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  • 特許-靴下型サポーター 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】靴下型サポーター
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/06 20060101AFI20230130BHJP
   A41B 11/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
A41D13/06
A41B11/00 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018003618
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019123952
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】508098534
【氏名又は名称】モディアクリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】國井 真澄
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3196230(JP,U)
【文献】特開2003-299685(JP,A)
【文献】国際公開第2011/090193(WO,A1)
【文献】特開2007-332469(JP,A)
【文献】特開2007-332470(JP,A)
【文献】特開2012-144814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/06
A41B11/00-11/14
A61F5/01
A61F13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内股歩行、外股歩行、歩行姿勢を正しく矯正するための靴下型サポーターであって、
足根中足関節(リスフラン関節)部分と踝部分を固定するための帯状のストレッチ生地を部分的に含んでおり、
前記帯状のストレッチ生地は、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝までの部分を形成しており、足根中足関節(リスフラン関節)よりも足先側の部分と踵部分は開放されていることを特徴とする靴下型サポーター。
【請求項2】
さらに、帯状のストレッチ生地で踝より上側の足首周囲部分を形成していることを特徴とする請求項1に記載の靴下型サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基本的に靴下であるため日常的に手軽に装着することができる、即ち、一日中装着していても全く気にならない靴下型サポーターに関する。さらに言えば、踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))を部分的に固定することにより、生活習慣となってしまった内股歩行、外股歩行、及び歩行姿勢を正しく矯正する靴下型サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、足首等に装着するサポーターは、適度な伸縮性を備えた素材から形成されており、安定した圧迫固定ができるため、足首等を強化、補強することで怪我を未然に予防するものである。また、足首等をしっかりと固定することで、歩行時において重心がブレないため、歩行が楽になるという効果が期待できるものである。日常生活に適したもの、スポーツ用のもの、足の捻り癖の保護用等があり、使用目的と足首等の状態に合わせて選択することができる。
【0003】
しかしながら、現状市販されているサポーターは、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))から踝全体に亘って、伸縮性(弾力性)を備えた素材で覆ってしまっている。そのため、足首から足先に繋がっている血管を圧迫して血流を阻害しているし、足首を曲げる際に長趾伸筋や長母趾伸筋等の筋が自由に動かすことができない等の問題が起きている。即ち、血管を圧迫することで浮腫みが発生しやすくなるし、階段等の段差のある場所における歩行や自動車運転等の足首の曲げ伸ばしを必要とする際には、特に注意が必要となり、日常生活の中で長時間の装着は難しいのが現状である。
【0004】
一方、姿勢が悪くなる原因のひとつとして、長時間にわたって同じ姿勢をとり続けていることが考えられる。デスクワークのような動く動作が少ない生活をする人は、血流が悪い状態で筋肉が固まってしまい、結果的に歩行姿勢も悪くなってしまう。歩行姿勢を矯正するための製品が多く知られているが、何れも各個人の症状等に適合させて製作する必要があるため高価になってしまい、なかなか普及しないという現状があった。かかる現状に鑑み、悪い姿勢を矯正するための、例えば、靴下のように日常的に何の違和感も無く装着できるような製品開発が望まれていた。
【0005】
