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特許7218020バルク音響波共振器のパッケージング方法及びパッケージング構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】バルク音響波共振器のパッケージング方法及びパッケージング構造
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20230130BHJP
   H03H 9/17 20060101ALI20230130BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H03H3/02 B
H03H9/17 F
H03H9/02 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021503542
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2019107173
(87)【国際公開番号】W WO2021012377
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】201910657416.3
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519437928
【氏名又は名称】中芯集成電路(寧波)有限公司上海分公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO SEMICONDUCTOR INTERNATIONAL CORPORATION(SHANGHAI BRANCH)
【住所又は居所原語表記】Room 309, Area C, F3, Building 1,No.95, Lane 85, Cailun Road, China(Shanghai) Pilot Free Trade Zone, Shanghai 201210 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 海龍
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0183406(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105405816(CN,A)
【文献】特開2006-173557(JP,A)
【文献】特開2005-094728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0301703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/007-3/06
H03H 9/00- 9/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板及び前記第1基板に形成されたバルク音響波共振構造を含み、前記第1基板と前記バルク音響波共振構造との間に第1キャビティが形成されている共振キャビティ本体構造を提供するステップと、
第2基板を提供し、第2キャビティ及び前記第2キャビティの外周に位置する初期開口を有する弾性結合材料層を前記第2基板に形成することにより、共振器カバーを形成するステップと、
前記弾性結合材料層を介して前記共振キャビティ本体構造と前記共振器カバーとを結合させることにより、前記弾性結合材料層に弾性を失わせるステップと、
前記共振器カバーを貫通するとともに前記初期開口と連通して、前記初期開口を含む貫通穴を形成するステップと、
前記貫通穴の表面及び前記貫通穴の外周に位置する前記共振器カバーの部分の表面に被覆された導電性相互接続層を形成するステップと、を含み、
結合した後、前記バルク音響波共振構造が前記第1基板と前記第2基板との間に挟み込まれ、前記第2キャビティと前記第1キャビティが少なくとも部分的に位置合わせされ、前記バルク音響波共振構造に対応する電気接続部が前記初期開口から露出される
ことを特徴とするバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項2】
前記初期開口及び前記第2キャビティを有する前記弾性結合材料層を形成するステップは、
弾性結合材料層を前記第2基板に被覆するステップと、
前記弾性結合材料層をエッチングすることにより、互いに離間する前記第2キャビティ及び前記初期開口を同時に前記弾性結合材料層に形成するステップと、を含み、または、
前記初期開口及び前記第2キャビティを有する前記弾性結合材料層を形成するステップは、
弾性結合材料層を前記第2基板に被覆するステップと、
続いて、前記第2キャビティを前記弾性結合材料層に形成してから、前記初期開口を前記弾性結合材料層に形成するステップ、または、前記初期開口を前記弾性結合材料層に形成してから、前記第2キャビティを前記弾性結合材料層に形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項3】
前記初期開口と前記第2キャビティとは、いずれも同じ深さで前記弾性結合材料層を貫通し、または、
前記初期開口は、弾性結合材料層を貫通しないように位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項4】
前記バルク音響波共振構造は、前記第1基板に近接する第1電極と、前記第1電極上に位置する圧電層と、前記圧電層上に位置する第2電極とを含み、
前記電気接続部は、前記第1キャビティから伸出する前記第1電極の部分を含む第1電気接続部と、前記第1キャビティから伸出する前記第2電極の部分を含む第2電気接続部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項5】
前記第1キャビティの外周に位置する前記バルク音響波共振構造の部分は、前記電気接続部の一部または全部を露出させる開口を有し、前記共振キャビティ本体構造と前記共振器カバーとが一体に結合されるときに、前記弾性結合材料層は、厚さが前記開口の段差の高さに応じて変化可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項6】
前記弾性結合材料層の材料は、光硬化性材料及び/または、熱硬化性材料であり、光照射、または、加熱後の冷却により弾性を失う、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項7】
第2キャビティ及び前記初期開口を有する弾性結合材料層を前記第2基板に形成するステップは、
まず、エッチング停止層を前記第2基板に被覆するステップと、
続いて、流動性を有するドライフィルムフォトレジスト材料をコーティングするステップ、または、固体ドライフィルム材料を前記第2基板に圧着して、弾性結合材料層を形成するステップと、
次に、前記弾性結合材料層をパターニングすることにより前記第2キャビティ及び前記初期開口を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項8】
前記共振キャビティ本体構造と前記共振器カバーとを結合させた後、前記貫通穴を形成する前に、前記第2基板を薄くする、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項9】
前記導電性相互接続層を形成した後、
前記貫通穴を充填しかつ前記貫通穴の外周に位置する共振器カバーの表面における前記導電性相互接続層の一部を露出させ、露出された前記導電性相互接続層が導電性接触パッドとなるように、パターニングされた鈍化層を形成するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項10】
前記鈍化層と前記圧電層とは、同じ材質であり、または、
前記鈍化層は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、金属窒化物及びポリマーのうちの少なくとも1つの材質を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項11】
前記共振キャビティ本体構造を提供するステップは、
キャリア基板を提供し、バルク音響波共振構造を作製するためのフィルム層及び支持層を前記キャリア基板に順次形成するステップと、
前記支持層をエッチングすることにより、前記支持層にキャビティを形成するステップと、
前記第1基板を提供し、前記支持層上に前記第1基板を結合させるステップと、
前記キャリア基板を除去することにより前記共振キャビティ本体構造を形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項12】
バルク音響波共振構造を作製するためのフィルム層上に前記支持層を形成する前に、または、前記キャリア基板を除去した後に、
バルク音響波共振構造を作製するための前記フィルム層をパターニングすることにより、前記バルク音響波共振構造を形成する、
ことを特徴とする請求項11に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項13】
前記共振キャビティ本体構造を提供するステップは、
