(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】燃焼情報の提供方法、燃焼情報提供装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F23N 5/00 20060101AFI20230130BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
F23N5/00 J
F23N5/24 104
F23N5/24 107Z
(21)【出願番号】P 2019079957
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】菊池 賢太
(72)【発明者】
【氏名】茂木 徹
(72)【発明者】
【氏名】矢川 憲利
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0117187(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104534505(CN,A)
【文献】特開平02-008612(JP,A)
【文献】特開2003-308118(JP,A)
【文献】特開2008-097643(JP,A)
【文献】特開2011-099666(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017007799(DE,A1)
【文献】国際公開第2000/050816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 1/00 - 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼設備の煙道における燃焼排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段を用いて当該燃焼排ガスの酸素濃度情報を取得し、取得した当該酸素濃度情報を当該燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該酸素濃度情報に基づ
く当該燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報
であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信することを特徴とする燃焼情報の提供方法。
【請求項2】
前記煙道における前記燃焼排ガスの温度を測定する温度測定手段から取得した当該温度に関する温度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該温度情報および前記酸素濃度情報に基づく前記燃焼情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項3】
前記燃焼情報は、前記燃焼設備の燃焼に関するアドバイス情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項4】
前記アドバイス情報は、前記燃焼設備の過去の燃焼情報と現在の燃焼情報とを用いて提供されることを特徴とする請求項3に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項5】
前記アドバイス情報は、前記燃焼設備とは異なる他の燃焼設備の煙道にて測定された燃焼排ガスの酸素濃度情報に基づく当該他の燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報を用いて提供されることを特徴とする請求項3に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項6】
前記燃焼情報は、前記燃焼設備の燃焼条件に係わる調整に応じて得られる効果情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項7】
前記燃焼設備の前記煙道以外から得られる当該燃焼設備に関する他の情報を取得し、取得した他の情報を当該燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該他の情報および前記酸素濃度情報に基づいて前記燃焼情報を送信することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の燃焼情報の提供方法。
【請求項8】
燃焼設備の煙道に設けられて当該燃焼設備の燃焼排ガスを測定する煙道測定手段を用いて当該燃焼排ガスに関する酸素濃度情報を取得する取得部と、
取得した前記酸素濃度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持する保持部と、
保持された前記酸素濃度情報に基づ
く前記燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報
であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信する送信部と、
を備えることを特徴とする燃焼情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータに、
燃焼設備の煙道に設けられて当該燃焼設備の燃焼排ガスを測定する煙道測定手段を用いて当該燃焼排ガスに関する酸素濃度情報を取得する機能と、
取得した前記酸素濃度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持させる機能と、
保持された前記酸素濃度情報に基づ
く前記燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報
であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信する機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼情報の提供方法、燃焼情報提供装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ボイラー等の燃焼診断装置で、ITVカメラ(工業用テレビカメラ)を用いて計測した火炎画像と、あらかじめ記憶しておいた標準火炎像を比較し、火炎画像の差が所定レベル以上のとき異形火炎と判断する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、燃焼設備における燃焼空気比などは、バーナ火炎の安定化や熱効率などに影響する。そのため、燃焼設備における燃焼空気比などの燃焼情報をユーザに提供できれば、燃焼設備のユーザは、燃焼情報に基づいて燃焼設備の管理を適切に行うことができる。