特許文献1には、「装着時に足首に他の部分より高い圧迫圧がかかる靴下または筒状の下肢用サポーターであって、履く際の力を低減できる靴下または筒状の下肢用サポーターを提供する。」ことを課題として、「装着時に、足首およびふくらはぎに、足首からふくらはぎへと順次圧迫圧が小となる圧迫圧分布が作用するように編成される靴下または筒状の下肢用サポーターであって、レッグ部正面とフート部正面との間の足首部を被覆する領域が、他の領域より大きな編目で編成される、靴下または筒状の下肢用サポーター(特許文献1:解決手段)。」靴下または筒状の下肢用サポーター(特許文献1:発明の名称)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-145548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る靴下または筒状の下肢用サポーター(特許文献1:発明の名称)は、
下肢の疲れ等を防止するために、足首部分において圧迫力が最大で「ふくろはぎ」に向かって段階的に圧迫力が小さくなっていくように設計された靴下(サポーター)を力の弱い老人や女性であっても履けるように工夫されたものである。その特徴としては、レッグ部正面とフート部正面との間の足首部を被覆する領域が、力の弱い老人や女性であっても履けるように他の領域より大きな編目で編成される靴下または筒状の下肢用サポーター(特許文献1:発明の名称)である。
【0008】
確かに、特許文献1に係る靴下または筒状の下肢用サポーター(特許文献1:発明の名称)は、外観的には本発明と同様の靴下型のサポーターである。しかしながら、装着時に足首から「ふくらはぎ」にかけて順次圧迫圧が小さくなるように工夫して編成されることにより履く際の力を低減できる、要するに、力の弱い老人や女性であっても履きやすい靴下または筒状の下肢用サポーターということであり、本願発明のように歩行姿勢を矯正する効果は全く考慮されていない。
【0009】
本発明の目的は、踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))を部分的に固定することにより、生活習慣となっている、内股歩行、外股歩行、及び歩行姿勢を正しく矯正するための、基本的に靴下であるため日常的に手軽に装着することができる靴下型サポーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、内股歩行、外股歩行、歩行姿勢を正しく矯正するための靴下型サポーターであって、足根中足関節(リスフラン関節)部分と踝部分を固定するための帯状のストレッチ生地を部分的に含んでおり、前記帯状のストレッチ生地は、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝までの部分を形成しており、足根中足関節(リスフラン関節)よりも足先側の部分と踵部分は開放されていることを特徴とする靴下型サポーターであることを特徴とするものである。尚、本明細書において、ストレッチ生地とは伸縮性と弾力性を備えており、引っ張られた際、元に戻ろうとする力がより大きい特徴を有する生地のことである。さらに、足根中足関節(リスフラン関節)とは、足の中央にある第1趾(母趾)~第5趾(小趾)の後方と、足根骨の前方の間にある5本の管状骨のことである。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、さらに、帯状のストレッチ生地で踝(くるぶし)より上側の足首周囲部分を形成していることを特徴とする請求項1に記載の靴下型サポーターであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る靴下型サポーターによれば、帯状のストレッチ生地は、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分を形成している。従って、踝、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))に対して、(本発明に係る)靴下型サポーターを使用することで部分的に固定することにより、筋肉バランスの悪い動きを繰り返した結果、悪い姿勢の状態で筋肉が固まってしまい、最終的に生活習慣となってしまった内股歩行、外股歩行、及び悪い歩行姿勢(猫背等)を正しく矯正する、日常的に手軽に装着することができる靴下型サポーターを実現することができるようになった。敢えて踝よりも上側を固定しないで緩めているので、結果的に歩行を手助けすることになり、筋肉が弱ったため背筋が曲がってしまった高齢者等であっても使用することができる。
【0014】
請求項2に係る靴下型サポーターによれば、さらに、帯状のストレッチ生地で踝より上側の足首周囲部分を形成しているので、筋肉が弱った高齢者等では無くて通常の筋肉を有する者が、加えて足首周囲部分も固定することで、より効果的に内股歩行、外股歩行、及び悪い歩行姿勢(猫背等)を正しく矯正することができる、日常的に手軽に装着することができる靴下型サポーターを実現することができるようになった。尚、踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分と踝より上側の足首周囲部分は繋がっており、連続的に形成されている。
【0015】
