(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】超音波洗浄装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 19/00 20060101AFI20230130BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20230130BHJP
B06B 1/02 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
D06F19/00
B08B3/12 A
B08B3/12 Z
B06B1/02 K
(21)【出願番号】P 2018240278
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】直野 浩樹
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-068435(JP,A)
【文献】特開2002-355492(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2000-0071828(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1692195(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 19/00
B08B 3/12
B06B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を発生させる超音波発生体と、
前記超音波発生体の下方に配置され、被洗浄物が浸漬される水が溜められる貯水槽と、
前記超音波発生体が収容される外装体と、を備え、
前記外装体は、
前記超音波発生体の先端側の部分を、その先端部が露出するように覆う覆い部と、
前記覆い部の
前側面
の左右方向における中央に
、当該前側面から前方に張り出すように設けられ、被洗浄物の汚れの付着部分を、前記超音波発生体の先端面と前記貯水槽との間に案内するガイド部と、を含み
、
前記ガイド部には、前記貯水槽に近づくに従って前記超音波発生体に近づくように傾斜するガイド面が設けられる、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波洗浄装置において、
前記ガイド面は、前記ガイド部の下端部分で湾曲して水平となる、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波洗浄装置において、
前記外装体は、
前記超音波発生体の前記先端側の部分以外の部分が収容されるハウジングと、
前記覆い部と前記ガイド部とを含み、前記ハウジングに着脱可能に装着されるキャップと、を含む、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の超音波洗浄装置において、
前記超音波発生体は、超音波振動子と、当該超音波振動子に結合される振動ホーンとを含み、
前記振動ホーンは、先端側に向かうにつれて左右方向に徐々に細くなる形状を有し、
左右方向において、前記ガイド部の位置と前記
振動ホーンの先端部の位置とが一致する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の超音波洗浄装置において、
前記ガイド部の下端は、前記覆い部の下端よりも下方に位置する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項6】
洗濯物を収容して洗濯するための洗濯槽と、
前記洗濯槽内への洗濯物の投入口を有する上面板と、
前記上面板に装着された、請求項1ないし5の何れか一項に記載の超音波洗浄装置と、を備える、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置、およびかかる超音洗浄装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
上面板における洗濯物の投入口の周囲、たとえば、投入口の前側に、超音波洗浄装置が配置された洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の真上に位置する超音波発生体を有する超音波発生ユニットとを備える。
【0003】
超音波発生ユニットは、超音波発生体を収容するハウジングを含む。ハウジングは、前後方向に長く、その先端部が下方に突出するようなアーム形状を有する。ハウジングの先端部には、その先端面に開口部が形成され、この開口部から超音波発生体の先端部が貯水槽側に露出する。
【0004】
超音波発生体の先端面と貯水槽との間に、貯水槽に溜められた水に浸かるように被洗浄物の汚れの付着部分がセットされ、洗浄運転が開始される。水が浸透した汚れの付着部分に、超音発生体から発生した超音波エネルギーが作用し、汚れが剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波洗浄装置が上面板に設置された場合、ユーザは、使用の際、超音波洗浄装置を上方から見ることになりやすい。この場合、ユーザは、超音波発生体の先端面と貯水槽との間の隙間を確認しづらい。よって、このような状況において、如何にして、ユーザが超音波発生体の先端面と貯水槽との間に汚れの付着部分を容易にセットできるようにするか、ということが課題となり得る。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが超音波発生体の先端面と貯水槽との間に被洗浄物の汚れの付着部分を容易にセットでき得る超音波洗浄装置、および、かかる超音波洗浄装置を備える洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る超音波洗浄装置は、超音波を発生させる超音波発生体と、前記超音波発生体の下方に配置され、被洗浄物が浸漬される水が溜められる貯水槽と、前記超音波発生体が収容される外装体と、を備える。ここで、前記外装体は、前記超音波発生体の先端側の部分を、その先端部が露出するように覆う覆い部と、前記覆い部の前側面の左右方向における中央に、当該前側面から前方に張り出すように設けられ、被洗浄物の汚れの付着部分を、前記超音波発生体の先端面と前記貯水槽との間に案内するガイド部と、を含む。前記ガイド部には、前記貯水槽に近づくに従って前記超音波発生体に近づくように傾斜するガイド面が設けられる。
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記ガイド面は、前記ガイド部の下端部分で湾曲して水平となる。
【0009】
上記の構成によれば、ユーザは、ガイド部に案内されることにより、被洗浄物の汚れの付着部分を、超音波発生体の先端面と貯水槽との間に容易にセットすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分を、ガイド面に当てて沿わせるだけで、超音波発生体の先端面と貯水槽との間に到達させることができる。
