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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/00 20060101AFI20230130BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230130BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20230130BHJP
【FI】
G01R21/00 P
H02J50/10
H02J50/90
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018122580
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020003323
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】宮下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】塚崎 友英
【審査官】小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-4285(JP,A)
【文献】特開2017-121115(JP,A)
【文献】特開2014-147219(JP,A)
【文献】特開2017-118675(JP,A)
【文献】宮下夏樹,「WPT評価システム TS2400」,日置技報,2017年,Vol. 38, No. 1,pp. 1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 21/00-21/14
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触給電装置における供給側および受電側の各電極の少なくとも一方を予め決められた測定位置に移動させる移動機構と、前記各測定位置における前記非接触給電装置についての被測定量を測定する測定部と、前記被測定量の測定値に基づいて前記各測定位置における前記非接触給電装置の給電効率を算出する処理部とを備えた測定装置であって、
前記処理部は、前記電極が移動する平面における前記給電効率が予め指定された指定範囲内である領域の領域面積を特定して当該領域面積を示す面積情報を生成すると共に、当該面積情報を生成するときに、前記平面を第1の平面直交座標系として、当該第1の平面直交座標系における2つの位置座標のいずれか一方の座標値を指定座標値として指定すると共に、当該各位置座標の他方を第1座標とし、かつ前記給電効率を第2座標とする第2の平面直交座標系を規定し、前記いずれか一方の位置座標の座標値が前記指定座標値である前記測定位置の前記他方の位置座標の座標値と当該測定位置における前記給電効率とによって規定される座標点を当該第2の平面直交座標系にプロットし、前記他方の位置座標と前記給電効率との関係を示す曲線を前記座標点に基づいて特定し、前記指定範囲内に属する前記曲線の前記第1座標の軸に沿った延在長さを特定する特定処理を前記指定座標値を変更しつつ実行し、当該各特定処理によって特定した前記各延在長さに基づいて前記領域面積を特定する測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第1の平面直交座標系において隣接する2つの前記指定座標値をそれぞれ通って前記他方の位置座標の軸に平行でかつ当該各指定座標値における各前記延在長さの2つの線分を上底および下底とし当該2つの指定座標値間の長さを高さとする台形の面積を算出すると共に、前記隣接する2つの指定座標値における前記各延在長さのいずれか一方が0の当該指定座標値が存在するときに当該延在長さが0のときの他方の当該指定座標値を通って前記他方の位置座標の軸に平行でかつ当該他方の指定座標値における前記延在長さの1つの線分を底辺とし当該2つの指定座標値間の長さを高さとする三角形の面積を算出する算出処理を当該2つの指定座標値の全ての組み合わせについて実行し、前記延在長さが0の前記指定座標値が存在しないときは、前記各算出処理によって算出した各台形の面積を加算して前記領域面積を特定し、前記延在長さが0の前記指定座標値が存在するときは、前記各算出処理によって算出した各台形の面積および三角形の面積を加算して前記領域面積を特定する請求項記載の測定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記曲線を前記座標点に基づいて近似または補完によって特定し、前記指定範囲内から当該指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部が前記曲線に存在し、当該突出部の突出量が予め規定された範囲内のときには、前記特定処理において当該突出部が前記指定範囲内に属するとみなして前記延在長さを特定する請求項または記載の測定装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記給電効率の下限値が互いに異なる複数種類の前記指定範囲毎の前記領域面積を特定して当該各領域面積を示す情報を前記面積情報として生成する請求項1からのいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記処理部は、互いに平行な複数の前記平面における各前記領域面積を特定して当該各領域面積を示す情報を前記面積情報として生成する請求項1からのいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
