(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】エネルギー密度が増加したバイポーラ型鉛蓄電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 10/18 20060101AFI20230130BHJP
H01M 4/68 20060101ALI20230130BHJP
H01M 4/14 20060101ALI20230130BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20230130BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20230130BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20230130BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20230130BHJP
【FI】
H01M10/18
H01M4/68 Z
H01M4/14 Q
H01M50/105
H01M50/121
H01M50/124
H01M50/129
(21)【出願番号】P 2020571754
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2019038661
(87)【国際公開番号】W WO2020005803
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-23
(32)【優先日】2018-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514283412
【氏名又は名称】イスクラ テクニカル プロダクツ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イスクラ,マイケル デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ラルストン,ポーラ マーガレット
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,リチャード トーマス
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/018183(WO,A1)
【文献】特開2011-249223(JP,A)
【文献】国際公開第2000/070696(WO,A1)
【文献】特表2018-524779(JP,A)
【文献】特表2017-510940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0274969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/64- 4/84
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/06-10/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイポーラ型鉛蓄電池を形成するための鉛蓄電池ウエハセルであり、前記鉛蓄電池ウエハセルは、
負極であって、
負極板と、
前記負極板上に配置された負極活物質と、
を含む、負極と、
正極であって、
正極板と、
前記正極板上に配置された正極活物質と、
を含む、正極と、
前記負極と正極との間のセパレータであって、前記負極と正極との間で電荷を移動させるための電解質を含む、セパレータと、
を含み、
前記正極板は、上に細孔のないケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む、
鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項2】
前記正極は、前記正極板と前記正極活物質との間に、前記正極板と前記正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる導電率促進材料の追加の層または積層物をさらに含む、
請求項1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項3】
前記導電率促進材料は、四酸化鉛(Pb
3O
4)、二酸化鉛(PbO
2)
、過硫酸ナトリウム、および鉛酸バリウムのうちの1つ以上を含む、
請求項2に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項4】
前記負極板は、鉛被覆金属基板を含む、
請求項1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項5】
前記金属基板は銅を含む、
請求項4に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項6】
前記鉛蓄電池ウエハセルは、60Wh/kg以上のエネルギー密度を有する、
請求項1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項7】
第1の内側金属層および第1のポリマー外層を含む第1の導電性積層体であって、前記第1のポリマー外層が、前記第1の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第1の導電性積層体が、前記負極の外面と電気的に接触している、第1の導電性積層体と、
第2の内側金属層および第2のポリマー外層を含む第2の導電性積層体であって、前記第2のポリマー外層が、前記第2の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第2の導電性積層体が、前記正極の外面と電気的に接触している、第2の導電性積層体と、
