(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】神経変性疾患を治療するための組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 205/04 20060101AFI20230130BHJP
A61K 31/397 20060101ALI20230130BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/22 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/46 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/48 20060101ALI20230130BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/20 20060101ALI20230130BHJP
C07D 491/107 20060101ALI20230130BHJP
C07D 309/14 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/26 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/033 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/073 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/10 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/38 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/205 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/18 20060101ALI20230130BHJP
C07D 207/12 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/096 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/58 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/192 20060101ALI20230130BHJP
C07D 295/26 20060101ALI20230130BHJP
C07D 405/12 20060101ALI20230130BHJP
C07D 241/08 20060101ALI20230130BHJP
C07D 211/52 20060101ALI20230130BHJP
C07D 207/08 20060101ALI20230130BHJP
C07D 207/16 20060101ALI20230130BHJP
C07D 207/06 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/453 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/438 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/4453 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/4525 20060101ALI20230130BHJP
A61K 31/401 20060101ALI20230130BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
C07D205/04 CSP
A61K31/397
C07D405/04
C07D211/22
C07D211/46
C07D211/48
C07D401/04
C07D211/20
C07D491/107
C07D309/14
C07D211/26
C07D295/033
C07D295/073
C07D211/10
C07D211/38
C07D295/205
C07D211/18
C07D207/12
C07D295/096
C07D211/58
C07D295/192
C07D295/26
C07D405/12
C07D241/08
C07D211/52
C07D207/08
C07D207/16
C07D207/06
A61K31/453
A61K31/445
A61K31/4545
A61K31/438
A61K31/496
A61K31/495
A61K31/5377
A61K31/5375
A61K31/40
A61K31/4453
A61K31/454
A61K31/4525
A61K31/401
A61P25/28
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2019563101
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 US2018032726
(87)【国際公開番号】W WO2018213281
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-05-07
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511245064
【氏名又は名称】コグニション セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】リシュトン、ギルバート エム.
(72)【発明者】
【氏名】ルック、ゲイリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】カタラノ、スーザン エム.
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00002222(EP,A1)
【文献】特開平09-183780(JP,A)
【文献】特開昭59-005158(JP,A)
【文献】特開平02-215789(JP,A)
【文献】特開平01-305085(JP,A)
【文献】特開2002-356471(JP,A)
【文献】特表2002-533440(JP,A)
【文献】特開平06-321781(JP,A)
【文献】特開平07-145147(JP,A)
【文献】特表2014-524482(JP,A)
【文献】特表2007-502828(JP,A)
【文献】Armyanskii Khimicheskii Zhurnal,1971年,Vol. 24,pp. 798-801
【文献】DATABASE REGISTRY [ONLINE] Retrieved from STN,2016年09月02日,検索日:10 MAR 2022, RN Nos.; 1984991-92-5, 1543217-46-4, 1541594-68-6, 1541471-02-6, 1536268-88-8, 1531279-45-4, 1528523-10-5, 1526633-14-6, 1522619-67-5, 1521882-47-2, 1521585-20-5, 1521381-69-0, 1517697-16-3, 1517114-80-5, 1514206-73-5, 1509394-87-9, 1509245-68-4, 1508644-16-3, 1507257-93-3, 1506535-99-4, 1502724-29-9, 1500563-88-1.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eのそれぞれは、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF
3、SO
2CH
3、およびモルホリノからなる群から独立して選択され、
R
1は、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、及び
R
2は、
(a)
【化2】
からなる群から選択される、
(b)
【化3】
であって、
式中、
R
8
は、水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1
-C
10
アルキル、任意に置換されたC
5
-C
10
アリール、任意に置換されたC
5
-C
10
ヘテロアリール、任意に置換されたC
3
-C
10
シクロアルキル、及び任意に置換されたC
3
-C
10
ヘテロシクロアルキルである、
(c)
【化4】
からなる群から選択される、または、
(d)
【化5】
からなる群から選択され、
式中、
R
9
は、水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1
-C
10
アルキル、任意に置換されたC
5
-C
10
アリール、任意に置換されたC
5
-C
10
ヘテロアリール、任意に置換されたC
3
-C
10
シクロアルキル、および任意に置換されたC
3
-C
10
ヘテロシクロアルキルからなる群から独立して選択される、
ものである、任意に置換された環状アミノ基である、化合物。
【請求項2】
【化6】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物において、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩から成る群から選択される、化合物。
【請求項4】
請求項1
、2、または3のいずれか1項記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項5】
請求項
4記載の医薬組成物において、前記化合物は、
【化8】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、化合物。
【請求項6】
それを必要とする対象に、請求項
4または
5記載の医薬組成物の治療有効量を投与することによってアルツハイマー病を治療するための組成物。
【請求項7】
請求項
4または
5記載の医薬組成物の治療的有効量を投与することによって、認知機能低下を示す、または認知機能低下を示すリスクのある被験者の認知機能低下を抑制するための組成物。
【請求項8】
それを必要とする対象に、請求項
4または
5記載の医薬組成物の治療有効量を投与することによって、神経細胞に対するアミロイドベータ効果を阻害するための組成物。
【請求項9】
それを必要とする対象に、請求項
4または
5記載の医薬組成物の治療有効量を投与することによって、アルツハイマー病の軽度認知障害を治療するための組成物。
【請求項10】
アルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における請求項1
、2、または3のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項11】
請求項
10記載の使用において、前記化合物は、
【化9】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、使用。
【請求項12】
アルツハイマー病の治療に使用するための、請求項1
、2、または3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項
12記載の化合物において、
【化10】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、化合物。
【請求項14】
医学療法で使用するための請求項1
、2、または3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
請求項
14記載の化合物であって、
【化11】
またはその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、化合物。
【請求項16】
請求項1
、2、または3のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩の治療有効量と、医薬上許容される担体または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年5月15日出願された「神経変性疾患を治療するための組成物」という名称の米国仮特許出願第62/506,226号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、米国国立衛生研究所の国立老化研究所からの助成金、助成金番号U01AG047059の下で、米国政府からの支援を受けて行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2008/0193574号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2011/0092554号明細書
(特許文献3) 国際公開第2015/1116923号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態は、新規化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、および神経細胞のシナプス損失を阻害または回復し、神経細胞の膜輸送変化を調節し、認知低下および神経変性疾患および障害を治療する方法を提供する。
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を対象とする:
【化1】
式中、
R
a、R
b、R
c、R
d、およびR
eのそれぞれは、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF
3、SO
2CH
3、およびモルホリノからなる群から独立して選択され、
R
1は、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH
3)
2からなる群から選択され、および
R
2は、任意に置換された環状アミノ基である。
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、
【化2】
からなる群から選択される化合物に関する。
【0006】
本明細書の実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を記載する。
【0007】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による治療有効量の化合物または医薬組成物を対象に投与することを含む、アルツハイマー病(AD)を治療する方法を記載する。
【0008】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による治療有効量の化合物または医薬組成物を投与することを含む、認知低下を示す、または示すリスクのある被験者の認知低下を抑制する方法を説明する。
【0009】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、神経細胞に対するアミロイドベータ効果を阻害する方法を記載する。
【0010】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象のアルツハイマー病の軽度認知障害を治療する方法を説明する。
【0011】
いくつかの実施形態は、アルツハイマー病の治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の使用を説明する。
【0012】
いくつかの実施形態は、アルツハイマー病の治療に使用するための、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を記載する。
【0013】
いくつかの実施形態は、医学療法で使用するための、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を記載する。
【0014】
いくつかの実施形態は、治療有効量の本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を記載する。
【0015】
本発明は、記載される特定のプロセス、組成物、または方法論に限定されず、これらは変化する可能性があるように記載される。説明で使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての出版物は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような開示に先行する権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
【0016】
定義
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限の間の各介在値と、その記載された範囲内の他の記載または介在値は本開示に含まれることが意図される。たとえば、1μmから8μmの範囲が記載されている場合、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、および7μmも明示的に開示されることが意図される。
【0017】
本明細書の様々な場所で、本開示の化合物の置換基は、グループまたは範囲で開示される。本開示の実施形態は、そのようなグループおよび範囲のメンバーのありとあらゆる個々のサブコンビネーションを含むことが特に意図される。例えば、「C1-6アルキル」という用語は、個別に開示することを特に意図しており、例えば、methyl (C1 alkyl)、ethyl(C2 alkyl)、propyl(C3 alkyl),butyl(C4 alkyl)、pentyl(C5 alkyl)、及び hexyl(C6 alkyl)でありまた、e.g.C1-C2 alkyl、C1-C3 alkyl、C1-C4 alkyl、C2-C3 alkyl、C2-C4 alkyl、C3-C6 alkyl、C4-C5 alkyl、およびC5-C6 alkylである。