表示部と、前記面積情報に基づいて前記領域面積を示す画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えている請求項1からのいずれかに記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触給電装置についての被測定量の測定値に基づいて非接触給電装置の給電効率を算出する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、下記特許文献1において出願人が開示した測定装置が知られている。この測定装置は、非接触給電装置の供給電力および受電電力を測定し、供給電力および受電電力の各測定値に基づいて非接触給電装置の給電効率を特定し、非接触給電装置の評価に用いる給電効率に関する情報を表示可能に構成されている。この場合、この測定装置では、給電効率に関する情報として、平面内における給電効率の高い領域と低い領域とを異なる表示形態で表示する画像を表示する。このため、この測定装置では、平面内における給電効率の高い領域と低い領域とを容易に識別することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-4285号公報(第4-7頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した測定装置には、改善すべき以下の課題がある。具体的には、この測定装置では、非接触給電装置の評価に用いる給電効率に関する情報として、平面内における給電効率が高い領域と低い領域とを異なる表示形態で表示する画像を表示することで、平面内における給電効率の高い領域と低い領域とを容易に識別することが可能となっている。一方、非接触給電装置を評価する際に、給電効率が高い領域の面積に基づいて非接触給電装置を評価することがある。この場合、給電効率が高い領域の面積が広ければ、非接触給電装置の給電側電極および受電側電極が正対していない状態であっても高い給電効率で給電を行うことができる。このため、例えば、非接触給電装置に求められる給電効率の下限値を指定し、指定した給電効率以上の領域の面積を特定して、この領域の面積が広いほど優れた非接触給電装置であるとの評価をすることができる。しかしながら、上記の測定装置では、給電効率の高い領域と低い領域とを容易に識別することが可能なものの、給電効率が高い領域の具体的な面積を認識できる情報を生成する機能を有していないため、このような面積に基づいて非接触給電装置を的確に評価することが困難となっており、この点の改善が望まれている。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、非接触給電装置を的確に評価し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、非接触給電装置における供給側および受電側の各電極の少なくとも一方を予め決められた測定位置に移動させる移動機構と、前記各測定位置における前記非接触給電装置についての被測定量を測定する測定部と、前記被測定量の測定値に基づいて前記各測定位置における前記非接触給電装置の給電効率を算出する処理部とを備えた測定装置であって、前記処理部は、前記電極が移動する平面における前記給電効率が予め指定された指定範囲内である領域の領域面積を特定して当該領域面積を示す面積情報を生成すると共に、当該面積情報を生成するときに、前記平面を第1の平面直交座標系として、当該第1の平面直交座標系における2つの位置座標のいずれか一方の座標値を指定座標値として指定すると共に、当該各位置座標の他方を第1座標とし、かつ前記給電効率を第2座標とする第2の平面直交座標系を規定し、前記いずれか一方の位置座標の座標値が前記指定座標値である前記測定位置の前記他方の位置座標の座標値と当該測定位置における前記給電効率とによって規定される座標点を当該第2の平面直交座標系にプロットし、前記他方の位置座標と前記給電効率との関係を示す曲線を前記座標点に基づいて特定し、前記指定範囲内に属する前記曲線の前記第1座標の軸に沿った延在長さを特定する特定処理を前記指定座標値を変更しつつ実行し、当該各特定処理によって特定した前記各延在長さに基づいて前記領域面積を特定する
【0008】
また、請求項記載の測定装置は、請求項記載の測定装置において、前記処理部は、前記第1の平面直交座標系において隣接する2つの前記指定座標値をそれぞれ通って前記他方の位置座標の軸に平行でかつ当該各指定座標値における各前記延在長さの2つの線分を上底および下底とし当該2つの指定座標値間の長さを高さとする台形の面積を算出すると共に、前記隣接する2つの指定座標値における前記各延在長さのいずれか一方が0の当該指定座標値が存在するときに当該延在長さが0のときの他方の当該指定座標値を通って前記他方の位置座標の軸に平行でかつ当該他方の指定座標値における前記延在長さの1つの線分を底辺とし当該2つの指定座標値間の長さを高さとする三角形の面積を算出する算出処理を当該2つの指定座標値の全ての組み合わせについて実行し、前記延在長さが0の前記指定座標値が存在しないときは、前記各算出処理によって算出した各台形の面積を加算して前記領域面積を特定し、前記延在長さが0の前記指定座標値が存在するときは、前記各算出処理によって算出した各台形の面積および三角形の面積を加算して前記領域面積を特定する。
【0009】
また、請求項記載の測定装置は、請求項または記載の測定装置において、前記処理部は、前記曲線を前記座標点に基づいて近似または補完によって特定し、前記指定範囲内から当該指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部が前記曲線に存在し、当該突出部の突出量が予め規定された範囲内のときには、前記特定処理において当該突出部が前記指定範囲内に属するとみなして前記延在長さを特定する。
【0010】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1からのいずれかに記載の測定装置において、前記処理部は、前記給電効率の下限値が互いに異なる複数種類の前記指定範囲毎の前記領域面積を特定して当該各領域面積を示す情報を前記面積情報として生成する。
【0011】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1からのいずれかに記載の測定装置において、前記処理部は、互いに平行な複数の前記平面における各前記領域面積を特定して当該各領域面積を示す情報を前記面積情報として生成する。
【0012】
