(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシート及び自転車
(51)【国際特許分類】
B62J 1/00 20060101AFI20230130BHJP
B62J 27/10 20200101ALI20230130BHJP
【FI】
B62J1/00 D
B62J27/10
(21)【出願番号】P 2018208641
(22)【出願日】2018-11-06
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 美穂
(72)【発明者】
【氏名】山口 勲
(72)【発明者】
【氏名】小川 満
(72)【発明者】
【氏名】三好 武博
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0140997(US,A1)
【文献】特開2009-067125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210254(US,A1)
【文献】特開2017-190116(JP,A)
【文献】特開2012-025229(JP,A)
【文献】特開2001-097090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00,1/14-1/16,27/00-27/30
B60N 2/00-2/90
B60R 22/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドルに取り付けられる自転車用チャイルドシートであって、
座板と前記座板の上側に配置されたシートクッション部材とを含む座部と、前記座部の後側で立設されたバック部とを含むシート本体と、
前記バック部に形成された一対のベルト孔から前記座部側である前側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に着座した子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、
前記座部の左右方向中央部から上側に延び、バックルを介して前記左右一対の肩ベルトと連結可能な股ベルトと、
前記子供の体格に応じて前記左右一対の肩ベルトの長さを調節可能にする調節装置とを備え、
前記座板の左右方向中央部に、前記シート本体を前記自転車のハンドルに取り付けるための締結部材がその頭部を上側にして挿通される締結部材挿通孔が形成されており、
前記調節装置は、一端部が前記バック部の後側で前記左右一対の肩ベルトの両方に結合された調節ベルトを有し、
前記調節ベルトは、前記バック部の後側を通って下側に延びた後、前記座部の左右方向中央部において前記シートクッション部材の下側でかつ前記締結部材挿通孔の上側を通って、前記調節ベルトの他端部が前記シートクッション部材の前側に露出するように前側に延びており、
前記座板には、前記締結部材によって前記シート本体が前記自転車のハンドルに取り付けられた状態において、前記調節ベルトが前記締結部材の頭部に接触しないように、前記調節ベルトの高さ位置を高くする突出部、及び、前記締結部材の頭部の高さ位置を低くする凹
部が形成されて
おり、
前記凹部の深さは、前記締結部材の頭部よりも深く、
前記突出部は、前記凹部内に設けられており、
前記突出部の突出端は、前記締結部材の頭部よりも上側に位置することを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項2】
自転車のハンドルに取り付けられる自転車用チャイルドシートであって、
座板と前記座板の上側に配置されたシートクッション部材とを含む座部と、前記座部の後側で立設されたバック部とを含むシート本体と、
前記バック部に形成された一対のベルト孔から前記座部側である前側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に着座した子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、
前記座部の左右方向中央部から上側に延び、バックルを介して前記左右一対の肩ベルトと連結可能な股ベルトと、
前記子供の体格に応じて前記左右一対の肩ベルトの長さを調節可能にする調節装置とを備え、
前記座板の左右方向中央部に、前記シート本体を前記自転車のハンドルに取り付けるための締結部材がその頭部を上側にして挿通される締結部材挿通孔が形成されており、
前記調節装置は、一端部が前記バック部の後側で前記左右一対の肩ベルトの両方に結合された調節ベルトを有し、
前記調節ベルトは、前記バック部の後側を通って下側に延びた後、前記座部の左右方向中央部において前記シートクッション部材の下側でかつ前記締結部材挿通孔の上側を通って、前記調節ベルトの他端部が前記シートクッション部材の前側に露出するように前側に延びており、
前記座板には、前記締結部材によって前記シート本体が前記自転車のハンドルに取り付けられた状態において、前記調節ベルトが前記締結部材の頭部に接触しないように、前記調節ベルトの高さ位置を高くする突出部、及び、前記締結部材の頭部の高さ位置を低くする凹部の少なくとも一方が形成されており、
前記調節ベルトの前記他端部に、前記他端部を前記股ベルトに対して着脱可能に取り付けるための取付部材が設けられていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項3】
