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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】縁カバー
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20230130BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20230130BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G3/04 093
H02G3/04 062
F16L57/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019222035
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021093801
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504066298
【氏名又は名称】和田 勝秀
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝秀
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-088854(JP,A)
【文献】特開平07-332583(JP,A)
【文献】特開昭59-089514(JP,A)
【文献】特開2013-219979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
H02G 3/04
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の支柱のケーブル口に固定される縁カバーの取付方法であって、
前記縁カバーは、
前記ケーブル口に挿入される本体筒部と、
前記本体筒部の一端から外側に伸びる第一フランジ部と、
前記本体筒部の他端に位置するフランジ形成部とを備え、
前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入されたとき、
前記第一フランジ部前記支柱の内周面と対向する面を、前記内周面の曲面に沿った曲面状に形成して当該支柱の内周面に当接させ、
前記フランジ形成部は、前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入された後に、前記支柱の外周面と対向する面を、前記外周面の曲面に沿った曲面状第二フランジ部に形成することを特徴とする縁カバーの取付方法
【請求項2】
前記本体筒部、前記第一フランジ部及び前記フランジ形成部は、金属材料又は合成樹脂材料により構成されている請求項1に記載の縁カバーの取付方法
【請求項3】
前記フランジ形成部は、前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入し、フレア加工又はカーリング加工変形加工により第二フランジ部に形成する請求項2に記載の縁カバーの取付方法
【請求項4】
前記金属材料は、ステンレス鋼又はアルミニウム、ニッケル、銅、チタン合金の何れか若しくはその合金である請求項2又は3に記載の縁カバーの取付方法
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の縁カバーの取付方法に用いる縁カバーは、前記ケーブル口に挿入される本体筒部と、前記本体筒部の一端から外側に伸びる第一フランジ部と、前記本体筒部の他端に位置して第二フランジ部に形成されるフランジ形成部とを備える縁カバー
【請求項6】
請求項5の縁カバーが前記第一フランジ部と第二フランジ部により前記ケーブル口に固定されている支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外灯などを設置する支柱に設けられたケーブル口などの口の縁に設置される縁カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配電盤を収納したボックス等に開けられた穴から配線を引き込む場合や外部に配線を引き出す場合に、配線が損傷するのを防ぐため、電気コードの通し具が用いられており、想定される設置場所に応じて様々な工夫が施されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、学習机などの厚さにばらつきがある裏板に対応できる電気コードの通し具が提案されている。特許文献1の電気コードの通し具によれば、両端にフランジ部が形成され、一方のフランジ部の周縁が、他方のフランジ部に向けて弧状に湾曲させた断面形状に形成されており、裏板が薄いと、一方のフランジ部の周縁の撓みが少ない状態で設置されることができ、裏板が厚いと、一方のフランジ部の周縁が撓んで、両フランジ部の間隔を広げた状態で設置されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平6-9326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、商店街や公園などでは、防犯や街や公園の美化のために、上端部に放電ランプや発光ダイオード(LED)などの光源を有する灯具が設置できる支柱が建てられている。この支柱にも、灯具に繋がる電源ケーブルを支柱の内部に引き込むための引き込み口や、電源ケーブルを外部に引き出すための引き出し口などのケーブル口が形成されている。
これらのケーブル口にも、このケーブル口の縁により挿通させた電源ケーブルが損傷するのを防止するため、電気コードの通し具を設置するのが好ましい。
【0006】
しかし、ケーブル口が支柱の曲面に設けられているため、特許文献1の電気コードの通し具のように、平面に設けられたケーブル口に設置されることを想定されているものでは、設置するのが困難であり、設置できたとしても通し具とケーブル口との間に隙間ができてしまうため、美観を損なうという問題があった。
【0007】
