(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】基板構造
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230130BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H05K1/14 E
H05K9/00 R
(21)【出願番号】P 2017122116
(22)【出願日】2017-06-22
【審査請求日】2020-05-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内田 修平
(72)【発明者】
【氏名】黒川 智康
(72)【発明者】
【氏名】水野 公靖
【合議体】
【審判長】酒井 朋広
【審判官】山本 章裕
【審判官】畑中 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-021671(JP,A)
【文献】特開2004-327641(JP,A)
【文献】特開2008-028106(JP,A)
【文献】特開2005-085837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0231049(US,A1)
【文献】特開2011-066065(JP,A)
【文献】特開2006-261387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を搭載した第1の基板と、複数の電子部品を搭載した第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板とのうちのいずれか一方の基板の複数の領域の各々を囲むように配置された第1のシールド部材と、前記第1のシールド部材と接続され、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第2のシールド部材と、を備えた基板構造であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、前記複数の領域を有し、一方の基板が他方の基板上に重なるように配置され、
前記第1の基板と前記第2の基板とのうちのいずれか一方の基板に搭載された最も高さの高い電子部品は、他方の基板と重ならない領域に配置され、
前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ搭載された前記複数の電子部品の高さは不均一であり、
前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの低い電子部品とが対向するように配置され、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品とが対向するように配置され、
前記第2のシールド部材は、前記第1の基板及び前記第2の基板に搭載されている各電子部品との接触を回避する段差部
と、前記段差部を介して、前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品の高さに合わせた第1の平面部と、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品の高さに合わせた第2の平面部と、を有していることを特徴とする基板構造。
【請求項2】
前記第1の基板と前記第2のシールド部材との間、及び、前記第2の基板と前記第2のシールド部材との間に、当該第2のシールド部材の逃げとなるクリアランスを設けたことを特徴とする請求項1に記載の基板構造。
【請求項3】
前記複数の領域は、それぞれ機能ごとに分けられた領域であり、当該領域ごとに各機能に対応する電子部品が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板構造。
【請求項4】
前記第2の基板は、前記第1の基板よりも表面積が小さいことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の基板構造。
【請求項5】
前記第2の基板の表面積は、前記第1の基板の表面積の略1/2であることを特徴とする請求項
4に記載の基板構造。
【請求項6】
前記第1の基板は略円形であり、前記第2の基板は略半円形であることを特徴とする請求項
5に記載の基板構造。
【請求項7】
