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  • 特許-熱交換器及びその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】熱交換器及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/00 20220101AFI20230130BHJP
   F24H 1/10 20220101ALI20230130BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20230130BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H1/10 N
F24H15/212
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018175675
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046127
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】外村 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰広
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072321(JP,A)
【文献】特開平10-152710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/10
F24H 15/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱水蒸気による流体加熱を行う熱交換器であって、
被加熱流体が流れる熱交換用配管と、
前記熱交換用配管の下流側部分を収容するとともに過熱水蒸気が供給される下流側容器と、
前記熱交換用配管の上流側部分を収容するとともに前記下流側容器を通過した水蒸気が供給される上流側容器と
前記熱交換用配管に流入する被加熱流体温度を検出する流入温度検出機構と、
前記熱交換用配管に流入する被加熱流体量を検出する流入量検出機構と、
前記熱交換用配管から流出する被加熱流体温度を検出する流出温度検出機構と、
前記下流側容器に供給される過熱水蒸気温度を調整する過熱水蒸気温度調整機構、又は前記下流側容器に供給される過熱水蒸気量を調整する過熱水蒸気量調整機構の少なくとも1つと、
前記流入温度検出機構、前記流入量検出機構及び流出温度検出機構の検出値に基づいて、前記調整機構の少なくとも1つにおける調整量を演算する演算機構とを備え
前記熱交換用配管の下流側部分を流れる前記被加熱流体は、前記下流側容器に供給された過熱水蒸気の顕熱によって加熱され、
前記熱交換用配管の上流側部分を流れる前記被加熱流体は、前記上流側容器に供給された水蒸気の潜熱によって加熱される、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の使用方法であって、
前記下流側容器に供給される過熱水蒸気の温度及び量を、前記熱交換用配管の下流側部分を流れる前記被加熱流体が100℃以上の所望の温度となるように設定するとともに、前記下流側容器から前記上流側容器に供給される水蒸気の温度が100℃以上となるように設定する、熱交換器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱水蒸気を用いた熱交換器、及び、熱交換器の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製紙や繊維および化学薬品製造工場においては多くの熱処理工程があることから、大形蒸気ボイラーを設置して熱源としていることが多い。そしてそれは乾燥に使用する熱風等の流体加熱においても、熱交換器を通して流体加熱をおこなう場合が普通である(特許文献1)。
【0003】
熱風の場合においては150℃程度に空気を加熱して利用することが多いが、ボイラーから距離がある工場に高圧蒸気を流しても、配管における圧力低下があって130℃程度まで温度低下していることが多い。このことから、余剰蒸気があるにもかかわらず熱源として利用できない場合が多々見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-224810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この余剰蒸気を熱源として有効利用するには、圧力と温度が低下した蒸気を所望の温度に再加熱して過熱水蒸気とする方法があるが、過熱水蒸気を用いた熱交換器で空気などの流体を所望の温度に加熱する場合、飽和蒸気圧における水沸点以上の温度を得るには、基本的に過熱水蒸気の入排出温度を水沸点以上の温度にしなければならない。
【0006】
