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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】回収装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/221 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
A61B17/221
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019536305
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2018013005
(87)【国際公開番号】W WO2018129546
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/444,144
(32)【優先日】2017-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラナーロ シンシア アン
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ミケリーニ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ケイ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハーク スコット
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528785(JP,A)
【文献】特開平10-234743(JP,A)
【文献】特開2015-163238(JP,A)
【文献】特開昭63-197442(JP,A)
【文献】国際公開第2016/044729(WO,A1)
【文献】特開2006-087473(JP,A)
【文献】国際公開第2016/126974(WO,A1)
【文献】特表2016-530965(JP,A)
【文献】特表2011-526188(JP,A)
【文献】特開2016-087151(JP,A)
【文献】特開昭57-078843(JP,A)
【文献】特表2017-518804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の体内から対象物を回収するための内視鏡装置であって、
ハンドルと、前記ハンドルに取り付けられた第1の端部第2の端部及びストッパを有するリンクと、を備える伝達アセンブリと、
ループ部及び少なくとも一つの脚部を画定するワイヤであって、前記少なくとも一つの脚部は、前記ループ部に近接して配設され、前記少なくとも一つの脚部の近位端部は、前記リンクの前記第2の端部に固定された、ワイヤと、
前記ループ部に固定されたループセクションを有するネットエレメントと、
を備え、
前記ループ部は、基部に対する前記ハンドルの作動により拡張位置と折り畳み位置との間を移動可能であり、
前記ループ部の最大幅部は、前記ループ部の長さの中間点よりも前記ループ部の近位端部に近接しており、
前記ループ部の近位部分に取り付けられた少なくとも一つのアームをさらに備え、
前記少なくとも一つのアームの近位端部は、前記ハンドルに取り付けられており、
前記少なくとも一つのアームは、前記ループ部を拡大又は縮小させるように作動可能であ
前記ストッパは、前記ループ部が前記折り畳み位置から展開位置まで押されるときに、前記リンクを固定し、前記アームは、前記リンクが固定されている間に前記ループ部を前記拡張位置へとさらに押す、ことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記ループ部の前記長さの前記中間点から前記ループ部の前記最大幅部までの距離は、前記長さの3%~45%である、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記ループ部の前記長さの前記中間点から前記ループ部の前記最大幅部までの距離は、前記長さの10%~35%である、ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記ループ部の前記長さの前記中間点から前記ループ部の前記最大幅部までの距離は、前記長さの12%~25%である、ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記ネットエレメントは、前記リンクに固定された後尾セクションをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記後尾セクションはつなぎ綱により前記リンクに固定されている、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記後尾セクションは前記リンクに接着されている、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記後尾セクションは10~25mmの幅を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記ループ部は、前記ネットエレメントを通過し、前記ネットエレメントの縁部を囲み、同一の面から再び前記ネットエレメントを通過する、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