【0012】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記外装体は、前記超音波発生体の前記先端側の部分以外の部分が収容されるハウジングと、前記覆い部と前記ガイド部とを含み、前記ハウジングに着脱可能に装着されるキャップと、を含むような構成とされ得る。
【0013】
上記の構成によれば、ユーザは、キャップを取り外すことで、超音波発生体の先端側の部分を清掃できる。
【0014】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記超音波発生体は、超音波振動子と、当該超音波振動子に結合される振動ホーンとを含み、前記振動ホーンは、先端側に向かうにつれて左右方向に徐々に細くなる形状を有し、左右方向において、前記ガイド部の位置と前記振動ホーンの先端部の位置とが一致するような構成が採られ得る。
【0015】
上記の構成によれば、ユーザは、ガイド部が目印となって、超音波発生体の位置を確認しやすい。
【0016】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記ガイド部の下端は、前記覆い部の下端よりも下方に位置するような構成が採られ得る。
【0017】
上記の構成によれば、ガイド部の下端部分により、汚れの付着部分がガイド部に案内される方向において、覆い部から露出した超音波発生体の先端部を覆うことができる。これにより、ガイド部により案内された汚れの付着部分は、超音波発生体の先端部の角部に引っ掛かりにくく、損傷等が生じにくい。
【0018】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、洗濯物を収容して洗濯するための洗濯槽と、前記洗濯槽内への洗濯物の投入口を有する上面板と、前記上面板に装着された、第1の態様に係る超音波洗浄装置と、を備える。
【0019】
上記の構成によれば、第1の態様に係る超音波洗浄装置と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが、超音波発生体の先端面と貯水槽との間に被洗浄物の汚れの付着部分を容易にセットでき得る超音波洗浄装置、および、かかる超音波洗浄装置を備える洗濯機を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置が設置される前の超音波洗浄装置および上面板の左側面部の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が待機位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図であり、
図3(b)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が運転位置にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、本体部の中央位置で切断された、超音波洗浄装置、上面板の左側面部および排水ユニットの正面断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、本体部の中央位置で切断された、超音波洗浄装置の側面断面図である。
【
図6】
図6は、超音波洗浄部の中央位置で切断された、超音波洗浄装置の要部の側面断面図である。
【
図7】
図7(a)および(b)は、実施の形態に係る、ハウジングの上部材が省略された、超音波洗浄部の正面断面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施の形態に係る、キャップの斜視図であり、
図8(b)は、実施の形態に係る、キャップの底面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施の形態に係る、貯水部の斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)のA-A´断面図である。
【
図10】
図10(a)および(b)は、実施の形態に係る、弁体切替機構および貯水部の斜視図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る、給水タンクの縦断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および貯水部が運転位置にあり且つ給水タンクが出水位置にあるときの超音波洗浄装置の周辺部の正面断面図である。
【
図13】
図13(a)ないし(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および貯水部が待機位置にあり且つ給水タンクが出水位置にあるときの超音波洗浄装置の周辺部の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の超音波洗浄装置および洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0025】
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および後述する超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0026】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、外槽20と洗濯脱水槽22とによって、本発明の洗濯槽が構成される。
【0027】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0028】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0029】
上面板12の左側面部12aには、超音波洗浄装置50が設けられる。超音波洗浄装置50では、主に、ワイシャツの袖や襟口の部分に付着した皮脂汚れ、作業着に付着した油汚れなど、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0030】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット60が配される。給水ユニット60は、給水バルブ61を有する。給水バルブ61の入水口61aは、水道栓に接続される。給水バルブ61が開放されると、水道栓からの水道水が給水路62を通じて洗濯脱水槽22内へ供給される。
【0031】
上面板12の外底面には、超音波洗浄装置50に対応する位置に、排水ユニット70が設けられる。排水ユニット70は、超音波洗浄装置50からの排水を受ける排水受け部71と、排水受け部71に接続されるホース72とを含む。ホース72は、排水口部20aに接続される。
【0032】
図2は、超音波洗浄装置50が設置される前の超音波洗浄装置50および上面板12の左側面部12aの斜視図である。
図3(a)は、超音波洗浄部100と貯水部200が待機位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図であり、