本発明は、燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報をユーザに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、燃焼設備の煙道における燃焼排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段を用いて当該燃焼排ガスの酸素濃度情報を取得し、取得した当該酸素濃度情報を当該燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該酸素濃度情報に基づく当該燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信することを特徴とする燃焼情報の提供方法である。
ここで、前記煙道における前記燃焼排ガスの温度を測定する温度測定手段から取得した当該温度に関する温度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該温度情報および前記酸素濃度情報に基づく前記燃焼情報を送信することを特徴とする。
また、前記燃焼情報は、前記燃焼設備の燃焼に関するアドバイス情報を含むことを特徴とする。
そして、前記アドバイス情報は、前記燃焼設備の過去の燃焼情報と現在の燃焼情報とを用いて提供されることを特徴とする。
また、前記アドバイス情報は、前記燃焼設備とは異なる他の燃焼設備の煙道にて測定された燃焼排ガスの酸素濃度情報に基づく当該他の燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報を用いて提供されることを特徴とする。
さらに、前記燃焼情報は、前記燃焼設備の燃焼条件に係わる調整に応じて得られる効果情報を含むことを特徴とする。
そして、前記燃焼設備の前記煙道以外から得られる当該燃焼設備に関する他の情報を取得し、取得した他の情報を当該燃焼設備に関連付けて保持し、保持された当該他の情報および前記酸素濃度情報に基づいて前記燃焼情報を送信することを特徴とする。
また、かかる目的のもと、本発明は、燃焼設備の煙道に設けられて当該燃焼設備の燃焼排ガスを測定する煙道測定手段を用いて当該燃焼排ガスに関する酸素濃度情報を取得する取得部と、取得した前記酸素濃度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持する保持部と、保持された前記酸素濃度情報に基づく前記燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信する送信部と、を備えることを特徴とする燃焼情報提供装置である。
また、かかる目的のもと、本発明は、コンピュータに、燃焼設備の煙道に設けられて当該燃焼設備の燃焼排ガスを測定する煙道測定手段を用いて当該燃焼排ガスに関する酸素濃度情報を取得する機能と、取得した前記酸素濃度情報を前記燃焼設備に関連付けて保持させる機能と、保持された前記酸素濃度情報に基づく前記燃焼設備の燃焼に係わる燃焼情報であって当該燃焼設備の気密性に関する情報を含む当該燃焼情報を事象に応じて送信する機能と、を実現させるプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、燃焼設備の気密性に関する情報を含む燃焼情報をユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態の燃焼情報の提供方法の説明図である。
【
図2】本実施形態の燃焼設備の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のサーバ装置の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態の燃焼情報の提供方法における端末装置の動作フロー図である。
【
図5】本実施形態の燃焼情報の提供方法におけるサーバ装置の動作フロー図である。
【
図6】端末装置に表示されるメニュー画面の表示例である。
【
図7】画面における設備情報の表示内容の一例である。
【
図8】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【
図9】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【
図10】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【
図11】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【
図12】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【
図13】画面における燃焼情報の表示内容の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の燃焼情報の提供方法の説明図である。
本実施形態の燃焼設備の燃焼情報の提供方法は、以下のように利用される。例えば都市ガス等の燃料を燃焼させる燃焼設備10の燃焼排ガスの酸素濃度情報を測定し、測定した酸素濃度情報を、端末装置20を介して、サーバ装置30に送信する。サーバ装置30では、酸素濃度情報に基づいて燃焼空気比などの燃焼情報を特定し、特定した燃焼情報を、端末装置20を介してユーザに提供する。
【0010】
なお、本実施形態では、燃料としての都市ガス(例えばメタンを主成分とする天然ガス)および酸化剤としての空気を用いる例に基づいて説明を行う。ただし、燃料および酸化剤の組み合わせは、本実施形態に限定されない。例えば、燃料としてLPG(例えばプロパンやブタンを主成分とする液化石油ガス)や油などを用いても良く、酸化剤として酸素などを用いても良い。
【0011】