以下の複数のパターンをさらに有し、
前記ループ部は、前記ネットエレメントを通過し、前記ネットエレメントの縁部を囲み、同一の面から再び前記ネットエレメントを通過する、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
前記ループ部の少なくとも一つの脚部は、前記ネットエレメントの前記ループセクションと前記後尾セクションとの間に画定された角部から1mm~6mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
前記ループ部の両方の脚部は、前記角部から1mm~6mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡装置。
【請求項13】
前記ループ部の少なくとも一つの脚部は、前記角部から2mm~5mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡装置。
【請求項14】
前記ループ部の両方の脚部は、前記角部から2mm~5mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項13に記載の内視鏡装置。
【請求項15】
前記ループ部の少なくとも一つの脚部は、前記ネットエレメントの前記ループセクションと前記後尾セクションとの間に画定された角部から少なくとも4mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項16】
前記ループ部の両方の脚部は、前記角部から少なくとも2mmの位置において前記後尾セクションを通過する、ことを特徴とする請求項15に記載の内視鏡装置。
【請求項17】
少なくとも一つのネットエレメントは、異なるネット外形状及び/又は異なるネット材料の組み合わせを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項18】
前記ループ部は、一方の側だけに向けて曲がるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項19】
前記ループ部又は前記ネットエレメントは、着色が施されているか又は符号が付されており、あるいは、前記ループ部又は前記ネットエレメントの位置を認識可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項20】
基部及び細長い管状部材を有する支持アセンブリをさらに備え、
前記ハンドルは、前記基部に向けて移動可能であり、前記リンクは、前記管状部材の少なくとも一部を通って延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項21】
前記管状部材の遠位開口部は、拡大しているか、あるいは外方に向けて広がっている、ことを特徴とする請求項20に記載の内視鏡装置。
【請求項22】
前記管状部材の遠位部分の内側面は平滑でありかつ非外傷性である、ことを特徴とする請求項20に記載の内視鏡装置。
【請求項23】
前記管状部材の遠位部分の外側面は平滑でありかつ非外傷性である、ことを特徴とする請求項20に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年1月9日に出願された、「回収装置(RETRIEVAL DEVICE)」に係る米国仮特許出願第62/444,144号の利益を主張するものであり、その全ての開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本主題は、内視鏡回収装置に関する。
【背景技術】
【0003】
人間の対象者の体内から対象物を回収するために内視鏡回収又は除去装置が用いられる。そのような対象物には、摘出されるポリープなどの人間の組織、異物又は食物塊が含まれる。典型的な装置は、対象物をつかむための鉗子又は留め金を含む。この種の特定の装置は、大きな組織塊、食物塊、硬貨、大理石、電池などの重い対象物又はとがっていない対象物の回収にはあまり適していない。これは、上記のような対象物を確実に保持することが困難であるためである。さらに、除去作業中に対象物を気管の近くに落とした場合、患者に被害が及ぶ。他の装置は、種々のネット支持体及びネット動作構造を有する。
【0004】
内視鏡を用いた医療処置中、多くの回収装置が内視鏡の器具チャンネル内に使用される。これらの装置は、通常、器具のチャンネル内に挿入されるチューブに対して拡張可能及び折り畳み可能である。例えば、装置の遠位端部に位置するワイヤループは、装置の近位端部に位置するハンドルの作用により、チューブに対して拡張するとともに、折り畳まれる。さらに、拡張可能及び折り畳み可能なワイヤループにネットを固定してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本主題の一態様は、より幅の広い後尾セクションを有するネットエレメントを提供することである。後尾セクションは、リンク、脚部又は接続部を包み込む。