【0018】
本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、特に明記しない限り、「1つ以上」または「少なくとも1つ」を意味する。すなわち、不定冠詞「a」または「an」による本発明の任意の要素への言及は、複数の要素が存在する可能性を排除しない。
【0019】
本明細書で使用する場合、「約」という用語は、使用されている数字の数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。したがって、約50mLは、45mL~55mLの範囲を意味する。
【0020】
「Aベータ種」または「Aβ」には、Aベータモノマー、Aベータオリゴマー、またはAベータペプチド(モノマー、ダイマーまたはポリマー形態)と他の可溶性ペプチドまたはタンパク質との複合体、アミロイド前駆体タンパク質の加工製品を含む他の可溶性Aベータアセンブリー等の可溶性アミロイドペプチド含有成分を含む組成物が含まれる。可溶性Aβオリゴマーは神経毒性であることが知られる。Aβ1-42ダイマーでさえ、マウス海馬スライスのシナプス可塑性を損なうことが知られる。当技術分野で知られる1つの理論では、天然のAβ1-42モノマーは神経保護と考えられ、Aβモノマーの可溶性Aβオリゴマーへの自己会合は神経毒性に必要である。ただし、特定のAβ変異モノマー(北極変異(E22G))は、家族性アルツハイマー病に関連すると報告される。
【0021】
具体的に示されない限り、用語「活性成分」は、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物を指すと理解されるべきである。
【0022】
「投与」または「投与」などは、本開示の化合物と併用する場合、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる化合物または医薬組成物を治療を必要とする対象に提供することを指す。好ましくは、対象は哺乳動物、より好ましくはヒトである。本発明は、本発明の医薬組成物を単独で、または別の治療薬と組み合わせて投与することを含む。本発明の医薬組成物が別の治療薬と組み合わせて投与される場合、本発明の医薬組成物および他の治療薬は、同時にまたは異なる時間に投与することが可能である。
【0023】
「アゴニスト」という用語は、その存在により、受容体の天然リガンドの存在から生じる生物学的活性と同じである受容体の生物学的活性をもたらす化合物を指す。
【0024】
本明細書で使用される「アルカノイル」または「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニルラジカルに結合したアルキル基を指すことを意味する。アルカノイルの例は
【化3】
である。
【0025】
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、直鎖または分岐鎖である飽和炭化水素基を指すことを意味する。アルキル基の例には、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルなど)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、t-ブチルなど)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などであるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~約20、2~約20、1~約10、1~約8、1~約6、1~約4、または1~約3個の炭素原子を含み得る。「C1-C10アルキル」または「C1-10アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、およびC10アルキル基を含むことを意図する。さらに、例えば、「C1-C6アルキル」または「C1-6アルキル」は、1から6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。「アルキレン」という用語は、二価のアルキル結合基を指す。アルキレンの例はメチレン(CH2)である。
【0026】
本明細書で使用される「アルケニル」は、鎖に沿った任意の安定点で生じ得る1つ以上、好ましくは1から3の炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐構造の炭化水素鎖を含むことを意図する。例えば、「C2-C6アルケニル」または「C2-6アルケニル」(またはアルケニレン)は、C2、C3、C4、C5、およびC6アルケニル基を含むことを意図する。アルケニルの例には、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-メチル-2-プロペニル、および4-メチル-3-ペンテニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は、-O-アルキル基を指す。「C1-C6アルコキシ」または「C1-6アルコキシ」(またはアルキルオキシ)は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6のアルコキシ基を含むことを意図する。アルコキシ基の例には、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、およびt-ブトキシが含まれる。
【0028】
「アルコキシアルコキシ」という用語は、アルコキシ基に結合したアルコキシ基を指す。アルコキシ基の例には、-O-(CH2)2-OCH3が含まれる。
【0029】
本明細書で使用される「アルキニル」は、鎖に沿った任意の安定点で生じ得る1つ以上、好ましくは1から3の炭素-炭素三重結合を有する直鎖または分岐構造の炭化水素鎖を含むものとする。例えば、「C2-C6アルキニル」には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどのC2、C3、C4、C5、およびC6アルキニル基が含まれる。
【0030】
本明細書において、「アミロイドベータ効果」、例えば「非致死性アミロイドベータ効果」または「Aベータオリゴマー効果」とは、Aベータ種と接触する細胞に対する効果、特に非致死効果を指す。例えば、ニューロン細胞が可溶性アミロイドベータ(「Aベータ」)オリゴマーと接触すると、オリゴマーはインビトロでニューロン細胞のサブセット上のシナプスのサブセットに結合することが発見された。この結合は、例えばin vitroでのAベータオリゴマーの結合を測定するアッセイで定量化することができる。別の文書化されたAベータ種の効果はシナプス数の減少であり、これはヒト海馬で約18%と報告されており(Scheff et al、2007)、(例えば、シナプス数を測定するアッセイにおいて)定量化することができる。別の例として、神経細胞がアミロイドベータ(「Aベータ」)オリゴマーと接触すると、膜輸送が調節され、膜輸送の変化が起こることが発見された。この異常は、これに限定されないが、MTTアッセイなどの多くのアッセイで視覚化できる。例えば、黄色のテトラゾリウム塩は細胞にエンドサイトーシスされ、塩はエンドソーム経路の小胞内にある酵素によって不溶性の紫色のホルマザンに還元される。紫色のホルマザンのレベルは、培養中の活発に代謝する細胞の数を反映しており、ホルマザンの量の減少は、培養中の細胞死または代謝毒性の尺度として採用される。黄色のテトラゾリウム塩と接触した細胞を顕微鏡で観察すると、細胞を埋める細胞内小胞に紫色のホルマザンが最初に見える。時間が経つにつれて、ベシクルはエキソサイトーシスされ、不溶性ホルマザンが水性媒体環境にさらされると、ホルマザンは細胞膜の外表面に針状結晶として沈殿する。Aベータ種のさらに他の効果には、新しい記憶および記憶喪失を形成する能力の低下などの認識低下が含まれ、これはin vivoで動物モデルを使用するアッセイで測定できる。いくつかの実施形態において、Aベータ効果は、例えば、膜輸送アッセイ、シナプス喪失アッセイなどのインビトロアッセイ、またはAベータオリゴマー媒介シグマ-2受容体活性化で見られるような、カスパーゼ-3のAベータオリゴマー誘発シナプス機能不全、またはAベータ誘発神経機能障害、Aベータ媒介長期増強(LTP)、または行動アッセイにおける認知低下、またはそれを必要とする患者の減少から選択される。
【0031】
いくつかの態様において、試験化合物は、神経細胞に対する可溶性Aベータオリゴマー種に関連する効果をネガティブコントロールと比較して、約10%以上、好ましくは15%、好ましくは20%以上阻害できる場合、認知低下またはそれに関連する疾患の治療に有効であると言われる。いくつかの実施形態では、陽性対照と比較して、アミロイド前駆体タンパク質媒介効果の処理産物を約10%超、好ましくは15%超、好ましくは20%超阻害できる場合、試験薬剤は有効であると言われる。本明細書は、ニューロン代謝の異常やシナプス数の減少など、Aベータ種の非致死作用の抑制に焦点を当てているが、これらは認知機能と相関することが示されており、さらに時間の経過とともに、減少をもたらすと予想される(未治療の被験者と比較して)アミロイド病変の下流で測定可能な症状、特に1)フルオロベタピル、PittBまたはその他の造影剤などのアミロイド造影剤によって測定される原線維またはプラークの蓄積、2)で検出されるグルコース代謝低下によって測定されるシナプス損失または細胞死FDG-PET、3)脳脊髄液、脳生検、またはELISAによって患者から得られた血漿でのイメージングまたはタンパク質/代謝産物の検出により検出可能な脳または身体のタンパク質発現または代謝産物量の変化(レベルおよび/またはAベータ42、リン酸化タウ、ELISAで測定した総タウ、またはEで検出可能なタンパク質発現変化のパターンLISAパネル)、4)MRIで検出可能な血管浮腫または微小出血の存在により測定される脳血管異常、および画像技術により検出可能なその他の症状、および5)ADAS-Cog、MMSEなどの投与された認知検査により測定される認知喪失、CBICまたはその他の認知テスト機器である。
【0032】
本明細書で使用される「動物」という用語には、ヒト、ならびに野生動物、実験動物、家畜動物、農場動物およびペットなどの非ヒト脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
「拮抗薬」という用語は、化合物、抗体、またはフラグメント、受容体の生物学的活性の大きさが減少するの存在のような実体を指す。特定の実施形態において、アンタゴニストの存在は、受容体の生物学的活性の完全な阻害をもたらす。本明細書で使用される場合、用語「シグマ-2受容体アンタゴニスト」は、Aベータ効果、例えば、Aベータオリゴマー誘導シナプス機能障害をブロックするという点で、シグマ-2受容体で「機能的アンタゴニスト」として作用する化合物を記述するために使用される。例えば、膜輸送アッセイ、シナプス喪失アッセイ、またはカスパーゼ-3のAベータオリゴマー媒介シグマ-2受容体活性化、または行動アッセイ、またはそれを必要としている患者におけるin vitroアッセイで見られる。機能的アンタゴニストは、例えば、シグマ-2受容体へのAベータオリゴマーの結合を阻害することにより、または間接的に、シグマ-2受容体に結合するAベータオリゴマーから生じる下流シグナル伝達を妨害することにより作用し得る。
【0034】
本明細書で使用する「アリール」とは、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどの単環式または多環式(例えば、2、3または4つの縮合環を有する)芳香族炭化水素を指す。いくつかの実施形態では、アリール基は6~約20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は5から約10個の炭素原子を有する。
【0035】
本明細書で使用する「アリールアルキル」とは、アルキルラジカルに結合したアリール基を指す。好ましい実施形態では、アルキルはC1-6アルキルである。
【0036】
本明細書で使用される「アロイル」または「アリールカルボニル」という用語は、カルボニルラジカルに結合したアリール基を指す。アロイルの例には、ベンゾイルが含まれるが、これに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する「脳透過性」という用語は、薬物、抗体または断片が血液脳関門を通過する能力を指す。いくつかの実施形態では、動物の薬物動態(pK)研究、例えば、マウスの薬物動態/血液脳関門研究を使用して、脳浸透性を決定または予測することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物または医薬組成物の様々な濃度を、例えば3、10および30mg/kg、例えば経口で投与することができる。5日間、さまざまなpK特性が、たとえば動物モデルで測定される。いくつかの実施形態では、用量に関連する血漿および脳のレベルが決定される。いくつかの実施形態では、脳Cmax>100、300、600、1000、1300、1600、または1900ng/mLである。いくつかの実施形態では、良好な脳透過性は、>0.1、>0.3、>0.5、>0.7、>0.8、>0.9、好ましくは>1、より好ましくは>2、>5、または>10の脳/血漿比として定義される。他の実施形態では、良好な脳浸透性は、所定の期間後にBBBを通過する投与量の約0.1%、1%、5%より大きく、約10%より大きく、および好ましくは約15%を超えると定義される。特定の実施形態では、用量は経口(経口)投与される。他の実施形態では、pK特性を測定する前に、用量を静脈内(i.v.)投与する。薬物動態アッセイおよび脳透過性は、実施例7に記載される。
【0038】
本明細書で使用する場合、「認知機能低下」は、動物の認知機能の負の変化であり得る。例えば、認知機能低下には、記憶喪失(行動記憶の喪失など)、新しい記憶の取得の失敗、混乱、判断力の低下、人格の変化、見当識障害、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。したがって、認知機能低下の治療に有効な化合物は、長期神経増強(LTP)または長期神経抑制(LTD)、または電気生理学的に測定されたシナプス可塑性のバランス、神経変性の抑制、治療、および/または軽減;一般的なアミロイドーシスの抑制、治療、および/または軽減;アミロイド産生、アミロイド集合、アミロイド凝集、およびアミロイドオリゴマー結合の1つまたは複数の阻害、治療、軽減、ニューロン細胞に対するAbeta種の1つまたは複数の非致死効果の抑制、治療、および/または軽減(シナプス喪失または機能不全、異常な膜輸送など)、およびその任意の組み合わせを回復することにより有効になる。さらに、その化合物は、軽度のアルツハイマー病、ダウン症候群、血管性認知症(脳アミロイド血管障害および脳卒中を含むアルツハイマー病(AD)、Aベータ関連神経変性疾患および障害の治療にも有効であり得る)、レビー小体型認知症、HIV認知症、軽度認知障害(MCI)、年齢関連記憶障害(AAMI)、加齢性認知機能低下(ARCD)、前臨床アルツハイマー病(PCAD)、および認知障害なし認知症(CIND)を含むがこれらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「接触する」とは、2つのペプチドまたは1つのタンパク質と別のタンパク質または小分子などの他の分子との間の非共有相互作用などの相互作用のような分子間(または細胞または細胞膜などの高次構造を有する分子)を、分子間を可能にする距離内にまとめるまたは結合することを指す。いくつかの実施形態では、接触または結合した分子が共通の溶媒に混合され、自由に会合することができる溶液中で接触が起こる。いくつかの実施形態では、接触は、細胞内またはそうでなければ細胞内または無細胞環境で起こり得る。いくつかの実施形態では、無細胞環境は、細胞から生成された溶解物である。いくつかの実施形態では、細胞溶解物は、全細胞溶解物、核溶解物、細胞質溶解物、およびそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、無細胞溶解物は、核抽出および単離から得られた溶解物であり、細胞集団の核は細胞から除去され、次いで溶解される。いくつかの実施形態では、核は溶解されないが、それでも無細胞環境であると見なされる。分子は、ボルテックス、振とうなどの混合によって一緒にすることができる。
【0040】
本明細書で使用される「環状アミノ」または「環状アミノ基」という用語は、窒素ラジカルを含むヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリール基であり、したがって窒素原子を介した結合を可能にする。グループは次の式で表すことができる。
【0041】
【化4】
は、窒素、硫黄および酸素から選択される0~3個の追加のヘテロ原子を含む複素環または複素芳香環である。
【0042】
本明細書で使用される「シクロアルカノイル」または「シクロアルキルカルボニル」という用語は、カルボニルラジカルに結合したシクロアルキル基を記述することを意味する。シクロアルカノイルの例には、
【化5】
