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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】密封構造
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3256 20160101AFI20230130BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20230130BHJP
【FI】
F16J15/3256
F16J15/3204 201
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018221956
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020085156
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(74)【代理人】
【識別番号】100125335
【弁理士】
【氏名又は名称】矢代 仁
(72)【発明者】
【氏名】松井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健一
(72)【発明者】
【氏名】間中 勇登
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸貴
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-048920(JP,A)
【文献】特開2011-043200(JP,A)
【文献】特開2006-046551(JP,A)
【文献】特開平11-153096(JP,A)
【文献】特開2002-048147(JP,A)
【文献】特開2017-207153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3204-15/3236
F16J 15/3252
F16J 15/3256
F16J 15/447
F16C 33/72-33/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有するハウジングと、
前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有し、
前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有し、
前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有し、
前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有し、
前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの径方向の外端の間に、第1の環状の間隙が配置されており、
前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記小径空洞部よりも直径が大きく前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された円形の中径空洞部と、前記大径空洞部と前記中径空洞部の間に配置された第1の段差面と、前記中径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された第2の段差面とを有し、
前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置され、
前記第1の段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記径方向の外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なる
ことを特徴とする密封構造。
【請求項2】
孔を有するハウジングと、
前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有し、
前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有し、
前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有し、
前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有し、
前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの径方向の外端の間に、第1の環状の間隙が配置されており、
前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された少なくとも1つの段差面とを有し、
前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置され、
前記段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記径方向の外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なり、
前記回転シール部材の前記フランジの前記径方向の外端は、前記段差面に向けて突出する円環状の突出部を有し、
前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記小径空洞部よりも直径が大きい円形の中径空洞部が配置されており、
前記中径空洞部は、前記突出部の内側に設けられ、
前記第2の環状の間隙は、前記段差面と前記突出部の間に配置されている
ことを特徴とする封構造。
【請求項3】
孔を有するハウジングと、
