は初期設定時における室外機11の最大電流より低くなるように制御する室外制御回路36を含む。
【選択図】
図5