(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2016187359
(22)【出願日】2016-09-26
【審査請求日】2019-09-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
(72)【発明者】
【氏名】平口 敏彦
【合議体】
【審判長】▲吉▼川 康史
【審判官】藤澤 和浩
【審判官】北川 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-284270(JP,A)
【文献】特開2014-39672(JP,A)
【文献】特開2013-212138(JP,A)
【文献】特開2016-154682(JP,A)
【文献】特開2011-143192(JP,A)
【文献】特開2016-106789(JP,A)
【文献】特開2015-58222(JP,A)
【文献】特開2017-225563(JP,A)
【文献】特開2010-51747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定結果を報知する識別図柄が表示される表示装置ではない発光装置を利用して実行される当否判定結果が当たりとなることを示す第一演出および前記
発光装置とは異なる
装置である音出力装置を利用して実行される第二演出を制御可能な演出制御手段を備え、
遊技者が操作手段を操作したタイミングではない複数の所定タイミングのいずれかにて前記演出制御手段により前記第一演出を発生させる場合の態様として、
複数の前記所定タイミングに含まれる特定タイミングにて前記第一演出が発生する場合の態様であって、前記第一演出と前記第二演出とを併せて発生させる複合演出態様、
および
複数の前記所定タイミングに含まれる、前記特定タイミングではない通常タイミングにて前記第一演出が発生する場合の態様であって、前記第二演出を発生させずに前記第一演出を発生させる単独演出態様
が設定されており、
前記複合演出態様として発生する前記第一演出と、前記単独演出態様として発生する前記第一演出とは視覚的態様が同じであることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、音により当否判定結果を示唆する演出が実行可能な遊技機が開示されている。この特許文献1に記載される遊技機のように、公知の遊技機においては、当否判定結果を示唆する演出を構成する要素として、音や映像等の種々の要素が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、演出の趣向性を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、第一手段を利用して実行される当否判定結果が当たりとなることを示す第一演出および前記第一手段とは異なる第二手段を利用して実行される第二演出を制御可能な演出制御手段を備え、前記演出制御手段により前記第一演出を発生させる場合の態様として、前記第一演出と前記第二演出とを併せて発生させる複合演出態様、および前記第二演出を発生させずに前記第一演出を発生させる単独演出態様が設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、演出の趣向性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる遊技機の正面図である。
【
図2】表示装置(表示領域)識別図柄や保留表示が表示された状態を示した図である。
【
図3】複合演出態様(a)と単独演出態様(b)を説明するための概念図である。
【
図4】第一演出が発生し得るタイミング(特定タイミングおよび通常タイミング)を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0009】
遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、遊技盤90の後方に設けられており、表示装置91の表示領域911は遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、各図においては、表示領域911を大まかに略方形状に記載するが、その形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0010】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0011】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0012】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0013】
当否の抽選(当否判定)は、図示されない主制御基板に構築された回路である当否判定手段が、
図1に示す始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口904は複数設けられていてもよい)。なお、本実施形態では入賞「口」(入賞した遊技球が内部に取り込まれるもの)であるが、入賞「領域」(入賞した遊技球がそのまま遊技領域902を流下するもの。入賞領域をゲートのような態様としたものが例示できる)であってもよい。始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。また、始動入賞口904は、遊技球の進入が検出されることを契機として所定数の遊技球(いわゆる賞球)が払い出されるものでなくてもよい。
