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  • 特許-メガネ及びそのテンプル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】メガネ及びそのテンプル
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/14 20060101AFI20230130BHJP
   G02C 5/22 20060101ALI20230130BHJP
   G02C 9/00 20060101ALI20230130BHJP
   G02C 5/02 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
G02C5/14
G02C5/22
G02C9/00
G02C5/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019035064
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020140054
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】511080328
【氏名又は名称】株式会社 GLASSART
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】山下 昌幸
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3011320(JP,U)
【文献】登録実用新案第3183940(JP,U)
【文献】特開2015-038608(JP,A)
【文献】特開2015-090474(JP,A)
【文献】中国実用新案第2898862(CN,Y)
【文献】米国特許第06513925(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/14
G02C 5/22
G02C 9/00
G02C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時着用している眼鏡の上に重ねて掛けることが出来るメガネにおいて、該メガネはフロント部とその両側に折畳み出来るように取付けたテンプルを有し、上記テンプルは半円形をしたカギ型継手を基部に設け、基部から二股に分かれた上片と下片が先端方向へ延びて間には空間を形成し、該空間には常時着用している上記眼鏡のテンプルが嵌って係合することが出来、該カギ型継手は中心の軸穴に上記フロント部に設けている軸部が嵌って係合していることを特徴とするメガネ。
【請求項2】
上記フロント部の両側には所定の間隔をおいた2個の貫通穴を対を成して設け、この両貫通穴の間に上記軸部を形成し、上記カギ型継手の軸穴に該軸部を嵌めると共に、半円形のカギ型継手を貫通穴に係合してテンプルが旋回出来るように連結した請求項1記載のメガネ。
【請求項3】
上記テンプルを構成している上片及び下片の間隔(上下寸法)を基部側から順次拡大し、途中で縮小して先端部で交わるようにした請求項2記載のメガネ。
【請求項4】
上記上片の下面を傾斜した請求項1、請求項2、又は請求項3記載のメガネ。
【請求項5】
常時着用している眼鏡の上に重ねて掛けることが出来るメガネのフロント部両側に折畳み出来るように取付けたテンプルであって、上記テンプルは半円形をしたカギ型継手を基部に有し、基部から二股に分かれた上片と下片が先端方向へ延びて間には空間を形成し、該空間には常時着用している上記眼鏡のテンプルが嵌って係合することが出来、該カギ型継手は中心の軸穴に上記フロント部に設けた軸部が嵌って係合することが出来ることを特徴とするメガネのテンプル。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常時着用しているメガネの上に重ねて掛けることが出来る拡大鏡(ルーペ)、サングラス、又は現場の作業者が眼を守るために掛ける保護用メガネ、及びメガネのフロント部両側に取付けられるテンプル(ツル)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メガネといってもその種類は色々あり、近眼の人が着用するメガネ、老人が着用するメガネ(老眼鏡)、眩しい光を遮るために着用するサングラス、さらには溶接作業する際の強烈な光から目を守ることが出来る保護用メガネなど、多種多様なメガネが知られている。
また、同じ用途のメガネであっても、その外観及びデザインは様々であり、無数に近い種類のメガネが存在している。
【0003】
一方、近年では常日頃着用しているメガネの上に、拡大鏡として機能するルーペ型メガネが多用されている。この拡大鏡は普通のメガネのように顔に掛けることが出来るルーペであり、約1.3倍~1.8倍の大きさが拡大されることで、新聞や雑誌などの小さい文字であっても読むことが出来る。すなわち、老眼鏡だけでは文字が小さいために読めない文字が、拡大されることでよく見えて読むことが出来る。
【0004】
しかし、この拡大鏡(ルーペ)は、各自の視力が確保された上で着用するものであり、元々、視力のない人が拡大鏡だけを着用して使うことは出来ない。すなわち、視力を矯正することが出来るメガネを掛け、その上で該拡大鏡を着用する必要がある。
サングラスの場合も同じであり、視力に欠けている人は矯正用のメガネが必要となり、その上でサングラスを掛けなくてはならない。
【0005】
