(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
A47J 31/30 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A47J31/30 100
(21)【出願番号】P 2020558389
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2019045125
(87)【国際公開番号】W WO2020105594
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2018217870
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308014835
【氏名又は名称】株式会社田中商店
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100121924
【氏名又は名称】後藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇善
(72)【発明者】
【氏名】服部 静尚
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特公昭35-005538(JP,B1)
【文献】特開昭59-131316(JP,A)
【文献】実開昭59-111635(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒーの挽き豆からフィルターを介してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーにおいて、
所定量の水を入れる水容器本体(1)と、
前記水容器本体(1)より下流側に配置されて前記挽き豆を入れるコーヒー挽き豆容器(12)と、
前記水容器本体(1)内の水(50)を加熱する加熱手段(5)と、
前記水容器本体(1)内の水面より高位にあって前記加熱手段(5)にて加熱されて高温の蒸気が進入する穴(46)と、該穴(46)から進入した高温蒸気を前記コーヒー挽き豆容器(12)の挽き豆側へ排出する開口部(45)とを備えた蒸気通路体(40)と、
前記蒸気通路体(40)には一定時間もしくは一定温度に到達した場合に前記高温蒸気の挽き豆側への排出を自動的に停止させる蒸気排出自動停止手段を備えている
ことを特徴とするコーヒーメーカー。
【請求項2】
前記蒸気通路体(40)は、
一定温度に達した場合に伸びる形状記憶合金からなるバネ体(42)と、
このバネ体(42)の伸びる方向に配置したボール(43)と、
前記バネ体(42)とボール(43)とを納装し上下に貫通させるべく前記穴(46)と前記開口部(45)を有するケース(41)とで構成されており、
前記蒸気排出自動停止手段は、前記蒸気通路体(40)内の高温蒸気が一定温度に達した場合に前記バネ体(42)が伸びて前記ボール(43)が前記穴(46)若しくは開口部(45)を閉じることで前記高温蒸気の排出を停止させている
ことを特徴とする請求項1に記載のコーヒーメーカー。
【請求項3】
前記蒸気排出自動停止手段は、前記蒸気通路体(40)内の高温蒸気が85℃~90℃の任意の温度になると前記高温蒸気の排出を停止させている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコーヒーメーカー。
【請求項4】
前記蒸気排出自動停止手段は、前記加熱手段をオンしてから一定時間が経過した場合に、前記高温蒸気の排出を停止させている
ことを特徴とする請求項1に記載のコーヒーメーカー。
【請求項5】
前記コーヒー挽き豆容器(12)の下部には、前記水容器本体(1)内の沸騰したお湯や高温の蒸気を前記コーヒー挽き豆容器(12)内の挽き豆に導く揚湯管(14)が形成され、該揚湯管(14)の下端は前記水容器本体(1)の
底面に近接して配置され、
前記コーヒー挽き豆容器(12)の上面側にコーヒーカップ(20)が配置され、該コーヒーカップ(20)の底には、前記コーヒー挽き豆容器(12)で抽出されたコーヒーを前記コーヒーカップ内に導入する抽出管(24)が形成され、