図3(b)は、超音波洗浄部100と貯水部200が運転位置にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。
【0033】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300と、給水タンク400とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。本体部300は、超音波洗浄部100を保持する。貯水部200は、超音波発生体110の下方に位置し、水が溜められる貯水槽210を有し、本体部300に装着される。貯水部200は、ユーザによる離脱操作によって、本体部300から前方へ引き出して離脱させることができる。給水タンク400は、本体部300の上部にセットされ、貯水槽210に供給される水を貯留する。なお、本実施の形態では、給水タンク400に溜められて貯水槽210に供給される水は、洗剤が含まれた水となる。以下、洗剤が含まれた水を「洗浄水」と称する。
【0034】
上面板12の左側面部12aには、超音波洗浄装置50が設置される設置部80が設けられる。設置部80は、ほぼ有底円筒状を有する装着部81と、装着部81の前方に左側面部12aを凹ませるようにして形成された収納部82とを含む。装着部81は、超音波洗浄装置50の本体部300に対応する形状に形成された収容部83を有する。収容部83の底面には、周囲よりも僅かに凹む凹部84が形成される。凹部84の底面には、円形の排水孔85が形成される。さらに、装着部81の前側の下部には、収容部83に繋がる横長の開口部86が形成される。
【0035】
超音波洗浄装置50は、本体部300が収容部83に収容されるようにして装着部81に装着され、貯水部200が開口部86を通じて装着部81の外部に張り出す。なお、本体部300は、貯水部200が取り外された状態で装着部81に装着される。装着部81に装着された本体部300に、開口部86を通じて貯水部200が装着される。
【0036】
図3(a)に示すように、超音波洗浄装置50が使用されず、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200、即ち、超音波発生体110と貯水槽210とが収納部82に収納される状態となる。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が待機位置となる。一方、
図3(b)に示すように、超音波洗浄装置50が使用され、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200とが上面板12の投入口14の内側に張り出す状態に切り替えられる。このときの超音波洗浄部100と貯水部200の位置が運転位置となる。
【0037】
次に、超音波洗浄装置50の各構成ついて詳細に説明する。
【0038】
図4は、本体部300の中央位置で切断された、超音波洗浄装置50、上面板12の左側面部12aおよび排水ユニット70の正面断面図である。
図5は、本体部300の中央位置で切断された、超音波洗浄装置50の側面断面図である。
図6は、超音波洗浄部100の中央位置で切断された、超音波洗浄装置50の要部の側面断面図である。
図7(a)および(b)は、ハウジング120の上部材150が省略された、超音波洗浄部100の正面断面図である。
図7(a)では、超音波洗浄部100が、下部材140に設けられたLED145の位置で切断されており、
図7(b)では、超音波洗浄部100が、下部材140の突起147とキャップ130の凹部134との嵌合部分で切断されている。
【0039】
図5ないし
図7(b)を参照し、超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120と、キャップ130とを備える。ハウジング120とキャップ130とにより外装体100aが構成され、この外装体100aの内部に超音波発生体110が収容される。
【0040】
超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。振動ホーン112は、導電性を有する金属材料で形成され、先端側に向かうにつれて徐々に細くなる形状を有する。振動ホーン112の先端面112aの形状は、細長い長方形状となる。超音波発生体110は、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。振動ホーン112の上端部には、フランジ部113が形成される。超音波発生体110には、フランジ部113を覆うようにクッション材114が取り付けられる。
【0041】
ハウジング120は、樹脂材料により形成され、前後方向に長く、その先端部120aが下方に屈曲するようなアーム形状を有する。先端部120aの下面には、開口部121が形成される。
【0042】
ハウジング120は、上面が開放された下部材140と、下面が開放された上部材150とを結合することにより形成される。上部材150は、本体部300を構成するケース500と一体形成される。下部材140と上部材150には、これらを結合するための下取付ボス141と上取付ボス151とが設けられる。これら下取付ボス141と上取付ボス151とがネジ161で止められる。ハウジング120の先端部120aは、下部材140により形成される。
【0043】
下部材140には、開口部121の上方に設置部142が設けられ、設置部142の前方および後方に取付ボス143が設けられる。また、下部材140には、開口部121の前方に凹部144が設けられる。凹部144は、キャップ130の受光部133に対応する形状となるように上方凹む。凹部144内には、左右にLED145が配置される(
図7(a)参照)。さらに、下部材140は、開口部121の周囲が、キャップ130が嵌め込まれる嵌込口部146となっており、嵌込口部146の左右の側面に突起147が形成される(
図7(b)参照)。
【0044】
クッション材114で覆われた超音波発生体110のフランジ部113が、ハウジング120の設置部142の上に設置される。フランジ部113の上方に、枠状の固定板170が取り付けられる。固定板170は、ネジ162により取付ボス143に固定される。フランジ部113が設置部142と固定板170との間に挟み込まれ、超音波発生体110がハウジング120内に固定される。ハウジング120の開口部121から振動ホーン112の先端側の部分が下方へ突出する。
【0045】
キャップ130は、ハウジング120の先端部120aに着脱可能に装着され、超音波発生体110の振動ホーン112におけるハウジング120から露出した部分に被せられる。
【0046】
図8(a)は、キャップ130の斜視図であり、
図8(b)は、キャップ130の底面図である。なお、
図8(b)には、便宜上、振動ホーン112の先端面112aが一点鎖線で示されている。
【0047】
