IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本プラパレット株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-パレット 図1
  • 特許-パレット 図2
  • 特許-パレット 図3
  • 特許-パレット 図4
  • 特許-パレット 図5
  • 特許-パレット 図6
  • 特許-パレット 図7
  • 特許-パレット 図8
  • 特許-パレット 図9
  • 特許-パレット 図10
  • 特許-パレット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
B65D19/32 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022046200
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2017189644の分割
【原出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2022081672
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】590000477
【氏名又は名称】日本プラパレット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今津 孝二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】小泉 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】市村 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】永島 なつみ
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-244748(JP,A)
【文献】特開2006-036331(JP,A)
【文献】特開2015-182774(JP,A)
【文献】特開平09-277398(JP,A)
【文献】特開平10-218179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/24-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキボードと、
前記デッキボードと相対する接地ボードと、
前記デッキボードと前記接地ボードとを繋ぐ複数の桁と、
隣り合う前記桁との間に構成される差込口とを備え、
前記接地ボードにおける隣り合う前記桁の間は、前記差込口の下部を構成する差込口構成部であり、
前記差込口構成部は、
前記桁の底面と面一の下板部と、
前記差込口に臨み前記下板部と相対する上板部と、
前記下板部と前記上板部との間に構成される複数の中空部と、を備え、
前記下板部は、前記差込口に挿入されるフォークの挿入方向となる第1方向に対して交差する第2方向に、複数の凸部と複数の凹列とが互いに平行に延び、かつ、前記第1方向に交互に並んで設けられており、
前記凹列は、前記第2方向に沿って並ぶ複数の凹部の列であり、
前記凸部は、前記下板部と、前記上板部と、前記中空部とで構成されており、
隣り合う前記凸部の前記中空部は、前記凹列を構成する前記凹部の各々の間を連通しており、
前記差込口構成部は、互いに隣接する前記凹列の間に位置する前記凸部を複数列備え、
互いに隣接する前記凹列の間に位置する前記凸部の前記第1方向の幅は、前記第2方向に沿って敷設される滑り止めテープの幅と同じ又は広い
パレット。
【請求項2】
前記パレットは、上部パレット形成部材と下部パレット形成部材とを突き合わせて結合してなり、
前記上部パレット形成部材は、前記下部パレット形成部材に向けて、前記デッキボードの端に配置される上部端桁と前記上部端桁との間に位置する上部中間桁とを備え、
前記下部パレット形成部材は、前記上部パレット形成部材に向けて、前記接地ボードの端に配置される下部端桁と前記下部端桁との間に位置する下部中間桁とを備え、
前記上部端桁と前記下部端桁とが突き合わされるとともに、前記上部中間桁と前記下部中間桁とが突き合わされて前記桁を構成し、
前記接地ボードにおける前記下部端桁と前記下部中間桁との間が前記差込口構成部である
請求項1に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物を支持するパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
