(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】遊星減速装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20230130BHJP
F16H 1/46 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
F16H1/28
F16H1/46
(21)【出願番号】P 2021534516
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2019029233
(87)【国際公開番号】W WO2021014647
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】磯部 弘平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 研太
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-307909(JP,A)
【文献】特開2005-201425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
F16H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
筒状の装置ハウジングと、前記装置ハウジングに組み込まれた前段遊星減速機構および後段遊星減速機構とを備えており、
前記後段遊星減速機構は、
前記装置ハウジングに固定され、あるいは、前記装置ハウジングに一体形成された後段内歯車と、
前記後段内歯車の内側に同軸に配置され、前記前段遊星減速機構の出力要素である前段遊星キャリアに同軸に連結固定されている後段太陽歯車と、
前記後段内歯車および前記後段太陽歯車のそれぞれにかみ合っている後段遊星歯車と、
前記後段遊星歯車を回転自在の状態で支持し、後段キャリア軸受を介して前記装置ハウジングによって回転自在の状態で支持されている後段遊星キャリアと、
前記前段遊星キャリアを支持している第1軸受と、
前記後段太陽歯車を支持している第2軸受と、
前記第2軸受に対して、中心軸線に沿って前記第1軸受に向かう方向に予圧を与えている予圧機構と、
を有しており、
前記後段内歯車、前記後段太陽歯車および前記後段遊星歯車は、それぞれ、ハスバ歯車であり、
前記第1軸受は、前記前段遊星キャリアを、前記装置ハウジングに対して、回転自在の状態で支持しているラジアル軸受またはスラスト軸受であり、
前記第2軸受は、前記後段太陽歯車を、前記後段遊星キャリアに対して、回転自在の状態で支持しているラジアル軸受またはスラスト軸受であり、
前記予圧機構は、前記後段遊星キャリアに固定され、前記中心軸線の方向の定まった位置において前記第2軸受に予圧を与えている定位置予圧部材を備えており、
前記定位置予圧部材は、前記後段遊星キャリアにねじ込み固定された止めネジである遊星減速装置。
【請求項5】
前記後段遊星キャリアは、
前記後段太陽歯車に対峙するキャリア端面と、
前記キャリア端面の中心部分に形成され、前記後段太陽歯車の側に開口し、前記中心軸線の方向に所定の深さを有する円形凹部と、
前記中心軸線の方向に貫通して円形凹部の底面に開口するネジ穴と
を備えており、
前記後段太陽歯車は、前記円形凹部に同軸状態で突入している軸端部を備えており、
前記第2軸受は、前記円形凹部の内部において前記軸端部に取り付けられており、
前記予圧機構は、押圧板を備えており、
前記押圧板は、前記円形凹部の内部において、前記第2軸受に隣接し、前記中心軸線の方向に移動可能な状態で装着されており、
前記ネジ穴にねじ込み固定された前記止めネジによって、前記押圧板は前記第2軸受に押し付けられている請求項3に記載の遊星減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハスバ歯車を用いた遊星減速装置に関し、更に詳しくは、遊星歯車とのかみ合いによって生じるスラスト力に起因する太陽歯車の変位を抑止する機構を備えた遊星減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊星減速装置として、太陽歯車、遊星歯車および内歯車にハスバ歯車を用いたハスバ歯車式の遊星減速装置が知られている。この種の遊星減速装置では、ハスバ歯車同士のかみ合いによって、それらの中心軸線に沿った方向にスラスト力が発生する。太陽歯車と遊星歯車の間に生じるスラスト力によって、太陽歯車が遊星歯車に対して相対的に軸線方向に相対変位すると、回転運動が正確に伝達されず、入出力回転の間の角度誤差が増加してしまう。
【0003】
太陽歯車の軸線方向の変位を抑制するために、例えば、軸受によって太陽歯車を固定することが考えられる。この場合には、軸受の内部隙間が、太陽歯車の軸線方向の変位量として表れるので、角度誤差を無くすことが困難である。