また、請求項記載の測定装置は、請求項1からのいずれかに記載の測定装置において、表示部と、前記面積情報に基づいて前記領域面積を示す画像を前記表示部に表示させる表示制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の測定装置では、電極が移動する平面における給電効率が予め指定された指定範囲内である領域の領域面積を特定して領域面積を示す面積情報を生成する。このため、この測定装置によれば、例えば、非接触給電装置に求められる最低限の給電効率を下限値とする指定範囲を指定し、指定した指定範囲内の領域面積を示す面積情報を生成させることで、面積情報に基づいて非接触給電装置に求められる領域面積が広いか狭いかを判別することができ、これによって非接触給電装置を的確に評価することができる。
【0014】
また、第1の平面直交座標系における一方の位置座標の座標値を指定座標値として指定し、他方の位置座標を第1座標とし、かつ給電効率を第2座標とする第2の平面直交座標系に、一方の位置座標の座標値が指定座標値である測定位置の他方の位置座標の座標値とその測定位置における給電効率とによって規定される座標点をプロットし、他方の位置座標と給電効率との関係を示す曲線を座標点に基づいて特定し、指定範囲内に属する曲線の第1座標の軸に沿った延在長さを特定する特定処理を指定座標値を変更しつつ実行し、各特定処理によって特定した各延在長さに基づいて領域面積を特定することにより、簡易な処理でありながら領域面積を正確に特定することができる。
【0015】
また、請求項記載の測定装置によれば、第1の平面直交座標系において隣接する2つの指定座標値をそれぞれ通って他方の位置座標の軸に平行でかつ各指定座標値における延在長さの2つの線分を上底および下底とし2つの指定座標値間の長さを高さとする台形の面積を算出すると共に、隣接する2つの指定座標値における各延在長さのいずれか一方が0の指定座標値が存在するときに延在長さが0のときの他方の指定座標値を通って他方の位置座標の軸に平行でかつ他方の指定座標値における延在長さの1つの線分を底辺とし2つの指定座標値間の長さを高さとする三角形の面積を算出する算出処理を2つの指定座標値の全ての組み合わせについて実行し、延在長さが0の指定座標値が存在しないときは、各算出処理によって算出した各台形の面積を加算して領域面積を特定し、延在長さが0の指定座標値が存在するときは、各算出処理によって算出した各台形の面積および三角形の面積を加算して領域面積を特定することにより、例えば、上記した線分を長辺とし、隣接する2つの指定座標値間の長さの線分を短辺とする長方形の面積を算出する処理を全ての線分について実行し、各長方形の面積を加算して領域面積を特定する方法と比較して、領域面積をより正確に特定することができる。
【0016】
また、請求項記載の測定装置では、座標点に基づく近似または補完によって特定した曲線に、指定範囲内から指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部が存在し、突出部の突出量が予め規定された範囲内のときには、突出部が指定範囲内に属するとみなして延在長さを特定する。このため、この測定装置によれば、近似式や補完式を用いて曲線を特定する際の式の特性上生じた可能性が高い曲線の突出部が指定範囲外であると取り扱われて領域面積が実際よりも小さく特定される事態を確実に回避することができる結果、領域面積をさらに正確に特定することができる。
【0017】
また、請求項記載の測定装置によれば、給電効率の下限値が互いに異なる複数種類の指定範囲毎の領域面積を特定して各領域面積を示す面積情報を生成することにより、例えば、面積情報に基づいて指定範囲の変化に対する領域面積の変化を示すグラフを表示させることで、複数種類の指定範囲についての各領域面積を一度に把握することができるため、非接触給電装置を評価する際の利便性を十分に向上させることができる。
【0018】
また、請求項記載の測定装置によれば、互いに平行な複数の平面における各領域面積を特定して各領域面積を示す情報を面積情報として生成することにより、非接触給電装置における供給側の電極と受電側の電極との間の離間距離の変化による領域面積の変化を把握することができる。したがって、この測定装置によれば、非接触給電装置を多角的に評価することができる。
【0019】
また、請求項記載の測定装置によれば、表示部を備え、表示制御部が面積情報に基づいて領域面積を示す画像を表示部に表示させることにより、表示部を備えずに外部の表示部に領域面積を示す画像を表示させる構成とは異なり、外部の表示部と測定装置とを接続する作業が不要なため、領域面積を示す画像に基づいて非接触給電装置を評価する作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】保持装置2の斜視図である。
図3】保持装置2の正面図である。
図4】測定条件設定画像Gsの表示画面図である。
図5】面積情報画像Giの表示画面図である。
図6】面積情報生成処理70のフローチャートである。
図7】面積情報生成処理70を説明する第1の説明図である。
図8】面積情報生成処理70を説明する第2の説明図である。
図9】面積情報生成処理70を説明する第3の説明図である。
図10】面積情報生成処理70を説明する第4の説明図である。
図11】面積グラフGgを含む面積情報画像Giの第1の表示画面図である。
図12】面積グラフGgを含む面積情報画像Giの第2の表示画面図である。
図13】面積情報生成処理70を説明する第5の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、測定装置の一例としての図1に示す測定装置1の構成について説明する。測定装置1は、同図に示すように、保持装置2、出力部3、測定部4、操作部5、記憶部6、表示部7および処理部8を備え、非接触給電装置(ワイヤレス給電装置)についての被測定量(後述する受電電力)を測定すると共に、受電電力の測定値に基づいて非接触給電装置の給電効率η(供給電力に対する受電電力の比率)を算出して、給電効率ηが予め指定された指定範囲内である領域の領域面積に関する面積情報を示す面積データDaの生成、および領域面積を示す面積情報画像Gi(図5参照)の表示を実行可能に構成されている。
【0023】
保持装置2は、図2,3に示すように、供給側保持部21、受電側保持部22、移動機構23およびフレーム24を備えて構成されている。
【0024】