を含むが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で使用する「シクロアルキル」は、最大20個の環形成炭素原子を含む環化アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基には、単環式または多環式(例えば、2、3、または4つの縮合環を有する)環系ならびにスピロ環系が含まれ得る。シクロアルキル基は、3から約15、3から約10、3から約8、3から約6、4から約6、3から約5、または5から約6の環形成炭素原子を含むことができる。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソまたはスルフィドによって場合により置換されていても良い。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に融合した(すなわち、共通の結合を有する)1つ以上の芳香環を有する部分、例えば、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサンなどのベンゾまたはチエニル誘導体(例えば2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル、または1H-インデン-2(3H)-オン-1-イル)である。好ましくは、「シクロアルキル」は、最大20個の環形成炭素原子を含む環化アルキル基を指す。シクロアルキルの例には、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルなどが含まれる。
【0044】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、アルキルラジカルに結合したシクロアルキル基を指す。好ましい実施形態では、アルキルはC1-6アルキルである。
【0045】
本明細書では、「薬物様特性」という用語を使用して、脳透過性、代謝安定性および/または血漿安定性を含む、投与時の化合物の薬物動態特性および安定性特性を説明する。
【0046】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、特定の障害または病理学的プロセスの少なくとも1つの症状またはパラメーターの測定可能な阻害をもたらす量を指す。例えば、Aベータオリゴマーの存在下で測定可能なほど低いシナプス減少を提供する本明細書に記載の任意の実施形態による開示化合物の量は、アミロイド病理の臨床症状が少なくともすぐに変化していなくても病理過程を減少させるため、有効量とみなされる。
【0047】
本明細書で使用する「ハロ」または「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が含まれる。
【0048】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」は、酸素架橋を介して結合した、指定数の炭素原子を有する本明細書で定義されるハロアルキル基を表す。例えば、「C1-C6ハロアルコキシ」または「C1-6ハロアルコキシ」は、C1、C2、C3、C4、C5、およびC6ハロアルコキシ基を含むことを意図する。ハロアルコキシ基の例はOCF3です。本明細書で使用される「トリハロメトキシ」は、3つのハロゲン置換基を有するメトキシ基を指す。トリハロメトキシ基の例には、-OCF3、-OCClF2、-OCCl3などが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用される「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲンで置換された特定数の炭素原子を有する分岐および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図する。ハロアルキル基の例には、CF3、C2F5、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5、CH2CF3などが含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」基は、最大20個の環形成原子を有し、硫黄、酸素、または窒素などの少なくとも1個のヘテロ原子環員(環形成原子)を有する芳香族複素環を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、硫黄、酸素、および窒素からそれぞれ独立して選択される少なくとも1つまたは複数のヘテロ原子環形成原子を有する。ヘテロアリール基には、単環式および多環式(例えば、2、3、または4つの縮合環を有する)系が含まれる。ヘテロアリール基の例には、これに限定されないが、ピリジル(別名ピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル(別名アカピロリル)、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾニル、ベンズ、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニルなどを含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は1~約20個の炭素原子を有し、さらなる実施形態では、環形成原子として、約1~約5個、約1~約4個、約1~約3個、約1~約2個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は、3~約14、3~約7、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、1~約4、1~約3、または1~2個のヘテロ原子を有する。
【0051】
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルコキシ」という用語は、-O-ヘテロシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルコキシ基の例は、
【化6】
である。
【0052】
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、環形成炭素原子の1つまたは複数が環化アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む最大20個の環形成原子を有する非芳香族ヘテロシクリル基を指すO、N、またはS原子などのヘテロ原子に置き換えられる。ヘテロシクロアルキル基は、単環式でも多環式(例えば、縮合系とスピロ系の両方)でも良い。例えば、「ヘテロシクロアルキル」基には、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾ-1,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、ピロリジン-2-オン-3-イルなど。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドで場合により置換されていても良い。例えば、環形成S原子は、1または2個のオキソで置換され得る(すなわち、S(O)またはS(O)2を形成する)。例えば、環を形成するC原子は、オキソにより置換され得る(すなわち、カルボニルを形成する)。ヘテロシクロアルキルの定義には、非芳香族複素環、例えばピリジニル、チオフェニル、フタルイミジル、ナフタリミジル、およびインドリン、イソインドリン、イソインドリン-1-オン-3-イル、4,5,6,7-テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-5-イル、5,6-ジヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-7(4H)-オン-5-イルおよび3,4-ジヒドロイソキノリン-1(2H)-オン-3イル基などの複素環のベンゾ誘導体に融合した(すなわち、共通の結合を有する)1つ以上の芳香環を有する部分も含まれる。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、オキソまたはスルフィドで場合により置換されていても良い。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、2~約20個の炭素原子または3~20個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、3~約14、3~約7、または5~6個の環形成原子を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は1~4個のヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0~3個の二重結合を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は0~2個の三重結合を含む。
【0053】
本出願において、「高親和性」という用語は、600nM未満、500nM、400nM、300nM、200nM、150nM未満、100nM、80nM未満、60nM未満、または、例えば、シグマ-1およびシグマ-2受容体部位の両方に対する化合物の結合親和性を測定するWeber et al.,Proc.Natl.Acad.Sci(USA)83:8784-8788(1986)(その参照により本明細書に組み込まれる)により開示された[3H]-DTGに対するシグマ受容体結合アッセイにおいて、または好ましくは50nM未満のKi値を示す化合物を意味するものとする。
【0054】
「ヒドロキシル」および「ヒドロキシ」という用語は、OH基を意味するために交換可能に使用される。
【0055】
「改善する」という用語は、開示が提供、適用、または投与される組織の特性および/または物理的属性のいずれかを変更することを伝えるために使用される。「改善する」という用語は、病状と併せて使用することもでき、その結果、病状が「改善」されると、病状に関連する症状または身体的特徴は、減少、減少、排除、遅延、回避される。
【0056】
「阻害」という用語には、封鎖、特定の結果またはプロセスの回避、または逆の結果またはプロセスの回復が含まれる。本開示の化合物の投与による予防または治療に関して、「阻害する」には、症状の発症に対する保護(部分的または全体的)または遅延、症状の緩和、または疾患、状態または障害に対する保護、減少または排除が含まれる。
【0057】
「人身売買障害の抑制」という用語は、細胞、好ましくは神経細胞における可溶性Aβオリゴマー誘導膜人身売買障害を遮断する能力を指す。輸送不足を阻害できる化合物は、EC50<20μM、15μM未満、10μM未満、5μM未満、好ましくは1μM未満の膜輸送アッセイで、さらに少なくとも50%、例えば、実施例6に記載されているように、可溶性Aベータオリゴマー誘発膜輸送欠損のAベータオリゴマー効果の好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%の最大阻害である。
【0058】
「log P」という用語は、化合物の分配係数を指す。分配係数は、2つの溶液相(オクタノールと水など)のそれぞれにおける非イオン化化合物の濃度の比率である。イオン化可能な溶質化合物の分配係数を測定するには、水相のpHを調整して、化合物の主な形がイオン化されないようにする。溶媒中の非イオン化溶質化合物の濃度比の対数はlog Pと呼ばれる。logPは親油性の尺度である。例えば、
である。
【0059】
本明細書で使用する「代謝安定性」という用語は、化合物が初回通過代謝(経口投与された薬物の腸および肝臓の分解または結合)に耐える能力を指す。これは、例えば、化合物をマウスまたはヒトの肝ミクロソームに曝露することにより、インビトロで評価することができる。一部の実施形態では、良好な代謝安定性とは、化合物をマウスまたはヒト肝ミクロソームに曝露した際のt1/2>5分、>10分、>15分、>20分、および好ましくは>30分を指す。いくつかの実施形態において、良好な代謝安定性は、<300uL/分/mg、好ましくは<200uL/分/mg、より好ましくは<100uL/分/mgの固有クリアランス速度(Clint)を指す。
【0060】
nが整数である「n員」という用語は、典型的に、環形成原子の数がnである部分の環形成原子の数を表す。例えば、ピリジンは6員のヘテロアリール環の例であり、チオフェンは5員のヘテロアリール基の例である。
【0061】
本明細書で使用される「天然リガンド」という用語は、インビボでタンパク質、受容体、膜脂質または他の結合パートナーに結合できるか、またはインビトロで複製される、対象に存在するリガンドを指す。天然リガンドは、起源が合成であっても良いが、被験者に人間の介入がなくても自然に存在しなければならない。たとえば、Aベータオリゴマーは人間の被験者に存在することが知られている。したがって、被験者に見られるAベータオリゴマーは、天然のリガンドと見なされる。Abetaオリゴマーの結合パートナーへの結合は、組換えまたは合成技術を使用してin vitroで複製できるが、Abetaオリゴマーは、Abetaオリゴマーの調製または製造方法に関係なく、天然のリガンドと見なされる。同じ結合パートナーにも結合できる合成小分子は、対象に存在しない場合、天然のリガンドではない。例えば、本明細書に記載されている化合物は、通常被験者に存在しないため、天然のリガンドとはみなされないだろう。
【0062】
本明細書で使用する「神経細胞」という用語は、単一の細胞または細胞集団を指すために使用することができる。いくつかの実施形態では、神経細胞は初代神経細胞である。いくつかの実施形態では、神経細胞は不死化または形質転換された神経細胞または幹細胞である。初代神経細胞は、グリア細胞などの他の種類の神経細胞に分化できない神経細胞です。幹細胞は、グリアなどのニューロンと細胞の他のタイプの神経細胞に分化できる細胞である。いくつかの実施形態では、アッセイは、グリア細胞を含まない少なくとも1つの神経細胞を含む組成物を利用する。いくつかの実施形態では、組成物は、約30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%未満のグリア細胞を含み、これはAベータを内在化および蓄積することが知られる。一次神経細胞は、動物の脳の任意の領域に由来する。いくつかの実施形態では、神経細胞は海馬または皮質細胞である。グリア細胞の存在は、任意の方法で判断できる。いくつかの実施形態では、グリア細胞はGFAPの存在により検出され、ニューロンはMAP2に対する抗体で陽性に染色することにより検出することができる。
【0063】
本明細書で使用される場合、「任意に置換された」という用語は、置換が任意であることを意味し、したがって、非置換および置換原子および部分の両方を含む。「置換された」原子または部分は、指定された原子または部分の通常の原子価を超えない限り、指定された原子または部分上の任意の水素を示された置換基群からの選択に置き換えることができることを示し、置換の結果として安定した化合物となる。例えば、メチル基(つまり、CH
3)が必要に応じて置換される場合、炭素原子上の最大3つの水素原子を置換基で置き換えることができる。置換基には、アルカノイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、アリーロイル、シクロアルカノイル、置換または非置換C
3-C
10シクロアルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N、N-ジメチルアミノ)ピリジニル、(N、N-ジメチルアミノ)スルホニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、置換されていても良いC
1-C
10アルキル、置換されていてもよいC
5-C
10アリール、置換されていても良いC
3-C
10ヘテロアリール、ペルフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、CF
3が含まれるが、これらに限定されない。例えば、置換アルキル基は、アルキル基上の1つ以上の水素原子は、これらに限定されないがハロ、ヒドロキシル、アルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アルコキシアルコキシ、C(O)OMe、およびC(O)OEtから選択される置換基と置換される。例えば、置換アリール基は、アリール基上の1つ以上の水素原子が、-SO
2Meまたはフェニル基から選択されるがこれらに限定されない置換基で置換されることを示す。例えば、置換ヘテロアリール基は、ヘテロアリール基上の1つ以上の水素原子が、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、N、N-ジメチルアミノから選択されるが、これらに限定されない置換基で置換されることを示す。例えば、置換ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロシクロアルキル基上の1つ以上の水素原子が、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、N、N-ジメチルアミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルから選択されるがこれらに限定されない置換基で置換されることを示す、アリール、スルホニル、ジメチルアミノスルホニル、アロイル、シクロアルカノイル、アルカノイルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2の場合によっては、例えばヘテロシクリルまたはアルキル基の同じ炭素上の2つの水素原子が基で置換され、例えば、
【化7】
である。
【0064】
「部分アゴニスト」という用語は、その存在により、受容体の天然リガンドの存在から生じるものと同じタイプであるが、より低い大きさの受容体の生物活性をもたらす化合物を指す。
【0065】
「薬学的に許容される」という句は、一般に安全かつ非毒性とみなされる分子実体および組成物を指す。特に、本開示の医薬組成物に使用される薬学的に許容される担体、希釈剤または他の賦形剤は、生理学的に許容可能であり、他の成分と適合し、通常、患者に投与された時、アレルギーまたは同様の有害な反応(例えば、胃の不調、めまいなど)を生じない。好ましくは、本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府または州政府の規制当局によって承認された、または動物、より具体的にはヒトで使用するための米国薬局方または他の一般的に認められた薬局方にリストされていることを意味する。