図6は、拡大鏡(ルーペ型メガネ)を常時着用メガネの上に掛けた場合の使用態様を示しているように、該拡大鏡(イ)は着用しているメガネのフロント部(ロ)の上に係止して掛けることが出来る。
該拡大鏡(イ)も、その基本的な形態は従来のメガネと共通し、フロント部(ロ)と両テンプル(ハ)、(ハ)を有し、フロント部(ロ)はワタリ(ニ)にレンズ(ホ)を取付けた構造としている。そして、上記ワタリ(ニ)は常時着用してメガネのフロント部の上に載置され、テンプル(ハ)、(ハ)が頭部側面に係止することで落下することなく掛けることが出来る。
しかし、常時着用メガネの上に掛ける拡大鏡(イ)は安定せず、位置ズレし、時には顔から外れて落下することも多い。
【0006】
近年、この種の拡大鏡は「ハズキルーペ」や「スマートアイ」と称されて市販されている。しかし、顔に掛けた際の安定性は乏しくて位置ズレし、時々掛けなおすことが必要となる。
特開2001-350123号に係る「拡大鏡付きメガネ」は、外科医が手術の際に着用するメガネであり、拡大鏡の着脱が容易であってメガネと一体化している。すなわち、フロント部からはリンク体を延ばし、リンク体の先端には両側へ延びるアームを取着し、このアームに拡大鏡を取付けると共に、両拡大鏡間距離は自由に変えることが出来るようにしている。
しかし、この「拡大鏡付きメガネ」は、新聞や雑誌を読む際に常時掛けているメガネに組み合わせて着用するものではない。
【文献】特開2001-350123号に係る「拡大鏡付きメガネ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、常日頃着用しているメガネの上に掛けることが出来るメガネには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、位置ズレすることなく、安定して掛けることが出来るメガネ、及びメガネを構成するテンプルを提供する。
ここで、対象とするメガネとしては、拡大鏡(ルーペ)のみならず、サングラス、作業時に使う保護用メガネも含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るメガネは、フロント部と2本のテンプル(ツル)を有して構成し、基本的な構造は従来のものと共通しているが、特に上記テンプルの形態及び該テンプルの取付け構造に特徴を備えている。
テンプルは折畳み出来るようにフロント部に連結しているが、従来のような継手としての蝶番を用いておらず、テンプルの基部には概略半円形をしたカギ型継手を形成し、中心には軸穴を有している。
【0009】
そして、フロント部の両側には所定の間隔をおいて貫通した2個の穴が対を成して設けられ、この2個の穴に上記半円形のカギ型継手が係合している。すなわち、概略半円形のカギ型継手の2か所が貫通した2個の穴に嵌り、両穴の間の軸部にカギ型継手の軸穴が嵌ってテンプルは旋回して折畳まれ、カギ形継手は2個の穴に沿って安定して回転摺動することが出来る。
ここで、カギ型継手の軸穴に嵌るフロント部に設けられる軸部は、必ずしも対を成す2個の穴の間に設ける場合に限定しない。
【0010】
そして、上記テンプルは半円形のカギ型継手から先端方向へ延びているが、基部から上片と下片の2股に分かれて上方及び下方へ傾斜して延び、高さ寸法は次第に拡大し、上片と下片の間には空間が形成される。そして、最も高さ寸法が最大になったところで上片及び下片は先端部側に向いて上方及び下方へ傾斜して延びることで高さ寸法は縮小し、先端部にて互いに交わって1本となる。ただし、上片及び下片が傾斜する形状に関しては限定しない。
【0011】
ところで、テンプルの取付け方法は、縦寸法の小さい先端をフロント部に設けた貫通穴を挿通し、半円形のカギ型継手が2個の穴に嵌合すると共に軸穴に軸部が嵌るまで押し込まれる。
カギ型継手は周囲が2個の穴にガイドされ、軸穴には軸部が嵌ることで、安定して旋回し、テンプルはガタ付くことなく折畳まれる。
【0012】
テンプルは間に空間を有し、傾斜する上片と下片から成っていることで、上下片は撓み変形して貫通穴を挿通することが出来る。そして、一旦、2個の貫通穴に嵌合した継手は、外れないように取付けられる。
また、フロント部の側端に2個の貫通穴を設けることなく軸部を設けている場合には、カギ型継手の軸穴に直接嵌ることが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るメガネの基本的な形態はフロント部と2本のテンプルから成り、従来のものと共通する。そして、テンプルは概略半円形のカギ型継手から上片と下片に分かれ、間には空間が形成されていることで、常時着用しているメガネのテンプルが該空間に嵌って係合する。したがって、上に重なって掛けるメガネのテンプルは位置決めされ、ズレることなく安定する。
しかも、上記空間に嵌ることでテンプルが押圧されることはなく、長時間にわたって着用しても顔の側面に痛みを感じることはない。
【0014】
本発明のメガネを構成しているテンプルのカギ型継手は概略半円形とし、フロント部に対を成して貫通した2個の穴に継手が係合し、安定して旋回して折畳み出来るように連結している。すなわち、フロント部の両側にはヨロイ部はなく、その為に折畳まれたテンプルはフロント部に殆ど隙間なく収まり、コンパクトに折畳まれる。
勿論、従来のメガネ用のテンプル継手構造に比較して簡単であり、製作コストは安くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るメガネの実施例で、(a)は平面図、(b)は正面図を表している。