供給側保持部21は、図2,3に示すように、非接触給電装置の供給側電極101を載置可能なテーブルと、必要に応じてテーブルに載置した供給側電極101を固定する図外の固定具とを備えて、供給側電極101を保持可能に構成されている。また、供給側保持部21は、移動機構23における後述する回転テーブル32の上に固定されて、移動機構23によって移動させられる。なお、図2では、供給側保持部21を回転テーブル32から上方に離間させた状態で図示している。
【0025】
受電側保持部22は、図2,3に示すように、非接触給電装置の受電側電極102(以下、供給側電極101と受電側電極102とを合わせて「電極101,102」ともいう)が下面に配置されるボードと、必要に応じてボードに配置した受電側電極102を固定する図外の固定具とを備えて、受電側電極102を保持可能に構成されている。また、受電側保持部22は、フレーム24に固定されている。
【0026】
移動機構23は、図2に示すように、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ移動可能な3つの移動テーブル31x,31y,31z(以下、区別しないときには「移動テーブル31」ともいう)と、θ方向に移動(回動)可能に構成されて供給側保持部21が固定される回転テーブル32とを備えて構成されている。この移動機構23は、処理部8の制御に従い、供給側保持部21を図2に示すXY方向に移動(1つの平面内で移動)させて、XY方向に沿った供給側電極101の測定位置(電極101,102の相対的な測定位置)を変更させると共に、供給側保持部21を同図に示すZ方向(1つの平面に直交する方向)に移動させて、Z方向に沿った供給側電極101の測定位置(電極101,102の相対的な測定位置)を変更させる。また、移動機構23は、処理部8の制御に従い、供給側保持部21を同図に示すθ方向(Z方向の軸を中心とする回動方向)に回動させて受電側電極102に対する供給側電極101の相対的な姿勢を変更させる。
【0027】
出力部3は、処理部8の制御に従い、供給側電極101を介して供給する電力を出力する。
【0028】
測定部4は、処理部8の制御に従い、供給側電極101を介して電力(供給電力)が供給されているときに、供給されている供給電力および、受電側電極102で受電される受電電力を被測定量として測定する。
【0029】
操作部5は、図外のキーボードやポインティングデバイスを備え、測定開始の指示操作や測定終了の指示操作、保持装置2による供給側電極101の移動範囲や回動量を設定する設定操作、および表示部7に表示させる面積情報画像Giに含ませる面積情報の種類等を設定する設定操作など行うことが可能に構成されている。
【0030】
記憶部6は、処理部8の制御に従い、操作部5を介して設定された設定値を示す設定値データDsを記憶する。また、記憶部6は、処理部8の制御に従い、測定部4によって測定された供給電力および受電電力の測定値を記憶する。また、記憶部6は、処理部8の制御に従い、処理部8によって生成された面積データDaを記憶する。
【0031】
表示部7は、処理部8の制御に従い、図4に示す測定条件設定画像Gs、および図5,11,12に示す面積情報画像Gi等の各種の画像を表示する。
【0032】
処理部8は、操作部5から出力された操作信号に従って測定装置1を構成する各構成要素を制御すると共に、各種の処理を実行する。具体的には、処理部8は、移動機構23による供給側保持部21の移動や回動を制御する。また、処理部8は、測定部4を制御して被測定量としての供給電力および受電電力を測定させる。また、処理部8は、測定部4によって測定された受電電力と、受電電力の測定時に供給側電極101を介して供給された供給電力とに基づいて非接触給電装置の給電効率η(供給電力に対する受電電力の比率)を特定する。また、処理部8は、後述する面積情報生成処理70(図6参照)を実行して、供給側電極101が移動する平面として指定された平面(XY方向に平行な平面であって、以下「指定平面」ともいう)における、給電効率ηが予め指定された範囲(指定範囲)内である領域の領域面積(以下、「有効効率領域面積AET」ともいう)を示す面積情報についての面積データDaを生成する。また、処理部8は、表示制御部として機能し、測定条件設定画像Gs(図4参照)、および面積情報画像Gi(図5,11,12参照)等の各種の画像を表示部7に表示させる表示処理を実行する。
【0033】
次に、測定装置1の使用方法について図面を参照して説明する。
【0034】
この測定装置1は、例えば、電気製品のバッテリーの充電に使用される非接触給電装置についての被測定量を測定して、その非接触給電装置の評価を行う際に使用することができる。このような使用形態では、まず、図3に示すように、評価対象の非接触給電装置の供給側電極101を保持装置2の供給側保持部21の上に載置して図外の固定具で固定することにより、供給側電極101を供給側保持部21に保持させる。次いで、非接触給電装置の受電側電極102を受電側保持部22の下面に配置して図外の固定具で固定することにより、受電側電極102を受電側保持部22に保持させる。
【0035】
続いて、操作部5を操作して各種の設定を行う。まず、測定装置1に測定させる被測定量として、供給電力および受電電力を指定する。この場合、この測定装置1では、供給電力および受電電力の測定において、XYZ方向の移動範囲と各方向における移動間隔とを指定すると共に、θ方向の回動範囲と回動間隔(回動角度の間隔)とを指定して、指定した移動範囲および移動間隔で供給側電極101を移動させると共に、指定した回動範囲および回動間隔で供給側電極101を回動させて、受電側電極102に対する供給側電極101の相対的な測定位置や姿勢を自動的に変更させつつ各測定位置および姿勢毎に給電効率ηを連続測定させることが可能となっている。
【0036】
