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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】ドレン回収装置
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/06 20060101AFI20230130BHJP
   F22B 3/04 20060101ALI20230130BHJP
   F22B 27/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
F22D11/06 A
F22B3/04
F22B27/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019180845
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055965
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】坂野 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山本 博道
(72)【発明者】
【氏名】松島 武司
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-247406(JP,A)
【文献】特開2006-242083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 1/00 - 11/06
F22B 1/00 - 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置が発生した蒸気を利用する第1熱負荷装置と、
前記第1熱負荷装置で発生したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と第1ドレンとに気水分離するフラッシュタンクと、
前記フラッシュタンクで発生した前記フラッシュ蒸気を利用する第2熱負荷装置と、
前記フラッシュタンクで発生した前記第1ドレンと、前記第2熱負荷装置を通過することによって前記フラッシュ蒸気が凝縮した第2ドレンと、を回収する回収タンクと、
前記第1ドレンと、前記第2ドレンと、を自重で流入させるとともに、駆動蒸気が流入することによって、貯まったドレンを前記回収タンクに排出する蒸気駆動式ポンプと、
前記第1ドレンを前記蒸気駆動式ポンプの方へ供給する第1配管と、
前記第2ドレンを前記蒸気駆動式ポンプの方へ供給する第2配管と、
前記第1配管と前記第2配管とが前記蒸気駆動式ポンプの上流にて合流した合流配管と、
記第1配管における前記蒸気駆動式ポンプ側の圧力を前記フラッシュタンク側の圧力よりも減少させる減圧部と、
を備えるドレン回収装置。
【請求項2】
前記減圧部は、前記フラッシュタンクと前記蒸気駆動式ポンプとの間を水封可能な水封部である
請求項1に記載のドレン回収装置。
【請求項3】
前記第1配管に、前記第1ドレンが前記フラッシュタンクから前記蒸気駆動式ポンプへ流れるのを許容するとともに、前記第1ドレンが前記蒸気駆動式ポンプから前記フラッシュタンクへ流れるのを防止する逆止弁が設けられ、
前記水封部は、前記逆止弁よりも前記フラッシュタンク側に設けられている
請求項に記載のドレン回収装置。
【請求項4】
前記水封部は、前記フラッシュタンクにおける前記第1熱負荷装置から前記ドレンを流入させる流入口よりも低い位置に設けられている
請求項2又は3に記載のドレン回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュタンクを用いたドレン回収装置において、高圧高温ドレンからの熱回収率をさらに向上させるとともに、大気圧下にあるドレン水回収タンクで分離後のドレン水を回収するときに、大気へ放出されているフラッシュ蒸気(白煙)が発生するのを回避する技術を提案した。
例えば、特許文献1に記載されたドレン回収装置は、フラッシュタンクから第2の熱負荷装置までの閉鎖された系内に負圧を発生させる手段を備える。運転開始前に、第1分岐配管とそこに配置した減圧弁および開閉弁を介してボイラの蒸気を導入し、系内の空気を空気抜き弁から排出する。その後、開閉弁を閉じ、系内の蒸気が凝縮するのを待つ。このサイクルを繰り返して系内に負圧を確立した後、高圧高温ドレンをフラッシュタンク内に導入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-52406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドレン回収装置を商品化するにあたっては、初期投資やメンテナンス等の費用を低減することが望ましい。