前記揚湯管(14)の上部には、前記蒸気通路体(40)の前記開口部(45)と連通する孔(17)が形成されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のコーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーメーカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からコーヒーメーカーは各種のものが提案されており、例えば、下記に示す特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載されているコーヒーメーカーは、デカンタの上方に抽出部を配置し、この抽出部の内部にフィルターを配置してこのフィルターに挽き豆を入れ、抽出部の上方から沸騰水を滴下し、フィルターを介してコーヒーを抽出する構成である。
つまり、特許文献1に記載されている技術は、単に沸かした湯を挽き豆に供給してコーヒーを抽出する構造であった。
【0005】
しかしながら、特許文献1のコーヒーメーカーでは、抽出時に醸し出されるコーヒーフレーバー(香り)は、お湯の温度によって発散される分のみであって、焙煎時に発出するレベルには遠く及ばない。折角のコーヒー豆自身に内含されているフレーバー(香り)が無駄に棄てられているのが現状であり、抽出したコーヒーからのフレーバーがあまり感じられないという問題があった。
【0006】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、コーヒー用の湯を沸かすと共に、高温蒸気を発生させて、その高温蒸気でコーヒー挽き豆を蒸し上げてコーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむことを目的としたコーヒーメーカーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーでは、コーヒーの挽き豆からフィルターを介してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーにおいて、
所定量の水を入れる水容器本体1と、前記水容器本体1より下流側に配置されて前記挽き豆を入れるコーヒー挽き豆容器12と、前記水容器本体1内の水50を加熱する加熱手段5と、前記水容器本体1内の水面より高位にあって前記加熱手段5にて加熱されて高温の蒸気が進入する穴46と、該穴46から進入した高温蒸気を前記コーヒー挽き豆容器12の挽き豆側へ排出する開口部45とを備えた蒸気通路体40と、前記蒸気通路体40には一定時間もしくは一定温度に到達した場合に前記高温蒸気の挽き豆側への排出を自動的に停止させる蒸気排出自動停止手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載のコーヒーメーカーでは、前記蒸気通路体40は、
一定温度に達した場合に伸びる形状記憶合金からなるバネ体42と、このバネ体42の伸びる方向に配置したボール43と、前記バネ体42とボール43とを納装し上下に貫通させるべく前記穴46と前記開口部45を有するケース41とで構成されており、一定温度に達した場合に前記バネ体42が伸びて前記ボール43が前記穴46若しくは開口部45を閉じることで前記高温蒸気の排出を停止させていることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載のコーヒーメーカーでは、
前記コーヒー挽き豆容器12の下部には、前記水容器本体1内の沸騰したお湯や高温の蒸気を前記コーヒー挽き豆容器12内の挽き豆に導く揚湯管14が形成され、該揚湯管14の下端は前記水容器本体1の底面に近接して配置され、
前記コーヒー挽き豆容器12の上面側にコーヒーカップ20が配置され、該コーヒーカップ20の底には、前記コーヒー挽き豆容器12で抽出されたコーヒーを前記コーヒーカップ20内に導入する抽出管24が形成され、
前記揚湯管14の上部には前記蒸気通路体40の前記開口部45と連通する孔17が形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載のコーヒーメーカーでは、コーヒーの挽き豆からフィルターを介してコーヒーを抽出するコーヒーメーカーにおいて、