この連続測定を実行させるときには、操作部5を操作して、図4に示す測定条件設定画像Gsの表示を指示する。これに応じて、処理部8が表示処理を実行して測定条件設定画像Gsを表示部7に表示させる。次いで、測定条件設定画像Gs内の各項目に所望の数値を入力して供給側保持部21(供給側電極101)の移動範囲や回動量を設定する。この場合、同図に示すように、XYZ方向の移動開始位置のXYZ座標(例えば、10mm)、および移動の終了位置のXYZ座標(例えば、100mm)を入力してXYZ方向の移動範囲を設定すると共に、移動間隔(例えば、10mm)を入力する。また、θ方向に供給側電極101を回動させるときには、回動の開始角度、および回動の終了角度を入力して回動範囲を設定すると共に、回動間隔を入力する。なお、この例では、受電側電極102に対する供給側電極101の姿勢を一定に維持して、供給側電極101をXYZ方向にのみ移動させるものとする。このため、移動条件入力画面における回動の開始角度および終了角度、並びに回動間隔の入力欄は、未入力の状態とする。続いて、設定が終了したときには、処理部8は入力した設定値を示す設定値データDsを記憶部6に記憶させる。
【0037】
次いで、操作部5を操作して、測定開始を指示する。これに応じて、処理部8が、出力部3を制御して、電力の出力を開始させる。続いて、処理部8は、記憶部6から設定値データDsを読み出して、設定値データDsに基づいて最初の測定位置(移動開始位置)を特定する。次いで、処理部8は、保持装置2の移動機構23を制御して、供給側保持部21に支持されている供給側電極101が最初の測定位置に位置するように供給側保持部21を移動させる。
【0038】
続いて、処理部8は、測定部4を制御して、供給側電極101から供給される供給電力、および受電側電極102で受電される受電電力を測定させる。また、処理部8は、測定された供給電力および受電電力の測定値を記憶部6に記憶させる。次いで、処理部8は、設定値データDsに基づいて次の測定位置を特定し、移動機構23を制御して供給側電極101が次の測定位置に位置するように供給側保持部21を移動させる。続いて、処理部8は、測定部4を制御して供給電力および受電電力を測定させ、測定された各測定値を記憶部6に記憶させる。
【0039】
以下、処理部8は、移動機構23および測定部4を制御して、設定された移動範囲内において設定された移動間隔で供給側保持部21(供給側電極101)の測定位置を順次変更させ、各測定位置において供給電力および受電電力を測定させると共に、測定された各測定値を記憶部6に記憶させる。この場合、測定位置を変更する方法としては、測定が終了した測定位置に最も近い測定位置をXYZ方向のいずれの方向であるかに拘わらず次の測定位置とする方法を採用することもできるし、Z方向の座標を一定にした状態でXY方向の全ての位置に測定位置を変更する工程を、Z方向の座標を変更しつつ順次行う方法を採用することもできる。
【0040】
次いで、設定値データDsに基づいて特定される全ての位置における供給電力および受電電力の測定が終了したときには、処理部8は、測定が終了した旨を表示部7に表示させる。続いて、操作部5を操作して、測定終了の指示操作を行う。これに応じて、処理部8は、出力部3を制御して、電力の出力を停止させる。
【0041】
一方、この測定装置1では、非接触給電装置の性能を評価する際に用いる面積情報を示す面積データDaを生成させ、面積情報を示す面積情報画像Gi(図5参照)を表示部7に表示させることが可能となっている。この場合、面積情報には、供給側電極101が移動するXY方向に平行な指定平面における、給電効率ηが予め指定された指定範囲内である領域の有効効率領域面積AETを示す情報が含まれる。
【0042】
上記した面積データDaの生成、および面積情報画像Giの表示を行わせる際には、操作部5を操作して、面積情報画像Giの表示を指示する。これに応じて、処理部8が表示処理を実行して、図5に示すように、面積情報画像Giを表示部7に表示させる。次いで、面積情報画像Giに含ませる面積情報の種類や条件(指定範囲)を入力する。この場合、例えば、Z方向の座標が10mmの指定平面における、給電効率ηが50%以上である(指定範囲内に属する)有効効率領域面積AETを面積情報として面積情報画像Giに含ませるときには、同図に示すように、面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi1,Fi2に「10mm」および「50%」を入力し、続いて、実行キーK1を操作する。これに応じて、処理部8が面積情報生成処理70(図6参照)を実行する。
【0043】
この面積情報生成処理70では、処理部8は、図7に示すように、上記した指定平面をXY直交座標系(第1の平面直交座標系)として、XY直交座標系におけるY座標(2つの位置座標のいずれか一方)の座標値を指定座標値として指定する(ステップ71)。なお、同図に示す点の位置は、指定平面における測定位置を表している。この場合、処理部8は、指定平面であるXY直交座標系に測定位置が存在する各Y座標(同図に示す10mm,20mm,30mm,40mm,50mm,60mm,70mm,80mm,90mm,100mm)のうちの1つである10mmを指定座標値として指定する。次いで、処理部8は、図8に示すように、X座標(第1の平面直交座標系における各位置座標の他方)を第1座標(同図における左右方向の座標)とし、給電効率ηを第2座標(同図における上下方向の座標)とするXη直交座標系(第2の平面直交座標系)を規定する(ステップ72)。
【0044】
続いて、処理部8は、図8に示すように、Xη直交座標系内の各測定位置における給電効率ηを示す各座標点をXη直交座標系にプロットする(ステップ73)。次いで、処理部8は、同図に示すように、X座標(第1の平面直交座標系における他方の位置座標)と給電効率ηとの関係を示す曲線C10を、プロットした各座標点に基づく近似や補完によって特定する(ステップ74)。この場合、近似や補完は既知の各種の手法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0045】
続いて、処理部8は、指定範囲内(この例では、50%以上)から指定範囲の下限値(この例では、50%)を下回る向きに突出する突出部が曲線C10に存在するか否かを判別する(ステップ75)。この場合、図8に示すように、曲線C10にはこのような突出部が存在しないため、処理部8は、ステップ75において突出部が存在しないと判別し、次いで、第1特定処理を実行する(ステップ76)。
【0046】
この第1特定処理では、処理部8は、図8に示すように、給電効率ηが50%以上である(指定範囲内に属する)曲線C10のX座標軸(第1座標の軸)に沿った延在長さを特定する。この場合、同図に示すように、曲線C10には、給電効率ηが50%以上である部分(指定範囲内に属する部分)が存在しないため、処理部8は、曲線C10についての延在長さを0mmと特定する。
