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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】棒状化粧料繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/20 20060101AFI20230130BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
A45D40/20 G
B65D83/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018190153
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020058465
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彩織
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-130474(JP,A)
【文献】米国特許第01933538(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0043817(KR,A)
【文献】特開2001-218621(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0166045(US,A1)
【文献】国際公開第2010/008880(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/20
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子による螺合作用が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が前記容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記支持部は、複数の前記棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の前記棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、
前記容器前部は、複数の前記棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の前記棒状化粧料及び前記支持部が進退する進退孔を備え、
前記開口は、複数の前記棒状化粧料孔に対応して設けられ、
前記容器前部の先端で、複数の前記棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側には、前方へ突出する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記開口から出没する前記棒状化粧料の進退を可能とする溝部をそれぞれの前記棒状化粧料に対応して備え、
前記突出部の先端より前方へ位置する複数の前記棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、前記突出部は、複数の前記棒状化粧料を間に介し前記被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の前記棒状化粧料は、それぞれ進入している前記溝部の内面に各々当接し、
前記突出部の前記溝部同士の間には、前記突出部の先端から後方へ向かって延在し、前記突出部を厚み方向に貫通するスリットが設けられていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子による螺合作用が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が前記容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記支持部は、複数の前記棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の前記棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、
前記容器前部は、複数の前記棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の前記棒状化粧料及び前記支持部が進退する進退孔を備え、
前記開口は、複数の前記棒状化粧料孔に対応して設けられ、
前記容器前部の先端で、複数の前記棒状化粧料の並設方向に直交する方向の両側には、前方へ突出する一対の突出部が隙間を介して設けられ、
一対の前記突出部は、前記開口から出没する前記棒状化粧料の進退を可能とする溝部を当該溝部の内面が前記両側から互いに対向するようにそれぞれの前記棒状化粧料に対応して備え、
前記突出部の先端より前方へ位置する複数の前記棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、一対の前記突出部のうち片側の前記突出部は、複数の前記棒状化粧料を間に介し前記被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の前記棒状化粧料は、それぞれ進入している前記片側の前記溝部の内面に各々当接し、
前記突出部の前記溝部同士の間には、前記突出部の先端から後方へ向かって延在し、前記突出部を厚み方向に貫通するスリットが設けられていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子による螺合作用が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が前記容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記支持部は、複数の前記棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の前記棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、
前記容器前部は、複数の前記棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の前記棒状化粧料及び前記支持部が進退する進退孔を備え、
前記開口は、複数の前記棒状化粧料孔に対応して設けられ、
前記容器前部の先端で、複数の前記棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側には、前方へ突出する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記開口から出没する前記棒状化粧料の進退を可能とする溝部をそれぞれの前記棒状化粧料に対応して備え、
前記突出部の先端より前方へ位置する複数の前記棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、前記突出部は、複数の前記棒状化粧料を間に介し前記被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の前記棒状化粧料は、それぞれ進入している前記溝部の内面に各々当接し、