また、本実施形態では、例えば燃焼設備10を有するユーザが端末装置20を用いて燃焼情報の提供を受ける例を説明するが、燃焼情報が提供される態様は、この例に限定されない。例えば、燃料の小売業者の従業員等が、燃料の使用者であるユーザの燃焼設備10にて端末装置20を用いて得た燃焼情報を、燃焼設備10のユーザに伝えても良い。
【0012】
さらにまた、本実施形態では、アプリケーション・プログラムをユーザが端末装置20にダウンロードしたり、端末装置20を介してユーザがサーバ装置30にアクセスしたりすることで、燃焼情報の提供方法が実現される。
以下、本実施形態の燃焼情報の提供方法について具体的に説明する。
【0013】
まず、本実施形態における燃焼情報の提供が行われる対象の燃焼設備10について説明する。
図2は、本実施形態の燃焼設備10の一例を示す図である。
燃焼設備10は、被加熱物100が設置される炉室11と、炉室11にて火炎を発生させるメインバーナ12と、を有する。また、燃焼設備10は、メインバーナ12に対して燃料を供給する経路である燃料供給路13と、メインバーナ12に対して空気を供給する経路である空気供給路14と、燃料供給路13の燃料流量および空気供給路14の空気流量をそれぞれ調整する調整部15と、を有する。さらに、燃焼設備10は、炉室11内から炉室11外に燃焼排ガスが排出される経路である排気経路16を有する。
【0014】
さらに、燃焼設備10は、炉室11内の温度を測定する室内温度測定部21と、炉壁の温度を測定する炉壁温度測定部22と、を有する。また、燃焼設備10は、排気経路16を流れる燃焼排ガスの温度を測定する排ガス温度測定部23と、排気経路16内に設けられて排ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度測定部24と、を有する。さらに、燃焼設備10は、燃料供給路13における燃料の流量を測定する燃料流量測定部25と、空気供給路14における空気の流量を測定する空気流量測定部26と、を有する。また、燃焼設備10は、炉室11内の雰囲気の圧力を測定する圧力測定部27を有する。
【0015】
炉室11は、耐火性がある断熱部111と、断熱部111の外側に設けられる外壁112とを有する。
また、調整部15は、燃料供給路13の燃料流量および空気供給路14の空気流量の調整を行うことで、メインバーナ12の燃焼を調整する。
【0016】
室内温度測定部21は、温度を検出する温度センサが断熱部111の内側に設置される。そして、室内温度測定部21は、炉室11内の温度を測定し、測定結果を端末装置20に送信する。
炉壁温度測定部22は、温度を検出する温度センサが外壁112に設置される。そして、炉壁温度測定部22は、外壁112の表面温度を測定し、測定結果を端末装置20に送信する。
【0017】
排ガス温度測定部23は、温度を検出する温度センサが排気経路16の内側に設置される。そして、排ガス温度測定部23は、排気経路16を流れる燃焼排ガスの温度を測定し、測定結果を端末装置20に送る。
酸素濃度測定部24は、酸素濃度を検出する酸素濃度センサが排気経路16の内側に設置される。そして、酸素濃度測定部24は、排気経路16を流れる燃焼排ガスの酸素濃度を測定し、測定結果を端末装置20に送る。
【0018】
燃料流量測定部25は、燃料供給路13における燃料の流量を測定する。そして、燃料流量測定部25は、測定結果を端末装置20に送る。
空気流量測定部26は、空気供給路14における空気の流量を測定する。そして、空気流量測定部26は、測定結果を端末装置20に送る。
【0019】
圧力測定部27は、圧力を検出する圧力センサが炉室11の内側に設置される。そして、圧力測定部27は、炉室11内の雰囲気の圧力を測定し、測定結果を端末装置20に送る。
【0020】
なお、本実施形態の説明において、燃焼設備10に設けられる室内温度測定部21、炉壁温度測定部22、排ガス温度測定部23、酸素濃度測定部24、燃料流量測定部25、空気流量測定部26、および圧力測定部27の各々を特に区別しない場合には、「測定部」と総称する。さらに、本実施形態の説明では、各々の測定部によって測定された測定結果のことを「測定情報」と呼ぶ。
【0021】
さらに、本実施形態の燃焼設備10には、燃焼設備10を一意に特定可能にする識別情報が付与されている。例えば、工場などの一の施設において、複数の燃焼設備10が設置される場合には、各々の燃焼設備10ごとに固有の識別情報が付与される。また、別の企業など異なる施設においてそれぞれ燃焼設備10が設置されている場合には、それぞれの燃焼設備10ごとに固有の識別情報が付与される。
【0022】
〔端末装置20〕
端末装置20には、パーソナル・コンピュータなどの固定型端末装置や、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型情報端末を用いることができる。そして、端末装置20は、燃焼設備10にて測定された測定結果を燃焼設備10から受信する。また、端末装置20は、燃焼設備10の設備属性情報(後述)やバーナ属性情報(後述)の登録を受付ける。さらに、本実施形態の端末装置20は、例えば、納期、在庫、工程、燃料コスト、材料コストなどの生産に係わる情報も管理している。
【0023】
そして、端末装置20は、燃焼設備10に関する情報をサーバ装置30に送信する。また、端末装置20は、サーバ装置30から情報を受信する。そして、端末装置20は、サーバ装置30から受信した情報を表示画面に表示する。
【0024】
〔サーバ装置30〕
図3は、本実施形態のサーバ装置30の機能ブロック図である。
【0025】
図3に示すように、サーバ装置30は、燃焼設備10を特定する設備特定部31と、燃焼設備10に関する情報を記憶する設備情報記憶部32と、燃焼設備10から取得した測定情報に基づいて燃焼情報を特定する燃焼情報作成部33(例えば、取得部の一例)と、を有する。また、サーバ装置30は、燃焼情報作成部33が特定した燃焼情報を記憶する燃焼情報記憶部34(例えば、保持部の一例)と、表示情報などの情報を端末装置20に送信する送信部35と、を有する。
【0026】
(設備特定部31)
設備特定部31は、端末装置20から受信した識別情報に基づいて、状態判断の対象となる燃焼設備10を特定する。本実施形態においては、後述するように、設備情報記憶部32が、燃焼設備10と識別情報とを紐付けて記憶している。そして、設備特定部31は、登録されている複数の燃焼設備のうち、端末装置20から受信した識別情報に対応する燃焼設備10を特定する。