【0006】
本主題の他の態様は、新規の織りパターンを提供することである。ループは、ネットエレメントを通過し、ネットエレメントの縁部を囲み、同一の面から再びネットエレメントを通過する。ループの少なくとも一つの脚部は、ネットエレメントのループセクションと後尾セクションとの間に画定された角部から少なくとも約4mmの位置において後尾セクションを通過する。
【0007】
本主題の他の態様は、ループの新規な形状を提供することである。ループの最大幅部は、ループの長さの中間点よりも管状部材に近接している。
【0008】
本主題の他の態様は、異なるネット外形状及び/又は異なるネット材料の組み合わせなどのネットエレメントの組み合わせを有するネットを提供することである。
【0009】
本主題の他の態様は、新規かつ独創的なループを提供することである。ループは、一方の側だけに向けて曲がるように構成されている。ループ又はネットは、曲がる方の側を示すために着色されるかあるいは記号(符号)などが付加される。
【0010】
本主題の他の態様は、管状部材の第2の端部を改良することである。第2の開口部は、拡大しているかあるいは外方に向けて広がっている。また、管状部材の遠位部分の内側面は、平滑でありかつネットに対して非外傷性である。
【0011】
本主題の他の態様は、新規かつ独創的なアームを提供することである。2つのアームの遠位端部は、ループにおける近位部分の各々の側にそれぞれ取り付けられる。2つのアームの近位端部は、ハンドルに取り付けられる。アームは、ループを広げるため、遠位方向に向けて押されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施例に基づいて構成された回収装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示した装置の一部であるループを示す図である。
図3図3(a)~(d)は、図1に示した装置の一部を示す図であるループ及びネットエレメントを示す図である。
図4図4(a)~()は、図1に示した装置の一部であるループ、ネットエレメント及び管状部材を示す図である。
図5図5は、ネットエレメントの一実施例を示す図である。
図6図6は、ネットの一実施例を示す図である。
図7図7(a)及び(b)は、ネットの織りパターンの一実施例を示す図である。
図8図8は、ループの一実施例を示す図である。
図9図9(a)~(c)は、組み立てていないループ及びネットエレメントの側面図である。
図10図10(a)~(f)は、ネットの一実施例を示す図である。
図11図11(a)及び(b)は、ネットの他の実施例を示す図である。
図12図12は、ネットの他の実施例を示す図である。
図13図13は、ネットの他の実施例を示す図である。
図14図14(a)及び(b)は、ループの他の実施例を示す図である。
図15図15(a)及び(b)は、ループの他の実施例を示す図である。
図16図16(a)及び(b)は、管状部材の実施例を示す図である。
図17図17(a)及び(b)は、アームの一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明は、本発明の好ましい実施例を説明するためのものに過ぎず、本発明及び特許請求の範囲を限定するものではない。実際に、特許請求の範囲に記載した発明は、好ましい実施例よりも広く、好ましい実施例によって限定されない。使用する用語は通常の意味を有する。
【0014】
人間である対象者の体内から対象物を回収するための装置を開示する。前記装置を説明するため、遠位及び近位との用語は、オペレータの手に対する位置関係について使用するものである。換言すると、内視鏡又は同様の装置の器具チャンネル内に装置を使用するとき、近位及び遠位とは、装置のオペレータ又は執刀医の位置に対して使用する。
【0015】
本願において、取付け(取り付けられた)、接続(接続された)及び連結(連結された)なる用語は、直接的な取付け、接続又は連結に限定されるものではなく、互いに取り付けられ、接続されあるいは連結される2つの部品の間に配置される中間の部品、要素又はアセンブリを介した間接的な取付け、接続又は連結を含むことを理解されたい。さらに、取付け(取り付けられた)、接続(接続された)及び連結(連結された)なる用語は、一体的に形成又は構成された2つの部品を含む。
【0016】
例示だけを目的として、相対的に狭い通路内にある、例えば食道内の食物塊又は胃腸管内のポリープなどの対象物を回収するため内視鏡内で用いる装置に関して本発明を説明する。本願における説明及び図面は例示を目的とするものであり、本発明を多種多様な構造、形状、強度又は目的を有する内視鏡回収装置に利用することができることは当業者にとって明らかであろう。本発明の他の使用例の1つは、結腸(大腸)からポリープを除去することである。
【0017】