【0014】
また、本実施形態では、上記当否判定を行うための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始されることとなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知が開始されていない数値(以下、保留(情報)と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大の保留情報の数は四つである。なお、当否判定を行うために取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。表示領域911には、当該保留情報の存在を示すマーク(保留表示11)が表示される(
図2参照)。また、始動入賞口904に入賞したことを契機として即座に当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶手段に記憶させておく構成としてもよい(かかる場合には、当否判定結果それ自体が保留情報ということになる)。
【0015】
当否判定結果が大当たりであるかはずれであるかは、表示装置91の表示領域911に表示される複数種の識別図柄10(
図2参照)の組み合わせによって報知される。本実施形態では、それぞれが複数種の識別図柄10を含む三つの識別図柄群が変動表示される。各識別図柄群は、ある当否判定結果を報知する演出の開始と同時に変動を開始し、大当たりに当選している場合には識別図柄10は最終的に所定の組み合わせで停止する。当該所定の組み合わせとしては、同じ識別図柄10の三つ揃いが例示できる。はずれである場合には識別図柄10は大当たりとなる組み合わせ以外の組み合わせで停止する。
【0016】
大当たりに当選した場合には大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、大入賞口906が頻繁に開放状態となり、遊技者が多くの遊技球(いわゆる出玉)を獲得することができるものであって、公知の遊技機と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1は、図示されないサブ制御基板に構築された回路である演出制御手段により、種々の演出が制御される。当該演出として、以下で詳細を説明する第一演出および第二演出を実行することが可能である。
【0018】
第一演出は、発光ユニット20(本発明における第一手段に相当する)を利用したものである。発光ユニット20は、少なくともLED等の光源およびそれを制御する回路等を含むもの(光源を発光させる装置)であり、第一演出発生時に当該光源を発光させる。発光ユニット20の発光態様はどのようなものであってもよい。また、発光ユニット20が設けられる位置は、遊技者が発光ユニット20の発光の有無を認識可能な位置であればよい。本実施形態における発光ユニット20は遊技領域902内に設けられている(遊技盤90に固定されている)が、遊技領域902外に設けられていても(前側の枠等に固定されていても)よい。また、発光ユニット20は可動するものであってもよい。また、第一演出とは異なる演出発生時に、第一演出発生時とは異なる発光態様で発光させるものであってもよい。かかる発光ユニット20が発光する第一演出は、遊技者の「視覚」によって認識(把握)される演出であるということができる。
【0019】
本実施形態では、かかる第一演出は、当否判定結果が大当たりとなる場合に限り発生するように設定されている。具体的には、ある当否判定結果を報知するための一連の演出中(識別図柄10(群)の変動開始から停止まで)に第一演出が発生した場合には、当該当否判定結果が大当たりとなることが確定する。
【0020】
第二演出は、スピーカ30(音出力装置;本発明における第二手段に相当する)を利用した演出である。第二演出発生時には、当該スピーカ30から所定の演出音(以下、単に演出音というときは当該第二演出用の音を指すものとする)が出力される。演出音の態様はどのようなものであってもよい。なお、本実施形態におけるスピーカ30は、他の演出用の音も出力するものであるが、第二演出専用のスピーカが設けられた構成としてもよい。第二演出はスピーカ30から演出音が出力されるものであるため、当該第二演出は遊技者の「聴覚」によって認識(把握)される演出であるということができる。
【0021】
このように、第一演出と第二演出は、遊技者の異なる感覚によって認識されるものであるということができる。具体的にいえば、発光ユニット20によって出力される第一演出を構成する演出構成要素(光)と、スピーカ30によって出力される第二演出を構成する演出構成要素(音)とは、遊技者の異なる感覚によって認識されるものであるということである。表示装置91の表示領域911に所定の画像(動画、静止画を含む。以下「画像」というときには同じ)を表示することを第一演出(「視覚」によって認識される演出)として設定してもよい。
【0022】
ただし、これはあくまで一例である。第一演出と第二演出が遊技者の異なる感覚によって把握されるものであれば各演出の態様は適宜変更可能である。上記実施形態とは逆の設定、すなわち第一演出を聴覚によって認識される演出、第二演出を視覚によって認識される演出としてもよい。また、遊技者の「触覚」によって認識される演出を第一演出または第二演出として設定してもよい。このような「触覚」によって認識される演出としては、遊技者が感じるような風を遊技者に向けて送る構成や、何らかの部材を移動させて遊技者の身体に接触させる構成、遊技者が感じることができる振動を発生させる構成等が例示できる。