【0004】
太陽歯車の軸線方向の変位を無くすために、特許文献1に記載のハスバ遊星歯車減速機においては、前段遊星キャリアを、その中心軸線方向の両側から一対のスラスト軸受によって挟み、スラスト軸受に対してバネ部材によって予圧を与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2個のスラスト軸受で前段遊星キャリアを軸線方向の両側から挟み込む構造の場合には、軸線方向に前段遊星キャリアおよび2個のスラスト軸受が配列されるので、軸線方向の寸法が増加する。軸線方向の設置スペースに余裕がない場合等には適していない。
【0007】
本発明の目的は、太陽歯車の軸線方向の移動を抑止するための簡単かつコンパクトな構造の機構が組み込まれたハスバ歯車式の遊星減速装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遊星減速装置は、筒状の装置ハウジングと、この装置ハウジングに組み込まれた前段遊星減速機構および後段遊星減速機構とを備えている。後段遊星減速機構は:装置ハウジングに固定され、あるいは、装置ハウジングに一体形成された後段内歯車と;後段内歯車の内側に同軸に配置され、前段遊星減速機構の出力要素である前段遊星キャリアに同軸に連結固定されている後段太陽歯車と;後段内歯車および後段太陽歯車のそれぞれにかみ合っている後段遊星歯車と;後段遊星歯車を回転自在の状態で支持し、後段キャリア軸受を介して装置ハウジングによって回転自在の状態で支持されている後段遊星キャリアと;前段遊星キャリアを支持している第1軸受と;後段太陽歯車を支持している第2軸受と;第2軸受に対して、中心軸線に沿って第1軸受に向かう方向に予圧を与えている予圧機構とを有している。後段内歯車、後段太陽歯車および後段遊星歯車は、それぞれ、ハスバ歯車である。第1軸受は、前段遊星キャリアを、装置ハウジングに対して、回転自在の状態で支持しているラジアル軸受またはスラスト軸受である。第2軸受は、後段太陽歯車を、後段遊星キャリアに対して、回転自在の状態で支持しているラジアル軸受またはスラスト軸受である。予圧機構は、後段遊星キャリアに固定され、中心軸線の方向の定まった位置において第2軸受に予圧を与えている定位置予圧部材を備えている。
【0009】
本発明の遊星減速装置では、装置ハウジングに取り付けたラジアル軸受またはスラスト軸受からなる第1軸受と、後段遊星キャリアに取り付けた第2軸受とによって、中心軸線の方向の両側から、前段遊星キャリアに連結されている太陽歯車が支持された状態が形成される。また、定位置予圧を第2軸受の側から与えて、軸受内部隙間を無くした状態で、太陽歯車を第1、第2軸受の間に所定の予圧力で挟み込んでいる。
【0010】
2組のスラスト軸受で中心軸線の方向の両側から前段遊星キャリアを挟み込む従来構成の場合に比べて、軸線方向の寸法増加を抑制できる。また、定位置予圧を行うことで、負荷時の太陽歯車に作用するスラスト力の増減に影響されずに、太陽歯車の中心軸線の方向の変位を確実に防止できる。
【0011】
本発明において、第2軸受として、後段太陽歯車を中心軸線に沿った方向から回転自在の状態で支持しているスラスト軸受を用いることができる。また、定位置予圧部材として、後段遊星キャリアにねじ込み固定されて、中心軸線の方向における定まった位置において第2軸受に予圧を与える止めネジを用いることができる。止めネジを用いる場合には、止めネジの緩み止め機構を備えていることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明を適用した遊星減速装置の一例を示す概略縦断面図である。
【
図1B】
図1Aの遊星減速装置に、止めネジの緩み防止機構を付設した場合の一例を示す部分縦断面図である。
【
図2】
図1Aの遊星減速装置におけるスラスト軸受をラジアル軸受に変更した場合の遊星減速装置の一例を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を適用した遊星減速装置の実施の形態を説明する。なお、以下の説明は、本発明を実施の形態に限定することを意図したものではない。
【0014】
図1Aは、本発明を適用した実施の形態に係るハスバ歯車式の遊星減速装置の概略縦断面図である。遊星減速装置1は、構成歯車のそれぞれに、ハスバ歯車を用いている。また、遊星減速装置1は二段減速装置であり、前段遊星減速機構10と後段遊星減速機構20とを備えている。前段遊星減速機構10は、前段太陽歯車11と、前段遊星歯車12と、前段遊星キャリア13と、前段内歯車14とを備えている。後段遊星減速機構20は、後段太陽歯車21と、後段遊星歯車22と、後段遊星キャリア23と、後段内歯車24とを備えている。
【0015】