従って本発明が解決しようとする課題は、支柱の曲面に形成されたケーブル口に容易に設置でき、美観に優れた縁カバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明の縁カバーの構成は、筒状の支柱のケーブル口に固定される縁カバーであって、前記ケーブル口に挿入される本体筒部と、前記本体筒部の一端から外側に伸びる第一フランジ部と、前記本体筒部の他端に位置するフランジ形成部とを有し、前記第一フランジ部は、前記支柱と対向する面が、前記支柱の内周面の曲面に沿った曲面状に形成され、前記フランジ形成部は、前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入された後に、前記支柱と対向する面が前記支柱の外周面の曲面に沿った曲面状に形成された第二フランジ部に形成されることを特徴とする。
【0009】
前記本体筒部、前記第一フランジ部及び前記フランジ形成部は、金属材料又は合成樹脂材料により構成されていることが好ましい。
【0010】
前記フランジ形成部は、前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入し、フレア加工やカーリング加工などの変形加工により第二フランジ部に形成したものであることが好ましい。
【0011】
前記金属材料は、ステンレス鋼又は、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン合金の何れか若しくはその合金を選択することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、第一フランジ部の支柱と対向する面が、支柱の内周面の曲面に沿った曲面状に形成されていることから、支柱の曲面に形成されたケーブル口に容易に設置でき、フランジ形成部が、前記本体筒部が前記ケーブル口に挿入された後に、支柱と対向する面が支柱の外周面の曲面に沿った曲面状に形成された第二フランジ部に形成されることから、美観に優れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例の縁カバーの正面斜視図。
図2図1の縁カバーの正面図。
図3図1の縁カバーの平面図。
図4図1の縁カバーの右側面図。
図5図1の縁カバーを製造する工程を説明するための説明図。
図6図1の縁カバーを製造する工程を説明するための他の説明図。
図7図1の縁カバーを支柱に取り付ける工程を説明するための説明図。
図8図1の縁カバーを支柱に取り付ける工程を説明するための他の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の縁カバー1は、放電ランプや発光ダイオード(LED)などの光源を有する灯具(不図示)の上部に有する金属製の筒状部材である支柱70に形成されたケーブル口71に設置される。
縁カバー1は、ケーブル口71から支柱の内部に挿入される配線コード等が、その穴の縁に直接接触して傷付くのを防ぐことができるように、ケーブル口71の縁を被覆する金属製の保護部材である。
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる縁カバー1を、図1~4を参照しながら説明する。
なお、図1において、支柱70は、縁カバー1の説明に必要なケーブル口71が設けられた一部のみを表している。
また、支柱70の長軸方向をY軸方向、ケーブル口71の中心軸方向をZ軸方向、Z軸方向とY軸方向に直交する方向をX軸方向として説明するが、これらは相対的な位置関係を示すものである。
【0016】
まず、支柱70について説明し、その後、縁カバー1について説明する。
【0017】
[支柱70]
支柱70は、図1に示すように、筒状に形成され、支柱70が設置される設置面に差し込まれる固定部と、上方に灯具を取り付けるための取付部と、内部にケーブルを収容する収容空間と、を備える。
また、支柱70は、固定部側にケーブルを外部から収容空間に引き込むための引き込み口と、取付部側に電源ケーブルを収容空間から外部に引き出すための引き出し口と、を有する。この引き込み口と引き出し口がケーブル口71に該当する。
【0018】
ケーブル口71は、支柱70の内周面側に形成された内側周縁72と、外周面側に形成された外側周縁73と、内側周縁72と外側周縁73を繋ぐ内周面74と、を有する。
【0019】
支柱70は、金属材料により構成されている。具体的には、ステンレス鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、ニッケルおよびニッケル合金、銅および銅合金、チタンおよびチタン合金などから適宜選択される金属材料を用いることができる。
【0020】
[縁カバー1]
次に、縁カバー1について、各構成要素について説明する。
縁カバー1は、図1に示すように、支柱70の内周面と当接する第一フランジ部10と、一端が第一フランジ部10と繋がる本体筒部20と、本体筒部20の他端に形成されたフランジ形成部30と、を有する。
【0021】
第一フランジ部10は、支柱70の内周面と当接して、ケーブル口71の内側周縁72を覆う部分である。
第一フランジ部10は、図2に示すように、本体筒部20のZ方向の奥側の一端から外側に伸びて、環状に形成されている。
第一フランジ部10は、図3及び図4に示すように、支柱70と対向する面が、支柱70の内周面の曲面に沿った曲面状に形成されている。つまり、図3に示すように、平面視で第一フランジ部10と本体筒部20の他端側の端との間の距離が、中央に向かって漸次短くなるように円弧状に形成されている。第一フランジ部10の曲率は、支柱70の内周面の曲率と略等しいことが好ましい。
【0022】
本体筒部20は、ケーブル口71の内周面74を覆う部分である。
本体筒部20は、外周面の直径が、内周面74の内径よりも小さくなるように形成されている。
本体筒部20は、Z軸方向の幅が、内周面74のZ軸方向の幅と等しいか、僅かに大きくなるように形成されている。
【0023】
フランジ形成部30は、筒状に形成され、その外径が本体筒部20の外径と略等しい。
フランジ形成部30は、後述する縁カバー1を支柱70のケーブル口71に固定する工程において、第二フランジ部30Bに形成される。
【0024】
第二フランジ部30Bは、ケーブル口71の外側周縁73を覆う部分である。
第二フランジ部30Bは、支柱70と対向する面が、支柱70の外周面の曲面に沿った曲面状に形成される。これにより、第二フランジ部30Bと支柱70の間に隙間ができるのを抑えることができる。