請求項2記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記取付部材は、前記取付部材が前記股ベルトに取り付けられている状態で、前記調節ベルトを介して前記取付部材に所定値以上の引張力が作用したときに、前記股ベルトから外れるように構成されていることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記調節装置は、前記調節ベルトの前側への移動を許容しかつ後側への移動を規制する移動許容/規制部材を更に有していることを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項5】
請求項4記載の自転車用チャイルドシートにおいて、
前記移動許容/規制部材は、後側への移動の規制を解除するための操作部を含むことを特徴とする自転車用チャイルドシート。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の自転車用チャイルドシートを備えた自転車であって、
前記自転車用チャイルドシートの前記シート本体が、前記締結部材によって前記自転車のハンドルに取り付けられていることを特徴とする自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用チャイルドシート及び自転車に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自転車のハンドルに取り付けられる自転車用チャイルドシート(以下、チャイルドシートという)が知られている。このチャイルドシートは、座部とバック部(背凭れ部)とを含むシート本体を備え、このシート本体が、座部の左右方向中央部において、ネジによって、ハンドル(特にハンドルステム)に取り付けられる。
【0003】
また、チャイルドシートの中には、座部に着座した子供の両肩を拘束する左右一対の肩ベルトを備えたものがある。例えば特許文献1に記載の自転車用幼児座席装置(チャイルドシート)は、5点式のシートベルトを備える。このシートベルトは、幼児(子供)の腹部を左右から拘束する2本の腹部ベルトと、幼児の両肩をそれぞれ拘束する2本のショルダーベルト(肩ベルト)と、座席本体の底面に取り付けられ、2本の腹部ベルト及び2本のショルダーベルトを固定するバックルが設けられた底面ベルト(股ベルト)とを含んでいる。2本のショルダーベルトは、座席本体の座部に着座した幼児の背中が当接する背カバーに取り付けられている。
【0004】
さらに、左右一対の肩ベルトを備えたチャイルドシートにおいては、通常、幼児の拘束を確実にするために、幼児の体格に応じて左右一対の肩ベルトの長さを調整可能にする調節装置が設けられる。特許文献1では、調節装置として、左右一対の肩ベルトのそれぞれに長さ調節用バックルが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような調節装置では、左右一対の肩ベルトのそれぞれに設けられた長さ調節用バックルによって、左右別々に肩ベルトの長さを調節する必要があり、調節作業が面倒になる。
【0007】
そこで、シート本体のバック部の後側で、左右一対の肩ベルトを互いに結合しておいて、バック部の後側で左右一対の肩ベルトの長さを同時に調節できるようにする構成が考えられる。しかし、この場合も、調節作業が面倒になる。すなわち、チャイルドシートのユーザ(主に自転車の乗員)は、通常、子供を抱き上げてチャイルドシートにその前側から着座させる。このため、ユーザは、子供をチャイルドシートに着座させた後、肩ベルトの長さ調節のためにチャイルドシートの後側に移動する必要があるとともに、完全に調節されたか否かをチャイルドシートの前側から確認する必要がある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、左右一対の肩ベルトの長さ調節を容易に行うことができる自転車用チャイルドシート及び自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明では、自転車のハンドルに取り付けられる自転車
用チャイルドシートを対象として、座板と前記座板の上側に配置されたシートクッション部材とを含む座部と、前記座部の後側で立設されたバック部とを含むシート本体と、前記バック部に形成された一対のベルト孔から前記座部側である前側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に着座した子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、前記座部の左右方向中央部から上側に延び、バックルを介して前記左右一対の肩ベルトと連結可能な股ベルトと、前記子供の体格に応じて前記左右一対の肩ベルトの長さを調節可能にする調節装置とを備え、前記座板の左右方向中央部に、前記シート本体を前記自転車のハンドルに取り付けるための締結部材がその頭部を上側にして挿通される締結部材挿通孔が形成されており、前記調節装置は、一端部が前記バック部の後側で前記左右一対の肩ベルトの両方に結合された調節ベルトを有し、前記調節ベルトは、前記バック部の後側を通って下側に延びた後、前記座部の左右方向中央部において前記シートクッション部材の下側でかつ前記締結部材挿通孔の上側を通って、前記調節ベルトの他端部が前記シートクッション部材の前側に露出するように前側に延びており、前記座板には、前記締結部材によって前記シート本体が前記自転車のハンドルに取り付けられた状態において、前記調節ベルトが前記締結部材の頭部に接触しないように、前記調節ベルトの高さ位置を高くする突出部、及び、前記締結部材の頭部の高さ位置を低くする凹部が形成されており、前記凹部の深さは、前記締結部材の頭部よりも深く、前記突出部は、前記凹部内に設けられており、前記突出部の突出端は、前記締結部材の頭部よりも上側に位置する、という構成とした。