【0066】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、哺乳動物での使用に安全かつ有効であり、所望の生物活性を有する本開示の化合物の塩を含む。薬学的に許容される塩には、本開示の化合物または本開示の方法に従って特定された化合物に存在する酸性または塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩が含まれますが、これらに限定されませんマレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩を含む。本開示の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。適切な塩基塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、鉄およびジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩基付加塩も、有機アミンなどのアミンで形成される。適切なアミンの例は、N、N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインである。
【0067】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という用語には、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水または水/油乳濁液などの乳濁液、および様々なタイプの湿潤などの標準的な医薬担体のいずれかが含まれるエージェントを含む。この用語には、米国連邦政府の規制当局によって承認された、または人間を含む動物での使用について米国薬局方にリストされているエージェントも含まれる。
【0068】
「選択性」または「選択的」という用語は、非シグマ受容体と比較したシグマ受容体、例えばシグマ-2受容体に対する化合物(Ki)の結合親和性の違いを指す。この化合物は、シナプスニューロンのシグマ受容体に対して高い選択性を持つ。シグマ-2受容体またはシグマ-2とシグマ-1受容体の両方のKiは、非シグマ受容体のKiと比較される。いくつかの実施形態では、化合物は選択的シグマ-2受容体アンタゴニストまたはシグマ-1受容体リガンドであり、少なくとも10倍、20倍、30倍、50倍、70倍、100倍、500倍以上の親和性、異なる受容体での結合解離定数Ki値、またはIC50値、または結合定数の比較によって評価される非シグマ受容体と比較したシグマ受容体への結合に対する有する。既知のアッセイプロトコルを使用して、例えば、Cheng and Prusoff(1973)(Biochem.Pharmacol.22,3099-3108)、または本明細書に具体的に記載されているとおりである。
【0069】
本明細書で使用する「血漿安定性」という用語は、例えば、ヒドロラーゼおよびエステラーゼなどの酵素による、血漿中の化合物の分解を指す。さまざまなin vitroアッセイを使用できまる。試験化合物は、さまざまな期間にわたって血漿中でインキュベートされる。各時点で残っている親化合物(分析物)の割合は、血漿安定性を反映する。安定性が低いと、生物学的利用能が低くなる傾向がある。良好な血漿安定性は、30分後に50%を超える検体、45分後に50%を超える検体、および60分後に50%を超える検体が残っていると定義できる。
【0070】
「シグマ-2リガンド」とは、シグマ-2受容体に結合する化合物を指し、アゴニスト、アンタゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、およびこの受容体またはタンパク質の他のリガンドの単なる競合物を含む。
【0071】
「シグマ-2受容体アンタゴニスト化合物」という用語は、測定可能な量でシグマ-2受容体に結合し、シグマ-2受容体バインディングに起因するオリゴマー誘導シナプス機能不全に対するAベータ効果に関して機能的アンタゴニストとして作用する化合物を指す。
【0072】
「対象」、「個体」または「患者」という用語は互換的に使用され、本明細書で使用される場合、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。人間以外の動物には、ただし非ヒト霊長類、羊、犬、猫、牛など馬等の哺乳類が好まれるが、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳類および非哺乳類等のすべての脊椎動が含まれる。好ましい被験者には、ヒト患者が含まれる。本方法は、本明細書に記載の疾患または障害を有するヒト患者を治療するのに特に適する。
【0073】
「試験化合物」は、任意の試験で試験されている本明細書に記載の任意の実施形態による化合物である。試験には、生体内または生体外の試験、コンピューターモデルまたはシミュレーション、仮想薬物試験、幹細胞および遺伝学的試験法、非侵襲的画像技術などが含まれる。
【0074】
本明細書で使用する場合、「治療薬」という用語は、対象の望ましくない状態または疾患を治療、治療、改善、保護、または改善するために利用される薬剤を意味する。
【0075】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩または医薬組成物の「治療有効量」は、特定の疾患または障害の少なくとも1つの症状またはパラメーターに選択効果をもたらすのに十分な量である。治療効果は、客観的(すなわち、何らかの試験またはマーカーで測定可能)または主観的(すなわち、被験者が効果の兆候を示す、または効果を感じる、または医師が変化を観察する)であり得る。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の治療有効量は、0.01mg/kg~約500mg/kg、約0.01~約250mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.05mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約400mg/kg、約0.1mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.2から約5mg/kg、約1mg/kgから約300mg/kg、約10mg/kgから約100mg/kg、体重であり得る。本明細書で企図される効果には、必要に応じて、医学的治療および/または予防的治療の両方が含まれる。治療効果および/または予防効果を得るために本開示に従って投与される化合物の特定の用量は、例えば、投与される化合物、投与経路、他の活性物質の同時投与、症例を取り巻く特定の状況によって決定される成分、治療されている状態、使用されている特定の化合物の活性、使用されている特定の組成、患者の年齢、体重、健康状態、性別および食事。投与時間、投与経路、使用される特定の化合物の排泄速度、および治療期間を含む。投与される治療上有効な量は、前述の関連する状況および健全な医学的判断の行使に照らして医師によって決定される。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の治療有効量は、典型的には、生理学的に許容される賦形剤組成物で投与されたときに、組織内で有効な全身濃度または局所濃度を達成するのに十分な量である。単回投与または分割投与でヒトまたは他の動物に投与される本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の総1日用量は、例えば約0.01mg/kg~約500mg/kg、約0.01~約250mg/kg、約0.01~約25mg/kg、約0.05mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約400mg/kg、約0.1mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kgから約25mg/kg、約0.1から約10mg/kg、約0.2から約5mg/kg、約1mg/kgから約300mg/kg、約10mg/kgから約100mg/kg、1日あたりの体重であり得る。本明細書に記載の任意の実施形態の単回投与医薬組成物は、日用量を構成するためにそのような量またはその約数を含んでも良い。例えば、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、1日1回、2回、3回、または4回など、1日1~4回のレジメンで投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意の実施形態による化合物の治療有効量は、約0.01から約25mg/kg/日の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、治療有効量は、体重の約0.01mg/kg体重、体重の約0.1mg/kg体重、体重の約0.2mg/kg体重、体重の約0.3mg/kg体重の下限の間である。0.4mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.60mg/kg体重、約0.70mg/kg体重、約0.80mg/kg体重、約0.90mg/kg体重体重、約1mg/kg体重、約2.5mg/kg体重、約5mg/kg体重、約7.5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約12.5mg/kg体重、約15mg/kg体重、約17.5mg/kg体重、約20mg/kg体重、約22.5mg/kg体重、および約25mg/kg体重体重;上限は25mg/kg体重、約22.5mg/kg体重、約20mg/kg体重、約17.5mg/kg体重、約15mg/kg体重、約12.5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約7.5mg/kg体重、約5mg/kg体重、約2.5mg/kg体重、約1mg/kg体重体重、約0.9mg/kg体重、約0.8mg/kg体重、約0.7mg/kg体重、約0.6mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.4mg/kg体重、約0.3mg/kg体重、約0.2mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、および約0.01mg/kg体重であり得る。いくつかの実施形態では、治療有効量は約0.1mg/kg/日から約10mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、治療有効量は約0.2および約5mg/kg/日である。いくつかの実施形態では、本開示による治療計画は、そのような治療を必要とする患者への投与を含み、通常は約1mg~約5000mg、約10mg~約2000mg、約10mg~約200mg、約20~約1000mg、約20~約500mg、約20~約400mg、約40~約800mg、約50mg~約500mg、約80~約1600mgおよび約50mgの化合物本明細書に開示される任意の実施形態、または薬学的に許容されるその塩、1日あたり単回または複数回投与。いくつかの実施形態では、治療有効量は、50mg~500mgの合計1日用量である。いくつかの実施形態では、一日量は、下限が約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg;約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg;約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、300mg、約305mg、約310mg、約315mg。約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg。約420mg、約425mg、約430mg、約435mg、約440mg、約445mg、約450mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、および約500mgおよび上限約500mg、約495mg、約490mg、約485mg、約480mg、約475mg、約470mg、約465mg、約460mg、約455mg、約450mg、約445mg、約440mg、約435mg、約430mg、約425mg、約420mg、約415mg、約410mg、約405mg、約400mg、約395mg、約390mg、約385mg、約380mg、約375mg、約370mg、約365mg、約360mg、約355mg、約350mg、約345mg、約340mg、約335mg、約330mg、約325mg、約320mg、約315mg、約310mg、約305mg、約300mg、約295mg、約290mg、約285mg、約280mg、約275mg、約270mg、約265mg、約260mg、約255mg、約250mg、約245mg、約240mg、約235mg、約230mg、約225mg、約220mg、約215mg、約210mg、約205mg、200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg;本明細書の任意の実施形態による化合物約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、および約50mgであり得る。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから150mgである。いくつかの実施形態において、総1日用量は約50mgから250mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから350mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから450mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgである。本開示の医薬製剤は、障害を治療するのに有効な化合物の全量を必ずしも含む必要はなく、そのような有効量は、そのような医薬製剤の複数の分割用量の投与により到達できるため理解される。化合物は、1日1回、2回、3回、または4回など、1日1~4回のレジメンで投与されても良い。
【0076】
「治療的表現型」という用語は、in vitroアッセイにおける行動の有効性を予測する化合物の活性のパターンを記述するために使用される。(1)sigma-2受容体に高親和性で選択的に結合し、(2)ニューロンにおけるAbetaオリゴマー誘発効果に関して機能的拮抗薬として作用する化合物は、(治療的表現型)i)Aβ誘発性膜輸送欠損をブロックまたは軽減する。(ii)Aβ誘導シナプス損失をブロックまたは低減し、(iii)Abetaオリゴマーの非存在下で人身売買またはシナプス数に影響を与えない。in vitroアッセイにおけるこの活性パターンは「治療的表現型」と呼ばれ、行動の有効性を予測する。
【0077】
「治療プロファイル」という用語は、治療表現型に適合し、脳透過性(血液脳関門を通過する能力)、血漿安定性、代謝安定性が良好な化合物を表すために使用される。
【0078】
「組織」という用語は、特定の機能の実行において統合される同様に特殊化された細胞の集合体を指す。
【0079】
本明細書で使用する「治療する」、「治療した」、または「治療する」という用語は、治療的治療および予防的または予防的手段の両方を指し、目的は(部分的または全体的)または減速(例えば、望ましくない生理学的状態、障害または疾患の発症を軽減または延期する、または部分的または全体的な回復またはパラメーター、値、機能または異常のあるまたは異常になる結果の低下などの有益または望ましい臨床結果を得る本開示の目的のために、有益なまたは望ましい臨床結果には、症状の緩和が含まれるが、これらに限定されない。状態、障害または疾患の程度または活力または発達速度の低下;状態、障害または疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しない)、病状、障害または疾患の発症の遅延または進行の遅延;状態、障害または病状の改善;寛解(部分的または全体的)、実際の臨床症状の即時の軽減、または状態、障害または疾患の増強または改善につながるかどうか。治療は、過度のレベルの副作用なしに、臨床的に重要な反応を誘発しようとする。治療には、治療を受けない場合に予想される生存期間と比較した生存期間の延長も含まれる。
【0080】
ヒトアミロイドベータおよびシグマ-2拮抗薬
アミロイドベータの過剰産生と蓄積は、アルツハイマー病の病理学的特徴である。ヒトアミロイドベータ(Abeta)は、アルツハイマー病患者の脳に見られる不溶性アミロイドプラーク沈着物の主成分です。プラークは、Aベータの繊維状凝集体で構成される。アミロイドベータ原線維は、アルツハイマー病の進行した段階に関連する。
【0081】
初期のアルツハイマー病の認知的特徴は、新しい記憶を形成することができないことである。初期の記憶喪失は、可溶性Aβオリゴマーによって引き起こされるシナプス障害と考えられる。これらのオリゴマーは、シナプス可塑性の古典的な実験パラダイムである長期増強をブロックし、AD脳組織およびトランスジェニックADモデルで著しく上昇する。初期の記憶喪失は、ニューロンの死の前のシナプス不全から生じ、シナプス不全は原線維ではなく可溶性Aβオリゴマーの作用に由来すると仮定されてきた。Lacor et al.,Synaptic targeting by Alzheimer's-related amyloid β oligomers,J. Neurosci.2004,24(45):10191-10200.
