(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A63F7/02 333Z
(21)【出願番号】P 2018032785
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2021-02-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 一功
【審査官】大井 夕希奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050857(JP,A)
【文献】特開2019-088635(JP,A)
【文献】特開2019-141401(JP,A)
【文献】特開平08-117428(JP,A)
【文献】特開平10-249007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する遊技設定を変更することが可能な遊技機であって、
遊技店に固定された支持部材に対し、前方から見て左側に設定される回動軸を中心として回動自在に支持された本体ユニットと、
前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、前記遊技設定を変更する際に操作される操作部と、
前記本体ユニットの後側における前記操作部とは異なる位置に設けられた部分であって、設定キーが挿入される切替部と、
前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、現状の前記遊技設定を表示する表示部と、
を備え、
前記設定キーを用いて前記切替部を操作することで、前記操作部が操作されると前記遊技設定が変更される変更可能状態と、前記操作部が操作されても前記遊技設定が変更されない変更不能状態とが切り替わるものであり、
前記本体ユニットを後方から見て、
前記操作部
の全体および前記表示部
の全体のいずれもが、遊技機を幅方向に二分する中央線よりも右側に設けられるとともに、
前記操作部
の全体が、前記表示部
の全体よりも、右側かつ下側に設けられている
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
大当たりの当選確率等の遊技設定を変化させることができる遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技設定を変更する作業を容易にすることが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技に関する遊技設定を変更することが可能な遊技機であって、遊技店に固定された支持部材に対し、前方から見て左側に設定される回動軸を中心として回動自在に支持された本体ユニットと、前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、前記遊技設定を変更する際に操作される操作部と、前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、現状の前記遊技設定を表示する表示部と、を備え、前記本体ユニットを後方から見て、前記操作部の方が、前記表示部よりも、右側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、遊技設定を変更する作業を容易にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる遊技機を模式的に示した正面図である。
【
図2】支持部材に対し、前面枠および本体ユニットを回動させた状態を模式的に示した斜視図である。
【
図3】(a)は原位置に位置する本体ユニットを後方から見たと仮定した場合における操作部と表示部の位置関係を示した図であり、(b)は遊技設定の変更操作の概要を説明するための図である。
【
図4】(a)は遊技設定用の回路の概要を説明するための図であり、(b)は回路の論理と遊技機の状態の関係を説明するための図である。
【
図5】一般的な遊技設定用の回路を説明するための参考図(本実施形態の回路と比較するための図)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
○全体構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤21を備える。遊技盤21は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置62(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域211に案内する通路を構成するガイドレール95が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域211には、始動入賞口92、大入賞口93、アウト口94などが設けられている。表示装置22の表示領域221は、遊技盤21に形成された開口212を通じて視認可能となる領域である。