積載物を支持するパレットにおいては、デッキボードの上面だけを載置面とした片面形パレットがある(以下単にパレットともいう。)。この種のパレットは、2枚のパレット形成部材が互いに連結されることによって構成されている。上部パレット形成部材には、積載物が載置される載置面が構成されており、下部パレット形成部材には、接地面が構成されている。下部パレット形成部材は、接地ボードと下部桁とで構成されており、接地ボードには、リブが格子状に設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-25476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、接地面に格子状のリブを備えたパレットは、接地面に接地された際に、接地面のリブで構成された格子形状の凹部に、ごみや汚れなどが入り込み、汚損してしまうおそれがある。パレットを洗浄する際にも、格子状のリブの部分は、形状が複雑であることから、洗浄しにくい領域となる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接地面を容易に洗浄可能としたパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するパレットは、デッキボードと、前記デッキボードと相対する接地ボードと、前記デッキボードと前記接地ボードとを繋ぐ複数の桁と、隣り合う前記桁との間に構成される差込口とを備え、前記接地ボードにおける隣り合う前記桁の間は、前記差込口の下部を構成する差込口構成部であり、前記差込口構成部は、前記桁の底面と面一の下板部と、前記差込口に臨み前記下板部と相対する上板部と、前記下板部と前記上板部との間に構成される複数の中空部と、を備え、前記下板部は、前記差込口に挿入されるフォークの挿入方向となる第1方向に対して交差する第2方向に、複数の凸部と複数の凹列とが互いに平行に延び、かつ、前記第1方向に交互に並んで設けられており、前記凹列は、前記第2方向に沿って並ぶ複数の凹部の列であり、前記凸部は、前記下板部と、前記上板部と、前記中空部とで構成されており、隣り合う前記凸部の前記中空部は、前記凹列を構成する前記凹部の各々の間を連通している。
【0007】
上記構成によれば、接地面が面一となり、接地面に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。そして、凸部と凹部とを備えることで、凹部を構成する隔壁により厚さ方向の強度を維持しながら、凸部により接地面を広げることができ、接地面に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0008】
上記パレットについて、前記接地ボードは、前記第2方向に沿って滑り止めテープが敷設され、前記凸部の前記第1方向の幅は、前記滑り止めテープの幅と同じ又は広いことが好ましい。上記構成によれば、滑り止めテープを凸部に確実に敷設することができる。
【0009】
上記パレットについて、前記パレットは、上部パレット形成部材と下部パレット形成部材とを突き合わせて結合してなり、前記上部パレット形成部材は、前記下部パレット形成部材に向けて、前記デッキボードの端に配置される上部端桁と前記上部端桁との間に位置する上部中間桁とを備え、前記下部パレット形成部材は、前記上部パレット形成部材に向けて、前記接地ボードの端に配置される下部端桁と前記下部端桁との間に位置する下部中間桁とを備え、前記上部端桁と前記下部端桁とが突き合わされるとともに、前記上部中間桁と前記下部中間桁とが突き合わされて前記桁を構成し、前記接地ボードにおける前記下部端桁と前記下部中間桁との間が前記差込口構成部であることが好ましい。上記構成によれば、下部端桁と下部中間桁との間に差込口構成部を設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接地面を容易に洗浄可能としたパレットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態のパレットを積載面側から見た斜視図。
図2】同実施形態のパレットを接地面側から見た斜視図。
図3】同実施形態のパレットの下部パレット形成部材を上部パレット形成部材が突き合わされる内側の面から見た斜視図。
図4】同実施形態のパレットの下部パレット形成部材の要部平面図。
図5】同実施形態の下部パレット形成部材における差込口構成部の縦断面図であって、図4のA-A断面図。
図6】第2の実施形態のパレットの下部パレット形成部材を接地面側から見た斜視図。
図7】同実施形態の下部パレット形成部材における差込口構成部の横断面図であって、図6のB-B断面図。
図8】同実施形態の下部パレット形成部材における差込口構成部の縦断面図であって、図6のC-C縦断面図。
図9】同実施形態の下部パレット形成部材における差込口構成部の縦断面図であって、図6のD-D縦断面図。
図10】(a)は第3の実施形態のパレットの下部パレット形成部材を接地面側から見た斜視図、(b)は滑り止めテープが凹条溝を跨ぐように敷設された状態を示す要部斜視図。
図11】同実施形態の下部パレット形成部材における差込口構成部の縦断面図であって、図10のE-E縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図11を参照して、パレット1について説明する。
(第1の実施形態)
