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特許7217908情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/254 20170101AFI20230130BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
G06T7/254 B
G08B25/00 510M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022194859
(22)【出願日】2022-12-06
【審査請求日】2022-12-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518156358
【氏名又は名称】株式会社センシンロボティクス
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅井 駿
(72)【発明者】
【氏名】山崎 修平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】山口 倫之
(72)【発明者】
【氏名】松井 大也
(72)【発明者】
【氏名】田所 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 利継
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173888(JP,A)
【文献】特表2020-519847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理システムであって、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出する移動体検出部と、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定する静止判定部と、
少なくとも前記静止判定部の判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定する報知対象火花特定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記画素値情報は、
輝度情報または色情報の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記移動体検出部は、前記少なくとも2つの画像データに対してグレースケール化を実行してから前記比較を行い前記移動体を検出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記報知対象火花特定部は、少なくとも前記判定結果情報及び静止している移動体に対応する画素面積情報に基づき、報知対象の火花を特定する、請求項2または請求項3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理方法であって、
コンピュータにより、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出することと、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定することと、
少なくとも前記判定の結果を示す判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定することと、を実行する情報処理方法。
【請求項6】
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理方法を実行するためのプログラムであって、
コンピュータにおいて、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出することと、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定することと、
少なくとも前記判定の結果を示す判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定することと、を実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像群内の画像から報知対象の火花を特定する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、グラインダー等での金属の切断作業やアーク溶接等での金属の溶接作業などおいて発生した火花が原因での火災が発生している。そこで、特許文献1には、火の粉の飛散軌跡が線形状で表示されるシャッター速度で撮影された撮影画像を取得し、取得した撮影画像において、先行する撮影画像とは異なる部分を抽出した差分抽出画像を生成し、差分抽出画像において、燃焼色の線形状を示す線形状領域を抽出して、抽出した線の数を評価して警報する火の粉検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-013123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、線状の火花が多いことが必ずしも火災につながるとはいえず、火災につながらない作業に対しても警報が報知されることは管理者の負担となり得る。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、特に、画像群内の画像から報知対象の火花を特定する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理システムであって、前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出する移動体検出部と、前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定する静止判定部と、少なくとも前記静止判定部の判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定する報知対象火花特定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特に、画像群内の画像から報知対象の火花を特定する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態にかかる情報処理システムのシステム構成を示す図である。