前記突出部の前記溝部同士の間には、前記突出部の先端から後方へ向かって延在し、前記溝部に進入した前記棒状化粧料の高さ以上に突出する凸部が設けられていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
前記棒状化粧料は、アイブロウであることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の棒状化粧料繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を出没可能とする棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献1に記載のものが広く知られている。この特許文献1に記載の棒状化粧料繰出容器は、所謂化粧料ペンシルであり、容器内に棒状化粧料を収容し、必要に応じて、使用者が棒状化粧料を容器先端の開口から出没可能とし使用に供し得るものである。このような棒状化粧料繰出容器では、例えば眉毛のような被塗布部(地肌)に化粧料を塗布する際に、棒状化粧料が細いと何回も塗布する必要があり時間かかり非効率であるという問題がある。一方、太い棒状化粧料であると、広い範囲にべったりと化粧料が付着しまい、細かく繊細な化粧を施せないという問題がある。
【0003】
上記のような化粧に対応する化粧料塗布具として、以下の特許文献2に記載のように、容器内の液状化粧料を繊維質の芯材を通して先端に送り出し、芯材先端で眉毛(地肌)に塗布するものが知られている。この引用文献2にあっては、芯材の先端に切り込みが入っていて当該先端が例えば鋸歯状を呈している。この引用文献2にあっては、芯材の先端が歯状を成すように分かれているため、細やかで繊細な化粧が可能であると共に、複数歯を用いることにより効率的に塗布ができ、加えて、歯状のため、眉毛を梳きながら化粧もできるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭64-8317
【文献】実用新案登録第3196621号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の液状化粧料を用いた化粧料塗布具にあっては、上記のように優れた点を有する反面、下地用のファンデーション等の後に、液状化粧料を芯材先端により塗ることになるため、ファンデーション等の化粧料が繊維質の間に入り、使用しているうちに芯材が目詰まりを起こし、液状化粧料を塗布する際にかすれて被塗布部(地肌)にうまく塗布できないという問題が生じていた。すなわち、引用文献2の化粧料塗布具では、液状化粧品を眉毛にうまく塗布できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布する際に、効率的に化粧料を塗布できると共に、選択的に細やかな化粧を施すことも可能であり、しかも、化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、棒状化粧料を被塗布部に塗布する際にあたって、当該棒状化粧料の芯折れを防ぎ、且つ、容器前部の先端を被塗布部に接触しない程度に離間でき塗布をしやすくし、且つ、特に眉毛を始めとした睫毛等の毛髪(人の毛の総称)を梳くことができる棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子による螺合作用が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、支持部は、複数の棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、容器前部は、複数の棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の棒状化粧料及び支持部が進退する進退孔を備え、開口は、複数の棒状化粧料孔に対応して設けられ、容器前部の先端で、複数の棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側には、前方へ突出する突出部が設けられ、突出部は、開口から出没する棒状化粧料の進退を可能とする溝部をそれぞれの棒状化粧料に対応して備え、突出部の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、突出部は、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の棒状化粧料は、それぞれ進入している溝部の内面に各々当接し、突出部の溝部同士の間には、突出部の先端から後方へ向かって延在し、突出部を厚み方向に貫通するスリットが設けられていることを特徴としている。
【0008】
このような棒状化粧料繰出容器によれば、容器内に、支持部により複数本の棒状化粧料が一列に並設支持されると共に、当該複数本の棒状化粧料は支持部と共に軸線方向に同時に進退し、容器前部の先端の開口から複数本の棒状化粧料が出没可能とされ、塗布に供される。従って、眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布する際に、複数本の棒状化粧料により効率的に化粧料を塗布できると共に、例えば1本の棒状化粧料により選択的に細やかな化粧を施すこともでき、しかも、液状化粧料のような化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、複数本の棒状化粧料を有しているにもかかわらず、持ち運びが便利であり、且つ、複数本の棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しができ使い勝手が良い棒状化粧料繰出容器を提供できる。さらに、容器前部の先端において複数の棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側に前方へ突出し、開口から出没する棒状化粧料の進退を可能とする溝部を備えた突出部は、当該突出部の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する場合、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置した状態での使用となるため、複数の棒状化粧料は、それぞれが進入している突出部の溝部の内面に当接し受けられ保護されることになり、棒状化粧料の芯折れを防ぐことができる。また、複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する際に、上記のように複数の棒状化粧料は突出部により受けられ保護されるため、突出部の突出長さ分、複数の棒状化粧料を開口から余分に繰り出すことができ、その結果、容器前部の先端を被塗布部に接触しない程度に離間する(斜めに浮かす)ことができ、塗布がしやすくなる。なお、容器前部に突出部がない場合には、芯折れを防ぐべく、塗布の際に容器前部の開口から棒状化粧料を少量しか突出できず、容器前部の先端と被塗布部が近接して接触し、塗布がし難くなる。また、複数の棒状化粧料で眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布しながら、突出部の溝部同士の間において当該突出部の先端から後方へ向かって延在し、当該突出部を厚み方向に貫通するスリットによって、眉毛を始めとした睫毛等の毛髪(人の毛の総称)を梳くことができる。すなわち、複数本の棒状化粧料で被塗布部(地肌)に化粧料を塗布しながら、櫛の役目を果たすスリットにより毛髪を梳くことができる。