対象者の体内から対象物を回収するための、いくつかの例示的な内視鏡回収装置は、Secrestらに付与された米国特許第5,906,621号、Secrestらに付与された米国特許第6,814,739号、Secrestらに付与された米国特許第8,016,838号、Secrestらに付与された米国特許第8,057,484号、Cherryらに付与された米国特許第8,591,521号、Cherryらに付与された米国特許第9,204,888号、Secrestらに付与された米国特許第9,486,188号、Secrestらに付与された米国特許第9,730,716号、Cherryらに付与された米国特許第9,826,997号、Secrestによる米国特許出願第15/676,725号、Cherryらによる米国特許出願第15/875,028号に開示されており、これらは、参照により、本願とコンフリクトが生じない程度で全体が本願に組み込まれる。
【0018】
図1は、対象者の体内から摘出する組織及び/又は異物を回収するための内視鏡手術装置、つまり回収装置10を示している。装置10は、オリフィス又は小さな切開部を通して対象者の体内に挿入され、従来の方法、例えばスネア/焼灼システムによって対象者から除去された組織のサンプルを回収するために操作されるように構成されかつ配設される。回収装置10は、内視鏡に配設されたチャンネルを介して内視鏡内に送り込まれる。
【0019】
装置10は、任意の適切な又は従来の内視鏡又は腹腔鏡手術器具とともに使用され得る。開示を目的として、従来の構成又は適切な構成を有する内視鏡装置/結腸鏡装置/S状結腸鏡装置(図示せず)とともに使用する装置10について説明する。上記の内視鏡装置等は、制御可能に柔軟でありかつ突出した端部領域を有する細長い本体を備えている。装置10等の手術器具は、内視鏡装置等を操作する執刀医によって、目的の組織を回収するために、器具チャンネルを通して挿入される。器具チャンネルは、内視鏡装置等の本体を通って延びている。
【0020】
図1は、本主題の一実施例に基づいて構成された回収装置10の斜視図である。装置10は、作動本体12を有し、この作動本体12は、運動伝達リンク34の近位端部36において運動伝達リンク34に取り付けられている。運動伝達リンク34を作用させることによって、作動本体12は、相当の展開力及び後退力をネット50に伝達し、所望の場所にネットを配置するように内視鏡の本体が自由に操作されて曲がることを可能にする。他の実施例では、作動本体12は、当業者が認識する任意の数の作動装置又はハンドルとし得る。
【0021】
図1に示す特定の実施例では、作動本体12は、支持基部14を有する。支持基部14は、近位端部にリング16を有する。また、作動本体12は、ハンドル18を有し、ハンドル18は、2つのリング20を有する。ハンドル18は、支持基部14の内側部分15を覆うように設けられている。ハンドル18は、支持基部に対して図示の方向A1又はこれと反対方向に移動可能である。例えば、オペレータは、一方の手の指及び親指をリング20及び支持基部リング16にそれぞれ挿入することができる。2本の指を方向A1に移動させることにより、オペレータは、支持基部14に対してハンドル18を動かすことができる。他方、親指に向けて2本の指を引きつけることにより、A1と反対の方向にハンドル18をスライドさせることができる。
【0022】
また、装置10は、細長い挿入部材つまり管状部材24を有している。管状部材24は、支持基部14に固定された第1の端部26と、作動本体から離間した第2の端部と、を有している。本実施例における管状部材24及び支持基部14は、装置10の可動部のための固定式の支持アセンブリである。管状部材24は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどの非反応性の低摩擦可撓性材料から形成された任意の適切な小径の管とし得る。管状部材24は、管状部材の第2の端部に開口部を有する内腔を画定する。
【0023】
図1の実施例では、作動本体12には、運動伝達リンク34がハンドル18を介して接続されている。上記リンクは、中実のケーブル、中空のチューブ又は任意の適切な細長い部材、あるいは、軸方向の運動及びハンドル18からの相当な展開力及び後退力を装置の他の部品に伝達するいくつかの部材を組み合わせたものとし得る。リンク34は、ハンドル18に固定された第1の端部つまり近位端部36と、作動本体12から離間しかつ接続部28を介して回収ネット50に接続された第2の端部と、を有している。リンクは、実質的に管状部材24の内腔を通って延びている。リンクは、任意の適切な剛性材料又は半剛性材料から形成され得る。リンクは、一部材であってもよいし、あるいは、例えば、皮下チューブ、スエージ接続及びケーブルなどの複数の部品及び接続部から形成されてもよい。一実施例では、リンク34は、回転機能を有する作動本体1により回転可能である。回転可能なリンク34は、ニチノール製のワイヤ又は他の適切なワイヤから形成される。他の実施例では、回転可能なリンク34は、トルクチューブ糸構造(torque tube filar construction)を有する。
【0024】