【0023】
本実施形態における第一演出は、上記第二演出と併せて発生することもあれば、第二演出を伴わずに発生することもある。つまり、第一演出と第二演出以外の演出を考慮しなければ、第一演出の発生態様として、第一演出と第二演出が一緒に発生する複合演出態様(
図3(a)参照)と、第一演出のみが発生する単独演出態様(
図3(b)参照)が設定されているといえる。なお、複合演出態様は、第一演出と第二演出が「同時」に発生することに限定されるわけではない。遊技者が第一演出と第二演出が同時期に発生していることを認識できる程度の「ずれ」が設定されていてもよいものとする。なお、本実施形態では、第二演出は、第一演出とともに発生する専用の演出として設定されている。つまり、第二演出は、第一演出と複合されて発生する演出であって、(第一演出の発生を伴わずに)それ自体が単独で発生することはない。ただし、第二演出が単独で発生するようにすることを否定するものではない。また、第一演出や第二演出以外の演出が、複合演出態様により発生する第一演出および第二演出や、単独演出態様により発生する第一演出とともに実行されることを否定するものではない。
【0024】
このように、複合演出態様は第一演出と第二演出が一緒に発生するものであるから、第二演出を伴わずに第一演出が発生する単独演出態様に比して「目立つ」態様であるといえる。逆に、単独演出態様は、複合演出態様に比して「目立たない」態様であるといえる。
【0025】
上記第一演出が発生し得るタイミングとして、複数のタイミングが設定されている。以下の説明では、第一演出が発生し得る複数のタイミングのうちの一または複数のタイミングを特定タイミングと、それ以外のタイミングを通常タイミングと称する。本実施形態では、特定演出に移行する直前のタイミングが特定タイミングとして設定されている(
図4参照)。特定演出に移行する前に実行されている演出を事前演出とすれば、事前演出と特定演出の間に特定タイミングが設定されているともいえる。なお、遊技者が、特定演出の移行を契機として第一演出が発生したと感じるタイミングであれば、特定タイミングは特定演出の開始時点から前後してもよい。
【0026】
特定演出は、その結末によって対象の当否判定結果が大当たりとなるか否かが示唆されるものである。本実施形態では、当該特定演出としてスーパーリーチ演出が設定されている。スーパーリーチ演出は、その結末にとって対象の当否判定結果を報知する演出である。つまり、当否判定結果が大当たりとなるときに実行される遊技者にとって有利な結末と、はずれとなるときに実行される遊技者にとって不利な結末とが用意されている演出である。有利な結末や不利な結末は複数種の結末が用意されていてもよい。なお、特定演出は、スーパーリーチ演出のようにその結末によって当否判定結果を「報知」するものではなく、「示唆」に留まるものであってもよい。また、スーパーリーチ演出へ移行する契機は種々設定されているため、対象の当否判定結果を報知するための識別図柄10の変動が開始されてから特定タイミングに至るまでの時間は、常に一定ではない。
【0027】
第一演出は、特定タイミングにおいて発生する場合、その演出態様は必ず複合演出態様となるように設定されている。つまり、第一演出とともに第二演出が発生する「目立つ」態様となる。一方、通常タイミングにおいて発生する場合、その演出態様は必ず単独演出態様となるように設定されている。つまり、第一演出が第二演出を伴わずに発生する「目立たない」態様となる。ただし、通常タイミングにおいて複合演出態様が発生することがある設定としてもよい。
【0028】
第一演出が特定タイミングにおいて発生する蓋然性は、第一演出が通常タイミングにおいて発生する蓋然性よりも高く設定されている。具体的には、第一演出が発生することが決定された場合、特定タイミングにおいて発生する確率をX%と、通常タイミングにおいて発生する確率をY1、Y2、Y3・・・(通常タイミングの数分設定される)%とすれば、Y1、Y2、Y3・・・の値の全てが、Xの値よりも小さくなるように設定されている。なお、本実施形態では、特定タイミングは一つのみであるが、特定タイミングとして複数のタイミングが設定されている場合に、第一演出が特定タイミングにおいて発生する確率をX1、X2、X3・・・(特定タイミングの数分設定される)%とすれば、Y1、Y2、Y3・・・の値のいずれもが、X1、X2、X3・・・の値のいずれと比較した場合であっても小さくなるように設定すればよい。
【0029】
また、特定タイミングとして設定されるタイミングの数(本実施形態では特定演出移行時の一つ)は、通常タイミングとして設定されるタイミングの数よりも少ない(
図4参照)。なお、本実施形態における通常タイミングは、スーパーリーチ演出中にも設定されている。
【0030】
このように特定タイミングおよび通常タイミングを設定することで、複合演出態様および単独演出態様の両方を相当数経験した遊技者に対しては、限られたタイミングで発生するのが複合演出態様であり、ランダムに(予想不可能なタイミングで)発生するのが単独演出態様であるという印象を与える。単独演出態様がランダムで発生するという印象を高めるため、通常タイミングの数はできるだけ多くすることが望ましい。また、通常タイミング同士の間隔は一定であることが望ましい。