しかしこの方法では水沸点以上の温度の過熱水蒸気を排出することになってしまい、過熱水蒸気が持つ水蒸気潜熱を廃棄することになってしまう。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、過熱水蒸気が持つ水蒸気潜熱を有効利用して被加熱流体を加熱することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る熱交換器は、過熱水蒸気による流体加熱を行う熱交換器であって、被加熱流体が流れる熱交換用配管と、前記熱交換用配管の下流側部分を収容するとともに過熱水蒸気が供給される下流側容器と、前記熱交換用配管の上流側部分を収容するとともに前記下流側容器を通過した水蒸気が供給される上流側容器とを備え、前記熱交換用配管の下流側部分を流れる前記被加熱流体は、前記下流側容器に供給された過熱水蒸気の顕熱によって加熱され、前記熱交換用配管の上流側部分を流れる前記被加熱流体は、前記上流側容器に供給された水蒸気の潜熱によって加熱されることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、下流側容器に過熱水蒸気を供給して当該過熱水蒸気の顕熱により被加熱流体を所望の温度に加熱し、下流側容器から上流側容器に水蒸気を供給して当該水蒸気の潜熱により被加熱流体を加熱(予熱)するように構成しているので、過熱水蒸気が持つ水蒸気潜熱を有効利用して被加熱流体を加熱することができる。なお、上流側容器に供給される水蒸気は、潜熱を失って液化するものと液化せず水蒸気のまま排出されるものがあるが、液化した分の潜熱が有効利用されたことになる。
【0010】
具体的には、前記下流側容器に供給される過熱水蒸気の温度及び量は、前記熱交換用配管の下流側部分を流れる前記被加熱流体が100℃以上の所望の温度となるように設定されるとともに、前記下流側容器から前記上流側容器に供給される水蒸気の温度が100℃以上となるように設定されていることが望ましい。
【0011】
ここで、被加熱流体を空気とした場合、水蒸気潜熱で加熱できるのは最高100℃迄であり、それ以上の温度に加熱するためには水蒸気顕熱で加熱することになる。過熱水蒸気が持つエネルギは潜熱が大きな割合を持つことになるが、本発明によって過熱水蒸気が利用できる潜熱の割合の計算値を図2に示す。なお、図2は、過熱水蒸気で20℃の空気を加熱する場合の潜熱利用率(%)である。
【0012】
図2において、100%を超えるところは、水蒸気潜熱で100℃まで温度上昇させることが無理なことを示しており、供給する過熱水蒸気量を増加させ且つ温度を調整する等の制御が必要であることを示している。
【0013】
上記の計算結果から言えることは、熱源の過熱水蒸気が高温であるほど潜熱の利用率が高くなることである。また、上流側容器に供給される過熱水蒸気温度はできる限り100℃以上且つ100℃に近い温度であることが潜熱の利用率を高めることになるので、上流側容器に供給される過熱水蒸気温度が100~110℃になるように熱交換器の設計を行う。
【0014】
前記熱交換用配管に流入する被加熱流体温度を検出する流入温度検出機構、前記熱交換用配管に流入する被加熱流体量を検出する流入量検出機構、又は前記熱交換用配管から流出する被加熱流体温度を検出する流出温度検出機構の少なくとも1つと、前記下流側容器に供給される過熱水蒸気温度を調整する過熱水蒸気温度調整機構、又は前記下流側容器に供給される過熱水蒸気量を調整する過熱水蒸気量調整機構の少なくとも1つと、前記少なくとも1つの検出機構の検出値に基づいて、前記調整機構の少なくとも1つにおける調整量を演算する演算機構とを備えることが望ましい。
【0015】
また、本発明に係る熱交換器の使用方法は、被加熱流体が流れる熱交換用配管と、前記熱交換用配管の下流側部分を収容するとともに過熱水蒸気が供給される下流側容器と、前記熱交換用配管の上流側部分を収容するとともに前記下流側容器を通過した水蒸気が供給される上流側容器とを備える熱交換器の使用方法であって、前記下流側容器に供給される過熱水蒸気の温度及び量を、前記熱交換用配管の下流側部分を流れる前記被加熱流体が100℃以上の所望の温度となるように設定するとともに、前記下流側容器から前記上流側容器に供給される水蒸気の温度が100℃以上となるように設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、過熱水蒸気が持つ水蒸気潜熱を有効利用して被加熱流体を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る熱交換器の構成を模式的に示す図である。
図2】過熱水蒸気で20℃の空気を加熱する場合の潜熱利用率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る熱交換器の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
<1.装置構成>
本実施形態に係る熱交換器100は、熱源として過熱水蒸気を用いて空気などの流体を加熱するものである。なお、熱交換器100に用いる過熱水蒸気としては、大形ボイラーを有した工場の余剰蒸気を過熱水蒸気生成装置により再加熱することを想定しているが、過熱水蒸気装置の処理炉を通過した利用済の過熱水蒸気であってもよいし、当該利用済みの過熱水蒸気を再度加熱した過熱水蒸気であってもよい。