図8(a)および(b)を参照し、キャップ130は、キャップ本体131と、ガイド部132と、受光部133とが、透光性を有する樹脂材料により一体形成された構成を有する。キャップ本体131は、前後左右の幅が下方に向かうに従って3段階に狭くなる筒状を有し、平面視において、ほぼトラック形状の上部131aと、ほぼ方形状の中間部131bおよび下部131cとを含む。キャップ本体131の上部131aには、左右の内側面に、ハウジング120の突起147に対応する形状の凹部134が形成される。キャップ本体131は、超音波発生体110の振動ホーン112の先端側の部分を、その先端部が露出するように覆う。キャップ本体131は、本発明の覆い部に相当する。
【0048】
ガイド部132は、キャップ本体131の前側面の左右方向における中央に、前方へ張り出すように設けられ、左右方向に扁平な形状を有する。ガイド部132の左右方向の幅は、超音波発生体110の振動ホーン112の左右方向の幅よりも少し大きくされる。ガイド部132の上部は、ハウジング120の先端部120aの外面にフィットする形状を有する。また、ガイド部132の下部には、後斜め下方向に傾斜し下端部分で湾曲して水平となるガイド面135が設けられる。さらに、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に位置する。
【0049】
受光部133は、キャップ本体131の前上端部に設けられる。受光部133は、左右方向に長尺であり、キャップ本体131の前上端部に沿うようにやや湾曲する。受光部133には、左右両側に、ハウジング120のLED145に対応する円形の穴136が形成される。
【0050】
図5ないし
図7(b)に戻り、キャップ130は、ハウジング120の嵌込口部146に下方から装着される。
図7(b)に示すように、ハウジング120の左右の突起147とキャップ130の左右の凹部134とが嵌合する。このとき、突起147は、キャップ本体131の上部131aの内側面よりも僅かに外側に出ているが、装着の際には、キャップ本体131の上部131aが、突起147に当たって左右方向に押し拡げられ、嵌込口部146に嵌め込まれる。
図7(a)のように、キャップ130の受光部133がハウジング120の凹部144に嵌め込まれ、凹部144の左右のLED145が受光部133の左右の穴136に嵌め込まれる。これにより、2つのLED145が受光部133、即ちキャップ130と接続される。左右のLED145が発光すると、その光が受光部133を通じてキャップ130の内部に導かれ、キャップ130全体が発光する。
【0051】
図6に示すように、キャップ130がハウジング120に装着された状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端部は、キャップ本体131から僅かに露出する。また、キャップ130のガイド部132の下端と振動ホーン112の先端面112aとがほぼ面一となる。さらに、ガイド部132のガイド面135は、貯水槽210に近づくに従って振動ホーン112に近づくように傾斜することになる。さらに、
図8(b)に示すように、左右方向、即ち、超音波洗浄部100の正面方向に直交する方向において、ガイド部132の位置と振動ホーン112の先端部の位置とが一致する。
【0052】
図7(a)および(b)示すようにハウジング120の先端部120aの左右の側面は、下方に向かうに従って先端部120aの幅が狭くなるように傾斜している。また、キャップ130も左右の幅が下方に向かうに従って狭くなるようテーパ形状を有している。これにより、ユーザは、通常、上面板12に設置されている超音波洗浄装置50を斜め上方から見ることになるが、その際に、超音波発生体110の振動ホーン112の先端部の位置を確認できやすいい。
【0053】
図6に示すように、超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aの位置は貯水槽210の上面の位置よりも少し低く、振動ホーン112の先端部が貯水槽210内に少し入り込んだ状態となる。
【0054】
図9(a)は、貯水部200の斜視図であり、
図9(b)は、
図9(a)のA-A´断面図である。
【0055】
図9(a)および(b)を参照し、貯水部200は、樹脂材料により形成され、前後方向に長尺であり、後部が右側に屈曲する形状を有する。また、貯水部200は、前端部および後端部が円弧状を有する。貯水部200の前部には、前後方向に長い貯水槽210が形成される。貯水槽210は、すり鉢形状を有し、その内周面が緩やかに傾斜する。貯水部200の後部には、円形の給水槽220が形成される。給水槽220は、給水溝230により貯水槽210と繋がる。貯水槽210の底面と給水溝230の底面は、給水槽220に向かって緩やかに傾斜する。
【0056】
給水槽220の底面には、中央部に排水口221が形成される。排水口221の中央部には孔部222aを有するボス222が設けられる。ボス222の両側は、2つのリブ223により排水口221の内周縁と連結される。貯水部200の外底面には、排水口221を囲む円筒状のリブ201が下方に突出するように形成される。
【0057】
給水槽220には、排水口221を通じて排水を行うための排水機構240が設けられる。排水機構240は、弁体241と、操作部材242と、コイルバネ243とを含む。
【0058】
弁体241は、ゴム等の弾性材料で形成され、下方から排水口221を閉塞する。操作部材242は、樹脂材料により形成され、天面部が塞がれた円筒状のハブ部244と、ハブ部244の天面部の表面中央から上方に突出する円柱状の突起部245と、ハブ部244の天面部の裏面中央から下方に延びる軸部246と、ハブ部244の周面部から4方向に延び出す4つのアーム部247とを含む。軸部246は、上下移動可能にボス222の孔部222aに通される。軸部246の下端部に弁体241が取り付けられる。各アーム部247は、ハブ部244の周面から外側にほぼ水平に延び出した後、ほぼ垂直に折り曲げられて上方に延び、その後さらに、ほぼ垂直に折り曲げられて外側にほぼ水平に延びる。コイルバネ243は、操作部材242のハブ部244と2つのリブ223との間に配置される。コイルバネ243は、圧縮された状態にあり、弁体241が排水口221を閉塞する方向に操作部材242を付勢する。
【0059】
図4および
図5を参照し、本体部300は、ケース500と、弁体切替機構600と、タンク切替機構700とを含む。本体部300は、上面板12に設けられた装着部81の収容部83に収容される。
【0060】
ケース500は、樹脂材料により形成され、底面部が閉塞され、天面部が開放された円筒形状を有する。ケース500の下部には、超音波洗浄部100側に挿入口501が形成される。挿入口501は、装着部81の開口部86と整合する。ケース500の内部には、挿入口501の奥方に収容室502が設けられる。収容室502は、ケース500の底面部から立ち上る周面壁503と、周面壁503の上面を覆う固定板510とで構成される。固定板510は、周面壁503に設けられた複数の取付ボス504に図示しないネジで止められる。固定板510には、中央部に円形の開口部511が設けられる。開口部511の周縁部には、互いに対向する位置に、周方向に沿って延びる2つのリブ512が設けられる。
【0061】