【0027】
(設備情報記憶部32)
設備情報記憶部32は、燃焼情報を提供する対象となる複数の燃焼設備に関する情報(以下、燃焼設備情報と呼ぶ)を記憶している。燃焼設備情報には、ユーザに関する情報であるユーザ情報と、燃焼設備10の仕様に関する設備仕様情報と、燃焼設備10から収集される運転実績データに関する運転実績情報と、が含まれる。そして、設備情報記憶部32は、燃焼設備10の固有の情報である識別情報に、燃焼設備情報を構成する各々の情報を関連付けて管理する。
【0028】
ユーザ情報には、「ユーザ名称」および「ユーザ管理番号」が含まれる。
「ユーザ名称」は、ユーザの具体的な名称である。また、「ユーザ管理番号」は、ユーザの単位で設定され、ユーザごとに管理するための番号である。例えば、ユーザ管理番号には、数字、英文字またはこれらの組合せを用いることができる。
【0029】
設備仕様情報には、「設備管理番号」および「設備名称」などの設備管理情報と、「燃料種」などの燃料の種類に関する燃料種情報と、「設備メーカー」、「設備種類」、「使用用途」、「設備能力」、「制御方式」および「サイズ情報」などの設備属性情報と、「バーナメーカー」、「バーナ名称」、「バーナ燃焼量」および「バーナ台数」などのバーナ属性情報とが含まれる。
【0030】
「設備管理番号」は、燃焼設備10の単位で設定され、燃焼設備10ごとに管理するための番号である。例えば、設備管理番号には、数字、英文字またはこれらの組合せを用いることができる。なお、一つのユーザが複数の燃焼設備10を使用している場合には、一つのユーザに対して複数の燃焼設備10が対応づけて管理される。
「設備名称」は、燃焼設備10の具体的な名称である。例えば、設備名称には、名称を示すテキスト情報や型番などを用いることができる。
【0031】
「燃料種」は、燃焼設備10に用いられる燃料の種類である。
「設備メーカー」は、燃焼設備10を製造するメーカーの具体的な名称である。
「設備種類」は、例えば、バッチ式か連続式のいずれかの方式に特定される。バッチ式は、処理対象に対する一の処理が終了する度に燃焼を停止し、次の処理対象の処理の開始に伴って燃焼を再び行うなど、燃焼の入り切りを繰り返す方式である。一方、連続式は、燃焼を一定期間連続して行いながら複数の処理対象に対して熱処理を行う方式である。
「使用用途」は、金属の熱処理や、ボイラー、焼却炉など加熱処理の使用用途を特定する情報である。
「設備能力」は、燃焼設備10としての加熱能力に関する情報や、例えば1バッチ(チャージ)あたりの処理量に関する情報である。
「制御方式」は、例えば炉室11の温度の制御など燃焼制御に関する方式を特定する情報である。
「サイズ情報」は、例えば炉室11の炉内寸法など炉室11のサイズや燃焼設備10の規模に関する情報である。
【0032】
「バーナメーカー」は、燃焼設備10に用いられるメインバーナ12を製造するメーカーの具体的な名称である。
「バーナ名称」は、メインバーナ12の具体的な名称である。例えば、バーナ名称には、名称を示すテキスト情報や型番などを用いることができる。
「バーナ燃焼量」は、メインバーナ12の定格燃焼量に関する情報である。
「バーナ台数」は、燃焼設備10に設けられるメインバーナ12の設置台数に関する情報である。
【0033】
また、運転実績情報には、「燃料使用量」および「生産量」が含まれる。
「燃料使用量」は、例えば月ごとや年間などの単位で特定された燃焼設備10が消費した燃料の使用量の情報である。
「生産量」は、例えば対象物の熱処理の場合には、熱処理を行った対象物の量を用いることができる。
【0034】
(燃焼情報作成部33)
燃焼情報作成部33は、燃焼設備10から取得した測定結果などの情報に基づいて、燃焼設備10の燃焼に係わる燃焼情報を作成する。そして、燃焼情報作成部33は、作成した燃焼情報を燃焼情報記憶部34に送る。
ここで、本実施形態の燃焼情報作成部33が作成する燃焼情報には、測定情報に基づいて特定した燃焼設備の「特定情報」と、特定情報を用いて情報を加工した「加工情報」と、特定情報に基づくユーザに対するアドバイスの情報である「アドバイス情報」と、燃焼設備の燃焼条件に係わる調整に応じて得られる効果を示す情報である「効果情報」とが含まれる。
【0035】
「特定情報」
燃焼情報作成部33は、端末装置20から、燃焼設備10に設けられる各種の測定部の測定情報を取得する。そして、燃焼情報作成部33は、測定情報に基づいて燃焼設備10の特定情報を作成する。本実施形態において、特定情報は、測定情報から直接的に得られる燃焼設備10の燃焼に係わる情報である。
本実施形態の燃焼情報作成部33は、特定情報として、空気比(燃焼空気比またはバーナ空気比)、排気損失、被加熱物保有熱、および、放熱損失をそれぞれ特定する。以下、燃焼情報作成部33による各々の特定情報の特定について詳細に説明する。
【0036】
燃焼情報作成部33は、燃焼設備10における空気比を特定する。ここで、空気比は、(実際の空気量)/(理論空気量)で求まる。理論空気量は、燃料を完全燃焼させるために必要な空気量のことである。そして、本実施形態の説明において、炉室11の雰囲気の空気比を燃焼空気比と呼び、メインバーナ12における燃料および酸化剤が混合した気体の空気比をバーナ空気比と呼ぶ。なお、バーナ空気比と燃焼空気比とは、基本的には対応するものである。ただし、例えば炉室11の密閉度合いなどの条件によっては、燃焼中に炉室11に外部から外気が侵入する場合がある。このような場合には、バーナ空気比と燃焼空気比との間に相違が生じることがある。
【0037】
そして、燃焼情報作成部33は、燃焼排ガスの酸素濃度[%]に基づいて、炉室11における燃焼空気比を特定する。本実施形態の燃焼情報作成部33は、例えば、燃焼空気比=(21)/(21-酸素濃度[%])の計算式に基づいて、燃焼空気比を算出する。
また、燃焼情報作成部33は、燃料流量[m^3/h]と、空気流量[m^3/h]とに基づいて、メインバーナ12におけるバーナ空気比を特定する。
【0038】
燃焼情報作成部33は、燃焼設備10の排気損失[%]を特定する。排気損失は、燃焼排ガスの温度[℃]と燃焼空気比と排気損失[%]とについて予め得られている関係を用いて特定することができる。本実施形態において、燃焼情報作成部33は、上述のとおり燃焼空気比を得られる。さらに、燃焼情報作成部33は、測定情報として燃焼排ガスの温度[℃]を得られる。そして、燃焼情報作成部33は、燃焼空気比および燃焼排ガスの温度から排気損失[%]を特定する。