前記最も高さの高い電子部品は、シールドカバーで覆われていることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載の基板構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等が実装された基板を複数枚積層した基板構造が知られている。このような基板構造では、例えば、実装される部品の位置を当該部品の高さ等の寸法を考慮して、当該部品による凸凹を組み合わせた基板構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている基板構造では、一方の基板に搭載されている電子部品が他方の基板に搭載されている別の電子部品より発生するノイズの影響を受けてしまうという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、複数の基板を積層した基板構造において、電子部品間のノイズの影響を抑制することのできる基板構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、
複数の電子部品を搭載した第1の基板と、複数の電子部品を搭載した第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板とのうちのいずれか一方の基板の複数の領域の各々を囲むように配置された第1のシールド部材と、前記第1のシールド部材と接続され、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された第2のシールド部材と、を備えた基板構造であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、前記複数の領域を有し、一方の基板が他方の基板上に重なるように配置され、
前記第1の基板と前記第2の基板とのうちのいずれか一方の基板に搭載された最も高さの高い電子部品は、他方の基板と重ならない領域に配置され、
前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ搭載された前記複数の電子部品の高さは不均一であり、
前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの低い電子部品とが対向するように配置され、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品とが対向するように配置され、
前記第2のシールド部材は、前記第1の基板及び前記第2の基板に搭載されている各電子部品との接触を回避する段差部と、前記段差部を介して、前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品の高さに合わせた第1の平面部と、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品の高さに合わせた第2の平面部と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の基板を積層した基板構造において、電子部品間のノイズの影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の基板構造を有する電子機器の実施形態であるスマートウォッチの正面図である。
【
図2】スマートウォッチの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は第1の基板と第2の基板とが展開された状態を示す斜視図であり、(b)は第1の基板と第2の基板とが折りたたまれた状態を示す斜視図である。
【
図4】第1の基板と第2の基板との積層の手順を示す図であり、(a)は第1の基板の上に第2の基板を積層する前の状態を示す回路基板の概略断面図であり、(b)は第1の基板の上に第2の基板を積層する途中の状態を示す回路基板の概略断面図であり、(c)は第1の基板の上に第2の基板を積層した状態を示す回路基板の概略断面図である。
【
図5】互いに同一の機能を有する領域同士が対向するように配置された回路基板を示す図である。
【
図6】(a),(b)は接続部材のその他の一例を示す図であり、(c)は第1の基板及び第2の基板のその他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の基板構造を有する電子機器をスマートウォッチとして実現した場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の基板構造を有する電子機器の実施形態であるスマートウォッチ100の正面図である。
【0010】
図1(a)に示すように、スマートウォッチ100は、バンド2を用いて本体部1をユーザの腕に装着可能な腕装着型の電子機器である。スマートウォッチ100の本体部1は、フレーム3と、表示画面4と、押しボタンスイッチBなどを備える。
【0011】
押しボタンスイッチBは、フレーム3の側面に設けられてユーザの押下操作を受け付ける。押しボタンスイッチBは、押下されることで低電力モードや休止モードから通常モードに復帰させたりする。