【0082】
Aベータは、ニューロンのシナプスに集中していることがわかっている、内在性膜タンパク質、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断産物である。Aベータの可溶性形態はアルツハイマー病患者の脳と組織に存在し、それらの存在は疾患の進行と相関する。Yu et al.,2009,Structural characterization of a soluble amyloid beta-peptide oligomer,Biochemistry,48(9):1870-1877.可溶性アミロイドβオリゴマーは、学習と記憶をブロックする神経シナプスの変化を誘発することが実証される。
【0083】
より小さく、可溶性のAβオリゴマーは、正常なシナプス可塑性に重要な多くのシグナル伝達経路を妨害し、最終的に脊椎とシナプスの損失をもたらします。Selkoe et al.,2008,Soluble oligomers of the amyloid beta-protein impair synaptic plasticity and behavior,Behav Brain Res 192(1):106-113.アルツハイマー病はシナプス可塑性疾患として始まり、持続します。
【0084】
可溶性Aβオリゴマーの存在は、アルツハイマー病前の脳の早期の認知機能低下の原因であると考えられる。アミロイドベータオリゴマーがニューロンシナプスで結合し、シグマ-2受容体がニューロンとグリアにかなりの量で存在することが知られる。
【0085】
シグマ受容体は、組織および状態に関連したいくつかの異なるタンパク質シグナル伝達複合体に関与する多機能アダプター/シャペロンタンパク質である。シグマ2受容体は、脳およびさまざまな末梢組織で低レベルで発現する。(Walker et al.,1990 Sigma receptors:biology and function.Pharmacol.Rev.42:355-402)。Sigma-2受容体は、ヒトの海馬と皮質に存在する。シグマ2受容体は、腫瘍細胞増殖のバイオマーカーとしても以前に検証された。(Mach et al.,Sigma-2 receptors as potential biomarkers of proliferation in breast cancer.Cancer Res.57:156-161,1997)。
【0086】
Sigma-2受容体は、ヘム結合、チトクロームP450代謝、コレステロール合成、プロゲステロンシグナル伝達、アポトーシス、膜輸送など、多くのシグナル伝達経路に関与する。シグマ受容体結合部位/シグナル伝達経路のサブセットのみがADのオリゴマーシグナル伝達に関連する。現在、シグマ-2受容体のノックアウトは利用できず、シグマ-2配列のヒト変異は神経変性の状況で研究されていない。
【0087】
シグマ-2受容体は、ラット肝臓のシグマ-2受容体を不可逆的に標識する光親和性プローブWC-21の使用により、ラット肝臓のプロゲステロン受容体膜成分1(PGRMC1)として最近同定された。Xu et al. Identification of the PGRMC1 protein complex as the putative sigma-2 receptor binding site.Nature Communications 2、記事番号380、2011年7月5日、参照により本明細書に組み込まれる。PGRMC1(プロゲステロン受容体膜成分1)は、2011年8月にXuらによってシグマ-2受容体活性の重要な25kDa成分として同定される。PGRMC1は、sigma-1タンパク質と相同性のない単一の膜貫通タンパク質である。ファミリーメンバーにはPGRMC2とニューデシンが含まれる。PGRMC1には、シトクロムb5ヘム結合ドメインが含まれる。PGRMC1は、S1タンパク質と相同性のない単一の膜貫通タンパク質である。家族にはPGRMC2とニューデシンが含まれる。PGRMC1には、シトクロムb5ヘム結合ドメインが含まれる。内因性PGRMC1リガンドには、プロゲステロン/ステロイド、コレステロール代謝産物、グルココルチコイド、およびヘムが含まれる。PGRMC1は、異なる細胞内位置の異なるタンパク質複合体に関連するシャペロン/アダプターとして機能する(Cahill 2007.プロゲステロン受容体膜成分1:統合的レビュー。PGRMC1は、ヘムに還元活性を結合し、CYP450タンパク質と複合体を形成し(レドックス反応の調節)、PAIRBP1と関連し、アポトーシスのプロゲステロンブロックを仲介し、Insig-1とSCAPと関連して、低コレステロールに応答してSRE関連の遺伝子転写を誘導する。C.elegansのホモログVEM1はUNC-40/DCCと結合して軸索ガイダンスを仲介する。PGRMC1には、2つのSH2ターゲット配列、SH3ターゲット配列、チロシンキナーゼ部位、2つの好酸性キナーゼ部位(CK2)、およびERK1とPDK1のコンセンサス結合部位が含まれる。PGRMC1には、膜輸送(小胞輸送、カルベオリン含有ピットのクラスリン依存性エンドサイトーシス)に関与するいくつかのITAMシーケンスが含まれる。
【0088】
理論に拘束されるわけではないが、シグマ-2受容体はニューロンのAベータオリゴマーの受容体であることが提案される。プリオンタンパク質、インスリン受容体、ベータアドレナリン受容体およびRAGE(最終糖化産物の受容体)を含む可溶性Aベータオリゴマーの様々な受容体が文献で提案される。)Lauren,J.et al,2009, Nature,457(7233):1128-1132;Townsend,M.et al,J.Biol.Chem.2007,282:33305-33312;Sturchler,E.et al,2008,J.Neurosci.28(20):5149-5158.実際、多くの研究者は、Aベータオリゴマーが複数の受容体タンパク質に結合する可能性があると考える。理論に拘束されることなく、本発明者らは、ニューロンに位置する(必ずしも排他的ではない)Aベータオリゴマーの追加の受容体を仮定する。
【0089】
理論に縛られることなく、Aベータオリゴマーはシグマタンパク質複合体に結合し、異常な人身売買とシナプス損失を引き起こすシグマ受容体アゴニストである。本明細書において、ニューロンにおけるこの相互作用および/またはシグマ受容体機能に拮抗する本明細書に記載の化合物は、Aβオリゴマーと競合またはそうでなければ干渉し、ニューロン応答を正常に戻すことが実証される。そのような化合物は、機能性シグマ-2受容体拮抗薬と見なされる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態の化合物は、可溶性Aβオリゴマー誘導シナプス喪失の阻害、および膜輸送アッセイにおける可溶性Aβオリゴマー誘導欠損の阻害に関して、神経細胞の機能的アンタゴニストとして作用し得る。シグマ-2受容体で高い親和性を示す。また、他の非シグマ受容体と比較して、1つ以上のシグマ受容体に対して高い選択性を持つ。優れた薬物のような特性を示す。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に詳述される特定のインビトロアッセイ基準を満たす機能的アンタゴニストとして作用する本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、1つまたは複数の関連動物行動モデルにおいて行動効力を示すか、行動効力を有すると予測される。いくつかの実施形態において、行動効力は、10mg/kg p.o.以下で決定される。
【0092】
本明細書に記載の本発明において有用な行動効力を予測するインビトロアッセイプラットフォームは、特に米国特許第9,796,672号で当技術分野で公知であり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。インビトロアッセイプラットフォームによれば、本明細書に記載の任意の実施形態の化合物は、シグマ-2受容体に高い親和性で結合し得る。ニューロンにおけるAベータオリゴマー誘導効果に対する機能的拮抗薬として機能する。中枢ニューロンのAベータオリゴマー誘導シナプス損失を阻害するか、ニューロンへのAベータオリゴマー結合を減少させてシナプス損失を抑制する。Aベータオリゴマーの不在下での人身売買やシナプス数には影響しない。インビトロアッセイにおける活性のこのパターンは、「治療的表現型」と呼ばれる。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の、Aベータオリゴマーの非存在下で正常な機能に影響を与えることなく成熟ニューロンにおけるAベータオリゴマー効果をブロックする能力は、治療表現型の基準を満たす。治療的表現型を有する本明細書に記載の任意の実施形態の化合物は、Aベータオリゴマー誘発性シナプス機能障害を遮断することができる。
【0093】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、シグマ-2アンタゴニスト活性、シグマ-2受容体に対する高い親和性、および可溶性Aベータオリゴマー結合またはAベータオリゴマー誘導シナプス機能不全を遮断する能力を示す。
【0094】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、血液脳関門を通過する能力を増強するように設計される。
【0095】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、可溶性Aベータオリゴマーとシグマ-2受容体との間の結合を遮断する。
【0096】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、シグマ-2受容体に対して高い親和性を示す。
【0097】
本発明の実施形態は、神経変性疾患および認知低下の治療に有用な本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、そのような化合物および薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物、ならびに神経変性疾患および認知の治療方法に関する。そのような化合物および医薬組成物を薬学的に許容される量で投与することにより低下する。
【0098】
本発明の化合物
様々な実施形態は、式Iの化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0099】
式Iの置換基Ra、Rb、Rc、RdおよびReはそれぞれ、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から独立して選択される。
【0100】
式Iの置換基R1は、水素、アルキル、フェニル、または-CH=C(CH3)2からなる群から選択される。
【0101】
式Iの置換基R2は、任意に置換される環状アミノ基である。
【0102】
いくつかの態様において、式Iの置換基Ra、Rb、Rc、RdおよびReのそれぞれは、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH3、-OC(CH3)3、O-CH(CH3)2、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から独立して選択される。
【0103】
いくつかの態様において、式Iの置換基Ra、Rb、Rc、RdおよびReのそれぞれは、H、Cl、F、およびCF3からなる群より独立して選択される。
【0104】
いくつかの態様において、式Iの置換基Ra、Rb、RdおよびReはそれぞれ独立してHおよびRcであり、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から選択される。
【0105】
いくつかの実施形態では、式Iの置換基Ra、Rb、RdおよびReはそれぞれ独立してHおよびRcであり、H、ヒドロキシル、Cl、F、メチル、-OCH3、-OC(CH3)3、O-CH(CH3)2、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から選択される。
【0106】
いくつかの態様において、式Iの置換基Ra、Rb、RdおよびReはそれぞれ独立してHおよびRcであり、H、Cl、F、およびCF3からなる群より選択される。
【0107】
様々な態様において、R
2は、窒素原子を介して式Iの脂肪族鎖に結合している環に窒素を含むヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、例えば、R
2は、
【化9】
などから選択される任意に置換された環状アミノ基であり、
ここで、各窒素含有ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、ヒドロキシル、ハロ、CF
3、アルコキシ、アリールオキシ、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、置換または非置換C
3-C
10シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換され得る。
【0108】
様々な実施形態において、R2は、任意に置換されたアジリジニル、任意に置換されたピロリジニル、任意に置換されたイミジゾリジニル、任意に置換されたピペリジニル、任意に置換されたピペラジニル、任意に置換されたオキソピペラジニル、および任意に置換されたモルホリニルからなる群から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、R
2が置換環状アミノである場合、環状アミノ基の1つ以上の水素原子は、アルカノイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシから選択される基で置換される、アリーロイル、シクロアルカノイル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N、N-ジメチルアミノ)ピリジニル、(N、N-ジメチルアミノ)スルホニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、ペルフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、CF
3、いくつかの実施形態では、環状アミノ基の同じ炭素上の2つの水素原子は、スピロ化合物を形成するために
【化10】
から選択される化合物で置き換えられる。
【0110】
いくつかの態様において、R2は、ピロリジニルまたはアルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシル、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基で置換された置換ピロリジニルである。いくつかの実施形態では、R2は、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、ヒドロキシル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピロリジニルである。一部の実施形態では、R2は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、メトキシカルボニルおよびメチルからなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピロリジニルである。
【0111】
いくつかの態様において、R
2は、ピペリジニル、またはアルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH3)
2、(N、N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、ペルフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、およびCF
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換された置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、R
2は、ピペリジニルまたはアルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、R
2は、ピペリジニルまたはアルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、N、N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、ペルフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、およびCF
3からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペリジニルである。一部の実施形態において、R