【0047】
続いて、処理部8は、指定可能な(測定位置が存在する)全てのY座標の指定座標値についての第1特定処理が終了したか否かを判別する(ステップ77)。この場合、この時点では、指定可能な全ての指定座標値についての延在長さを特定してないため、処理部8は、上記したステップ71を実行し、Y座標の指定座標値を、上記した10mmに供給側電極101の移動間隔である10mmを加えた20mmに指定する。次いで、処理部8は、上記したステップ72~77を実行する。以下、処理部8は、移動範囲における指定可能な全ての指定座標値についての延在長さを特定したと判別するまで、上記したステップ71~77の処理(第1特定処理を含む各処理)をY座標の指定座標値を変更しつつ繰り返して実行する。これにより、図9に示すように、各指定座標値(10mm~100mm)における各曲線C10~C100(以下、区別しないときには「曲線C」ともいう)についての各延在長さが特定される。なお、同図では、曲線C10,C100についての各延在長さが0mmで、曲線C20~C90についての各延在長さが延在長さL20~L90(以下、延在長さL20~L90を区別しないときには「延在長さL」ともいう)であることを図示している。
【0048】
続いて、処理部8は、ステップ77において、供給側電極101の移動範囲における指定可能な全ての指定座標値についての第1特定処理が終了したと判別したときには、有効効率領域面積AETを特定する(ステップ78)。具体的には、処理部8は、図10に示すように、XY直交座標系(第1の平面直交座標系)において、Y座標の各指定座標値(10mm~100mm)のうちの、延在長さが0mmではない指定座標値(20mm~90mm)を通ってX座標軸(他方の位置座標の軸)に平行で各指定座標値における延在長さL20~L90の線分S20~S90(以下、区別しないときには「線分S」ともいう)を規定する。次いで、処理部8は、同図に示すように、隣接する2つの指定座標値を通る2つの線分Sを上底および下底とし2つの指定座標値間の長さを高さhとする台形の面積を算出すると共に、隣接する2つの指定座標値における各延在長さのいずれか一方が0mmのときの他方の指定座標値(この例では、20mm,90mm)を通ってX座標軸に平行で他方の指定座標値における延在長さの1つの線分(この例では、線分S20,S90)を底辺とし2つの指定座標値間の長さを高さhとする三角形の面積(この例では、線分S20,S90をそれぞれ底辺とする2つの三角形(二等辺三角形))の面積を算出する算出処理を、2つの指定座標値の全ての組み合わせについて実行する。続いて、処理部8は、各算出処理によって算出した各台形の面積At2~At8、および各三角形の面積At1,At9(同図参照:以下、面積At1~At9を区別しないときには「面積At」ともいう)を加算して有効効率領域面積AET(領域面積)を特定する。この場合、延在長さが0mmの指定座標値が存在しないときには、処理部8は、上記した算出処理において、三角形の面積を算出することなく、台形の面積の算出だけを行う。なお、台形には、長方形が含まれるものとする。
【0049】
次いで、処理部8は、特定した有効効率領域面積AETを示す面積データDa(面積情報)を生成して記憶部6に記憶させ(ステップ79)、面積情報生成処理70を終了する。
【0050】
続いて、処理部8は、記憶部6から面積データDaを読み出す。次いで、処理部8は、図5に示すように、表示処理を実行して表示部7を制御し、Z方向の座標が10mmのXY平面における給電効率ηが50%以上の有効効率領域面積AETを面積情報画像Gi内の面積表示枠Faに表示させる。以上により、面積情報を含む面積情報画像Giの表示が完了する。
【0051】
一方、上記した面積情報生成処理70のステップ74において、Xη直交座標系にプロットした座標点に基づいて近似式や補完式によって特定した曲線Cが、図13に示すように上下に変動する波形となることがある。この場合、同図に示すように、指定範囲内から指定範囲の下限値(この例では、50%)を下回る向き(下向き)に突出する突出部Pが曲線Cに存在し、この突出部Pの突出長Lpが短いときには、その突出部Pは、近似式や補完式を用いて曲線Cを特定する際に、その式の特性上生じた可能性が高く、実際の給電効率ηは指定範囲内である可能性が高い。このため、このような突出部Pが曲線Cに存在しているときには、上記したステップ76の第1特定処理において、延在長さLが実際よりも短く特定され、この結果、有効効率領域面積AETが実際よりも小さく特定されるおそれがある。このため、この測定装置1では、処理部8が、上記したステップ75において、指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部が曲線Cに存在すると判別したときには、上記した第1特定処理に代えて、第2特定処理を実行する(ステップ80)。
【0052】
この第2特定処理では、処理部8は、突出部Pの突出長Lp(突出量:図13参照)を特定すると共に、曲線Cにおける給電効率ηの最大値と最小値の差に相当する最大長さLm(同図参照)を特定する。続いて、処理部8は、最大長さLmに対する突出長Lpの比率が0%を超え3%以下の範囲内(予め規定された範囲内の一例)内のときには、突出部Pが指定範囲内に属するとみなして、上記した延在長さLを特定する。この測定装置1では、処理部8が、指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部が曲線Cに存在すると判別したときに第2特定処理を実行するため、有効効率領域面積AETを正確に特定することが可能となっている。
【0053】