【0011】
また、遊技領域211には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域211を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置96を操作することにより遊技領域211に向けて遊技球を発射する。遊技領域211を流下する遊技球が、始動入賞口92や大入賞口93等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿、大当たりの抽選方法等、本発明に関係のない遊技機1の構成要素や制御態様については説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
○遊技設定に関する構造
以下、遊技に関する設定(遊技設定)調整するための構造について説明する。なお、以下の説明における前後方向とは遊技盤面に直交する方向(遊技者側を前とする)をいい、上下方向とは重力方向をいい、左右方向(幅方向)とは遊技機1(遊技盤21)に正対する遊技者視点での左右方向をいうものとする。また、後述するように、本実施形態にかかる遊技機1を構成する少なくとも一部の部材(ユニット)は、その位置を変化させることが可能なものであるが、特に明示した場合を除き、各方向や位置は、各部材が原位置(遊技可能な状態)にあるときを基準としていうものとする。
【0015】
本実施形態にかかる遊技機1は、支持部材10、本体ユニット20、前面枠30を備える(
図1および
図2参照)。支持部材10は、遊技店(遊技店に設けられるいわゆる「島」設備)に動かないように固定されるものである。支持部材10それ自体の構造はどのようなものであってもよい。本実施形態における支持部材10は、全体として略方形状の枠形状を呈する。
【0016】
本体ユニット20は、遊技機1の本体部分(遊技機能を発現する部分)である。本実施形態における本体ユニット20は、遊技盤21、表示装置22、および本体部23を含む。上述した通り、遊技盤21は、遊技釘や各種入賞口等が固定された部材であって、その前面側に遊技球が進入可能な遊技領域211が構築されるものである。表示装置22は、その表示領域221が遊技盤21に形成された開口212を通じて視認されるものであり、遊技領域211に表示される画像(静止画、動画の両方を含む)により遊技性を向上させる種々の演出が実行されるものである。当否判定結果を示す図柄も当該表示装置22の表示領域221に表示される。
【0017】
本体部23は、大当たりの抽選等の各種抽選を実行する回路が構築された基板(主制御基板)や、表示装置22の表示領域221において実行される演出を制御する回路が構築された基板(副制御基板)等を含む部分である。つまり、遊技をコントロールする部分である。本実施形態における本体部23は、大当たり抽選に当選する確率(以下、単に当否抽選確率と称することもある)である遊技設定を変化させる構成を含む。遊技店は、当該遊技設定を調整することにより、いわゆる出玉の期待値を変化させることができる。本実施形態では、「設定1」、「設定2」、「設定3」の三段階が設けられており、当否抽選確率は設定1が最も高く、設定3が最も低い。つまり、設定1が最も遊技者にとって有利な遊技設定であり、設定3が最も遊技者にとって不利な遊技設定である。以下に説明するものを除き、遊技設定を調整するための構造(回路等)はどのようなものであってもよいから、説明を省略する。
【0018】
本体ユニット20の後側には、遊技設定を調整するための構造の一部として操作部20aが設けられている(
図2等参照)。操作部20aは、遊技店(遊技店員)が、任意の遊技設定とすることが可能なものであればよい。本実施形態における操作部20aは、遊技設定を変更するための操作ボタンである。遊技設定を変更することが可能な変更可能状態にあるときには、当該操作部20aを操作することにより遊技設定が変化する(
図3(b)参照)。操作部20aの具体的態様はどのようなものであってもよい。操作対象(押しボタン等)が一つのみであり、変更可能状態にあるときには当該操作対象を操作することで遊技設定が所定の順で(例えば、設定1→設定2→設定3→設定1・・・といった順で)切り替わっていくような構成としてもよいし、各設定(設定1~3)に対応づけられた複数の操作対象が設けられ、変更可能状態にあるときにいずれかの操作対象を操作することでそれに対応した遊技設定となるような構成としてもよい。
【0019】
本実施形態では、本体ユニット20の後側に設定キーKを挿入する鍵穴20cが設けられており(
図2、
図3(a)参照)、当該鍵穴20cに設定キーK(