前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有し、
前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有し、
前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有し、
前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有し、
前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの径方向の外端の間に、第1の環状の間隙が配置されており、
前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された少なくとも1つの段差面とを有し、
前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置され、
前記段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記径方向の外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なり、
前記回転シール部材の前記フランジは、前記スリーブから径方向外側かつ前記段差面に向けて斜めに傾斜している
ことを特徴とする封構造。
【請求項4】
孔を有するハウジングと、
前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有し、
前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有し、
前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有し、
前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有し、
前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの径方向の外端の間に、第1の環状の間隙が配置されており、
前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された少なくとも1つの段差面とを有し、
前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置され、
前記段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記径方向の外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なり、
前記回転シール部材の前記スリーブは、前記小径空洞部の内部に配置されている
ことを特徴とする封構造。
【請求項5】
前記固定シール部材は、剛性環と弾性環とを有し、
前記剛性環は、前記取付け円筒部と、前記取付け円筒部から径方向内側に広がる端壁部を有し、前記端壁部の径方向内側の端部は、前記取付け円筒部に径方向において重なるよう曲折され、前記端壁部の径方向内側の端部に前記弾性環が固着され、
前記弾性環に前記シールリップが形成されている、
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の密封構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封構造に関する。
【背景技術】
【0002】
関節型ロボットのリンク(例えばアーム)は、直接モーターで回転させることもできるが、モーターから歯車減速機を介して回転させることもできる。関節型ロボットのリンクを駆動するための歯車減速機に使用されるオイルシールが知られている(特許文献1)。このオイルシールは、ケースに配置された回転するシャフトとケースの間の隙間を封止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-89609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯車減速機では、部品の回転に伴い、ハウジングの内部空間に封入されたグリースの流動圧が部分的に上昇する。この場合、グリースが内部空間から密封装置のシールリップを乗り越えて漏出するおそれがある。相対回転する部品間に配置されるシールリップには、所定の空間から漏出した液体を所定の空間に戻す効果(ポンピング効果)があることが知られている。しかし、一般に歯車減速機の最終出力軸など出力側の回転体の回転速度は非常に低いため、シールリップのポンピング効果が得られにくい。
【0005】
そこで、本発明は、低速回転する回転体に適用され、グリースの大気側への漏出を低減させる密封構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る密封構造は、孔を有するハウジングと、前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有する。前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有する。前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有する。前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有する。前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの外端の間に、第1の環状の間隙が配置されている。前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された少なくとも1つの段差面とを有する。前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置されている。前記段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なる。