また、この測定装置1では、互いに異なる複数の指定範囲毎の有効効率領域面積AETを特定して各有効効率領域面積AETを示す面積情報(面積データDa)を生成し、この面積情報を示す面積情報画像Giを表示させることが可能となっている。この面積情報の生成、およびこの面積情報を示す面積情報画像Giの表示を行わせる際には、図11に示すように、測定位置についてのZ方向の座標(例えば、70mm)を指定する数値(「70」)を面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi3の2つの入力位置に入力する。この際に、指定したZ方向の座標(この例では70mm)におけるXY方向に平行な平面が指定平面として指定される。次いで、複数の指定範囲を指定する。この場合、この測定装置1では、1つめの指定範囲の給電効率ηの上限値および下限値を指定し、2つめ以降の指定範囲については、上限値を変えずに下限値だけを指定した上昇幅ずつ上昇させることによって複数の指定範囲を自動的に指定する構成が採用されている。このため、1つめの指定範囲の下限値および上限値として、同図に示すように、例えば「10%」および「100%」を面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi4に入力する。次いで、同図に示すように、上昇幅として、例えば「10%」を、面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi5に入力する。これにより下限値をそれぞれ10%、20%、30%・・・100%とし、上限値をいずれも100%とする10種類の指定範囲が自動的に指定される。
【0054】
続いて、実行キーK2を操作する。これに応じて、処理部8が上記した面積情報生成処理70(図6参照)を実行する。この際に、処理部8は、面積情報生成処理70において、まず、指定範囲の下限値を10%に指定すると共に、上限値を100%に指定してステップ71~79を実行し、次いで、指定範囲の下限値を10%(上記した上昇幅)だけ上昇させた20%に指定すると共に、上限値を100%に指定してステップ71~79を実行する。以下、処理部8は、指定範囲の下限値を10%ずつ上昇させて指定してステップ71~79を実行する処理を、下限値を90%に上昇させるまで行った後に、面積情報生成処理70を終了する。
【0055】
続いて、処理部8は、記憶部6から面積データDaを読み出す。次いで、処理部8は、面積データDaに基づき、図11に示すように、面積グラフGgを面積情報画像Gi内に表示させる。この場合、この面積グラフGgは、一例として、指定範囲の下限値の給電効率ηを横軸とし、各給電効率ηを下限値とすると共に100%を上限とする各指定範囲内に測定値が属する有効効率領域面積AETを縦軸とする直交座標系における、各指定範囲と有効効率領域面積AETとの関係を示している。このため、この面積グラフGgから、複数の指定範囲における有効効率領域面積AETの相違を一目で把握することが可能となっている。以上により、面積グラフGgによって面積情報としての複数の指定範囲毎の有効効率領域面積AETを示す面積情報画像Giの表示が完了する。
【0056】
また、この測定装置1では、Z方向の座標が異なる互いに平行な複数の指定平面における各有効効率領域面積AETを特定して各有効効率領域面積AETを示す面積情報(面積データDa)を生成し、この面積情報を示す面積情報画像Giを表示させることが可能となっている。この機能を適用して、上記した複数の指定範囲毎の有効効率領域面積AETを面積情報として生成させ、この面積情報を示す面積情報画像Giを表示させる際には、図12に示すように、測定位置についてのZ方向の座標の範囲として例えば10mm~80mmを面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi3に入力する。この際に、例えば、入力したZ方向の座標の範囲内における、Z方向の座標が70mm、50mmおよび10mmである測定位置において測定が行われたときには、Z方向の座標が70mm、50mmおよび10mmにおけるXY方向に平行な3つの平面が、面積情報を生成する対象の各指定平面として指定される。また、全体の指定範囲の下限値および上限値として、例えば「10%」および「100%」を、面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi4に入力すると共に、上昇幅として、例えば「10%」を、面積情報画像Gi内の設定値入力枠Fi5に入力し、続いて、実行キーK2を操作する。これに応じて、処理部8が上記した面積情報生成処理70(図6参照)を実行する。
【0057】
この場合、処理部8は、面積情報生成処理70において、まず、Z方向の座標が10mmである指定平面について、指定範囲の下限値を10%から10%ずつ上昇させて指定し、指定した下限値毎に上記したステップ71~ステップ79を実行する処理を、下限値を90%に上昇させるまで行う。次いで、Z方向の座標が50mmである指定平面について同様の処理を行い、続いて、Z方向の座標が70mmである指定平面について、同様の処理を行った後に、面積情報生成処理70を終了する。
【0058】
次いで、処理部8は、記憶部6から面積データDaを読み出す。続いて、処理部8は、面積データDaに基づき、図12に示すように、3つの指定平面における指定範囲の変化に対する有効効率領域面積AETの変化を示す面積グラフGgを面積情報画像Gi内に表示させる。以上により、面積情報としての3つの指定平面における複数の指定範囲毎の有効効率領域面積AETを示す面積情報画像Giの表示が完了する。
【0059】
このように、この測定装置1では、供給側電極101が移動する指定平面における給電効率ηが指定範囲内である領域の有効効率領域面積AETを特定して有効効率領域面積AETを示す面積データDa(面積情報)を生成する。このため、この測定装置1によれば、例えば、非接触給電装置に求められる最低限の給電効率を下限値とする指定範囲を指定し、指定した指定範囲内の有効効率領域面積AETを示す面積データDaを生成させることで、面積データDaに基づいて非接触給電装置に求められる有効効率領域面積AETが広いか狭いかを判別することができ、これによって非接触給電装置を的確に評価することができる。
【0060】
また、この測定装置1によれば、XY直交座標系におけるY座標の座標値を指定座標値として指定し、X座標を第1座標とし、かつ給電効率ηを第2座標とするXη直交座標系に、Y座標の座標値が指定座標値である測定位置のX座標の座標値とその測定位置における給電効率ηとによって規定される座標点をプロットし、X座標と給電効率ηとの関係を示す曲線Cをその座標点に基づいて特定し、指定範囲内に属する曲線CのX座標軸に沿った延在長さLを特定する特定処理を指定座標値を変更しつつ実行し、各特定処理によって特定した各延在長さLに基づいて有効効率領域面積AETを特定することにより、簡易な処理でありながら有効効率領域面積AETを正確に特定することができる。