第1実施形態におけるパレット1は、二方差しの片面パレットである。図1および図2に示すように、パレット1は、合成樹脂製であって、互いに対向する上部パレット形成部材2と下部パレット形成部材3とが溶着された直方体形状に形成されている。上部パレット形成部材2は、矩形板状のデッキボード20と、デッキボード20から下部パレット形成部材3に向けて突設される上部桁21とを備えている。下部パレット形成部材3は、矩形板状の接地ボード30と、接地ボード30から上部パレット形成部材2に向けて突出する下部桁31とを備えている。そして、互いに対向する上部桁21の突端と下部桁31の突端とが溶着されることによって一体化され、合成樹脂製のパレット1が構成されている。
【0013】
上部パレット形成部材2と下部パレット形成部材3とは、射出成形後、成形品が固化する前にガスを吹き込んで中空部を形成するガスアシスト法により成形される。具体的には、上部パレット形成部材2と下部パレット形成部材3は、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィンなどの合成樹脂材料を金型内に射出し、次いで、キャビティ内にガスを注入して、内部に中空部が形成されている。
【0014】
上部パレット形成部材2のデッキボード20は、デッキボード20の外表面である載荷面20aを備えている。載荷面20aには、載荷面20aに載置される載荷物が載荷面20aに対して滑ることを防止するべく、複数の滑り止めテープ20bが敷設されている。また、パレット1の相対する一対の側面には、一対の差込口4が設けられている。一対の差込口4は、デッキボード20と接地ボード30との間であって、上部桁21および下部桁31の突端が突き合わされた桁部の間に構成されている。
【0015】
デッキボード20の内表面である載荷側内表面には、3本の上部桁21が一列に配列されている。これら3本の上部桁21は、差込口4に挿入されるフォークの挿入方向となる第1方向D1に沿って延設されており、第1方向D1と直交する第2方向D2に互いに平行に並設されている。3本の上部桁21は、デッキボード20の載荷側内表面から垂直に突設され、同じ幅と高さを有している。
【0016】
3本の上部桁21のうち、両側に位置する上部桁21は、上部端桁21aであり、上部端桁21aの間に位置する1つの上部桁21は、上部中間桁21bである。デッキボード20において、一方の上部端桁21aと上部中間桁21bとの間は、一方の差込口4を構成する部分となり、他方の上部端桁21aと上部中間桁21bとの間は、他方の差込口4を構成する部分となる。デッキボード20や上部桁21の載荷側内表面には、格子形状の格子リブ22が設けられている。
【0017】
図2に示すように、接地ボード30の内表面である接地面側内表面にも、3本の下部桁31が一列に配列されている。これら3本の下部桁31は、第1方向D1に沿って延設されており、第2方向D2に互いに平行に並設されている。3本の下部桁31は、接地ボード30の接地面側内表面から垂直に突設され、同じ幅と高さを有している。各下部桁31は、外周壁27と外周壁の内側に設けられる格子状のリブ26とを備え(図3参照)、所定の強度が維持されている。パレット1は、上部桁21の突端と下部桁31の突端とが突き合わされ溶着などにより一体化されることにより構成される。
【0018】
3本の下部桁31のうち、両側に位置する下部桁31は、下部端桁31aであり、下部端桁31aの間に位置する1つの下部桁31は、下部中間桁31bである。接地ボード30は、一方の下部端桁31aと下部中間桁31bとの間に2つの開口部32を備え、他方の下部端桁31aと下部中間桁31bとの間に2つの開口部32を備えている。合計で4つの開口部32は、第1方向D1に延びる2つの下部端桁31aおよび下部中間桁31bと、第2方向D2に延びる3つの下部差込口構成部33によって区画されている。地面等に接する接地面30aを構成する接地ボード30は、「田」字形状であって面一の接地面30aを構成する。すなわち、接地面30aは、第1方向D1に沿う領域が下部端桁31aの底面により構成され、第2方向D2に沿う領域が下部差込口構成部33の底面によって構成される。このような接地面30aは、下部端桁31aの底面と下部差込口構成部33の底面とが面一であることで、形状が簡素になり、格子形状の凹部が設けられている場合に比べてごみなどの異物が入りにくくなり、また、洗浄もし易くなる。なお、接地面30aは、面一といっても、ごみなどが入り込まない程度に若干波打っていてもよい。
【0019】
上部桁21の突端と下部桁31の突端とが突き合わされ一体化されると、上部端桁21aおよび下部端桁31aは、端桁5を構成し、上部中間桁21bおよび下部中間桁31bは、中間桁6を構成する。そして、一方の端桁5と中間桁6との間であってデッキボード20と下部差込口構成部33との間には、矢印D1方向に延びる一方の差込口4が構成され、他方の端桁5と中間桁6との間であってデッキボード20と下部差込口構成部33との間にも、矢印D1方向に延びる他方の差込口4が構成される。
【0020】
