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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】培地交換装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/02 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
C12M1/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019011573
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020115817
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好一
【審査官】竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190314(WO,A1)
【文献】特開2015-152561(JP,A)
【文献】特開2016-185089(JP,A)
【文献】特開2016-123309(JP,A)
【文献】特表2017-532052(JP,A)
【文献】特表2010-520127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
G01N 23/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養物と培地とが容れられる培養容器と、
前記培養容器内に培地を供給する培地供給手段と、
前記培養容器内から培地を排出する培地排出手段と、
内容物が容れられた前記培養容器の重量を測定する培養容器用重量測定手段と、
該培養容器重量測定手段により得られた前記内容物が容れられた培養容器の重量に基づき、前記培地供給手段と前記培地排出手段を制御する制御手段とよりなり、
前記培養容器内の内容物を撹拌するための撹拌手段を設けると共に、
前記制御手段に、前記培養容器用重量測定手段が取得する重量から、前記撹拌手段の撹拌に基づく重量を演算し、記憶する演算記憶部と、
前記培養容器重量測定手段により測定される重量から、前記記憶した撹拌手段の撹拌に基づく重量を取り除き、内容物を含んだ培養容器の真の重量を演算する演算部を設け、
前記制御手段により、該演算された真の重量に基づき、前記培地供給手段と前記培地排出手段を制御することを特徴とする培地交換装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、往復動撹拌手段であることを特徴とする請求項1に記載の培地交換装置。
【請求項3】
前記撹拌手段は、上下往復動撹拌手段であることを特徴とする請求項に記載の培地交換装置。
【請求項4】
前記撹拌手段は、回転撹拌手段であることを特徴とする請求項に記載の培地交換装置。
【請求項5】
前記制御手段に、第1の所望の時において、前記培養容器用重量測定手段により内容物を含む培養容器の重量を測定し、該測定された重量を初期重量値として記憶する演算記憶部と、
前記第1の所望の時から所望の時間経過した後に、前記培養容器用重量測定手段の電源をオフしてからオンする電源オンオフ制御部と、
該電源オンオフ制御部により、前記培養容器用重量測定手段の電源をオフしてからオンした直後に、前記培養容器用重量測定手段により測定した、前記内容物を含んだ培養容器の重量を、前記記憶した初期重量値に置き換える重量校正部とを有することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の培地交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度に、連続培地交換や定量培地交換などを行うことができる培地交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、培養容器内で、iPS細胞や動植物の細胞や菌体等の培養物を高密度で培養するためには、該培養物を培養液等の培地内で培養しながら、フレッシュな培地と老廃物を含む培地との交換が必要となる。
【0003】
図3は、従来の培地交換装置1を示し、該培地交換装置1は、培養容器2と、該培養容器2内に容れられた内容物を撹拌する撹拌装置(撹拌手段)3と、前記培養容器2内に培地を供給する培地供給手段4と、前記培養容器2内の培地を外部に排出する培地排出手段5と、前記培地供給手段4と前記培地排出手段5とを制御する制御装置6とよりなる。
【0004】
前記培養容器2は、例えば、有底の円筒状に形成され、該培養容器2内には、例えば、動植物の細胞や菌体等の培養物と、培養液等の培地とが容れられている。
【0005】
なお、前記培養容器2は、例えば、床7に載置固定された培養容器固定台8の側面から側方に延びるアーム部8aに固定される。