【0020】
具体的に熱交換器100は、図1に示すように、被加熱流体が流れる熱交換用配管2と、熱交換用配管2の下流側部分2aを収容するとともに過熱水蒸気が供給される下流側容器3と、熱交換用配管2の上流側部分2bを収容するとともに下流側容器3を通過した水蒸気が供給される上流側容器4とを備えている。
【0021】
熱交換用配管2は、被加熱流体が導入される導入ポートP1と、被加熱流体が導出される導出ポートP2を有している。また、熱交換用配管2は、各容器3、4内において、熱交換面積を大きくするために蛇行した流路を形成している。なお、熱交換用配管の材質としては、オーステナイト系ステンレス鋼やインコネル合金等を用いることができる。
【0022】
下流側容器3は、熱交換用配管2の下流側部分2aを収容する1つの空間3Sを有しており、過熱水蒸気が供給される供給ポートP3と、ドレンを排出するドレンポートP4とを有している。なお、理想的には下流側容器3にはドレンポートP4は必要ないが、実際にはドレンが出る場合もあるので設けている。
【0023】
上流側容器4は、熱交換用配管2の上流側部分2bを収容する1つの空間4Sを有しており、下流側容器3を通過した水蒸気が供給される供給ポートP5と、水蒸気又はドレンが排出される排出ポートP6とを有している。
【0024】
本実施形態では下流側容器3及び上流側容器4は、1つの容器を仕切壁5により仕切ることによって構成されている。そして、当該仕切壁5に下流側容器3及び上流側容器4を接続する接続路51が設けられており、当該接続路51が上流側容器4の供給ポートP5となる。なお、下流側容器3及び上流側容器4の材質としては、オーステナイト系ステンレス鋼やインコネル合金等を用いることができる。
【0025】
この熱交換器100において、熱交換用配管2の下流側部分2aを流れる被加熱流体は、下流側容器3に供給された過熱水蒸気の顕熱によって加熱され、熱交換用配管2の上流側部分2bを流れる被加熱流体は、上流側容器4に供給された水蒸気の潜熱によって加熱されるように構成されている。
【0026】
具体的には、下流側容器3に供給される過熱水蒸気の温度Θs及び量Qsは、熱交換用配管2の下流側部分2aを流れる被加熱流体が100℃以上の所望の温度となるように設定されるとともに、下流側容器3から上流側容器4に供給される水蒸気の温度Θscが100℃以上となるように設定されている。
【0027】
<2.設計方法>
ここで、本実施形態の熱交換器100の設計方法について説明する。
【0028】
まず耐久性や製作コストの面から、過熱水蒸気処理装置又は過熱水蒸気供給装置(不図示)から熱交換器100へ供給する過熱水蒸気の最高温度Θsmを決定する。
次に、供給する過熱水蒸気が最高温度Θsmであり、90℃程度の空気(被加熱流体)が最大流入量Qamの場合に、被加熱流体を所望の最高流出温度Θmに加熱するために必要な過熱水蒸気量Qsmを設定する。
続いて、下流側容器3から上流側容器4に流入する水蒸気の温度Θscが100~110℃程度となるように、下流側容器3の熱交換用配管2の熱交換面積S1を設定する。
上流側容器4の熱交換用配管2は、100℃の水蒸気によって、流入温度Θa(例えば20℃)の被加熱流体を95~100℃に加熱するために必要な熱交換面積S2を設定する。
【0029】
以上のように設計された熱交換器100は、定格である最大流入量Qamで最高流出温度Θmの場合、過熱水蒸気量Qsmで過熱水蒸気を最高温度Θsmとしたときに、潜熱利用率が最高となる。ちなみに熱交換用配管2から流出する流出温度Θの制御は、まず、出力空気が最大量Qamであり、かつ最高温度Θmとするために必要な供給過熱水蒸気の最高温度Θsm及び量Qsmを設定し、次に過熱水蒸気の温度Θsを調整することで精密な制御を行うことが考えられる。
【0030】
そして、本実施形態の熱交換器100は、流出温度(制御設定値)Θと、被加熱流体の流入温度Θaと、被加熱流体の流入量Qaとから、過熱水蒸気の最高温度Θsmにおける必要過熱水蒸気量Qsを演算する演算機構6を有している。この演算機能を有していれば、運転条件変更時においてもその運転条件における必要過熱水蒸気量Qsを設定することができ、熱交換器100における潜熱利用率が最高となる制御を行うことができる。
【0031】
このため、熱交換器100は、流入温度Θaを検出する流入温度検出機構7と、流入量Qaを検出する流入量検出機構8と、被加熱流体の流出温度Θを検出する流出温度検出機構9とを備えている。また、熱交換器100は、下流側容器3に供給される過熱水蒸気量Qsを調整する過熱水蒸気量調整機構10を備えている。そして、演算機構6は、各検出機構7~9の検出値に基づいて、過熱水蒸気量調整機構10における調整量を演算して、必要過熱水蒸気量Qsを制御する。その他、熱交換器100が、下流側容器3に供給される過熱水蒸気温度Θsを調整する過熱水蒸気温度調整機構を有しており、演算機構6が、各検出機構7~9の検出値に基づいて、過熱水蒸気温度調整機構における調整量を演算して、必要過熱水蒸気温度Θsを制御するようにしても良い。
【0032】
<3.具体例>
具体例を示すと以下のようになる。