第1基板を提供し、前記第1基板の一部に犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層と前記第1基板にバルク音響波共振構造を形成するステップと、
前記犠牲層を除去することにより、前記第1キャビティを形成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項14】
前記第1基板の一部に犠牲層を形成するステップは、
前記第1基板をエッチングすることにより前記第1基板にトレンチを形成するステップと、
前記犠牲層を前記トレンチに充填するステップと、を含み、または、
前記第1基板の一部に犠牲層を形成するステップは、
前記第1基板に前記犠牲層を被覆するステップと、
前記犠牲層をパターニングすることにより、第1基板の一部に犠牲層を設けるステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載のバルク音響波共振器のパッケージング方法。
【請求項15】
第1基板と、順に前記第1基板に積層される第1電極、圧電層及び第2電極を有するバルク音響波共振構造と、前記第1基板と前記バルク音響波共振構造との間に形成される第1キャビティと、を含む共振キャビティ本体構造と、
第2基板と、一端が前記第2基板に結合される筒状の弾性結合材料層と、前記第2基板と前記弾性結合材料層とによって形成される第2キャビティと、前記第2基板及び前記弾性結合材料層の両方が貫通されるように前記第2基板及び前記弾性結合材料層に形成される貫通穴と、を含む共振器カバーであって、前記第2キャビティと前記第1キャビティとが少なくとも部分的に位置合わせされる共振器カバーと、
前記貫通穴の内周面及び前記貫通穴の外周にある前記共振器カバーの一部の表面に形成された導電性相互接続層と、を含み、
前記貫通穴は、前記弾性結合材料層の一部及び前記第2基板を貫通する第1貫通穴と、前記弾性結合材料層の他部及び前記第2基板を貫通する第2貫通穴と、を有し、
前記導電性相互接続層は、前記第2電極と接続されるように前記第1貫通穴に形成される第1導電性相互接続層と、前記第1電極と接続されるように前記第2貫通穴に形成される第2導電性相互接続層とを有し、
平面視にて、前記第1キャビティの外側に位置する前記バルク音響波共振構造の部分は、前記共振器カバーと対向する前記バルク音響波共振構造の対向面としての前記第2電極の上面から凹む開口を有し、
前記弾性結合材料層は、弾性を失う前に押圧される場合に厚みが小さくなるように構成され、
前記弾性結合材料層は、一部が前記第2基板と前記第2電極との間に挟持され、他部が前記第2基板と前記開口の箇所に形成された前記第1電極との間に挟持され、厚みが前記第1電極と前記第2電極との高低差に応じて圧縮変化するように構成される、
ことを特徴とするバルク音響波共振器のパッケージング構造。
【請求項16】
前記弾性結合材料層の材料は、光硬化性材料及び/または、熱硬化性材料であり、光照射、または、加熱後の冷却により弾性を失う、
ことを特徴とする請求項15に記載のバルク音響波共振器のパッケージング構造。
【請求項17】
パターニングされた鈍化層をさらに含み、
パターニングされた前記鈍化層は、前記貫通穴を充填しかつ前記貫通穴の外周に位置する共振器カバーの表面における前記導電性相互接続層の一部を露出させ、露出された前記導電性相互接続層が導電性接触パッドとなる、
ことを特徴とする請求項15に記載のバルク音響波共振器のパッケージング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はRF製品パッケージングの技術分野に関し、特にバルク音響波共振器のパッケージング方法及びパッケージング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
バルク音響波共振器(FBAR)は、典型的に圧電層の上及び/または下に設けられる電極を備える。電極に印加された高周波信号に応答して、圧電層が振とうすることができる。FBARは、無線データの入力及び/または、出力を実現するように、無線信号伝送システムに用いられ得る。例えば、FBARは、無線通信装置、無線電力送信機、無線センサのフィルタ、送信機、受信機、ダイプレクサなどに用いられ得る。
【0003】
図1に示すように、従来の通常のバルク音響波共振器のパッケージングプロセスは、通常、以下のステップを含む。
(1)熱酸化プロセスまたは化学気相堆積プロセスにより、二酸化シリコン層200をキャリア基板(図示せず) 上に成長させ、さらにホトエッチング、エッチングプロセスにより、前記二酸化シリコン層200の一部の厚さをエッチング除去して第2キャビティ2001を形成する。
【0004】
(2)金-金結合(Au-Au bonding)プロセスにより、第2キャビティ2001を有するキャリア基板を、あらかじめ作製された、第1キャビティ1011、バルク音響波共振構造102及び第1基板100を有する共振キャビティ本体構造と結合させ、このとき、第2キャビティ2001が第1キャビティ1011と位置合わせされ、バルク音響波共振構造102が第2キャビティ(上キャビティとも呼ばれる)2001と第1キャビティ(下キャビティとも呼ばれる)1011との間に挟み込まれる。一般的に、あらかじめ作製された第1基板100に下キャビティ壁101が形成されており、バルク音響波共振構造102は、第1キャビティに積層して設けられる第1電極(底部電極とも呼ばれる)1021、圧電層1022、及び第2電極(上部電極とも呼ばれる)1023を含み、下キャビティ壁101は、第1基板100と第1電極1021との間に第1キャビティ1011を形成するために用いられる。具体的には、金-金結合プロセス過程は、まず金属剥離プロセス(metal lift-off technology)を用いて、結合に必要な金層201を第2キャビティ2001の外周にある二酸化シリコン層200に形成し、結合に必要な金層103を第1キャビティ1011の外周にある第1電極1021及び第2電極1023に形成し、次に、第1キャビティ1011と第2キャビティ2001が相互に位置合わせられた後、加熱により、金層201及び金層103を溶融して金-金結合を形成することを含む。金属剥離プロセスとは、基板にフォトレジスト膜をコーティングし、露光し、現像した後、一定のパターンを有するフォトレジスト膜をマスクとして、フォトレジスト膜から所要の金属を蒸発し、次に、フォトレジスト膜を除去すると同時に、フォトレジスト膜における金属をきれいに剥離し、所要のパターンの金属のみを基板に残す。
【0005】
(3)裏面薄型化プロセスを利用して、結合された構造におけるキャリア基板を除去し、残りの二酸化シリコン層200をカバープレートとして、二酸化シリコン層200に穴を開けて、結合された金表面を露出させる穴203を形成する。
【0006】
(4)二酸化シリコン層200及び穴203の表面に銅金属層204をメッキし、ホトエッチング、腐蝕などのプロセスにより銅金属層204をパターニングし、第2電極1023及び第1電極1021を外へ導出するワイヤを形成する。
【0007】
(5)二酸化シリコン層200及び銅金属層204に鈍化層205を堆積し、ホトエッチング、腐蝕などのプロセスにより鈍化層205をパターニングして、銅金属層204の一部を金属ボンディングパッドとして露出させ、さらに、露出された銅金属層204にボールをボンディングし、形成されるハンダボール206と金属ボンディングパッドとを接触させる。
【0008】
上記のバルク音響波共振器のパッケージングプロセスでは、二酸化シリコン層をキャリア基板に堆積し、エッチングし、金-金結合プロセスを用いて第1キャビティ1011と第2キャビティ2001とを結合させ、結合した後にキャリア基板を除去する必要があるため、プロセスが複雑であり、装置コストが高い。また、金-金結合プロセスに金元素が導入されるため、材料コストが高く、生産ラインに元素汚染をもたらすという問題が存在する。なお、上記プロセスでの鈍化層205は、通常、薄い酸化ケイ素または窒化ケイ素などの常用の鈍化層材料を堆積して形成されるため、穴203に隙間が残され、第2キャビティ2001の側壁が薄くなり、さらに、上キャビティカバーの機械的強度が不十分になり、デバイスの信頼性リスクを引き起こしてしまう。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、プロセスを簡略化させ、コストを低減させ、共振キャビティ本体構造との互換性が高く、金-金結合プロセスによる生産ラインへの元素汚染の問題を回避することができる、バルク音響波共振器のパッケージング方法及びパッケージング構造を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を実現するために、本発明によれば、
第1基板及び前記第1基板に形成されたバルク音響波共振構造を含み、前記第1基板と前記バルク音響波共振構造との間に第1キャビティが形成されている共振キャビティ本体構造を提供するステップと、
第2基板を提供し、第2キャビティ及び前記第2キャビティの外周に位置する初期開口を有する弾性結合材料層を前記第2基板に形成することにより、共振器カバーを形成するステップと、
前記弾性結合材料層を介して前記共振キャビティ本体構造と前記共振器カバーとを結合させることにより、前記弾性結合材料層に弾性を失わせるステップと、