【0012】
表示画面4には、2面の表示部が積層されている。
図1(b)に示すように、下部には、第1表示部12(
図2参照)の表示画面12aが設けられ、上部には、第2表示部22(
図2参照)の表示画面22aが設けられている。すなわち、
図1(a)では、第1表示部12により表示がなされ、第2表示部22の表示画面22aが第1表示部12による表示を透過させている状態を示している。
第2表示部22の更に上部には、図示略のタッチセンサが設けられて押しボタンスイッチBととともにユーザ操作を受け付けることが可能となっている。
【0013】
第1表示部12は、ドットマトリクスによるカラー液晶表示画面を有し、ユーザの入力操作や各種プログラム動作などに応じて各種機能に係る種々の表示を切り替えて及び/又は並列に行う。
第2表示部22は、第1表示部12よりも低消費電力で簡略表示により時刻の表示が可能な表示画面を有し、例えば、セグメント方式による白黒液晶表示を行う。或いは、第2表示部22の表示画面22aには、メモリインピクセル液晶(MIP液晶)が用いられても良いし、PN液晶(Polymer Network)などが用いられても良い。また、第2表示部22の表示画面22aは、所定の電圧を印加することで表示を一切行わせずに第1表示部12の表示内容を上方に透過させることが出来る。
【0014】
図2は、本実施形態のスマートウォッチ100の機能構成を示すブロック図である。
スマートウォッチ100は、メインマイコン11(第1のマイコン)と、第1表示部12と、操作受付部13と、第1無線通信コントローラ14と、サブマイコン21(第2のマイコン)と、第2表示部22と、スイッチ23と、第2無線通信コントローラ24と、PMIC31(Power Management IC)などを備える。
【0015】
メインマイコン11は、メインCPU111と、RAM112と、記憶部113などを備えたメインとなる制御部である。メインマイコン11は、PMIC31の制御により電源からの電力供給を受けて、第1表示部12、操作受付部13及び第1無線通信コントローラ14などの各部の動作を制御する。
【0016】
メインCPU111は、各種演算処理を行い、スマートウォッチ100の通常の動作状態における動作を統括制御する。
RAM112は、メインCPU111に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM112は、図示略のクロック信号に基づいてメインCPU111により計数される時刻情報を記憶保持する。以下、「時刻」との記載は、日付部分を含む「日時」を意味して良い。
記憶部113は、メインCPU111の実行する制御プログラムや設定データなどを記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
【0017】
上述の第1表示部12は、主にメインマイコン11(メインCPU111(
図2参照))により表示動作の制御がなされるが、サブマイコン21(サブCPU211(
図2参照))によっても表示制御が可能となっている。
【0018】
操作受付部13は、上述の押しボタンスイッチB及びタッチセンサを含み、ユーザの入力操作を受け付けて、操作内容を電気信号に変換してメインCPU111に出力する。
【0019】
第1無線通信コントローラ14は、外部の電子機器と無線通信を行うためのコントローラである。無線通信規格としては、特には限られないが、例えば、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)などの近距離無線通信や、無線LAN(IEEE802.11)などが挙げられる。メインマイコン11(メインCPU111)は、第1無線通信コントローラ14を介して外部から必要な情報やプログラム及びこれらの更新データなどを取得することが出来る。通信接続対象となる外部の電子機器としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末やPDA(Personal Digital Assistant)などが挙げられる。これらのうち、特に、スマートフォンや携帯電話では、基地局との接続時に時刻情報が同期されて時刻の精度が維持されている。メインCPU111は、スマートフォンや携帯電話と通信接続を行う場合には、これらの外部機器から時刻情報を取得し、取得された時刻情報に基づいて計数時刻を修正することが出来る。
【0020】
また、第1無線通信コントローラ14は、衛星電波受信機能を備えていてもよく、測位衛星からの電波、ここでは、少なくともGNSS(Global Navigation Satellite System)に係る衛星(GNSS衛星)からの電波を捕捉、受信して復調し、時刻を取得したり測位を行ったりすることが可能である。衛星電波受信機能は、図示略のアンテナを有し、メインマイコン11(メインCPU111)の制御に基づいてL1帯の電波(GNSS衛星では、1.57542GHz)の電波を受信して逆スペクトラム拡散を行い、航法メッセージを取得、解読して所定のフォーマットで出力する。