ケース500の底面部には、収容室502の内部に開口部505が形成される。貯水部200の給水槽220が挿入口501を通じて収容室502内に収容される。給水槽220が収容室502内に収容されると、貯水部200の外底面のリブ201が開口部505に嵌り込む。ケース500の底面部には、開口部505の周囲部分にU字状のスリット506が形成されており、開口部505を含むスリット506の内側部分は、貯水部200が収容室502に対して出し入れされる際に、リブ201に押されて下方に撓むことができる。撓んだ部分は、収容部83の凹部84内に入り込む。
【0062】
貯水部200の排水口221およびケース500の開口部505の真下に、収容部83の排水孔85が位置する。排水孔85には、排水ユニット70の排水受け部71に設けられた流入口73が接続される。
【0063】
弁体切替機構600は、ケース500の内部に配置され、超音波洗浄部100と貯水部200とが運転位置にあるときには排水機構240の弁体241が閉じた状態となり、超音波洗浄部100と貯水部200とが待機位置にあるときには弁体241が開いた状態となるように弁体241の位置を切り替える。
【0064】
図10(a)および(b)は、弁体切替機構600および貯水部200の斜視図である。
図10(a)は、貯水部200が待機位置にある状態を示し、
図10(b)は、貯水部200が運転位置にある状態を示す。
【0065】
図4、
図5、
図10(a)および(b)を参照し、弁体切替機構600は、カム部材610と、カム部材610を保持するとともに昇降させる保持部材620とを含む。カム部材610および保持部材620は、樹脂材料により形成される。
【0066】
カム部材610は、ほぼ円筒状に形成される。カム部材610は、中間部分に段差部611を有し、段差部611より下側の外径が小さくなっている。カム部材610には、段差部611よりも下側の互いに対向する位置に、2つの切欠部612が形成される。これら切欠部612が、それぞれに対応する固定板510のリブ512と係合することにより、カム部材610が固定板510に、当該固定板510に対して周方向に移動できず上下方向に移動できるよう連結される。カム部材610の上部には、外周面に、外方に突出する4つの軸613が等間隔に形成される。ケース500の収容室502内に貯水部200の給水槽220が収容された状態において、カム部材610の下端が、給水槽220に配置された操作部材242の4つのアーム部247と接触する。
【0067】
保持部材620は、ほぼ円筒状のフレーム部621を有し、フレーム部621の内部の上部に円板状の保持部622が一体形成される。フレーム部621の下部は、貯水部200が通される部分が開口する。保持部622の下面には、3か所に取付ボス623が設けられる。取付ボス623は、フレーム部621の内面に沿って下方向に延び、フレーム部621の下端部から僅かにはみ出す。
【0068】
保持部622の中央部には、円形の開口部624が形成される。保持部622の上面には、開口部624の周縁に4つの昇降部625が設けられる。カム部材610が開口部624に挿入されると、カム部材610の各軸613が昇降部625に配置される。昇降部625の上面は、カム部材610が周方向へ移動したときに軸613が上り下りできる坂道形状を有する。また、保持部622の上面には、4か所に、上方に延びる円筒状のガイド部626が設けられ、後側に、上方に突出する爪部627が設けられる。さらに、保持部622には、前側に検出孔628が設けられる。
【0069】
ケース500の底面部には、3か所に、周方向に沿うように湾曲した長円形の開口部507が形成される。保持部材620の3つの取付ボス623が、それぞれに対応する開口部507を通されて、収容部83の底面に固定される。これにより、保持部材620は装着部81に対して回動できず、超音波洗浄部100、貯水部200およびケース500が、装着部81および保持部材620に対して待機位置と運転位置との間で回動可能となる。また、カム部材610は、ケース500の固定板510に連結されているため、固定板510とともに回動する。
【0070】
超音波洗浄部100、貯水部200およびケース500の回動範囲は、ケース500の開口部507の周方向の長さによって規定される。超音波洗浄部100、貯水部200およびケース500が待機位置にあるときには、開口部507の一端が取付ボス623に接触している。超音波洗浄部100、貯水部200およびケース500が運転位置まで移動すると、開口部507の他端が取付ボス623に接触し、これ以上の回動が阻止される。
【0071】
タンク切替機構700は、ケース500の内部において、弁体切替機構600の上方に配置される。タンク切替機構700は、給水タンク400の位置を、給水タンク400から水が放出されない止水位置と給水タンク400から水が放出される出水位置との間で切り換える。ケース500内において、止水位置は出水位置よりも上方に位置する。タンク切替機構700も、弁体切替機構600と同様、装着部81に対して回動しない。
【0072】
図4および
図5を参照し、タンク切替機構700は、上受け部材710と、下受け部材720と、コイルバネ730と、ロック装置740とを含む。上受け部材710は、給水タンク400の形状に対応した円筒形状を有し、上面と下面が開口する。下受け部材720は、中央部が開口する円形の逆皿形状を有し、上受け部材710の外底面に取り付けられる。下受け部材720には、保持部材620の4つのガイド部626に挿入されるガイド孔721が設けられる。下受け部材720は、上下動する際にガイド部626にガイドされる。
【0073】
コイルバネ730は、下受け部材720とカム部材610の段差部611との間に配置される。コイルバネ730は、その弾性力により上受け部材710および下受け部材720を止水位置に押し上げる。
【0074】
ロック装置740は、下受け部材720の後側に、下向きとなるように取り付けられる。ロック装置740の真下には、保持部材620の爪部627が位置する。ロック装置740は、先端部の両側に保持片を有するロッド741と、ロッド741が出入りするハウジング742と、図示しないオルタネイト機構とを備える。
【0075】
上受け部材710および下受け部材720が、コイルバネ730の弾性力に抗して出水位置まで押し下げられると、ロック装置740のロッド741の保持片が、保持部材620の爪部627に上方から当接し、爪部627によってハウジング742の内部にロッド741が押し込まれる。爪部627が両側からロッド741の保持片により捕まえられるとともに、ロッド741がオルタネイト機構の作用によってハウジング742の内部に保持される。これにより、爪部627がロック装置740から外れなくなり、上受け部材710および下受け部材720が、出水位置にロックされる。
【0076】
この状態から、もう一度、爪部627によってロッド741が押し込まれると、オルタネイト機構の作用により保持が解除され、押込力が開放されたときにハウジング742からロッド741の先端部が突出し、ロッド741の保持片が開く。これにより、ロック装置740が爪部627から外れる。上受け部材710および下受け部材720が、コイルバネ730の弾性力により止水位置へと押し上げられる。
【0077】