図3に示すように、下部差込口構成部33は、3本の下部桁31の間において、第2方向D2に延びている。そして、下部差込口構成部33は、差込口4の一方の開口端部33aと、他方の開口端部33aと、これら2つの開口端部33aの間の中間部33bに備えている。図5に示すように、下部差込口構成部33は、接地面30aの一部を構成する下板部34と、差込口4に下板部34と相対する上板部35と、下板部34と上板部35との間に構成される中空部36とを備えている。
【0021】
下板部34は、下部端桁31aの間を繋ぐ、下部端桁31aの下板部34aおよび下部中間桁31bの下板部34aと連続した壁である(図2参照)。下板部34の底面は、全域が平坦面であり、下部端桁31aの下板部34aおよび下部中間桁31bの下板部34aとの間に段差が形成されないようになっている。
【0022】
上板部35は、差込口4の接地面側内表面を構成するものであり、フォークの先端が当たらないように、面一となるように構成されている。なお、接地面側内表面も、面一といっても、フォークの移動の妨げとならない程度に若干波打っていてもよい。また、下部差込口構成部33は、第2方向D2に沿った側縁部が、差込口4の上下幅を拡幅する傾斜部となり、フォークが挿入される際の差込口4への案内部39となっている。すなわち、案内部39は、第1方向D1において、先端部に向かってなだらかに下る傾斜面で構成され、第1方向D1の何れの方向からもフォークが差込口4内を円滑に移動できるようにしている。そして、図5に示すように、下板部34と上板部35との間は、ガスアシスト法により形成される中空部36となる。
【0023】
図4および図5に示すように、下板部34と上板部35との間の空間部は、仕切り壁37によって2つの第1中空部36aと第2中空部36bとに区画されている。下板部34における第1中空部36aに相当する領域と第2中空部36bに相当する領域には、ガスアシスト法により内部にガスを注入する注入口の注入痕38が形成されている。ガスアシスト法による成形時において、キャビティに合成樹脂材料が射出充填された後に注入口からガスが注入される。この際、1つの下部差込口構成部33に相当する領域には、2つ注入口からガスが注入される。したがって、2つの注入口からガスが注入されると、キャビティ内の合成樹脂材料が注入ガスにより押圧され、圧縮された合成樹脂材料によって仕切り壁37が形成される。中空部36は、注入口の数と同数設けられることになる。仕切り壁37は、下部パレット形成部材3の外周壁などとともに、下板部34と上板部35とが互いに内側に撓むことを抑制する補強壁となる。一例として、図4は、開口端部33aにおける仕切り壁37の様子を示している。仕切り壁37は、2つの注入口から同じようにガスが注入されると、第1中空部36aと第2中空部36bとを形成する。ここでは、仕切り壁37の下部端桁31a側の一端部は、第1方向D1における内側に位置し、下部中間桁31b側の他端部は、第1方向D1における外側に位置し、第2方向D2に斜めに延びている。なお、仕切り壁37の位置や形状は、図4の例に限定されるものではない。一例として、仕切り壁37の位置や形状は、注入口の位置やガスの注入圧力などによって異なる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1-1)下部差込口構成部33では、下板部34が構成する接地面30aが面一であり、凹部が設けられていない。しかも、下部端桁31aおよび下部中間桁31bの下板部34aが構成する接地面30aの部分と面一である。したがって、接地面30aの全体に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0025】
(1-2)接地面30aは、「田」字形状に形成されている。そして、「田」字形状を構成する各辺は、所定の幅を有している。したがって、接地面30aにおいても、第1方向D1や第2方向D2に沿って滑り止めテープ20bを敷設することができる。
【0026】
(1-3)載荷物の上に更にパレット1を段積みした際にも、パレット1の下側に位置する載荷物に対する荷重が分散されるため、載荷物にパレット1の跡が付きにくくなる。
(1-4)下部差込口構成部33は、案内部39を備えているので、フォークが差込口4内を円滑に移動することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、図6図9を参照して、パレットの第2の実施形態について説明する。
図6に示すように、第2実施形態のパレットの下部差込口構成部41は、第2方向D2に延びる略楕円形状を有する凹部43の列である凹列42が互いに平行で、かつ、第1方向D1に並設されている。第1方向D1において隣り合う凹列42と凹列42との間は、凸部44となっている。図7および図8に示すように、凸部44は、下板部45と、上板部46と、中空部47とを備えている。中空部47は、下板部45と上板部46との間において、第2方向D2に延びる連続した空間部である。また、各凹部43は、略楕円形状を有する立ち上がり壁である隔壁48を備えている。1つの凹列42の中で隣り合う凹部43の間に位置する隔壁48は、凸部44の中空部47と連通する中空部48aを備えている。すなわち、隣り合う凸部44の中空部47は中空部48aによって連通している。凸部44の下板部45は、下部端桁31aおよび下部中間桁31bの下板部45aと連続した壁であり、面一の接地面40aを構成する。