なお、衛星電波受信機能は、GNSS方式以外の方式の測位衛星から電波を受信して時刻取得や測位を行う構成としてもよい。
【0021】
サブマイコン21は、サブCPU211と、RTC212(リアルタイムクロック)などを備える。サブマイコン21は、PMIC31の制御により電源から電力供給を受けて動作し、主に第2表示部22の動作を制御する。
【0022】
サブCPU211は、各種演算処理を行い、サブマイコン21の動作を制御する。サブCPU211は、メインCPU111よりも低消費電力であって、これに伴ってメインCPU111よりも低能力であって良い。サブCPU211は、例えば、定期的な所定動作を行うタイミングや、メインCPU111やスイッチ23などからの入力が検出された場合にのみ動作し、それら以外の期間にはスタンバイ状態で待機しているものであって良い。
【0023】
RTC212は、時刻の計時動作を行う通常のものであり、低消費電力であることが好ましい。
【0024】
第2表示部22は、上述のように、第1表示部12よりも消費電力が低く、また、表示動作時には、時刻の表示に用いられる。表示画面にMIP液晶が用いられる場合には、サブCPU211は、表示内容の更新周波数を落とすことが出来るので、更新間隔の間、スタンバイ状態とすることが出来る。
【0025】
スイッチ23は、メインマイコン11が休止状態とされている場合にこのメインマイコン11を再起動させる所定のユーザ操作を受け付けるオンスイッチである。スイッチ23は、専用で設けられていても良いし、押しボタンスイッチBと併用されても良い。
【0026】
第2無線通信コントローラ24は、外部の電子機器と無線通信を行うためのコントローラである。無線通信規格としては、特には限られないが、例えば、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)などの近距離無線通信や、無線LAN(IEEE802.11)などが挙げられる。サブマイコン21(サブCPU211)は、第2無線通信コントローラ24を介して外部から必要な情報やプログラム及びこれらの更新データなどを取得することが出来る。通信接続対象となる外部の電子機器としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末やPDA(Personal Digital Assistant)などが挙げられる。これらのうち、特に、スマートフォンや携帯電話では、基地局との接続時に時刻情報が同期されて時刻の精度が維持されている。サブCPU211は、スマートフォンや携帯電話と通信接続を行う場合には、これらの外部機器から時刻情報を取得し、取得された時刻情報に基づいて計数時刻を修正することが出来る。
【0027】
また、第2無線通信コントローラ24は、衛星電波受信機能を備えていてもよく、測位衛星からの電波、ここでは、少なくともGNSS(Global Navigation Satellite System)に係る衛星(GNSS衛星)からの電波を捕捉、受信して復調し、時刻を取得したり測位を行ったりすることが可能である。衛星電波受信機能は、図示略のアンテナを有し、サブンマイコン21(サブCPU211)の制御に基づいてL1帯の電波(GNSS衛星では、1.57542GHz)の電波を受信して逆スペクトラム拡散を行い、航法メッセージを取得、解読して所定のフォーマットで出力する。
なお、衛星電波受信機能は、GNSS方式以外の方式の測位衛星から電波を受信して時刻取得や測位を行う構成としてもよい。
【0028】
PMIC31は、電源からメインマイコン11及びサブマイコン21への電力供給を制御する。PMIC31は、例えば、メインマイコン11及びサブマイコン21への電力出力可否の切り替えスイッチや、出力電圧などを調整するDC/DCコンバータなどを備え、メインマイコン11やサブマイコン21の動作時に適切な電力をこれらに供給する。
【0029】
次に、本体部1のフレーム3に内蔵されている回路基板Cの基板構造について説明する。
図3(a)は、回路基板Cを構成する第1の基板C1と第2の基板C2とが展開された状態を示す斜視図であり、
図3(b)は第1の基板C1と第2の基板C2とが折りたたまれた状態を示す斜視図である。
【0030】
図3(a)に示すように、本実施形態の回路基板Cは、略円形状の第1の基板C1と、略半円形状の第2の基板C2と、第1の基板C1と第2の基板C2とを電気的に接続する接続部材C3とを備えている。第2の基板C2の表面積は、第1の基板C1の表面積の略1/2となっている。