【0009】
また、本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子による螺合作用が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、支持部は、複数の棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、容器前部は、複数の棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の棒状化粧料及び支持部が進退する進退孔を備え、開口は、複数の棒状化粧料孔に対応して設けられ、容器前部の先端で、複数の棒状化粧料の並設方向に直交する方向の両側には、前方へ突出する一対の突出部が隙間を介して設けられ、一対の突出部は、開口から出没する棒状化粧料の進退を可能とする溝部を当該溝部の内面が両側から互いに対向するようにそれぞれの棒状化粧料に対応して備え、突出部の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、一対の突出部のうち片側の突出部は、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の棒状化粧料は、それぞれ進入している片側の溝部の内面に各々当接し、突出部の溝部同士の間には、突出部の先端から後方へ向かって延在し、突出部を厚み方向に貫通するスリットが設けられていることを特徴としている。このような構成を採用した場合、塗布の際に、何れの側の突出部が、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置していても良いため、塗布時に表裏がなく、複数本の棒状化粧料で被塗布部(地肌)に化粧料を塗布しながら、被塗布部側とは反対側の突出部のスリットにより毛髪を梳くことができ、使い勝手が良い。
【0010】
また、本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持可能な支持部を有すると共に外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器前部に対し軸線周りに回転可能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子による螺合作用が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器前部の先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、支持部は、複数の棒状化粧料の後部を支持すると共に、複数の棒状化粧料を互いに離間した状態で一列に並設し、容器前部は、複数の棒状化粧料が進退する棒状化粧料孔を含み、複数の棒状化粧料及び支持部が進退する進退孔を備え、開口は、複数の棒状化粧料孔に対応して設けられ、容器前部の先端で、複数の棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側には、前方へ突出する突出部が設けられ、突出部は、開口から出没する棒状化粧料の進退を可能とする溝部をそれぞれの棒状化粧料に対応して備え、突出部の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する状態では、突出部は、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置すると共に、複数の棒状化粧料は、それぞれ進入している溝部の内面に各々当接し、突出部の溝部同士の間には、突出部の先端から後方へ向かって延在し、溝部に進入した棒状化粧料の高さ以上に突出する凸部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような棒状化粧料繰出容器によれば、容器内に、支持部により複数本の棒状化粧料が一列に並設支持されると共に、当該複数本の棒状化粧料は支持部と共に軸線方向に同時に進退し、容器前部の先端の開口から複数本の棒状化粧料が出没可能とされ、塗布に供される。従って、眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布する際に、複数本の棒状化粧料により効率的に化粧料を塗布できると共に、例えば1本の棒状化粧料により選択的に細やかな化粧を施すこともでき、しかも、液状化粧料のような化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、複数本の棒状化粧料を有しているにもかかわらず、持ち運びが便利であり、且つ、複数本の棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しができ使い勝手が良い棒状化粧料繰出容器を提供できる。さらに、容器前部の先端において複数の棒状化粧料の並設方向に直交する方向の片側に前方へ突出し、開口から出没する棒状化粧料の進退を可能とする溝部を備えた突出部は、当該突出部の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する場合、複数の棒状化粧料を間に介し被塗布部とは反対側に位置した状態での使用となるため、複数の棒状化粧料は、それぞれが進入している突出部の溝部の内面に当接し受けられ保護されることになり、棒状化粧料の芯折れを防ぐことができる。また、複数の棒状化粧料によって被塗布部を塗布する際に、上記のように複数の棒状化粧料は突出部により受けられ保護されるため、突出部の突出長さ分、複数の棒状化粧料を開口から余分に繰り出すことができ、その結果、容器前部の先端を被塗布部に接触しない程度に離間する(斜めに浮かす)ことができ、塗布がしやすくなる。なお、容器前部に突出部がない場合には、芯折れを防ぐべく、塗布の際に容器前部の開口から棒状化粧料を少量しか突出できず、容器前部の先端と被塗布部が近接して接触し、塗布がし難くなる。また、突出部の溝部同士の間において当該突出部の先端から後方へ向かって延在し、溝部に進入した棒状化粧料の高さ以上に突出する凸部によって、眉毛を始めとした睫毛等の毛髪(人の毛の総称)を分け梳きながら、複数の棒状化粧料で眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布することができる。すなわち、櫛の役目を果たす凸部により毛髪を分け梳きながら、複数本の棒状化粧料で被塗布部(地肌)に化粧料を塗布できる。
【0012】