前記共振器カバーを貫通するとともに前記初期開口と連通して、前記初期開口を含む貫通穴を形成するステップと、
前記貫通穴の表面及び前記貫通穴の外周に位置する前記共振器カバーの部分の表面に被覆された導電性相互接続層を形成するステップと、を含み、
結合した後、前記バルク音響波共振構造が前記第1基板と前記第2基板との間に挟み込まれ、前記第2キャビティと前記第1キャビティが少なくとも部分的に位置合わせされ、前記バルク音響波共振構造に対応する電気接続部が前記初期開口から露出されるバルク音響波共振器のパッケージング方法が提供される。
【0011】
同じ発明発想に基づいて、本発明によれば、
第1基板及び前記第1基板に形成されたバルク音響波共振構造を含み、前記第1基板と前記バルク音響波共振構造との間に第1キャビティが形成されている共振キャビティ本体構造と、
第2基板及び弾性を失った弾性結合材料層を含み、前記弾性結合材料層が前記第2基板と前記バルク音響波共振構造との間に挟み込まれ、第2キャビティ及び前記第2キャビティの外周に位置する初期開口が前記弾性結合材料層に形成され、前記第2キャビティと前記第1キャビティとが少なくとも部分的に位置合わせされ、前記バルク音響波共振構造に対応する電気接続部が前記初期開口から露出される共振器カバーであって、前記初期開口が形成されるとともに前記共振器カバーを貫通しかつ前記第2基板に位置する部分が前記初期開口と連通する貫通穴をさらに有する共振器カバーと、
前記貫通穴の表面及び前記貫通穴の外周にある前記共振器カバーの一部の表面に形成された導電性相互接続層と、を含むバルク音響波共振器のパッケージング構造が提供される。
【0012】
従来技術に比べて、本発明の技術案は、以下の有益な効果を有する。
1、本発明のパッケージング技術案では、第2キャビティ及び初期開口を有する弾性結合材料層を第2基板に形成することで共振器カバーを作製し、次に、この共振器カバーにおける弾性結合材料層を介して、共振器カバーと共振キャビティ本体構造を直接結合させることができ、この後、共振器カバーを貫通して対応する初期開口に連通して、対応する貫通穴を形成し、この後、貫通穴の内表面及び第2基板の一部の表面に被覆された導電性相互接続層を形成することができる。このプロセスは、初期開口を形成してから(すなわち、貫通穴の一部を形成してから)、第2基板を貫通して初期開口に連通することで、完全な貫通穴を取得するため、貫通穴の形成難度を低減させることができるとともに、貫通穴及び導電性相互接続層の形成プロセスによる共振器の性能への悪影響を回避し、また、形成される貫通穴及び導電性相互接続層の性能を確保することができる。該パッケージング技術案は、コストが低く、プロセスがシンプルであり、共振キャビティ本体構造のプロセスとの互換性が高いという特徴を備える。
【0013】
2、本発明のパッケージング技術案では、共振器カバーと共振キャビティ本体構造が結合されるときの主要接触領域が第2キャビティの外周にある弾性結合材料層であるため、金-金結合プロセスの汚染問題を引き起こすことない。
【0014】
3、本発明のパッケージング技術案では、弾性結合材料層が一定の弾性を有するため、弾性結合材料層の弾性を利用してその厚さが第1キャビティの外周にあるバルク音響波共振構造の段高に応じて変化でき、これにより、第1キャビティの外周にある共振キャビティ本体構造におけるバルク音響波共振構造の領域の一定の段差が許容され、さらに、前記共振器カバーと共振キャビティ本体構造とが結合されるとき、第2基板の第1基板との反対面が傾斜せず、前記バルク音響波共振構造の段差を補償し、結合の信頼性及び安定性を確保することができる。また、第2基板の第1基板との反対面が水平であるため、貫通穴と導電性相互接続層の製造プロセスに平坦なプロセスウィンドウを提供し、さらに形成される導電性相互接続層の性能を確保することができる。
【0015】
4、本発明のパッケージング技術案では、共振器カバーに必要な主要構造がすべて第2基板において作製されるため、第1キャビティへの影響を最大限に低減させる。
【0016】
5、本発明のパッケージング技術案では、バルク音響波共振構造における圧電層と同一の材質を用いて鈍化層を作製してもよく、第1キャビティプロセスとの互換性が最大であり、また、他の材料で鈍化層を作製することによる温度ドリフトの問題及び不必要な応力の導入問題を回避でき、これにより、共振器の共振性能を向上させる。また、鈍化層が貫通穴を満たすことにより、共振器カバーの機械的強度を向上させ、さらに共振器の第2キャビティの側壁の支持力を向上させ、第2キャビティの変形による共振器の共振性能及び信頼性への影響を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】典型的なバルク音響波共振器のパッケージング構造の断面構造模式図である。
図2】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法のフローチャートである。
図3A】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法の断面構造模式図である。
図3B】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法の断面構造模式図である。
図3C】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法の断面構造模式図である。
図3D】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法の断面構造模式図である。
図3E】本発明の具体的な実施例のバルク音響波共振器のパッケージング方法の断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び具体的な実施例を参照しながら、本発明の技術案についてさらに詳細に説明する。以下の説明に基づいて、本発明の効果及び特徴が明瞭になる。なお、図面は、すべて、非常に簡略化した形式を用い、全て不正確な尺度を使用しており、本発明の実施例の目的を容易かつ明瞭に補助的に説明するためのものに過ぎない。同様に、本明細書に記載の方法が一連のステップを含み、本明細書に示されるこれらのステップの順序は、必ずしもこれらのステップを実行できる唯一の順序ではなく、一部の前記ステップを省略してもよく、及び/または、本明細書に説明されていない一部の他のステップを該方法に追加してもよい。ある図面における部材が他の図面における部材と同じであるが、すべての図面からこれらの部材を容易に認識できるが、図面の説明を明瞭にするために、本明細書は、すべての同じ部材の符号を各図にマーキングすることない。
【0019】
図2に示すように、本発明は、
第1基板及び前記第1基板に形成されたバルク音響波共振構造を含み、前記第1基板と前記バルク音響波共振構造との間に第1キャビティが形成されている共振キャビティ本体構造を提供するステップS1と、
第2基板を提供し、第2キャビティ及び前記第2キャビティの外周に位置する初期開口を有する弾性結合材料層を前記第2基板に形成して、共振器カバーを形成するステップS2と、
前記弾性結合材料層を介して前記共振キャビティ本体構造と前記共振器カバー構造とを結合させ、前記結合材料層に弾性を失わせ、結合した後、前記バルク音響波共振構造が前記第1基板と前記第2基板との間に挟み込まれ、前記第2キャビティと前記第1キャビティが少なくとも部分的に位置合わせされ、前記バルク音響波共振構造に対応する電気的接続箇所が前記初期開口から露出されるステップS3と、
前記共振器カバーを貫通して前記初期開口と連通して、初期開口を含む貫通穴を形成するステップS4と
前記貫通穴の表面及び前記貫通穴の外周にある前記共振器カバーの一部の表面に被覆された導電性相互接続層を形成するステップS5と、
前記貫通穴を満たしかつ前記貫通穴の外周にある共振器カバーの表面における前記導電性相互接続層の一部を露出させ、露出された前記導電性相互接続層が導電性接触パッドとなるように、パターニングされた鈍化層を形成するステップS6とを含む、バルク音響波共振器のパッケージング方法を提供する。
【0020】
図3Aに示すように、ステップS1では、第1基板400を提供し、第1キャビティ402及びバルク音響波共振構造404を第1基板400に形成して、共振キャビティ本体構造40を形成する。
【0021】
具体的に実施する際、以下の方法により共振キャビティ本体構造40を形成することができる。
まず、キャリア基板を提供し、エッチング停止層(図示せず)をキャリア基板に形成し、キャリア基板は、当業者にとって周知の任意の適当な基板であってもよく、例えば、ベアシリコンウェハ、または、セラミックベース、セキエイまたはガラスベースなどであってもよい。前記エッチング停止層は、適当な堆積方法(例えば化学気相堆積、物理気相堆積または原子層堆積など)または熱酸化方法によりキャリア基板に形成することができ、前記エッチング停止層の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、フルオロカーボン(CF)、炭素添加酸化ケイ素(SiOC)、炭窒化ケイ素などの材料のうちの少なくとも1種を含むがこれらに限られず、前記エッチング停止層は、後続のキャリア基板除去プロセスにおいてプロセス停止点として、バルク音響波共振構造を保護することができ、その厚さが例えば1000Å~10000Åである。本発明の他の実施例では、前記エッチング停止層は、さらに、光硬化型接着剤またはホットメルトなどの除去可能なフィルム層材料であってもよく、この後、キャリア基板を除去するときに除去することができる。