をさらに含み、
前記第1および第2の積層体は、前記負極および正極、前記セパレータ、ならびに前記電解質を含む包囲体を形成するために、互いに周辺がシールされている、
請求項1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項8】
シールされた界面を提供するように、前記第1のポリマー外層と前記第1の内側金属層との間、および前記第2のポリマー外層と前記第2の内側金属層との間に配置されたアスファルトタールの層をさらに含む、
請求項7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項9】
前記第1および第2のポリマー外層はそれぞれ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、およびそれらの混合物から選択されるポリマー材料で作られている、
請求項7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項10】
前記負極および正極、前記セパレータ、ならびに前記第1および第2の積層体のそれぞれは略平坦である、
請求項7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項11】
バイポーラ型鉛蓄電池セルの正極であって、前記正極は、
上に
直接配置されたケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む正極板と、
前記ケイ化チタンコーティングに隣接する前記正極板上に配置された正極活物質と、
前記正極板と前記正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる、前記ケイ化チタンコーティングと前記正極活物質との間の酸化鉛材料の層または積層物と、
を含む正極。
【請求項12】
前記酸化鉛材料は、四酸化鉛(Pb
3O
4)および二酸化鉛(PbO
2)のうちの1つを含む、
請求項11に記載の正極。
【請求項13】
前記正極板上に配置された前記正極活物質は、活物質ペーストの層を含み、前記導電率促進材料の追加の層または積層物は、活物質ペーストの前記層と前記細孔のないケイ化チタンコーティングとの間の初期誘電効果を破壊または低下させるように機能する、
請求項2に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【請求項14】
前記正極板は、前記チタン基板および前記細孔のないケイ化チタンコーティングのみから成る、
請求項1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明における政府の権利
米国政府は、本発明において支払い済みのライセンスを有し、限られた状況において、米国陸軍TARDECによって授与されたW56HZV-16-C-0059において規定される合理的な条件で他者にライセンスを与えることを特許所有者に要求する権利を有する。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に鉛蓄電池、より具体的には、所望のエネルギー密度、比エネルギー、および放電サイクル特性を有するバイポーラ型鉛蓄電池に関する。
【背景技術】
【0003】
さまざまな構成の鉛蓄電池は、始動照明点火(SLI)、無停電電源装置(UPS)、動力など、さまざま用途でよく知られている電源である。典型的な鉛蓄電池は、それぞれが正極および負極、セパレータ、ならびに電解質(たとえば、酸性水溶液)を含む複数の個別のセルを含む。電極には、主に鉛と機械的特性を改善する合金材料で構成されたグリッドが含まれ、正極および負極の活物質ペーストが電極グリッドに追加されて正極および負極を形成する。グリッドの2つの重要な機能は、活物質を機械的に支持することと、活物質との間で電流を流すことである。電極のそれぞれは、そこから上に延びるグリッドラグまたはタブをさらに含み、正極のラグは正のストラップを介して並列に接続され、負極のラグは負のストラップを介して並列に接続され、それにより個々のセルは、隣接するセルの正のストラップから負のストラップへ、またはその逆に、溶接または他の手段によってセル間コネクタを介してこれらの導電性リンクによって直列に接続される。次に、接続されたセルは、円筒形または角柱状のハウジングにパッケージ化されてマルチセル電池を形成し、エンドセルストラップは、電池カバーまたはケースを介して外部端子に終端処理される。
【0004】
鉛蓄電池の上記の構造は、個々のセルコンパートメントの良好な密閉と信頼性の高い動作を提供する。しかしながら、そのような構造は、マルチセル電池の重量および体積の大部分を電流輸送およびパッケージ化に割り当てるので、セルの活性構成要素のエネルギー貯蔵能力を十分に活用していない。さらに、電池に導電性リンク(ラグおよび接続ストラップ)を含めると、電池の内部抵抗が増加する。したがって、パッケージの重量と体積、およびラグとストラップに起因する高レベルの内部抵抗により、重量と体積に基づいて、電池のエネルギー貯蔵容量と電力供給が制限される。さらに、鉛集電体/基板の重量が重いことと相まって、特に正極での活物質利用効率が低いことが、鉛蓄電池の実際の比エネルギーを制限することはよく知られている。
【0005】