図2図1のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1の端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図1の撮像装置を含む全体構成を示す図である。
図5図1のサーバの機能を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態にかかる移動体検出の一例である。
図7】本発明の実施の形態にかかる静止している移動体判定の一例である。
図8】本発明の実施の形態にかかる端末の画面の一例である。
図9】本発明の実施の形態にかかる端末の画面の一例である。
図10】本発明の実施の形態にかかる端末の画面の一例である。
図11】本発明の実施の形態にかかる情報処理システムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による情報処理システム及びサーバは、以下のような構成を備える。
[項目1]
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理システムであって、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出する移動体検出部と、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定する静止判定部と、
少なくとも前記静止判定部の判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定する報知対象火花特定部と、
を備える情報処理システム。
[項目2]
前記画素値情報は、
輝度情報または色情報の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の情報処理システム。
[項目3]
前記移動体検出部は、前記少なくとも2つの画像データに対してグレースケール化を実行してから前記比較を行い前記移動体を検出する、
請求項1に記載の情報処理システム。
[項目4]
前記報知対象火花特定部は、少なくとも前記判定結果情報及び静止している移動体に対応する画素面積情報に基づき、報知対象の火花を特定する、請求項2または請求項3のいずれかに記載の情報処理システム。
[項目5]
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理方法であって、
コンピュータにより、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出することと、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定することと、
少なくとも前記判定の結果を示す判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定することと、を実行する情報処理方法。
[項目6]
撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理方法を実行するためのプログラムであって、
コンピュータにおいて、
前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出することと、
前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定することと、
少なくとも前記判定の結果を示す判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定することと、を実行させるプログラム。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による情報処理システム及び当該情報処理システムによる情報処理方法、当該情報処理方法を実行するためのプログラム等についての実施の形態を説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0011】
<システム構成>
図1に示されるように、本実施の形態における情報処理システムは、サーバ1と、端末2と、撮像装置3とを有している。サーバ1と端末2は、ネットワークNWを介して互いに通信可能に接続されている。撮像装置3は、端末2に接続され、撮像装置3の画像データは端末2を介してサーバ1に格納される。なお、図示された構成は一例であり、この構成に限らず、撮像装置3がネットワークNWを介してサーバ1に直接接続可能な構成であってもよい。
【0012】
<サーバ1>
図2は、サーバ1のハードウェア構成を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0013】
サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0015】