ここで、1本の細いアイブロウで眉毛に化粧を施す場合には、眉毛全体に化粧を施すのに時間を要し、1本の太いアイブロウで眉毛に化粧を施す場合には、塗り潰したような感じになってしまい、細かい繊細な化粧を施すのに技術及び時間を要する。しかしながら、本発明によれば、複数本のアイブロウを同時に使用できるため、眉毛に自然に抜けている感じの塗布隙間を容易に生じせしめることができ、眉毛に自然感を出しつつ繊細且つ綺麗な塗布を短時間で行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、眉毛を始めとした被塗布部(地肌)に化粧料を塗布する際に、複数本の棒状化粧料により効率的に化粧料を塗布できると共に、例えば1本の棒状化粧料により選択的に細やかな化粧を施すこともでき、しかも、液状化粧料のような化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、複数本の棒状化粧料を有しているにもかかわらず、持ち運びが便利であり、且つ、複数の棒状化粧料の繰り出し/繰り戻しができ使い勝手が良い棒状化粧料繰出容器を提供できる。また、同時に、棒状化粧料を被塗布部に塗布する際にあたって、当該棒状化粧料の芯折れを防ぎ、且つ、容器前部の先端を被塗布部に接触しない程度に離間でき塗布をしやすくし、且つ、特に眉毛を始めとした睫毛等の毛髪(人の毛の総称)を梳くことができる棒状化粧料繰出容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、移動体が後退限に位置した状態を示す図である。
図2図1に直交する方向の棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、移動体が前進限に位置した状態を示す図である。
図3】棒状化粧料繰出容器の先端側を破断して示す斜視図である。
図4】先筒及び移動体の要部を示す分解斜視図である。
図5】移動体の要部を示す斜視図である。
図6】支持部の正面図である。
図7図2のVII-VII線に沿う横断面図であり、先筒内の進退孔を示す図である。
図8】先筒の突出部の斜視図である。
図9】先筒の突出部の平面図である。
図10】先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図である。
図11】突出部から突出する棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図である。
図12】突出部がない場合に棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の先筒の突出部の斜視図である。
図14図13に示す突出部の平面図である。
図15図13及び図14に示す先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図である。
図16】第2実施形態において突出部から突出する棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図である。
図17】本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の先筒の突出部の斜視図である。
図18図17に示す突出部の平面図である。
図19図17及び図18に示す先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1図19を参照しながら説明する。図1図12は、本発明の第1実施形態を、図13図16は、本発明の第2実施形態を、図17図19は、本発明の第3実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
先ず、図1図12に示す第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、移動体が後退限に位置した状態を示す図、図2は、図1に直交する方向の棒状化粧料繰出容器の縦断面図であり、移動体が前進限に位置した状態を示す図、図3は、棒状化粧料繰出容器の先端側を破断して示す斜視図、図4は、先筒及び移動体の要部を示す分解斜視図、図5は、移動体の要部を示す斜視図、図6は、支持部の正面図、図7は、図2のVII-VII線に沿う横断面図であり、先筒内の進退孔を示す図、図8及び図9は、先筒の突出部を示す各図、図10は、先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図、図11は、突出部から突出する棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図、図12は、突出部がない場合に棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図である。
【0017】
本実施形態の棒状化粧料繰出容器は、内部に収容した複数本の棒状化粧料を使用者により適宜被塗布部に塗布することができるものである。棒状化粧料Mは、ここでは、特に好適であるとして、眉毛を描くための円柱状のアイブロウとされている。
【0018】
図1及び図2に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を呈するものであり、容器前部を構成する先筒1と、容器後部を構成するホルダ筒2と、により外観が構成された筒状容器である。これらの先筒1及びホルダ筒2内には、容器前部を構成する継ぎ具3と、棒状化粧料Mと、棒状化粧料Mを支持すると共に雄螺子4iを含む移動体である長尺な棒状化粧料支持体4と、雌螺子5iを含む雌螺子部材5と、が収容される。そして、棒状化粧料繰出容器100は、内部において、先筒1の後半部とホルダ筒2の前半部との間に、前から後へ向かって、継ぎ具3、雌螺子部材5を挟むように構成されている。また、先筒1の先端の片側(図2の下側)には、前方に突出する突出部6が設けられている。
【0019】
特に、本実施形態では、棒状化粧料Mは複数本(ここでは3本)が先筒1内に収容されており、棒状化粧料支持体4の先端側に複数本の棒状化粧料Mが取り付け支持され、先筒1から出没可能とされている。なお、ここでは、特に好ましいとして棒状化粧料Mを3本としているが、2本以上であれば適用できる。また、棒状化粧料Mは、ここでは、直径約0.9mm程度の細い棒状化粧料Mが採用されている。
【0020】
以下、棒状化粧料繰出容器100の特徴を詳説する。
【0021】
ホルダ筒2は、例えばABS等から形成され、使用者は指で持って塗布に供すべく長尺な有底円筒状を呈する。継ぎ具3は、例えばABS等から形成されて略円筒状を呈し、先筒1とホルダ筒2とに亘って収容される。雌螺子部材5は、例えばPE等から形成されて略円筒状を呈し、軸線方向中程の内周部には、雌螺子としての螺合突起5i,5iが対向して設けられる。
【0022】
そして、ホルダ筒2内に、雌螺子部材5、継ぎ具3が内挿され、ホルダ筒2の先端側の内周面に設けられた係合部2aが、継ぎ具3の軸線方向中程の外周面に設けられた係合部3aに軸線方向に係合することにより、継ぎ具3は、ホルダ筒2に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着される。雌螺子部材5は、ホルダ筒2の内周面に設けられた段差面2bと継ぎ具3の後端面との間に挟まれるようにして、雌螺子部材5の外周面に設けられた係合部5aが、ホルダ筒2の軸線方向中程の内周面に設けられた係合部2cに回転方向に係合することにより、ホルダ筒2に軸線周りに回転不能(同期回転可能)に装着される。
【0023】
先筒1は、例えばABS等から形成され、先細りの円筒状を呈する。先筒1の後部筒内に、継ぎ具3のホルダ筒2から前方へ突出する先端部が進入し、先筒1の後部側の内周面に設けられた係合部1aが、継ぎ具3の先端部の外周面に設けられた係合部3bに嵌合することにより、継ぎ具3は、先筒1に軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動不能に装着され一体化されている。