下受け部材720の前側には、保持部材620の検出孔628に対応する位置に、下方に延びるセンサ取付部722が設けられる。センサ取付部722の先端には、リードスイッチ801が取り付けられる。一方、ケース500の固定板510には、磁石802が取り付けられる。リードスイッチ801と磁石802とによって検出部800が構成される。
【0078】
固定板510の磁石802は、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にあるときには保持部材620の検出孔628とずれた位置にあり、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置に移動すると、検出孔628の真下に移動する。上受け部材710および下受け部材720、即ち、給水タンク400が、出水位置まで下げられると、リードスイッチ801が検出孔628に挿入される。このとき、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にあれば、リードスイッチ801が磁石802と近接する。これにより、リードスイッチ801からオン信号が制御部16へ出力され、制御部16は、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にあり且つ給水タンク400が出水位置にあることを検出できる。
【0079】
【0080】
図11を参照して、給水タンク400は、タンク本体410と、キャップ420とを含む。タンク本体410およびキャップ420は、樹脂材料により形成される。キャップ420には、開閉弁機構430が備えられる。
【0081】
タンク本体410は、ほぼ円筒状の透明な容器であり、下面が開口する上容器411と上面が開口する下容器412とが、水封用のパッキン441を挟んでネジ方式により接合されることによって形成される。タンク本体410は、上部に段差を有し、この段差の下側で外径が小さくなっている。タンク本体410の底面部の中央には、水の出入口413が形成され、出入口413の周囲に、下方に突出するように円筒状の接続口部414が設けられる。
【0082】
キャップ420は、ネジ方式により接続口部414に取り付けられ、出入口413を覆う。キャップ420と接続口部414の間には、水封用のパッキン442が挟まれる。キャップ420の底面には、流出口421が形成される。流出口421の中央部には孔部422aを有するボス422が設けられる。ボス422の両側は、2つのリブ423により流出口421の周縁部と連結される。
【0083】
開閉弁機構430は、弁体431と、ピン432と、コイルバネ433とを含む。弁体431は、ゴム等の弾性材料で形成される。ピン432は、金属材料や樹脂材料により形成され、上下移動可能にボス422の孔部422aに通される。ピン432の上端部に弁体431が取り付けられる。ピン432の下端部は、他の部位より外径が大きくされてフランジ部432aを構成し、このフランジ部432aとボス422との間にコイルバネ433が配置される。コイルバネ433は圧縮された状態にあり、ピン432がコイルバネ433により下方に押され、弁体431が流出口421を閉塞する。
【0084】
キャップ420の外底面には、ピン432を囲むように、円筒状の放出口部424が形成される。放出口部424の出口が、給水タンク400における最終的な水の放出口401となる。
【0085】
図4に示すように、給水タンク400は、タンク切替機構700の上受け部材710に上方からセットされる。キャップ420の放出口部424が、上受け部材710の下面開口から下方に露出し、カム部材610の内部に入り込んだ状態となる。
【0086】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0087】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0088】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0089】
さらに、全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転が行われる。ユーザは、ワイシャツ等の被洗浄物を洗濯する際に、その被洗浄物が部分的に頑固な汚れを含んでいるようなとき、洗濯に先立って超音波洗浄装置50を用いた被洗浄物の部分洗浄を行う。
【0090】
洗浄運転が行われていないとき、
図3(a)に示すように、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にある状態となる。このとき、
図4に示すように、給水タンク400は、タンク切替機構700によって止水位置に保持される。弁体431は閉じており、給水タンク400からは洗浄水が放出されない。また、
図10(a)に示すように、弁体切替機構600のカム部材610は、4つの軸613がそれぞれに対応する昇降部625の最下点に位置することにより、最も下に移動している。
図4に示すように、貯水部200では、カム部材610により排水機構240の操作部材242が下方に押されて弁体241が排水口221から離れ、排水口221が開放された状態となる。
【0091】
洗浄運転を行う場合、ユーザは、給水タンク400内に洗浄水がなければ、給水タンク400を外部に取り出して逆さまにし、下容器412を開ける。ユーザは、給水タンク400内に水と液体洗剤を入れ、下容器412を閉めた後、給水タンク400を軽く揺すり液体洗剤と水とを混合させる。これにより、給水タンク400内で洗浄水が生成される。その後、ユーザは、給水タンク400を本体部300内に再び投入する。
【0092】
さらに、ユーザは、超音波洗浄部100および貯水部200を投入口14側へ回動させ、
図3(b)にように、超音波洗浄部100および貯水部200を運転位置まで移動させる。その後、ユーザは、給水タンク400を下方に押し込む。給水タンク400が下降し出水位置に到達する。給水タンク400は、タンク切替機構700により出水位置に保持される。
【0093】
図12は、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にあり且つ給水タンク400が出水位置にあるときの超音波洗浄装置50の周辺部の正面断面図である。
【0094】
図12に示すように、給水タンク400が出水位置まで下降すると、給水タンク400のピン432が操作部材242の突起部245に衝突し、コイルバネ433の押圧力に抗して押し上げられる。これにより、弁体431が流出口421から離れて流出口421が開放され、給水タンク400内の洗浄水が放出口401から放出される。このとき、
図10(b)に示すように、弁体切替機構600のカム部材610は、4つの軸613がそれぞれに対応する昇降部625の最上点に位置することにより、最も上に移動している。よって、貯水部200では、排水機構240の操作部材242が、カム部材610による押圧から解放され、コイルバネ243の弾性力により押し上げられる。これにより、弁体241が排水口221を閉塞し、排水口221が閉鎖された状態となる。
【0095】