所定量の水を入れる水容器本体1と、前記水容器本体1より下流側に配置されて前記挽き豆を入れるコーヒー挽き豆容器12と、前記水容器本体1内の水50を加熱する加熱手段5と、前記加熱手段5により前記水50を沸騰揚湯させた後、高温蒸気を一定時間あるいは一定温度に達するまで、前記コーヒー挽き豆容器12の下部の揚湯管14を介して高温蒸気を前記挽き豆側へ排出せしめて、その後前記加熱手段5をオフせしめる機構34を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載のコーヒーメーカーでは、
前記コーヒー挽き豆容器12の下部には、前記水容器本体1内の沸騰したお湯や高温の蒸気を前記コーヒー挽き豆容器12内の挽き豆に導く揚湯管14が形成され、該揚湯管14の下端は前記水容器本体1の底面に近接して配置され、
前記コーヒー挽き豆容器12の上面側にコーヒーカップ20が配置され、該コーヒーカップ20の底には、前記コーヒー挽き豆容器12で抽出されたコーヒーを前記コーヒーカップ20内に導入する抽出管24が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載のコーヒーメーカーによれば、水容器本体でコーヒー用の湯を沸かすと共に、高温蒸気を発生させて、その高温蒸気が蒸気通路体の穴から蒸気通路体の内部を通って開口部からコーヒー挽き豆容器に入り、コーヒー挽き豆を蒸し上げてコーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむコーヒーメーカーを提供することができる。
【0013】
本発明の請求項2に記載のコーヒーメーカーによれば、コーヒーの香りを楽しむための蒸気通路体を簡単な構成とすることができ、また、蒸気通路体をバネ体、ボール及びケースで構成しているので、蒸気通路体を安価に構成することができる。
【0014】
本発明の請求項3に記載のコーヒーメーカーによれば、水容器本体内の高温の蒸気を蒸気通路体の開口部から揚湯管を介してコーヒー挽き豆容器に確実に供給することで、挽き豆を十分に蒸し上げてコーヒーの香りを抽出することができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載のコーヒーメーカーによれば、水容器本体でコーヒー用の湯を沸かすと共に、高温蒸気を発生させて、その高温蒸気でコーヒー挽き豆を蒸し上げてコーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむコーヒーメーカーを提供することができる。
【0016】
本発明の請求項5に記載のコーヒーメーカーによれば、水容器本体内の高温の蒸気を揚湯管を介してコーヒー挽き豆容器に確実に供給することで、挽き豆を十分に蒸し上げてコーヒーの香りを抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるコーヒーメーカーの断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における蒸気通路体を示し、(a)は所定の温度に達していない場合の蒸気通路体の断面図を示し、(b)は所定の温度に達してバネ体が伸びてボールがパッキンを押圧して開口部を閉じた状態の蒸気通路体の断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態におけるコーヒーメーカーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。本発明のコーヒーメーカーは、特に水を収容し、これを加熱する水容器本体から、圧力をかけて沸騰水を、コーヒー挽き豆容器の前後に設けたフィルターを通し、抽出するコーヒーメーカーである。
【0019】
特に、本発明のコーヒーメーカーは、挽き豆からコーヒーを抽出する際に、湯を沸かすとともに、高温蒸気を発生させ、その高温蒸気でコーヒー挽き豆を蒸し上げて、コーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむようにしたものである。
【0020】
以下、具体的に本発明のコーヒーメーカーの構成について
図1により説明する。
図1は本発明のコーヒーメーカーの断面図を示しており、下部には上面を開口し下面を閉塞した略円筒状の水容器本体1が配設されている。
水容器本体1の下面の外周部分には円形状で一対のフランジ2、3が一体に下方に突出形成されており、この一対のフランジ2、3により円周の溝4が形成されている。そして、この溝4内に湯を沸かすためのヒーター5が周設されている。
【0021】