【0010】
前記の構成により、自転車用チャイルドシートのユーザ(自転車の乗員)は、シートクッション部材の前側に露出した調節ベルトの他端部を持って調整ベルトを前後に移動させることで、左右一対の肩ベルトの長さ調節を容易に行うことができるようになる。
【0011】
ここで、調節ベルトは、座部の左右方向中央部においてシートクッション部材の下側でかつ締結部材挿通孔の上側を通る。このため、締結部材によってシート本体が自転車のハンドルに取り付けられた状態において、調節ベルトの前後方向の移動時に、調節ベルトが締結部材(ネジ、ボルト等)の頭部に擦れて、調節ベルトが傷み易くなるという問題がある。すなわち、締結部材の頭部は、工具との係合によりバリ等といった微少突起が生じ易く、この微少突起により調節ベルトが傷み易くなる。
【0012】
しかし、本発明では、座板に、調節ベルトが締結部材の頭部に接触しないように、調節ベルトの高さ位置を高くする突出部、及び/又は、締結部材の頭部の高さ位置を低くする凹部が形成されているので、調節ベルトの前後方向の移動時に、調節ベルトが締結部材の頭部に擦れるのを防止することができ、よって、締結部材の頭部による調節ベルトの損傷を防止することができる。
【0013】
本発明の他の態様では、自転車のハンドルに取り付けられる自転車用チャイルドシートを対象として、座板と前記座板の上側に配置されたシートクッション部材とを含む座部と、前記座部の後側で立設されたバック部とを含むシート本体と、前記バック部に形成された一対のベルト孔から前記座部側である前側に向かってそれぞれ露出し、前記座部に着座した子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルトと、前記座部の左右方向中央部から上側に延び、バックルを介して前記左右一対の肩ベルトと連結可能な股ベルトと、前記子供の体格に応じて前記左右一対の肩ベルトの長さを調節可能にする調節装置とを備え、前記座板の左右方向中央部に、前記シート本体を前記自転車のハンドルに取り付けるための締結部材がその頭部を上側にして挿通される締結部材挿通孔が形成されており、前記調節装置は、一端部が前記バック部の後側で前記左右一対の肩ベルトの両方に結合された調節ベルトを有し、前記調節ベルトは、前記バック部の後側を通って下側に延びた後、前記座部の左右方向中央部において前記シートクッション部材の下側でかつ前記締結部材挿通孔の上側を通って、前記調節ベルトの他端部が前記シートクッション部材の前側に露出するように前側に延びており、前記座板には、前記締結部材によって前記シート本体が前記自転車のハンドルに取り付けられた状態において、前記調節ベルトが前記締結部材の頭部に接触しないように、前記調節ベルトの高さ位置を高くする突出部、及び、前記締結部材の頭部の高さ位置を低くする凹部の少なくとも一方が形成されており、前記調節ベルトの前記他端部に、前記他端部を前記股ベルトに対して着脱可能に取り付けるための取付部材が設けられている、という構成とした。
【0014】
このことにより、調節ベルトによる肩ベルトの長さ調節後に、調節ベルトの他端部及びその近傍部が垂れ下がって邪魔になるのを防止することができる。
【0015】
特に、前記取付部材は、前記取付部材が前記股ベルトに取り付けられている状態で、前記調節ベルトを介して前記取付部材に所定値以上の引張力が作用したときに、前記股ベルトから外れるように構成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、取付部材が股ベルトに取り付けられた状態にあるときに、自転車用チャイルドシートのユーザが子供を自転車用チャイルドシートから降ろしたり乗せたりしようとする際に、万一、その子供の足が調節ベルトに引っ掛かったとしても、調節ベルトを介して取付部材に所定値以上の引張力が作用して、取付部材が股ベルトから外れるので、子供を自転車用チャイルドシートから降ろしたり乗せたりすることがスムーズにできるようになる。
【0017】
前記自転車用チャイルドシートにおいて、前記調節装置は、前記調節ベルトの前側への移動を許容しかつ後側への移動を規制する移動許容/規制部材を更に有している、ことが好ましい。
【0018】
このことで、ユーザは、調節ベルトの他端部を前側に引っ張るだけで、肩ベルトの弛みがなくなるように肩ベルトの長さ調節を行うことができ、肩ベルトの長さ調節をより一層容易に行うことができる。
【0019】
前記調節装置が前記移動許容/規制部材を有する場合、前記移動許容/規制部材は、後側への移動の規制を解除するための操作部を含む、ことが好ましい。
【0020】
これにより、ユーザは、調節ベルトの他端部を前側に引っ張り過ぎても、操作部の操作により、調節ベルトを後側に容易に戻すことができる。
【0021】