給水タンク400から放出された洗浄水は、給水槽220で受けられ、給水溝230を通じて貯水槽210に送られる。貯水槽210内に洗浄水が溜まると、貯水槽210内の水位とともに給水槽220内の水位が上昇する。
図12の一点鎖線のように、給水槽220内の水位が給水タンク400の放出口401の高さまで上昇し、放出口401が洗浄水で塞がれると、給水タンク400内の空気圧と外部の空気圧との釣り合いにより、弁体431が開放された状態のままで、給水タンク400からの給水が停止する。
【0096】
貯水槽210内に洗浄水が溜められると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分、たとえば、ワイシャツの襟の部分を、超音波洗浄部100の正面方向から、貯水槽210上、即ち、貯水槽210と超音波発生体110の振動ホーン112との間にセットする。
【0097】
このとき、超音波洗浄部100では、キャップ130のガイド部132の位置が超音波発生体110の振動ホーン112の先端部の位置と前後方向に一致しているので、ユーザは、ガイド部132が目印となって振動ホーン112の先端部の位置を把握しやすい。一方で、ユーザは、通常、上面板12に設置された超音波洗浄装置50を斜め上から見ることになるため、超音波発生体110と貯水槽210との間の隙間を確認しづらい。
【0098】
そこで、
図6に示すように、ユーザは、襟や袖口などの汚れの付着部分を、ガイド部132のガイド面135に当て、ガイド面135に沿って下方且つ後方へと移動させ、振動ホーン112の先端面112aの位置へ到達させる。このとき、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に延びており、キャップ本体131から露出した振動ホーン112の先端部の正面を覆うようになっている。このため、ガイド部132により案内された汚れの付着部分は、振動ホーン112の先端部の角部に引っ掛かりにくく、損傷等が生じにくい。また、ガイド部132の案内によって、汚れの付着部分は、振動ホーン112の先端面112aにほぼ接触する適正な高さ位置に位置付けられ、振動ホーン112の先端面112aから離れすぎない。
【0099】
被洗浄物の汚れの付着部分が貯水槽210内に溜められた洗浄水で浸され、被洗浄物の内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン112が接触する状態となる。なお、被洗浄物が吸水することにより、貯水槽210内の水位が下がって給水槽220内の水位が下がり、給水タンク400の放出口401が洗浄水で塞がれなくなると、放出口401が再び洗浄水で塞がれるまで、給水槽220、即ち貯水槽210内に給水タンク400から洗浄水が補給される。これにより、貯水槽210内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0100】
ユーザは、洗浄運転を開始させるため、所定の開始操作を行う。
【0101】
超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にあり、且つ、給水タンク400が出水位置にある場合、この状態が検出部800により検出され、検出部800のリードスイッチ801から制御部16へオン信号が出力される。この場合、制御部16は、超音波振動子111に通電を行って超音波発生体110を作動させる。これにより、洗浄運転が開始される。
【0102】
なお、少なくとも給水タンク400が休止位置にあるか超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にある場合、即ち、給水タンク400から洗浄水が供給されないか洗浄水が供給されても排水口221から排水されてしまう場合、リードスイッチ801からはオン信号が出力されない。このため、制御部16は、超音波振動子111に通電を行わず、超音波発生体110を作動させない。よって、洗浄運転の準備が整っていない状態では、洗浄運転が開始されない。
【0103】
洗浄運転が開始され、超音波発生体110が作動すると、制御部16により超音波洗浄部100の2つのLED145が点灯される。これにより、キャップ130全体が発光する。これにより、ユーザは、超音波発生体110が作動していること、即ち、洗浄運転が行われていることを容易に把握できる。
【0104】
図13(a)ないし(c)は、超音波洗浄装置50による被洗浄物の汚れの除去について説明するための図である。
【0105】
超音波発生体110が作動すると、振動ホーン112の先端から超音波が発生し、超音波振動が振動ホーン112の周りの洗浄水を介して被洗浄物内部の洗浄水に伝わる。
図13(a)に示すように、被洗浄物の内部では、超音波振動の作用によって減圧と加圧が交互に生じ、圧力が低くなった部分に真空の空洞が生じる。即ち、被洗浄物の汚れの部分に多数の空洞が存在する状態となる。次に、
図13(b)に示すように、空洞の部分の圧力が高まり、この圧力に潰されて空洞が破壊されると、被洗浄物の汚れ部分に衝撃波が生じる。この衝撃波によって被洗浄物から汚れが分離される。
図13(c)に示すように、振動ホーン112からの超音波振動は、被洗浄物の内部から貯水槽210内への水流を生み出し、この水流によって、被洗浄物から分離された汚れが貯水槽210内に排出される。貯水槽210では、上記の水流により対流が発生するので、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなる。さらに、洗浄水に含まれる洗剤の作用によっても、被洗浄物から汚れが引き離されやすくなり、また、汚れが被洗浄物に再付着しにくくなる。このようにして、被洗浄物から汚れが除去される。
【0106】
被洗浄物の洗浄が完了すると、ユーザは、洗浄運転を終了させるため、所定の終了操作を行う。制御部16により超音波発生体110の動作が停止され、洗浄運転が終了する。
【0107】
図6で説明したように、被洗浄物の汚れの付着部分が、超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aから離れすぎないようセットされることで、振動ホーン112からの超音波振動が汚れの付着部分に効果的に作用し、汚れ落ちがよくなる。
【0108】
ユーザは、続けて新たな洗浄運転を行わない場合、指で給水タンク400を僅かに下方へ押す。給水タンク400から指が離されたとき、ロック装置740が爪部627から外れ、上受け部材710とともに給水タンク400が止水位置に移動する。ピン432が下方に移動し、弁体431により流出口421が閉鎖され、給水タンク400からの給水が行われない状態となる。
【0109】
その後、ユーザは、超音波洗浄部100および貯水部200を設置部80側へ回動させ、
図3(a)にように、超音波洗浄部100および貯水部200を待機位置まで移動させる。上述のように、待機位置では、貯水部200の排水口221が開放される(
図4参照)。これにより、貯水槽210および給水槽220に溜められた洗浄水が排水口221を通じて排水される。排水口221からの排水は、排水ユニット70の排水受け部71およびホース72を通じて外槽20の排水口部20aに排出される。