【0006】
前記撹拌装置3は、例えば、撹拌翼を駆動軸周りに回転させて内容物を撹拌する回転撹拌装置や、撹拌翼の駆動軸方向に往復移動させて内容物を撹拌する往復動撹拌装置等の、所望の周期(所望の周波数)、振幅等で、撹拌翼を回転・振動等駆動させて撹拌する装置がある。
【0007】
例えば、撹拌翼を上下方向に往復動させて内容物を撹拌する上下動撹拌装置は、図1に示すように、垂設された駆動軸9と、該駆動軸9を該駆動軸方向に、例えば上下方向に往復動させる往復動装置10と、前記駆動軸9の下端に設けられた、例えば、長径と短径とより形成される撹拌翼、例えば、矩形状、又は、楕円形状の撹拌翼11とよりなり、前記往復動装置10は、例えば、前記培養容器固定台8の上部から側方に突出した突出部8bの下面に固定され、該往復動装置10の前記駆動軸9は、例えば、前記培養容器2の天井部の中央の開口部を貫通して、前記培養容器2内に挿入される。
【0008】
なお、前記往復動装置10を、前記培養容器固定台8に固定する代わりに、前記培養容器2の天井部等に固定するようにしてもよい。
【0009】
前記培地供給手段4は、例えば、培地供給管12と、供給ポンプ13と、培地供給タンク14と、該培地供給タンク14の重量を測定する供給タンク用重量計15とよりなり、前記培地供給管12の一端は、前記培養容器2内に挿入され、他端は、前記供給ポンプ13を介して、前記培養容器2の外部に設けられた前記培地供給タンク14に接続されている。そして、前記培地供給タンク14内のフレッシュな培地が、前記供給ポンプ13により、前記培地供給管12を通って、前記培養容器2内に供給されるようになる。
【0010】
また、前記培地排出手段5は、例えば、培地排出管16と、排出ポンプ17と、培地排出タンク18と、該培地排出タンク18の重量を測定する排出タンク用重量計19とよりなり、前記培地排出管16の一端は、前記培養容器2内に挿入され、他端は、前記排出ポンプ17を介して、前記培養容器2の外部に設けられた前記培地排出タンク18に接続されている。そして、前記培養容器2内の老廃物を含む培地が、前記排出ポンプ17により、前記培地排出管16を通って、前記培地排出タンク18内に排出されるようになる。
【0011】
なお、前記培地排出管16の一端開口部には、例えば、培養物を通過しないが老廃物を含む培地を通過するフィルター(図示せず)で塞がれ、前記培養容器2内の内容物のうち、培地のみを排出できるようになる。
【0012】
また、前記制御装置6は、例えば、前記供給タンク用重量計15からの重量情報を取得する供給タンク重量取得部6aと、前記排出タンク用重量計19からの重量情報を取得する排出タンク重量取得部6bと、前記供給ポンプ13を駆動する供給ポンプ制御部6cと、前記排出ポンプ17を駆動する排出ポンプ制御部6dと、前記供給タンク重量取得部6aと前記排出タンク重量取得部6bとから得た重量情報に基づき、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御する制御部6eとよりなる。
【0013】
そして、前記撹拌装置3により前記培養容器2内の内容物を撹拌しながら培養等し、所望の時間経過後に、培地交換のために、該撹拌装置3を停止し、又は、前記撹拌装置3により内容物を撹拌しながら、前記制御部6eにより、培地の供給量(供給タンクの重量減少量)と排出量(排出タンクの重量増加量)とが常に同じになるように、前記各駆動部6c、6dを駆動させて、培養容器内における培地容量を一定に保つようにしていた。
【0014】
または、前記培養容器内の培地容量が所望の量(所望の増減量)となるように、前記制御部6eにより、培地の供給量(供給タンクの重量減少量)と排出量(排出タンクの重量増加量)とを調整していた。
【0015】
このように培地交換をすることにより、連続培地交換や、定量培地交換を行うことができるようになる。
【0016】
例えば、撹拌培養装置としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特許第6423942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、前記従来の培地交換装置においては、前記培地供給管12内の液の量や、前記培地排出管16内の液の量が常に一定とは限らないので、例えば、培地の供給量(供給タンクの重量減少量)と排出量(排出タンクの重量増加量)とが常に同じになるように、各駆動部6c、6dを駆動させても、前記培養容器2内の培地容量(内容物量)が一定でない場合があり、また、ポンプヘッド内で、常に扱われるチューブのダメージにより、ポンプごとの流量が変化するため、完全な供給・排出制御は困難であった。
【0019】