例えば、前段内歯車14および後段内歯車24はそれぞれ固定側の歯車である。前段太陽歯車11は外部から回転が入力される回転入力要素である。前段遊星キャリア13は前段遊星減速機構10を介して減速された回転を、後段遊星減速機構20の後段太陽歯車21に伝達する。後段遊星キャリア23は、後段遊星減速機構20を介して減速された回転を外部に出力する減速回転出力要素である。
【0016】
遊星減速装置1は、筒状の装置ハウジング2を備えている。装置ハウジング2は、その外周面に形成した取付けフランジ2aを介して、不図示の固定側部材に固定される。装置ハウジング2の内部には、中心軸線1aの方向に、前段遊星減速機構10および後段遊星減速機構20が同軸に組み込まれている。装置ハウジング2において、前段遊星減速機構10の側の端を入力端IN、後段遊星減速機構20の側の端を出力端OUTと呼ぶものとする。
【0017】
詳細に説明すると、装置ハウジング2の内部における入力端INの側には、同心状態で、前段太陽歯車11が配置されている。前段太陽歯車11を同心状に取り囲む装置ハウジング2の内周面部分には、前段内歯車14が形成されている。前段遊星キャリア13は、前段太陽歯車11に対して出力端OUTの側に位置する円盤部13aと、円盤部13aの外周縁から入力端INの側に延びる円筒部13bと、円盤部13aに固定された1本あるいは複数本の前段遊星軸13cとを備えている。前段遊星軸13cは円盤部13aから入力端INの側に向けて中心軸線1aに平行な方向に延びている。前段遊星軸13cには、前段遊星歯車12が回転自在の状態で支持されている。前段遊星歯車12は、前段太陽歯車11および前段内歯車14にそれぞれかみ合っている。前段遊星キャリア13の円筒部13bにおいて、各前段遊星歯車12に対応する部分が開口部となっている。
【0018】
前段遊星キャリア13は、第1軸受であるラジアル軸受15を介して、装置ハウジング2に対して回転自在の状態で支持されている。前段遊星キャリア13の円筒部13bの先端縁部は円環状部分13dとなっている。円環状部分13dの円形外周面と、これに対峙する装置ハウジング2の内周面部分2bとの間に、ラジアル軸受15、例えば深溝玉軸受が装着されている。ラジアル軸受15は、円環状部分13dに形成した円環状段面13eと、装置ハウジング2の内周面部分2bに形成した円環状段面2cとによって、その中心軸線1aの方向から挟まれている。ラジアル軸受15は、深溝玉軸受に限定されることなく、アンギュラ玉軸受、円筒コロ軸受、円すいコロ軸受、スラスト玉軸受、スラストコロ軸受でもよい。
【0019】
後段遊星減速機構20の後段太陽歯車21は、前段遊星キャリア13の円盤部13aに同軸に固定されており、ここから、出力端OUTの側に延びている。後段太陽歯車21を同心状に取り囲む装置ハウジング2の内周面部分に後段内歯車24が形成されている。後段太陽歯車21の出力端OUTの側には、同軸に、後段遊星キャリア23が配置されている。後段遊星キャリア23は、円盤状本体部23aと、この円盤状本体部23aに固定された1本あるいは複数本の後段遊星軸23bとを備えている。後段遊星軸23bは、円盤状本体部23aから入力端INの側に向けて延びている。後段遊星軸23bには、後段遊星歯車22が回転自在の状態で支持されている。後段遊星歯車22は、後段太陽歯車21および後段内歯車24にそれぞれかみ合っている。
【0020】
また、後段遊星キャリア23は、後段キャリア軸受25を介して、装置ハウジング2に対して回転自在の状態で支持されている。後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aの円形外周面には内輪装着溝23cが形成されており、これに対峙する装置ハウジング2の内周面部分には外輪装着溝2dが形成されている。これらの間に、後段キャリア軸受25が装着されている。本例の後段キャリア軸受25は深溝玉軸受である。後段キャリア軸受25も、深溝玉軸受に限定されることなく、アンギュラ玉軸受、円筒コロ軸受、円すいコロ軸受でもよい。
【0021】
ここで、後段太陽歯車21は第2の軸受であるスラスト軸受30によって支持されている。スラスト軸受30は、中心軸線1aの方向において、後段太陽歯車21と後段遊星キャリア23との間に装着されている。スラスト軸受30を介して、後段太陽歯車21は、中心軸線1aに沿った方向(スラスト方向)から、後段遊星キャリア23によって、回転自在の状態で支持されている。本例のスラスト軸受30は円筒コロ軸受である。スラスト軸受30は、円筒コロ軸受に限定されることなく、スラスト玉軸受、スラスト方向に荷重を受けるボール等の転動体または滑り軸受でもよい。
【0022】
また、後段遊星キャリア23には予圧機構40が装着されている。予圧機構40によって、スラスト軸受30には、中心軸線1aに沿って後段太陽歯車21に向かう方向に予圧が与えられている。本例の予圧機構40は、止めネジ41および押圧板42を備えている。止めネジ41は、中心軸線1aの方向における定まった位置において、スラスト軸受30に対して、押圧板42を介して、予圧を与える定位置予圧部材である。