プロセッサ10は、サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)および/またはGPU(Graphics Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開された本システムのためのプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0016】
メモリ11は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置や、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性記憶装置を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0017】
ストレージ12は、例えば、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置を含む。ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ12に構築されていてもよい。また、後述の記憶部130が記憶領域の一部に設けられていてもよい。
【0018】
送受信部13は、サーバ1をネットワークNWに接続する。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)やWi-Fi等の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0019】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0020】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0021】
<端末2>
図3に示される端末2もまた、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。各要素の機能は、上述したサーバ1と同様に構成することが可能であることから、各要素の詳細な説明は省略する。
【0022】
<撮像装置3>
撮像装置3は、所定の位置に設置され、所定タイミングで画像群データ(映像としてのフレーム画像群データを含む)を取得可能な構成であり、例えば、ネットワークカメラであり得る。撮像装置3は、例えばLANケーブルもしくはイーサネットケーブル等による有線接続、または、例えば無線LANもしくはWiFi等の無線接続により、端末2と接続され、取得した画像群データを端末2またはサーバ1の少なくともいずれかへ送信する。撮像装置3は、後述する必要な画像比較が可能な性能であれば、どのような分解能、解像度、撮影画角、撮影距離等であってもよい。
【0023】
図4には、撮像装置3が設置される全体構成を例示している。撮像装置3は、作業者が作業装置により発生させる火花を撮影可能なように設置されている。図4においては、一の撮像装置3が設置されている構成が例示されているが、これに限らず、必要に応じて二以上の撮像装置3が設置されてよい。その場合、取得した画像群データは、何れの撮像装置識別情報が紐づく撮像装置3から取得した画像群データであるかを特定可能にするために、画像群データと撮像装置識別情報を対応付けて送信、記憶するように管理されるとより好ましい。
【0024】
<サーバの機能>
図5は、サーバ1に実装される機能を例示したブロック図である。本実施の形態においては、サーバ1は、通信部110、画像取得部120、記憶部130、画像選択部140、移動体検出部150、静止判定部160、報知対象火花特定部170、報知関連情報管理部180を備えている。また、記憶部130は、情報・画像記憶部131、学習モデル記憶部132の各種データベースを含む。
【0025】
通信部110は、ネットワークNWを介して端末2等と通信を行う。通信部110は、サーバ1等からの各種要求やデータ等を受け付ける受付部としても機能する。
【0026】
画像取得部120は、例えば、通信部110を介して撮像装置3により撮像された、作業者が作業装置により発生させる火花が映る画角の画像群を取得する。取得された画像群は、情報・画像記憶部131に記憶される。画像取得部120は、USBメモリやSDメモリ等の記憶媒体を介して画像を取得するように構成されていてもよいが、特に撮像装置3からの無線通信で、リアルタイムに画像を取得する構成がより好ましい。
【0027】
画像選択部140は、画像取得部120が取得した画像データ群のうち、少なくとも2つの画像データを選択する。より具体的な例としては、画像選択部140は、例えば、画像データ群から、時系列において互いに所定の時間範囲内にある2つの画像データ(例えば、時系列において互いに連続しているタイミングにおける時刻tの画像データと時刻t+1の画像データであって、特にフレームが連続する2つの画像データなど)を選択する。
【0028】
移動体検出部150は、画像選択部140により選択された、画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体(火花)を検出する。ここで、検出対象を「移動体」と称しているが、これは検出対象が「火花」である可能性が高いものの、この時点においては「火花」と特定されることが必須ではないため、検出対象を「移動体」と称している。
【0029】