本発明の別の態様では、前記自転車用チャイルドシートを備えた自転車を対象として、前記自転車用チャイルドシートの前記シート本体が、前記締結部材によって前記自転車のハンドルに取り付けられているものとする。
【0022】
この構成により、前記自転車用チャイルドシートと同様に、左右一対の肩ベルトの長さ調節を容易に行うことができるとともに、調節ベルトの前後方向の移動時に、調節ベルトが締結部材の頭部に擦れるのを防止して、締結部材の頭部による調節ベルトの損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明の自転車用チャイルドシート及び自転車によると、左右一対の肩ベルトの長さ調節を容易に行うことができるとともに、調節ベルトの前後方向の移動時に、調節ベルトが締結部材の頭部に擦れるのを防止して、締結部材の頭部による調節ベルトの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】例示的な実施形態に係る自転車用チャイルドシートを備えた自転車を示す側面図である。
【
図2】自転車用チャイルドシートを斜め後側から見た斜視図である。
【
図3】自転車用チャイルドシートを前側かつ上側から見た斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿って切断した断面図である。
【
図5】左右一対の肩ベルトと調節ベルトとの結合関係を示す、自転車用チャイルドシートの後側から見た概略図である。
【
図6】自転車用チャイルドシートの前側から見た、バック部における肩ベルト孔の周辺を拡大した拡大図であって、肩ベルトカバーが装着されていない状態を示す。
【
図8】調節装置の移動許容/規制部材の周辺を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、例示的な実施形態に係る自転車用チャイルドシート(以下、単にチャイルドシートという)10が設けられた自転車100を示す。以下の説明では、自転車100の進行側及び後退側をそれぞれ単に前側及び後側という。また、自転車100を後側から見たときの左側及び右側をそれぞれ単に左側及び右側という。チャイルドシート10については、チャイルドシート10に着座した子供が向く側が前側であり、その反対側が後側である。また、その着座した子供の左側及び右側がそれぞれチャイルドシート10の左側及び右側である。本実施形態では、チャイルドシート10は、チャイルドシート10の前側、後側、左側、右側、上側及び下側がそれぞれ、自転車100の前側、後側、左側、右側、上側及び下側となるように、自転車100に設けられている。したがって、以下の説明で、例えば単に前側という場合、自転車100の前側でもあり、チャイルドシート10の前側でもある。
【0027】
本実施形態において、自転車100は電動アシスト自転車である。自転車100は、車体102と、前輪103と、後輪104と、駆動機構105と、電気コンポーネント106とを備える。車体102の前後方向中央からは上側に向かってシートチューブ121が延びている。シートチューブ121には、シートポスト122を介してサドル123が取り付けられている。電気コンポーネント106は、シートチューブ121の後側に取り付けられている。シートチューブ121の上側端部からは、シートステー124が後側に向かって下側に傾斜して延びている。シートステー124における後輪104よりも上側の部分には、荷台125が取り付けられている。車体102の前側端部には、ハンドルポスト126を介して、ハンドル107が設けられている。
【0028】
ハンドル107は、ハンドルポスト126に取り付けられるハンドルステム171と、ハンドルステム171に支持され水平方向に延びる水平部175と、水平部175の長手方向の両側端部からそれぞれ上側に向かって延びる左右一対の立設部172とを有する。各立設部172の上側端部には、後側に向かって湾曲する湾曲部173がそれぞれ形成され、各湾曲部173の後側端部に、自転車100の乗員が握るグリップ174がそれぞれ設けられている。尚、
図1及び
図2において、左側の立設部172及び湾曲部173は、チャイルドシート10と重なって見えていない。
【0029】
図1及び
図2に示すように、チャイルドシート10は、サドル123よりも前側において、ハンドルステム171の上側でかつ2つの立設部172の間の位置に配設されている。詳しくは後述するが、本実施形態では、チャイルドシート10は、ハンドル107(詳細には、ハンドルステム171及び左右の立壁部172)に取付固定されている。
【0030】
図3及び
図4は、チャイルドシート10の構成を示す。尚、
図4では、図面の簡略化のため、
図3等に示す後述の肩ベルトカバー80やチェストクリップ49等のような一部の部材を省略して記載している。
【0031】
図4に示すように、チャイルドシート10は、シート本体11を有する。シート本体11は、子供が着座する座部20と、座部20の後側で立設され、座部20に着座した子供の背中(本実施形態では、背中及び頭部)を支持するバック部30と、座部20に着座した子供の足を収容する足載せ部14と、座部20及びバック部30の左右方向の両端部に設けられた左右の側壁部15とを有する。以下の説明において、座部20、バック部30、足載せ部14、及び両側壁部15で囲まれた領域を、内側領域又は内側という。
【0032】