【0023】
詳細に説明すると、後段太陽歯車21は、後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aの一方のキャリア端面23dに対峙する歯車端面21aを備えている。歯車端面21aの中心部分には小径の軸端部21bが形成されている。軸端部21bは、歯車端面21aから、同軸状態で、キャリア端面23dの側に突出している。後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aのキャリア端面23dには、その中心部分に、後段太陽歯車21の側に開口し、中心軸線1aの方向に一定の深さを有する円形凹部23eが形成されている。後段太陽歯車21の軸端部21bは、後段遊星キャリア23の円形凹部23eに同軸に挿入されている。
【0024】
後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aには、その中心部分を中心軸線1aの方向に貫通して延びるネジ穴23fが形成されている。ネジ穴23fの一端は円形凹部23eの底面に開口し、他端は円盤状本体部23aの他方の端面23gに開口している。
【0025】
円形凹部23eには、円盤状の押圧板42が中心軸線1aの方向にスライド可能な状態で装着されている。また、小径の軸端部21bに取り付けたスラスト軸受30が、歯車端面21aと押圧板42との間に挟まれた状態で装着されている。ネジ穴23fには端面23gの側から止めネジ41がねじ込み固定されている。止めネジ41の先端面は押圧板42に当接している。止めネジ41によって、押圧板42はスラスト軸受30に押し付けられ、スラスト軸受30には所定の予圧が与えられている。
【0026】
本例では1本の止めネジ41を中心軸線1a上に配置しているが、複数本の止めネジ41を、中心軸線1aを中心とする円周方向に配置してもよい。また、止めネジ41の緩み止め機構を配置することが望ましい。例えば、
図1Bに示すように、後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aに、ネジ穴23fに対して斜め方向から別のネジ穴231を開ける。このネジ穴231に、緩み止め用のネジ232をねじ込み、これを止めネジ41に係合させる。なお、止めネジ41の代わりに、ピン等の定位置予圧部材を、後段遊星キャリア23の円盤状本体部23aに対して、圧入、接着、溶接、または、これらの組み合わせによって、固定してもよい。
【0027】
以上説明したように、遊星減速装置1では、前段遊星キャリア13に連結固定されている後段太陽歯車21は、入力端INの側において、ラジアル軸受15(第1軸受)を介して、装置ハウジング2によって支持されており、出力端OUTの側において、スラスト軸受30(第2軸受)を介して、中心軸線1aに沿った方向であるスラスト方向から、後段遊星キャリア23によって支持されている。後段遊星キャリア23は、後段キャリア軸受25を介して、装置ハウジング2によって支持されている。また、止めネジ41によって、スラスト軸受30には、中心軸線1aの方向に所定の予圧が加わっている。この構成により、後段太陽歯車21は、中心軸線1aの方向(スラスト方向)への移動が拘束された状態で、後段遊星歯車22とかみ合っている。よって、入出力回転の間の角度誤差の発生を抑制できる。
【0028】
スラスト軸受30および予圧機構40は、後段遊星キャリア23に形成した円形凹部23eに組み込まれている。遊星減速装置1の中心軸線1aの方向の寸法増加を招くことなく、後段太陽歯車21をスラスト方向から支持できる。また、止めネジ41による定位置予圧機構を用いて後段太陽歯車21の変位を抑止している。ワッシャ等のバネ部材を用いた定圧予圧機構を用いる場合に比べて、支持剛性が高く、後段太陽歯車21の中心軸線1aの方向(スラスト方向)の位置安定性に優れている。
【0029】
なお、遊星減速装置1では、第1軸受として、スラスト軸受30を用いて後段太陽歯車21を支持している。第1軸受として、スラスト軸受30の代わりに、ラジアル軸受を用いることもできる。
【0030】
例えば、
図2に示す遊星減速装置1Aは、後段太陽歯車21の軸端部21bと、後段遊星キャリア23の円形凹部23eの円形内周面との間に装着したラジアル玉軸受30Aを備えている。ラジアル玉軸受30Aは、円形凹部23eの円形内周面に沿って中心軸線1aの方向にスライド可能である。止めネジ41と押圧板42Aを備えた予圧機構40Aによって、ラジアル玉軸受30Aの外輪に対して予圧を与えている。これによりラジアル玉軸受30A等の内部隙間が除去され、後段太陽歯車21と後段遊星歯車22とは、中心軸線1aの方向への相対変位が拘束された状態でかみ合っている。なお、遊星減速装置1Aにおける他の部分の構成は
図1に示す遊星減速装置1と同一であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。