【0007】
この態様においては、回転シール部材と固定シール部材の組み合わせを密封装置が有し、回転シール部材のシールリップが固定シール部材のフランジに接触する。回転シール部材のスリーブは回転体に密接し、スリーブからはフランジが広がっており、フランジの外端付近には、互いに向きが異なる第1の環状の間隙と第2の環状の間隙が配置されているため、内部空間に封入されたグリースの流動圧が高まったとしても、グリースは固定シール部材のシールリップに到達しにくく、シールリップにグリースの流動圧が直接加わりにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る密封構造の部分断面図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る密封構造の部分断面図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る密封構造の部分断面図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る密封構造の部分断面図である。
図5】本発明の第5実施形態に係る密封構造の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る複数の実施形態を説明する。実施形態に係る密封構造は、関節型ロボットのリンクを駆動するための歯車減速機のハウジングの内部空間内にグリースを密封するために使用される。
【0010】
第1実施形態
図1に示すように、第1実施形態に係る密封構造は、密封装置1と、歯車減速機のハウジング2を有する。ハウジング2には孔2Aが設けられている。密封装置1は、ハウジング2と孔2A内に配置された回転体4との間の隙間を封止し、ハウジング2の内部空間と大気側とを隔てる。回転体4は、ロボットのリンク(例えばアーム)を駆動するための回転体である。回転体4は、図示しない軸受により回転可能に支持され、孔2Aに同軸に配置されている。回転体4は、歯車減速機の最終最終出力軸であってよいが、他の回転体であってもよい。
【0011】
回転体4は円柱状であり、孔2Aは断面円形であり、密封装置1は環状であるが、図1においては、それらの左半分のみが示されている。
【0012】
密封装置1は、ハウジング2に取り付けられる固定シール部材10と、回転体4に取り付けられる回転シール部材20とを有する。
【0013】
回転シール部材20の全体は、剛性材料、例えば金属から形成されている。回転シール部材20は、スリーブ21およびフランジ23を有する。スリーブ21には、回転体4の円柱部分が締まり嵌めされる。したがって、回転シール部材20は、回転体4と共に回転させられる。フランジ23は、スリーブ21の内部空間側の端部から径方向外側に広がる。フランジ23は、回転体4の軸線方向に垂直に広がっている。フランジ23の外端24は、スリーブ21と同心円である。
【0014】
固定シール部材10は、弾性環11と剛性環12を有する複合構造を有する。弾性環11は、弾性材料、例えばエラストマーから形成されている。剛性環12は、剛性材料、例えば金属から形成されている。
【0015】
剛性環12は、取付け円筒部14と端壁部15を有する。取付け円筒部14は、ハウジング2に取り付けられる。取付け方式は限定されないが、例えば、取付け円筒部14は孔2Aに締まり嵌めされてもよい。端壁部15は、取付け円筒部14の大気側の端部から径方向内側に向けて、回転体4の軸線方向に垂直に広がっている。
【0016】
端壁部15の径方向内側の端部15aは、取付け円筒部14に径方向において重なるよう曲折されている。端壁部15の径方向内側の端部15aには、弾性環11が固着されている。
【0017】
弾性環11は、ブロック部16とシールリップ17を有する。ブロック部16は、断面矩形の円環であって、剛性環12の端壁部15の端部15aに取り付けられている。シールリップ17は、ブロック部16から径方向外側かつ内部空間に向けて斜めに延びる環である。シールリップ17は、回転シール部材20のフランジ23の大気側の面に摺動可能に接触させられる。
【0018】
回転シール部材20が回転体4と共に回転させられるのに対して、固定シール部材10はハウジング2に固定されている。図1から明らかなように、固定シール部材10の取付け円筒部14は、剛性環12のみから構成され、シールリップ17は、弾性環11のみから構成されている。
【0019】
取付け円筒部14は、回転シール部材20と同軸、かつ回転シール部材20のフランジ23よりも径方向外側に配置されている。したがって、取付け円筒部14とフランジ23の外端24の間に第1の環状の間隙25が設けられている。ここで「間隙」とは、他の空間部分よりも狭い空間を意味する。
【0020】
密封装置1は、ほぼL字形断面を有する回転シール部材20の内部空間に、ほぼU字形断面を有する固定シール部材10の一辺(弾性環11)が嵌め込まれた概略形状を有する。固定シール部材10のシールリップ17は、回転シール部材20のスリーブ21および固定シール部材10の取付け円筒部14に径方向に重なる位置で、回転シール部材20のフランジ23に接触させられる。
【0021】
ハウジング2の孔2Aは、円形の大径空洞部30、円形の中径空洞部32、円形の小径空洞部34、第1の段差面36および第2の段差面38を有する。大径空洞部30は、孔2Aの大気側の端部付近に配置されている。中径空洞部32は、大径空洞部30よりも直径が小さく大径空洞部30よりも内部空間側に配置されている。小径空洞部34は、中径空洞部32よりも直径が小さく中径空洞部32よりも内部空間側に配置されている。
【0022】