【0031】
第1の基板C1は、例えば、リジット基板で構成されている。第1の基板C1は、
図3(a)に示すように、大きく分けて3つの領域R1,R2,R3に区分けされている。領域R1には、例えば上述したメインマイコン11を構成する電子部品e1(
図4参照)が搭載されるとともに、当該電子部品e1を覆うようにしてノイズを遮断するためのシールドカバーSC1(第1のシールド部材)が設けられている。また、領域R2には、例えば上述した第1無線通信コントローラ14を構成する電子部品(図示省略)が搭載されるとともに、領域R1と同様にシールドカバーSC2(第1のシールド部材)が設けられている。
【0032】
また、領域R3には、例えば上述したPMIC31を構成する電子部品e2,e3(
図4参照)が搭載されている。領域R3には、ノイズを遮断するためのシールド壁SW(第1のシールド部材)が領域R3の周囲に設けられるとともに、領域R3に搭載された電子部品の上方を覆うシールド板SB(第2のシールド部材)が設けられている。
図4(a)に示すように、シールド板SBはシールド壁SWの縁ではなく途中に設けられており、このシールド壁SWとシールド板SBとによって、シールド板SBの上方に凹部Dが形成されている。
【0033】
第2の基板C2は、第1の基板C1と同様にリジット基板で構成されており、例えば上述したサブマイコン21を構成する電子部品e4,e5(
図4参照)などが搭載されている。第2の基板C2は、
図3(b)に示すように、第1の基板C1の上に折りたたまれることにより、サブマイコン21を構成する電子部品e4,e5等が凹部Dに収納された状態で、第1の基板C1の上に積層されるようになっている。
【0034】
接続部材C3は、フレキシブル基板で構成され、
図3(b)に示すように、折り曲げることが可能となっている。
【0035】
次に、第1の基板C1と第2の基板C2との積層の手順について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は、第1の基板C1の上に第2の基板C2を積層する前の状態を示す回路基板Cの概略断面図である。
図4(b)は、第1の基板C1の上に第2の基板C2を積層する途中の状態を示す回路基板Cの概略断面図である。
図4(c)は、第1の基板C1の上に第2の基板C2を積層した状態を示す回路基板Cの概略断面図である。
【0036】
図4(a)に示すように、第1の基板C1の上に第2の基板C2を積層する前の状態、すなわち、第1の基板C1と第2の基板C2とが展開された状態において、第1の基板C1に搭載されている電子部品e1,e2,e3と第2の基板C2に搭載されている電子部品e4,e5はともに同一面側に配置されている。ここで、第1の基板C1に搭載されている電子部品e2,e3は高さが異なっており(不均一であり)、シールド板SBは、段差部SB2を介して、電子部品e2の高さに合わせた第1の平面部SB1と、電子部品e3の高さに合わせた第2の平面部SB3とを有している。
【0037】
そして、第1の基板C1の上に第2の基板C2を積層する場合、
図4(b)に示すように、第2の基板C2を第1の基板C1の上方へ折り返す。そして、
図4(c)に示すように、第2の基板C2に搭載されている電子部品e4,e5が凹部Dに収納されるようにして第2の基板C2を第1の基板C1の上に積層する。ここで、第2の基板C2に搭載されている電子部品e4、e5は、第1の基板C1の上に第2の基板C2が積層された際、第1の基板C1に搭載された高さの高い電子部品e2と第2の基板C2に搭載された高さの低い電子部品e5とが対向するように配置され、第1の基板C1に搭載された高さの低い電子部品e3と第2の基板C2に搭載された高さの高い電子部品e4とが対向するように配置される。また、第1の基板C1に搭載された電子部品e1(最も高さの高い電子部品)は、当該第1の基板C1の第2の基板C2が重ならない領域R1に配置されている。また、第1の基板C1とシールド板SBとの間、及び、第2の基板C2とシールド板SBとの間には、シールド板SBの逃げとなるクリアランスが設けられている。
なお、第1の基板C1に搭載された高さの高い電子部品e2に対しては、第2の基板C2の電子部品が搭載されていない領域が対向するように配置されるようにしても良い。また、第1の基板C1の電子部品が搭載されていない領域に対しては、第2の基板C2に搭載された高さの高い電子部品e4が対向するように配置されるようにしても良い。
【0038】