図3(b)参照)を挿入して所定位置まで回すこと(鍵のシリンダ(後述する切替部材40に相当する)を回すこと)により遊技設定が変更可能な変更可能状態と、変更不可能な変更不能状態が切り替えられる。つまり、変更可能状態と変更不能状態とを切り替える切替手段が設けられる。通常(遊技店の営業中等、遊技設定の変更をしないとき)には変更不能状態とされ(設定キーKが鍵穴20cに挿入されていない状態)、遊技設定を変更するときに設定キーKを挿入して変更可能状態とした上で操作部20aが操作されることになる(
図3(b)参照)。
【0020】
また、本体ユニット20の後側には、操作部20aとともに現状の遊技設定を表示する表示部20bが設けられている(
図2等参照)。本実施形態では、少なくとも、変更可能状態にあるときに、表示部20bに現状の遊技設定(変更後の遊技設定)が表示される。それ以外の状況においても表示部20bに現状の遊技設定が表示されるようにしてもよい。本実施形態では、現状の遊技設定が設定1、設定2、設定3のそれぞれであるときには、表示部20bには数字の「1」、「2」、「3」が表示される(
図3(b)参照)。遊技設定を変更等する遊技店は、表示部20bに表示される数字を見て、現状の設定を確認しつつ、遊技設定の変更作業等を行うことになる。このように、本体ユニット20の後側には、操作部20aおよび表示部20bが露出した状態で設けられている。なお、ここでいう「露出」した状態とは、操作部20aや表示部20bを覆うようなカバー(原位置に位置するときに操作部20aや表示部20bを覆い、開位置に位置させることにより操作部20aや表示部20bが露出するようなカバー)により被覆されたような態様を含む。つまり、本体ユニット20の後側から操作部20aを操作することや、表示部20bが視認可能な態様のものであればよく。通常状態において実際に露出していることを必須とするものではない。
【0021】
本実施形態では、操作部20aの方が、表示部20bよりも左側に設けられている。つまり、操作部20aの方が、表示部20bよりも回動軸C(詳細は後述)に近い側に設けられている。本体ユニット20(遊技機1)を後方から見たと仮定すれば、操作部20aが回動軸Cに近く、表示部20bが(操作部20aよりも)回動軸Cから離れた位置関係にあるということである(
図2、
図3(a)参照)。このような位置関係で操作部20aおよび表示部20bを配置していることの作用については後述する。
【0022】
本体ユニット20は、支持部材10に対して回動自在に取り付けられている。支持部材10に対して直接取り付けられていてもよいし、別の部材(蝶番等)を介して間接的に取り付けられていてもよい。本実施形態では、支持部材10の左側に対し、本体ユニット20の左側が回動自在に取り付けられている。つまり、支持部材10に対する本体ユニット20の回動軸C(回動中心を示す上下方向に沿う仮想線)は、遊技機1の左側(遊技機1を正面から見たときにおける左側)に設定されているということである(
図2参照)。本体ユニット20は、その右側を手前に変位させるようにすることで、支持部材10に対して回動することになる。なお、支持部材10に対して本体ユニット20を変位させることで、回動軸Cの位置が変化するような構造としてもよい。いずれにしても、支持部材10における左側を支点として、本体ユニット20が変位するような構造である。
【0023】
前面枠30は、遊技盤21の前方に形成された遊技領域211を覆うものである。前面枠30は公知のものと同様の構造とすることができる。前面枠30は透明な板材で形成された透明板31(
図1参照)を有し、当該透明板31を通じて遊技領域211(遊技領域211を流下する)が視認される。当該前面枠30も、支持部材10に対して回動自在に取り付けられている。支持部材10に対する前面枠30の回動軸Cは、支持部材10に対する本体ユニット20の回動軸Cと同じである。したがって、支持部材10に対し、前面枠30と本体ユニット20を一緒にして回動させることもできる。具体的には、本体ユニット20を原位置に位置させたまま(支持部材10に対して変位させずに)、前面枠30を支持部材10に対して回動させること(図示せず)もできるし、前面枠30と本体ユニット20を一体的に支持部材10に対して回動させること(
図2のように回動させること)もできる。また、前面枠30を支持部材10に対して回動させた後、本体ユニット20を支持部材10に対して回動させることができる。いずれにしても、前面枠30は本体ユニット20よりも前側に設けられているから、前面枠30を前方に回動させないと、本体ユニット20を前方に回動させることができない。
【0024】