したがって、望ましいエネルギー密度、比エネルギー、および放電サイクル特性を有する鉛蓄電池を提供することが望ましく、そのような特性は、鉛集電体/グリッドを含む、電池中の非電気化学的に機能する金属鉛の除去、および端子とストラップの排除によって達成可能である。これらの材料/部品を排除することで、有効エネルギー貯蔵材料に使用する鉛蓄電池の体積と質量を増加させることができ、それによって、より高いエネルギー密度の鉛蓄電池が提供される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一態様によれば、バイポーラ型鉛蓄電池を形成するための鉛蓄電池ウエハセルが提供される。鉛蓄電池ウエハセルは、負極板及び負極板上に配置された負極活物質を有する負極と、正極板及び正極板上に配置された正極活物質を有する正極とを含む。正極板は、ケイ化チタンコーティングを備えたチタン基板を含む。鉛蓄電池ウエハセルはまた、負極と正極との間にセパレータを含み、セパレータは、負極と正極との間で電荷を移動させるための電解質を含む。
【0007】
本発明の別の態様によれば、バイポーラ型鉛蓄電池は、隣接するセルの負の面に接触する各セルの正の面と電気的に直列に配置された少なくとも2つのセルのスタックを含む。各セルはさらに、負極板及び負極活物質を有する負極と、正極板及び正極活物質を有する正極と、電解質を含む、電極間のセパレータと、負極および正極ならびにセパレータを囲み、セル内に電解質を収容するようにセルをシールするセル包囲体と、を含み、セル包囲体は、隣接するセル間の電気的接続を提供する複数の穿孔をその中に含む。各セルの正極板は、導電性膜を備えた金属箔を含む。
【0008】
本発明のさらに別の態様によれば、バイポーラ型鉛蓄電池セルの正極は、ケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む正極板と、ケイ化チタンコーティングに隣接する正極板上に配置された正極活物質と、正極板と正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる、ケイ化チタンコーティングと正極活物質との間の酸化鉛材料の層または積層物と、を含む。
【0009】
以下の詳細な説明および図面から、他の様々な特徴および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本発明を実施するために現在企図されている好ましい実施形態を示している。
【0011】
図面は以下を示す。
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による、鉛蓄電池ウエハセルの概略図である。
【0013】
【
図2】本発明の実施形態による、
図1のウエハセルに含まれる正極の詳細図である。
【0014】
【
図3】本発明の実施形態による、
図1のウエハセルに含まれる負極の詳細図である。
【0015】
【
図4】本発明の実施形態による、
図1のウエハセルに含まれる外側ポリマー層の側面図である。
【0016】
【0017】
【
図6】本発明の実施形態による、鉛蓄電池を形成する
図1のウエハセルのマルチセルスタックを示す。
【0018】
【
図7】本発明の実施形態による、外側バッテリハウジングに収容されるウエハセルのマルチセルスタックの3次元図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、所望のエネルギー密度、比エネルギー、および放電サイクル特性を有するバイポーラ型鉛蓄電池を対象とする。電池の各セルでは、非電気化学的に機能する金属鉛が除去され、これらの特性を実現するために、活性エネルギー貯蔵鉛の質量分率が増加する。さらに、導電性で、化学的および電気化学的に安定で耐久性のあるバイポーラ基板複合材料がセル内に提供され、正極および負極の活物質をサポートし、それらの間のセル間電子伝導性を提供する。
【0020】
以下、図面を参照して、バイポーラまたは疑バイポーラ型鉛蓄電池について説明する。ここで
図1を参照すると、バイポーラまたは疑バイポーラ型鉛蓄電池(以下、「鉛蓄電池」)の一部を形成する例示的な鉛蓄電池ウエハセル10(以下、「セル10」)の概略図が提供されている。セル10は、負極12および正極14を含み、負極12および正極14はセパレータ16によって互いに直接物理的に接触することが防止され、且つ負極12および正極14は2つの外層の間に収容されており、2つの外層は、負極12および正極14にそれぞれ電気的に接触する第1の導電性積層体18および第2の導電性積層体20である。電極12、14、それらの電極の間のセパレータ16、及び2つの外側積層体18、20は、それぞれ略平坦であり、セル10内の隣接する構成要素と密接に物理的に接触しており、それによって有利に薄いセルの構築を可能にする。
【0021】
例示的な実施形態によれば、
図2により詳細に示されるように、正極14は、正極板22および正極活物質24を含む。正極板22は、正極基板28の表面に導電性膜26を形成することにより得られる。例示的な実施形態によれば、正極基板28はチタン製の薄い箔であり、導電性保護膜26はケイ化チタン(TiSi
2)(すなわち、ケイ化チタン層26)で作られている。ケイ化チタン層26の細孔のないコーティングは、例示的な実施形態による化学蒸着(CVD)法によってチタン基板28に設けられ得るが、米国特許出願第13/617,162号に記載されている、ケイ化チタンが唯一の成分として噴霧されるか、または適切なバインダ(たとえば、PVDF)と混合される、乾式静電噴霧プロセスなどの他の適切な技術によっても設けられ得る。さらに他の実施形態によれば、ケイ化チタン層26は、他の粉体コーティング、火炎噴霧、電気化学的堆積、アブレーションまたは変換技術を介して設けることができる。一実施形態によれば、チタン基板28は0.1mmの厚さを有し、正極活物質24と接触するチタン基板28の面上のケイ化チタン層26は、好ましくは50nm以上である。
【0022】