本発明は、前記の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の目的を達成すべく、本発明の培地交換装置は、培養物と培地とが容れられる培養容器と、前記培養容器内に培地を供給する培地供給手段と、前記培養容器内から培地を排出する培地排出手段と、内容物が容れられた前記培養容器の重量を測定する培養容器用重量測定手段と、該培養容器重量測定手段により得られた前記内容物が容れられた培養容器の重量に基づき、前記培地供給手段と前記培地排出手段を制御する制御手段とよりなり、前記培養容器内の内容物を撹拌するための撹拌手段を設けると共に、前記制御手段に、前記培養容器用重量測定手段が取得する重量から、前記撹拌手段の撹拌に基づく重量を演算し、記憶する演算記憶部と、前記培養容器重量測定手段により測定される重量から、前記記憶した撹拌手段の撹拌に基づく重量を取り除き、内容物を含んだ培養容器の真の重量を演算する演算部を設け、前記制御手段により、該演算された真の重量に基づき、前記培地供給手段と前記培地排出手段を制御することを特徴とする。
【0021】
また、前記撹拌手段は、往復動撹拌手段であることを特徴とする。
【0022】
また、前記撹拌手段は、上下往復動撹拌手又は、回転撹拌手段であることを特徴とする。
【0023】
また、前記制御手段に、第1の所望の時において、前記培養容器用重量測定手段により内容物を含む培養容器の重量を測定し、該測定された重量を初期重量値として記憶する演算記憶部と、前記第1の所望の時から所望の時間経過した後に、前記培養容器用重量測定手段の電源をオフしてからオンする電源オンオフ制御部と、該電源オンオフ制御部により、前記培養容器用重量測定手段の電源をオフしてからオンした直後に、前記培養容器用重量測定手段により測定した、前記内容物を含んだ培養容器の重量を、前記記憶した初期重量値に置き換える重量校正部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高精度に、連続培地交換や定量培地交換などを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の培地交換装置の縦断面図である。
図2】本発明の培養交換装置の説明図である。
図3】従来の培地交換装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0027】
本発明の実施例1を図1によって説明する。
【0028】
なお、従来と同じ部分の符号は同じとし、その説明を省略する。
【0029】
本発明の培地交換装置20は、図1に示すように、前記従来の培地交換装置1において、培地供給タンク14の重量を測定する培地タンク用重量計15と、培地排出タンク18の重量を測定する排出タンク用重量計19を用いる代わりに、ロードセルなどの培養容器用重量計(培養容器用重量測定手段)21を設け、該培養容器用重量計21により、内容物を含んだ前記培養容器2の重量を測定するようにする。
【0030】
なお、前記培養容器2は、前記培養容器固定台8に固定されず、そして、前記培養容器用重量計21は、例えば、前記固定台8のアーム部8aの上面に固定して設けられ、該培養容器用重量計21の上面に、前記培養容器2が載せられることにより、内容物を含んだ培養容器2の重量(質量)が測定されるようになる。
【0031】
なお、前記培養容器2の重量とは、前記往復動装置10など、撹拌翼を駆動させる駆動装置が、前記培養容器2に固定されている場合には、該撹拌装置3も含む重量である。しかしながら、前記駆動装置が、前記培養容器2に固定されず、培養容器固定台8等に固定されているような場合には、前記培養容器2の重量には、駆動軸9や撹拌翼11などの撹拌装置3の重量を含まない重量となる。
【0032】
また、前記内容物を含んだ培養容器2の重量とは、撹拌開始時における重量を、基準重量(例えば、0など)として、この基準重量からの増減量であってもよい。
【0033】
また、前記制御装置6において、供給タンク重量取得部6aと、排出タンク重量取得部6bとを設ける代わりに、前記培養容器用重量計21からの重量情報を取得する培養容器重量取得部6fを設け、前記制御部6eにより、前記培養容器重量取得部6fから得た重量情報に基づき、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御するようにする。
【0034】
次に、本発明の培地交換装置20の作動及びその効果について説明する。
【0035】
前記培養容器2内に、例えば、動植物の細胞や菌体等の培養物と、培養液等の培地との内容物が所望量容れられる。
【0036】
そして、前記培養容器2内の内容物を、例えば、前記往復動装置10により、前記撹拌翼11を上下動して撹拌しながら、所望の時間、培養物を培養する。
【0037】
なお、前記往復動装置10の撹拌翼11の往復動(振動)は、超振動撹拌のような高周波数による振動ではなく、例えば、5Hz以下、好ましくは、2Hz以下の撹拌翼11の上下動に基づく、低せん断作用により往復動させるようにする。
【0038】