本実施形態では、原位置(遊技可能な状態)においては、本体ユニット20および前面枠30の右側が支持部材10の右側にロックされる。図示しないが、前面枠30の前側には、当該ロックを解除するためのロック解除キーを挿入可能な鍵穴が設けられている。ロック解除キーを操作することで、支持部材10に対する本体ユニット20や前面枠30のロックを解除することができる。具体的には、支持部材10に対する前面枠30のロックのみが解除された状態(前面枠30のみ支持部材10に対して回動させることができる状態)、支持部材10に対する本体ユニット20と前面枠30のロックの両方が解除された状態(本体ユニット20と前面枠30の両方が支持部材10に対して回動させることができる状態(
図2に示すように回動させることができる状態))のいずれかに設定することができる。
【0025】
上述したように、遊技店が遊技設定の変更を行う際には、表示部20bを見つつ、操作部20aを操作することになる。操作部20aおよび表示部20bは、本体ユニット20の後側に設けられていることから、本体ユニット20が原位置に位置しているときには露出した状態にない。つまり、本体ユニット20が原位置に位置しているときには、遊技設定の変更を行うことができない。したがって、遊技設定の変更を行う際には、本体ユニット20の右側が手前に変位するようにして、支持部材10に対して本体ユニット20を回動させる(
図2に示すような状態とする)ことになる。
【0026】
遊技設定の変更を行う者(以下、作業者と称することもある)は、支持部材10に対して本体ユニット20が回動することによって生じる回動軸Cとは反対側(本実施形態では右側)の空間(本体ユニット20と支持部材10の間の空間)から手等を差し入れることにより、操作部20aを操作し、遊技設定を任意のものに変更する。上述した通り、本実施形態では、操作部20aの方が表示部20bよりも回動軸Cに近い側に設けられているが、これとは逆に、仮に表示部20bの方が操作部20aよりも回動軸C側に設けられているとすると、操作部20aの方が表示部20bよりも作業者側(上記空間側)に位置することになる。したがって、作業者から見て手前側に位置する操作部20aを操作する作業者の手等が邪魔になって表示部20bが見えにくくなってしまう。表示部20bが見えないと、遊技設定を切り替えたときに現状の設定がどれであるのか(本実施形態では設定1~3のどれであるのか)分からないから、作業が円滑に進まない。一方、本実施形態のように、操作部20aの方が表示部20bよりも回動軸Cに近い側に設けられていれば、表示部20bの方が操作部20aよりも作業者側(上記空間側)に位置することになる。したがって、作業者から見て奥側に位置する操作部20aを操作する作業者の手等が邪魔になって表示部20bが見えにくくなってしまうことが抑制される。
【0027】
このように、本実施形態にかかる遊技機1によれば、遊技設定の変更を行う作業者の手等が邪魔になって表示部20bが見えにくくなってしまうことが抑制されるから、遊技設定の変更作業が容易である。特に、遊技機1の前側には、各種装飾、遊技球を貯留する領域(いわゆる上皿や下皿)、発射装置96(発射ハンドル)等、前面枠30の透明板31よりも前方に突出する部材や装置等が設けられているため、これらの部材や装置等の大きさが大きくなるほど、本体ユニット20の回動範囲が小さくなる。また、遊技店に設置されている遊技機同士を区切るようなもの(例えば、分煙ボード)が設けられている場合、それと干渉しない範囲でしか本体ユニット20を回動させることができない。つまり、上記空間をそれほど大きくすることができないことが想定されるため、本実施形態のような位置関係で、本体ユニット20に操作部20aおよび表示部20bを配置することが有効である。
【0028】
さらに好ましくは、操作部20aの方が、表示部20bよりも下方に位置しているとよい(
図3(a)参照)。つまり、回動軸Cに近い側に位置する操作部20aが下、回動軸Cに遠い側に位置する表示部20bが上の関係にあるとよい。遊技機の設置高さは座って遊技する人(遊技者)に合わせたものとされるため、遊技設定を変更しようとする際に立って作業する作業者にとっては操作部20aや表示部20bは自身の目よりも下方に位置することになる。つまり、作業する際の目線は下方に向かうものとなるため、操作部20aの方が表示部20bよりも下方に位置していれば、作業者から見て奥側に位置する操作部20aを操作する際に、当該操作部20aよりも手前側かつ上方に位置する表示部20bが、作業者の手等によって見えにくくなるおそれがさらに低減されることになる。
【0029】
また、さらに好ましくは、操作部20aおよび表示部20bは、遊技機1を幅方向に二分する中央線よりも回動軸Cに近い側(本実施形態では左側)に設けられているとよい。回動軸Cよりも離れた側に設けられていると、支持部材10に対して本体ユニット20を回動させたときに操作部20aや表示部20bがすぐに見える位置(上記空間に近い位置)に位置することになるから、不正行為がなされやすいというデメリットがある。したがって、操作部20aや表示部20bを回動軸Cに近い側(奥側)に設けるとよい。このように操作部20aや表示部20bを回動軸Cに近づけると、遊技設定を変更しようとする作業者から遠い位置に操作部20aや表示部20bが位置し、変更作業が行いにくくなるが、本実施形態のような操作部20aと表示部20bの位置関係を設定すれば、当該作業の行いにくさが低減されることになる。