以上のように、本実施形態のスマートウォッチ100は、複数の電子部品e1,e2,e3を搭載した第1の基板C1と、複数の電子部品e4,e5を搭載した第2の基板C2と、シールドカバーSC1,SC2、及びシールド壁SW(第1のシールド部材)と、を備えた回路基板Cを内蔵しており、第1の基板C1は、複数の領域R1,R2,R3を有し、第1の基板C1に搭載された電子部品e1,e2,e3は第1の基板C1の当該領域R1,R2,R3に配置され、第2の基板C2が第1の基板C1上に重なるように配置され、シールドカバーSC1,SC2、及びシールド壁SWは、第1の基板C1の複数の領域R1,R2,R3の各々を囲むように配置されているので、第1の基板C1の各領域R1,R2,R3に搭載された電子部品間のノイズの影響を抑制することができる。
【0039】
また、回路基板Cは、シールド板SB(第2のシールド部材)を備え、シールド板SBは、第1の基板C1と第2の基板C2との間に配置されているので、第1の基板C1に搭載された電子部品と第2の基板C2に搭載された電子部品との間のノイズの影響も抑制することができる。
【0040】
また、シールド板SBは、第1の基板C1及び第2の基板C2に搭載されている各電子部品との接触を回避する段差部SB2を有するので、第1の基板C1上に第2の基板C2を積層した際の回路基板Cの嵩高さを極力抑えることができるとともに、当該各電子部品にシールド板SBが接触することによる損傷を抑制することができる。
【0041】
また、第1の基板C1とシールド板SBとの間、及び、第2の基板C2とシールド板SBとの間に、当該シールド板SBの逃げとなるクリアランスを設けているので、第1の基板C1及び第2の基板C2に搭載されている各電子部品にシールド板SBが接触することによる損傷をより抑制することができる。
【0042】
また、第1の基板C1の複数の領域R1,R2,R3は、それぞれ機能ごとに分けられた領域であり、当該領域ごとに各機能に対応する電子部品e1,e2,e3が配置されているので、各領域内における電子部品間のノイズの影響を抑制することができる。
【0043】
また、第1の基板C1及び第2の基板C2にそれぞれ搭載された複数の電子部品e1~e5の高さは不均一であり、第1の基板C1に搭載された高さの高い電子部品e2と第2の基板C2に搭載された高さの低い電子部品e5とが対向するように配置され、また、第1の基板C1に搭載された高さの低い電子部品e3と第2の基板C2に搭載された高さの高い電子部品e4とが対向するように配置されるようにしたので、第1の基板C1上に第2の基板C2を積層した際の回路基板Cの嵩高さを極力抑えることができる。
【0044】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態において、第1の基板C1及び第2の基板C2は、当該第1の基板C1と当該第2の基板C2とが重なるように配置された際、
図5に示すように、互いに同一の機能を有する領域同士が対向するように配置されるようにしても良い。
図5(a)は、第1の基板C1と第2の基板C2とが展開された状態にある回路基板Cの平面図である。
図5(b)は、
図5(a)の概略断面図である。
図5(c)は、第1の基板C1上に第2の基板C2が積層された状態にある回路基板Cの概略断面図である。
【0046】
図5(a),(b)に示すように、第1の基板C1の左側の領域R11と第2の基板C2の右側の領域R21には、例えば上述したメインマイコン11、サブマイコン21、PMIC31を構成する電子部品が搭載された領域となっている。また、第1の基板C1の中央の領域R12と第2の基板C2の中央の領域R22には、例えば上述した第1無線通信コントローラ14を構成する電子部品が搭載された領域となっている。また、第1の基板C1の右側の領域R13と第2の基板C2の左側の領域R23には、例えば上述した第2無線通信コントローラ24を構成する電子部品が搭載された領域となっている。そして、第1の基板C1の各領域R11,R12,R13の周囲には、シールド壁SWが設けられている。
【0047】
これにより、
図5(c)に示すように、第1の基板C1上に第2の基板C2が積層された場合、第1の基板C1の領域R11と第2の基板C2の領域R21とが対向し、また、第1の基板C1の領域R12と第2の基板C2の領域R22とが対向し、さらに、第1の基板C1の領域R13と第2の基板C2の領域R23とが対向することとなる。つまり、上述したメインマイコン11、サブマイコン21、PMIC31を構成する電子部品同士、第1無線通信コントローラ14を構成する電子部品同士、及び、第2無線通信コントローラ24を構成する電子部品同士がそれぞれシールド壁SWで区切られた同一空間内に配置されることとなるので、上記実施形態のようにシールド板SBを設けることなく、第1の基板C1に搭載された電子部品と第2の基板C2に搭載された電子部品との間のノイズの影響も抑制することができる。
【0048】
また、上記実施形態において、接続部材C3は、フレキシブル基板により構成されるものとして説明を行ったが、第1の基板C1と第2の基板C2とを電気的に接続することができればよく、フレキシブル基板に限定されるものではない。例えば、