【0024】
容器内を進退する棒状化粧料支持体4は、複数本の棒状化粧料Mの後端部を支持するための支持部4a(図4及び図5も参照)と、支持部4aより後側の軸体部4bと、を備える。軸体部4bは、軸線方向に延在する軸体であり、支持部4aに連結された連結軸部4fと、連結軸部4fの後部に連設された回り止め部4gと、回り止め部4gから後方へ延在し外周部に設けられた雄螺子4iと、を有する。雄螺子4iは、例えばPOM等から形成され、当該雄螺子4iより前側の回り止め部4gに圧入固定される。また、棒状化粧料支持体4の雄螺子4iより前側の部分は、例えばPBT等から形成される。
【0025】
支持部4aは、図1図2及び図6に示すように、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致する円形断面を成して軸線方向に短尺に延び、棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための円柱状の基部4dを備える。
【0026】
基部4dは、ここでは3個が離間して一列に並設され、互いの基部4d同士は、基部4dと軸線方向長が同じで基部4dより多少幅狭(図6の上下方向幅が幅狭)の略直方体形状の連結部4eにより互いに連結されている。
【0027】
これらの基部4dの外周面であって、基部4dの周方向に離間する略4等配の位置には、棒状化粧料Mを支持するためのブロック状の支持片4c,14c(支持片4c,14cの区分けは後述)が基部4dの外周面から軸線方向前方へ延びるように設けられている(図5も参照)。支持片4c,14cは、基部4dから前方に突出するように延びている。支持片4c,14cの内周面は、棒状化粧料Mの外周面の一部に合致する円弧状を呈し、棒状化粧料Mを支持する支持片面4j(図6参照)として機能する。
【0028】
ここで、3個の基部4dを横方向に並設した図6に示す状態を基準として説明すると、左右両側の基部4dにあっては、それぞれ外側位置で、45°上方へ向かう位置と45°下方へ向かう位置に、略直方体形状を成しその基部側が基部4dの外面に連結されて前方へ延びる支持片4cがそれぞれ設けられている。この支持片4cの内側の円弧状の支持片面4jが棒状化粧料Mの外周面を支持する。
【0029】
一方の片側(例えば左側)の基部4dと中央の基部4d同士の間の上部にあっては、略正五角形状を成しその基部側が、隣接する基部4d,4dの上部の外面、及び、連結部4eの上面に連結されて前方へ延びる支持片14cが設けられる。同様に、他方の片側(例えば右側)の基部4dと中央の基部4d同士の間の上部にも支持片14cが設けられる。この1個の支持片14cの内側の一方の円弧状の支持片面4jが一の棒状化粧料Mの外周面を支持し、支持片14cの内側の他方の円弧状の支持片面4jが他の棒状化粧料Mの外周面を支持する。
【0030】
また、一方の片側の基部4dと中央の基部4d同士の間の下部にあっては、略正五角形状を逆さにした形状を成しその基部側が、隣接する基部4d,4dの下部の外面、及び、連結部4eの下面に連結されて前方へ延びる支持片14cが設けられる。同様に、他方の片側の基部4dと中央の基部4d同士の間の下部にも支持片14cが設けられる。この1個の支持片14cの内側の一方の円弧状の支持片面4jが一の棒状化粧料Mの外周面を支持し、支持片14cの内側の他方の円弧状の支持片面4jが他の棒状化粧料Mの外周面を支持する。
【0031】
そして、これらの周方向に並設された支持片4c,14cにより、基部4dに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部の外周面を、相互間に挟んで支持する。すなわち、複数本の棒状化粧料Mが、支持体4の支持片4c,14cにより同時に支持される。
【0032】
なお、支持片4c,14cの先端の円弧状の内周面側には、棒状化粧料Mを押し込む際の案内面として機能する面取りC(図5及び図6参照)が施されている、また、図6に示す支持片面4jの内周面に、軸線方向に延びるリブ(爪)を立設し当該リブに棒状化粧料Mをめり込ませ密着力を高めるようにしても良い。
【0033】
図1図2図4及び図5に示すように、支持部4aに続く連結軸部4fは長尺に構成され、これに続く回り止め部4gの後端部には、凸状の回転係合部4h,4hが対向して突設される。回転係合部4hは、図2に示すように、継ぎ具3の内周面に軸線方向に延びるように設けられた長溝3c内に進入し、軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に連結され、螺合作用時の回り止めとして機能する。また、長溝3cの先端面に回転係合部4hが突き当たった図2に示す位置が、棒状化粧料支持体4の前進限とされる。
【0034】
図1図4及び図10に示すように、先筒1には、先端の開口1bから後方へ向かって延びて先筒1を貫通し棒状化粧料Mが摺動する棒状化粧料孔1cが3個並設されている。開口1bは、ここでは、3個に分割されず、棒状化粧料孔1c同士間に、約0.2mmの隙間を持って繋がっている。なお、開口1bを構成する棒状化粧料孔1cは、各々が繋がっておらず分けられていても良く、要は、棒状化粧料M同士が接触しなければ良い。この棒状化粧料孔1cには、支持部4aの基部4dも進退する。
【0035】
先筒1には、図1図3及び図7に示すように、棒状化粧料孔1cの先端近傍から連設され、複数の支持片4cが進退する支持片溝1d及び複数の支持片14cが進退する支持片溝11d、図6に示す連結部4eが進退する連結部孔1mが形成され、ここでは、支持片溝1d,11d及び連結部孔1mより、支持部4aが進退するための支持部孔1nが形成され、支持部孔1n及び棒状化粧料孔1cにより、棒状化粧料M及び支持部4aが進退する図7に示す進退孔1rの形状が形成されている。すなわち、先筒1には、複数本の棒状化粧料Mが進退する棒状化粧料孔1cを含み、複数本の棒状化粧料M及び支持部4aが進退する進退孔1rが形成されている。棒状化粧料孔1cは、先筒1の先端から形成されているが、支持部孔1nは、先筒1の先端近傍から、支持部4aが軸線方向に進退する進退範囲内である継ぎ具3の先端部内まで形成されている(図1参照)。
【0036】
突出部6は、図1図4に示すように、先筒1の先端の片側、具体的には、複数本の棒状化粧料Mの並設方向に直交する方向の片側(図1の紙面奥側、図2図4の下側)に、先筒1の先端の外面に連設され前方へ突出するように設けられている。突出部6は、ここでは、先筒1の先端を軸線方向後方へ沿って切り欠く(削り取る)ことにより、形成されているが、一体成形や、先筒1の先端の片側に連結する構成であっても良い。
【0037】
突出部6には、その切欠面側(図1の紙面手前側、図2図4の上側)に、開口1bから繰り出され繰り戻されて出没する棒状化粧料Mの進退を可能とする溝部6aが、図4図8及び図9に示すように、それぞれの棒状化粧料孔1cに対応し軸線方向に延びるように凹設されている。この溝部6aは、棒状化粧料孔1cに繋がるように設けられている。
【0038】