【0028】
第2実施形態のパレットでは、各凹部43を構成する隔壁48によって凸部44の中空部47が区画され、この中空部47は、第1実施形態の中空部36より容積が小さくなる。したがって、第2実施形態のパレットでは、第1実施形態のパレットよりも下部差込口構成部41の強度を高めることができる。勿論、下部差込口構成部41は、凸部44を複数列備えている分、下部差込口構成部41の全体に格子形状の凹部が設けられている場合と比べて、接地面40aにおける面一の部分の面積を増やすことができる。したがって、接地面40aに汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。なお、第2実施形態においても、ガスアシスト法により成形される。第2実施形態におけるガス注入口は、下部差込口構成部41の領域に設けてもよいが、ここでは下部差込口構成部41の領域の外側に位置し、当該位置に注入痕が設けられる。
【0029】
また、凸部44の幅は、滑り止めテープ20bの幅と同じ若しくは広くされる。これにより、第2方向D2においても、凸部44を利用して滑り止めテープ20bを敷設することができる。
【0030】
(第3の実施形態)
以下、図10および図11を参照して、パレットの第3の実施形態について説明する。
第3実施形態のパレットの下部差込口構成部51は、第2方向D2に延びる1つの凹条溝52を備え、凹条溝52の両側に位置する各凸部53は、下板部54と、上板部55と、中空部56とを備えている。各中空部56は、下板部54と上板部55との間において、第2方向D2に延びる連続した空間部である。凹条溝52を構成する隔壁57は、隣り合う2つの中空部56を区画する。各凸部53の下板部54は、下部端桁31aおよび下部中間桁31bの下板部54aと連続した壁であり、面一の接地面50aを構成する。第3実施形態におけるガス注入口は、下部差込口構成部51の領域に設けてもよいが、ここでは下部差込口構成部41の領域の外側に位置し、当該位置に注入痕が設けられる。
【0031】
このような第3実施形態のパレットでも、凹条溝52の隔壁57によって、中空部56が区画され、下部差込口構成部51の強度を高めることができる。勿論、下部差込口構成部33は、2つの凸部53を備えている分、下板部54の全体に凹部が設けられている場合と比べて、凹部の開口面積を減らし、面一の部分を増やすことができる。したがって、接地面30aに汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0032】
また、図10(a)に示すように、凸部53の幅は、滑り止めテープ20bの幅と同じ若しくは広くされる。これにより、第2方向D2においても、凸部53を利用して滑り止めテープ20bを敷設することができる。
【0033】
なお、図10(b)に示すように、滑り止めテープ20bは、凹条溝52より幅広として、凹条溝52の開口を閉塞するように敷設するようにしてもよい。すなわち、滑り止めテープ20bは、凹条溝52を跨いで、凹条溝52の両側の凸部53に敷設される。これにより、凹条溝52に異物が入りにくくなる。
【0034】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・第3実施形態において、第2方向D2に延びる凹条溝52の本数は1本に限定されるものではない。複数の凹条溝52を設ける場合、互いに平行とし、互いに隣接する凹条溝52の間の凸部53の幅は、滑り止めテープ20bの幅と同じ若しくは広くすることが好ましい。これにより、凸部53には、滑り止めテープ20bを敷設できるようになる。
【0035】
・第2実施形態において、第2方向D2に延びる凹列42の本数は3本に限定されるものではない。複数の凹列42を設ける場合、互いに平行とし、互いに隣接する凹列42の間の凸部44の幅は、滑り止めテープ20bの幅と同じ若しくは広くすることが好ましい。これにより、凸部44には、滑り止めテープ20bを敷設できるようになる。
【0036】
・第1実施形態から第3実施形態において、接地ボード30には、第1方向D1および第2方向D2に沿って滑り止めテープ20bを敷設するようにしてもよい。
・第2実施形態において、滑り止めテープ20bは、凹列42を構成する凹部43の幅より幅広として、各凹部43の開口を閉塞するように敷設するようにしてもよい。
【0037】
・パレット1は、二方差しのパレットにおいて両面が載荷面に設定された両面使用形のパレットであってもよいし、片面使用形あるいは両面使用形の四方差しのパレットであってもよい。
【0038】
・パレットの全体形状は、直方体形状以外の形状であってもよい。
・パレットは、上部パレット形成部材2と下部パレット形成部材3とを貼り合わせ結合したものに限定されるものではなく、一体的に成形されたものであってもよい。
【0039】
上記第1~第3の実施形態、及び、その変更例によれば、更に、以下の技術的思想が導き出される。