さらに図1を参照すると、装置は、回収ネット50を有する。回収ネット50は、人間である対象者の体内から対象物を捕捉し回収するため、オペレータによって用いられる。回収ネット50は、ループ部すなわちループ52と、ループに固定された少なくとも一つのネットエレメント54と、を有する。少なくとも一つのネットエレメント54は、少なくとも一つのネットエレメントの網目にループに通すかループを編み込むことによりループ52に支持され得る。また、縫合によってネットエレメントを支持してもよいし、あるいは縫糸又は他の縫合線を用いた他の方法によりネットエレメントをループに取り付けてもよい。また、少なくとも一つのネットエレメント54は、溶接、融合又は接着などの当業界で周知である任意の適切な方法によってループ52に支持されてもよい。さらに、当業者に明らかなように、本発明の実施に際し、種々の形状及び大きさのネットを用いてもよい。さらに独創的なネット及びループ構成を本明細書に記載する。
【0025】
次に図2を参照すると、図1に示した装置のループ52が示されている。図2は、管状部材24内に組み込まれる前の多角形状をなすループ52を示している。ループ52のワイヤは、装置10の近位端部に向けて延びており、2つの隣接する脚部100,102を有している。脚部100,102は、軸方向の長さLを有する接続部104aによって互いに固定されている。軸方向の長さLは、脚部を互いに固定するのに十分な長さである。接続部は、例えば、溶接、圧着あるいは脚部を撚り合わせることにより形成される。図示するように、脚部100,102は、溶接部104aによって連結されている。脚部100,102は、溶接部104aを超えて、長さLに亘って延びている。この脚部100,102の延長部分の長さは、長さLだけ長さが異なっている。しかし、この長さの不一致は必須ではない。2つの脚部100,102の延長部分の長さの不一致により、装置の製造中に、接続部28を介して2つの脚部をリンク34に接続するためのスペースを確保することができる。
【0026】
図1を参照すると、接続部28は、リンク34の第2の、遠位端部を回収ネット50に接続する。接続部28は、リンク34とループ52との間における溶接部であってもよいし、あるいは、リンク34とループ52との間における接着剤又はねじ接続部などの当業者に認識されているリンク34及び回収ネット50を互いに取付け可能な任意の手段であってもよい。また、接続部28は、少なくとも一つのネットエレメント54とリンク34との間における分岐部分であってもよい。
【0027】
当業者であれば、リンク34、接続部28及びループ52を1本のワイヤから形成可能であることを理解されるであろう。図3(a)~(d)の実施例では、ループ52、接続部28及びリンク34は、1本のワイヤにより形成される。ワイヤは、短脚部及び長脚部を有する。短脚部は、長脚部に溶着、圧着又は接着されて、ループを形成する。ワイヤは、ニチノール又は他の適切な材料から形成され得る。図4(a)~(d)の実施例では、1本のワイヤは、2つの長脚部を有する。双方の脚部は、管状部材を通って延びる。一つ又は複数の止め具(ストッパ)は、少なくとも一つの脚部に結び付けられるか、あるいは溶着、圧着又は接着される。したがって、止め具は、ネットの移動を制限する。図4(b)の実施例では、一つ又は複数の止め具が管状部材に付加されている。止め具は、結びつけられてもよいし、溶着又は接着されてもよい。止め具は、2つの「ボール」であってもよいし、ネットの開口(網目)より大きな他の特徴部であってもよいし、あるいはネットを後退させたときのワイヤの位置関係を維持するソケット及びボールであってもよい。位置決めは、ロック機構又は単に受動的な位置決めである。図4(c)は、切り込み及びOリングなどの止め具を有する管状部材を示している。当業者であれば、ネットの移動を抑制するため、圧着又は接着あるいは管状部材の内径を減少させるテーパ形状など、管状部材の任意の修正又は構成を利用してもよいことを理解されるであろう。いずれの例においても、結び付け(結合)又は取り付けが必要である。そのような結び付け(結合)又は取り付けは、遠位端部において最も効果的である。これにより、ワイヤ及びネットが管状部材において中央に配置され得る。図4(d)の実施例では、2つのワイヤの脚部は、脚部の剛性を高めるため、結合位置又は所定の長さに亘って互いに溶接、接着又は圧着されている。
【0028】
前述のように、回収ネット50は、2つの位置の間において弾力的な動きをするように設計されている。図1は、展開位置にある回収ネット50を示している。また、回収ネット50は、管状部材における内腔の開口部を通して、展開及び後退するように管状部材24内に配設される。作動体12に対するハンドル18の移動により、回収ネット50は、展開位置及び収容位置の間を移動する。
【0029】
本主題の一態様は、さらに幅の広い後尾セクションを有するネットエレメントを提供することである。図5を参照すると、ネットエレメント154は、ループセクション180及び後尾セクション190を有する。後尾セクション190の幅Wは約10mm~35mmである。一実施例では、後尾セクション190の幅Wは約25mmである。