【0022】
続いて、蒸着、マグネトロンスパッタリングなどの当業者にとって周知の任意の適当な方法により、第2電極4043を作製するための第2電極材料層(図示せず)、圧電層4042を作製するための圧電材料層、第1電極4041を作製するための第1電極材料層をエッチング停止層の表面に順次被覆して、バルク音響波共振構造404を作製するためのフィルム層を形成することができる。第1電極材料層及び第2電極材料層の材料は、Ag、Au、Cu、Pd、Cr、Mo、Ti、Ta、Sn、W及びAlのうちの少なくともの1種の金属を含むがこれらに限られない。圧電層4042の材料は、ZnO、AlN、GaN、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛など、ウルツ鉱型結晶構造を有する圧電材料を使用することができる。圧電材料層の厚さは、ターゲット共振周波数に基づいて設定することができ、例えば、波長の1/2ほどに設けられる。本実施例では、Mo金属薄膜を第1電極材料層及び第2電極材料層として用い、Mo金属薄膜の厚さが通常2000Å~1μmであり、AlNを圧電材料層として用い、AlNの厚さ範囲が通常2000Å~2μmである。本発明の他の実施例では、形成すべきバルク音響波薄膜は、上記複数種のフィルム層以外の他のフィルム層をさらに含み、実際のデバイス需要に応じて、合理的に設けることができ、ここで具体的に制限しない。
【0023】
次に、適当な堆積方法(例えば化学気相堆積、物理気相堆積または原子層堆積など)または熱酸化プロセスなどにより、第3下キャビティ壁層4013及び第2下キャビティ壁層4012を第1電極材料層上に順次形成することができ、第3下キャビティ壁層4013は、酸化ケイ素であってもよく、第2下キャビティ壁層4012は、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素であってもよい。第3下キャビティ壁層4013は、この後、第1下キャビティ壁層4011をエッチングして第1キャビティ402を形成するときのエッチング停止点として、第1電極材料層が不必要な損害を受けないように保護することができる。第2下キャビティ壁層4012は、後続の位置合わせマーク開口プロセスにおけるハードマスク層とすることができ、形成される位置合わせマーク開口の精度の向上に有利である。
【0024】
続いて、露光、現像、エッチングプロセスを実行し、第3下キャビティ壁層4013、第2下キャビティ壁層4012、第1電極材料層、圧電材料層及び第2電極材料層を順次エッチングし、キャリア基板の表面にエッチングを停止させ(キャリア基板表面にエッチング停止層が形成されていると、キャリア基板表面におけるエッチング停止層に停止する)、それにより、対応する位置合わせマーク開口(図示せず)を形成する。位置合わせマーク開口の横断面(キャリア基板表面に平行する平面)形状は、円形、十字形、楕円形、多角形、回折格子形などであってもよく、位置合わせマーク開口の縦方向断面(キャリア基板表面に垂直な平面)形状は、長方形、U字形、正台形または逆台形などであってもよい。位置合わせマーク開口は、一般的に形成すべき第1キャビティ402の外周に設けられており、例えば、バルク音響波共振器の第1電極の接触領域及び第2電極の接触領域の外側に位置し、具体的に実施する際、形成すべきバルク音響波共振器の外周一側のみに設けられてもよく、バルク音響波共振器の外周両側に軸対称または中心対称に設けられてもよい。
【0025】
次に、適当な堆積方法(例えば化学気相堆積、物理気相堆積または原子層堆積など)により、第1下キャビティ壁層4011を堆積し、位置合わせマーク開口に充填して第2下キャビティ壁層4012に被覆することができ、堆積された第1下キャビティ壁層4011は、位置合わせマーク開口を満たすことができ、第2下キャビティ壁層4012の上方に十分な厚さになる必要があり、この後、所要の深さの第1キャビティ402を形成するために用いられる。本実施例では、第1下キャビティ壁層4011は、酸化ケイ素であり、TEOS、または、PEOXなどの材料を用いることができ、厚さが0.5μm~4μmとされる。第1下キャビティ壁層4011に被覆された後、第1下キャビティ壁層4011の頂部を平坦化して(例えば、化学的機械的研磨プロセスを用いて平坦化する)、その頂面を平坦にすることができ、それにより、一方、この後に形成される第1キャビティプロセスの精度及び形成される第1キャビティの深さ均一性の向上に有利であり、他方、第1基板400の後続の結合に有利である。図3Aに示すように、位置合わせマーク開口に満たされた第1下キャビティ壁層4011の一部が位置合わせマーク403となる。位置合わせマークは、この後の第2基板300と第1基板400との位置合わせに用いられ、位置合わせ精度を向上させる。第1下キャビティ壁層4011~第3下キャビティ壁層4013は、第1キャビティ402を作製するための支持層を構成する。
【0026】
続いて、露光、現像、エッチングプロセスを実行し、第1下キャビティ壁層4011を第3下キャビティ壁層4013までエッチングし、第1キャビティ402を形成し、第1下キャビティ壁層4011~第3下キャビティ壁層4013が前記第1キャビティ402を囲む下キャビティ壁とされる。前記第1キャビティ402の横断面(キャリア基板表面に平行する断面)は、長方形、五角形などの多角形であってもよく、円形、楕円形などであってもよい。同じ基板に複数のバルク音響波共振器を作製する必要があるとき、複数の第1キャビティ402を同時に形成することができ、隣接する第1キャビティ402が残りの第1下キャビティ壁層4011~第3下キャビティ壁層4013の積層構造を介して分離され、第1キャビティ402の周りにある残りの第1下キャビティ壁層4011~第3下キャビティ壁層4013が、この後、バルク音響波共振構造を支持するための支持構造とされる。第1下キャビティ壁層4011、第2下キャビティ壁層4012、第3下キャビティ壁層4013は、ONO(酸化層-窒化ケイ素-酸化層)構造を構成し、積層されたONO構造は、低いという欠陥を有し、その中で、窒化ケイ素材質の第2下キャビティ壁層4012は、電荷を捕獲し、漏れ電流を抑制することができる。第1キャビティ402の深さが例えば0.5μm~4μmである。
【0027】
続いて、第1基板400を提供し、前記第1基板400は、当業者にとって周知の任意の適当なキャリア材料であってもよく、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、InAs、GaAs、InP、または、その他のIII/V化合物半導体といった材料のうちの少なくともの1種であってもよく、これらの半導体で構成される多層構造などをさらに含み、または、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、積層シリコン・オン・インシュレータ(SSOI)、積層シリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(S-SiGeOI)、積層シリコン・ゲルマニウム・オン・インシュレータ(SiGeOI)及びゲルマニウム・オン・インシュレータ(GeOI)であってもよく、または、両面磨きシリコンウエハー(Double Side Polished Wafers、DSP)であってもよく、アルミナなどのセラミックベース、セキエイまたはガラスベースなどであってもよい。
【0028】
次に、当業者にとって周知の任意の適当な接着プロセスにより、第1基板400を第1下キャビティ壁層4011に結合することができ、例えば、ホットメルトを第1基板400に塗布することなどにより、第1下キャビティ壁層4011のキャリア基板との反対面を第1基板400に結合することができる。これにより、第1キャビティ402を第1基板400と第1電極4041を作製するための第1電極材料層との間に密閉する。また例えば、真空結合により第1基板400を第1下キャビティ壁層4011に結合し、前記真空接着プロセスの条件は、結合圧力1Pa~105Pa、結合温度150℃~200℃を含む。
【0029】
続いて、キャリア基板の材質特性に基づいて適当なプロセス除去キャリア基板を選択することができ、例えば、前記キャリア基板がベアシリコンウェハである場合、CMPプロセス、または、CMPプロセスとウエットエッチングのプロセスとの組み合せによりキャリア基板を除去することができる。
【0030】