請求項3に係る靴下型サポーターによれば、足根中足関節(リスフラン関節)よりも足先側の部分と踵部分は開放されている。具体的には生地で覆われておらず、靴下であれば破れやすい部位である足根中足関節(リスフラン関節)よりも足先側の部分と踵部分が最初から無い。抑々、この部分が破れることが無く、従って破れてしまうことで使い捨てることが無く、より長い期間使用することができるようになった。さらに、請求項3に係る靴下型サポーターの上に重ねて靴下を履くことで他人に気づかれることなく装着することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例に係る靴下型サポーター(高齢者向け)を足先に装着した状態を示す図である。
図2】靴下型サポーター(一般向け)を足先に装着した状態を示す図である。
図3】靴下型サポーター(足先の足根中足関節よりも先端部分、及び踵部分開放型)を足先に装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<靴下型サポーターの矯正理論>
ヒトは、直立姿勢を採ろうとする際、脳から足首付近の各筋肉に向けて電気信号を送り、足首付近の各筋肉を収縮させることで、直立姿勢を保っている。通常は、生活習慣等の影響を受けながら、その人が最も直立姿勢を保ち易いように足首付近の各筋肉を収縮させ、その人固有の垂直方向における足先の角度、及び水平方向における足先の角度(開度)で直立姿勢を保っている。
【0018】
歩行時の姿勢は、直立姿勢をベースにして、体重を水平方向に移動した(結果としての)姿勢になる。即ち、足先が内向きであれば内股歩行、足先が外向きであれば外股歩行になる。本来、2本の足先の角度は平行か少しだけ外股で歩行することが良いとされているが、生まれつき(体質、遺伝等)、いわゆる生活習慣、年齢、仕事等における作業姿勢、妊娠・出産等の様々な要因により、骨盤や背筋等のバランスが崩れることにより身体の重心位置が移動して、それに合わせる様に歩行時のバランスの取り方(脳から足首付近の各筋肉に向けて送られる電気信号による筋肉の収縮の仕方)が変化していき、その結果、歩行姿勢が乱れて内股歩行や外股歩行になる。要するに、足先(足首を含んだ先端側)は体重を水平方向に移動するための動作において最も重要な箇所であり、それらの動作により、歩行時のバランスを保っている。
【0019】
内股歩行とは、足先が内側に向いた状態で、体重が踵内側から足の小指方向に移動させつつ歩行している状態である。内股歩行時においては、上腓骨筋支帯や下腓骨筋支帯や下伸筋支帯が伸縮している。一方、外股歩行とは、足先が外側に向いた状態で、体重が踵外側から足の親指方向に移動することにより歩行している状態である。外股歩行時においては、内股歩行時程では無いが屈筋支帯が伸縮している。尚、上腓骨筋支帯、下腓骨筋支帯、下伸筋支帯、屈筋支帯は、足首を支えるためのものであり、歩行時に伸縮することは好ましくないとされている。
【0020】
本発明に係る靴下型サポーター10を、内股歩行や外股歩行の癖のある人、或いは、歩行姿勢の悪い人が装着することで、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(くるぶし)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(くるぶし)までを部分的に固定(締め付けること)しても違和感は無い。しかしながら、一旦、直立しようとして脳から、足先の各筋肉に電気信号が送られて、踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))付近の各筋肉を収縮させようとすると、その瞬間、踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))の各筋肉は、本発明に係る靴下型サポーター10により部分的に固定されているため、自由に動かないことを(脳が)認知し、(脳は)脳から発せられる電気信号の修正を余儀なくされることになる。
【0021】
要するに、本発明に係る靴下型サポーター10に部分的に拘束された状態であっても直立姿勢を保つことができるような(修正された)電気信号を踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))付近の各筋肉に送ることになる。尚、本明細書において「(足首の)前後方向の動き」とは、人が床等に座った状態から立ち上がる際(及びその逆)の足首の動き(足先部分が引き上げられる方向(及び足先を伸ばす方向に動く))のことである。
【0022】
本発明に係る靴下型サポーター10を装着した状態で、人が直立姿勢を採ろうとして踵骨腱(下腿三頭筋)に力を入れると、靴下型サポーター10により部分的に固定された箇所が、(足首の)前後方向の動きの中心となり、多少、踵骨腱(下腿三頭筋)に力が入り過ぎた状態となり、僅かに足首を伸ばすように足の指先に力が働くため、重心位置を足の指先方向から踵骨(踵)方向へ誘導する効果が得られる。その効果により、ヒトの身体は、後ろに倒れるような感覚となり、その一方で、脳は直立状態を維持しようとして、自然に背筋を伸ばして重心位置をもとの位置(指先方向)に戻すように各筋肉に向けて、修正された電気信号を送り筋肉を収縮させる。
【0023】