一実施形態によれば、正極活物質24は、主に二酸化鉛を含有し、活物質ペーストを製造することによって得られる板状活物質である。活物質ペーストは、鉛蓄電池の製造に使用される一般的な製造方法、たとえば鉛粉末、水、希硫酸を練り、化学変換と帯電を行うことで得られ、活物質ペーストは正極板22の面に接触させながら配置される。一実施形態によれば、硫酸ナトリウム(Na2SO4)もまた、細孔形成剤として活物質ペーストに添加され得る。
【0023】
正極板22と活物質24との間の相互作用に関して、チタン基板28およびケイ化チタン層26から正極板22を構築することにより、正極板22と活物質24との間に存在する誘電効果がもたらされ、活物質24が形成され正極14から放電するのを防止することができる。すなわち、活物質24に隣接するチタン基板28上にケイ化チタン層26が存在することにより、正極14の電圧を上昇させることができるが、そこから電流は出力されない。したがって、例示的な実施形態によれば、正極14は、正極板22と活物質24との間に設けられる四酸化鉛(Pb3O4)の追加の層または積層物30をさらに含む。四酸化鉛の層30は、正極活物質24と正極板22との間に(すなわち、活物質ペーストとケイ化チタン層26との間に)存在する初期誘電効果を破壊または低下させ、それによって正極活物質24と正極板22との間の初期導電率を改善するように機能する。
【0024】
四酸化鉛は、正極活物質24と正極板22との間の導電性を促進するために、正極活物質24と正極板22との間の界面に設けられる例示的な層または積層物30として上に挙げられているが、たとえば、二酸化鉛(PbO2)、カリウム、過硫酸ナトリウム、または鉛酸バリウム(Barium metaplumbate)などの他の適切な材料を使用できることが認識されている。このような導電率促進層/積層物30を含めることにより、正極活物質24と正極板22との間に(すなわち、活物質ペーストとケイ化チタン層26との間に)存在する初期誘電効果が破壊または低下し、それによって正極活物質24と正極板22との間の初期導電率が改善される。
【0025】
例示的な実施形態によれば、
図3により詳細に示されるように、負極12は、負極板32および負極活物質34を含む。負極板32は、負極基板38の表面に導電性膜または被覆36を形成することにより得られる。例示的な実施形態によれば、負極基板38は銅から作られ、導電性膜/被覆36は、電気めっきされたピンホールのない鉛コーティング/堆積物であり、その結果、細孔のない鉛被覆銅負極板32が提供される。代替の実施形態では、負極板32は、鉛被覆チタン(すなわち、鉛被覆36を備えたチタン基板38)、グラファイト被覆ポリマーまたは担持ポリマーを含み得、コーティングは、乾式静電噴霧プロセスなどによって設けられる。一実施形態によれば、負極活物質34と接触する負極基板38の面上の鉛コーティング36は、好ましくは0.1mmである。
【0026】
一実施形態によれば、負極活物質34は、主にスポンジ状の金属鉛を含有する板状の活物質である。板状の活物質34は、鉛粉末、水、希硫酸、炭素、硫酸バリウム、およびリグニンを練り、化学変換と帯電を行う鉛蓄電池の一般的な製造方法により得られる活物質ペーストを作ることで得られ、活物質ペーストは負極板32の鉛メッキ面に接触させながら配置される。一実施形態によれば、硫酸ナトリウム(Na2SO4)もまた、細孔形成剤として活物質ペーストに添加され得る。
【0027】
ここで再び
図1を参照すると、電極12、14は、電極12、14の縁を越えて延びるセパレータ16を使用することによって、互いに直接物理的に接触するのを防ぐことができる。すなわち、セパレータ16は、正極活物質24と負極活物質22との間に挿入される。セパレータ16は、通常、ポリアミドまたはポリプロピレン繊維などの合成樹脂繊維でできている。セパレータ16はまた、無機層または当技術分野で知られている他の適切なセパレータ材料を含むがこれらに限定されない材料で作ることができる。セパレータ16は平坦であり、セル10内の電解質または電解質溶液40を吸収して収容するための多孔質構造を有し、電解質40は、通常、主成分として希硫酸を含む。正極活物質24、セパレータ16、および負極活物質22には、電解質40が含浸されている。
【0028】
電極12、14、およびセパレータ16は、第1の導電性積層体18および第2の導電性積層体20を使用することによって、セル10内に収容され得る。
図1の実施形態に示されるように、第1の積層体18は、第2の積層体20と等しく且つ反対側にある。第1の積層体18は、第1の内側金属層42および第1のポリマー外層44を含む。第1のポリマー外層44は、
図1および
図4および
図5の実施形態に示されるように、その中に少なくとも1つの穿孔46または開口部を有し、第1の内側金属層42を露出させ、セル1を通る導電のための接触点を提供する。同様に、第2の積層体20は、第2の内側金属層48および第2のポリマー外層50を含む。第2のポリマー外層50も、その中に少なくとも1つの穿孔52を有し、第2の内側金属層48を露出させ、セル1を通る導電のための接触点を提供する。
図5に示されるように、穿孔46、52は、セルからセルへの最適な導電を提供するために、互いに整列され得る。
【0029】
積層体の金属層42、48は、任意の金属材料で、様々な形状およびサイズで作ることができる。たとえば、金属層42、48は、それぞれ、負極12および正極14と同じサイズの薄い金属箔で作られており、
図1および
図5に示すように、それぞれの電極と位置合わせされている。複数の層を使用することもできる。金属層42、48に適した材料には、銅、アルミニウム、鋼、銀、ニッケル、およびそれらの混合物、当業者に容易に知られているめっき材料が含まれるが、これらに限定されない。箔の厚さは、設計仕様に応じて、またそのニーズを満たすために、実用的な限り薄く、たとえば、約0.0003インチ~約0.005インチの間であり得る。