座部20は、座板12と、座板12の上側に配置されかつ座板12に着脱自在に取り付けられるシートクッション部材21とを有する。シートクッション部材21は、エチレンビニルアセテート(以下、省略してEVAという)からなるクッション部材である。
図4に示すように、座板12は、前後方向の中央部に、下側に凹んだ凹部22を有する。図示は省略するが、凹部22は、左右方向において、座板12の中央部(座部20の中央部)に位置する。凹部22の前側壁部22a及び後側壁部22bには、後述する調節ベルト43が通る貫通孔22c,22dがそれぞれ設けられている。凹部22の底部22eには、チャイルドシート10をハンドル107(詳細には、ハンドルステム171)に取り付けるためのネジ90(締結部材)がその頭部を上側にして挿通されるネジ挿通孔22f(締結部材挿通孔)が設けられている。底部22eにおけるネジ挿通孔22fに対する後側近傍部分には、上側に向かって突出するリブ23が一体的に設けられている。リブ23の上端は、後述のネジ孔91に締結されたネジ90の頭部よりも上側に位置する。
【0033】
座板12(シート本体11)は、ネジ90を介してハンドルステム171に固定されている。
図4に示すように、ハンドルステム171には、ネジ90が締結されるネジ孔91が設けられている。ネジ孔91と凹部22のネジ挿通孔22fは、上下に並ぶように配置されている。この状態で、ネジ挿通孔22fに挿通されたネジ90がネジ孔91に締結されることで、座板12(シート本体11)はハンドルステム171に対して固定される。
【0034】
バック部30は、子供の背中を支持する背凭れ部31と、該背凭れ部31の上側に位置し、子供の頭部を支持するヘッドレスト32とを有する。背凭れ部31は、背板13と、背板13に着脱自在に取り付けられるに背クッション部材33とを有する。背板13は、座板12の後側端部から上側に向かって僅かに後側に傾斜して延びる下側傾斜部13aと、下側傾斜部13aよりも上側に位置しかつ上側に向かって僅かに後側に傾斜して延びる上側傾斜部13bと、下側傾斜部13aの上側端部と上側傾斜部13bの下側端部とを連結する連結部13cとを有する。背クッション部材33は、下側傾斜部13aの内側(前側)の面に取り付けられている。背クッション部材33は、EVAからなるクッション部材である。
【0035】
ヘッドレスト32は、ヘッドレスト本体34と、ヘッドレスト本体34から背板13に沿って下側に延びるヘッドレスト支持部35とを有する。ヘッドレスト本体34は、
図3に示すように、前側に開放されたU字状をなしている。
図6に示すように、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレスト支持部35よりも左右方向に延びている。ヘッドレスト本体34の内側(前側)の部分には、ヘッドクッション部材36が設けられている。ヘッドクッション部材36は、EVAからなるクッション部材である。ヘッドクッション部材36は、左右方向の中央よりも左側寄りの部分及び右側寄りの部分に、上側に向かって凹むように切り欠かれた切欠部36aをそれぞれ有する。ヘッドレスト本体34における各切欠部36aに対応する部分において、後述する左右一対の肩ベルト41がそれぞれ設けられている。ヘッドレスト支持部35は、
図4に示すように、連結部13cを貫通して、背板13の下側傾斜部13aの後側で下側傾斜部13aに沿って下側に延びている。ヘッドレスト支持部35は、背板13の上側傾斜部13b及び連結部13cに支持されている。つまり、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレスト支持部35を介してシート本体11に支持されている。
【0036】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、ヘッドレスト本体34は、ヘッドレストカバー37により覆われている。具体的には、ヘッドレストカバー37は、
図3に示すように、ヘッドレスト本体34における前側の部分の略全体を覆う一方、
図2に示すように、ヘッドレスト本体34における後側の部分を部分的に覆っている。ヘッドレストカバー37は、ヘッドレスト本体34に対して着脱自在である。ヘッドレストカバー37は、ヘッドレスト本体34における前側の部分であって、左右方向の両側側部に対応する部分に衝撃吸収部37aをそれぞれ有する。各衝撃吸収部37aは、ウレタン等のEVAよりも柔らかい衝撃吸収材を内包している。2つの衝撃吸収部37aを連結する中間部37bは、前記衝撃吸収材が内包されておらず、布で構成されている。中間部37bには、通気性を確保するための複数の孔が設けられている。ヘッドレストカバー37の後側の縁部は、該縁部に沿って延びるゴムを内包している。
【0037】
足載せ部14は、座板12の前側端部に連続して設けられている。具体的には、
図4に示すように、足載せ部14は、座板12の前側端部から前側に向かって下側に傾斜して延びた後、前側に向かって上側に湾曲して延びている。
【0038】
左右の側壁部15は、座板12、背板13、及び足載せ部14のそれぞれの左右方向の両端から立設されていて、前後方向に連続して設けられている。座板12、背板13、足載せ部14、及び左右の側壁部15は、樹脂で一体形成されたものである。各側壁部15の内側の面において、座部20の上側に位置する部分には、サイドクッション部材15aが着脱自在にそれぞれ取り付けられている。各サイドクッション部材15aは、EVAからなるクッション部材である。