また、培地交換をしない時には、例えば、前記培地供給管12及び前記培地排出管16の弁等を塞いで、前記培地供給手段4及び前記培地排出手段5から培地を供給・排出しないようにする。
【0039】
そして、所望の時間経過後に、フレッシュな培地と老廃物を含む培地とを培地交換するために、該培地交換の開始から完了までの間、前記培養容器2内の内容物を前記撹拌翼11により撹拌しながら、又は、撹拌を停止して、前記制御部6eにより、前記培養容器重量取得部6fから前記培養容器2の重量情報を取得して、そして、この取得した重量情報から、前記内容物を含んだ培養容器2の重量が、例えば、常に同じになるように、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御して、常に、培養容器2内における培地容量が一定に保つようにする。
【0040】
なお、前記培養容器2内における培地容量を所望量に変化させる場合にも、前記制御部6eにより、前記培養容器重量取得部6fから取得した重量情報から、前記内容物を含んだ培養容器2の重量が所望量となるように、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御するようにする。
【0041】
本発明によれば、チューブの状況や、ポンプの劣化等にかかわらず、常に培養容器内の培地容量(内容物量)を正確に一定に保つことができ、又は、所望量とすることができ、高精度に、連続培地交換や、定量培地交換を行うことができるようになる。
【実施例2】
【0042】
前記実施例1の培地交換装置20において、前記撹拌装置3により、撹拌翼を回転させて又は往復動等させて内容物を撹拌させて、内容物を含んだ培養容器2の重量を、前記培養容器用重量計21で測定した場合、内容物を含んだ培養容器2の実際の重量(真の重量)に変化がなくても、前記培養容器重量計21は、回転動や往復動等の影響による重量も取得して、該重量を含めた重量を測定してしまうようになる。
【0043】
例えば、撹拌装置3として、上下往復動装置10を用いて、撹拌翼11を上下動させて、内容物を含んだ培養容器2の重量を、前記培養容器用重量計21で測定した場合、内容物を含んだ培養容器2の実際の重量(真の重量)に変化がなくても、前記培養容器用重量計21は、上下往復動装置10の撹拌翼11の上下動の振動に対応して、図3に示すように、上下動波形に基づく、撹拌翼11の上下動(上下モーション)による重量変化も取得して、該重量変化を含めた重量を測定してしまうようになる。
【0044】
そこで、本発明の第2の実施例においては、前記制御装置6に、内容物を含んだ培養容器2の重量以外の、撹拌翼の駆動に基づく前記培養容器重量計21が検知してしまう重量を取り除くフィルター部を設けるようにする。
【0045】
即ち、前記制御装置6に、撹拌翼の回転動に基づく重量の影響や、撹拌翼11の往復動に基づく重量の影響など、撹拌翼の駆動に基づく重量の影響を取り除くフィルター部を設け、前記培養容器用重量計21で取得した重量を、前記フィルター部により、撹拌翼の駆動に基づく重量の影響を除き、前記撹拌翼の駆動に基づく重量の影響のない、内容物を含んだ培養容器2の真の重量を演算し、そして、該演算された真の重量が、例えば、同じになるように、前記制御部6eにより、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御するようにする。
【0046】
前記フィルター部は、例えば、撹拌翼11の駆動情報(回転・振動等情報)と前記培養容器用重量計21で得られた重量情報とから、該重量情報の波形解析等により、該撹拌翼の駆動(回転・振動等)に応じた、撹拌翼の駆動のみに基づく重量(例えば、上下動波形などの波形)を演算し、該演算された重量を記憶する重量演算記憶部と、前記培養容器用重量計21で得られた重量から、前記撹拌翼の駆動(回転・振動等)に応じた、前記撹拌翼の撹拌に基づく前記記憶された重量を差し引いて、真の重量を演算する真の重量演算部とよりなり、そして、前記制御部6eは、該フィルター部により演算された真の重量に基づいて、該真の重量が、例えば、同じになるように、前記制御部6eにより、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御するようにする。
【0047】
前記撹拌翼の駆動(回転・振動等)に応じた、前記撹拌翼の撹拌に基づく重量の取得は、例えば、前記培地交換を開始する前の培地の供給・排出を行わず、撹拌翼11を上下動等駆動させた状態において、前記撹拌翼の駆動情報(回転・振動等情報)と共に、前記培養容器用重量計21により、前記培養容器の重量を取得し、得られた重量情報から波形解析等を行い、前記撹拌翼11の上下動の振幅等に対応した、撹拌翼の撹拌に基づく重量を演算して取得するようにする。
【0048】