水容器本体1の上部の開口部分には上下面を開口した略円筒状の水容器肩6が水密的に取り付けられている。水容器本体1の上部開口部分の内周部には凹段部7が凹設されており、また、水容器肩6の外周面には円周に沿って突部10が一体に突設されている。この水容器肩6の突部10を水容器本体1の凹段部7に上方から載置することで、水容器肩6が水容器本体1に配置される。
水容器肩6の下部の内周面には断面を略L型とした受け台11が周方向に沿って一体に形成されている。
【0022】
上記コーヒー挽き豆容器12は、その上部は上面を開口した円筒状に形成されており、その下部は略漏斗状とした揚湯管14が一体に形成されている。このコーヒー挽き豆容器12の揚湯管14の下面は開口していて水容器本体1の下面に近接するように配置されている。この揚湯管14は、水容器本体1の水が沸騰した際に沸騰した湯や高温の蒸気を上方へ導入するものである。
【0023】
コーヒー挽き豆容器12の上部の外径は、水容器肩6の内径より若干小さく設定されており、また、揚湯管14の上部と一体に形成されている平坦部15の下面を受け台11の上面に載置することで、コーヒー挽き豆容器12が水容器肩6の内側に配設されるようになっている。
また、コーヒー挽き豆容器12の平坦部15の上面に円形の第1のフィルター16が取り付けられており、この第1のフィルター16は例えば金属製であって、直径が約0.3mm程度の穴が多数あけられている。そして、この第1のフィルター16の上に人数分の挽き豆(コーヒー粉末)をセットするのである。
【0024】
コーヒー挽き豆容器12の揚湯管14の上部から上方へ傾斜している部分に孔17が穿孔されており、この孔17の下面側に水容器本体1内の蒸気をコーヒー挽き豆容器12側に案内する蒸気通路体40が配設されている。なお、
図1に示す蒸気通路体40は簡略化しているが、蒸気通路体40の詳細な構成を
図2に示している。
【0025】
図2(a)において、蒸気通路体40は、断面を略円形あるいは四角形状としたケース41と、このケース41内に納装されるコイル状のバネ体42と、ボール43等で構成されている。
ケース41の内部は空洞であり、上下に貫通し、ケース41の上面はコーヒー挽き豆容器12の傾斜部分に対応させて傾斜させている。また、ケース41の上部の開口部45はコーヒー挽き豆容器12の孔17と連通している。
【0026】
ケース41の上部の内側にはパッキン44が配設されており、
図2(b)に示すように、バネ体42が伸びた際にボール43がパッキン44に押圧ないし圧接し、ボール43によりケース41の開口部45を閉じるようになっている。
なお、ケース41の上部の開口部45の内径より、ボール43及びバネ体42の外径を大きくしており、また、ケース41の下部の穴46の内径よりバネ体42の外径を大きくしている。
【0027】
なお、
図2では、ケース41の構造を一体物として描いているが、例えば、ケース41を上下に2分割してそれぞれをネジを螺刻し、ネジにより上下の部材を螺合した構成としている。
つまり、上下にケース41を2分割し、ケース41内にパッキン44、バネ体42及びボール43を納装配置してから、上下の2つの部材を螺合して、蒸気通路体40を形成するものである。
【0028】
また、ボール43の材料として、例えば、セラミック若しくはステンレス鋼や樹脂を用いている。バネ体42は形状記憶合金を用いていて、温度が0~80℃までは
図2(a)に示すように、バネ体42は圧縮されたような伸びない状態となり、バネ体42の上面に載っているボール43は開口部45より下方に位置している。
したがって、蒸気通路体40の下部の穴46から後述するように蒸気が入り、上部の開口部45から蒸気が排出される。
【0029】
温度が80℃から上昇していくに従い、バネ体42は伸びていき、温度が95℃になると、
図2(b)に示すように、バネ体42がさらに伸びてボール43が持ち上げられることで、ボール43がパッキン44を押圧して蒸気通路体40の開口部45を閉じる。
これにより蒸気通路体40の上部の開口部45から蒸気が放出されるのが阻止されることになる。
【0030】
なお、
図2では、ボール43をバネ体42の上側に配置したが、ボール43をバネ体42の下端に取り付け、バネ体4の上端を蒸気通路体40の開口部45の内側縁に固着してボール43を吊り下げることにより、温度が95℃になった場合、バネ体42が伸びてボール43が蒸気通路体40の穴46を閉じる構成としてもよい。
【0031】