2は、ピペリジニルまたはメチル、イソプロピル、イソブチル、CF
3、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、(イソプロピルオキシ)エチル、-(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
3-(CH
2)
3OCH
3、-C(O)OMe、-C(O)OEt、ヒドロキシル、メトキシ、イソプロピルオキシ、フェニルオキシ、F、エトキシ、フェニル、からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペリジニルであり、
【化11】
一部の実施形態では、R
2は、ピペリジニルまたはピペリジニルの4位で、アルコキシ、アルコキシアルキル、(アルコキシ)アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルキル、アリールオキシ、-OC(O)NCH(CH
3)
2、(N、N-ジメチルアミノ)ピリジニル、ハロ、ヘテロシクリル、(ヘテロシクリル)アルコキシアルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、メチルピペリジニル、メチルスルホニルフェニル、モルホリニルピリジニル、ペルフルオロアルキル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニルピリジニル、テトラヒドロピラニル、およびCF
3からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、R
2は、ピペリジニルまたはピペリジニルの4位でメチル、イソプロピル、イソブチル、CF
3、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、(イソプロピルオキシ)エチル、-(CH
2)
2O(CH
2)
2OCH
3、-(CH
2)
3OCH
3、-C(O)OMe、-C(O)OEt、ヒドロキシル、メトキシ、イソプロピルオキシ、フェニルオキシ、F、エトキシ、フェニル、
【化12】
からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペリジニルである。
【0112】
いくつかの態様において、R
2は、アルコキシアルキル、アルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、ヒドロキシル、フェニルからなる群から独立して選択されるピペリジニルの同じ炭素上の2つの置換基で置換されたピペリジニルまたは置換ピペリジニルである。一部の実施形態では、R
2は、ピペリジニル、またはアルコキシアルキル、アルキル、-OC(O)NCH(CH
3)
2、ヒドロキシル、およびフェニルからなる群から独立して選択されるピペリジニルの4位で2つの置換基で置換された置換ピペリジニルである。いくつかの実施形態では、R
2は、ピペリジニル、またはヒドロキシルおよびメチル;ヒドロキシルおよびエチル;ヒドロキシルおよび-(CH
2)
2OCH
3;ヒドロキシルおよびフェニル;メチルおよびフェニル;メチルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2;およびブチルおよび-OC(O)NCH(CH
3)
2からなる群から選択される4位で2つの置換基で置換された置換ピペリジニルである。。いくつかの実施形態では、ピペリジニルの同じ炭素上の2つの水素原子は、スピロ化合物を形成するために、
【化13】
から選択される化合物で置き換えられる。いくつかの実施形態では、ピペリジニルの4位の2つの水素原子は、スピロ化合物を形成するために、
【化14】
から選択される化合物で置き換えられる。
【0113】
いくつかの態様において、R
2は、ピペラジニル、またはアルカノイル、アルコキシカルボニル、アリーロイル、シクロアルカノイル、(N、N-ジメチルアミノ)スルホニル、ヘテロシクリル、メチルスルホニル、およびフェニルからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換された置換ピペラジニルである。一部の実施形態において、R
2は、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アリーロイル、シクロアルカノイル、(N、N-ジメチルアミノ)スルホニル、ヘテロシクリル、メチルスルホニル、およびフェニルからなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペラジニルである。一部の実施形態では、R
2は、-C(O)OC(CH
3)
3、-C(O)OCH
2CH(CH
3)
2、-C(O)OCH
2CH
3、-C(O)OCH
3、フェニル、-C(O)CH
3、-C(O)Ph、-SO
2Me、-SO
2N(CH
3)
2
【化15】
からなる群から選択される単一の置換基で置換された置換ピペラジニルである。一部の実施形態において、R
2は、-C(O)OC(CH
3)
3、-C(O)OCH
2CH(CH
3)
2、-C(O)OCH
2CH
3、-C(O)OCH
3、フェニル、-C(O)CH
3、-C(O)Ph、-SO
2Me、-SO
2N(CH
3)
2、
【化16】
からなる群から選択される4位で単一の置換基で置換された置換ピペラジニルである。
【0114】
特定の態様において、R
2は式:
【化17】
の置換ピペジニルであり、R
3は水素またはC
1-C
8アルキルであり、R
4は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、CF
3、アルコキシ、アリールオキシ、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。
【0115】
ある態様において、R
2は、
【化18】
であり、式中、R
5およびR
6はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、スルホニル、ジアルキルアミノ、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R
5は水素、ジアルキルアミノ、またはC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R
5は水素、ジアルキルアミノ、ピロリジニルまたはモルホリニルである。いくつかの実施形態では、R
6はスルホニルである。いくつかの実施形態では、R
6はメチルスルホニルである。
【0116】
ある態様において、R
2は:
【化19】
であり、式中、R
3aは、水素およびC
1-C
8アルキルからなる群から選択され、nは0、1、2から選択された整数である。
【0117】
いくつかの実施形態では、R
2は、
【化20】
である。
【0118】
ある態様において、R2は任意に置換されたモルホリニルである。いくつかの実施形態では、R2はモルホリニルである。
【0119】
いくつかの実施形態では、R
2orは、次式の任意に置換されたピペラジニルである。
【化21】
(式中、R
7は水素、ヒドロキシル、スルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アシル、ベンゾイル、シクロアルキルカルボニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R
7は、スルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アシル、ベンゾイル、シクロアルキルカルボニル、C
5-C
10アリールまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。
【0120】
いくつかの態様において、R
2は
【化22】
である。
【0121】
様々な態様において、R
2は任意に置換されたピロリジニルである:
【化23】
式中、R
8は水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。一部の実施形態において、R
8は、水素、ヒドロキシルまたは任意に置換されたC
1~C
10アルキルである。
【0122】
いくつかの態様において、R
2は:
【化24】
である。
【0123】
いくつかの態様において、R
2は任意に置換された二環式環または任意に置換された縮合環である。例えば、いくつかの実施形態では、R
2は、
【化25】
からなる群から選択され、
式中、R
9は水素、ヒドロキシル、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルである。
【0124】
ある態様において、R
2は、
【化26】
であり、式中、R
11a、R
11b、R
11c、およびR
11dのそれぞれは、水素、ヒドロキシ、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキルまたは任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルから独立して選択される。特定の実施形態では、R
2は、
【化27】
である。
【0125】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、各Ra、Rb、Rc、RdおよびReが、Ra、Rb、Rc、RdおよびReのそれぞれについて本明細書に開示される任意の実施形態から選択される化合物を記載する。R1は、R1について本明細書に開示されている任意の実施形態から選択される。R2は、R2について本明細書に開示された任意の実施形態から選択される。
【0126】
いくつかの実施形態は、
【化28】
から選択される化合物に関する。
【0127】
いくつかの実施形態は、
【化29】
からなる群から選択される化合物に関する。
【0128】
さらなる態様は、式IIの化合物:
【化30】
またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0129】
式IIのそれぞれの置換基Rf、Rg、Rh、RiおよびRjは、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から独立して選択される。
【0130】
式IIの置換基R10は、任意に置換された環状アミノ基であり、mは0から3の整数である。
【0131】
いくつかの態様において、式IIのそれぞれの置換基Rf、Rg、Rh、RiおよびRjは、H、ヒドロキシル、およびアルコキシからなる群より独立して選択される。いくつかの実施形態では、式IIのそれぞれの置換基Rf、Rg、Rh、RiおよびRjは、H、ヒドロキシル、およびメトキシからなる群から独立して選択される。いくつかの実施形態では、それぞれの置換基Rf、Rg、およびRjはHであり、それぞれのRg、およびRhは、ヒドロキシル、またはメトキシから独立して選択される。
【0132】
一部の実施形態において、R10は、任意に置換されたアジリジニル、任意に置換されたピロリジニル、任意に置換されたイミジゾリジニル、任意に置換されたピペリジニル、任意に置換されたピペラジニル、任意に置換されたオキソピペラジニル、または任意に置換されたモルホリニル、および任意の個々の置換または非置換ピペリジニルであるまたは、非置換モルホリニル、置換または非置換ピペラジニル、置換または非置換ピロリジニル、置換または非置換二環式、または式Iに関して上述した置換または非置換縮合環である。
【0133】
いくつかの態様において、R
10は、以下のような任意に置換された縮合環である:
【化31】
式中、R
11e、R
11f、R
11g、およびR
11hのそれぞれは、水素、ヒドロキシ、スルホニル、任意に置換されたC
1-C
10アルキル、任意に置換されたC
5-C
10アリール、任意に置換されたC
3-C
10ヘテロアリール、任意に置換されたC
3-C
10シクロアルキル、または任意に置換されたC
3-C
10ヘテロシクロアルキルから独立して選択される。特定の実施形態では、R
10は、
【化32】
ではなく、mが2の場合である。
【0134】
ある態様において、R
10は、
【化33】
である。
【0135】
いくつかの実施形態は、式IIa:
【化34】
の化合物を記載する。
【0136】
それぞれの置換基RkおよびR1は、H、ヒドロキシル、ハロ、アルキル、アルコキシ、CF3、SO2CH3、およびモルホリノからなる群から独立して選択される。
【0137】
置換基R
12は、アリールオキシ、アルケニルオキシ、アルコキシ、アミノアルキル、N、N-ジメチルアミノアルキル、ピロリジニル、n-メチルピロリジニル、N-アシルピロリジニル、カルボキシアミノアルキル、ヒドロキシアルキル、-O(CH
2)
2OC(O)CH
3、
【化35】
からなる群から選択される。
【0138】
いくつかの態様において、それぞれの置換基RkおよびRlは、H、ヒドロキシルおよびメトキシからなる群より独立して選択される。いくつかの実施形態では、R1はメトキシであり、Rkはヒドロキシルである。
【0139】
いくつかの態様において、置換基R
12はフェニルオキシ、-OCH
2CH=CH
2、メトキシ、-CH
2NH
2、-CH(NH
2)CH
3、-CH
2N(Me)
2、-CH(CH
3)N(Me)
2、-CH
2NHC(O)CH
3、-CH(OH)CH
3、-O(CH
2)
2OC(O)CH
3、
【化36】
からなる群から選択される。
【0140】
いくつかの実施形態は、以下からなる群から選択される化合物を説明する。
【化37】
【0141】
いくつかの実施形態は、
【化38】
からなる群から選択される化合物を説明する。
【0142】
追加の態様には、本明細書に記載の任意の態様による化合物の塩、溶媒和物、立体異性体、プロドラッグ、および活性代謝産物が含まれる。
【0143】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の遊離塩基形態に関する。他の実施形態は、例えば、遊離塩基の薬学的に許容される酸付加塩または薬学的に許容される付加塩を含むそのような化合物の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩の例には、硝酸、リン酸、硫酸、または臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リンに由来する塩、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸などの非毒性有機酸に由来する塩、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、および酢酸、マレイン酸、コハク酸、またはクエン酸が含まれるが、これらに限定されない。そのような塩の非限定的な例には、ナパジシル酸塩、ベシル酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベレート、セバケート、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などから由来する塩に限定されないが、これらを含む。上記の化合物の追加の塩形態には、アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルコン酸、ガラクツロン酸の塩が含まれる(例えば、Berge,et al."Pharmaceutical Salts,"J.Pharma.Sci.1977;66:1を参照)。
【0144】
薬学的に許容される塩基付加塩は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンで形成される。カチオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどである。適切なアミンの例には、N、N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインが含まれる。前記酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸形態を十分な量の所望の塩基と接触させて、従来の方法で塩を生成することにより調製される。遊離酸型は、塩型を酸と接触させ、遊離酸を単離することにより再生され得る。
【0145】