次に、全体構造を逆にすることで、第1基板400を下、第2電極4043を作製するための第2電極材料層を上にし、露光、現像、エッチングプロセスにより、第1電極材料層、圧電材料層及び第2電極材料層を順次パターニングするか、または、第1電極材料層、圧電材料層及び第2電極材料層を順次パターニングして、第1電極4041(すなわち、残りの第1電極材料層、底部電極とも呼ばれる)、圧電層4042(すなわち、残りの圧電材料層)及び第2電極4042(すなわち、残りの第2電極材料層、上部電極とも呼ばれる)を定義し、これにより、バルク音響波共振構造404を形成する。このプロセスでは、第1キャビティ402の外周一側のバルク音響波共振構造404における第2電極の材料層の一部及びその下方の圧電材料層と位置合わせマーク403の一部の厚さを同時にエッチング除去して、第1電極4041を露出させて、開口404’を形成することができ、開口404’の平面視形状が半環状、または、閉環状であり、このように、階段を有するバルク音響波共振構造404が第1キャビティ402の外周に形成され、段高が均一であり、Hとする。なお、本発明の他の実施例では、バルク音響波共振構造404を作製するためのフィルム層上に第3下キャビティ壁層4013を形成する前に、バルク音響波共振構造404を作製するための前記フィルム層をパターニングして、前記バルク音響波共振構造404を形成してもよい。
【0031】
ここまで、ステップS1での、共振キャビティ本体構造40を提供するプロセス過程を完了させる。
【0032】
本発明の他の実施例では、キャリア基板を利用せずに、犠牲層を利用して直接第1キャビティ402及びバルク音響波共振構造404を第1基板400に形成して、共振キャビティ本体構造40を取得してもよく、具体的な過程は、以下のことを含む。
まず、第1基板400の一部の領域の一部の厚さをエッチング除去して、第1キャビティ402を作製するためのトレンチ(図示せず)を形成し、ここで、第1基板400は、ベース(図示せず)、及びベース(図示せず)に被覆された少なくとも1層の薄膜(図示せず)を含んでもよく、半導体材質のベアウェハであってもよい。
【0033】
続いて、トレンチに犠牲層(図示せず)を満たし、該犠牲層の頂面は、下キャビティ壁401の頂面と揃ってもよく下キャビティ壁401の頂面より高くてもよく下キャビティ壁401の頂面よりやや低くてもよく、該犠牲層は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0034】
この後、第1電極4041を作製するための第1電極材料層(図示せず)、圧電層4042を作製するための圧電材料層、第2電極4043を作製するための第2電極材料層を第1基板400及び犠牲層の頂面に順次被覆し、露光、現像及びエッチングなどのプロセスにより、第1電極材料層、圧電材料層及び第2電極材料層を順次パターニングするか、または、第2電極材料層、圧電材料層及び第1電極材料層を順次パターニングして、第1電極4041、圧電層4042及び第2電極4043を定義し、これにより、バルク音響波共振構造404を形成する。
【0035】
次に、第1キャビティ402領域における、縁に近い箇所のバルク音響波共振構造404にリリーフ穴(図示せず)を開け、リリーフ穴にエッチング剤を導入することで犠牲層を除去して、トレンチを改めて空にし、これにより、バルク音響波共振構造404と第1基板400との間の第1キャビティ402を取得し、第1キャビティ402は、底部全体が前記第1基板400に凹んだトレンチ構造である。ここまで、ステップS1での、共振キャビティ本体構造40を提供するプロセス過程を完了させる。
【0036】
本発明の他の実施例では、犠牲層を利用して直接第1キャビティ402及びバルク音響波共振構造404を第1基板400に形成して、共振キャビティ本体構造40を取得する方法をさらに提供してもよく、その具体的な過程は、以下のことを含む。
まず、第1基板400全体に犠牲層(図示せず)を被覆し、犠牲層は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0037】
次に、露光、現像、エッチングプロセスを実行し、犠牲層をエッチングしてパターニングして、第1キャビティ402を作製するためのパターニングされた犠牲層を形成し、
続いて、第1電極4041を作製するための第1電極材料層(図示せず)、圧電層4042を作製するための圧電材料層、第2電極4043を作製するための第2電極材料層を第1基板400及び犠牲層の頂面に順次被覆し、露光、現像及びエッチングなどのプロセスにより、第1電極材料層、圧電材料層及び第2電極材料層を順次パターニングするか、または、第2電極材料層、圧電材料層及び第1電極材料層を順次パターニングして、第1電極4041、圧電層4042及び第2電極4043を定義し、これにより、バルク音響波共振構造404を形成する。
【0038】
次に、バルク音響波共振構造404の縁領域にリリーフ穴(図示せず)を開け、リリーフ穴にエッチング剤を導入することで犠牲層を除去することができ、これにより、バルク音響波共振構造404と第1基板400との間の第1キャビティ402を取得し、第1キャビティ402が第1基板400に凸設される。ここまで、ステップS1での、共振キャビティ本体構造40を提供するプロセス過程を完了させる。
【0039】
なお、第1基板400がウェハーである場合、第1基板400のバルク音響波共振構造404の数量は、1つに限られず、つまり、第1基板400に複数のバルク音響波共振構造404が同時に形成されてもよく、バルク音響波共振構造404のそれぞれと第1基板400との間にいずれも1つの第1キャビティ402を有し、隣接する第1キャビティ402は、下キャビティ壁401を介して分離されてもよく、隣接するバルク音響波共振構造404の間は、相互に遮断されてもよく、または、一部のフィルム層が接続されてもよい。
【0040】
図3Bと3Cに示すように、ステップS2では、まず、第2基板300を提供し、この後、スルーシリコンビア(TSV)プロセスを用いて対応する貫通穴を形成できるように、前記第2基板300は、シリコンベースを含む基板、例えばバルクシリコン基板、シリコン・オン・インシュレータ基板、または、シリコンベース及びシリコンベース上に積層された二酸化シリコン層で構成される基板(このとき、該二酸化シリコン層がバルク音響波共振構造に面して設けられる)であってもよい。本実施例では、第2基板300がバルクシリコン基板であり、後続の共振器カバー貫通プロセスの停止点を制御するために、1層のエッチング停止層300aを第2基板300の表面に被覆し、停止層300aのエッチング厚さが後続の第2基板300の残りの厚さに決定される。次に、弾性結合材料層301を前記エッチング停止層300aに被覆し、弾性結合材料層301として用いられる材料は、パターニングでき、一定の条件において固化でき、上下層の材料に安定に粘着でき、この後にウェハーと結合するとき、一定の段差を許容できるように、弾性を有することを満たす必要があり、従って、前記弾性結合材料層301の材料は、光硬化性材料、熱硬化性材料、または、光硬化性材料と熱硬化性材料の組合せであってもよく、光照射または加熱後の冷却により弾性を失い、例えば、ドライフィルムである。任意的には、コーティングプロセス(例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティングまたはスクリーン印刷)により、流動性ドライフィルムフォトレジスト材料をコーティングするか、または、ラミネート機により固体または半固体のドライフィルム材料を前記第2基板300に圧着して、弾性結合材料層301を形成してもよい。例えば、ラミネート機を使用して、80℃~120℃(例えば110℃)かつ真空状態で、固体ドライフィルム材料を前記第2基板300に密着して弾性結合材料層301を形成する。弾性結合材料層301は、三層構造であってもよく、例えば、1層がPE保護層、中間がドライフィルム層、もう1層がPET保護層である。PE保護層は、特殊なポリエチレン(PE)プラスチック薄膜を基材とするフィルム層、例えば高密度ポリエチレン保護膜、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンである。PET保護層のフルネームは、ポリエチレンテレフタレートであり、テレフタル酸をグリコールと縮合重合反応して得られるものである。PE保護層及びPET層は、いずれも、保護作用のみを果たし、圧着前及び現像前に除去されるものであり、従って、最終的に、第2基板300と第1基板400との間に挟み込まれるのは、中間層のドライフィルム層であり、それは、一定の粘着性及び優れた感光性を有し、弾性結合材料層301の厚さが10μm~20μmである。
【0041】