本発明は、費用を低減することができるドレン回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、蒸気発生装置が発生した蒸気を利用する第1熱負荷装置と、前記第1熱負荷装置で発生したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と第1ドレンとに気水分離するフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクで発生した前記フラッシュ蒸気を利用する第2熱負荷装置と、前記フラッシュタンクで発生した前記第1ドレンと、前記第2熱負荷装置を通過することによって前記フラッシュ蒸気が凝縮した第2ドレンと、を回収する回収タンクと、前記第1ドレンと、前記第2ドレンと、を自重で流入させるとともに、駆動蒸気が流入することによって、貯まったドレンを前記回収タンクに排出する蒸気駆動式ポンプと、前記第1ドレンを前記蒸気駆動式ポンプの方へ供給する第1配管と、前記第2ドレンを前記蒸気駆動式ポンプの方へ供給する第2配管と、前記第1配管と前記第2配管とが前記蒸気駆動式ポンプの上流にて合流した合流配管と、記第1配管における前記蒸気駆動式ポンプ側の圧力を前記フラッシュタンク側の圧力よりも減少させる減圧部と、を備えるドレン回収装置である。
ここで、前記減圧部は、前記フラッシュタンクと前記蒸気駆動式ポンプとの間を水封可能な水封部であっても良い。
また、前記第1配管に、前記第1ドレンが前記フラッシュタンクから前記蒸気駆動式ポンプへ流れるのを許容するとともに、前記第1ドレンが前記蒸気駆動式ポンプから前記フラッシュタンクへ流れるのを防止する逆止弁が設けられ、前記水封部は、前記逆止弁よりも前記フラッシュタンク側に設けられていても良い。
また、前記水封部は、前記フラッシュタンクにおける前記第1熱負荷装置から前記ドレンを流入させる流入口よりも低い位置に設けられていても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、費用を低減することができるドレン回収装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るドレン回収装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】フラッシュタンク内の第1ドレンの水面が上昇したときを示す図である。
図3】フラッシュタンク内の第1ドレンの水面が下降したときを示す図である。
図4】第2の実施形態に係るドレン回収装置の概略構成の一例を示す図である。
図5】フラッシュタンク内の第1ドレンの水面が上昇したときを示す図である。
図6】フラッシュタンク内の第1ドレンの水面が下降したときを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るドレン回収装置1の概略構成の一例を示す図である。
ドレン回収装置1は、給水される水を加熱して高圧高温の蒸気を生成する蒸気発生装置の一例としてのボイラ10と、ボイラ10に供給する水を貯める給水タンク20と、ボイラ10が発生した蒸気を利用する第1熱負荷装置30と、を備えている。
また、ドレン回収装置1は、第1熱負荷装置30で発生したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と第1ドレンとに気水分離するフラッシュタンク40と、フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気を利用する第2熱負荷装置50と、を備えている。
また、ドレン回収装置1は、第1ドレンと、第2熱負荷装置50を通過することによってフラッシュ蒸気が凝縮した第2ドレンとを、給水タンク20に排出する蒸気駆動式ポンプ70を備えている。
【0009】
また、ドレン回収装置1は、ボイラ10が発生した蒸気を集めるとともに、水と蒸気とに分ける蒸気ヘッダ12と、ボイラ10が発生した蒸気を蒸気ヘッダ12に供給する配管11と、蒸気ヘッダ12からの蒸気を第1熱負荷装置30に供給する蒸気配管13と、を備えている。
また、ドレン回収装置1は、給水タンク20からボイラ10に蒸気生成用の水を供給する給水管21と、例えば水道水を給水タンク20に供給する本給水管22と、第1ドレンと第2ドレンとを給水タンク20に供給する戻り配管23と、を備えている。