小径空洞部34の内周面と回転体4の外周面の間の空間は、内部空間からグリースが通過可能な通路となりうる。中径空洞部32の内周面と回転体4の外周面の間の空間には、小径空洞部34からグリースが流入しうる。内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入したグリースが中径空洞部32に溜まる。大径空洞部30の内周面と回転体4の外周面の間の空間には、密封装置1の全体(固定シール部材10と回転シール部材20の両方を含む)が配置されている。
【0023】
大径空洞部30と中径空洞部32の間には、第1の段差面36が配置されている。中径空洞部32と小径空洞部34の間には、第2の段差面38が配置されている。段差面36,38は、回転体4の軸線方向に垂直な平面であるが、傾斜または湾曲していてもよい。
【0024】
第1の段差面36と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に、第2の環状の間隙40が配置されている。すなわち、中径空洞部32の端に第2の環状の間隙40が配置されている。
【0025】
この実施形態においては、回転シール部材20と固定シール部材10の組み合わせを密封装置1が有し、回転シール部材20のシールリップ17が固定シール部材10のフランジ23に接触する。歯車減速機の部品の回転に伴い、ハウジング2の内部空間に封入されたグリースの流動圧が部分的に上昇することがある。したがって、図1に矢印Fで示すように、グリースは内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入しうる。
【0026】
しかし、回転シール部材20のスリーブ21は回転体4に密接し、スリーブ21からはフランジ23が広がっているため、内部空間に封入されたグリースの流動圧が高まったとしても、シールリップ17にグリースの流動圧が直接加わりにくい。例えば、密封装置1で囲まれた小空間42に空気が存在し、グリースと空気の境界面44が、中径空洞部32に存在すると想定する。グリースの流動圧の上昇に伴い、境界面44は内部空間側から大気側に移動するが、小空間42の空気が緩衝し、シールリップ17の変形を抑制する。
【0027】
内部空間内のグリースの流動圧は、回転シール部材20のフランジ23に加わりうるが、フランジ23の外端24付近には、第1の環状の間隙25と第2の環状の間隙40が、グリースの流れの障害として配置されている。このため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。しかも、第1の環状の間隙25の向きと第2の環状の間隙40の向きは異なっており、たとえ第1の環状の間隙25をグリースが通過しても、さらに向きが異なる第2の環状の間隙40を通過しにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0028】
この実施形態では、固定シール部材10と回転シール部材20を含む密封装置1が配置された大径空洞部30と、内部空間側の小径空洞部34の間に、中径空洞部32が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入したグリースが中径空洞部32に溜まる。中径空洞部32の端に第2の環状の間隙40が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙25が配置されているため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。
【0029】
剛性環12の端壁部15の径方向内側の端部15aは、取付け円筒部14に径方向において重なるよう曲折され、端壁部15の径方向内側の端部15aに弾性環11が固着されており、弾性環11は端壁部15よりも大気側に突出しない。したがって、固定シール部材10の軸線方向の長さが抑制される。特に、この実施形態では、回転シール部材20は、固定シール部材10の剛性環12の端壁部15よりも大気側に突出しない。したがって、密封装置1の軸線方向の長さを小さくすることができる。
【0030】
回転シール部材20の全体は剛性材料から形成されており、回転シール部材20の剛性が高いため、内部空間に封入されたグリースの流動圧が高まったとしても、固定シール部材10のシールリップ17を確実に保護することができる。
【0031】
また、固定シール部材10の取付け円筒部14が剛性環12のみから構成されるため、密封装置1の寸法を小さくすることができる。
【0032】
さらに、この実施形態では、密封装置1は、ほぼL字形断面を有する回転シール部材20の内部空間に、ほぼU字形断面を有する固定シール部材10の一辺が嵌め込まれた概略形状を有する。したがって、大気側から内部空間への異物(水または塵埃を含む)の侵入を低減させることができる。
【0033】
第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態に係る密封構造を示す。図2以降の図面において、すでに説明した構成要素を示すため、同一の符号が使用され、それらの構成要素については詳細には説明しない。
【0034】
この実施形態に係る密封装置51は、第1実施形態の固定シール部材10および回転シール部材20と同じ固定シール部材10および回転シール部材20を有するが、回転シール部材20の配置が第1実施形態のそれと異なる。具体的には、回転シール部材20のスリーブ21は、孔2Aの小径空洞部34の内部に配置されている。したがって、ほぼL字形断面を有する回転シール部材20の内部空間には、固定シール部材10が配置されていない。孔2Aの大径空洞部30には、固定シール部材10の全体と、回転シール部材20のフランジ23が配置されているが、スリーブ21の大部分は配置されていない。
【0035】
