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  • 特許-クロノグラフ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】クロノグラフ
(51)【国際特許分類】
   G04F 10/00 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
G04F10/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019534946
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2017057289
(87)【国際公開番号】W WO2018127746
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】102017000000509
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519226322
【氏名又は名称】ジーフィデア エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フェランディーノ,ガブリエレ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0052954(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00 - 99/00
G04F 1/00 - 13/06
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-電子コンピュータ(2)と、
-電力供給手段(3)と、
-不揮発性メモリ(4)及び揮発性メモリと、
-前記コンピュータ(2)に動作可能に接続される制御手段(5)と、
-前記コンピュータ(2)に動作可能に接続されるディスプレイ(6)と、
を備えるクロノグラフ(1)であって、
-前記コンピュータ(2)が電子手段を備え、
前記電子手段は、機械型言語により規定されるプログラムを備え、
前記プログラムは、
-最初のセッティング後に変更することができないように、セットされた日付を前記電子手段によって1回だけ前記不揮発性メモリ(4)に記憶することと、
-ベンチマーク日付を前記電子手段によって前記揮発性メモリに保存することと、
-前記セットされた日付と前記ベンチマーク日付との間の経過時間を前記電子手段によって計算することと
-前記経過時間を前記電子手段によって前記ディスプレイ(6)に表示することと
を可能にするように構成されており、
前記コンピュータ(2)及び前記不揮発性メモリ(4)が前記電子手段の機能に専用のものであることを特徴とするクロノグラフ(1)。
【請求項2】
前記コンピュータ(2)及び前記不揮発性メモリ(4)が単一の構成要素に組み込まれる請求項1に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項3】
前記不揮発性メモリ(4)がEEPROM型メモリである請求項1に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項4】
前記コンピュータ(2)がプロセッサ(20)とマザーボード(21)とを備える請求項1に記載のクロノグラフ(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のクロノグラフ(1)により実施される方法であって、
-前記コンピュータ(2)が前記制御手段(5)によって起動される第1のステップと、
-前記コンピュータ(2)が前記不揮発性メモリ(4)内に備えられる前記プログラムを実行する第2のステップと、
-ユーザが前記セットされた日付を規定するとともに、前記コンピュータ(2)が備えるプロセッサ(20)が前記セットされた日付を前記不揮発性メモリ(4)に記録する第3のステップと、
-前記コンピュータ(2)が前記セットされた日付と現在の日付との間の経過時間を計算する第4のステップと、
を含む方法において、
-前記第1、第2、及び、第4のステップが繰り返し可能なルーチンを規定し、
-前記第3のステップを1回だけ行なうことができる、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記経過時間が前記ディスプレイ(6)に表示される第5のステップを含む請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に列挙されるタイプのクロノグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、クロノグラフが知られている。一般的な用法において、クロノグラフという用語は、経時的に、次第に精密及び精度を志向する意味を獲得してきた。一般に、実際には、ユーザによりコマンドで規定される時間部分を記録できる医療、軍事、又は、スポーツで使用するためのクロノメーターがクロノグラフと見なされる。
【0003】
しかしながら、クロノグラフという用語は、総称的に、その使用に応じて精度をもって測定される時間を記録できる能力を指す。
【0004】
歴史上で作られた最初のクロノグラフは、Louis Moinetにより1815年~1816年に発明され、「compteur de tierces」として知られている。
【0005】
このクロノグラフは、1秒で1回転を完了するのに適した中央ハンドがボタンにより始動され、停止され、及び、ゼロに合わされ得る天体観測の機器であった。
【0006】
また、分、時間、日に関する他のカウンタも存在する。
【0007】
近代のクロノグラフは、Moinetの装置と異なる装置ではなく、実際に、基本原理はそのままであるが、技術及び洞さの観点から改善がみられる。
【0008】
近代のクロノグラフは、殆どが腕時計に組み込まれているが、実際には、改良された内部機構を備える場合があり、或いは、それらを完全に欠く場合があり、また、全体として異なる動作機構を有する場合がある。
【0009】