図1に示すように、コーヒー挽き豆容器12の上面側に配置されるコーヒーカップ20の上面の開口部分にはフタ21が着脱自在に設けられ、コーヒーカップ20の外面には略コ字型のハンドル22が設けられている。ハンドル22の反対側には注ぎ口23が形成されている。
コーヒーカップ20の底部には逆漏斗状の抽出管24が一体に形成されており、抽出管24の上部は開口し、この抽出管24からコーヒーをコーヒーカップ20内に抽出するようになっている。
【0032】
コーヒーカップ20の下面には略円形の第2のフィルター25が配設されるようになっており、この第2のフィルター25も第1のフィルター16と同様に直径が約0.3mm程度の穴が多数あけられている。
コーヒーカップ20の下面に第2のフィルター25を予め嵌め込み、これを略リング円板状のパッキン26で押さえて軽く固定するようになっている。
なお、第1のフィルター16及び第2のフィルター25の穴の直径を0.3mmとしているが、直径が約0.1mm~約1.0mmの範囲でもよく、約0.3mmが好適例である。
【0033】
そして、コーヒー挽き豆容器12の上下の第1のフィルター16と第2のフィルター25に囲まれた部屋18に挽き豆をセットし、コーヒー挽き豆容器12を水容器肩6に装着する。本実施形態では、水容器肩6の上部の外周面にネジ部27が螺刻されており、この水容器肩6のネジ部27と螺合するネジ部30がコーヒーカップ20の下部の内周面に螺刻されている。水容器肩6のネジ部27にコーヒーカップ20のネジ部30を螺合することで、コーヒーカップ20が水容器肩6が取り付けられる。
このネジ部27、30の嵌合とパッキン26によって水容器肩6、コーヒー挽き豆容器12及びコーヒーカップ20とがシールされて固定されるようになっている。
【0034】
なお、水容器本体1を覆うように本体カバー32が設けられており、この本体カバー32にはヒーター5をオン/オフ制御する電源スイッチ33が設けられている。また、水容器本体1の下面にはサーモスタット34が配設されている。水容器本体1には圧力安全弁35が設けられている。
【0035】
本実施形態では、コーヒー挽き豆容器12の部屋18内には挽き豆を入れ、水容器本体1内に水50を入れて電源スイッチ33をオンしてヒーター5への通電を開始する。ヒーター5によって水50が沸かされていき、蒸気通路体40内の温度が80℃付近になり、温度が95℃になるまでの間、つまり、温度が95℃になってボール43により蒸気通路体40の開口部45が閉じられるまでの間、お湯からの高温の蒸気が
図1に示す矢印のように蒸気通路体40の穴46から開口部45へと上昇し、さらに第1のフィルター16を介して蒸気が部屋18に入る。そして、部屋18に入っているコーヒー挽き豆をこれらの高温の蒸気にて蒸し上げる。
【0036】
コーヒー挽き豆を蒸し上げた香りを含んだ蒸気は抽出管24内を上昇し、さらにフタ21の通気孔28を介して外部に芳散(放散)される。このように、コーヒーの抽出前に、コーヒー用の湯を沸かすと共に、高温蒸気を発生させて、その高温の蒸気を一定時間挽き豆に通すものであり、この高温蒸気でコーヒー挽き豆を蒸し上げてコーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむことができる。
このように、本実施形態では、コーヒーの抽出前にコーヒーの香りを楽しむことができるコーヒーメーカーを提供することができる。
【0037】
蒸気通路体40内の温度が95℃になると、
図2(b)に示すように、バネ体42が伸びてボール43を上昇させ、該ボール43がパッキン44に押圧することで蒸気通路体40の開口部45を閉じる。開口部45が閉じられることで、高温の蒸気は部屋18へ排出されなくなる。
【0038】
水50が沸くと水容器本体1内の圧力が上昇して、その結果コーヒー挽き豆容器12の揚湯管14を辿って湯が第1のフィルター16を介して挽き豆に浸入し、コーヒーを抽出した後に、さらに第2のフィルター25を通りコーヒーカップ20の抽出管24を超えてコーヒーカップ20内に収納される。この際、新しく発生したフレーバーも同時にコーヒーカップ20内に導かれ、フタ21の通気孔28からコーヒーの香りが芳散されることになる。
【0039】
コーヒーの抽出が完了すると、水容器本体1は空焚き状態になって、急に100℃を超える。この温度をサーモスタット34で検知して、ヒーター5をオフする。