(脳から発する電気信号が修正された結果)修正された電気信号により平衡感覚を維持しながら立とうとして直立姿勢になった時には足先の角度(垂直方向における角度、及び水平方向における角度)が変わる。即ち、足の指先方向から踵骨(踵)方向へ重心位置が誘導された結果、ヒトの身体は、後ろに倒れるような感覚となるので、脳は直立状態を維持しようとして、自然に背筋を伸ばす方向に矯正されるし、二本の足先の水平方向における角度(開度)においては、並行かやや外側の状態(理想的な状態)で直立するようになる。かかる状態で歩行すると内股歩行や外股歩行が矯正され、しかも、背筋を伸ばす方向に矯正されるので正しい姿勢で歩くことができるようになる。要するに、本発明に係る靴下型サポーター10により、装着した人の自覚症状の有無に関わらず、姿勢が正しく矯正されるようになる。以上が、本発明に係る靴下型サポーター10における姿勢を正しく矯正する理論的な裏付けである。
【0024】
<靴下型サポーターの構造、及び装着方法>
以下、本発明に係る靴下型サポーター10の一実施形態について、図1図3に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施例に係る靴下型サポーター(高齢者向け)を足先に装着した状態を示す図である。
【0025】
本発明に係る靴下型サポーター10は、内股歩行、外股歩行、歩行姿勢を正しく矯正するために、踝(及び足首)、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))を部分的に固定するために締め付ける姿勢矯正用の靴下型サポーター10である。図1に記載したように、本実施例に係る靴下型サポーター10(高齢者向け)は、足根中足関節(リスフラン関節)部分と踝(内果、及び外果)部分を固定するための帯状のストレッチ生地20を部分的に含んでおり、帯状のストレッチ生地20は、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分を形成している。それ以外の部分は通常の靴下に使用する生地を使用している。装着する際は、ストレッチ生地20が、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分に来るように装着する。尚、帯状のストレッチ生地20の幅は15mm~25mm程度である。
【0026】
本明細書においてストレッチ生地20とは、通常の生地との比較において、伸縮性(弾力性)があり、伸ばした後、元に戻ろうとする力が通常の生地よりも大きい生地のことを言う。ストレッチ生地20は、通常においては合成繊維であることが多いが、コットンやリネン等の天然繊維と混紡されても良い。ストレッチ・ジャージー等の緯編み(横方向から糸が供給され横方向に編目を作っていく編み方)で編まれた生地は、もともと伸縮性があり、これらのストレッチ生地20は2方向、または4方向に伸びる性質を持っている。2方向に伸縮性のある生地は決まった方向、例えば布の端から端に向けて伸びる性質を持っており、4方向に伸縮性のある生地は縦横どの方向にも伸びる特徴を持っている。本発明においては、ストレッチ生地20は、2方向に伸縮性のある生地であれば足りる。
【0027】
図2は、本実施例に係る靴下型サポーター(一般向け)を足先に装着した状態を示す図である。本実施例に係る靴下型サポーター10(高齢者向け)は、足根中足関節(リスフラン関節)部分と踝(内果、及び外果)部分を固定するための帯状のストレッチ生地20を部分的に含んでおり、帯状のストレッチ生地20は、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分を形成している。それ以外の部分は通常の靴下に使用する生地となっている。それに加え、帯状のストレッチ生地で踝より上側の足首周囲部分を形成している。装着する際は、ストレッチ生地20が、足根中足関節(リスフラン関節)を含んだ足先周囲部分、及び踝(内果または外果)から下方向に延伸して足底を回って反対側の踝(外果または内果)までの部分に、さらに、踝より上側の足首周囲部分に来るようにする。
【0028】
図3は、本実施例に係る靴下型サポーター(足先の足根中足関節よりも先端部分、及び踵部分開放型)を足に先装着した状態を示す図である。特徴としては、足根中足関節(リスフラン関節)よりも足先側の部分と踵部分は開放されていることである。それ以外の構成は、図1に係る靴下型サポーター10(高齢者向け)、若しくは図2に係る靴下型サポーター10(一般向け)と同じである。装着する際は、足先の足根中足関節よりも先端部分、及び踵部分が丁度解放された部分に来るようにして装着することになる。
【0029】
本発明に係る靴下型サポーター10は、靴下と同じように終日装着することになるため、直接、皮膚に接触することを考慮して、綿(コットン)・ポリエステル混合品、麻等の素材を使用することが好ましい。そして、ストレッチ生地20に使用される伸縮する素材は、伸縮する素材であれば特に制限されるわけでは無いが、耐久性、及び皮膚への影響を考慮すると、伸縮自在の合成繊維と言われているポリウレタン系のストレッチ素材が好ましい。
【0030】
足根中足関節(リスフラン関節)部分と踝(内果、及び外果)部分を部分的に固定するための帯状のストレッチ生地20は、素材自体の伸縮性、弾力性という概念から離れて、繊維の編み方次第で伸縮性のある生地にすることができるし、スパンデックスやポリウレタン等のように繊維自体に元来伸縮性のあるものを使用することによりストレッチ性のあるストレッチ生地20にすることができる。
【0031】