【0030】
電気的接触を強化するために、導電性エポキシまたは当業者に容易に知られている他の適切な材料などの導電性ペーストまたはセメントを、各金属層とそれが接触しているそれぞれの電極との間に適用することができる。0.0005~0.001インチの厚さの導電性セメントの薄層がこの目的に役立ち得る。
【0031】
積層体の第1および第2のポリマー外層44、50は、ナイロンポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニルおよびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない任意の適切なポリマー材料から作られ得るか、または中間金属層(たとえば、アルミニウム)または他の酸素バリア層に挟まれた2つのポリマーから構成される複合層であり得る。ポリマー外層44、50の材料は、導電性である必要はない。したがって、この特徴の利点は、ポリマー外層の材料の選択がそのような要件に限定されないことである。一実施形態では、各層44、50は、厚さが約0.001~約0.003インチの間のポリプロピレン膜の層である。各層44、50はまた、セル環境においてヒートシール可能であり、化学的に安定であり得る。
【0032】
第1のポリマー外層44を第1の内側金属層42に貼り付けて、任意の適切なシール機構54によって積層体18を形成し、それにより、シールされた界面を作り出すことができる。同様に、第2のポリマー外層50を第2の内側金属層48に貼り付けて、任意の適切なシール機構56によって積層体20を形成し、それにより、シールされた界面を作り出すことができる。たとえば、適切なシール機構54、56には、アスファルトタール、ネオプレン、ゴム、エポキシ、セメント、およびそれらの組み合わせの結合剤の使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の一実施形態では、セル10からの電解質の潜在的な漏れ経路は、第1または第2の内側金属層42、48と、金属層の縁の周りの各第1または第2のポリマー外層44、50との間の界面に沿っており、穿孔46、52の最も近い位置へ続いている。効果的なシールを生成するために、セルの電解質環境で化学的に安定である適切な接触材料またはシーラントを、界面を覆うのに十分な約0.0003~0.001インチなどの量で、穿孔46、52の縁の周りに適用することができ、それにより潜在的な漏れを防ぐ。例示的な実施形態によれば、シーラントはアスファルトタールを含むが、ネオプレン、ゴム、エポキシ、セメントおよびそれらの組み合わせなどの接触セメントを含む、他の適切なシーラントを使用できることが認識される。
【0034】
電極12、14、電極12、14の間のセパレータ16、および電解質40を密閉セル10内に収容するために、積層体18、20の第1および第2のポリマー外層44、50は、
図1および
図5に示されるように、隣接する電極の全周の周りに電極12、14よりも大きな物理的面積を有する。さらに、本発明の一実施形態では、それぞれ内側金属層42、48を超えて延びる第1および第2のポリマー外層44、50は、セル10の周囲の周りにシールを提供するために有利には互いに貼り付けられる。プラスチック-プラスチックの接合部58を形成することができる周囲に沿ったそのようなシールは、限定されないが、ヒートシーリング又はポリマー外層44、50の材料に結合するセメントまたはフィラー材料を利用することを含む任意の適切な既知の技術によって達成することができる。したがって、これは有利に、セル10のための密閉された包囲体をもたらす。しかしながら、密閉セル10は、水の電気分解によって充電中に酸素および水素ガスが生成され得るので、深/急速充電中に蓄積された過剰圧力を解放するために、1つ以上の通気口または逃し弁を備え得ることが認識される。
【0035】
当業者はまた、セル10を乾燥状態で製造することができ、真空充填または圧力充填のために積層体18、20の1つを介して充填ポートを設けることができ、次いで適切なパッチでシールすることができることを理解するであろう。この技術では、セル内の空気は、セルに設けられた充填ポートから吸引することができ、差圧は、電解質40を電極12、14およびセパレータ16の細孔に押し込む。あるいは、前述の周囲シールがセル10に作製される前に、電極12、14およびセパレータ16を、適切な量の電解質40で事前に湿らせるか濡らしてもよい。たとえば、セル10に導入される電解質の量は、電極12、14およびセパレータ16の細孔容積の60%~90%を満たすことができる。
【0036】
本発明の一実施形態では、第1の導電性積層体18は、
図1および
図5に示されるように、少なくとも1つの穿孔46を介して負極12の外面と電気的に接触している。同様に、第2の導電性積層体20は、同じく
図1および
図5に示されるように、少なくとも1つの穿孔52を介して正極14の外面と電気的に接触している。したがって、穿孔46、52を含む積層設計は、有利には、隣接する1つ以上のセルから、セル10の正の面および負の面に電気的接触を行うことを可能にする。穿孔46、52のサイズおよび間隔は、最適なシールおよび通電容量に関する複数の設計要素によって決定され得る。たとえば、配置は、穿孔46、52を箔の縁から少なくとも1/4インチに保つことである。サイズと穿孔の間隔は、セルの電気的要件によって決定できる。
【0037】