様々な実施形態は、総塩および部分塩、すなわち、上記の化合物または塩の酸1モル当たり1、2または3当量、好ましくは2当量の塩基、1、2または3当量、好ましくは1当量の塩、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の塩基のモル当たりの酸である。典型的には、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の薬学的に許容される塩は、必要に応じて所望の酸または塩基を使用することにより容易に調製することができる。塩は溶液から沈殿し、ろ過によって収集されるか、溶媒の蒸発によって回収される。例えば、塩酸などの酸の水溶液を、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の水性懸濁液に加え、得られた混合物を蒸発乾固(凍結乾燥)させて、酸付加塩を固体として得ることができる。あるいは、本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、適切な溶媒、例えばイソプロパノールなどのアルコールに溶解されても良く、酸は同じ溶媒または別の適切な溶媒に添加されても良い。次に、得られた酸付加塩を直接沈殿させるか、またはジイソプロピルエーテルやヘキサンなどの極性の低い溶媒を加えて沈殿させ、ろ過で分離する。
【0146】
多くの有機化合物は、それらが反応するか、沈殿または結晶化する溶媒と錯体を形成できる。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られる。様々な実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、これらの化合物の塩は溶媒和物を形成できる。
【0147】
さらなる態様には、本明細書に記載の任意の態様による化合物のN-オキシドが含まれる。N-オキシドには、そうでなければ非置換のsp2N原子を含む複素環が含まれる。そのようなN-オキシドの例には、ピリジルN-オキシド、ピリミジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシドおよびピラゾリルN-オキシドが含まれる。
【0148】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、1つ以上のキラル中心を有してもよく、個々の置換基の性質に応じて、それらは幾何異性体も有し得る。したがって、実施形態には、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の立体異性体、ジアステレオマー、および鏡像異性体が含まれる。キラル化合物は、個々のエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物として存在できる。鏡像異性体の等しい割合を含む混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。鏡像異性体の不均等な部分を含む混合物は、RまたはS化合物の「鏡像異性体過剰」(ee)を有すると説明される。混合物中の1つの鏡像異性体の過剰は、多くの場合、鏡像異性体過剰率で表される。エナンチオマーの比率は、エナンチオマーの混合物が平面偏光を回転させる度合いを個々の光学的に純粋なRおよびS化合物と比較する「光学純度」によって定義することもできる。化合物はまた、本明細書に記載の化合物の実質的に純粋な(+)または(-)鏡像異性体であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、1つの鏡像異性体の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%である実質的に純粋な鏡像異性体を含むことができる。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも99.5%の1つの鏡像異性体である実質的に純粋な鏡像異性体を含み得る。
【0149】
上記の説明は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のすべての個々の異性体を包含し、明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の説明または命名は、個々の鏡像異性体およびその混合物の両方を含むものとする。立体化学の決定および立体異性体の分割または定位合成の方法は、当技術分野で周知である。ジアステレオマーは、物理的特性と化学反応性の両方が異なる。ジアステレオマーの混合物は、溶解度、分別結晶化またはクロマトグラフィー特性、例えば薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィーまたはHPLCに基づいてエナンチオマーペアに分離できる。ジアステレオマーの複雑な混合物をエナンチオマーに精製するには、通常2つのステップが必要である。最初のステップでは、上記のように、ジアステレオマーの混合物を鏡像異性体のペアに分割する。第2のステップでは、鏡像異性体ペアをさらに精製して、一方または他方の鏡像異性体が濃縮された組成物、またはより好ましくは純粋な鏡像異性体を含む組成物に分割する。エナンチオマーの分割には通常、溶媒またはカラムマトリックスのよなキラル試薬との反応または分子相互作用が必要である。分割は、例えば、鏡像異性体の混合物、例えばラセミ混合物を、第2の薬剤、すなわち分割剤の純粋な鏡像異性体との反応によりジアステレオマーの混合物に変換することにより達成され得る。次に、2つの結果のジアステレオマー生成物を分離できる。分離されたジアステレオマーは、最初の化学変換を逆にすることにより、純粋なエナンチオマーに再変換される。
【0150】
エナンチオマーの分割は、キラル物質への非共有結合の違い、例えばホモキラル吸着剤のクロマトグラフィーによっても達成できる。エナンチオマーとクロマトグラフィー吸着剤との間の非共有結合により、ジアステレオマー複合体が確立され、クロマトグラフィーシステムの可動状態と結合状態で異なる分配が行われる。したがって、2つのエナンチオマーはクロマトグラフィーシステム内をカラム、異なるレートで、それらの分離を可能にながら移動する。
【0151】
さらなる実施形態は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳動物対象に投与されたときにインビボで本明細書に記載の実施形態のいずれかによる活性化合物を放出する化合物を含む。プロドラッグは、薬理学的に活性であるか、より典型的には代謝変換により薬理学的に活性な薬剤に変換される不活性な化合物である。本明細書に記載の任意の実施形態に係る化合物のプロドラッグは、本明細書に記載の任意の実施形態に係る化合物に存在する官能基を、in vivoで切断して親化合物を放出できるように修飾することにより調製される。生体内では、プロドラッグは生理学的条件下で化学変化を容易に受け(例えば、天然の酵素によって加水分解または作用を受け)、薬理学的に活性な薬剤の放出をもたらす。プロドラッグには、ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシ基が、それぞれ遊離ヒドロキシル、アミノ、またはカルボキシ基を再生するために生体内で切断され得る任意の基に結合する、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物が含まれる。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物のエステル(例えば、酢酸塩、ギ酸塩、および安息香酸塩誘導体)、または生理学的pHにもたらされるか酵素作用により変換される他の誘導体が含まれるアクティブな親薬物。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製の従来の手順は、当技術分野で説明されている(例えば、Bundgaard.Design of Prodrugs.Elsevier,1985を参照)。
【0152】
本発明は、単離された化合物も包含する。単離された化合物とは、混合物中に存在する化合物の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも80%を表す化合物を指す。
【0153】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物の1つまたは複数の水素原子は、重水素で置き換えられる。生理活性化合物の重水素化は、代謝結果にプラスの影響を与えながら、対応する水素の薬理学的プロファイルを保持するという利点を提供することが十分に確立される。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物において、1つ以上の水素を重水素で選択的に置換することにより、すべての水素の対応物と比較した場合の化合物の安全性、忍容性、および有効性を改善できる可能性がある。
【0154】
重水素を化合物に取り込む方法は十分に確立される。当技術分野で確立された代謝研究を使用して、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を試験して、同位体が代謝されない重水素同位体の選択的配置部位を特定できる。さらに、これらの研究は、重水素原子が配置される場所として代謝部位を特定する。
【0155】
医薬組成物
いくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物、その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その立体異性体、そのプロドラッグ、またはその活性代謝産物を含む。および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を記載する。薬学的組成物は、薬学分野で周知の方法で調製することができ、局所または全身治療が望ましいかどうか、および治療する領域に応じて、さまざまな経路で投与することができる。
【0156】
本明細書の任意の実施形態に記載の化合物をバルク物質として投与することは可能であるが、例えば、活性剤が医薬との混合物である医薬製剤、意図された投与経路および標準的な薬務に関して選択された許容可能な担体、で化合物を提示することが好ましい。
【0157】
特に、本開示は、本明細書に記載の任意の実施形態による治療有効量の少なくとも1つの化合物、および場合により薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0158】
組み合わせ
本開示の医薬組成物および方法について、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、他の療法および/または活性剤と組み合わせて使用され得る。
【0159】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、コリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)グルタミン酸受容体アンタゴニスト、ベータアミロイド特異的抗体、ベータセクレターゼ1(BACE1、ベータ部位アミロイド前駆体タンパク質切断酵素1)阻害剤、腫瘍壊死因子アルファ(TNFアルファ)モジュレーター、静脈内免疫グロブリン(IVIG)、またはプリオンタンパク質アンタゴニストの1またはそれ以上と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、化合物は、タクリン(COGNEX(商標登録);Sciele)、ドネペジル(ARICEPT(商標登録);Pfizer)、リバスチグミン(EXELON(商標登録);Novartis)、またはガランタミン(RAZADYNE(商標登録);Ortho-McNeil-Janssen)から選択されるコリンエステラーゼ阻害剤と組み合わされる。いくつかの実施形態では、化合物は、脊髄周囲エタネルセプト(ENBREL(登録商標)、Amgen/Pfizer)であるTNFαモジュレーターと組み合わされる。一部の実施形態では、化合物は、バピネズマブ(ファイザー)、ソラネズマブ(リリー)、PF-04360365(ファイザー)、GSK933776(グラクソスミスクライン)、ガンマガード(バクスター)またはオクタガム(オクタファーマ)から選択されるベータアミロイド特異的抗体と組み合わされる。いくつかの実施形態では、化合物は、メマンチンであるNMDA受容体アンタゴニスト(NAMENDA(登録商標);Forest)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、BACE1阻害剤はMK-8931(メルク)である。いくつかの実施形態において、化合物は、Magga et al.,J Neuroinflam 2010,7:90,Human intravenous immunoglobulin provides protection against Ab toxicity by multiple mechanisms in a mouse model of Alzheimer's disease,and Whaley et al.,2011,Human Vaccines 7:3,349-356、新興抗体製品およびニコチアナ製造;それぞれを参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物は、Strittmatter et al.、US2010/0291090の参照により本明細書に組み込まれ、これに開示されているように、プリオンタンパク質アンタゴニストと組み合わされる。
【0160】
したがって、本開示は、さらなる態様において、本明細書に記載の任意の実施形態による少なくとも1つの化合物、またはその薬学的に許容される誘導体、第二の活性剤、そして、必要に応じて、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0161】
同じ製剤で組み合わせる場合、2つ以上の化合物は安定であり、互いにおよび製剤の他の成分と適合性でなければならないことが理解されるだろう。別々に製剤化される場合、それらは、当技術分野でそのような化合物について知られているような方法で、任意の便利な製剤で提供されても良い。
【0162】
保存料、安定剤、染料および香味料は、本明細書に記載の任意の医薬組成物で提供されても良い。防腐剤の例には、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。酸化防止剤と懸濁剤も使用できる。
【0163】
モノクローナル抗体またはフラグメントなどの生物学的製剤を含む組み合わせに関して、適切な賦形剤を使用して、一般に非経口投与、たとえば静脈内投与のために、凝集を防ぎ、低エンドトキシンの溶液中の抗体またはフラグメントを安定化させる。例えば、Formulation and Delivery Issues for Monoclonal Antibody Therapeutics, Daugherty et al.,in Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing,Part 4,2010,Springer,New York pp 103-129.を参照。
【0164】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、湿式粉砕などの既知の粉砕手順を使用して粉砕して、錠剤形成および他の製剤タイプに適した粒径を得ることができる。化合物の微細に分割された(ナノ粒子)調製物は、当技術分野で知られているプロセスによって調製することができ、例えば、WO02/00196(SmithKline Beecham)を参照。
【0165】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、その立体異性体、そのプロドラッグ、またはその活性代謝産物は、任意の投与経路用に製剤化できる。
【0166】
投与経路および単位剤形
投与(送達)の経路には、経口(例えば、錠剤、カプセル、または摂取可能な溶液として)、局所、粘膜(例えば、鼻スプレーとして)または吸入用のエアロゾル)、非経口(例えば、注射可能な形態による)、胃腸、脊髄内、腹腔内、筋肉内、静脈内、脳室内、または他のデポ投与の1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない。
【0167】
したがって、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物には、投与様式用に特に処方された形態のものが含まれる。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、経口送達に適した形態で製剤化される。いくつかの実施形態では、化合物は経口送達に適した経口で生体利用可能な化合物である。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、非経口送達に適した形態で製剤化される。