続いて、露光、現像などを含む一連のリソグラフィプロセスにより、さらに乾式エッチングプロセスを用いて、前記弾性結合材料層301をパターニングして第2キャビティ302及び初期開口301aを形成することができ、初期開口301aが第2キャビティ302の外周に位置しかつ第2キャビティ302と連通せず、初期開口301aと第2キャビティ402は、深さが同じであり、いずれもエッチング停止層300aの表面まで弾性結合材料層301を貫通し、すなわち、初期開口301aは、弾性結合材料層301を貫通する貫通穴であり、その具体的な位置が第1電極4041及び第2電極4043を外へ導出する位置(すなわち、バルク音響波共振構造404の電気接続部の位置)に決定される。具体的には、まず、マスクを前記弾性結合材料層301に形成し、真空条件において紫外線露光を行い、露光後にしばらく静置し、前記紫外線露光の照射量が好ましくは200J/cm2~300mJ/cm2であり、続いて、100℃~150℃(例えば130℃)の温度で、露光後の前記弾性結合材料層301を100秒~300秒(例えば200秒)予め焼き、次に、常温で、複数回(例えば3回)予め焼いた前記弾性結合材料層301に現像液をスピンコーティングし、予め焼いた前記弾性結合材料層301を現像して、第2キャビティ302を有する弾性結合材料層301を形成し、前記現像液は、PGMEAであり、その成分が分子式C6123のプロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートを含む。ここまで、共振器カバー30の作製を完了させる。この後の結合後、バルク音響波共振構造404の第1電極層4041、圧電層4042及び第2電極層4042が第1キャビティ402及び第2キャビティ302の両方に重なる部分を有し、共振器の有効共振領域を形成する限り、第2キャビティ302の形状及びサイズは、いずれも、第1キャビティ402と同じであってもよく、完全に同じでなくてもよい。本実施例では、前記初期開口301aと前記第2キャビティ302は、同じ深さで前記弾性結合材料層を貫通し、導電性相互接続層の作製に必要な貫通穴の一部(すなわち、初期開口301aに対応する部分)及び第2キャビティ302を同時に作製し、これにより、一方、弾性結合材料層が固化された後にエッチングしにくいという問題を回避でき、該プロセス難度を低減させ、かかる時間を効果的に減少させ、生産効率を向上させることができ、他方、第2キャビティ302と同時に作製される貫通穴部分、及びこの後に第2基板に形成される貫通穴部分の縦横比を低減でき、従って、貫通穴に順に形成される2つの部分をいずれも十分にエッチングすることを確保し、貫通穴のエッチング不足のため、この後に形成される導電性相互接続層の開回路、短絡などの問題を回避し、貫通穴の形成プロセスの難度を全体的に低減させ、形成される貫通穴及び導電性相互接続層の性能の向上に有利である。なお、本発明の他の実施例では、初期開口301aの深さが第2キャビティ302の深さと異なってもよく、初期開口301aが弾性結合材料層301の一部の厚さに位置してもよく、この場合、第2キャビティ302及び初期開口301aの作製は、2つのマスク板を用いて2回のホトエッチングとエッチングの組み合せプロセスで完了することができる。また、初期開口301aと第2キャビティ302の深さが同じである場合、第2キャビティ302及び初期開口301aの作製は、2枚のマスク板を用いて2回のホトエッチングとエッチングの組み合せプロセスで完了することができ、具体的には、前記第2キャビティ302を前記弾性結合材料層301に形成してから、前記初期開口301aを前記弾性結合材料層301に形成し、または、前記初期開口301aを前記弾性結合材料層301に形成してから、前記第2キャビティ302を前記弾性結合材料層301に形成する。明らかに、どんな場合でも、形成される初期開口301aは、この後に形成される貫通穴の一部とされ、本発明の各実施例の技術案では、初期開口を形成してから(すなわち、貫通穴の一部を形成してから)、この後に第2基板を貫通して初期開口と連通して、完全な貫通穴を取得するため、貫通穴の形成難度を低減させ、貫通穴の形成プロセスによる共振器の性能への悪影響を回避し、また、形成される貫通穴及び導電性相互接続層の性能を確保する。
【0042】
図3Cに示すように、ステップS3では、前記第2キャビティ302の開口を前記バルク音響波共振構造404に面して置き、第1キャビティ402と位置合わせ、前記弾性結合材料層301を介して前記第2基板300と前記バルク音響波共振構造404及び下キャビティ壁401とを結合させる。バルク音響波共振構造404は、前記第1キャビティ402の外周にある領域に、第1電極4041(すなわち、第1電気接続部)の一部または全部を露出させる開口404’を有し、前記開口404’により、前記バルク音響波共振構造404は高さがHの階段を有し、後続の第1貫通穴が開口404’の領域に形成され、したがって、本実施例では、力をかけて圧着することにより、前記第2基板300と前記共振キャビティ本体構造40とを結合させ(すなわち、第2基板300が弾性結合材料層301を介してバルク音響波共振構造404及び露出された下キャビティ壁401に結合される)、前記弾性結合材料層301の厚さが前記開口404’での階段に応じて変化でき、また、前記第2基板300と第1基板400の互いに反対面をいずれも水平に維持する。このとき、前記弾性結合材料層301は、それ自体の弾性により、段差に適合して以下の2つの部分に変化する。1つの部分は、開口404’から露出された第1電極4041及び位置合わせマーク403の表面に接着されて、高い第1上キャビティ壁3011を形成し、他の部分は、第1キャビティ402の外周にある、第1上方室壁3011に対向する第2電極4043の表面に接着されて、低い第2上キャビティ壁3012を形成し、第1上キャビティ壁3011と第2上キャビティ壁3012の第1基板400に面する面の高さ差がHであり、第1上キャビティ壁3011と第2上キャビティ壁3012の第2基板300に面する面が揃うかまたはほぼ揃い、前記第2基板300と前記第1基板400は、第1上キャビティ壁3011と第2上キャビティ壁3012の粘着性、及び分子結合力により結合される。このような接着プロセスがシンプルであり、第1キャビティ402及び第2キャビティ302の性能に影響を与えることなく、第1キャビティ402の外周にある第1基板400におけるバルク音響波共振構造404の領域の一定の段差が許容され、これにより、前記第2基板300と前記第1基板400が結合された後、段差による、第2基板の第1基板との反対面が傾斜する問題、及び段差による、結合が確実ではない問題を回避する。任意的には、共振器カバー30と共振キャビティ本体構造40の結合プロセス条件は、結合圧力1Pa~105Pa、真空結合、温度150℃~200℃、圧力印加時間20min~30minを含み、これにより、結合性能を確保する前提で、製品の共振性能への影響を回避する。この過程で、弾性結合材料層301の厚さが共振キャビティ本体構造40の接合面における段差に応じて変化するが、第2キャビティ302の形態及びサイズ、並びに高さが調整された後の初期開口301bの形貌及び口径がつねに要求を満たす。結合終了後、照射し、加熱後に冷却することで弾性結合材料層301を固化し、すなわち、結合材料層301に弾性を失わせることで、共振器カバー30と共振キャビティ本体構造40を確実に接続する。固化弾性結合材料層301のプロセスは、固化温度が180℃~220℃(例えば190℃)、固化時間が1.5時間~2時間(例えば2時間)の高温固化プロセス(すなわち、加熱後に冷却する)を用いることができる。本発明の他の実施例では、弾性結合材料層301の固化プロセスは、紫外光固化プロセスを選択してもよく、紫外線固化の照射量が好ましくは200mJ/cm2~300mJ/cm2であり、弾性結合材料層301をパターニングするときの紫外線露光プロセスに用いられる光照射と同じであり、プロセスを簡略化させ、コストを低減させる。
【0043】
図3Dに示すように、ステップS4では、まず、化学的機械的研磨(CMP)プロセスにより、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対面から薄くし、例えば、第2基板300の厚さを60μm~80μmに薄くする。次に、スルーシリコンビア(TSV)エッチングプロセスを用い、第1上キャビティ壁3011での、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対側から、エッチング停止層300aを貫通して第1上キャビティ壁3011における初期開口301bと連通するまで、穴を開けることにより、開口404’での第1電極4041の一部を露出させる第1貫通穴3031を形成し、第2上キャビティ壁3012での、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対側から、エッチング停止層300aを貫通して第2上キャビティ壁3012における初期開口301bと連通するまで、穴を開けることにより、第2電極4043の一部を露出させる第2貫通穴3032を形成する。第1貫通穴3031から露出された、第1キャビティ402の外に伸びている第1電極4041の一部は、第1電気接続部と呼ばれ、第2貫通穴3032から露出された、第1キャビティ402の外に伸びている第2電極4043の一部は、第2電気接続部と呼ばれる。具体的には、露光、現像及びエッチングプロセスにより、第1上キャビティ壁3011での前記第2基板300及びエッチング停止層300aを順次エッチングして第1貫通穴3031を形成することができ、第1貫通穴3031を形成するエッチング過程で、さらに第1上キャビティ壁3011における初期開口301bの側壁を調整し、該初期開口301bの開口を大きく、側壁を傾斜にすることで、さらに上から下へ狭くなった、要求を満たす第1貫通穴3031を形成し、次に、再び露光、現像及びエッチングプロセスにより、第2上キャビティ壁3012での前記第2基板300及びエッチング停止層300aをエッチングして第2貫通穴3032を形成し、また、第2貫通穴3032を形成するエッチング過程において、さらに第2上キャビティ壁3012における初期開口301bの側壁を調整し、該初期開口301bの開口を大きく、側壁を傾斜にすることで、さらに上から下へ狭くなり、要求を満たす第2貫通穴3032を形成する。当然ながら、本発明の他の実施例では、第2貫通穴3032を形成してから第1貫通穴3031を形成してもよい。第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032のサイズは、露出させる必要がある電極範囲及びエッチング条件に応じて確定することができる。本実施例では、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の開口直径が約20μm~70μm、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の深さが約60μm~100μmである。なお、本実施例の第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032は、それぞれ、対応する初期開口、及び第2基板に位置して第2基板を貫通して初期開口と連通する開口を含む。