上記のようなセルの構造は、従来の鉛蓄電池セルに比べて多くの利点を提供する。このセルは、電池内の非電気化学的に機能する金属鉛を排除し、軽量で漏れのないセルパッケージを備えたバイポーラセルを提供する。鉛メッキ銅負極と共に、正極にケイ化物セラミック材料(すなわち、ケイ化チタン)でコーティングされたチタンバイプレートを含むことにより、典型的な鉛蓄電池の電極に見られる腐食性の外部鉛(すなわち、鉛グリッド)に置き換わる安定した耐食性のベースが提供され、これにより、高いエネルギー密度を有し、主要な摩耗(故障)モードと積極的なグリッド腐食を排除する、活性で、エネルギーを蓄える鉛の質量分率が増加したセルが提供され、これにより電池寿命が延びる。正極板と正極活物質ペーストとの密着は、電極に四酸化鉛層または四酸化鉛積層物を含めることで可能になり、四酸化鉛は、もし四酸化鉛を含んでいなければケイ化チタンと正極活物質ペーストとの間に存在するであろう誘電体バリアを破壊する。
【0038】
上記のセルの例示的な実施形態は、正極活物質を支持するケイ化チタンコーティングされたチタン基板および負極活物質を支持する鉛被覆銅基板を有するバイポーラセルを対象とするが、上記で特定された材料と比較して低下した性能を示すかもしれないとしても、他の基板およびコーティングをバイポーラセルで使用することができると認識される。例として、正極は、チタン、銅、アルミニウムもしくは他の金属基板、またはケイ化チタン、二酸化スズもしくは別の適切な導電性コーティング/保護膜でコーティングされた導電性ポリマー基板を含むことができ、一方、負極は、グラファイトが適切なポリマーバインダ(たとえば、PVDF)と混合される、銅もしくはチタンのグラファイトコーティングされた金属基板、またはグラファイトコーティングされた若しくはされていない担持ポリマー基板を含むことができる。
【0039】
ここで
図6を参照すると、本発明のマルチセル電池スタック60(すなわち、鉛蓄電池60)の実施形態がそこに示され、これは、複数のセル10を積み重ねることによって作ることができる。セル10は、隣接するセル10の負の面に接触する各セル10の正の面と直列に電気的に配置されている。この実施形態では、電池60を通る導電経路は、有利には、電極から金属箔層、金属箔の内部を通って穿孔、そして穿孔を通ってスタック60内の隣接するセル10である。
【0040】
電池スタック60のエンドセルはまた、米国特許第5,393,617号に記載されているように、電池スタックから電池端子に電流を伝導するための金属箔接点を有し得る。セル間接触、または穿孔点におけるエンドセルと箔との間の接触は、導電性ペースト、セメント、または金属フィラーディスクなどの材料の使用によっても強化することができる。コンパクトなスタックアセンブリは、隣接するセル間および各セル内のそれぞれの層の間の均一な物理的接触を確実にするために、圧縮状態で保持され得る。スタックの圧縮は、たとえば米国特許第5,393,617号に記載されているように、スタックの周囲に巻き付けられた外部タイロッドを有する剛性エンドプレートによって、または個々のセルに設けられた封止穴を貫通する内部タイロッドを有することによって達成され得る。タイロッドとセルの導電性構成要素との間の漏れおよび電気的接触を防ぐために、穴をシールすることができる。
【0041】
あるいは、スタックは、
図7に示されるように、外側バッテリハウジング62に収容され得る。電池スタック60における電極の膨張および不規則性(凹凸)を許容するために、スタック60は、金属箔接点の一方または両方と外部ハウジング62のエンドプレートとの間のスポンジゴムの層によって圧縮状態で保持され得る。スポンジゴムの代わりに、ばねまたはガス充填圧縮性パッド64若しくはブラダーを使用することもできる。同様に、電池60は、セルスタックの軽量リッジ収容のためのハニカムプレートを備えたハウジングに収容され得る。たとえば、エンドプレートの重量を減らすために、軽量構造の設計の当業者によく知られているリブ付きの設計またはハニカムシートを使用することができる。また、セルスタックが密閉された外部ハウジングに収容されている場合、外部ハウジングはスタック圧縮を提供するように機能し得、ハウジングは密閉または通気され得る。
【0042】
複数のセルはそれぞれ小さな複数の通気ポートを有することができ、セルは、電池ハウジングとして機能するシールされた容器に収容され得る。セルが通気されている場合、電池ハウジングには従来の圧力測定装置が備えられていてもよい。そのような装置は、圧力計、トランデューサ、および/または圧力スイッチであり得る。圧力測定装置は、電池圧力を監視し、充電サイクル中の充電電流の大きさと継続時間を調整するために使用することができる。充電電流のそのような調整は、本明細書では充電制御と呼ばれる。スタックはまた、セルの面全体にわたって均一な圧縮および接触を保証するために内部タイロッドを含み得る。密閉された容器は、内部ガスを排出するための圧力逃し弁をさらに有し得る。個々のセル1は、本明細書の説明に従って作ることができ、上記で論じた圧力計などの他の電池構成要素は、既知の方法を使用して作るか、当業者に知られている供給源から入手することができる。
【0043】
熱伝達を改善するために、必要に応じて、追加の金属箔層(複数可)をセル間、またはセル間に周期的に配置することができる。あるいは、セルの縁を延長して、電池ハウジングの側壁への熱界面を改善することができる。たとえば、安定した熱動作のために、電池の動作中に発生した熱をバッテリの周囲から除去する必要がある。内部熱伝達を改善するために、必要に応じて、追加の金属箔層を、たとえば、金属層および/またはポリマー層に隣接してスタックに配置することができる。さらに、セルの縁を延長して電池ハウジングの側壁に接触させて、側壁への熱接触を確実にすることができる。
【0044】