画素値情報は、例えば画像データの各画素に設定される色の濃淡を示す色情報または明るさ(輝度)を示す輝度情報などである。特に、各画像データに対してグレースケール化処理を実行すると、画素値情報がより単純化されて容易に移動体領域(火花領域)が検出可能となる。より具体的には、グレースケール化している場合には、画素値情報は一番黒を0、一番白を255として設定する。そうすると、図6に例示するように、例えば火花の発生元付近(各フレーム右下の白い領域)や飛散した火花(t-1フレームやtフレームで左上に伸びていく白い領域)に対応する領域が255に近い値となって白くなり、火花周辺がグレーになり、火花から遠い領域は0に近い値となって黒くなるため、設定された第1の閾値との比較結果が移動体候補を特定する所定条件を満たす領域(例えば、第1の閾値以上の値を示す領域)を移動体候補領域(火花候補領域)として抽出可能となる。なお、画像選択部140により選択された少なくとも2以上の画像データに対して、既知の背景差分法を用いることで、移動体と同一または類似の画素値をもつ背景の非移動体を排除できるので、より精度高く移動体候補領域を抽出可能となる。また、画像選択部140により選択された少なくとも2以上の画像データに対して、機械学習された既知の学習モデルによりセグメンテーション(画像に含まれるオブジェクトを推定し、画像をいくつかのオブジェクトに分割する技術)を実行することで、明らかに検出したい移動体とは異なる非移動体(特に、移動体と誤検出する可能性があり得るライトなどの光を発する物や金属部材を含む光を反射しやすい物など)と判定可能な領域が画像内に含まれる場合には、画像内の非移動体領域を移動体領域の対象外範囲と設定してもよい。
【0030】
そして、移動体検出部150は、少なくとも2つの異なるタイミングの画像データの画素値情報を互いに比較し、移動体候補領域のうち、いずれのタイミングにおいても所定の画素面積のまとまった領域を移動体発生元領域(火花発生元領域)とし、それ以外の移動体候補領域を飛散した移動体の領域である移動体領域として検出する。特に、画像群から少なくとも3つの異なるタイミングの画像データを比較することで、移動体領域の変遷をより検出しやすくなり、すなわち移動体の検出が容易になる。
【0031】
静止判定部160は、移動体検出部150により検出された移動体が移動後に所定の範囲で所定の基準期間静止していることを判定する。移動体が所定の範囲で所定の基準期間静止しているかどうかを示す情報は、例えば判定対象とした画像データの画像識別情報及び/または判定時間情報等に対応付けて判定結果情報として情報・画像記憶部131に記憶される。より具体的には、移動体検出部150により検出された移動体が移動後に同じ画素において、設定された第2の閾値(第1の閾値と同一でもよいし、異なっていてもよい。)以上の値を所定の基準期間に示す場合、その画素については移動体が静止していると判定する。経過期間の算出は、例えば時系列で相対的に前の時点で取得した画像データの取得時間情報と時系列で相対的に後の時点で取得した画像データの取得時間情報との差分から算出するようにしてもよい。さらに、静止判定部160は、いずれの領域で移動体が静止しているかも判定してもよい。移動体が静止している領域に関する情報(例えば、対応する画素識別情報)は、例えば判定対象とした画像データの画像識別情報及び/または判定時間情報等に対応付けて判定結果情報として情報・画像記憶部131に記憶される。図7の例においては、基準期間が2フレーム分(例えば、1フレームが0.1秒の場合は0.2秒)と設定されている場合、t-2フレームを基準とした時に、t-1フレーム(経過期間は2フレーム分であって0.2秒)において2画素分、tフレーム(経過期間は3フレーム分であって0.3秒)において1画素分の移動体が静止している領域(以下、移動体静止領域ともいう。)を判定する。
【0032】
これにより、特に火災等の事故につながりやすい所定の箇所に静止している(換言すると、所定の箇所に留まっている)移動体(火花)を判定することが可能となる。
【0033】
また、所定の範囲は、画像全体の画素範囲であってもよいが、例えばユーザが設定した特定の画素範囲であってもよい。これは特に、画像内において作業エリアに対応する画素範囲を設定し、作業エリア外を所定の範囲として設定してもよいし、これに代えて、または、加えて、報知対象エリアに対応する画素範囲を所定の範囲として設定してもよい。
【0034】
このように、所定の範囲として作業エリア外または報知対象エリアに対応する画素範囲をユーザが設定することで、静止している移動体(火花)のうち、特に火災等の事故につながりやすい移動体(火花)を判定することが可能となる。
【0035】
なお、上述の例では、移動体検出部150及び静止判定部160においては、画素値情報に閾値を設けて移動体の検出及び静止している移動体の判定を行っているが、これに代えて、移動体を撮影した画像群データと移動体領域を示す情報(特に移動体静止領域を示す情報)を教師データとして学習モデルを作成して学習モデル記憶部132に記憶してもよい。その場合、移動体検出部150及び静止判定部160の少なくとも何れかは、画像選択部140により選択された複数の画像データを当該学習モデルに入力することで、移動体領域または移動体静止領域の少なくとも何れかを示す情報を出力するように構成してもよい。
【0036】
報知対象火花特定部170は、少なくとも静止判定部160の判定結果に基づき、所定の静止している移動体を報知対象となる火花と特定する。より具体的には、静止判定部160による判定範囲が画像全体である場合には、画像内のいずれかの位置において静止している移動体を判定した場合に、判定された静止している移動体を報知対象の火花と特定する。もしくは、静止判定部160による判定範囲として作業エリア外または報知対象エリアに対応する画素範囲をユーザにより設定されている場合には、移動体のうち、設定範囲内において静止している移動体を判定した場合に、判定された静止している移動体を報知対象の火花と特定する。
【0037】
また、報知対象火花特定部170は、静止判定部160の判定結果に加えて、静止している移動体の画素面積が予め設定された範囲内にあることで、該当する静止している移動体を報知対象となる火花として特定する。予め設定された画素面積の範囲は、例えば100ピクセル以下であってもよく、特に移動体発生元領域(火花発生元領域)の画素面積よりも小さい範囲に設定されているとよい。
【0038】