【0030】
また、本実施形態では、操作部20aとして操作ボタンが設けられていることを説明したが、遊技設定を変更する際に操作されるものの全てが操作部20aに含まれるものとしてもよい。例えば、変更可能状態と変更不能状態を切り替えるための設定キーKが挿入される鍵穴20c(厳密には、設定キーKの操作によって変位する部材(シリンダ等))も操作部20aに含まれるものとしてもよい。つまり、設定キーKが挿入される鍵穴20c(シリンダ等)の方が、表示部20bよりも回動軸Cに近い側に設けられているとよい。また、本実施形態における表示部20bは、現状の遊技設定を表示するものであることを説明したが、設定可能状態と設定不能状態が切り替わったことを示すような情報が示されるようにしてもよい。かかる情報が表示される表示部は、現状の遊技設定を表示する表示部と同じであってもよいし、別の表示部であってもよい。このような表示部についても、操作部20aよりも回動軸Cから遠い側に設けられているとよい。
【0031】
○遊技設定用の回路
以下、本実施形態における遊技設定用の回路(
図4参照)について説明する。当該回路の基本的な構成は、設定キーKが鍵穴20cに挿入されてシリンダが回転されることにより、変更可能状態と変更不能状態が切り替えられるというものである。シリンダを切替部材40とすると、当該切替部材40の位置(シリンダのような回転するものの場合には、その回転方向位置を含む概念である)を変化させることにより、変更可能状態と変更不能状態が切り替えられる。切替部材40は、少なくとも第一位置(原位置)と第二位置との間を変位可能に設けられており、切替部材40が第一位置に位置するときには変更不能状態となり、切替部材40が第二位置に位置するときには変更可能状態となるようにされる。切替部材40の位置は、検出手段50により検出される。
【0032】
本実施形態における検出手段50は、スイッチ部51および制御部52を有する(
図4(a)参照)。スイッチ部51は、切替部材40の位置に応じて接点が変位するようなものであればよい。制御部52は、スイッチ部51の位置に応じた信号(H信号(入力信号有)またはL信号(入力信号無)。以下、単にH・Lと記載することもある)を取得し、それに応じて変更可能状態と変更不能状態を切り替える信号を出力するもの(本実施形態ではマイコン)である。本実施形態におけるスイッチ部51は、入力側が電源に接続されており、出力側には2系統の出力が設けられている。当該2系統の出力は、制御部52の異なる入力ポート(以下、入力1・入力2と称することもある)に接続されている。切替部材40が第一位置(原位置)に位置するときには、入力1は「H」、入力2は「L」となる。切替部材40が第二位置に位置するときには、入力1は「L」、入力2は「H」となる。切替部材40が第一位置と第二位置の間に位置するときには、入力1と入力2の両方が「L」となる(
図4(b)参照)。つまり、本実施形態における検出手段50は、切替部材40が第一位置に位置すること、および切替部材40が第二位置に位置することの両方を検出することが可能である。
【0033】
これを前提とし、本実施形態では、切替部材40が第二位置に位置するとことが検出(入力2が「H」である)され、かつ、第一位置に位置することが検出されない(入力1が「L」である)ときには変更可能状態とされる。つまり、切替部材40が第二位置に位置するということだけでなく、第一位置に位置しないということが検出されるときに限り、操作部20aの操作により遊技設定を変更することが可能な変更可能状態とされる。原則的には、切替部材40が第二位置に位置しているということは、切替部材40が第一位置には位置していないということになるため、入力1の信号は不要であるということになる。しかし、切替部材40やスイッチ部51に異常が生じた場合には(例えばスイッチ部51におけるショート等)、切替部材40が第二位置に位置していないときであっても、入力1および入力2の両方ともが「H」となることも考えられる。したがって、本実施形態では、入力2が「H」、入力1が「L」である場合に限り、変更可能状態を設定する。入力1および入力2の両方ともが「H」となっている場合には、異常が生じていると判断する(
図4(b)参照)。当該異常を報知する報知手段(画像や光等により視覚的に示す装置や、警告音等により聴覚的に示す装置等を例示することができる)を設けた構成としてもよい。
【0034】