したがって、有益なことに、本発明の実施形態は、望ましいエネルギー密度、比エネルギー、および放電サイクル特性を有する鉛蓄電池ウエハセルおよびマルチセル鉛蓄電池を提供する。電池内のセル間にセル間電子伝導性を提供すると共に、正および負の活物質をサポートする、導電性で、化学的および電気化学的に安定で耐久性のあるバイポーラ基板複合材料をセルに含めることにより、従来達成可能な30Wh/kgの鉛蓄電池のエネルギー密度の増加を可能にする。本発明の実施形態は、セルレベルで、70Wh/kgのエネルギー密度、200Wh/Lまでの比エネルギー、および50回までの深放電サイクルを提供し、一方、セルをスケールアップおよび最適化すると、モジュール/電池レベルで、60Wh/kgのエネルギー密度、150Wh/Lの比エネルギー、および300回の深放電サイクル(12V 6Tまたは24V 4Hのフォームファクタで)を提供することができる。したがって、ウエハセル構造(すなわち、その中の材料およびセル構造)で達成可能なエネルギー密度およびセル間の相互接続性は、既存の鉛蓄電池/電池の約2倍のエネルギー密度を提供し、100Wh/kgのエネルギー密度を達成可能であることが認識され、本発明による鉛蓄電池がリチウムイオン電池のエネルギー密度と競合することが可能である。
【0045】
したがって、本発明の一実施形態によれば、バイポーラ型鉛蓄電池を形成するための鉛蓄電池ウエハセルが提供される。鉛蓄電池ウエハセルは、負極板および負極板上に配置された負極活物質を有する負極と、正極板および正極板上に配置された正極活物質を有する正極とを含む。正極板は、ケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む。鉛蓄電池ウエハセルはまた、負極と正極との間にセパレータを含み、セパレータは、負極と正極との間で電荷を移動させるための電解質を含む。
【0046】
本発明の別の実施形態によれば、バイポーラ型鉛蓄電池は、隣接するセルの負の面に接触する各セルの正の面と電気的に直列に配置された少なくとも2つのセルのスタックを含む。各セルはさらに、負極板および負極活物質を有する負極と、正極板および正極活物質を有する正極と、電極間のセパレータであって、電解質を含むセパレータと、負極および正極ならびにセパレータを囲み、セル内に電解質を収容するようにセルをシールするセル包囲体と、を含み、セル包囲体は、隣接するセル間の電気的接続を提供する複数の穿孔をその中に含む。各セルの正極板は、上に導電性膜を備えた金属箔を含む。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態によれば、バイポーラ型鉛蓄電池セルの正極は、上にケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む正極板と、ケイ化チタンコーティングに隣接する正極板上に配置された正極活物質と、正極板と正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる、ケイ化チタンコーティングと正極活物質との間の酸化鉛材料の層または積層物と、を含む。
【0048】
この書面による説明は、例を使用して、最良のモードを含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む、当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に生じる他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とほとんど異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることを意図している。
(発明の開示)
(項目1)
バイポーラ型鉛蓄電池を形成するための鉛蓄電池ウエハセルであり、前記鉛蓄電池ウエハセルは、
負極であって、
負極板と、
前記負極板上に配置された負極活物質と、
を含む、負極と、
正極であって、
正極板と、
前記正極板上に配置された正極活物質と、
を含む、正極と、
前記負極と正極との間のセパレータであって、前記負極と正極との間で電荷を移動させるための電解質を含む、セパレータと、
を含み、
前記正極板は、上にケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む、
鉛蓄電池ウエハセル。
(項目2)
前記正極は、前記正極板と前記正極活物質との間に、前記正極板と前記正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる導電率促進材料の追加の層または積層物をさらに含む、
項目1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目3)
前記導電率促進材料は、四酸化鉛(Pb
3
O
4
)、二酸化鉛(PbO
2
)、カリウム、過硫酸ナトリウム、および鉛酸バリウムのうちの1つ以上を含む、
項目2に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目4)
前記負極板は、鉛被覆金属基板を含む、
項目1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目5)
前記金属基板は銅を含む、
項目4に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目6)
前記鉛蓄電池ウエハセルは、60Wh/kg以上のエネルギー密度を有する、
項目1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目7)
第1の内側金属層および第1のポリマー外層を含む第1の導電性積層体であって、前記第1のポリマー外層が、前記第1の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第1の導電性積層体が、前記負極の外面と電気的に接触している、第1の導電性積層体と、