溝部6aは、棒状化粧料Mの形状に沿った溝であり、略半円状の内面(凹面)6bを有している(図3図10参照)。これは、棒状化粧料Mの被塗布部への塗布の際に棒状化粧料Mの外面を溝部6aの内面6bで受けるためである(詳しくは後述)。この溝部6aの略半円状の内面(凹面)6bと、開口1bを通して繰り出された棒状化粧料Mの外面との間には、微小隙間が設けられている。この微小隙間は、溝部6aの略半円状の内面6bと棒状化粧料Mの外面とが限りなく近接する隙間である。
【0039】
また、図8及び図9に示すように、突出部6の溝部6a,6a同士の間には、突出部6の先端から後方へ向かって延在し、突出部6を厚み方向に貫通するスリット6cがそれぞれ設けられている。このスリット6cは、眉毛H(図11参照)を梳くためのものである(詳しくは後述)。
【0040】
そして、上記突出部6を有する容器の組立後に、棒状化粧料Mを、突出部6の溝部6aをそれぞれ通るようにして先筒1の先端側から各々棒状化粧料孔1cに差し込み、図1に示す棒状化粧料繰出容器100を得る。なお、先筒1と継ぎ具3は、ここでは、肉ひけを抑止すべく、分割製造され連結されて一体化されているが、先筒1及び継ぎ具3は、一体成形品であっても良い。
【0041】
このような棒状化粧料繰出容器100を用い、使用者により先筒1とホルダ筒2とが一方向である繰り出し方向に相対回転(回転操作)されると、棒状化粧料支持体4の雄螺子4i及び雌螺子部材5の螺合突起5i,5iによる螺合作用が働き、棒状化粧料支持体4が前進し、複数本の棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1bから同時に出現する。使用者は、さらなる相対回転により、複数本の棒状化粧料Mを突出部6の先端から塗布に最適な長さ分、前方へ繰り出す。このように突出部6の先端から前方へ突出し塗布に供されるための棒状化粧料Mの部分を棒状化粧料M1(図11参照)と呼ぶ。
【0042】
次いで、複数本の棒状化粧料Mを塗布するにあたっては、図10及び図11に示すように、使用者は、棒状化粧料繰出容器100を、その突出部6が、複数本の棒状化粧料Mを間に介し被塗布部である眉毛Hの地肌Sとは反対側(図10及び図11の上側)に位置するようにして、図11に示すように、斜めする。次いで、使用者は、突出部6の先端から前方へ突出している棒状化粧料M1を、眉毛Hの地肌Sに押し当てて塗布する。
【0043】
このとき、棒状化粧料Mに対しては、押圧方向とは反対方向(図11の上方)に反力が作用するが、棒状化粧料Mは、それぞれ進入している溝部6aの内面6bに各々当接し折れないように受けられる。
【0044】
そして、棒状化粧料M1を被塗布部である眉毛Hの地肌Sに押し付け化粧料を塗布しながら、棒状化粧料繰出容器100を引くように(ずらして)移動させていくと、スリット6cに眉毛Hが進入し、当該スリット6cによって眉毛Hを梳くことができる。
【0045】
このようにして同時に複数本の棒状化粧料Mによる塗布が終了したら、使用者により、先筒1とホルダ筒2とが一方向の反対方向である繰り戻し方向に相対回転(回転操作)されて、棒状化粧料支持体4が後退し、複数本の棒状化粧料Mが同時に繰り戻され、先筒1の先端の開口1bから没入する。
【0046】
このように、本実施形態の棒状化粧料繰出容器100によれば、容器内に、支持部4aに設けられた複数の支持片4c,14cにより複数本の棒状化粧料Mが並設支持されると共に、当該複数本の棒状化粧料Mは支持部4aと共に軸線方向に同時に進退し、先筒1の先端の開口1bから複数本の棒状化粧料Mが出没可能とされ、突出部6を通して塗布に供されるようになっている。従って、塗布部である眉毛Hの地肌Sに化粧料を塗布する際に、複数本の棒状化粧料Mにより効率的に化粧料を塗布できると共に、例えば1本の棒状化粧料Mにより選択的に細やかな化粧を施すこともでき、しかも、液状化粧料のような化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、複数本の棒状化粧料Mを有しているにもかかわらず、持ち運びが便利であり、且つ、複数本の棒状化粧料Mの繰り出し/繰り戻しができ使い勝手が良い棒状化粧料繰出容器100を提供できる。
【0047】
特に、本実施形態によれば、先筒1の先端において複数本の棒状化粧料Mの並設方向に直交する方向の片側に、前方へ突出する突出部6を備え、突出部6は、開口1bから出没する複数本の棒状化粧料Mの進退を可能とする溝部6aをそれぞれ有しており、突出部6の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料M1によって被塗布部である眉毛Hの地肌Sに塗布する場合にあっては、突出部6は、複数の棒状化粧料Mを間に介し被塗布部である眉毛Hの地肌Sとは反対側に位置した状態での使用となるため、複数の棒状化粧料Mは、それぞれが進入している突出部6の溝部6aの内面6bに当接し受けられ保護されることになり、棒状化粧料Mの芯折れを防ぐことができる。なお、棒状化粧料Mは、突出部6の溝部6aの略半円状の内面6bにより受けられるため、横ぶれ(図10の左右方向のぶれ)にも強くなっている。
【0048】
また、特に本実施形態によれば、複数の棒状化粧料Mによって被塗布部である眉毛Hの地肌Sを塗布する際に、上記のように複数の棒状化粧料Mは突出部6により受けられ保護されるため、図11に示すように、突出部6の突出長さ分L、複数の棒状化粧料Mを開口1bから余分に繰り出すことができる。その結果、先筒1の先端を被塗布部である眉毛Hの地肌Sに接触しない程度に離間する(斜めに浮かす)ことができ、塗布がしやすくなる。
【0049】
なお、図12に示すように、先筒1の先端に突出部6がない場合には、塗布の際に、棒状化粧料Mを開口1bから突出させ過ぎると、芯折れが生じてしまうため、芯折れを防ぐべく、先筒1の先端の開口1bから棒状化粧料Mを少量しか突出できず、先筒1の先端と被塗布部である眉毛Hの地肌Sが近接して接触し、塗布がし難くなるという問題があるが、本実施形態では、前述したように、突出部6を設け、先筒1の先端が地肌Sから離れるようにしているため、塗布がし難いというような問題は解消されている。
【0050】
また、特に本実施形態によれば、突出部6の溝部6a,6a同士の間に、図11に示すように、当該突出部6の先端から後方へ向かって延在し、当該突出部6を厚み方向に貫通するスリット6cを設けているため、複数本の棒状化粧料Mで被塗布部である眉毛Hの地肌Sに化粧料を塗布しながら、櫛の役目を果たすスリット6cによって眉毛Hを梳くことができる。
【0051】
なお、本実施形態の棒状化粧料繰出容器100によれば、以下の作用・効果も奏する。すなわち、複数本の棒状化粧料Mが、1個の共通の支持片14cにより個別に支持されるため、支持部4aの構成を簡易にできる。具体的には、一の支持片14cは、一の棒状化粧料Mの外面の一部を支持する一の支持片面4jと、一の棒状化粧料Mに隣接する他の棒状化粧料Mの外面の一部を支持する他の支持片面4jと、を備えているため、一の支持片14cは、隣接する複数の棒状化粧料Mを個別に支持でき、支持部4aの構成を簡易にできる。
【0052】
また、支持部4aは、棒状化粧料Mのそれぞれが付き当てられる基部4dと、隣接する基部4d,4d同士を連結する連結部4eと、基部4d及び連結部4eの外面から前方へ延出する複数の支持片4c,14cと、を備え、基部4dは、棒状化粧料孔1cを進退し、支持片4c,14c及び連結部4eは、支持部孔1nを進退する構成で、基部4d,4d同士が連結部4eにより互いに連結されているため、支持部4aの強度を上げることが可能となっている。