【0044】
図3Eに示すように、ステップS5では、スパッタリング、プラズマ物理気相堆積、高密度プラズマ化学気相堆積、低圧化学気相堆積、原子層堆積などを用いて拡散バリア層304を堆積することができ、堆積プロセスを用いて拡散バリア層304を形成するため、拡散バリア層304は、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の内表面に形成されているとともに、第2基板300のバルク音響波共振構造404との反対面に被覆されている。該拡散バリア層304は、任意的には、積層構造であり、この後に形成される導電性相互接続層305と第2基板300を電気的に絶縁分離するための窒素化物層(図示せず)と、該窒素化物層表面に積層された粘着バリア層(図示せず)とを含み、該粘着バリア層の材料は、Al、Au、Cr、Co、Ni、Cu、Mo、Ti、Ta、W、Ptなどのうちの少なくともの1種を含む。プラズマ物理気相堆積、高密度プラズマ化学気相堆積、低圧化学気相堆積、原子層堆積プロセスが高い階段被覆能力を有し、形成される拡散バリア層304が前記第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032を満たすことを回避できる。次に、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の底部の拡散バリア層304をエッチング除去して、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の底壁における第1電極4041及び第2電極4043を露出させ、このとき、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の周りにある第2基板300の表面に拡散バリア層が被覆されており、この後の第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032における導電性相互接続層の間の電気的な絶縁分離を実現する。
【0045】
続いて図3Eに示すように、ステップS5では、続いて、スパッタリング、メッキ、プラズマ物理気相堆積、高密度プラズマ化学気相堆積、低圧化学気相堆積、原子層堆積などのプロセスを用いて貫通穴の金属化を行って、導電性相互接続層305を形成することができ、このとき、導電性相互接続層305が拡散バリア層304及び露出された第1貫通穴3031と2貫通穴3032の底壁に被覆されている。前記導電性相互接続層305は、材料が第2電極及び第1電極の材料と同じであることが好ましく、堆積プロセス条件及び後続のエッチングプロセス条件も同じであり、ステップS1のプロセスとの互換性が最大であり、プロセスを簡略化させる。また、本発明の他の実施例では、前記導電性相互接続層305の材料は、Ti、Ta、W、Mo、Cu、Wなどのうちの少なくともの1種を含んでもよい。次に、露光、現像及びエッチングプロセスにより、第2基板300の第1基板400との反対面における導電性相互接続層305の一部を除去して、導電性相互接続層305をパターニングし、形成されるパターニングされた導電性相互接続層305がそれぞれ第2電極4043及び第1電極4042に電気的に接続される。
【0046】
図3Eに示すように、ステップS6では、まず、スパッタリング、メッキ、プラズマ物理気相堆積、高密度プラズマ化学気相堆積、低圧化学気相堆積、原子層堆積などのプロセスを用いて、第1貫通穴3031と第2貫通穴3032の内部、及び第2基板300の前記第1基板400との反対面における導電性相互接続層305と第2基板300の、導電性相互接続層305から露出された表面に鈍化層306を堆積し、堆積された鈍化層306の厚さは、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032を満たすことに十分であり、任意的には、鈍化層306は、材質が圧電層4042の材質と同じであり、圧電層4042と完全に同一の堆積プロセスを用いることで、共振キャビティ本体構造40のプロセスとの互換性が最大であり、また、他の材料で鈍化層を作製するときによる温度ドリフトの問題及び不必要な応力の導入問題を回避でき、これにより、共振器の共振性能を向上させる。続いて、露光、現像、エッチングプロセスにより、鈍化層306をパターニングして、接触開口307を形成し、鈍化層306をパターニングするプロセス条件は、圧電層402をパターニングするプロセス条件と完全に同じであってもよく、これにより、共振キャビティ本体構造40のプロセスとの互換性が最大であり、第2基板300の前記第1基板400との反対面における導電性相互接続層306の一部は、該接触開口307から露出して、導電性接触パッド(pad)3051となり、該導電性接触パッド3051は、第1電極4041に電気的に接続される導電性接触パッド、及び第2電極4043に電気的に接続される導電性接触パッドを含む。このとき、鈍化層306は、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032をさらに満たし、上キャビティ壁301の機械的支持性能を強化させる。
【0047】
なお、本発明の他の実施例では、上記ステップS1及びS2を同時に実行してもよく、または、ステップS2を実行してからステップS1を実行してもよい。また、本発明の他の実施例では、通常の不動態化材料で鈍化層306を形成してもよい、これらの通常の不動態化材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、金属窒素化物及びポリマーのうちの少なくともの1種を含む。
【0048】
よって、本発明のバルク音響波共振器のパッケージング方法は、第2キャビティ及び初期開口を有する弾性結合材料層を第2基板に形成することで共振器カバーを作製し、次に、この共振器カバーにおける弾性結合材料層を介して共振器カバーと共振キャビティ本体構造を直接結合させることができ、この後、共振器カバーを貫通して対応する初期開口と連通して、対応する貫通穴を形成することができ、この後、貫通穴の内表面及び第2基板の一部の表面に被覆された導電性相互接続層を形成する。このプロセスは、コストが低く、プロセスがシンプルであり、共振キャビティ本体構造のプロセスとの互換性が高いという特徴を備えるだけではなく、金-金結合プロセスの汚染問題を引き起こすことなく、より重要なのは、第2基板側から穴を開けて貫通穴を形成するプロセス難度を低減させることができるとともに、貫通穴及び導電性相互接続層の形成プロセスによる共振器の性能への悪影響を回避でき、また、形成される貫通穴及び導電性相互接続層の性能を確保する。また、弾性結合材料層を用いて共振器カバーと共振キャビティ本体構造を結合させるため、弾性結合材料層の弾性を用いて、第1キャビティの外周にあるバルク音響波共振構造の領域の一定の段差が許容され、結合の信頼性及び安定性を確保することができる。また、共振器カバーに必要な主要構造がいずれも第2基板において完了されるため、第1キャビティへの影響を最大限に低減できる。
【0049】
図3Eに示すように、本発明の1つの実施例は、本発明のバルク音響波共振器のパッケージング方法で作製されるバルク音響波共振器のパッケージング構造をさらに提供する。前記バルク音響波共振器のパッケージング構造は、共振キャビティ本体構造40及び共振器カバー30を含み、前記共振キャビティ本体構造40は、第1基板400、バルク音響波共振構造404及び両者の間に挟み込まれる第1キャビティ402を含み、前記共振器カバーは、第2基板300、弾性を失った弾性結合材料層301、導電性相互接続層305及びパターニングされた鈍化層306を含む。バルク音響波共振構造404が前記第1基板400に形成され、弾性を失った弾性結合材料層301がバルク音響波共振構造404と第2基板300との間に挟み込まれ、第2キャビティ302及び対応する初期開口301bが前記結合材料層301に形成され、該第2キャビティ302からその領域内の第2基板300の表面が露出され、前記第2キャビティ302と前記第1キャビティ402が少なくとも部分的に位置合わせされ、前記バルク音響波共振構造404に対応する電気的接続箇所が前記初期開口301aから露出される。前記第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032は、いずれも、前記第1キャビティ402及び前記第2キャビティ302の外周に位置し、共振器カバーを貫通し、前記バルク音響波共振構造404に対応する電気接続部を露出させる。導電性相互接続層305は、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の内表面(側壁及び底壁を含む)に被覆され、それぞれ第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032の側壁から前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404のとの反対面の一部まで連続的に伸びており、すなわち、前記導電性相互接続層305は、第1貫通穴3031と第2貫通穴3032の内表面、及び前記第1貫通穴3031と第2貫通穴3032の外周にある前記共振器カバーの一部の表面に形成される。パターニングされた鈍化層306は、前記第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032を満たして前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対面における前記導電性相互接続層305の一部に被覆される。