【0039】
図1及び
図2に示すように、各側壁部15の内側とは反対側(外側)の面部には、ハンドル107の各立設部172が通るガイド15bがそれぞれ設けられている。ガイド15bは、チャイルドシート10を自転車100に取り付けるときに、シート本体11を案内するガイドである。各側壁部15は、各ガイド15bに各立設部172が通った状態で、プレート92が各立設部172にそれぞれあてがわれた後、該プレート92ごとボルト93によりボルト止めされることで、各立設部172にそれぞれ固定される。
【0040】
シート本体11には、座板12の一部及び背板13の一部を後側から覆う背カバー16が取り付けられている。詳しくは後述するが、背板13と背カバー16との間には、シートベルト装置40の左右一対の肩ベルト41及び調節装置50の調節ベルト43の一部が通るベルト収容空間18が形成される。
【0041】
図3に示すように、チャイルドシート10には、座部20に着座した子供が握るグリップバー17が設けられている。グリップバー17は、左右方向に延びている。グリップバー17の左右方向の両端部は、側壁部15の上縁部にそれぞれ接続されている。
【0042】
チャイルドシート10の内側領域には、座部20に着座した子供を拘束するシートベルト装置40が設けられている。本実施形態では、シートベルト装置40は、5点式のシートベルト装置である。シートベルト装置40は、座部20に着座した子供の両肩をそれぞれ拘束する左右一対の肩ベルト41と、前記子供の腰部を拘束する左右一対の腰ベルト42と、前記子供の股間を通る股ベルト62と、バックル60とを有する。
【0043】
股ベルト62は、座部20の左右方向中央部(詳細には、座板12の左右方向中央部)に固定された下端部からシートクッション部材21を貫通して上側に延びており、股ベルト62の上端部にバックル60が取付固定されている。
【0044】
図6に示すように、左右一対の肩ベルト41は、バック部30(具体的には、ヘッドレスト本体34)に設けられた左右一対の肩ベルト孔44から内側(座部20側である前側)にそれぞれ露出している。
図3に示すように、左右の肩ベルト41の内側に露出している部分の大部分は、肩ベルトカバー80(
図3参照)によりそれぞれ覆われている。肩ベルトカバー80は、綿等の吸湿性の高い部材を内包した縫製品である。
【0045】
図3及び
図6に示すように、左側の肩ベルト41は、左側の肩ベルト孔44から下側に延びて、第1タング65のベルト挿通孔を通っている。右側の肩ベルト41は、右側の肩ベルト孔44から下側に延びて、第2タング66のベルト挿通孔を通っている。
図3及び
図4に示すように、第1タング65及び第2タング66は、バックル60に連結固定される。すなわち、股ベルト62は、バックル60を介して左右の肩ベルト41(及び左右の腰ベルト42)と連結可能に構成されている。
【0046】
左側の肩ベルト41、左側の腰ベルト42、右側の肩ベルト41、及び右側の腰ベルト42は、単一のベルト部材で構成されている。該ベルト部材の両端部は、第1及び第2タング65,66のベルト挿通孔を通った後、左右の腰ベルト孔45にそれぞれ入っている。前記ベルト部材のうち、第1タング65のベルト挿通孔と左側の腰ベルト孔45との間の部分が左側の腰ベルト42を構成する一方、第2タング66のベルト挿通孔と右側の腰ベルト孔45との間の部分が右側の腰ベルト42を構成する。前記ベルト部材の両端部は、左右の腰ベルト孔45をそれぞれ通った後は、止め具(図示省略)により座板12に対してそれぞれ固定されている。
【0047】
図4に示すように、左右の肩ベルト41の一部は、左右の肩ベルト孔44をそれぞれ通って、シート本体11と背カバー16とで覆われたベルト収容空間18(つまり、バック部30の後側)に延びている。
図5に示すように、前記ベルト部材は、重複部Tが生じるように、ベルト収容空間18内でV字状に折り曲げられており、重複部Tが左右の肩ベルト41の一端部となっている。重複部Tは、バック部30の左右方向中央部の後側に位置する。重複部Tには、左右の肩ベルト41の長さを調節するための調節ベルト43の一端部が縫い合わされている。すなわち、調節ベルト43の一端部は、左右の肩ベルト41の両方に結合されている。尚、左右の肩ベルト41は、それぞれ別のベルト部材で構成されて、互いに結合されていてもよい。この場合、左右の肩ベルト41の結合部分に、調節ベルト43の一端部が結合されればよい。
【0048】
図4に示すように、調節ベルト43は、ベルト収容空間18の左右方向中央部(バック部30の左右方向中央部の後側)を通って、下側に(厳密には、下側に向かって前側に傾斜して)延びている。調節ベルト43は、下側に延びた後に、背板13の下端部の後側ないし座板12の後側端部の下側で屈曲して前側に延びている。調節ベルト43は、座板12の凹部22における後側壁部22bの貫通孔22dを通って凹部22内に進入する。
【0049】
凹部22内において、調節ベルト43は、リブ23の上端面と接触する。これにより、ネジ90によってシート本体11が自転車100のハンドル107(ハンドルステム17)に取り付けられた状態において、調節ベルト43は、ネジ孔91に締結されたネジ90の頭部と接触しないように、ネジ90の頭部の高さ位置よりも高い高さ位置を通ることになる。すなわち、リブ23は、調節ベルト43がネジ90の頭部と接触しないように、調節ベルト43の高さ位置を高くする突出部に相当する。