【0031】
なお、このように特定タイミングと通常タイミングに区分けするのは、上記のような作用が奏されるようにするためであって、必ずしもこのように区分けされていなければならないわけではない。つまり、第一演出が発生する全てのタイミングにおいて、複合演出態様が発生することもあれば、単独演出態様が発生することもある構成とすることを否定するものではない。
【0032】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、第一演出は第二演出を伴って複合的に発生することもあれば、第二演出を伴わずに単独で発生することもある。よって、同じ第一演出であっても、その発生態様によって遊技者に対して異なる印象を与えることができるため、第一演出の発生による遊技の趣向性向上につながる。
【0033】
また、第一演出と第二演出は、遊技者の異なる感覚で把握されるものである。複合演出態様は、第一演出が、それとは異なる感覚で把握される第二演出を伴って複合的に発生するものであるため、発生したときに遊技者に与える印象が単独演出態様とは大きく異なるものとなる。
【0034】
特に、本実施形態における第二演出は、スピーカ30から演出音を出力するものであり、遊技者の聴覚に作用する演出である。ゆえに、遊技者がどのような状態にあっても(表示装置91に表示される映像等に注目していない状態等にあっても)、第二演出の発生によって第一演出の発生に気付く蓋然性が高まることになる。
【0035】
また、複合演出態様が発生するタイミングとして、特定演出に移行する直前のタイミングである特定タイミングが設定されている。特定演出は、遊技者が注目する演出であるところ、このようなタイミングでは(単独演出態様に比して)「目立つ」複合演出態様にて第一演出を発生させる。つまり、遊技者が注目しているときに第一演出が発生するときには、当該第一演出を目立つようにすることで、その発生を強調するものとしている。
【0036】
これに対し、単独演出態様は、特定タイミングに比して多く設定された通常タイミングで発生するようにしている。通常タイミングでの第一演出の発生は、あらゆるタイミングでランダムに発生しているというような印象を遊技者に与えるものであるため、かかる通常タイミングでの第一演出の発生は第二演出の発生を伴わないものとし、敢えて目立たないものとすることで、奥深い遊技性を実現することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態における第一演出は、発生によって対象の当否判定結果が大当たりとなることが確定するものである。このような「当たり確定演出」の発生態様として、比較的「目立つ」複合演出態様と比較的「目立たない」単独演出態様を設定しているものである。特定タイミングにおいて発生する複合演出態様は、当たりが確定したことに対する喜びを増長させるものであり、通常タイミングにおいて発生する単独演出態様は、突然発生したことに対する驚きを与えるものであるといえる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、回動式遊技機等の他の遊技機に対し同様の技術思想を適用することが可能である。
【0040】
上記実施形態では、第一演出と第二演出は、遊技者の異なる感覚によって認識される演出である、具体的には発光ユニット20から出力される第一演出を構成する演出構成要素(光)と、スピーカ30から出力される第二演出を構成する演出構成要素(音)が遊技者の異なる感覚によって認識されるものであることを説明したが、同種の感覚によって認識されるものとしてもよい。ただし、第一演出を構成する演出構成要素を出力する手段(装置)と、第二演出を構成する演出構成要素を出力する手段(装置)が異なるものであるとよい。例えば、複数の表示装置を備え、ある表示装置に所定の画像(第一画像)を表示することが第一演出として設定され、当該ある表示装置とは異なる別の表示装置に所定の画像(第二画像)を表示することが第二演出として設定された構成とすることが考えられる。かかる場合には、第一演出と第二演出のいずれもが、遊技者の視覚によって認識されるということになるが、各演出を実行する手段(装置)は異なっているということになる。
【0041】
第一演出や第二演出を、遊技者の複数の感覚により認識される演出としてもよい。例えば、第一演出を遊技者の視覚および聴覚により認識される演出とする一方、第二演出を遊技者の触覚により認識される演出とする。かかる構成とする場合には、第一演出が単独で発生し得る演出であることを踏まえ、第一演出と第二演出が基本的には異なる演出であるということを認識させるために、第一演出を認識するための一または複数の感覚の全てが、第二演出を認識するための一または複数の感覚と異なっているものとすることが好ましい。
【0042】
複合演出態様時における第一演出の態様と、単独演出態様時における第一演出の態様が異なるもの(遊技者に同じ演出であるということが把握される程度に異ならせる)としてもよい。上記実施形態に則して言えば、複合演出態様時において発光ユニット20を発光させる時間と、単独演出態様時において発光ユニット20を発光させる時間を異ならせるといったことが考えられる。例えば、複合演出態様は、目立たせるために第一演出とともに第二演出を発生させるものであるから、複合演出態様時における発光ユニット20の発光時間を、単独演出態様時における発光ユニット20の発光時間よりも長くすることが考えられる。また、これと同様の考えに基づき、複合演出態様時における発光ユニット20の発光の明るさ(発光強度)を、単独演出態様時における発光ユニット20の発光の明るさよりも高くするといったことが考えられる。