但し、第1実施形態と同様に、固定シール部材10の取付け円筒部14と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に第1の環状の間隙25が設けられており、第1の段差面36と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に、第2の環状の間隙40が配置されている。フランジ23の外端24付近には、第1の環状の間隙25と第2の環状の間隙40が、グリースの流れの障害として配置されている。このため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。しかも、第1の環状の間隙25の向きと第2の環状の間隙40の向きは異なっており、たとえ第1の環状の間隙25をグリースが通過しても、さらに向きが異なる第2の環状の間隙40を通過しにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0036】
この実施形態では、第1実施形態と同様に、固定シール部材10と回転シール部材20を含む密封装置1が配置された大径空洞部30と、内部空間側の小径空洞部34の間に、中径空洞部32が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入したグリースが中径空洞部32に溜まる。中径空洞部32の端に第2の環状の間隙40が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙25が配置されているため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。
【0037】
しかも、回転シール部材20のスリーブ21は、孔2Aの小径空洞部34の内部に配置されている。したがって、小径空洞部34の内周面とスリーブ21の外周面との間の空間は、グリースの流れの障害として機能する環状の間隙52である。このように、小径空洞部34には、グリースが通過可能な断面積が小さい環状の間隙52が設けられるため、グリースは小径空洞部34を通過しにくく、第2の環状の間隙40に到達しにくい。
【0038】
第3実施形態
図3は、本発明の第3実施形態に係る密封構造を示す。
【0039】
この実施形態に係る密封装置61は、第1および第2実施形態の固定シール部材10と同じ固定シール部材10を有するが、第1および第2実施形態の回転シール部材20と形状が異なる回転シール部材20を有する。
【0040】
また、孔2Aは中径空洞部32を有しない。したがって、大径空洞部30と小径空洞部34の間には、単一の段差面62が配置されている。段差面62は、回転体4の軸線方向に垂直な平面であるが、傾斜または湾曲していてもよい。
【0041】
回転シール部材20のスリーブ21は、孔2Aの小径空洞部34の内部に配置されており、小径空洞部34には、グリースが通過可能な断面積が小さい環状の間隙52が設けられている。
【0042】
回転シール部材20のフランジ23は、大径空洞部30に配置されており、フランジ23の外端24は、段差面62に向けて突出する突出部63を有する。突出部63は、円環状であり、大径空洞部30の内部の空間を区画する。したがって、孔2Aは中径空洞部32を有しないが、突出部63の内部に中径空洞部64が設けられている。この実施形態では、段差面62と突出部63の間に、第2の環状の間隙40が配置されている
【0043】
固定シール部材10の取付け円筒部14と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に第1の環状の間隙25が設けられており、単一の段差面62と回転シール部材20のフランジ23の外端24の突出部63の間に、第2の環状の間隙40が配置されている。フランジ23の外端24付近には、第1の環状の間隙25と第2の環状の間隙40が、グリースの流れの障害として配置されている。このため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。しかも、第1の環状の間隙25の向きと第2の環状の間隙40の向きは異なっており、たとえ第1の環状の間隙25をグリースが通過しても、さらに向きが異なる第2の環状の間隙40を通過しにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0044】
この実施形態では、固定シール部材10と回転シール部材20を含む密封装置1が配置された大径空洞部30と、内部空間側の小径空洞部34の間に、中径空洞部64が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部64に流入したグリースが中径空洞部64に溜まる。中径空洞部64の端に第2の環状の間隙40が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙25が配置されているため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。
【0045】
第4実施形態
図4は、本発明の第4実施形態に係る密封構造を示す。
【0046】
この実施形態に係る密封装置71は、第1~第3実施形態の固定シール部材10と同じ固定シール部材10を有するが、第1~第3実施形態の回転シール部材20と形状が異なる回転シール部材20を有する。ハウジング2の孔2Aは、第1および第2実施形態の孔2Aと同じである。
【0047】
回転シール部材20のスリーブ21は、孔2Aの小径空洞部34の内部に配置されており、小径空洞部34には、グリースが通過可能な断面積が小さい環状の間隙52が設けられている。
【0048】
回転シール部材20のフランジ23は、スリーブ21から径方向外側かつ段差面に向けて斜めに傾斜している。すなわち、フランジ23とスリーブ21の間の角度は鋭角である。したがって、内部空間から小径空洞部34の環状の間隙52を通過したグリースの流れFがフランジ23によって反転させられ、このためグリースの勢いがそがれ、グリースは第2の環状の間隙40に到達しにくい。
【0049】