【0050】
また、本実施形態では、リブ23に加えて、調節ベルト43がネジ90の頭部と接触しないように、ネジ孔91に締結されたネジ90の頭部の高さ位置を低くする凹部22が設けられている。したがって、調節ベルト43は、ネジ90の頭部と接触することなく、該頭部の上側を通って前側に延びる。
【0051】
ネジ90の頭部の上側を通って前側に延びる調節ベルト43は、前側壁部22aの貫通孔22cを通って、凹部22よりも前側に延びる。その後、調節ベルト43は、後述の移動許容/規制部材51を介して、前側に向かって延びて、調節ベルト43の他端部(重複部T側とは反対側の端部(前側端部))は、シートクッション部材21の前側に露出している。
【0052】
図7に示すように、調節ベルト43の前側端部には、股ベルト62(本実施形態では、詳細には、股ベルト62の周囲を覆う股ベルトカバー63)に対して着脱可能に取り付けるための取付部材46が設けられている。取付部材46は、調節ベルト43に対して簡易に取り付け及び取り外しが可能な市販のクリップ部材47によって、調節ベルト43の前側端部に取り付けられている。取付部材46は、雌ホック48を有する。股ベルトカバー63も、肩ベルトカバー80と同様の縫製品である。
【0053】
股ベルトカバー63の前側の部分には、雄ホック64が設けられている。取付部材46は、雄ホック64が取付部材46の雌ホック48と係合することにより、股ベルトカバー63に取付固定される。また、雄ホック64と雌ホック48との係合を解除することによって、取付部材46(調節ベルト43)が股ベルトカバー63から外れる。
【0054】
また、取付部材46は、取付部材46が股ベルト62に取り付けられている状態(雄ホック64と雌ホック48とが係合されている状態)で、調節ベルト43を介して取付部材46に所定値以上の引張力が作用したときに、股ベルト62から外れる(雄ホック64と雌ホック48との係合が解除される)ように構成されている。
【0055】
図3に示すように、バックル60は、略円柱状をなしている。バックル60における周方向の左側の略半部には、第1タング65が連結固定される一方、バックル60における周方向の右側の略半部には、第2タング66が連結固定される。バックル60の前側の中央には、第1及び第2タング65,66との連結状態を解除する解除ボタン61が設けられている。
【0056】
シートベルト装置40は、左右の肩ベルト41の途中にチェストクリップ49をそれぞれ有する。チェストリップ49は雄雌構造であり、例えば左側が雄部であり、右側が雌部である。チェストクリップ49は、座部20に着座した子供の胸部を拘束する。
【0057】
チャイルドシート10には、座部20に着座した子供の体格に応じて肩ベルト41の長さ(詳細には、内側領域に露出している部分の長さ)を調節可能にする調節装置50が設けられている。調節装置50は、調節ベルト43と、移動許容/規制部材51(
図4及び
図8参照)とを含む。
【0058】
移動許容/規制部材51は、調節ベルト43の前側への移動を許容しかつ後側への移動を規制するように構成されている。具体的には、移動許容/規制部材51は、支軸54を介して、シート本体11(座板12)に固定されたブラケット55に回動可能に支持されている。移動許容/規制部材51は、略円柱状の本体の周面上に設けられた爪部52と、該本体に一体形成されかつチャイルドシート10のユーザ(主に自転車100の乗員)によって押される押圧部53(操作部に相当)とを有する。移動許容/規制部材51は、捻りコイルバネ(図示省略)によって、爪部52が後側に向かって回動するように付勢されている。爪部52は、複数の爪によって構成されている。複数の爪は、前側に位置する爪ほど支軸54から離れるように形成されている。
【0059】
図8に仮想線で示すように、取付部材46(調節ベルト43)が股ベルトカバー63から外れた状態で、ユーザが調節ベルト43を前側に向かって引っ張ったときには、移動許容/規制部材51は、爪部52が前側に移動するように支軸54周りに回動する。これにより、爪部52が調節ベルト43に引っ掛からない状態となって、ユーザは調節ベルト43を前側に向かって引っ張ることができる。調節ベルト43が前側に引っ張られると、調節ベルト43と縫合された肩ベルト41がベルト収容空間18に向かって引っ張られる。これにより、肩ベルト41の長さを短くすることができる。
【0060】
また、ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧しない状態で、内側領域で肩ベルト41を前側又は下側に引っ張ったときには、爪部52が調節ベルト43食い込む。これにより、調節ベルト43は後側への移動が規制され、調節ベルト43と縫合された肩ベルト41は、ベルト収容空間18から内側領域に引き出されない。一方で、ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧したときには、移動許容/規制部材51は、爪部52が前側に変位するように支軸54周りに回動する。これにより、調節ベルト43は後側に移動可能となる。したがって、ユーザが押圧部53を後側に向かって押圧した状態で、内側領域で肩ベルト41を前側又は下側に引っ張ったときには、肩ベルト41は、ベルト収容空間18から引き出される。
【0061】