【0039】
燃焼情報作成部33は、炉室11内の温度[℃]と、被加熱物の比熱[KJ/kg・K]とに基づいて、被加熱物の保有熱[%]を特定する。
燃焼情報作成部33は、炉室11の外壁112の表面温度[℃]と、外壁112の表面積[m^2]とに基づいて、放熱損失[%]を特定する。
【0040】
以上のようにして、燃焼情報作成部33は、測定部から得られる測定情報に基づいて各種の特定情報を特定する。そして、燃焼情報作成部33は、特定した特定情報を燃焼情報記憶部34に送る。
【0041】
「加工情報」
燃焼情報作成部33は、特定情報を時系列に並べて表示する加工情報を作成する。例えば、燃焼情報作成部33は、燃焼空気比、バーナ空気比、排気損失などの特定情報を、予め定められた時間間隔(例えば、1時間ごと、月ごとなど)で表示する。
【0042】
また、燃焼情報作成部33は、例えばユーザ等によって燃焼設備10の燃焼に係わる燃焼条件の調整が行われた場合には、調整の前後における特定情報の変化が分かる調整履歴を加工情報として表示する。例えば、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10の調整部15にて燃料流量および空気流量がそれぞれ調整されることによるバーナ空気比の調整前の値と調整後の値とを調整履歴として表示する。
なお、燃焼条件に係わる調整が行われたことは、例えばユーザからの調整の有無の情報の入力を受け付けたり、測定部の測定情報に基づいて判断したりすることで特定する。
【0043】
さらに、燃焼情報作成部33は、特定情報や特定情報を用いて得られる情報を予め定められた単位で集計した加工情報を作成する。予め定められた単位は、例えば被加熱物の処理バッチごと、時間別、日別、月別、年別などにすることができる。
本実施形態の燃焼情報作成部33は、処理原単位を月毎に集計した加工情報を表示する。ここで、本実施形態の処理原単位は、単位あたりの被加熱物を処理するのに要した燃料のエネルギー量である。そして、燃焼情報作成部33は、被加熱物の処理量[ton/ch]と、ガス流量[m^3/h]とに基づいて、処理原単位[MJ/ton]を特定する。
【0044】
さらに、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10の炉室11の侵入空気の度合いを特定し、加工情報として表示する。上述のとおり、例えば、燃焼設備10が燃焼中であって炉室11が閉じた状態であっても、隙間などから外気が侵入する可能性がある。この場合、燃焼空気比とバーナ空気比とに差が生じる。従って、燃焼情報作成部33は、バーナ空気比と燃焼空気比との差が分かれば、炉室11内に侵入する外気の度合いを特定できる。本実施形態の燃焼情報作成部33は、特定情報として得られるバーナ空気比と燃焼空気比との情報を用いて、炉室11内に侵入する外気の度合いを特定する。
【0045】
さらに、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10の熱の収支を示す熱勘定図を加工情報として作成する。熱勘定図は、例えばメインバーナ12の火炎による燃料保有熱などの熱の入力と、被加熱物の被加熱保有熱や排気損失などの熱の出力とを視覚的に表現したものである。そして、本実施形態の燃焼情報作成部33は、上述のとおり特定した特定情報を用いて、熱勘定図における熱収支を構成する要素を特定する。
【0046】
また、燃焼情報作成部33は、炉室11の開口部からの熱損失を特定し、加工情報として表示する。ここで、開口部とは、例えば炉室11に被加熱部を出し入れするために設けられた扉が開放されたときの開口を例示できる。そして、本実施形態の燃焼情報作成部33は、炉室11内の温度[℃]と、炉室11内の圧力[Pa]とに基づいて、炉室11の開口部からの熱損失を特定する。具体的には、燃焼情報作成部33は、炉室11内の圧力の低下に基づいて、扉の開放を判断する。そして、燃焼情報作成部33は、その前後における炉室11内の温度変化から開口部からの熱損失を特定する。
【0047】
「アドバイス情報」
燃焼情報作成部33は、特定した特定情報に基づいて、ユーザに対して燃焼設備10の燃焼に係わるアドバイス情報を提示する。
【0048】
燃焼情報作成部33は、アドバイス情報として、バーナ空気比の調整に関する情報を作成する。例えば、燃焼条件の目標値の一例として、空気比の目標値を設定する(例えば、空気比1.1など)。この目標値は、端末装置20を介してユーザから予め受け付けた値であったり、サーバ装置30側にて指定する推奨値であったりする。
そして、燃焼情報作成部33は、目標値と特定された燃焼条件としての空気比とを比較し、目標値としての空気比にするためのアドバイス情報を作成する。具体的には、燃焼情報作成部33は、実際の燃焼条件が目標値としての空気比になるように指示するアドバイス情報を作成する。
なお、燃焼情報作成部33がアドバイス情報を作成する際に用いる目標値は、一の値に限定されない。例えば、燃焼情報作成部33は、目標値を基準としてプラス側とマイナス側に値の幅をもたせた許容範囲と、実際の燃焼条件との比較に基づいてアドバイス情報を作成しても良い。
【0049】
また、燃焼情報作成部33は、アドバイス情報として、燃焼設備10の修理や交換を指示したり、燃焼設備10の故障の発生を予測したりする情報を作成する。
例えば、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10に関する過去の火炎条件を用いてアドバイス情報を作成する。本実施形態では、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10から得られる測定情報に基づいて特定情報を作成することで、燃焼設備10を常時監視可能になっている。そして、燃焼情報作成部33は、例えば、それぞれ特定の時間が異なる特定情報の傾向(トレンド)に基づいて燃焼設備10のメンテナンスに係わるアドバイス情報を作成する。
【0050】