また、ドレン回収装置1は、蒸気配管13から分岐するとともにフラッシュタンク40に接続されている第1分岐配管14と、第1分岐配管14上に配置された開閉弁17と、を備えている。また、ドレン回収装置1は、蒸気配管13から分岐するとともに蒸気駆動式ポンプ70に接続されている第2分岐配管15と、第2分岐配管15上に配置された開閉弁19と、を備えている。
【0010】
また、ドレン回収装置1は、第1熱負荷装置30から排出される高圧高温ドレン及びドレンから発生した同圧のフラッシュ蒸気の混合流体を、フラッシュタンク40に供給するドレン配管31を備えている。また、ドレン回収装置1は、ドレン配管31から分岐するとともに戻り配管23に接続されている分岐配管24を備えている。ドレン配管31には、トラップ32と、第1熱負荷装置30から排出される混合流体を、フラッシュタンク40に供給するか、分岐配管24に供給するかを切り替える三方弁34と、が配置されている。
また、ドレン回収装置1は、フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気を第2熱負荷装置50に供給する配管42を備えている。
【0011】
また、ドレン回収装置1は、フラッシュタンク40で発生した第1ドレンを蒸気駆動式ポンプ70に供給する第1ドレン配管100と、第2熱負荷装置50で発生した第2ドレンを蒸気駆動式ポンプ70に供給する第2ドレン配管53と、を備えている。また、ドレン回収装置1は、第1ドレン配管100と第2ドレン配管53とが、蒸気駆動式ポンプ70の上流にて合流した合流配管56を備えている。
【0012】
また、ドレン回収装置1は、フラッシュタンク40から空気を抜く空気抜き弁44と、配管42、第2熱負荷装置50、第2ドレン配管53から空気を抜く空気抜き弁54と、蒸気駆動式ポンプ70から空気を抜く空気抜き弁41と、を備えている。
また、ドレン回収装置1は、第1ドレン配管100上に配置された逆止弁45と、第2ドレン配管53上に配置された逆止弁55と、フラッシュタンク40と空気抜き弁41との間の配管上に配置された逆止弁46と、を備えている。
【0013】
第1熱負荷装置30は、ボイラ10が発し、蒸気ヘッダ12を介して供給される蒸気を媒体として空気を加熱する空気加熱用熱交換器であることを例示することができる。例えば、第1熱負荷装置30にて温められた空気は、熱風として、タンブラー乾燥機に送られる。第1熱負荷装置30から排出される高圧高温ドレン及びドレンから発生した同圧のフラッシュ蒸気の混合流体は、ドレン配管31を介してフラッシュタンク40に流入する。
【0014】
第2熱負荷装置50は、フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気を媒体として空気を加熱する空気加熱用熱交換器であることを例示することができる。例えば、第2熱負荷装置50にて温められた空気は、熱風として、第1熱負荷装置30に送られる。第2熱負荷装置50にて空気を加熱することで潜熱を失ったフラッシュ蒸気は凝縮して第2ドレンとなり、第2ドレン配管53を介して蒸気駆動式ポンプ70に送られる。
【0015】
フラッシュタンク40は、器内圧を大気圧よりも低い微負圧の状態に保持し、第1熱負荷装置30で発生した高圧蒸気ドレンを受入れ、このドレンを解放し圧力を低下させてフラッシュ蒸気を発生し、フラッシュ蒸気と低圧蒸気ドレンである第1ドレンとに分離する容器である。フラッシュタンク40は、底部に第1ドレンを排出する排出口40aを有し、排出口40aよりも高い位置に第1熱負荷装置30で発生したドレンを流入する流入口40bを有している。また、フラッシュタンク40は、流入口40bよりも高い位置に、フラッシュ蒸気を排出する蒸気排出口40cを有している。
【0016】
蒸気駆動式ポンプ70は、排気弁(不図示)と、吸気弁(不図示)と、流入したドレンの量に応じて移動するフロート(不図示)と、フロートの位置に応じて排気弁又は吸気弁のいずれを開放するかを切り替える切替機構(不図示)と、を備えている。吸気弁が開放すると、蒸気駆動式ポンプ70の内部に、第2分岐配管15を通り減圧弁によって0.2MPaG程度に減圧された蒸気が、駆動蒸気として供給される。
【0017】