このように、移動許容/規制部材51は、調節ベルト43を前側に引っ張って、肩ベルト41を短くする動作については許容する一方で、肩ベルト41を介して調節ベルト43を後側に引っ張って、肩ベルト41を長くする動作については規制している。つまり、調節装置50は、座部20に子供を着座させた状態で、肩ベルト41を短くして、肩ベルト41を子供に密着させる動作については許容する一方、肩ベルト41が子供に密着した状態から、肩ベルト41が内側領域に引き出される動作については規制するようにしている。したがって、調節装置50により、座部20に着座した子供をシートベルト装置40によって適切に拘束することが容易にできるようになる。
【0062】
また、調節装置50による肩ベルト41の長さ調節後には、取付部材46(調節ベルト43)が股ベルトカバー63に取り付けられることで、調節ベルト43の前側端部及びその近傍部が垂れ下がって邪魔になるのを防止することができる。
【0063】
また、取付部材46が股ベルト62(股ベルトカバー63)に取り付けられた状態にあるときに、ユーザが子供をチャイルドシート10から降ろしたり乗せたりしようとする際に、万一、その子供の足が調節ベルト43に引っ掛かったとしても、調節ベルト43を介して取付部材46に所定値以上の引張力が作用して、取付部材46が股ベルト62(股ベルトカバー63)から外れるので、子供を自転車用チャイルドシートから降ろしたり乗せたりすることがスムーズにできるようになる。
【0064】
ここで、調節ベルト43は、座部20の左右方向中央部においてシートクッション部材21の下側でかつネジ挿通孔22fの上側を通る。すなわち、チャイルドシート10(シート本体11)は、自転車100のハンドル107に安定して取り付けられるように、左右の立壁部172だけでなく、ハンドルステム171にも取り付けられることが好ましい。この場合、ハンドルステム171にはネジ孔91を容易に設けることができるので、ネジによる取付けが好ましい。この結果、シート本体11の座板12にネジ挿通孔22fが設けられ、このネジ挿通孔22fにネジ90がその頭部を上側にして挿通され、ネジ90によってシート本体11がハンドル107(ハンドルステム171)に取り付けられた状態においては、ネジ挿通孔22fの上側にネジ90の頭部が突出していることになる。
【0065】
一方、調節ベルト43は、左右の肩ベルト41の長さを同時に調節できるようにしているので、バック部30の左右方向中央部の後側を通るとともに、座部20の左右方向中央部を通る。このため、調節ベルト43とネジ90との干渉が問題となり、ネジ90によってシート本体が自転車のハンドルに取り付けられた状態において、調節ベルト43とネジ90とが干渉しないようにするためには、調節ベルト43はネジ90の上側を通ることになる。また、調節ベルト43がシートクッション部材21の上側を通ると、調節ベルト43が着座する上で邪魔になるので、シートクッション部材21の下側でかつネジ挿通孔22fの上側を通ることになる。このため、ネジ90によってシート本体11が自転車100のハンドル107(ハンドルステム171)に取り付けられた状態において、調節ベルト43の前後方向の移動時に、調節ベルト43がネジ90の頭部に擦れて、調節ベルト43が傷み易くなるという問題がある。すなわち、ネジ90の頭部は、工具(ドライバ)との係合によりバリ等といった微少突起が生じ易く、この微少突起により調節ベルト43が傷み易くなる。また、
図4では図示を省略しているが、座板12が樹脂製である場合には、通常、座板12とネジ90の頭部との間には座金が配置される。これにより、ネジ90の頭部の高さ位置がより高くなって、調節ベルト43がネジ90の頭部に擦れ易くなる。
【0066】
しかし、本実施形態では、リブ23と凹部22とによって、調節ベルト43がネジ90の頭部と接触しないようにされているので、調節ベルト43の前後方向の移動時に、調節ベルト43がネジ90の頭部に擦れるのを防止することができ、よって、ネジ90の頭部による調節ベルト43の損傷を防止することができる。
【0067】
本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0068】
例えば、前記実施形態では、リブ23と凹部22とによって、調節ベルト43がネジ90の頭部に接触しないようにされているが、リブ23及び凹部22の一方のみによって、調節ベルト43がネジ90の頭部に接触しないようにすることも可能である。また、調節ベルト43の高さ位置を高くする突出部としては、リブ23に限られるものではなく、例えば、底部22eに取付固定した別部材で構成してもよい。
【0069】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、自転車のハンドルに取り付けられる自転車用チャイルドシート、及び、この自転車用チャイルドシートがハンドルに取り付けられる自転車に有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 自転車用チャイルドシート
11 シート本体
12 座板
20 座部
21 シートクッション部材
22 凹部
22f ネジ挿通孔(締結部材挿通孔)
23 リブ(突出部)
30 バック部
41 肩ベルト
43 調整ベルト
44 肩ベルト孔
46 取付部材
50 調節装置
51 移動許容/規制部材
53 押圧部(操作部)
62 股ベルト
90 ネジ(締結部材)
100 自転車
107 ハンドル