また、前記撹拌翼の駆動(回転・振動等)に応じた、前記撹拌翼の撹拌に基づく重量の取得は、例えば、培地の供給・排出を行いながら撹拌翼を駆動している間に、前記撹拌翼の駆動に応じて、前記培養容器用重量計21により、前記培養容器の重量を取得し、例えば、得られた重量情報と、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御状況から、前記撹拌翼の駆動に応じた、重量を取得するようにする。
【0049】
なお、前記撹拌翼の駆動(回転・振動等)に応じた、前記撹拌翼の撹拌に基づく重量の取得において、予め、前記培養容器用重量計21により、撹拌翼を駆動しない状態における培養容器の重量を記憶し、この重量を基にして、前記撹拌翼の駆動に基づく重量演算するようにしてもよい。
【0050】
そして、撹拌翼を駆動させながら、培地交換する場合には、前記培養容器用重量計21により得られた重量と、前記重量演算記憶部に記憶された撹拌翼の駆動に応じた重量とから、内容物を含んだ培養容器2の真の重量を演算し、該真の重量に基づき、前記供給ポンプ制御部6cと前記排出ポンプ制御部6dとを制御して、例えば、前記真の重量が同じになるように、培地を供給・排出するようにする。
【0051】
本発明の第2の実施例によれば、上下動撹拌など、撹拌翼を駆動しながらでも、高精度に、連続培地交換や定量培地交換などを行うことができるようになる。
【実施例3】
【0052】
本発明の第3の実施例においては、前記第1、第2の実施例の培地交換装置において、ロードセルなどの培養容器用重量計21の温度ドリフトの影響を取り除くようにする。
【0053】
即ち、前記第1、第2の実施例の培地交換装置の制御装置6に、該培養容器用重量計21の電源をオンとした測定開始時や、測定開始後の撹拌開始時などの重量測定中の第1の所望の時において、前記培養容器用重量計21により測定された前記内容物を含む培養容器の重量を初期重量値として記憶する初期重量値演算記憶部と、前記第1の所望の時から所望の時間経過した後に、前記ロードセルなどの培養容器用重量計21の電源をオフした後、オンとする電源オンオフ制御部と、該電源オンオフ制御部により、前記培養容器用重量計21の電源をオフし、そしてオンした直後の第2の所望の時に測定された前記内容物を含む培養容器の重量を、前記初期重量値に置き換える重量校正部とを設ける。
【0054】
即ち、第1の工程で、まず、前記培養容器用重量計21の電源をオンとして前記培養容器用重量計21により測定を開始し、この測定開始時や撹拌開始時などの重量測定中の第1の所望の時において、前記培養容器用重量計21により測定された前記内容物を含む培養容器2の重量が、例えば、500gであれば、この500gを、初期重量値として、前記初期重量値演算記憶部に記憶させる。
【0055】
次に、第二の工程で、前記第1の所望の時から所望の時間経過した後に、前記電源オンオフ制御部により、前記ロードセルなどの培養容器用重量計21の電源をオフし、そして、オンとした直後の第2の所望の時に測定された前記内容物を含む培養容器の重量が、例えば、505gであれば、該値を、前記重量校正部により、前記記憶した初期重量値である、例えば、前記500gに置き換えるようにする。
【0056】
そして、必要に応じ、更に、第三の工程において、前の工程において、電源をオフからオンとした直後から所望の時間経過した後に、前記電源オンオフ制御部により、再度、前記培養容器用重量計21の電源をオフし、そして、オンとし、その直後に測定された前記内容物を含む培養容器の重量を、前記重量校正部により、前記初期重量値に置き換えるようにし、この第3の工程を必要に応じて、1または複数回繰り返し、常に、内容物を含む培養容易の重量が、基準重量となるように設置するようにする。
【0057】
なお、例えば、前記第一の工程から第二の工程の操作、又は、前記第一の工程から第三の工程の操作、又は前記第二の工程の操作から前記第三の工程の操作、又は、前記第三の工程は、培地の供給・排出が行われない間において行われる。
【0058】
本発明の第3の実施例によれば、温度ドリフトも除去できるようになり、高精度に、連続培地交換や定量培地交換などを行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の培地抜出機能を有した往復動撹拌培養装置は、医療品関係、食品関係等における培養装置に利用される。
【符号の説明】
【0060】
1 培地交換装置
2 培養容器
3 撹拌装置
4 培地供給手段
5 培地排出手段
6 制御装置
6a 供給タンク重量取得部
6b 排出タンク重量取得部
6c 供給ポンプ制御部
6d 排出ポンプ制御部
6e 制御部
6f 培養容器重量取得部
7 床
8 培養容器固定台
8a アーム部
8b 突出部
9 駆動軸
10 往復動装置
11 撹拌翼
12 培地供給管
13 供給ポンプ
14 培地供給タンク
15 供給タンク用重量計
16 培地排出管
17 排出ポンプ
18 培地排出タンク
19 排出タンク用重量計
20 培地交換装置
21 培養容器用重量計
図1
図2
図3