固定シール部材10の取付け円筒部14と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に第1の環状の間隙25が設けられており、第1の段差面36と回転シール部材20のフランジ23の外端24の突出部63の間に、第2の環状の間隙40が配置されている。フランジ23の外端24付近には、第1の環状の間隙25と第2の環状の間隙40が、グリースの流れの障害として配置されている。このため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。しかも、第1の環状の間隙25の向きと第2の環状の間隙40の向きは異なっており、たとえ第1の環状の間隙25をグリースが通過しても、さらに向きが異なる第2の環状の間隙40を通過しにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0050】
この実施形態では、固定シール部材10と回転シール部材20を含む密封装置1が配置された大径空洞部30と、内部空間側の小径空洞部34の間に、中径空洞部32が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入したグリースが中径空洞部32に溜まる。中径空洞部32の端に第2の環状の間隙40が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙25が配置されているため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。
【0051】
第5実施形態
図5は、本発明の第5実施形態に係る密封構造を示す。
【0052】
この実施形態に係る密封装置81は、第1~第4実施形態の固定シール部材10と同じ固定シール部材10を有するが、第1~第4実施形態の回転シール部材20と形状が異なる回転シール部材20を有する。ハウジング2の孔2Aは、第1、第2および第4実施形態の孔2Aと同じである。
【0053】
第1実施形態と類似して、孔2Aの大径空洞部30の内周面と回転体4の外周面の間の空間には、密封装置1の全体(固定シール部材10と回転シール部材20の両方を含む)が配置されている。
【0054】
回転シール部材20のフランジ23は、スリーブ21から径方向外側かつ段差面に向けて斜めに傾斜している。すなわち、フランジ23とスリーブ21の間の角度は鈍角である。したがって、内部空間から小径空洞部34の環状の間隙52を通過したグリースの流れFがフランジ23によって反転させられ、このためグリースの勢いがそがれ、グリースは第2の環状の間隙40に到達しにくい。
【0055】
固定シール部材10の取付け円筒部14と回転シール部材20のフランジ23の外端24の間に第1の環状の間隙25が設けられており、第1の段差面36と回転シール部材20のフランジ23の外端24の突出部63の間に、第2の環状の間隙40が配置されている。フランジ23の外端24付近には、第1の環状の間隙25と第2の環状の間隙40が、グリースの流れの障害として配置されている。このため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。しかも、第1の環状の間隙25の向きと第2の環状の間隙40の向きは異なっており、たとえ第1の環状の間隙25をグリースが通過しても、さらに向きが異なる第2の環状の間隙40を通過しにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0056】
この実施形態では、固定シール部材10と回転シール部材20を含む密封装置1が配置された大径空洞部30と、内部空間側の小径空洞部34の間に、中径空洞部32が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部34を経て中径空洞部32に流入したグリースが中径空洞部32に溜まる。中径空洞部32の端に第2の環状の間隙40が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙25が配置されているため、グリースは固定シール部材10のシールリップ17に到達しにくい。
【0057】
他の変形例
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【0058】
例えば、図1に示すフランジ23の外端24に、図3と同様の突出部63を設けてもよい。この場合、第2の環状の間隙40は、外端24と第1の段差面36の間の間隙であってもよいし、外端24と第2の段差面38の間の間隙であってもよい。あるいは、図3と同様に、孔2Aの中径空洞部32を排除してもよく、この場合、第2の環状の間隙40は、外端24と単一の段差面62の間の間隙であってもよい。いずれにせよ、第2の環状の間隙40はグリースの流れを阻害するであろう。
【0059】
図4および図5に示すフランジ23の外端24に、図3と同様の突出部63を設けてもよい。この場合、第2の環状の間隙40は、外端24と第1の段差面36の間の間隙であってもよいし、外端24と第2の段差面38の間の間隙であってもよい。いずれにせよ、第2の環状の間隙40はグリースの流れを阻害するであろう。
【0060】
上記の実施形態において、密封装置は、関節型ロボットのリンクを駆動するための歯車減速機のハウジングの内部空間内にグリースを密封するために、歯車減速機のハウジング2と、ハウジング2に設けられた孔2A内に配置された回転体4との間の隙間を封止する。しかし、密封装置は、他の歯車減速機のハウジングの内部空間内にグリースを密封するために使用されてもよい。
【0061】
また、密封装置は、歯車減速機以外の装置のハウジングの内部空間内にグリースを密封するために、ハウジングと、ハウジングに設けられた孔内で低速回転する回転体との間の隙間を封止する使用されてもよい。例えば、精密機械のターンテーブルの回転軸と、回転軸のハウジングとの間の隙間を封止するために、密封装置が使用されてもよい。あるいは、旋回型カメラまたは旋回型送風機の回転軸と、回転軸のハウジングとの間の隙間を封止するために、密封装置が使用されてもよい。