【0061】
また、この測定装置1によれば、XY直交座標系において隣接する2つの指定座標値を通りX座標軸に平行でかつ各指定座標値における延在長さLの2つの線分Sを上底および下底とし2つの指定座標値間の長さを高さとする台形の面積At、および隣接する2つの指定座標値における各延在長さLのいずれか一方が0のときの他方の指定座標値を通ってX座標軸に平行でかつ他方の指定座標値における延在長さLの1つの線分を底辺とし2つの指定座標値間の長さを高さとする三角形の面積Atを算出する算出処理を2つの指定座標値の全ての組み合わせについて実行し、各算出処理によって算出した各面積Atを加算して有効効率領域面積AETを特定することにより、例えば、線分Sを長辺とし、隣接する2つの指定座標値間の長さの線分を短辺とする長方形の面積を算出する処理を全ての線分Sについて実行し、各長方形の面積を加算して有効効率領域面積AETを特定する方法と比較して、有効効率領域面積AETをより正確に特定することができる。
【0062】
また、この測定装置1では、座標点に基づく近似または補完によって特定した曲線Cに、指定範囲内から指定範囲の下限値を下回る向きに突出する突出部Pが存在し、突出部Pの突出長Lpが予め規定された範囲内のときには、突出部Pが指定範囲内に属するとみなして延在長さLを特定する。このため、この測定装置1によれば、近似式や補完式を用いて曲線Cを特定する際の式の特性上生じた可能性が高い曲線Cの突出部Pが指定範囲外であると取り扱われて有効効率領域面積AETが実際よりも小さく特定される事態を確実に回避することができる結果、有効効率領域面積AETをさらに正確に特定することができる。
【0063】
また、この測定装置1によれば、互いに異なる複数種類の指定範囲毎の有効効率領域面積AETを特定して各有効効率領域面積AETを示す面積データDaを生成することにより、例えば、面積データDaに基づいて指定範囲の変化に対する有効効率領域面積AETの変化を示す面積グラフGgを表示させることで、複数種類の指定範囲についての各有効効率領域面積AETを一度に把握することができるため、非接触給電装置を評価する際の利便性を十分に向上させることができる。
【0064】
また、この測定装置1によれば、互いに平行な複数の平面における各有効効率領域面積AETを示す面積データDaを生成することにより、供給側電極101と受電側電極102との間の離間距離の変化による有効効率領域面積AETの変化を把握することができる。したがって、この測定装置1によれば、非接触給電装置を多角的に評価することができる。
【0065】
また、この測定装置1によれば、表示部7を備え、処理部8が面積データDaに基づいて有効効率領域面積AETを示す面積情報画像Giを表示部7に表示させることにより、表示部7を備えずに外部の表示部に面積情報画像Giを表示させる構成とは異なり、外部の表示部と測定装置1とを接続する作業が不要なため、面積情報画像Giに基づいて非接触給電装置を評価する作業の効率を向上させることができる。
【0066】
なお、測定装置は、上記の構成に限定されない。例えば、第1の平面直交座標系としてのXY直交座標系におけるX座標およびY座標のいずれか一方としてのY座標の座標値を指定座標値として指定すると共に、X座標およびY座標の他方としてのX座標を第1座標とし、給電効率ηを第2座標とするXη直交座標系を第2の平面直交座標系として規定する例について上記したが、X座標をいずれか一方の座標としてX座標の座標値を指定座標値として指定すると共に、他方の座標としてのY座標を第1座標とし、給電効率ηを第2座標とするYη直交座標系を第2の平面直交座標系として規定する構成を採用することもできる。
【0067】
また、隣接する2つの指定座標値をそれぞれ通ってX座標軸に平行な2つの線分Sを上底および下底とする複数の台形の各面積Atを加算して有効効率領域面積AETを特定する例について上記したが、他の方法で有効効率領域面積AETを特定する構成を採用することもできる。例えば、各線分Sを長辺とし、隣接する2つの指定座標値間の長さの線分を短辺とする長方形の面積を算出する処理を全ての線分Sについて実行し、各長方形の面積を加算して有効効率領域面積AETを特定する構成を採用することもできる。
【0068】
また、非接触給電装置の供給側電極101を保持する供給側保持部21を移動機構23が移動させる構成例について上記したが、非接触給電装置の受電側電極102を保持する受電側保持部22を移動機構23が移動させる構成を採用することもできる。また、供給側電極101を保持する供給側保持部21、および受電側電極102を保持する受電側保持部22の双方を移動機構23が移動させる構成を採用することもできる。
【0069】
また、電気製品のバッテリーの充電に使用される非接触給電装置についての被測定量を測定して面積情報の生成、および面積情報を示す面積情報画像Giの表示を行う例について上記したが、測定対象の非接触給電装置は、これに限定されない。例えば、電気自動車のバッテリーを充電するのに用いられる非接触給電装置を評価対象とすることもできる。
【0070】
また、表示部7を備え、その表示部7に面積情報画像Gi(面積情報)を表示させる例について上記したが、外部の表示部に面積情報画像Giを表示させる構成を採用することもできる。また、面積情報画像Giを表示させる機能を有さずに、面積データDa(面積情報)の生成だけを行う測定装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 測定装置
4 測定部
7 表示部
8 処理部
23 移動機構
101 供給側電極
102 受電側電極
η 給電効率
AET 有効効率領域面積
At1~At9 面積
C1~C10 曲線
Da 面積データ
L20~L90 延在長さ
Lm 最大長さ
Lp 突出長
P 突出部
S20~S90 線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13