【0050】
本実施例では、前記バルク音響波共振構造404は、前記第1基板400に順次積層された第1電極4041、圧電層4042及び第2電極4043を有し、第1キャビティ402が前記第1基板400と前記第1電極4041との間に形成され、該第1キャビティ402が下キャビティ壁401で囲まれる。本実施例では、前記下キャビティ壁401は、第1基板400及びバルク音響波共振構造404の材料と異なる支持層(すなわち、3E及び図4における第1下キャビティ壁層4011~第3下キャビティ壁層4013)であり、前記第1基板400と前記バルク音響波共振構造400が該支持層を介して結合され、前記第1キャビティ402が前記支持層に形成され、弾性を失った弾性結合材料層301が第1キャビティ402の外周にある支持層に形成される。本発明の他の実施例では、前記第1キャビティ402は、底部全体が前記第1基板400に凹んだトレンチ構造であり、このとき、下キャビティ壁401は、トレンチの周りにある第1基板400であるか、または、前記第1キャビティ402は、全体が前記第1基板400の表面に凸設されるキャビティ構造であり、この2種の場合では、弾性を失った弾性結合材料層301は、第1キャビティ402の外周にある第1基板400に形成される。
【0051】
本実施例の前記バルク音響波共振構造404は、第1電極4041及び第2電極4043を含み、従って、本実施例では、前記第1貫通穴402は、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対面から、第1電極4041の一部(すなわち、第1接続部)の表面を露出させるまで貫通し、従って、第1貫通穴3031は、第1電極4041を露出させる初期開口301bを含み、開口404’の上方領域に位置し、前記第2貫通穴3032は、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対面から、前記第2電極4043(すなわち、第2接続部)の一部の表面を露出させるまで貫通し、従って、第2貫通穴3032は、第2電極4043の上方を露出させる対応する初期開口301bを含み、開口404’以外の領域の上方に位置する。つまり、本実施例では、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032は、すべて以下の2つの部分を含み、1つの部分が弾性を失った弾性結合材料層301に位置する初期開口であり、他の部分が第2基板を貫通する開口であり、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032からバルク音響波共振構造404の異なる電気接続部が露出され、すなわち、バルク音響波共振構造404の電気接続部は、第1貫通穴3031から露出された、第1キャビティ外に伸びている第1電極の一部を含む第1電気接続部4041と、第2貫通穴3032から露出された、第1キャビティ外に伸びている第2電極の一部を含む第2電気接続部4043とを含む。
【0052】
本実施例では、前記第2基板300の前記バルク音響波共振構造404との反対面に被覆されたパターニングされた鈍化層306が接触開口307を有し、対応する領域の前記導電性相互接続層305が接触開口307から露出され、接触開口307から露出された前記導電性相互接続層305の一部が導電性接触パッド3051を形成し、導電性相互接続層305がそれぞれ第2電極4043及び第1電極4041に電気的に接続され、それぞれ第2電極4043及び第1電極4041を対応する導電性接触パッド3051を介して外へ導出するために用いられる。
【0053】
本実施例では、第2基板300は、シリコンベース、例えばベアシリコン基板を含み、これにより、第1貫通穴3031及び第2貫通穴3032をスルーシリコンビアプロセスにより作製できる。弾性を失った弾性結合材料層301として用いられる材料は、パターニングでき、一定の条件において固化でき、上下層の材料に安定に粘着でき、この後にウェハーと結合するとき、一定の段差を許容できるように、弾性を有することを満たす必要があり、従って、前記結合材料層301の材料は、光硬化性材料、熱硬化性材料、または、光硬化性材料と熱硬化性材料の組合せであってもよく、光照射または加熱後の冷却により弾性を失い、例えば、ドライフィルムである。
【0054】
本実施例では、前記第1キャビティ402の外周にある前記バルク音響波共振構造404の一部は、前記第1電極4041の一部を露出させる開口404’を有し、開口404’の形状が閉鎖された環形または半環状などであり、バルク音響波共振構造404は、開口404’で形成された段高が均一であり、すべてHであり、前記第2基板300と前記第1基板400との間の前記弾性結合材料層301の厚さが前記バルク音響波共振構造404の段高に応じて変化できるとともに、前記第2基板300と第1基板400の互いに反対面を水平に維持し、形成されたバルク音響波共振器製品と他の製品が同じプリント基板に集積されることに有利である。
【0055】
また、本発明の一部の実施例では、前記鈍化層306と前記圧電層4042は、材質が同じであり、堆積プロセス及びエッチングプロセスも同じであり、第1キャビティプロセスとの互換性が最大であり、また、他の材料で鈍化層を作製することによる温度ドリフトの問題及び不必要な応力の導入問題を回避でき、これにより、共振器の共振性能を向上させる。当然ながら、本発明の他の一部の実施例では、通常の不動態化材料で鈍化層306を形成してもよく、これらの通常の不動態化材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、金属窒素化物及びポリマーのうちの少なくともの1種を含む。
【0056】
また、本実施例では、前記第1基板400と前記第1電極4041との間の、前記第1キャビティ402を囲むための下キャビティ壁401に位置合わせマーク403がさらに形成され、前記位置合わせマーク403は、前記バルク音響波共振構造404を貫通して前記弾性結合材料層301と結合される。
【0057】
なお、本実施例のバルク音響波共振器のパッケージング構造が本発明のバルク音響波共振器のパッケージング方法を用いて作製されるため、各構造の材質、サイズなどのパラメータは、すべて、上記のバルク音響波共振器のパッケージング方法の内容を参照でき、ここで詳しく説明しない。
【0058】
本発明のバルク音響波共振器のパッケージング構造は、共振器の共振性能を改善でき、本発明のバルク音響波共振器のパッケージング方法を用いて作製でき、プロセスを簡略化させ、コストを低減させる。
【0059】
明らかに、当業者であれば、本発明の要旨及び範囲から逸脱することなく、発明に対してさまざまな変更や変形を行うことができる。このように、本発明のこれらの補正及び変形が本発明の特許請求の範囲及びその等価技術の範囲内に含まれると、本発明は、これらの変更及び変形を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0060】
100、400-第1基板、101、401-下キャビティ壁、1011、402-第1キャビティ、102、404-バルク音響波共振構造、404’-バルク音響波共振構造の開口、1021、4041-第1電極、102、4042-圧電層、1023、4043-第2電極、103、201-金層、200-二酸化シリコン層、2001、302-第2キャビティ、203-穴、204-銅金属層、205-鈍化層、206-ハンダボール、40-共振キャビティ本体構造、4011-第1下キャビティ壁層、4012-第2下キャビティ壁層、4013-第3下キャビティ壁層、403-位置合わせマーク、30-共振器カバー、300-第2基板、301-弾性結合材料層、301a-初期開口、3011-第1上キャビティ壁、3012-第2上キャビティ壁、H-高さ差、3031-第1貫通穴、3032-第2貫通穴、304-拡散バリア層、305-導電性相互接続層、3051-導電性接触パッド、306-鈍化層、307-接触開口。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E