コンピュータ又はスマートフォン或いは他の物などの電子機器は、それらのソフトウェア内に、旧型のクロノグラフの機能をシミュレートするのに適した1つ以上のプログラムを組み込むことができる。
【0010】
一般的に言えば、クロノグラフは、停止及びゼロ合わせが自在に、時間の限られた部分を記録できるようにする任意の装置として規定される。
【0011】
前述の従来技術はいくつかの著しい欠点を有する。
【0012】
特に、クロノグラフは、使用時、前記クロノグラフの電力供給に応じて時間の一部を記録できるようにする。
【0013】
例えば、バッテリ切れの腕時計又はバッテリ切れのスマートフォンは、時間を装置内に記録できるようにしない。
【0014】
したがって、著しい欠点は、一定の電力供給がないと、簡単でなければ、例えば10年間に関して、記録され得る時間が制限されるという点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この状況において、本発明の技術的な目的は、前述の欠点の少なくとも一部を実質的に克服できるクロノグラフを考え出すことである。
【0016】
前記技術目的の範囲内で、本発明の1つの重要な狙いは、その電力供給にかかわらずかなりの範囲の時間を記録できるクロノグラフを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
技術目的及び特定の狙いは、添付の請求項1に記載されるクロノグラフによって達成される。好ましい実施形態の例が従属請求項に記載される。
【0018】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に関連する本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から明確に分かる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るクロノグラフの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、大きさ、値、形状、及び、幾何学的基準(垂直及び平行など)は、「約」のような単語或いは「おおよそ」又は「実質的」などの他の同様の用語と共に使用される場合、生産及び/又は製造の誤差に起因する測定誤差又は不正確さを除くものとして、とりわけ、それが関連付けられる値、大きさ、形状、又は、幾何学的基準からの僅かな逸脱を除くものとして理解されるべきである。例えば、前記用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは、前記値の10%以下の逸脱を示す。
【0021】
加えて、「第1」、「第2」、「上側」、「下側」、「主」及び「副」などの用語が使用される場合、それらの用語は、必ずしも順番、優先関係、又は、相対的な位置を指すものではなく、異なる構成要素を互いからより明確に区別するために単に使用され得る。
【0022】
図面を参照すると、参照数字1は、本発明に係るクロノグラフを全体的に示す。
【0023】
クロノグラフ1はケーシング10を備える。特に、ケーシング10は、例えば、内側容積11を画定する実質的に中空の容器であってもよい。
【0024】
加えて、ケーシングは、任意の物体、すなわち、フレーム内、装飾、身体用の装飾品、又は、更なる他の類の物体の内側の中空部によって画定されてもよい。クロノグラフ1自体が例えばその中に時計を備えてもよい。
【0025】
クロノグラフ1は、好ましくは、適切に容積11の内側に、コンピュータ2、電力供給手段3、不揮発性メモリ4、及び、揮発性メモリを備える。
【0026】
コンピュータ2は、好ましくは、コンピューターサイエンスで知られるタイプのコンピュータであり、したがって、例えばプロセッサ20とマザーボード21とから構成される。プロセッサ20は、好ましくは、例えば内側容積11などの小さい延在部を有する容積内に組み込まれるのに適したマイクロプロセッサである。マザーボード21は、代わりに、プリント電気回路を備える既知のタイプのマザーボードであることが好ましい。
【0027】
電力供給手段3は、好ましくは、この場合も既知のタイプの1つ以上のバッテリから構成される。加えて、電力供給手段3は、コンピュータ2の動作のために必要とされるエネルギーを供給するのに適しており、したがって、コンピュータに動作可能に接続される。
【0028】
好ましくは、電力供給手段3はリチウムバッテリを備える。
【0029】
不揮発性メモリ4は、好ましくは、データを内側に恒久的に記録できる媒体から成る。
【0030】
不揮発性メモリ4に加えて、装置1は、好ましくは、揮発性メモリも備える。
【0031】
好ましくは、不揮発性メモリ4は、以下で詳しく説明されるように、機械型言語と所定の日付とによって規定される少なくとも1つのプログラムをそれに記録するのに十分である。
【0032】
日付という用語は、月の日、月及び年も完備した、同様に好ましくは、規定された日の時間及び分における特定の時刻も完備した、少なくとも1つの特定の日を意味するように理解される。
【0033】
機械型言語は、ハードウェア処理を促進させるのに適したプロセッサ20に簡単なコマンドが与えられる最低レベルのコンピュータ言語として規定される。
【0034】
加えて、物理記憶装置の不揮発性メモリ4は、更に少なくとも1つのセットされた日付を記録するのに適している。
【0035】
したがって、機械言語により規定されるプログラムは、不揮発性メモリ4にセットされた日付に対して経過した時間を計算するのに適していることが好ましい。
【0036】
また、セットされた日付は、編集不可能である或いは不揮発性メモリ4に不可逆的態様で恒久的に記録される。
【0037】
不揮発性メモリ4は好ましくはEEPROM型メモリである。
【0038】
コンピュータ2、特にプロセッサ20及び不揮発性メモリ4は、一体化可能であり、したがって、単一部品を成し得る。例えば、それらは、ATtiny441モデルとしてATMELにより市販される装置によって構成され得る。
【0039】
電子コンピュータ2及び不揮発性メモリ4は、専ら前記機能に専用のものである。したがって、それらは、好ましくは、他の機能も実行する更に複雑な装置に組み込まれない。
【0040】