第2の内側金属層および第2のポリマー外層を含む第2の導電性積層体であって、前記第2のポリマー外層が、前記第2の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第2の導電性積層体が、前記正極の外面と電気的に接触している、第2の導電性積層体と、
をさらに含み、
前記第1および第2の積層体は、前記負極および正極、前記セパレータ、ならびに前記電解質を含む包囲体を形成するために、互いに周辺がシールされている、
項目1に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目8)
シールされた界面を提供するように、前記第1のポリマー外層と前記第1の内側金属層との間、および前記第2のポリマー外層と前記第2の内側金属層との間に配置されたアスファルトタールの層をさらに含む、
項目7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目9)
前記第1および第2のポリマー外層はそれぞれ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、およびそれらの混合物から選択されるポリマー材料で作られている、
項目7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目10)
前記負極および正極、前記セパレータ、ならびに前記第1および第2の積層体のそれぞれは略平坦である、
項目7に記載の鉛蓄電池ウエハセル。
(項目11)
隣接するセルの負の面に接触する各セルの正の面と電気的に直列に配置された少なくとも2つのセルのスタックを含み、前記セルのそれぞれは、
負極板および負極活物質を含む負極と、
正極板および正極活物質を含む正極と、
電解質を含む、前記電極間のセパレータと、
前記負極および正極ならびに前記セパレータを囲み、前記セル内に前記電解質を収容するように前記セルをシールするセル包囲体であって、隣接するセル間の電気的接続を提供する複数の穿孔をその中に含む、セル包囲体と、
を含み、
前記正極板は、上に導電性膜を備えた金属箔を含む、
バイポーラ型鉛蓄電池。
(項目12)
前記金属箔はチタン箔を含み、前記導電性膜はケイ化チタンコーティングを含む、項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目13)
前記正極は、前記正極板と前記正極活物質との間に、前記正極板と前記正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる導電率促進材料の追加の層または積層物をさらに含む、
項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目14)
前記導電率促進材料は、四酸化鉛(Pb
3
O
4
)、二酸化鉛(PbO
2
)、カリウム、過硫酸ナトリウム、および鉛酸バリウムのうちの1つ以上を含む、
項目13に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目15)
前記負極板は、鉛被覆銅基板を含む、
項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目16)
前記バイポーラ型鉛蓄電池は、60Wh/kg以上のエネルギー密度および150Wh/L以上の比エネルギーを有し、300回の深放電サイクルの間、動作可能である、項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目17)
前記セル包囲体は、
第1の内側金属層および第1のポリマー外層を含む第1の導電性積層体であって、前記第1のポリマー外層が、前記第1の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第1の導電性積層体が、前記負極の外面と電気的に接触している、第1の導電性積層体と、
第2の内側金属層および第2のポリマー外層を含む第2の導電性積層体であって、前記第2のポリマー外層が、前記第2の内側金属層を露出させるためにその中に少なくとも1つの穿孔を有し、前記第2の導電性積層体が、前記正極の外面と電気的に接触している、第2の導電性積層体と、
を含み、
前記第1および第2の積層体は、前記セル包囲体を形成するために互いに周辺がシールされる、
項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目18)
前記第1のポリマー外層と前記第1の内側金属層との間、および前記第2のポリマー外層と前記第2の内側金属層との間に配置されたアスファルトタールの層をさらに含み、それらの間にシールされた界面を提供する、
項目17に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目19)
前記少なくとも2つのセルのスタックを収容する電池ハウジングをさらに含み、前記少なくとも2つのセルのスタックは、前記電池ハウジング内に圧縮状態で保持される、
項目11に記載のバイポーラ型鉛蓄電池。
(項目20)
バイポーラ型鉛蓄電池セルの正極であって、前記正極は、
上にケイ化チタンコーティングを有するチタン基板を含む正極板と、
前記ケイ化チタンコーティングに隣接する前記正極板上に配置された正極活物質と、
前記正極板と前記正極活物質との間の初期誘電効果を低下させる、前記ケイ化チタンコーティングと前記正極活物質との間の酸化鉛材料の層または積層物と、
を含む正極。
(項目21)
前記酸化鉛材料は、四酸化鉛(Pb
3
O
4
)および二酸化鉛(PbO
2
)のうちの1つを含む、
項目20に記載の正極。