【0030】
図6の一実施例では、後尾セクション190は、つなぎ綱(tether)195を結び付けることによりリンク34を包む。他の実施例では、後尾セクション190は、脚部100,102の少なくとも一方を包む。他の実施例では、後尾セクション190は、接続部28を包む。当業者であれば、後尾セクションは必ずしもつなぎ綱(テザー)195によって結びつけられる必要はなく、溶着又は接着されてもよいことを理解されるであろう。より幅の広い後尾セクション190により、対象物を回収するときにネットエレメントによって生じるネットの近位端部の過度の伸びが防止され、したがって、メッシュ部分が破れる可能性が減少する。また、後尾セクションはメッシュ部分を管状部材24内に収容するのに役立つ。
【0031】
本主題の他の態様は、新規の織りパターンを提供することである。図7(a)を参照すると、一実施例では、ループ152は、ネットエレメント154を通過し、ネットエレメント154の縁部を囲み、同一の面から再びネットエレメント154を通過する。ループ152は、方向192に向けて曲がりくねっている。図7(b)は、そのような織りパターンを有するネットを示している。そのような織りパターンは、装置を使用している間に視覚効果をもたらす。
【0032】
一実施例では、ループ152は、後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の一方の脚部は、後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の双方の脚部は、後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の少なくとも一つの脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から約1mm~6mmの位置において後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の少なくとも一つの脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から約2mm~5mmの位置において後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の少なくとも一つの脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から少なくとも約4mmの位置において後尾セクション190を通過する。他の実施例では、ループ152の双方の脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から約1mm~6mmの位置において後尾セクション190を通過する。他の実施例では、ループ152の双方の脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から約2mm~5mmの位置において後尾セクション190を通過する。一実施例では、ループ152の双方の脚部は、ネットエレメント154のループセクション180と後尾セクション190との間に画定された角部から少なくとも約4mmの位置において後尾セクション190を通過する。したがって、上記の織りパターンにより、ネットを管状部材内に後退させるときのネットエレメントの摩耗が減少する。
【0033】
本主題の他の態様は、新規なループ形状を提供することである。図8を参照すると、一実施例では、ループ152は、最大幅部166と、近位端部と遠位端部との間において測定した長さLと、を有する。近位端部は、ループの接続が物理的に生じる位置とは無関係に、管状部材内へと後退する際にループが閉じ始める位置として画定される。遠位端部は、ループ152の最も遠い遠位端部として画定される。過度に長い近位脚部を有する場合及び/又は遠位先端部が反転している場合あるいは他の独特な外形状を有する場合、中間点は、近位端部と遠位端部との間に画定され、上記形状における幅広部分に対して考慮する。ループ152の最大幅部166は、ループ152の長さLの中間点よりも管状部材24に近接している。換言すると、最大幅部166は、ループ152の長さLの中間点よりも管状部材24に近く、このため、処置中にループ152を容易に制御することができる。一実施例では、ループ152の長さLの中間点からループ152の最大幅部166までの距離Dは、長さLの約3%~45%である。一実施例では、ループ152の長さLの中間点からループ152の最大幅部166までの距離Dは、長さLの約10%~35%である。一実施例では、ループ152の長さLの中間点からループ152の最大幅部166までの距離Dは、長さLの約12%~25%である。
【0034】
本主題の他の態様は、異なるネット外形状及び/又は異なるネット材料の組み合わせ等のネットエレメントの組み合わせを有するネットを提供することである。そのようなネットは、単一のネットの外形状/材料では実現し得ないより優れた支持及び強度をもたらす。
【0035】