一方、切替部材40が第二位置に位置するとことが検出されない(入力2が「L」である)ときには変更不能状態とされる。つまり、入力1の内容に関係なく、入力2が「L」であるときには、切替部材40が第二位置に位置していないということであるから、操作部20aの操作によって遊技設定を変更させることができない変更不能状態とされる。
【0035】
ただし、本実施形態における変更不能状態は、変更確定域と変更不確定域に区分けされる。変更確定域は、入力1が「H」であり、入力2が「L」である状態である。つまり、入力1により、切替部材40が第一位置(原位置)に位置していることが検出される状態である。変更不確定域は、入力1が「L」であり、入力2が「L」である状態である。つまり、切替部材40が、第一位置および第二位置のいずれにも位置していない(第一位置と第二位置の間に位置している)と判断される状態である(
図4(b)参照)。本実施形態では、変更可能状態において遊技設定の変更操作を行った後、第二位置に位置する切替部材40が第一位置に位置すること(原位置に戻ったこと)が検出されるまでは当該変更が確定しないように構成されている。つまり、変更可能状態において遊技設定の変更操作を行った後、変更不確定域(入力1が「L」であり、入力2が「L」である状態)においては当該変更が確定されず、変更確定域(入力1が「H」であり、入力2が「L」である状態)に移行したことが検出されたことをもって当該変更を確定させる。変更が確定するまでは、変更操作前の遊技設定が設定されたままとなる。このようにすれば、切替部材40が第一位置(原位置)に戻らない段階で、変更操作が反映されてしまうことが防止される。別の観点からみれば、切替部材40を第一位置(原位置)に戻し忘れてしまうことが防止されるということである。
【0036】
本実施形態における遊技設定用の回路との比較(参考)として、一般的な遊技設定用の回路(参考回路)を例に、本実施形態における回路の利点を説明する。
図5に示す参考回路は、本実施形態と同様に、切替部材40は、第一位置(原位置)と第二位置との間を変位可能なものであるが、検出手段50を構成するスイッチ部51の出力は1系統のみである(
図5(a)参照)。つまり、制御部52への入力は一つ(入力1)のみである。切替部材40が第二位置に位置するときに入力1が「H」となる設定とすると、入力1が「L」のときには切替部材40が第二位置に位置しないということが検出されるだけであり、切替部材40が第一位置(原位置)に戻っているのか、第一位置と第二位置の間に位置しているのかを判別することができない(
図5(b)参照)。したがって、参考回路の場合、本実施形態のように切替部材40が第一位置(原位置)に戻ったこと(入力1が「H」であり、入力2が「L」である状態となったこと)を契機として、遊技設定の変更操作を確定させるような制御を行うことは不可能である。つまり、切替部材40が第二位置から第一位置に向かって変位してすぐに(第二位置に到達するよりも前に)、入力1は「L」となるのであるから、その時点で変更操作を確定させなければならない。また、参考回路の場合、入力1が「H」となること、および「L」となることは正常時にも発生するものであるし、本実施形態のような入力1および入力2の両方が「H」となる状態は発生しないため、本実施形態に比して異常(スイッチ部51のショート等)が見つかりにくいともいえる。
【0037】
本実施形態における遊技設定用の回路は以下のように変更(改良)等することができる。
【0038】
上記実施形態における切替部材40は設定キーKによって回転するシリンダであることを説明したが、遊技店(作業者)が変位させることができ、遊技者が変位させることができないものであればよい。また、切替部材40の変位の態様は回転に限られるものではない。
【0039】
変更不確定域(入力1が「L」であり、入力2が「L」である状態)となっている時間が所定時間以上継続した場合には、遊技店(作業者)がそれに気付くような報知を行う。変更不確定域は、切替部材40が第一位置および第二位置のいずれにも位置していないということであって、かかる状態が所定時間以上継続することは正常とはいえないから、それを報知する機能を備える。当該報知の態様はどのようなものであってもよい。画像、光等による視覚的な報知であってもよいし、警告音等による聴覚的な報知であってもよい。
【0040】
遊技設定の変更操作を行った後、切替部材40を第一位置(原位置)に戻し、変更確定域(入力1が「H」であり、入力2が「L」である状態)に移行したとき、遊技店(作業者)がそれに気付くような報知を行う。つまり、遊技設定の変更が確定したことを示す報知手段を備える。当該報知の態様はどのようなものであってもよい。画像、光等による視覚的な報知であってもよいし、警告音等による聴覚的な報知であってもよい。
【0041】