【0062】
本発明の態様は、下記の番号付けされた条項にも記載される。
【0063】
条項1. 孔を有するハウジングと、
前記ハウジングと前記孔内に配置された回転体との間の隙間を封止し、前記ハウジングの内部空間と大気側とを隔てる密封装置とを有し、
前記密封装置は、前記ハウジングに取り付けられる固定シール部材と、前記回転体に取り付けられる回転シール部材とを有し、
前記回転シール部材は、前記回転体の円柱部分が締まり嵌めされるスリーブと、前記スリーブから径方向外側に広がるフランジとを有し、
前記固定シール部材は、前記ハウジングに取り付けられる取付け円筒部と、前記取付け円筒部より径方向内側に配置され、前記回転シール部材の前記フランジに摺動可能に接触させられるシールリップとを有し、
前記固定シール部材の前記取付け円筒部と、前記回転シール部材の前記フランジの外端の間に、第1の環状の間隙が配置されており、
前記孔は、円形の大径空洞部と、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記大径空洞部よりも前記内部空間側に配置された円形の小径空洞部と、前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された少なくとも1つの段差面とを有し、
前記大径空洞部には、前記固定シール部材が配置され、
前記段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記外端の間に、第2の環状の間隙が配置されており、前記第2の環状の間隙の向きは前記第1の環状の間隙の向きと異なる
ことを特徴とする密封構造。
【0064】
この態様においては、回転シール部材と固定シール部材の組み合わせを密封装置が有し、回転シール部材のシールリップが固定シール部材のフランジに接触する。回転シール部材のスリーブは回転体に密接し、スリーブからはフランジが広がっており、フランジの外端付近には、互いに向きが異なる第1の環状の間隙と第2の環状の間隙が配置されているため、内部空間に封入されたグリースの流動圧が高まったとしても、グリースは固定シール部材のシールリップに到達しにくく、シールリップにグリースの流動圧が直接加わりにくい。したがって、グリースが大気側に漏出するおそれが少ない。
【0065】
条項2. 前記大径空洞部と前記小径空洞部の間に、前記大径空洞部よりも直径が小さく前記小径空洞部よりも直径が大きい円形の中径空洞部が配置されており、
前記中径空洞部の端に前記第2の環状の間隙が配置されている
ことを特徴とする条項1に記載の密封構造。
【0066】
この場合には、固定シール部材が配置された大径空洞部と、内部空間側の小径空洞部の間に、中径空洞部が配置されているため、内部空間の圧力が高まっても、内部空間から小径空洞部を経て中径空洞部に流入したグリースが中径空洞部に溜まる。中径空洞部の端に第2の環状の間隙が配置されており、さらにその付近には第1の環状の間隙が配置されているため、グリースは固定シール部材のシールリップに到達しにくい。
【0067】
条項3. 前記中径空洞部は、前記孔に設けられ、
前記少なくとも1つの段差面は、前記大径空洞部と前記中径空洞部の間に配置された第1の段差面と、前記中径空洞部と前記小径空洞部の間に配置された第2の段差面を有し、
前記第2の環状の間隙は、前記第1の段差面と、前記回転シール部材の前記フランジの前記外端の間に配置されている
ことを特徴とする条項2に記載の密封構造。
【0068】
条項4. 前記回転シール部材の前記フランジの前記外端は、前記段差面に向けて突出する円環状の突出部を有し、
前記中径空洞部は、前記突出部の内側に設けられ、
前記第2の環状の間隙は、前記段差面と前記突出部の間に配置されている
ことを特徴とする条項2に記載の密封構造。
【0069】
条項5. 前記回転シール部材の前記フランジは、前記スリーブから径方向外側かつ前記段差面に向けて斜めに傾斜している
ことを特徴とする条項1から4のいずれか1項に記載の密封構造。
【0070】
この場合には、内部空間から小径空洞部を通過したグリースの流れがフランジによって反転させられる。したがってグリースの勢いがそがれ、グリースは第2の環状の間隙に到達しにくい。
【0071】
条項6. 前記回転シール部材の前記スリーブは、前記小径空洞部の内部に配置されている
ことを特徴とする条項1から5のいずれか1項に記載の密封構造。
【0072】
この場合には、小径空洞部のうちグリースが通過可能な断面積が小さいため、グリースは小径空洞部を通過しにくく、第2の環状の間隙に到達しにくい。
【0073】
条項7. 前記固定シール部材は、剛性環と弾性環とを有し、
前記剛性環は、前記取付け円筒部と、前記取付け円筒部から径方向内側に広がる端壁部を有し、前記端壁部の径方向内側の端部は、前記取付け円筒部に径方向において重なるよう曲折され、前記端壁部の径方向内側の端部に前記弾性環が固着され、
前記弾性環に前記シールリップが形成されている、
ことを特徴とする条項1から6のいずれか1項に記載の密封構造。
【0074】
この場合には、端壁部の径方向内側の端部は、取付け円筒部に径方向において重なるよう曲折され、ここに弾性環が固着されているので、固定シール部材の軸線方向の長さが抑制される。
【符号の説明】
【0075】
1,51,61,71,81 密封装置
2 ハウジング
2A 孔
4 回転体
10 固定シール部材
11 弾性環
12 剛性環
14 取付け円筒部
15 端壁部
15a 端部
16 ブロック部
17 シールリップ
20 回転シール部材
21 スリーブ
23 フランジ
24 外端
25 第1の環状の間隙
30 大径空洞部
32 中径空洞部
34 小径空洞部
36 第1の段差面
38 第2の段差面
40 第2の環状の間隙
62 段差面
63 突出部
64 中径空洞部
図1
図2
図3
図4
図5