具体例としては、一定期間において、空気比がほぼ一定で推移している場合、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10のメンテナンスが特に必要ではないといった内容のアドバイス情報を作成する。一方で、一定期間において、空気比が次第に高くなる傾向が得られる場合、燃焼設備10における所定の箇所が劣化している可能性が考えられる。この場合、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10のメンテナンスをユーザに促すアドバイス情報を作成する。
【0051】
また、燃焼情報作成部33は、燃焼空気比とバーナ空気比との差に基づいて、炉室11に外部から空気が侵入している旨をユーザに通知するアドバイス情報を作成する。なお、本実施形態の燃焼情報作成部33は、燃焼空気比とバーナ空気比との差が予め定められた閾値以上になった場合に、ユーザに通知を行うようにしている。
また、燃焼情報作成部33は、一定期間において、燃焼空気比とバーナ空気比との差が次第に高くなる傾向が得られる場合には、燃焼設備10における気密性が劣化している可能性が考えられるなどのアドバイス情報を作成する。
【0052】
さらに、燃焼情報作成部33は、一の燃焼設備10の燃焼情報および、一の燃焼設備10とは異なる設備である他の燃焼設備の燃焼情報を用いてアドバイス情報を作成する。
例えば、燃焼情報作成部33は、他の燃焼設備において、燃焼空気比の推移と故障の発生時期の情報を得ている場合がある。燃焼情報作成部33は、対象となる一の燃焼設備10の燃焼空気比の推移が、他の燃焼設備の燃焼空気比の推移に類似していると判断した場合、将来的に、一の燃焼設備10についても故障が発生する可能性があると予測する。この場合、燃焼情報作成部33は、一の燃焼設備10に関して、所定の時期に故障が発生する可能性がある旨の内容のアドバイス情報を作成する。
【0053】
また、燃焼情報作成部33は、一の燃焼設備10の燃焼情報の比較対象とする他の燃焼設備を定める際、燃焼設備10の燃焼設備情報を用いて、燃焼設備情報の内容が同一または類似する燃焼設備同士を比較するようにしても良い。例えば、燃焼情報作成部33は、一の燃焼設備10と燃料種情報、設備属性情報、バーナ属性情報などの仕様が同一または類似する他の燃焼設備を、比較対象としても良い。
なお、燃焼情報作成部33は、設備情報記憶部32を参照することで燃焼設備情報を取得することができる。また、燃焼情報作成部33は、燃焼情報記憶部34を参照することで他の燃焼設備の燃焼情報を取得することができる。
【0054】
「効果情報」
さらに、燃焼情報作成部33は、燃焼設備10の燃焼条件の調整などによって、燃焼設備10のエネルギー消費量が低減されたり、燃焼設備10における熱効率が高まったりするという、ユーザの利益に係わる情報を効果情報として表示する。
例えば、燃焼情報作成部33は、燃焼条件の一例として空気比の調整が行われ、処理によって向上した特定情報については、調整により得られた効果をユーザが視覚的に理解できる効果表示を行う。
【0055】
以上のとおり、燃焼情報作成部33は、測定情報に基づいて特定した、「特定情報」、「加工情報」、「アドバイス情報」および「効果情報」などの燃焼情報を作成し、送信部35を介して、作成した燃焼情報をユーザに提供する。
【0056】
(燃焼情報記憶部34)
燃焼情報記憶部34は、燃焼情報作成部33が作成した燃焼情報の記憶を行う。また、燃焼情報記憶部34は、各々の燃焼情報を燃焼設備10の識別情報に紐付けて記憶する。そして、燃焼情報記憶部34は、送信部35からの要求に応じて、記憶している燃焼情報を送信部35に送る。
また、本実施形態の燃焼情報記憶部34は、端末装置20から取得した測定情報も記憶する。そして、燃焼情報記憶部34は、送信部35からの要求に応じて、記憶している測定情報を送信部35に送る。
【0057】
(送信部35)
送信部35は、端末装置20からの要求に応じて、設備情報記憶部32が記憶している燃焼設備情報や燃焼情報記憶部34が記憶している燃焼情報を、端末装置20に送信する。具体的には、送信部35は、燃焼設備情報として、設備使用情報や運転実績情報を端末装置20に送信する。また、送信部35は、燃焼情報として、特定情報や加工情報やアドバイス情報を端末装置20に送信する。さらに、本実施形態の送信部35は、燃焼情報記憶部34が記憶している燃焼設備10の測定情報を端末装置20に送信する。
【0058】
以上のとおり構成される端末装置20およびサーバ装置30を用いた燃焼情報の提供方法における動作例を説明する。
図4は、本実施形態の燃焼情報の提供方法における端末装置20の動作フロー図である。
図5は、本実施形態の燃焼情報の提供方法におけるサーバ装置30の動作フロー図である。
【0059】
まず、端末装置20の動作について説明する。
図4に示すように、端末装置20は、燃焼設備10の燃焼設備情報の更新があるか否かを判断する(S101)。燃焼設備情報の更新がある場合(S101にてYes)には、更新された燃焼設備情報をサーバ装置30に送信する(S102)。
一方、燃焼設備情報に更新が無い場合(S101にてNo)や、更新された燃焼設備情報の送信が行われると、燃焼設備10に設置されている測定部から取得している測定情報に、燃焼設備10の識別情報を紐付ける(S103)。そして、端末装置20は、識別情報が紐付けられた燃焼設備10の測定情報を、サーバ装置30に送信する(S104)。
【0060】
次に、サーバ装置30の動作について説明する。
図5に示すように、サーバ装置30は、端末装置20から燃焼設備10の燃焼設備情報を取得したか否かを判断する(S201)。燃焼設備情報を取得しなければ(S201にてNo)、S203に進む。一方、燃焼設備情報を取得した場合(S201にてYes)には、取得した燃焼設備情報を識別情報とともに記憶する(S202)。
【0061】
そして、サーバ装置30は、端末装置20から測定情報を取得したか否かを判断する(S203)。測定情報を取得しなければ(S203にてNo)、S205に進む。一方、測定情報を取得した場合(S203にてYes)には、取得した測定情報を識別情報とともに記憶する(S204)。
【0062】
また、サーバ装置30は、端末装置20からユーザによるログインを受け付けたか否かを判断する(S205)。ログインが無ければ(S205にてNo)、ステップ201に戻り、処理を繰り返す。
ログインを受け付けた場合(S205にてYes)には、サーバ装置30は、端末装置20の表示画面にメニュー画面(後述の
図6を参照)を表示させる(S206)。そして、ユーザが提供を希望する情報の指定を受け付ける(S207)。