【0110】
ユーザは、洗浄運転が終了した後などに給水タンク400に残った洗浄水を廃棄したい場合がある。この場合、ユーザは、給水タンク400を本体部300から取り出して洗面台等の廃棄場所に運び、キャップ420を外して給水タンク400の洗浄水を廃棄場所へ排出できるが、このような作業は比較的面倒である。
【0111】
本実施の形態では、ユーザは、給水タンク400を本体部300から取り出すことなく、給水タンク400の洗浄水を廃棄できる。このために、ユーザは、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にある状態において、止水位置にある給水タンク400を下方に押し込み、出水位置に到達させる。
【0112】
図14は、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にあり且つ給水タンク400が出水位置にあるときの超音波洗浄装置50の周辺部の正面断面図である。
【0113】
図14に示すように、給水タンク400が出水位置まで下降すると、給水タンク400のピン432が操作部材242の突起部245に衝突し、コイルバネ433の押圧力に抗して押し上げられる。これにより、弁体431が流出口421から離れて流出口421が開放され、給水タンク400内の洗浄水が放出口401から放出される。なお、超音波洗浄部100および貯水部200が待機位置にあるときには、操作部材242がカム部材610で押し下げられているので、超音波洗浄部100および貯水部200が運転位置にあるときよりも突起部245の位置が低くなる。このため、貯水槽210への給水時と比べ、ピン432の移動量が少なくなるので、弁体431と流出口421との隙間が小さくなり、放出口401から流量は少なくなる。給水タンク400から放出された洗浄水は、給水槽220で受けられて排水口221から排出され、排水ユニット70へと流れる。
【0114】
このようにして、ユーザは、給水タンク400を本体部300から取り外すことなく、給水タンク400に残った洗浄水を廃棄できる。
【0115】
超音波洗浄部100では、洗浄運転が繰り返されているうちに、キャップ130の開口からキャップ130内に汚れが入り込み、キャップ130の内部で超音波発生体110の振動ホーン112に汚れが付着し得る。本実施の形態では、キャップ130がハウジング120に対して着脱可能であるため、ユーザは、ハウジング120からキャップ130を取り外して、振動ホーン112の清掃を行うことができる。
【0116】
また、洗浄運転が繰り返されているうちに、貯水槽210および給水槽220が汚れ得る。本実施の形態では、貯水部200が本体部300に対して着脱可能であるため、ユーザは、本体部300から貯水部200を取り外して、貯水槽210および給水槽220の洗浄を行うことができる。なお、貯水部200は、待機位置にあるときには収納部82に収納されているので、本体部300から貯水部200を取り外すことができない。よって、ユーザは、本体部300から貯水部200を取り外す際には、貯水部200を、収納部82から外れる位置、たとえば、運転位置まで移動させる。
【0117】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、超音波発生体110の振動ホーン112の先端側の部分を覆うキャップ130にガイド部132が設けられているので、ユーザは、ガイド部132に案内されることにより、被洗浄物の汚れの付着部分を、振動ホーン112の先端面112aと貯水槽210との間に容易にセットすることができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、ガイド部132には、貯水槽210に近づくに従って超音波発生体110に近づくように傾斜するガイド面135が設けられているので、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分を、ガイド面135に当てて沿わせるだけで、振動ホーン112の先端面112aと貯水槽210との間に到達させることができる。
【0119】
さらに、本実施の形態によれば、キャップ130がハウジング120に着脱可能に装着されているので、ユーザは、キャップ130を取り外すことで、超音波発生体110の振動ホーン112の先端側の部分を清掃できる。
【0120】
さらに、本実施の形態によれば、汚れの付着部分がガイド部132に案内される方向と直交する方向において、ガイド部132の位置と超音波発生体110の位置とが一致するので、ユーザは、ガイド部132が目印となって、超音波発生体110の位置を確認しやすい。
【0121】
さらに、本実施の形態によれば、ガイド部132の下端は、キャップ本体131の下端よりも下方に位置するので、ガイド部132の下端部分により、汚れの付着部分がガイド部132に案内される方向において、キャップ本体131から露出した振動ホーン112の先端部を覆うことができる。これにより、ガイド部132により案内された汚れの付着部分は、振動ホーン112の先端部の角部に引っ掛かりにくく、損傷等が生じにくい。
【0122】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0123】
たとえば、上記実施の形態では、キャップ130がハウジング120に着脱可能に装着された。しかしながら、キャップ130がハウジング120と一体形成されてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、ガイド部132の下端の位置が、振動ホーン112の先端面112aの位置とほぼ面一となるようにされた。しかしながら、ガイド部132の下端の位置は、振動ホーン112の先端面112aの位置より僅かに低くなってもよいし、僅かに高くなってもよい。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、キャップ130の受光部133に穴136が設けられ、受光部133がハウジング120の凹部144に嵌め込まれると、LED145が穴136に嵌め込まれた。しかしながら、受光部133に穴136が形成されず、LED145が受光部133の上面に接触あるいは近接するような構成とされてもよい。
【0126】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられる。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。また、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽と、外槽内に配置されるドラムとによって洗濯槽が構成される。
【0127】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
12 上面板
14 投入口
20 外槽(洗濯槽)
22 洗濯脱水槽(洗濯槽)
50 超音波洗浄装置
100 超音波洗浄部
100a 外装体
110 超音波発生体
120 ハウジング
130 キャップ
131 キャップ本体(覆い部)
132 ガイド部
135 ガイド面
210 貯水槽