【0025】
以上の構成要素を有する縁カバー1は、金属材料により形成されている。具体的には、ステンレス鋼、アルミニウムおよびアルミニウム合金、ニッケルおよびニッケル合金、銅および銅合金、チタンおよびチタン合金などから適宜選択される金属材料を用いることができる。
縁カバー1は、支柱70と同じ金属材料で構成されていてもよく、異なる金属材料で形成されていてもよい。
【0026】
[縁カバー1の製造方法について]
次に、縁カバー1の製造方法について説明する。
縁カバー1の製造方法は、第一製造工程と、第二製造工程と、を有する。まず、第一製造工程について説明し、次に第二製造工程について説明する。
【0027】
まず、第一製造工程について説明する。
第一製造工程は、筒状の前駆部材1Aの一端に、第一フランジ部10Aを形成させる工程である。第一フランジ部10Aは、後述する第二製造工程により、第一フランジ部10に形成される。
先ず、作業者は、ケーブル口71のZ軸方向の幅や、縁カバー1の第一フランジ部10の幅や、フランジ形成部30から形成された第二フランジ部30Bの幅が、所望の寸法になるように、前駆部材1Aを用意する。その前駆部材1Aの孔に芯金を入れて、フレア加工により、前駆部材1Aの一端側の端を外側に押し広げて、第一フランジ部10Aを形成させる。本工程のフレア加工は、作業者がポンチなどの工具を用いて手作業で行うことができ、動力を用いた工具で行うこともできる。
【0028】
次に、第二製造工程について説明する。
第二製造工程は、図5及び図6に示すように、第一フランジ部10Aを加工して第一フランジ部10を形成させる工程である。
本工程は、プレス機50を用いることにより、好適に行うことができる。
【0029】
プレス機50は、支柱70の内周面の曲率と略等しい凸状の曲面51aを有する下型部51と、下型部51に繋がり、前駆部材1Aの孔に挿入される芯金部52と、芯金部52に上下方向に移動可能に挿通され孔53bを有し、下型部51と対向する面に、曲面51aと略等しい凹状の曲面53aを有する上型部53と、を有する。
【0030】
作業者は、前駆部材1Aを、一端側に形成された第一フランジ部10Aが他端側よりもX軸方向の下側に位置する状態で、かつ、芯金部52が前駆部材1Aの孔に挿通した状態で、下型部51に載置させる。そして、上型部53を、孔53bに芯金部52を挿通させた状態で、下型部51に向けて移動させて、上型部53と下型部51で第一フランジ部10Aをプレスする。これにより、第一フランジ部10Aが周方向に支柱70の内周面と略等しい曲率を有することができる。
【0031】
上述した第一製造工程と第二製造工程は、続けて行うこともできるが、まず、第一製造工程だけを行い、設置する予定の支柱70に応じて第二製造工程を行ってもよい。
【0032】
[縁カバー1のケーブル口71への取り付け工程について]
次に、縁カバー1のケーブル口71への取り付け工程について説明する。
まず作業者は、図7に示すように、支柱70の内側から、本体筒部20をケーブル口71に挿入する。
そして、本体筒部20の孔に、芯金を挿入して縁カバー1の位置を固定して、フランジ形成部30の周縁をフレア加工やカーリング加工などの変形加工を行うことにより、図8に示すように、縁カバー1を支柱70に固定する。本工程のフレア加工やカーリング加工は、作業者がポンチなどの工具を用いて手作業で行うことができ、動力を用いた工具を用いることもできる。
【0033】
[縁カバー1により奏する効果について]
次に、縁カバー1により奏する効果について説明する。
本体筒部20の一端から外側に伸びる第一フランジ部10を有し、第一フランジ部10は、支柱70と対向する面が、支柱70の内周面の曲面に沿った曲面状に形成されている。これにより、縁カバー1を取り付けるときに、第一フランジ部10を支柱70の内周面に当接させることができ、縁カバー1を取り付ける作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、縁カバー1は、本体筒部20の他端に位置するフランジ形成部30を有し、フランジ形成部30は、本体筒部20がケーブル口71に挿入された後に、支柱70と対向する面が支柱70の外周面の曲面に沿った曲面状に形成された第二フランジ部30Bに形成される。これにより、第二フランジ部30Bと支柱70の外周面の間に隙間が生じるのを防ぐことができ、隙間が生じたときよりも優れた美観を生じさせることができる。また、隙間に衣服などを挟むことや、第二フランジ部30Bの角に作業者などが接触して怪我するのを防ぐことができる。
【0035】
さらに、本体筒部20、第一フランジ部10及びフランジ形成部30は、金属材料により構成され、フランジ形成部30は、本体筒部20がケーブル口71に挿入し、フレア加工やカーリング加工などの変形加工により第二フランジ部30Bに形成される。これにより、ケーブルを外部から収容空間に引き込む際や、収容空間から外部に引き出す際に、縁カバー1がケーブル口71から外れるのを防ぐことができ、作業者はケーブルを収容空間に引き込む作業や引き出す作業を容易に行うことができる。
また、作業者以外の第三者による縁カバー1へのいたずらを防ぐことができ、美観を維持させることができる。
【0036】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることができる。
【0037】
例えば、本実施形態の縁カバー1は、金属材料により形成されているが、本発明はこれに限定されない。第一フランジ部と第二フランジ部が上述した形状を維持できる程度の剛性を有しているのであれば、合成樹脂材料等により形成されていてもよい。合成樹脂材料としては、熱可塑性樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンなどが挙げられる。
縁カバーが合成樹脂により形成されている場合には、フランジ形成部は、加熱処理された後に、折り曲げられて、第二フランジ部を形成する。
【符号の説明】
【0038】
1 縁カバー
10 第一フランジ部
20 本体筒部
30 フランジ形成部
70 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8