ネットは、異なる外形状又は材料特性をそれぞれ有する少なくとも第1のネットエレメント及び第2のネットエレメントを有する。上記特性の相違は、複数のネット又は複数のネット片の異なる配列、織り密度、外形状、材料又は上記特性の任意の組み合わせにより生じる。例えば、一実施例では、第1及び第2のネットエレメントは、異なる配列又は領域を有している。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントは、異なる織り密度を有している。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントは異なる材料を用いている。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントは、異なる外形状を有している。実施例の結果として、第1のネットエレメントは、より弾力性があり、他方、第2のネットエレメントは、より高い強度又は復元力を有する。
【0036】
個々のネットエレメントは、ループを完全に覆ってもよいが、これは必須ではない。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントは、ループ全体を個々に覆う。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントの一方は完全にループを覆い、ネットエレメントの他方は、ループの一部だけを覆う。一実施例では、第1及び第2のネットエレメントのいずれもループ全体を覆わない。しかし、第1及び第2のネットエレメントは、ループ全体を覆うように互いに接続されている。
【0037】
図9(a)~(c)を参照すると、図9(a)に示す一実施例では、第1のネットエレメント3542は、ループ352の一方の側に取り付けられており、第2のネットエレメント3544は、ループ352の他方の側に取り付けられている。図9(b)に示す一実施例では、第1のネットエレメント3542及び第2のネットエレメント3544は、ループ352の同一の側に取り付けられている。図9(c)に示す一実施例では、第1のネットエレメント3542は、ループ352の一方の側に取り付けられており、第2のネットエレメント3544は第1のネットエレメント3542に取り付けられていてもよく、あるいはその逆であってもよい。当業者であれば、ネットエレメントが、溶接、接着又は周知の機構によりループ352に取り付けられ得ることを容易に理解されるであろう。同様に、第2のネットエレメント3544は、溶接、接着又は周知の機構により第1のネットエレメント3542に取り付けられ得る。
【0038】
当業者であれば、前記ネットエレメントがタイベック(登録商標)又は公知の材料からなるプラスチックフィルム又はプラスチック膜を有してもよいことを容易に理解されるであろう。
【0039】
図10(a)~(f)の実施例では、ネット350は、第1及び第2のネットエレメント3542,3544を有する。第1のネットエレメント3542は、ループ352を完全に覆う。第2のネットエレメント3544は、ループの一部を覆う。図10(a)~(f)における第2のネットエレメントは、種々の形状を有しているが、2つのネットエレメントは、単一のネットエレメントの場合と比べて優れた支持機能を有する。第1及び第2のネットエレメント3542,3544は、異なる織りパターンを有する。また、第1及び第2のネットエレメント3542,3544は、異なる材料から形成される。第1及び第2のネットエレメント3542,3544は、相乗的に作用して、管状部材24内に収容される最良の性能を有するネットを提供する。これらのネット外形状の組み合わせは適切な構成で織ることができ、当該構成を形成するためにネットの外形状を溶接かつ/又は接着してもよく、あるいはループ上で層状に溶接又は接着してもよいことを理解されたい。また、当業者であれば、互いに接着することなく、第2の織り構造を所定の位置に織り込むかあるいは取り付けることが可能である。これにより、独立した動きが可能になるが、依然として有益な相乗効果が得られる。さらに、ループに対して平行、垂直又は他の幾何学的パターンで基材のネット内又はこれに隣接して繊維を第2の織り又は縫合により、非対称のネット構造を形成することができるが、図10(a)~(f)に示すものに限定されないことを理解されたい。
【0040】
図11(a)及び(b)の実施例では、第1及び第2のネットエレメント3542,3544の双方は、ループを完全に覆う。図12の実施例では、第1のネットエレメント3542は、織り込まれた材料又は編み込まれた材料から形成される。第2のネットエレメント3544は、プラスチックフィルムから形成される。第1のネットエレメント3542は、ループを完全に覆う。第2のネットエレメント3544は、支持及び強度を付加するため、第1のネットエレメント3542の中間部分に取り付けられる。図13の実施例では、第1のネットエレメント3542の中間部分が取り除かれ、第2のネットエレメント3544に置換されている。当業者であれば、第2のネットエレメントがプラスチックフィルムではなく、織り込まれた材料又は編み込まれた材料から形成され得ることを理解されるであろう。また、第1のネットエレメントは、織り込まれた材料又は編み込まれた材料ではなく、プラスチックフィルムから形成されてもよい。さらに、第2のネットエレメントは、第1のネットエレメント上に織り込まれてもよいし、縫い合わされてもよいし、あるいは溶着されてもよい。