この蒸気駆動式ポンプ70においては、切替機構が排気弁を開放して吸気弁を閉じている場合には、ドレン(第1ドレン、第2ドレン)が自重で内部に流入し、流入したドレンの量が多くなるのに応じてフロートが上昇する(浮き上がる)。フロートが予め定められた高さまで上昇すると、切替機構は、排気弁を閉じて吸気弁を開放する。吸気弁が開放すると、蒸気配管13、第2分岐配管15を介して、ボイラ10にて発生した蒸気が内部に流入し、ドレンが給水タンク20に排出される。ドレンが排出されることによって、フロートが自重で下がり、切替機構は、吸気弁を閉じて排気弁を開放する。これにより、ドレンが自重で内部に流入し、流入したドレンの量が多くなるのに応じてフロートが上昇する。このような行程を繰り返すことで、蒸気駆動式ポンプ70は、第1ドレンと第2ドレンとを給水タンク20に排出する。
【0018】
なお、第1熱負荷装置30で発生するドレンは、高圧高温ドレンであってフラッシュ蒸気を取り出すことのできる蒸気の凝縮水である。フラッシュタンク40で発生する第1ドレンは、第1熱負荷装置30で発生した高圧高温ドレンがフラッシュ蒸気を発生させた後の負圧低温ドレンである。第2熱負荷装置50で発生した第2ドレンは、フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気がドレン化した負圧低温ドレンである。ここで、「高温」とは100℃以上の温度であり、「低温」とは100℃未満の温度である。
【0019】
第1ドレン配管100は、フラッシュタンク40における第1ドレンの排出口40aと、蒸気駆動式ポンプ70の上流に配置された逆止弁45との間を水封可能な水封部110を有している。水封部110は、フラッシュタンク40における第1ドレンの排出口40aよりも低い位置にある低位部111と、第1ドレンの排出口40aよりも高い位置にある高位部112とを有している。水封部110は、フラッシュタンク40における第1熱負荷装置30で発生したドレンの流入口40bよりも低い位置に配置されている。
水封部110は、フラッシュタンク40から排出された第1ドレンによって第1ドレン配管100を水封する。
【0020】
(ドレン回収装置1の作用)
上記のように構成されたドレン回収装置1において、フラッシュタンク40内を負圧にした状態で、第1熱負荷装置30から排出される高圧高温ドレン及びこのドレンから発生した同圧のフラッシュ蒸気の混合流体を、フラッシュタンク40内に流入させる。フラッシュタンク40内が負圧状態である場合、正圧の場合と比較して、フラッシュ率が大きくなるとともに、分離後の第1ドレン水の温度も100℃よりも低い温度となる。フラッシュタンク40内で生成されたフラッシュ蒸気は、配管42を通って、第2熱負荷装置50において空気と熱交換することで熱回収される。配管42内は負圧に維持されており、フラッシュ蒸気の流れに対して障害となるものはなく、第2熱負荷装置50においてもフラッシュ蒸気からの高い熱回収が達成される。熱交換で潜熱を失ったフラッシュ蒸気は凝縮して100℃以下の第2ドレンとなる。フラッシュタンク40内で生成された第1ドレンは第1ドレン配管100及び合流配管56を通って蒸気駆動式ポンプ70に至る。第2熱負荷装置50にて生成された第2ドレンは第2ドレン配管53及び合流配管56を通って蒸気駆動式ポンプ70に至る。蒸気駆動式ポンプ70に至った第1ドレン及び第2ドレンは、戻り配管23を介して給水タンク20に回収される。そして、第1ドレン及び第2ドレンは、ともに100℃以下の温度であるため、給水タンク20内に流入する際にフラッシュ蒸気(白煙)が発生することはない。
【0021】
以上、説明したように、ドレン回収装置1は、ボイラ10が発生した蒸気を利用する第1熱負荷装置30と、第1熱負荷装置30で発生したドレンを再蒸発させてフラッシュ蒸気と第1ドレンとに気水分離するフラッシュタンク40と、を備える。また、ドレン回収装置1は、フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気を利用する第2熱負荷装置50と、フラッシュタンク40で発生した第1ドレンと、第2熱負荷装置50を通過することによってフラッシュ蒸気が凝縮した第2ドレンと、を回収する回収タンクの一例としての給水タンク20と、を備える。また、ドレン回収装置1は、第1ドレンと、第2ドレンと、を自重で流入させるとともに、駆動蒸気が流入することによって、貯まったドレンを給水タンク20に排出する蒸気駆動式ポンプ70を備える。
【0022】
上記のように構成されたドレン回収装置1においては、蒸気駆動式ポンプ70が、第1ドレンと第2ドレンとの両方を給水タンク20に供給する。それゆえ、フラッシュタンク40内で生成された第1ドレンを給水タンク20に供給するポンプと、第2熱負荷装置50にて生成された第2ドレンを給水タンク20に供給するポンプと、を別々に備える構成に比べて、初期投資やメンテナンス等の費用を低減することができる。つまり、ドレン回収装置1によれば、初期投資として、1つの蒸気駆動式ポンプ70を設置する分の費用で済むとともに、メンテナンスする費用として、その1つの蒸気駆動式ポンプ70をメンテナンスする分の費用で済む。