熱交換器100において、流入量Qa、流入温度20℃、流出温度300℃、過熱水蒸気量Qsm、過熱水蒸気温度600℃で運転されているときに、潜熱利用率は最高で22.8%である(図2参照)。
【0033】
ここで、流出温度を150℃に変更して運転する場合を考えると、まず600℃の過熱水蒸気及び熱交換面積S1で、流入量Qaの90℃の空気が150℃にできる過熱水蒸気量Qsnを演算して設定する。このとき、潜熱利用率は最高91.1%となる。また、流出温度Θの微調整は、過熱水蒸気温度Θsの制御で行う。なお、運転条件の一部が固定的又は段階設定的であれば、その部分の検出機構は不要としてもよい。
【0034】
<4.熱交換器100の熱計算>
下記計算における空気比熱Aおよび過熱水蒸気比熱Sは、実際には温度によって若干値が変化するが、ここでは簡略化して同じとしている。
1.下流側容器3における熱計算
【0035】
(1)流出温度Θ :150℃
流入温度Θa:90℃
空気加熱熱量:(150-90)×A×Qa150≒60×A×Qa150
A:空気比熱、Qa150:空気量
【0036】
(2)流出温度Θ :300℃
流入温度Θa:90℃
空気加熱熱量:(300-90)×A×Qa300≒210×A×Qa300
A:空気比熱、Qa300:空気量
【0037】
(3)過熱水蒸気温度600℃、下流側容器3から上流側容器4への出口温度110℃、過熱水蒸気量Qsを一定とすると、過熱水蒸気の加熱量は約(600-110)×S×Qsとなる。ここで、Sは過熱水蒸気比熱である。
【0038】
このときに150℃および300℃に加熱する空気量の関係は約Qa300=(60/210)Qa150となる。
【0039】
したがって、Qa150で設計された熱交換器100に同じ量且つ同じ温度600℃である過熱水蒸気を入力して、空気量を60/210の量にすれば、300℃の出力空気を得ることができ、且つ、出口温度を110℃にすることができる。熱交換量は同じであるので、温度差の小さい150℃での熱交換面積S1を確保しておけば、300℃では十分に足りることになる。
【0040】
(4)上記の流出温度150℃、空気量Qa150の運転に対し、空気量を0.5Qa150に変更した場合、過熱水蒸気温度600℃で出口温度110℃とするための必要過熱水蒸気量は約0.5Qsとなる。
【0041】
熱交換量は半減するので熱交換面積S1は十分足りるが、流出空気が設定値0.5Qa150、150℃で制御される場合は、必要以上の熱交換はされないので、過熱水蒸気の出口温度は110℃となる。
(5)空気量を一定(Qa150=Qa300)、過熱水蒸気温度600℃、出口温度110℃とすると、過熱水蒸気量Qs150≒(60/210)Qs300となる。
【0042】
したがって、Qa300で設計された熱交換器100に同じ量かつ同じ温度である600℃の過熱水蒸気を入力して、過熱水蒸気量を60/210の量にすれば、150℃の出力空気を得ることができ、且つ、出口温度を110℃にすることができる。300℃の出力空気は150℃の出力空気に比べて熱量が大きいので、300℃の出力空気での熱交換面積S1を確保しておけば150℃では十分足りることになる。
【0043】
2.上流側容器4における熱計算
図2の潜熱利用率に示すように、150℃の流出温度且つ600℃の過熱水蒸気温度では利用率91.1%、300℃の流出温度では22.8%なので、20℃の空気を90℃(計算上は100℃)まで加熱できることは明らかである。
【0044】
3.全体の熱流
上流側容器4では空気入口側付近の熱交換器温度が低くなるので、まず入口側付近から多くの飽和水蒸気の潜熱を受け始める。熱交換面積が十分足りている状態では、上流側容器4の熱交換器全体で熱交換が行われて、空気は100℃(計算上は90℃)付近まで温度上昇する。
【0045】
一方、下流側容器3においても熱交換面積は足りているので、設定した流出温度まで温度上昇させるための、600℃から110℃になる温度で熱量が得られる過熱水蒸気量を供給することで、過熱水蒸気の出口温度110℃を確保することができる。
【0046】
<5.本実施形態の効果>
このように構成した熱交換器100によれば、下流側容器3に過熱水蒸気を供給して当該過熱水蒸気の顕熱により被加熱流体を所望の温度に加熱し、下流側容器3から上流側容器4に水蒸気を供給して当該水蒸気の潜熱により被加熱流体を加熱(予熱)するように構成しているので、過熱水蒸気が持つ水蒸気潜熱を有効利用して被加熱流体を加熱することができる。
【0047】
<6.本発明の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0048】
例えば、前記実施形態では下流側容器3及び上流側容器4が一体構成とされているが、それぞれ別の容器から構成したものであっても良い。
【0049】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
100・・・熱交換器
2 ・・・熱交換用配管
2a ・・・下流側部分
2b ・・・上流側部分
3 ・・・下流側容器
4 ・・・上流側容器
6 ・・・演算機構
7 ・・・流入温度検出機構
8 ・・・流入量検出機構
9 ・・・流出温度検出機構
10 ・・・過熱水蒸気量調整機構
図1
図2