図6(a)に示すように、接続部材C3は、ボードtoボードコネクタにより構成されるようにしても良い。また、
図6(b)に示すように、接続部材C3は、スプリングコネクタにより構成されるようにしても良い。
【0049】
また、上記実施形態において、第1の基板C1及び第2の基板C2は、リジット基板により構成されるものとして説明を行ったが、接続部材C3と同様、フレキシブル基板により構成、すなわち、
図6(c)に示すように、第1の基板C1、第2の基板C2、及び接続部材C3が一体となったフレキシブル基板により構成されるようにしても良い。
【0050】
また、上記実施形態において、シールド壁SW(第1のシールド部材)とシールド板SB(第2のシールド部材)を別々の部材として説明を行なったが、シールド壁とシールド板が一体化した1つの部材であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、第1の基板C1の領域R1に搭載されたメインマイコン11を構成する電子部品e1をシールドカバーSC1で覆うとともに、領域R2に搭載された第1無線通信コントローラ14を構成する電子部品(図示省略)をシールドカバーSC2で覆い、さらに、領域3に搭載されたPMIC31を構成する電子部品e2、e3をシールド壁SWとシールド板SBとで覆うといったシールド方法を採用したが、シールド方法は上記の方法に限定されるものではない。以下、シールド方法の他の例について、
図7及び
図8を用いて説明する。なお、
図7(a)~(d)並びに
図8(a)及び(b)は、
図4(a)~(c)と同様、第1の基板C1の領域R1及び領域R3を通る概略断面図である。
【0052】
例えば、
図7(a)に示すように、第1の基板C1の領域R1に搭載された電子部品e1の上面及び側面を合成樹脂sr1で覆った後、当該合成樹脂sr1の全体に電磁波シールド用の蒸着vd1を施すようにしても良い。また、図示は省略するが、領域R2に搭載された電子部品についてもその上面及び側面を合成樹脂で覆った後、当該合成樹脂の全体に電磁波シールド用の蒸着を施すようにする。また、領域3に搭載された電子部品e2、e3については、上記実施形態のシールド板SBを設ける代わりに、電子部品e2、e3の上面及び側面を合成樹脂sr2で覆った後、当該合成樹脂sr2の上面に電磁波シールド用の蒸着vd2を施すようにしても良い。なお、シールド壁SWは、上記実施形態と同様、領域R3の周囲に設けるようにする。
【0053】
また、他のシールド方法として、例えば、
図7(b)に示すように、領域R3の周囲にシールド壁SWを設けずに、電子部品e2、e3の上面及び側面を合成樹脂sr2で覆った後、当該合成樹脂sr2の上面だけでなく側面にも電磁波シールド用の蒸着vd3を施すようにしても良い。なお、領域R1に搭載された電子部品e1及び領域R2に搭載された電子部品(図示省略)については、
図7(a)の例で説明したように、電子部品の上面及び側面を合成樹脂で覆った後、当該合成樹脂の全体に電磁波シールド用の蒸着を施すようにする。
【0054】
また、その他のシールド方法として、例えば、
図7(c)に示すように、第2の基板C2に搭載された電子部品e4、e5の上面及び側面を合成樹脂sr3で覆うようにしても良いし、さらに、
図7(d)に示すように、当該電子部品e4、e5の上面及び側面を合成樹脂sr3で覆った後、当該合成樹脂sr3の全体に電磁波シールド用の蒸着vd4を施すようにしても良い。なお、第1の基板C1の領域R1に搭載された電子部品e1及び領域R2に搭載された電子部品(図示省略)並びに領域R3に搭載された電子部品e2、e3については、
図7(a),(b)の例で説明したように、電子部品の上面及び側面を合成樹脂で覆った後、当該合成樹脂の全体に電磁波シールド用の蒸着を施すようにする。
【0055】
また、その他のシールド方法として、例えば、
図8(a)に示すように、第1の基板C1の領域R1にシールドカバーSC1を設けずに、当該領域R1の電子部品e1の周囲にシールド壁SWを設け、そして、第2の基板C2を延長(延設)し、第1の基板C1の領域R1に搭載された電子部品e1と対向する部分には電子部品を搭載せず、その裏面に電子部品e6を搭載し、
図8(b)に示すように、第1の基板C1と第2の基板C2とを積層することで、上記のシールド壁SWと第2の基板C2(第2の基板C2を延長した部分)とによって、領域R1のシールドケースを構成する構造としてもよい。これにより、第1の基板C1と第2の基板C2との間に配置するシールド部材の機能を、第2の基板C2が兼ね備えることができる。
【0056】