(付記1)
デッキボードと、前記デッキボードと相対する接地ボードと、前記デッキボードと前記接地ボードとを繋ぐ複数の桁と、隣り合う桁との間に構成される差込口とを備え、前記接地ボードにおける隣り合う前記桁の間は、前記差込口の下部を構成する差込口構成部であり、前記差込口構成部は、前記桁の底面と面一の下板部と、前記差込口に臨み前記下板部と相対する上板部と、前記下板部と前記上板部との間に構成される中空部とを備えるパレット。上記付記1の構成によれば、接地面が面一となり、接地面に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0040】
(付記2)
上記付記1のパレットについて、前記パレットは、上部パレット形成部材と下部パレット形成部材とを突き合わせて結合してなり、前記上部パレット形成部材は、前記下部パレット形成部材に向けて、前記デッキボードの端に配置される上部端桁と前記上部端桁との間に位置する上部中間桁とを備え、前記下部パレット形成部材は、前記上部パレット形成部材に向けて、前記接地ボードの端に配置される下部端桁と前記下部端桁との間に位置する下部中間桁とを備え、前記上部端桁と前記下部端桁とが突き合わされるとともに、前記上部中間桁と前記下部中間桁とが突き合わされて前記桁を構成し、前記接地ボードにおける前記下部端桁と前記下部中間桁との間が前記差込口構成部である構成としてもよい。上記付記2の構成によれば、下部端桁と下部中間桁との間に差込口構成部を設けることができる。
【0041】
(付記3)
上記付記1または2のパレットについて、前記差込口構成部において、前記下板部は、隣り合う前記桁の間の全域を、前記桁の底面と面一の平坦面として接地面を構成し、前記下板部と前記上板部との間において、前記中空部を2つに区画する仕切り壁を備える構成とすることが好ましい。上記付記3の構成によれば、仕切り壁によって差込口構成部の強度を高めることができる。
【0042】
(付記4)
上記付記1または2のパレットについて、前記差込口構成部において、前記下板部は、前記差込口に挿入されるフォークの挿入方向となる第1方向に対して交差する第2方向に、凸部と凹部とが互いに平行に延び、かつ、前記第1方向に並んで設けられており、前記凸部が前記下板部と、前記上板部と、前記中空部とで構成されていることが好ましい。上記付記4の構成によれば、凸部と凹部とを備えることで、凹部を構成する隔壁により厚さ方向の強度を維持しながら、凸部により接地面を広げることができ、接地面に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0043】
(付記5)
上記付記4のパレットについて、接地ボードは、前記第2方向に沿って滑り止めテープが敷設され、前記凸部の前記第1方向の幅は、前記滑り止めテープの幅と同じ又は広いことが好ましい。上記付記5の構成によれば、滑り止めテープを凸部に確実に敷設することができる。
【0044】
(付記6)
上記付記1または2のパレットについて、前記差込口構成部において、前記下板部は、前記差込口に挿入されるフォークの挿入方向となる第1方向に対して交差する第2方向に延びる1つの凹条溝を備え、前記凹条溝の両側の凸部は、前記下板部と、前記上板部と、前記中空部とを備えていることが好ましい。上記付記6の構成によれば、凹条溝を構成する隔壁により厚さ方向の強度を維持しながら、凸部により接地面を広げることができ、接地面に対して汚れが付きにくくなり、また、洗浄し易くなる。
【0045】
(付記7)
上記付記6のパレットについて、前記接地ボードは、前記第2方向に沿って滑り止めテープが敷設され、前記滑り止めテープは、前記凹条溝に重ならないように前記凸部に敷設され、または、前記凹条溝の両側の前記凸部に前記凹条溝を閉塞するように跨いで敷設されることが好ましい。上記付記7の構成によれば、凹条溝に異物が浸入することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0046】
1…パレット、2…上部パレット形成部材、3…下部パレット形成部材、4…差込口、5…端桁、6…中間桁、20…デッキボード、20a…載荷面、20b…滑り止めテープ、21…上部桁、21a…上部端桁、21b…上部中間桁、22…格子リブ、26…リブ、27…外周壁、30…接地ボード、30a…接地面、31…下部桁、31a…下部端桁、31b…下部中間桁、32…開口部、33…下部差込口構成部、33a…開口端部、33b…中間部、34…下板部、34a…下板部、35…上板部、36…中空部、36a…第1中空部、36b…第2中空部、37…仕切り壁、38…注入痕、39…案内部、40a…接地面、41…下部差込口構成部、42…凹列、43…凹部、44…凸部、45…下板部、45a…下板部、46…上板部、47…中空部、48…隔壁、48a…中空部、50a…接地面、51…下部差込口構成部、52…凹条溝、53…凸部、54…下板部、54a…下板部、55…上板部、56…中空部、57…隔壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11