遊技設定の変更操作を行うに際し、切替部材40を第二位置に変位させ、変更可能状態(入力1が「L」であり、入力2が「H」である状態)に移行したとき、遊技店(作業者)がそれに気付くような報知を行う。つまり、遊技設定の変更が可能な状態となったことを示す報知手段を備える。当該報知の態様はどのようなものであってもよい。画像、光等による視覚的な報知であってもよいし、警告音等による聴覚的な報知であってもよい。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0043】
上記実施形態にかかる遊技機1はいわゆるぱちんこ遊技機であるが、スロットマシン等の他の遊技機であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態における遊技設定は、大当たりの当否抽選確率についてのものであることを説明したが、これはあくまで一例である。遊技性に影響を及ぼす確率等の遊技に関するものであればよい。また、表示部20bは、ランプのようなものであってもよい。例えば、遊技機の状態を変更する操作部20a(その一例としては遊技機をリセットするための操作部が挙げられる)、リセットされた場合には点灯するランプが表示部20bとして設けられた構成について、上記実施形態と同様の位置関係を適用してもよい。
【0045】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0046】
・手段1-1
遊技に関する遊技設定を変更することが可能な遊技機であって、遊技店に固定された支持部材に対して所定の回動軸を中心として回動自在に支持された本体ユニットと、前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、前記遊技設定を変更する際に操作される操作部と、前記本体ユニットの後側に設けられた部分であって、現状の前記遊技設定を表示する表示部と、を備え、前記本体ユニットを後方から見て、前記操作部の方が、前記表示部よりも、前記回動軸に近い場所に設けられていることを特徴とする遊技機。
このように、操作部の方が表示部よりも回動軸に近い場所に設けられていれば、遊技設定を変更しようとする(操作部を操作しようとする)作業者の手等により、表示部が見えにくくなってしまうおそれが低減されるため、遊技設定を変更する作業が容易になる。
【0047】
・手段1-2
前記操作部の方が、前記表示部よりも下方に設けられていることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
このような構成とすれば、遊技設定を変更しようとする(操作部を操作しようとする)作業者の手等により、表示部が見えにくくなってしまうおそれがさらに低減される。
【0048】
・手段2-1
遊技に関する遊技設定を変更することが可能な遊技機であって、第一位置と第二位置との間を変位自在に設けられた切替部材と、前記切替部材が前記第一位置に位置すること、および、前記切替部材が前記第二位置に位置することを検出することが可能な検出手段と、前記検出手段により、前記切替部材が前記第二位置に位置することが検出され、かつ、前記第一位置に位置することが検出されないときには、前記遊技設定の変更操作が可能な変更可能状態とする状態切替手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
このように、切替部材が第二位置に位置していることだけでなく、第一位置に位置していることも検出可能なものとすれば、切替部材の位置(状況)を正確に把握することが可能となる。
【0049】
・手段2-2
前記状態切替手段は、前記切替部材が前記第二位置に位置することが検出されないときには前記遊技設定の変更操作が不可能な変更不能状態とすることを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
【0050】
・手段2-3
前記切替部材を前記第二位置に位置させて前記遊技設定の変更操作を行った場合であっても、前記検出手段により前記切替部材が前記第一位置に位置したことが検出されない限り、当該変更操作が反映されないように構成されていることを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
このようにすれば、切替部材が第一位置に戻らない段階で、変更操作が反映されてしまうことが防止される。
【0051】
・手段2-4
前記検出手段により、前記切替部材が前記第一位置に位置し、かつ前記第二位置に位置すると検出されるときには、異常であると判断することを特徴とする手段2-1から手段2-3のいずれかに記載の遊技機。
このように、切替部材が第一位置および第二位置の両方に位置すると検出されるときには、何らかの異常が生じていると判断すればよい。
【符号の説明】
【0052】
1 遊技機
10 支持部材
20 本体ユニット
21 遊技盤
20a 操作部
20b 表示部
C 回動軸
40 切替部材
50 検出手段
51 スイッチ部
52 制御部