報知関連情報管理部180は、報知対象火花特定部170が特定した報知対象の火花(移動体)の報知に関連する情報を管理する。より具体的には、報知関連情報管理部180は、例えば判定対象とした画像データの画像識別情報及び/または判定時間情報等に特定結果情報(例えば、報知対象火花を画像に含むことを示す報知対象火花フラグ情報など)の少なくともいずれかを対応付けて情報・画像記憶部131に記憶する。そして、端末2のアプリケーション上で提供されるユーザインタフェースにあわせて、報知対象の火花が検出された画像データ(静止した火花を特定した時点の所定期間前または所定期間後の少なくともいずれかの期間を含んだ画像データ群であってもよい)を提示することで、ユーザは事故等につながりやすい火花を検出した画像を確認することが可能となる構成としてもよい。この時、さらに対応する判定結果情報(特に移動体領域情報)を取得し、報知対象の火花が検出された画像において火花部分(静止するまでの軌跡部分を含んでもよい)に着色するなどして報知対象の火花を強調した画像を生成してもよい。
【0039】
図8-10は、端末2上に表示されるアプリケーションの画面例を示すものである。報知関連情報管理部180は、例えば、情報・画像記憶部131に記憶された判定結果情報または特定結果情報の少なくとも何れかの情報を読み出し、図8の右上に例示するように、報知状況情報として提示するようにしてもよい。報知状況情報は、例えば、当日の報知状況(報知回数)や、報知時間情報、対象エリア情報、静止秒数情報などを提示するようにしてもよい。また、図8においては、監視が停止された状態にあり、監視開始ボタンを選択することで画像群(映像を含む)の取得が開始され、報知対象の火花が特定された場合には、逐次報知状況情報が更新され得る。図9においては、監視が開始された状態にあり、新規の報知が検出されると新規の報知に関する提示情報がポップアップ表示や所定の新規報知領域の表示により提示され得る。また、報知関連情報管理部180は、画像識別情報及び/または判定時間情報等に特定結果情報が対応付けられている画像データのみを情報・画像記憶部131に記憶してもよい。この場合、報知関連情報管理部180は、報知対象の火花が検出された画像データ群として、静止した火花を特定した時点の所定期間前または所定期間後の少なくともいずれかの期間を含んだ画像データ群も判定時間の画像データ群と共に記憶してもよい。図9においては、判定時間の前後所定期間を含む映像(画像データ群)を記憶する(すなわち、録画する)ことが例示されており、当該ポップアップ表示から記録された画像データ群を確認可能な画面に遷移可能に構成してもよい。なお、監視終了ボタンを選択することで画像群の取得を終了し、報知対象の火花の特定を停止する。
【0040】
なお、図10には、静止判定部160での判定にて任意に用いる作業エリア及び報知対象エリアの設定の画面例を示すものである。まずは、いずれのエリアを編集するかをエリア編集ボタンの選択により決定し、その後範囲追加ボタンを選択することで、追加の幾何学図形(例えば四角形や五角形などの多角形)が表示され、角部の丸印を選択して動かすことで大きさを変更可能であってもよい。また、各エリアにおいては、感度(第1の閾値に基づく値)や移動体が静止していると判定する基準静止秒数を任意の値に設定可能であってもよい。
【0041】
<情報処理方法の一例>
図11を参照して、本実施形態にかかる情報処理システムによる情報処理方法について説明する。図11は、本実施形態にかかる情報処理システムによる報知対象の火花特定を実施する処理を示すフローチャートである。
【0042】
まず、サーバ1は、画像取得部120により、撮像装置3で撮影された画像群データを取得する(SQ101)。
【0043】
次に、サーバ1は、画像選択部140により、画像取得部120が取得した画像データ群のうち、少なくとも2つの画像データを選択する(SQ102)。
【0044】
次に、サーバ1は、移動体検出部150により、画像選択部140により選択された、画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体(火花)を検出する(SQ103)。
【0045】
次に、サーバ1は、静止判定部160により、移動体検出部150により検出された移動体が移動後に所定の範囲で所定の基準期間静止していることを判定する(SQ104)。
【0046】
次に、サーバ1は、報知対象火花特定部170により、少なくとも静止判定部160の判定結果に基づき、所定の静止している移動体を報知対象となる火花と特定する(SQ105)。
【0047】
次に、サーバ1は、報知関連情報管理部180により、報知対象火花特定部170が特定した報知対象の火花(移動体)の報知に関連する情報を管理する(SQ106)。
【0048】
このように、本発明は、画像群内の画像から報知対象の火花を特定することが可能となり、特に静止している移動体を基に報知対象の火花を特定することが可能であるため、事故等につながる火花を迅速に検出可能となる。
【0049】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 サーバ
2 端末
4 無人飛行体

【要約】
【課題】本発明は、画像群内の画像から報知対象の火花を特定することが可能な情報処理システム及びサーバを提供すること。
【解決手段】本発明は、撮像装置により取得する画像データ群に基づき、報知対象となる火花を検出するための情報処理システムであって、前記画像データ群のうち少なくとも2つの画像データの画素値情報に基づいて互いに比較することで移動体を検出する移動体検出部と、前記移動体が移動後に所定の範囲で基準期間静止していることを判定する静止判定部と、少なくとも前記静止判定部の判定結果情報に基づき、前記移動体を前記報知対象となる火花と特定する報知対象火花特定部と、を備える。
【選択図】図1

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図11