図2】本発明に係るメガネの実施例で、側面図を表している。
図3】フロント部の側部に2個の貫通穴を対を成して設けた場合。
図4】本発明に係るメガネのテンプルを示す具体例。
図5】テンプルを構成する上片の断面拡大図。
図6】常時着用しているメガネの上に別のメガネを重ねて掛けた従来の使用例。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図2は本発明に係るメガネを示す実施例であり、図1の(a)は平面図、(b)は正面図、図2は側面図をそれぞれ表している。同図の1はフロント部、2はテンプルを示し、該フロント部1はレンズ3から成り、レンズ3は連続した左右のレンズ部3a,3bを有している。
レンズ3の中央部下側には凹部4が形成され、この凹部4には鼻当てパット5を取付けている。
【0017】
そして、フロント部1を構成しているレンズ3の両側には上記テンプル2,2が連結し、テンプル2,2は折畳まれる。
同図に示しているように、従来から多用されている蝶番型式を成す一般的な継手ではなく、上記テンプル2の基部に設けている概略半円形をしたカギ型継手6がフロント部1のレンズ3に形成している軸部7に係合している。したがって、テンプル2は軸部7を中心として旋回し、折畳まれる。
【0018】
図3はレンズ3の側部を表している拡大図であり、所定の間隔をおいて設けた2個の穴8a,8bが貫通している。そして、両穴8a,8bの間にはテンプル2のカギ型継手6が係合する軸部7を有している。
図1(a)に示しているように、概略半円形をしたカギ型継手6は軸部7に係合し、該軸部7を中心としてテンプル2は旋回することが出来、そしてテンプル2は折畳まれる。
この場合、レンズ3には2個の穴8a,8bが対を成して貫通していることで、半円形のカギ型継手6は軸部7に嵌るだけでなく、両穴8a,8bにガイドされて旋回し、その為にテンプル2の折畳み操作は安定する。
【0019】
図4にはテンプル2の具体例を表しているように、全体の形状は概略弓型を有し、基部にはカギ型継手6を形成している。カギ型継手6は概略半円形をなし、中心には軸穴9を有し、この軸穴9に上記フロント部1の軸部7が嵌ってテンプル2は連結することが出来る。
また、カギ型継手6は2個の穴8a,8bに係合してガイドされる。そして、テンプル2の先端部10は基部に設けたカギ型継手6より内側へ撓み変形し、該メガネを着用した場合には後頭部を抱き込むことが出来る。
【0020】
該テンプル2の正面図を図2に示しているように、大きな空間11を形成している。テンプル2は基部にカギ型継手6を有し、該カギ型継手6から上片12と下片13の二股に分かれ、基部側上片12aは僅か上方へ傾斜して延び、基部側下片13aは僅か下方へ傾斜して延びている。したがって、テンプル2の高さ寸法は途中まで順次拡大している。
また、上片12は途中から先端側上片12bが下方へ傾斜して延びている。同じく、先端側下片13bは上方へ傾斜して延びてテンプル2の高さ寸法は縮小し、先端部にて先端側上片12bと先端側下片13bは交わって先端部10を形成している。
【0021】
このように、テンプル2は互いに分離した2本の上片12と下片13にて構成され、その為に上片12と下片13の間には空間11を有している。比較的細い上片12及び下片13は弾性に優れ、その為に外力が働くならば撓み変形することが出来、例えば、上方及び下方からの外力の作用で上片12と下片13の間隔は縮小する。勿論、メガネを掛けた場合にテンプル2の外方向への撓み変形にて後頭部を適度な押圧力にて抱き込むことが出来る。
【0022】
ところで、テンプル2をフロント部1に取付ける場合、細く成っている先端部10を穴8bから挿入して押し込む。この際、先端側上片12bと先端側下片13bの間隔は拡大するが、上片12と下片13は撓み変形することで穴8bに押し込むことが出来る。
途中でテンプル2の上片12と下片13の間隔は最大と成るが、途中から基部側にかけて細くなり、基部に形成しているカギ型継手6に設けている軸穴9に軸部7が嵌ることが出来る。
【0023】
概略半円形をしたカギ型継手6は、その軸穴9に軸部7が嵌ると共に、両穴8a,8bに跨って外周部は係合することが出来、カギ型継手6はガタ付くことなく安定する。そして、一旦、カギ型継手6が両穴8a,8bに係合して取付けられたならば、容易には外れることはない。すなわち、基部から延びる上片12及び下片13の高さ寸法が拡大することで、該テンプル2が穴8bから抜け出すことは出来ない。
【0024】
図5図2における上片12の断面拡大図を表している。同図に示しているように、基部付近と先端側のA-A断面は正方形断面を有し、その他の領域であるB-B断面では台形断面とし、下面14は傾斜している。
ところで、本発明のメガネを掛ける場合、常時着用しているメガネのテンプル(ヘ)がテンプル2に形成している空間11に嵌って位置決めされる。そして、上片12の下面14は傾斜していることで、傾斜した下面14がテンプル(ヘ)に係止することが出来、上片12が位置ズレすることなく、着用したメガネは安定する。
【0025】
前記実施例では、樹脂製のメガネを具体例として説明したが、金属製フレームとして構成することも可能である。そして、フロント部1の形態は特に限定せず、レンズ3の形状に関しても自由である。
【符号の説明】
【0026】
1 フロント部
2 テンプル
3 レンズ
4 凹部
5 鼻当てパット
6 カギ型継手
7 軸部
8 穴
9 軸穴
10 先端部
11 空間
12 上片
13 下片
14 下面
















図1
図2
図3
図4
図5
図6