【0053】
また、開口1bを、複数の棒状化粧料孔1c同士間に隙間を持って繋がる構成としているため、棒状化粧料M同士を限りなく近接(棒状化粧料M同士が接触しない程度に隙間が空いている状態に)できることになり、眉毛Hの地肌Sに塗布する際に、密に化粧料を塗布することができる。なお、棒状化粧料M同士が接触し1つの棒状化粧料としての塗布となると、ベタ塗りのような仕上がりとなってしまうことがあるが、上述のように棒状化粧料M同士の間に隙間が介在しているため、ベタ塗り感が生じることを防止できる。なお、棒状化粧料孔1c同士が繋がっておらず各々が分けられている場合には、連結部4eに仕切り板等が必要となる。因みに、先筒1を金型成形する際は、開口1bの部分を成形するのにコアピンを使用するが、複数の棒状化粧料孔1c同士間に隙間を持って繋がっている開口1bを成形する際には一本の太いコアピンを使用することができ、コアピンの強度を強くすることができるのでより好適である。
【0054】
また、複数の棒状化粧料Mを、別個違う色とすると、均一な色をしていない色むらを被塗布部に容易に形成できる。
【0055】
なお、1本の細い棒状化粧料(アイブロウ)で眉毛Hの地肌Sに化粧を施す場合には、化粧を施すのに時間を要し、1本の太い棒状化粧料で眉毛Hの地肌Sに化粧を施す場合には、塗り潰したような感じになってしまい、細かい繊細な化粧を施すのに技術及び時間を要する。しかしながら、本実施形態によれば、複数本の棒状化粧料を同時に使用できるため、自然に抜けている感じの塗布隙間を容易に生じせしめることができ、自然感を出しつつ繊細且つ綺麗な塗布を短時間で行うことができる。因みに、例えば眉尻のように細いところを描く場合には、複数本のうち1本の棒状化粧料を使用すれば良い。
【0056】
また、本実施形態によれば、棒状化粧料Mを容器内に没入できるため、液状化粧料押出容器のような揮発防止用のキャップが必要なく、液状化粧料押出容器に比して容器のコンパクト化を図ることができる。
【0057】
なお、上記実施形態において、支持部4aの連結部4eをなくし、中央の支持片14cにおいて基部側の内周面を、基部4dの外周面にそれぞれ連結すると共に、支持片14cを基部4dから前方へ延出させ、当該延出部分で棒状化粧料Mの後部を周囲から支持するようにしても良い。この場合には、先筒1において連結部孔はなくても良い。また、連結部4eをなくし、中央の上下のそれぞれの支持片14cの基部側を、それぞれ上下の相手側の支持片14cへ延ばし互いに連結して略半円状の内周面を背中合わせに有する支持片に変更し、当該支持片の略半円状の内周面を、基部4dの外周面にそれぞれ連結し、基部4dで上下に一体化した略半円状の内周面を有する支持片を前方へ延出させ、当該延出部分のそれぞれで、隣接する棒状化粧料Mの後部を周囲からそれぞれ支持するようにしても良い。
【0058】
図13は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の先筒の突出部の斜視図、図14は、突出部の平面図、図15は、先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図、図16は、突出部から突出する棒状化粧料を被塗布部に塗布する際の動作説明図である。
【0059】
この第2実施形態の棒状化粧料繰出容器が、第1実施形態の棒状化粧料繰出容器と違う点は、図13図15に示すように、突出部6が、先筒1の先端に、隙間Dを介して一対が対向して設けられている、より具体的には、複数の棒状化粧料Mの並設方向に直交する方向の両側に、前方へ突出する突出部6,6が隙間Dを介して設けられている点である。
なお、突出部6,6は、隙間Dを介して対向するため、隙間Dを設ける分、突出部6の溝部6aは、第1実施形態の略半円に比してその左右端を短くした円弧となっている(図15参照)。
【0060】
このような第2実施形態にあっても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏するのはいうまでもなく、加えて、図16に示すように、塗布の際に、何れの突出部6が、複数の棒状化粧料Mを間に介し被塗布部Sとは反対側に位置していても良いため、塗布時に表裏がなく、複数本の棒状化粧料Mで被塗布部(地肌)Sに化粧料を塗布しながら、被塗布部S側とは反対側(図示上側)の突出部6のスリット6cにより毛髪を梳くことができ、使い勝手が良い。
【0061】
図17は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の先筒の突出部の斜視図、図18は、突出部の平面図、図19は、先筒を使用時に正面から見た図であり、突出部の位置で切った横断面図である。
【0062】
この第3実施形態の棒状化粧料繰出容器が、第1実施形態の棒状化粧料繰出容器と違う点は、溝部6a,6a同士間にスリット6cを有する突出部6に代えて、図17図19に示すように、溝部6a,6a同士間に凸部16cを有する突出部16を用いた点である。
【0063】
突出部16の凸部16cは、溝部6a,6a同士の間で、突出部16の先端から後方へ向かって延在し、溝部6aに進入した棒状化粧料Mの高さ以上に突出する凸部となっている。この凸部16cは、略半円状の溝部6a,6a同士を繋いでいる部分を、さらに突出させた形状を呈している。
【0064】
そして、使用にあたっては、使用者により複数本の棒状化粧料Mを突出部16の先端から塗布に最適な長さ分、前方へ繰り出し、第1実施形態と同様に、突出部16が、図19に示すように、複数本の棒状化粧料Mを間に介し被塗布部である眉毛Hの地肌Sとは反対側に位置するようにして斜めにし、突出部16の先端から前方へ突出している部分である棒状化粧料M1を、眉毛Hの地肌Sに近付けていく。
【0065】
すると、凸部16cが眉毛Hに進入し、棒状化粧料繰出容器100を引くように(ずらして)移動させていくことにより、凸部16cにより眉毛Hを分け梳きながら、棒状化粧料M1を被塗布部である眉毛Hの地肌Sに押し付け、化粧料を塗布する。
【0066】
このとき、棒状化粧料Mに対しては、第1実施形態と同様に、押圧方向とは反対方向に反力が作用するが、棒状化粧料Mは、それぞれ進入している溝部6aの内面6bに各々当接し折れないように受けられる。
【0067】
このような第3実施形態にあっても、第1実施形態と同様な作用・効果を奏する。具体的には、第1実施形態と同様に、容器内に、支持部4aに設けられた複数の支持片4c,14cにより複数本の棒状化粧料Mが並設支持されると共に、当該複数本の棒状化粧料Mは支持部4aと共に軸線方向に同時に進退し、先筒1の先端の開口1bから複数本の棒状化粧料Mが出没可能とされ、突出部6を通して塗布に供されるようになっている。従って、塗布部である眉毛Hの地肌Sに化粧料を塗布する際に、複数本の棒状化粧料Mにより効率的に化粧料を塗布できると共に、例えば1本の棒状化粧料Mにより選択的に細やかな化粧を施すこともでき、しかも、液状化粧料のような化粧料の目詰まり等がなく化粧料がかすれずに常時良好に塗布でき、加えて、複数本の棒状化粧料Mを有しているにもかかわらず、持ち運びが便利であり、且つ、複数本の棒状化粧料Mの繰り出し/繰り戻しができ使い勝手が良い棒状化粧料繰出容器を提供できる。