クロノグラフ1は、制御手段5及びディスプレイ6を更に備える。
【0041】
制御手段5は、好ましくは、コンピュータ2の動作を制御するのに適した手段であり、したがって、コンピュータに動作可能に接続される。
【0042】
しかしながら、制御手段5は外部環境とも通信することが好ましい。
【0043】
したがって、その結果、ハウジング10は、内側容積11とクロノグラフ1の外側との間で通信する制御手段5を含む接続要素を収容するのに適した開口12を有してもよい。
【0044】
好ましくは、制御手段5は、コンピュータ2を起動させるのに適した、したがって外部からアクセスできるボタン又はスイッチから構成される。
【0045】
ディスプレイ6は、代わりに、クロノグラフの動作に関する情報をユーザに与えるのに適したグラフィックディスプレイであることが好ましい。
【0046】
そのようなディスプレイはアナログ及びデジタルの両方であってもよい。
【0047】
好ましくは、ディスプレイはLCD、OLEDタイプである。
【0048】
加えて、ディスプレイ6は、制御手段5と一体化されてもよい。例えば、ディスプレイ6は、タッチスクリーンタイプのディスプレイであってもよく、スクリーンから直接にコンピュータ2の起動を可能にしてもよい。
【0049】
また、ディスプレイ6は、開口12と対応付けて配置されることが好ましい。
【0050】
したがって、存在する場合には、開口12が前述の制御手段5によって及び/又はディスプレイ6によって塞がれることが好ましい。
【0051】
そのため、外側から内側容積11にアクセスできないことが好ましい。
【0052】
内側容積11内の要素にアクセスできないことを手作業で変更できない。
【0053】
前述したクロノグラフ1の構造関連の機能性は以下の通りである。
【0054】
ユーザは、コンピュータ2をONにするために制御手段5を手動で起動できる。
【0055】
特に、プロセッサ20を起動させる電気インパルスがマザーボード21に送られる。
【0056】
プロセッサ20は、不揮発性メモリ4内に保存される機械言語により規定されるプログラムを呼び出す。
【0057】
プログラムは、特に、好ましくはその後に決して変更され得ないユーザによりセットされて規定された日付を1回だけ保存できるようにする。
【0058】
電力供給手段3が切れてクロノグラフ1に給電しない場合であっても、セットされた日付は、保存されたままであって読み出すことができるが、コンピュータ2が再起動される場合にユーザにより編集することができない。
【0059】
加えて、プログラムは、コンピュータ2がベンチマーク日付を揮発性メモリに保存できるようにする。
【0060】
全セッティング中において、情報をユーザがディスプレイ6の上側で見ることができる。
【0061】
本発明は、第1のステップ、第2のステップ、第3のステップ、第4のステップ、及び、第5のステップを含む新規なプロセスを備える。
【0062】
第1のステップでは、コンピュータ2が好ましくは制御手段5によって起動される。
【0063】
第2のステップにおいて、コンピュータ2は、好ましくは、物理記憶装置の不揮発性メモリ4内に備えられるプログラムを実行する。
【0064】
第3のステップでは、ユーザが好ましくはセットされる日付を規定し、また、コンピュータ2がセットされた日付を物理記憶装置4に記録する。
【0065】
第4のステップでは、ユーザが好ましくはベンチマーク日付を規定し、コンピュータ2がベンチマークデータを揮発性メモリに記録し、また、コンピュータ2がベンチマーク日付とセットされた日付との間の経過時間を計算する。
【0066】
第5のステップでは、経過時間が好ましくはディスプレイ6に表示される。
【0067】
加えて、第1、第2、第4、及び、第5のステップが繰り返し可能なルーチンを規定する。
【0068】
つまり、ルーチンは、コンピュータ2をONにするべく、例えば自発的な又は自発的でない作動停止(例えばバッテリが切れた場合)の結果として、2回以上起動され得る。
【0069】
代わりに、好ましくは、第3のステップを1回だけ実行することができる。
【0070】
セットされた日付は、実際には、好ましくは、物理記憶装置4に恒久的に且つ不可逆的又は変更可能な態様で記録される。
【0071】
本発明は新規な用途を含む。
【0072】
特に、実際に、クロノグラフ1は単一の日付を記憶するために使用される。
【0073】
本発明に係るクロノグラフ1は重要な利点を達成する。
【0074】
実際に、クロノグラフ1は、電力供給手段3にかかわらず少なくとも1つの時間帯を記録できるようにする。バッテリ切れの場合でさえ、不揮発性メモリに記録されたセットされた日付を回復させて使用し、経過時間を計算することができる。
【0075】
更なる利点は、時間データが失われ又は削除されることなく、クロノグラフ1が非常に長い時間帯、例えば、数年又は数十年を記録できるという点である。
【0076】
最後に、更なる利点は、クロノグラフ1を使用して特に関連する日付、例えば、誕生日又は結婚式或いは別の事などの重要なイベントに関連する日付を記憶でき、したがって、クロノグラフ1を記念品として使用できるという点である。
【0077】
加えて、不揮発性メモリ4がプロセッサ20と一体であれば、クロノグラフを開放したとしても、プロセッサを損傷させることなく単一の不揮発性メモリ4の機械的な除去を行なうことができなければ、不揮発性メモリ、したがってセットされた日付を決して変更することができない。
【0078】
特許請求の範囲に規定される発明概念の範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載された発明に対して変形を成すことができる。
【0079】
例えば、クロノグラフ1をリング又はブレスレッド或いは別の物などの記念品に組み込むことができ、或いは、クロノグラフ自体が前述の時計などの他の装置を内部に組み込んでもよい。
【0080】
或いは、フィルムクリップ又はフォトをディスプレイ上で見られるように、外側からアクセスできる付加的なメモリカードを加えることができる。
【0081】
前記範囲内で、全ての細部が等価な要素と置き換えられてもよく、また、材料、形状、及び、寸法が要望通りになっていてもよい。
図1