ストレッチ生地20の実際の弾力性は、ストレッチ生地20を構成する繊維に左右される。繊維の選択によって元の長さ(大きさ)よりも5%から最大で500%にまで伸びるストレッチ性を持つ生地にすることができる。一般的に伸張性と元の大きさに戻ろうとする回復力が15%程度であれば、その生地はストレッチ生地であると言える。本発明に係るストレッチ生地20は、各個人に合わせて様々な値を採ることができるが、履き心地や歩行姿勢を矯正する効果等を考慮すれば、20%~70%の伸縮性(弾力性)であることが望ましい。
【0032】
<靴下型サポーターの効果>
現在、医療用等で多く使用されている市販のサポーターは、その多くが伸縮性素材を使用しており、簡単に使用できる反面、効果が得られない場合がある。例えば、本来であれば圧迫すべきではない血管や筋が通っている足の甲(リスフラン関節)から踝(内果、及び外果)の間が市販のサポーターを装着することで圧迫され過ぎてしまい、浮腫みが出る、鬱血する等の問題があるし、上伸筋支帯、及び下伸筋支帯がサポーターで覆うことで圧迫されてしまい、人が床等に座った状態から立ち上がる際の足首の動き(足先部分が引き上げられる方向に動く)に対して、長趾伸筋、長拇趾伸筋、前脛骨筋等が圧迫されて曲げにくい状態となるため、日常の生活において歩行し難いという問題がある。
【0033】
これらの市販のサポーターにおける問題を解決することを前提として、さらに、本発明に係る靴下型サポーター10の開発コンセプトは、「一日中、装着していても気にならない足首装具」というものである。この開発コンセプトを実現するために必要なことは、足の甲(足根中足関節(リスフラン関節))部分と踝(内果、及び外果)部分の間は、血管や筋が通っているため締め付けないこと、要するに、長趾伸筋、長拇趾伸筋、前脛骨筋、前脛骨動脈等が圧迫されないようにすることである。本発明に係る靴下型サポーター10は、かかる条件を備えることで、浮腫みが無くなり長時間の装着が可能になる。付言すれば、靴下としての使用と全く変わらないため、靴のサイズを全く気にすることなく装着することができる。
【0034】
そして、本発明に係る靴下型サポーター10のストレッチ生地20の作用により、足首の動きの中心になっている踝(足底を経由して、内果から外果に亘って)を連続的に固定すること、(要するに、長趾伸筋、長拇趾伸筋、前脛骨筋等よりも歩行時における動作の少ない屈筋支帯、上腓骨支帯、下腓骨支帯、足底筋腱(土踏まずの形成に極めて重要)等を締め付けることにより固定すること)により、土踏まずを形成(偏平足からの脱却により疲れ難くなる)しつつ、内股歩行や外股歩行等が矯正されて安定し、矯正された正しい歩行姿勢を保持できることができる。
【0035】
上腓骨筋支帯、下腓骨筋支帯、下伸筋支帯、屈筋支帯は、足首を支えるためのものであり歩行時に伸縮することは好ましくないとされている。本発明に係る靴下型サポーター10のストレッチ生地20の締め付け作用により、上腓骨筋支帯、下腓骨筋支帯、下伸筋支帯、屈筋支帯を締め付けることにより固定することによる効果である。さらに、付け加えると本発明に係る靴下型サポーター10は、アキレス腱を締め付けることが無いので足首の動きが悪くならない。
【0036】
靴下型サポーター10で締め付けることにより固定された各筋肉や腱が、(正常な動作であれば問題無いが)、脳から発信された信号により、悪い姿勢になる動作をするように指示された時に、踝(及び足首)、足の甲(リスフラン関節)を拘束していることで、脳から発信された信号(悪い姿勢になる動作をするように指示)に対して修正を加えて、正しい姿勢になる動作をするように筋肉に指示する信号を脳から送るようにすることができる。靴下型サポーター10は、連日装着し続けることにより、脳から発せられた信号が異常動作の時に常時修正されることで脳が学習をし、脛骨と腓骨およびその周囲の筋肉の使い方が変化することになり、習慣化することで内股歩行や外股歩行等を矯正し、歩行姿勢を正しく矯正をすることができる。
【0037】
靴下型サポーター10を装着することにより、短腓骨筋腱、長腓骨筋腱、第3腓骨筋腱、前脛骨筋腱、後脛骨筋腱、長趾屈筋腱、長母趾屈筋腱を部分的に固定することができ、これらの相乗効果により内股や外股で立つことができなくなる。そして、足裏にある足底腱膜、足底方形筋、母趾外転筋、小趾外転筋等も固定されることで、偏平足と診断された人であっても疑似的に土踏まずを形成することになり、生活上、歩き易くなり、疲れにくくなる。さらに、中足骨より先の関節も前記の腱膜や各筋が固定されることにより、歩行時に足先の指関節が開き、安定的な歩行ができるようになる。更なる効果として、靴を履いた時に靴と足との間にゆとりができ、外反母趾やイボやタコの部分的に起こる痛みを緩和することができる。
【0038】
<サポーターの変更例>
本発明に係る靴下型サポーターは、上記した各実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ストレッチ生地等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る靴下型サポーターは、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、生活習慣となってしまった内股歩行、外股歩行、及び歩行姿勢を正しく矯正する日常的に装着することができる靴下型のサポーターとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
10・・靴下型サポーター
20・・ストレッチ生地
図1
図2
図3