【0041】
本主題の他の態様は、新規かつ独創的なループを提供することである。図14(a)及び(b)を参照すると、形状記憶の性質のため、ループ552は、展開位置おいて実質的に水平面に留まる一方、展開位置から収容位置に向けて作動するときに、一方向だけに向けて実質的に曲がるように構成されている。当業者であれば、ループ552が展開位置にあるときに一方向に向けて曲がるように構成してもよいことを理解されるであろう。一実施例では、ループは、湾曲するように曲がる。図15(a)及び(b)に示す他の実施例では、少なくとも一つの形状記憶屈曲部を有するループ552は、ループ552が展開位置にあるときに一方向に向けて曲がる。図14(a),(b)及び図15(a),(b)における一実施例では、ループ552は、角度Aが約20°~60°の範囲で曲がるように構成されている。図14(a),(b)及び図15(a),(b)における他の実施例では、ループ552は、角度Aが約30°~35°の範囲で曲がるように構成されている。
【0042】
一実施例では、ループ552は、前述のように、回転可能なリンク及び回転可能な作動本体1と伴に回転可能である。回収される対象物の位置に応じて、ループ552は、所望の結果を実現するため、所望とする角度まで回転して上方又は下方に曲がる。一実施例では、ループ552又はネットは、ループ552が曲がる方向をオペレータに示すため、特定の領域において着色されるか符号(記号)が付加される。一実施例では、ループ552の少なくとも一部は、ニチノール又は他の適切なワイヤなどの形状記憶材料から形成される。
【0043】
本主題の他の態様は、管状部材の第2の端部を改良することである。図16(a)及び(b)を参照すると、一実施例では、管状部材624の第2の端部627は拡大している。一実施例では、管状部材624の第2の端部627は外方に向けて広がっている。これにより、後退時にネットエレメントの管状部材への収容が容易になる。
【0044】
一実施例では、管状部材624の遠位部分の内側面628は、平滑であって、傷を与えないような非外傷性の面である。一実施例では、管状部材624の第2の端部627は、非外傷性の先端部である。これにより、ネットエレメントが後退時に管状部材の遠位開口部に引っかかったり、あるいは裂けたりする可能性が減少する。一実施例では、管状部材624の遠位部分の外側面は、平滑でありかつ非外傷性の面である。
【0045】
本主題の他の態様は、新規かつ独創的なアームを提供することである。装置は、少なくとも一つのアームをさらに備える。アームは、遠位端部及び近位端部を有する。遠位端部は、ループに確実に取り付けられている。一実施例では、遠位端部は、ループの近位部分に確実に取り付けられている。当業者であれば、前記取り付けが、溶接、接着、結びつけ又は他の周知の取付方法とし得ることを理解されるであろう。
【0046】
図17(a)及び(b)の実施例では、装置は、2つのアーム790を備える。各々のアーム790の遠位端部は、ループ752の近位部分に確実に取り付けられている。各々のアーム790の近位端部は、ハンドル718に取り付けられている。リンク734は、アーム790より短い。リンク734は、ハンドル718に止め具(ストッパ)(図示せず)を有している。指用リング720が約1/2の距離に亘って移動すると、リンク734及びアーム790は、一緒に移動して、ループを展開位置へと押す。これにより、ネットは、所定の袋容量及び体積を有する。指用リング720がさらに約1/2の距離に亘って移動すると、リンク734が固定され、アーム790がさらに押し出される。アーム790はループ752を拡張位置に押しやる。このため、ループ752は、管状部材の軸に対して垂直に曲がる。これにより、ネットエレメントがテニスラケットのように強く引き伸ばされる。これにより、ポリープ及び/又は食物の破片を除去することができるとともに、対象物をすくい、かつ/又はより良い捕捉位置に移動させることができる。
【0047】
当業者であれば、本明細書において説明した内視鏡装置が、支持アセンブリ(基部及び細長い管状部材を含む)及び/又は伝達アセンブリ(ハンドル及びリンクを含む)を必ずしも備える必要はないことを理解されるであろう。ハンドルは、ループの近位端部により形成されてもよいし、ループの近位端部に接続されてもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施例を図示しつつ詳細に説明してきたが、本発明は、開示した構成に限定されない。本発明が関連する技術分野における当業者であれば、種々の修正、改変及び利用が行われ得ることを理解されるであろう。そのような修正、改変及び利用は、特許請求の範囲の精神又は範囲に含まれ、全てが網羅されることを意図している。
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