【0023】
(水封部110について)
また、ドレン回収装置1においては、第1ドレンを蒸気駆動式ポンプ70へ流入させる第1配管の一例としての第1ドレン配管100における蒸気駆動式ポンプ70側の圧力をフラッシュタンク40側の圧力よりも減少させる減圧部の一例としての水封部110を備える。第1ドレン配管100が水封部110を有することで、蒸気駆動式ポンプ70が、第1ドレンと第2ドレンとの両方を、確度高く給水タンク20に供給することを実現する。以下に、このことについて詳細に説明する。
【0024】
比較例として、ドレン回収装置1に対して、第1ドレン配管100に水封部110が設けられていない構成を考える。以下、このドレン回収装置を、「比較例に係るドレン回収装置」と称する。フラッシュタンク40で発生したフラッシュ蒸気は第2熱負荷装置50にて熱交換されることにより圧力が低下するので、比較例に係るドレン回収装置においては、フラッシュタンク40及び第1ドレン配管100側の第1ドレンの圧力の方が第2熱負荷装置50側の第2ドレンの圧力よりも高い。その結果、第2熱負荷装置50から排出された第2ドレンが蒸気駆動式ポンプ70までたどり着かず、第2ドレン配管53における第2熱負荷装置50と逆止弁55との間に第2ドレンが詰まってしまうおそれがある。そして、第2ドレン配管53に第2ドレンが詰まると、第2熱負荷装置50にて熱交換が円滑に行われずに、熱効率が悪化してしまうおそれがある。
【0025】
これに対して、ドレン回収装置1においては、第1ドレン配管100が水封部110を有することによって、第1ドレン配管100における蒸気駆動式ポンプ70側(逆止弁45よりも下流側)の圧力が、第1ドレン配管100におけるフラッシュタンク40側(逆止弁45よりも上流側)の圧力よりも低下する。その結果、第1ドレン配管100における蒸気駆動式ポンプ70側の圧力を、第2ドレン配管53と同圧、又は、第2ドレン配管53よりも低く保つことができるので、第2ドレンが蒸気駆動式ポンプ70へ流入することができる。
【0026】
図2は、フラッシュタンク40内の第1ドレンの水面が上昇したときを示す図である。
図3は、フラッシュタンク40内の第1ドレンの水面が下降したときを示す図である。
水封部110に第1ドレンが貯まることが可能となっていることにより、フラッシュタンク40内の第1ドレンの水面が上下する。図2に示すように、水封部110に貯まった第1ドレン量が増えると、フラッシュタンク40内の第1ドレンが蒸気駆動式ポンプ70に流れ込み、図3に示すように、フラッシュタンク40内の第1ドレンの水面が低下する。フラッシュタンク40内の第1ドレンの水面が低下すると水封部110の上流側と下流側との間に水頭差が生じ、水封部110の下流側の圧力がフラッシュタンク40内の圧力よりも低下する。水封部110の下流側の圧力が低下することで、第1ドレン配管100における蒸気駆動式ポンプ70側の圧力も低下するので、第2熱負荷装置50側の第2ドレン配管53の第2ドレンが蒸気駆動式ポンプ70に流れ込み易くなる。それゆえ、蒸気駆動式ポンプ70は、第1ドレン及び第2ドレンを、円滑に、給水タンク20に供給することができる。その結果、第2熱負荷装置50での熱交換が促進され、比較例に係るドレン回収装置よりも、熱効率が高くなる。
【0027】
このように、ドレン回収装置1によれば、第1ドレンと第2ドレンとの両方を、1つの蒸気駆動式ポンプ70にて給水タンク20に供給する構成とし、費用を低減したとしても、第1ドレン及び第2ドレンを円滑に給水タンク20に供給することができ、熱効率が悪化することを抑制することができる。
【0028】
なお、上述したドレン回収装置1においては、第1ドレンを蒸気駆動式ポンプ70へ流入させる第1ドレン配管100における蒸気駆動式ポンプ70側の圧力をフラッシュタンク40側の圧力よりも減少させるために、水封部110を備えるが、特にかかる態様に限定されない。例えば、第1ドレン配管100に水封部110を設ける代わりに、フラッシュタンク40から排出された第1ドレンの圧力を低下させる周知の減圧弁を、フラッシュタンク40と合流配管56との間に設けても良い。
また、上述したドレン回収装置1においては、第1ドレン配管100に逆止弁45を設け、第2ドレン配管53に逆止弁55を設けているが、特にかかる態様に限定されない。例えば、逆止弁45と逆止弁55との両方を設けることなく、合流配管56に逆止弁45を設けても良い。ただし、第2ドレン配管53に逆止弁55を設けることで、空気抜き弁54を介して、第2ドレン配管53から効率よく空気を抜くことが可能になる。