【0063】
サーバ装置30は、ユーザが指定した情報を作成する(S208)。例えば、ユーザが燃焼情報のなかで一の特定情報を指定した場合には、特定情報や特定情報を加工した加工情報をユーザの端末装置20に表示するための情報を作成する。
そして、サーバ装置30は、作成した情報を端末装置20に対して送信する(S209)。その後、ステップ201に戻り、処理を繰り返す。
【0064】
続いて、本実施形態で用いられる端末装置20における表示動作について具体的に説明する。
図6は、端末装置20に表示されるメニュー画面の表示例である。
【0065】
図6に示すように、端末装置20の画面200に表示されるメニュー画面には、ユーザ情報61と、メニューの選択を受け付けるメニューボタン62とが表示される。そして、ユーザ情報61は、ユーザ名称611と、ユーザ管理番号612とを含む。また、メニューボタン62は、燃焼設備10の燃焼設備情報を表示するための燃焼設備情報ボタン621と、燃焼設備10の燃焼情報を表示するための燃焼情報ボタン622と、燃焼設備10の測定情報を表示したりダウンロード(DL)したりするための測定情報ボタン623とを有している。
【0066】
燃焼設備情報ボタン621は、燃焼設備10の燃焼設備情報としての設備仕様情報や、燃焼設備10の燃焼設備情報としての運転実績情報などを、画面200に表示させるための指示をユーザから受け付ける。
【0067】
燃焼情報ボタン622は、燃焼設備10の燃焼情報としての特定情報や加工情報やアドバイス情報などを、画面200に表示させるための指示をユーザから受け付ける。
【0068】
測定情報ボタン623は、燃焼設備10の測定部から取得した測定情報を、画面200に表示させたり、端末装置20にダウンロードしたりするための指示をユーザから受け付ける。本実施形態では、燃焼設備10に設置されている測定部から常時、端末装置20を介してサーバ装置30に測定情報が送られている。そして、本実施形態では、このような所謂生データとしての測定情報をユーザが直接確認したり、ユーザ自身による分析等のためにダウンロードしたりすることが可能になっている。
【0069】
次に、燃焼設備10の設備情報の表示の際の画面200における表示例を説明する。
図7は、画面200における設備情報の表示内容の一例である。
燃焼設備情報ボタン621(
図6参照)が選択されると、
図7(A)に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、燃焼設備10に関する燃焼設備情報として設備仕様情報63が表示される。
図7(A)に示す例では、設備仕様情報63として、設備管理情報64、燃料種情報65、設備属性情報66、およびバーナ属性情報67がそれぞれ画面200に表示される。
【0070】
また、燃焼設備情報ボタン621(
図6参照)が選択されると、
図7(B)に示すように、画面200には、燃焼設備10に関する燃焼設備情報として運転実績情報68が表示される。
図7(B)に示す例では、運転実績情報68として、燃料使用量情報681、生産量情報682および他の計測量情報683がそれぞれ画面200に表示される。
なお、
図7(B)では、運転実績情報68と併せて、ユーザ情報61および設備管理情報64を画面200に表示している。
【0071】
続いて、端末装置20の画面200における燃焼設備10の燃焼情報の表示例を説明する。
図8は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図8に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、特定情報を時系列で並べた加工情報と、アドバイス情報とがそれぞれ表示される。
【0072】
図8に示す例では、加工情報として、燃焼空気比の時系列情報71と排気損失の時系列情報72とが表示される。そして、この例では、燃焼空気比と排気損失とが合わせて表示されるため、燃焼空気比と排気損失との関係をユーザが一目で確認できるようになっている。
【0073】
また、この例では、アドバイス情報として、燃焼空気比の目標値を示す目標値情報81および燃焼空気比の許容範囲を示す許容範囲情報82が表示されている。さらに、この例では、アドバイス情報として、燃焼空気比の許容範囲を超えた時点の特定情報に対し、燃焼条件としての空気比の調整が必要である旨を通知する警告表示83が表示される。この例の警告表示83では、「空気比を下げる必要があります!」というテキストメッセージが表示される。
【0074】
図9は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図9に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、特定情報を時系列で並べた加工情報と、燃焼条件の調整に関する加工情報とがそれぞれ表示されている。
【0075】
図9に示す例では、加工情報として、燃焼空気比の時系列情報71が表示される。この例では、燃焼空気比は、月毎の平均値であって、月毎の単位で表示される。また、この例では、加工情報として、調整履歴情報73が表示される。この例では、例えば5月に、ユーザによってバーナ空気比の調整が行われている。そして、調整履歴情報73は、バーナ空気比の調整が行われる前の燃焼空気比の値と、調整が行われた後の燃焼空気比の値とを合わせて表示する。
【0076】
図10は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図10に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、特定情報を時系列で並べた加工情報と、アドバイス情報とがそれぞれ表示される。
【0077】
図10の例では、加工情報として、燃焼空気比の時系列情報71とバーナ空気比の時系列情報74とが表示される。そして、この例では、燃焼空気比とバーナ空気比とが合わせて表示されるため、燃焼空気比とバーナ空気比との関係をユーザが一目で確認できるようになっている。
そして、この例では、アドバイス情報として、燃焼空気比とバーナ空気比との差が、予め定められた量よりも大きくなっていることに基づいて、炉室11に外気が侵入している旨を通知する警告表示84が表示される。この例の警告表示84では、「侵入空気異常!」というテキストメッセージが表示される。