なお、温度上昇に伴い、ヒーター等をオフする回路構成は周知であることと、本発明は電気回路自体を要旨としているものではないので、電気回路の説明は省略する。
【0040】
このように、コーヒーの抽出前に高温の蒸気が蒸気通路体40を介してコーヒー挽き豆容器12の部屋18内に入れているコーヒー挽き豆を蒸し上げ、コーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、コーヒー(コーヒー挽き豆)のフレーバー(香り)を楽しむことができるコーヒーメーカーを提供することができる。
【0041】
なお、本実施形態において、水容器本体1に入れる予め決められた水50の量を最大に入れても、水50の水面より蒸気通路体40の蒸気口としての穴46の位置を高位となるように設定してある。
【0042】
また、蒸気通路体40は、一定温度に達した場合に伸びる形状記憶合金からなるバネ体42と、このバネ体42の伸びる方向に配置したボール43と、前記バネ体42とボール43とを納装し上下に貫通させるべく穴46と開口部45を有するケース41と、パッキン44等で構成しているので、コーヒーの香りを楽しむための蒸気通路体40を簡単な構成とすることができ、また、蒸気通路体40をバネ体42、ボール43及びケース41で構成しているので、蒸気通路体40を安価に構成することができる。
【0043】
ここで、本実施形態では、蒸気通路体40の開口部45を閉じるまでの要素としてバネ体42が伸びる所定の温度(例えば、95℃)として説明したが、85℃~95℃の任意の温度に設定してもよい。
【0044】
また、所定の温度で蒸気通路体40を動作させるのではなく、ヒーター5をオンしてから一定時間が経過した場合に開口部45を閉じる構成としてもよい。例えば、水50を加熱させると共に、ゼンマイ式のタイマーがスタートし、一定時間後にソレノイド等の電気機械変換手段の動作により、開口部45にボールをバネで押し付けて該開口部45を閉じる構成でもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、
図3により第2の実施の形態について説明する。本実施形態では先の実施形態のように蒸気通路体40を有しないものであり、コーヒーの抽出後に香りを芳散させるようにしたものである。
【0046】
本実施形態では蒸気通路体40を有していないので、水50が加熱されて高温になっていくと上述したように揚湯管14及び第1のフィルター16を介して湯が部屋18内のコーヒー挽き豆に浸入し、コーヒーを抽出する。さらに、抽出されたコーヒーは抽出管24を超えてコーヒーカップ20内に貯留される。
【0047】
上述のように、水容器本体1内の水50を湯沸かしして揚湯管14を通して湯50aが第1のフィルター16の方向へ排出されると、
図3に示すように、揚湯管14の下端面と湯面との間に隙間ができる。残った僅かな湯50aがさらに加熱され、今度はその蒸気が矢印に示すように、揚湯管14、第1のフィルター16を介して部屋18内のコーヒー挽き豆へと排出される。
このコーヒー挽き豆を経た蒸気は抽出管24、フタ21の通気孔28を介して外部に芳散される。これにより、コーヒー(コーヒー挽き豆)のフレーバー(香り)を楽しむことができるコーヒーメーカーを提供することができる。
【0048】
その後、蒸気を出し切ると水容器本体1は空焚き状態となる。この空焚きでの温度上昇をサーモスタット34が検知し、ヒーター5をオフにし、コーヒー及びその香りの抽出を終了する。
【0049】
このように本実施形態においても、コーヒー用の湯を沸かすと共に、お湯が無くなってきてから高温蒸気を発生させて、その高温蒸気で一定時間コーヒー挽き豆を蒸し上げてコーヒーの香りを抽出し外気に芳散させ、フレーバー(香り)を楽しむコーヒーメーカーを提供することができる。
【0050】
なお、上記第1、第2の実施の形態において、一定時間後に加熱をオフする手段として、空焚きを検知した後に遅延サーモスタットをオフさせるようにしている。また、一定温度に達した場合に加熱をオフする手段として、蒸気を含む湯温が沸騰温度を超えて空焚き状態になった時にサーモスタット34でオフするようにしている。
【符号の説明】
【0051】
1 水容器本体
5 ヒーター(加熱手段)
12 コーヒー挽き豆容器
34 サーモスタット
40 蒸気通路体
41 ケース
42 バネ体
43 ボール
44 パッキン
45 開口部
46 穴
50 水