【0029】
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係るドレン回収装置2の概略構成の一例を示す図である。
第2の実施形態に係るドレン回収装置2は、第1の実施形態に係るドレン回収装置1に対して、第1ドレン配管100に相当する第1ドレン配管200と、フラッシュタンク40に相当するフラッシュタンク240とが異なる。以下、ドレン回収装置2について、ドレン回収装置1と異なる点について説明する。ドレン回収装置2とドレン回収装置1とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
フラッシュタンク240は、フラッシュタンク40に対して、第1ドレンの排出口240aの位置が異なり、排出口240aは、フラッシュタンク240の側面に設けられている。
第1ドレン配管200は、フラッシュタンク240の排出口240aと、蒸気駆動式ポンプ70の上流に配置された逆止弁45との間を水封可能な水封部210を有している。水封部210は、フラッシュタンク240の排出口240aから重力方向に垂直方向、言い換えれば、排出口240aの高さと同じ高さとなるように排出口240aから地面に水平方向に伸びた水平部211を有している。また、水封部210は、水平部211よりも高い位置、言い換えれば、排出口240aよりも高い位置にある高位部212を有している。水封部210は、第1熱負荷装置30で発生したドレンの流入口40bよりも低い位置に配置されている。
【0031】
このように構成されたドレン回収装置2においても、第1ドレン配管200が水封部210を有することによって、第1ドレン配管200における蒸気駆動式ポンプ70側(逆止弁45よりも下流側)の圧力が、第1ドレン配管200におけるフラッシュタンク240側(逆止弁45よりも上流側)の圧力よりも低下する。
【0032】
図5は、フラッシュタンク240内の第1ドレンの水面が上昇したときを示す図である。
図6は、フラッシュタンク240内の第1ドレンの水面が下降したときを示す図である。
水封部210に第1ドレンが貯まることが可能となっていることにより、フラッシュタンク240内の第1ドレンの水面が上下する。図5に示すように、水封部210に貯まった第1ドレン量が増えると、フラッシュタンク240内の第1ドレンが蒸気駆動式ポンプ70に流れ込み、図6に示すように、フラッシュタンク240内の第1ドレンの水面が低下する。フラッシュタンク240内の第1ドレンの水面が低下すると水封部210の上流側と下流側との間に水頭差が生じ、水封部210の下流側の圧力がフラッシュタンク240内の圧力よりも低下する。水封部210の下流側の圧力が低下することで、第1ドレン配管200における蒸気駆動式ポンプ70側の圧力も低下するので、第2熱負荷装置50側の第2ドレン配管53の第2ドレンが蒸気駆動式ポンプ70に流れ込み易くなる。それゆえ、蒸気駆動式ポンプ70は、第1ドレン及び第2ドレンを、円滑に、給水タンク20に供給することができ、第2熱負荷装置50での熱交換が促進され、比較例に係るドレン回収装置よりも、熱効率が高くなる。
【0033】
このように、ドレン回収装置2においても、第1ドレンと第2ドレンとの両方を、1つの蒸気駆動式ポンプ70にて給水タンク20に供給する構成とし、費用を低減したとしても、第1ドレン及び第2ドレンを円滑に給水タンク20に供給することができ、熱効率が悪化することを抑制することができる。
【0034】
なお、上述した、第1の実施形態に係るドレン回収装置1、及び、第2の実施形態に係るドレン回収装置2は、それぞれ、第1ドレン配管100、第1ドレン配管200に、水封部110、水封部210を有している。しかしながら、費用を低減するという目的のためには、水封部110、水封部210を有していなくても良い。かかる態様であったとしても、第1ドレンと第2ドレンとの両方を、1つの蒸気駆動式ポンプ70にて給水タンク20に供給するので、比較例に係るドレン回収装置よりも、費用を低減することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…ドレン回収装置、10…ボイラ、20…給水タンク、30…第1熱負荷装置、40,240…フラッシュタンク、40a,240a…排出口、40b…流入口、45…逆止弁、50…第2熱負荷装置、53…第2ドレン配管、56…合流配管、70…蒸気駆動式ポンプ、100,200…第1ドレン配管、110,210…水封部
図1
図2
図3
図4
図5
図6