【0078】
図11は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図11に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、特定情報を時系列で並べた加工情報と、アドバイス情報とがそれぞれ表示される。
【0079】
図11の例では、加工情報として、燃焼空気比の時系列情報71が表示される。さらに、この例では、加工情報として、月毎の処理原単位の時系列情報75表示される。なお、この例では、燃焼空気比と処理原単位とが合わせて表示されるため、燃焼空気比と処理原単位との関係をユーザが一目で確認できるようになっている。
【0080】
また、この例では、燃焼空気比の変化に伴って得られた処理原単位の効果を示す効果情報85を表示する。効果情報85は、調整が行われる前の燃焼空気比の条件での処理原単位と、調整が行われた後の燃焼空気比の条件での処理原単位とを合わせて表示する。この例では、燃焼空気比が変化したことで、単位当りの被加熱物の加熱に必要なエネルギー量が下がったことをユーザが一目で確認できるようになっている。また、効果情報85は、ユーザに対して、調整による効果があった旨を通知する。本実施形態では、効果情報85は、「調整により処理原単位が向上しました」というテキストメッセージも表示する。
【0081】
図12は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図12に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、特定情報を時系列で並べた加工情報と、アドバイス情報とがそれぞれ表示される。
【0082】
図12の例では、加工情報として、燃焼空気比の時系列情報71が表示される。さらに、この例では、加工情報として、月毎のエネルギー節約量情報76を表示する。なお、エネルギー節約量は、燃焼空気比と燃料使用量との相関関係を特定したうえで、ある月の燃焼空気比を基準値として、基準値からの差として表示される。なお、基準となる月は、例えば、燃焼空気比が目標値に一致する月を用いることができる。
図12に示すグラフでは、基準のエネルギー量に対して、エネルギー量が節約される場合には「+」で表示され、エネルギー量に無駄が生じている場合には「-」で表示される。
そして、この例では、燃焼空気比とエネルギー節約量とが合わせて表示されるため、燃焼空気比とエネルギー節約量との関係をユーザが一目で確認できるようになっている。
【0083】
また、この例では、燃焼空気比の変化に伴って得られたエネルギー節約量の効果を示す効果情報86を表示する。効果情報86は、調整が行われる前の燃焼空気比の条件でのエネルギー節約量と、調整が行われた後の燃焼空気比の条件でのエネルギー節約量とを合わせて表示する。また、効果情報86は、ユーザに対して、燃焼条件の調整により、エネルギー節約量が向上した旨を通知する。この例では、効果情報86は、「調整によりエネルギーが節約されました」というテキストメッセージを表示する。
【0084】
図13は、画面200における燃焼情報の表示内容の一例である。
燃焼情報ボタン622(
図6参照)が選択されると、
図13に示すように、画面200には、ユーザ情報61と、設備管理情報64と、加工情報として燃焼設備10における熱の収支を示す熱勘定
図77とがそれぞれ表示される。
【0085】
図13の例では、熱勘定
図77は、炉室11における熱の収支を図示する。本実施形態の熱勘定
図77は、炉室11に入る熱として、燃料保有熱[%]および回収排熱[%]を特定する。また、炉室11から出る熱として、排気損失[%]、被加熱物保有熱[%]、炉体蓄熱[%]、放熱損失[%]および、その他の熱[%]を特定する。各々の熱は、上述した燃焼設備10の燃焼設備情報および燃焼情報に基づいて算出する。
なお、熱勘定
図77は、ユーザが指定する任意の期間における関係を示すことができる。
【0086】
ここで、本実施形態の端末装置20およびサーバ装置30のハードウェア構成について説明する。
端末装置20およびサーバ装置30は、それぞれ、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)、主記憶手段であるメモリ、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)、ネットワークインターフェイス、ディスプレイ装置を含む表示機構、音声機構、および、キーボードやマウス等の入力デバイス等を備える。
そして、磁気ディスク装置には、OSのプログラムやアプリケーション・プログラムが格納されている。そして、これらのプログラムがメモリに読み込まれてCPUに実行されることにより、本実施形態の端末装置20およびサーバ装置30の各々における各機能部の機能が実現される。
さらに、本実施形態の燃焼情報の提供方法において、一連の動作を端末装置20およびサーバ装置30にてそれぞれ実現させるプログラムは、例えば通信手段により提供することはもちろん、各種の記録媒体に格納して提供しても良い。
【0087】
なお、本実施形態の燃焼情報の提供方法は、端末装置20およびサーバ装置30の協働によって実現される燃焼情報の提供システムとして捉えることができる。
また、本実施形態の燃焼情報の提供方法を実現するシステムにおいて行われる一連の機能を実現するための構成は、上述した例に限定されない。例えば、上述した実施形態においてサーバ装置30が実現する機能は、全てサーバ装置30によって実現される必要はなく、端末装置20が一部または全部の機能を実現しても良い。
【0088】
さらにまた、本実施形態の説明においては、端末装置20は、燃焼設備10の情報をサーバ装置30に送信する装置として機能するとともに、サーバ装置30から受信した情報を表示する装置としても機能しているが、この態様に限定されない。すなわち、サーバ装置30に燃焼設備10の情報を送信する端末装置と、サーバ装置30から燃焼設備10の情報を受信する端末装置とは、別々のものであっても構わない。
【符号の説明】
【0089】
10…燃焼設備、20…端末装置、23…排ガス温度測定部、24…酸素濃度測定部、30…サーバ装置、31…設備特定部、32…設備情報記憶部、33…燃焼情報作成部、34…燃焼情報記憶部、35…送信部