また、その他のシールド方法として、例えば、絞り加工が施されたPETフィルムによって電子部品を覆った後、当該PETフィルムに対して電磁波シールド用の蒸着を施すようにしても良い。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
複数の電子部品を搭載した第1の基板と、
複数の電子部品を搭載した第2の基板と、
シールド部材と、
を備えた基板構造であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、一方の基板が他方の基板上に重なるように配置されるとともに、当該第1の基板に搭載された電子部品と当該第2の基板に搭載された電子部品とが対向するように配置され、
前記シールド部材は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されていることを特徴とする基板構造。
<請求項2>
複数の電子部品を搭載した第1の基板と、
複数の電子部品を搭載した第2の基板と、
第1のシールド部材と、
を備えた基板構造であって、
前記第1の基板及び前記第2の基板は、
複数の領域を有し、当該第1の基板に搭載された電子部品が当該第1の基板の当該領域に配置され、当該第2の基板に搭載された電子部品が当該第2の基板の当該領域に配置され、
一方の基板が他方の基板上に重なるように配置され、
前記第1のシールド部材は、
前記第1の基板と前記第2の基板とのうちのいずれか一方の基板の前記複数の領域の各々を囲むように配置されていることを特徴とする基板構造。
<請求項3>
第2のシールド部材を備え、
前記第2のシールド部材は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の基板構造。
<請求項4>
前記第2のシールド部材は、前記第1の基板及び前記第2の基板に搭載されている各電子部品との接触を回避する段差部を有することを特徴とする請求項3に記載の基板構造。
<請求項5>
前記第1の基板と前記第2のシールド部材との間、及び、前記第2の基板と前記第2のシールド部材との間に、当該第2のシールド部材の逃げとなるクリアランスを設けたことを特徴とする請求項3又は4に記載の基板構造。
<請求項6>
前記複数の領域は、それぞれ機能ごとに分けられた領域であり、当該領域ごとに各機能に対応する電子部品が配置されていることを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の基板構造。
<請求項7>
前記第1の基板及び前記第2の基板は、当該第1の基板と当該第2の基板とが重なるように配置された際、互いに同一の機能を有する領域同士が対向するように配置されることを特徴とする請求項6に記載の基板構造。
<請求項8>
前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ搭載された前記複数の電子部品の高さは不均一であり、
前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの低い電子部品とが対向するように配置される、又は、前記第1の基板に搭載された高さの高い電子部品と前記第2の基板の電子部品が搭載されていない領域とが対向するように配置される、
また、前記第1の基板に搭載された高さの低い電子部品と前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品とが対向するように配置される、又は、前記第1の基板の電子部品が搭載されていない領域と前記第2の基板に搭載された高さの高い電子部品とが対向するように配置される、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の基板構造。
<請求項9>
前記第2の基板は、前記第1の基板よりも表面積が小さいことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の基板構造。
<請求項10>
前記第2の基板の表面積は、前記第1の基板の表面積の略1/2であることを特徴とする請求項9に記載の基板構造。
<請求項11>
前記第1の基板は略円形であり、前記第2の基板は略半円形であることを特徴とする請求項10に記載の基板構造。
【符号の説明】
【0058】
100 スマートウォッチ
1 本体部
2 バンド
3 フレーム
4 表示画面
11 メインマイコン
12 表示部
13 操作受付部
14 第1無線通信コントローラ
21 サブマイコン
22 表示部
23 スイッチ
24 第2無線通信コントローラ
31 PMIC
B ボタンスイッチ
C 回路基板
C1 第1の基板
C2 第2の基板
D 凹部
e1~e5 電子部品
SB シールド板
SB1 第1の平面部
SB2 段差部
SB3 第2の平面部
SC1 シールドカバー
SC2 シールドカバー
SW シールド壁