【0068】
特に、本実施形態によれば、先筒1の先端において複数本の棒状化粧料Mの並設方向に直交する方向の片側に、前方へ突出する突出部16を備え、突出部16は、開口1bから出没する複数本の棒状化粧料Mの進退を可能とする溝部6aをそれぞれ有しており、突出部16の先端より前方へ位置する複数の棒状化粧料M1によって被塗布部である眉毛Hの地肌Sに塗布する場合にあっては、突出部16は、複数の棒状化粧料Mを間に介し被塗布部である眉毛Hの地肌Sとは反対側に位置した状態での使用となるため、複数の棒状化粧料Mは、それぞれが進入している突出部16の溝部6aの内面6bに当接し受けられ保護されることになり、棒状化粧料Mの芯折れを防ぐことができる。なお、棒状化粧料Mは、突出部16の溝部6aの略半円状の内面6bにより受けられるため、横ぶれ(図1の上下方向のぶれ)にも強くなっている。
【0069】
また、特に本実施形態によれば、複数の棒状化粧料Mによって被塗布部である眉毛Hの地肌Sを塗布する際に、上記のように複数の棒状化粧料Mは突出部16により受けられ保護されるため、突出部16の突出長さ分L、複数の棒状化粧料Mを開口1bから余分に繰り出すことができる。その結果、先筒1の先端を被塗布部である眉毛Hの地肌Sに接触しない程度に離間する(斜めに浮かす)ことができ、塗布がしやすくなる。
【0070】
なお、先筒1の先端に突出部16がない場合には、第1実施形態で説明したのと同様に、塗布の際に、先筒1の先端と被塗布部である眉毛Hの地肌Sが近接して接触し、塗布がし難くなるという問題があるが、本実施形態では、突出部16を設けているため、棒状化粧料Mを余分に繰り出せることができ、先筒1の先端が地肌Sから離れ、塗布がし難いというような問題は解消されている。
【0071】
また、特に本実施形態によれば、突出部16の溝部6a,6a同士の間に当該突出部16の先端から後方へ向かって延在し、溝部6aに進入した棒状化粧料Mの高さ以上に突出する凸部16cを設けているため、凸部16cが櫛の役目を果たし眉毛Hを分け梳きながら、複数本の棒状化粧料Mで被塗布部である眉毛Hの地肌Sに化粧料を塗布できる。
【0072】
なお、突出部16の凸部16cは、溝部6aに進入した棒状化粧料Mの高さと同じであっても、上記と同様に、当該凸部16cによって、眉毛Hを分け梳きながら、複数の棒状化粧料Mで地肌Sに化粧料を塗布できる。
【0073】
因みに、突出部16において複数の棒状化粧料Mの並設方向の両端部であって両端の溝部6aに隣接する部分も、溝部6aに進入した棒状化粧料Mの高さ以上に突出する凸部16cとしても良い。
【0074】
なお、前述したのと同様に、一の支持片14cにより、隣接する複数の棒状化粧料Mを個別に支持し、支持部4aの構成を簡易にできる作用・効果、また、基部4d,4d同士を連結部4eにより互いに連結し、支持部4aの強度を上げる作用・効果、また、開口1bを、複数の棒状化粧料孔1c同士間に隙間を持って繋がる構成とし、棒状化粧料M同士を限りなく近接させて、眉毛Hの地肌Sに塗布する際に、ベタ塗りではなく密に化粧料を塗布できると共に、開口1bを成形する際のコアピンの強度を強くできる作用・効果等、他の作用・効果も、第1実施形態と同様に奏することができるというのはいうまでもない。
【0075】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、塗布の際に比較的折れやすい細い棒状化粧料Mに対する適用を述べているが、上記より太い棒状化粧料に対しても勿論適用できる。
【0076】
また、上記実施形態においては、特に溝部6aの内面6b全体で棒状化粧料Mを受けることができるとして、溝部6aを棒状化粧料Mの形状に合う略半円状の内面としていが、例えば、コの字状の凹形状とし、当該コの字の底面(内面)で棒状化粧料を受けるようにしても良い。
【0077】
また、上記実施形態においては、作用・効果が前述したように特に顕著だとして、眉毛Hの地肌Sに塗布し眉毛Hを梳くアイブロウが好適であるとしているが、塗布しながら睫毛を梳くマスカラや、塗布しながら梳くことができる毛染め用としても用いることができ、要は、塗布しながら眉毛、睫毛等の毛髪(人の毛の総称)を梳くものに対して適用できる。
【0078】
また、上記実施形態においては、棒状化粧料を、円柱形状としているが、例えば、四角柱形状、三角柱形状、楕円断面形状、雫断面形状、猫目断面形状等を始めとした非円形断面形状の棒状化粧料に対しても適用できる。この場合には、棒状化粧料の形状に合わせて突出部の溝部や支持部や進退孔の形状も変更することになる。特に、棒状化粧料を四角柱形状とした場合には、突出部の溝部をコの字状の凹形状とし、当該コの字の底面(内面)に棒状化粧料が当接するのが好ましい。また、支持部は、支持片のない例えば口紅の場合のように有底筒形状であっても良い。さらに、棒状化粧料の太さは、ばらばらであっても良く、この場合には、太さに合わせて突出部の溝部や支持部や進退孔も変更することになる。
【0079】
また、上記実施形態において雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであれば良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
【0080】
なお、上記実施形態の棒状化粧料繰出容器100を棒状化粧料カートリッジとして使用することも可能である。この場合、上記棒状化粧料カートリッジ100を、有底円筒状で長尺なカートリッジ収容容器に対して、その後半部を内挿し使用することになる。具体的には、回転方向に係合可能な係合部として、例えば、カートリッジ収容容器の内周面に、軸線方向へ延びる突条を周方向に沿って複数配設すると共に、前後方向へ延びカートリッジ収容容器の突条同士の間に進入して回転方向に係合する突条を、棒状化粧料カートリッジ100を構成するホルダ筒2の外周面に周方向に沿って複数配設する。また、例えば、軸線方向に係合可能な係合部として、例えば、カートリッジ収容容器の内周面に、円環状の凹部又は凸部を配設すると共に、ホルダ筒2の外周面に、カートリッジ収容容器の凹部又は凸部が進入する凸部又は凹部を形成する。そして、棒状化粧料カートリッジ100を、その後端部から、カートリッジ収容容器へ内挿し、回転方向に係合する上記係合部同士により、ホルダ筒2をカートリッジ収容容器に対して同期回転可能とすると共に、軸線方向に係合する上記係合部同士により、ホルダ筒2をカートリッジ収容容器に対して着脱可能(若しくは着脱不能)に連結した棒状化粧料繰出容器とすることもできる。この場合、ホルダ筒2及びカートリッジ収容容器が、容器後部を構成することになる。また、係合部の構成は、上記突条や、凹凸部に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0081】
1…先筒(容器前部)、1b…開口、1c…棒状化粧料孔、1r…進退孔、2…ホルダ筒(容器後部)、3…継ぎ具(容器前部)、4…棒状化粧料支持体(移動体)、4a…支持部、4i…雄螺子、5…雌螺子部材、5i…雌螺子、6…突出部、6a…溝部、6b…内面、6c…スリット、16c…凸部、100…棒状化粧料繰出容器、D…隙間、M…棒状化粧料(アイブロウ)。
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