【0043】
上記実施形態では、第一演出は、発生により当否判定結果が大当たりとなることが確定する演出であることを説明したが、発生により当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まること(いわゆる大当たり期待度が高まること)に留まる演出(いわゆるチャンスアップの演出)であってもよい。この場合、複合演出態様と単独演出態様とでは、チャンスアップの程度に差が設定されているとよい。例えば、相対的に「目立つ」態様である複合演出態様の方が、相対的に「目立たない」態様である単独演出態様よりも、発生したときに当否判定結果が大当たりとなる期待が高まるような設定とすることが考えられる。
【0044】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0045】
・手段1
第一手段を利用して実行される第一演出および前記第一手段とは異なる第二手段を利用して実行される第二演出を制御可能な演出制御手段を備え、
前記演出制御手段により前記第一演出を発生させる場合の態様として、
前記第一演出と前記第二演出とを併せて発生させる複合演出態様、
および前記第二演出を発生させずに前記第一演出を発生させる単独演出態様
が設定されていることを特徴とする遊技機。
【0046】
このように、第一演出の発生態様として、第二演出とともに発生する目立つ態様と、第二演出が発生しない目立たない態様が設定されているため、第一演出を用いた遊技の趣向性向上を図ることが可能となる。
【0047】
・手段2
前記第一手段によって出力される演出構成要素を遊技者が把握するための感覚と、前記第二手段によって出力される演出構成要素を遊技者が把握するための感覚は異なるものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
・手段3
前記第一手段によって出力される演出構成要素は遊技者の視覚によって把握されるものであり、前記第二手段によって出力される演出構成要素は遊技者の視覚以外の感覚によって把握されるものであることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
【0048】
このように、第一手段が出力する演出構成要素と第二手段が出力する演出構成要素とは、遊技者の異なる感覚によって把握されるようにすることで、第一演出と第二演出が併せて発生したときに、両演出が一つの演出であると誤解されてしまうのを防止することが可能である。また、両演出を把握するための感覚が異なるため、両演出が併せて発生したときの印象を高めることが可能である。
【0049】
・手段4
前記第一演出が発生するタイミングとして、発生する演出の態様が前記複合演出態様となる一または複数の特定タイミングが設定されていることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
【0050】
このように、複合演出態様が発生するタイミングが設定されていれば、一度複合演出態様による演出発生を経験した遊技者は当該タイミングが訪れたときに複合演出態様による演出発生を期待することになる。
【0051】
・手段5
前記特定タイミングは、前記第一演出が発生しうるそれ以外のタイミングよりも、前記第一演出が発生する蓋然性が高く設定されていることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
【0052】
特定タイミングにおいて第一演出が発生する確率が高い、すなわちそれ以外のタイミングにおいて第一演出が発生する確率が低いものとすれば、特定タイミング以外のタイミングにおいては(複合演出態様に比して)目立たない単独演出態様で第一演出が発生する場合が多くなるため、演出を注視していなければ第一演出の発生に気付かないことも多くなる。よって、実行されている演出に対する遊技者の注目度合を高めることが可能となる。
【0053】
・手段6
前記第一演出が発生し得る全てのタイミングのうち、前記特定タイミングとして設定されるものの数は、それ以外のタイミングとして設定されるものの数よりも少なく設定されていることを特徴とする手段4または手段5に記載の遊技機。
【0054】
このような構成とすれば、(複合演出態様に比して)目立たない単独演出態様で第一演出が発生するタイミングが多くなるから、実行されている演出に対する遊技者の注目度合をさらに高めることが可能となる。
【0055】
・手段7
前記特定タイミングの少なくとも一つとして、結末によって当否判定結果が示唆される特定演出への移行時が設定されていることを特徴とする手段4から手段6のいずれかに記載の遊技機。
【0056】
特定演出への移行時は遊技者が注目する状態であるといえる。このようなタイミングにおいては、(単独演出態様に比して)目立つ複合演出態様で第一演出を発生させるとよい。
【0057】
・手段8
前記第一演出は、発生によって当否判定結果が当たりとなることが確定するものであることを特徴とする手段1から手段7のいずれかに記載の遊技機。
【0058】
このように、第一演出はいわゆる当たり確定演出であるとよい。
【符号の説明】
【0059】
1 遊技機
10 識別図柄
20 発光ユニット(第一手段)
30 スピーカ(第二手段)
91 表示装置
911 表示領域