【0168】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、ヒトまたは獣医学で使用するための任意の便利な方法で投与するために製剤化することができ、したがって、本開示は、人間または獣医学での使用に適用されて、その範囲内に、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を含む医薬組成物を含む。そのような医薬組成物は、1つ以上の適切な担体の助けを借りて、従来の方法で使用するために提示されても良い。治療用途に許容される担体は製薬分野で周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載される。医薬担体の選択は、意図された投与経路および標準的な医薬慣行に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、および/または可溶化剤を含み得る。
【0169】
異なる送達システムに応じて、異なる医薬組成物/製剤要件があり得る。すべての化合物を同じ経路で投与する必要があるわけではないことを理解されたい。同様に、医薬組成物が複数の活性成分を含む場合、それらの成分は異なる経路で投与されても良い。例として、本開示の医薬組成物は、ミニポンプを使用して、または粘膜経路により、例えば、吸入または摂取可能な溶液用の鼻スプレーまたはエアロゾルとして、または医薬組成物が非経口的に送達されるように製剤化され得る例えば、静脈内、筋肉内、または皮下経路による送達のために、注射可能な形態で処方される。あるいは、製剤は、複数の経路で送達されるように設計されても良い。
【0170】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物と抗体または抗体断片分子との組み合わせは、多くの経路のいずれかによって製剤化および投与することができ、適応症または治療に治療的に有効な濃度または求められた目的のために投与される。この目的を達成するために、当技術分野で知られているさまざまな許容可能な賦形剤を使用して抗体を製剤化することができる。典型的には、抗体は注射、例えば静脈内注射により投与される。この投与を達成する方法は、当業者に知られている。例えば、Gokarn et al.,2008,J Pharm Sci 97(8):3051-3066(参照により本明細書に組み込まれる)は、様々な高濃度抗体自己緩衝製剤を記載している。たとえば、pH5.0の5.25%ソルビトール中の50mg/mLmAbなどの自己緩衝製剤のモノクローナル抗体;または5%ソルビトール、0.01%ポリソルベート20、pH5.2中の60mg/mL mAb;または、従来の緩衝製剤、例えば、pH5.0の5.25%ソルビトール、25または50mM酢酸、グルタミン酸またはコハク酸中の50mg/mLmAb1。または、10mM酢酸またはグルタミン酸、5.25%ソルビトール、0.01%ポリソルベート20、pH5.2で60mg/mLである。当技術分野で知られているように、他の低濃度製剤を使用することができる。
【0171】
本開示のいくつかの化合物は、血液脳関門を通過するため、例えば、全身(例えば、静脈内、皮下、経口、粘膜、経皮経路)または局所的方法(例えば、頭蓋内)を含む様々な方法で投与することができる。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物が胃腸粘膜を介して粘膜に送達される場合、胃腸管を通過する間、安定性を維持できるはずである。例えば、タンパク質分解に耐性があり、酸性pHで安定であり、胆汁の界面活性剤効果に耐性がなければならない。例えば、経口投与用に調製された本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、腸溶コーティング層でコーティングされても良い。腸溶性コーティング層材料は、水または適切な有機溶媒のいずれかに分散または溶解させることができる。腸溶性コーティング層ポリマーとして、以下の1つまたは複数を別々にまたは組み合わせて使用することができる。例えば、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸トリメリット酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラックまたは他の適切な腸溶性コーティング層ポリマーの溶液または分散液が使用される。いくつかの実施形態では、水性腸溶コーティング層はメタクリル酸コポリマーである。
【0172】
適切な場合、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、吸入により、皮膚パッチの使用により、デンプンまたはラクトースなどの賦形剤を含む錠剤の形態で、またはカプセルまたは胚珠単独で経口投与することができる。または賦形剤との混合物、または香味剤または着色剤を含むエリキシル、溶液または懸濁液の形で、または非経口的に、例えば静脈内、筋肉内または皮下に注射することができる。頬側または舌下投与のために、本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、従来の方法で製剤化できる錠剤またはロゼンジの形態で投与することができる。
【0173】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物が非経口投与される場合、そのような投与は、本開示の化合物の静脈内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、頭蓋内、筋肉内または皮下投与;および/または輸液技術を使用しての投与、または並行しての投与を非限定的に含む。抗体または断片は、通常、非経口的に、例えば静脈内に投与される。
【0174】
注射または注入に適した本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、必要に応じてそのような製剤の調製のため、注入または注射に適した滅菌溶液または分散液に調整された活性成分を含む滅菌水溶液、分散液または滅菌粉末の形態であり得る。この調製物は、リポソームにカプセル化されていても良い。すべての場合において、最終製剤は、生産および保管条件下で無菌、液体、および安定でなければならない。保存安定性を改善するために、そのような製剤は、微生物の成長を防ぐための防腐剤を含んでも良い。微生物の作用の防止は、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、または吸収酸の添加により達成することができる。多くの場合、体液、特に血液の浸透圧と同様の浸透圧を確保するために、等張物質、例えば糖、緩衝液、塩化ナトリウムが推奨される。そのような注射可能な混合物の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンなどの吸収遅延剤の導入によって達成することができる。
【0175】
分散液は、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン油、およびそれらの混合物などの液体担体または中間体で調製することができる。液体担体または中間体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリンエステルおよびそれらの適切な混合物を含む溶媒または液体分散媒であり得る。リポソームの生成、分散液の場合の適切な粒子サイズの投与、または界面活性剤の添加により、適切な流動性が維持され得る。
【0176】
非経口投与の場合、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするのに十分な塩またはグルコースを含む滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。水溶液は、必要に応じて適切に緩衝化(3~9のpHが望ましい)する必要がある。滅菌条件下での適切な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術により容易に達成される。
【0177】
無菌注射液は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を適切な溶媒および前述の担体の1つまたは複数と混合し、その後無菌濾過することにより調製することができる。滅菌注射液の調製に使用するのに適した滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥を含み、化合物の粉末混合物および滅菌溶液のその後の調製のための所望の賦形剤を提供する。
【0178】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、注射(例えば、静脈内ボーラス注射または注入による、または筋肉内、皮下またはくも膜下腔内経路による)によるヒトまたは獣医学での使用のために製剤化することができ、アンプル、または他の単位用量容器、または必要に応じて防腐剤を追加した複数用量容器で、単位用量形態で提示することができる。注射用医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、または乳濁液の形態であり得、懸濁剤、安定剤、可溶化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で再構成するための無菌粉末形態であっても良い。
【0179】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、即時、遅延、修飾、持続、パルスまたは制御-リリースアプリケーションのために、錠剤、カプセル、トローチ、胚珠、エリキシル、溶液または懸濁液の形態で投与することができる。
【0180】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、使用前に水または他の適切な車両で再構成するため、経口または口腔投与に適した形態、例えば、溶液、ゲル、シロップ、または懸濁液、または乾燥粉末の形態で、ヒトまたは獣医用に提示することもできる。錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、トローチ、丸薬、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒、弾丸またはプレミックス製剤などの固体医薬組成物も使用できる。経口使用のための固体および液体医薬組成物は、当技術分野で周知の方法に従って調製することができる。そのような医薬組成物はまた、固体または液体形態であり得る1つまたは複数の薬学的に許容される担体および賦形剤を含んでも良い。
【0181】
錠剤は、微結晶性セルロース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)などの崩壊剤、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび特定の複合体、およびケイ酸塩、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ショ糖、ゼラチン、アカシアなどの造粒バインダーを含むことができる。
【0182】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの潤滑剤が含まれても良い。
【0183】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物は、急速または制御放出錠剤、微粒子、ミニ錠剤、カプセル、小袋、および経口溶液または懸濁液、またはそれらの調製のための粉末の形態で経口投与することができる。経口製剤は、結合剤、充填剤、緩衝剤、潤滑剤、流動促進剤、色素、崩壊剤、着臭剤、甘味料、界面活性剤、離型剤、付着防止剤およびコーティングなどの様々な標準的な医薬担体および賦形剤を任意に含んでも良い。いくつかの賦形剤は、例えば、結合剤および崩壊剤の両方として作用するなど、医薬組成物において複数の役割を果たし得る。
【0184】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物用の薬学的に許容される崩壊剤の例には、デンプン、アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギン酸塩、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性ケイ酸アルミニウムおよび架橋ポリビニルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物用の薬学的に許容される結合剤の例には、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、トラガカント、キサンチン樹脂、アルギン酸塩、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ポリエチレングリコールまたはベントナイトが含まれるが、これに限定されない。
【0186】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物用の薬学的に許容される充填剤の例には、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微結晶セルロース)、リン酸ジヒドロまたは無水カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0187】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物に有用な薬学的に許容される潤滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ナトリウムオレイン酸塩、ステアリルフマル酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素が含まれるが、これらに限定されない。
【0188】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物に適した薬学的に許容される着臭剤の例には、合成芳香および油、花、果物(例えば、バナナ、リンゴ、、サワーチェリー、モモ)およびそれらの組み合わせ、および同様の香りが含まれる。それらの使用は多くの要因に依存し、最も重要なのは、医薬組成物を服用する集団に対する感覚受容性の受容性である。
【0189】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物に適した薬学的に許容される色素の例には、二酸化チタン、ベータカロチンおよびグレープフルーツ果皮の抽出物などの合成および天然色素が含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
嚥下を促進し、放出特性を変更し、外観を改善し、および/または医薬組成物の味を隠すために通常使用される、本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物に有用な薬学的に許容されるコーティングの例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびアクリレート-メタクリレート共重合体に限定されない。
【0191】
本明細書に記載の任意の実施形態による経口医薬組成物のための薬学的に許容される甘味料の適切な例には、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、乳糖およびスクロースが含まれるが、これらに限定されない。
【0192】
薬学的に許容される緩衝液の適切な例には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0193】
薬学的に許容される界面活性剤の適切な例には、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートが含まれるが、これらに限定されない。
【0194】
同様のタイプの固体組成物も、ゼラチンカプセルの充填剤として使用することができる。これに関して好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液および/またはエリキシルの場合、薬剤は、さまざまな甘味剤または香味剤、色素または染料、乳化剤および/または懸濁剤、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、およびそれらの組み合わせと組み合わせることができる。
【0195】
示されるように、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、鼻腔内または吸入により投与することができ、乾燥粉末吸入器または加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で便利に送達される適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134AT)または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA)などのハイドロフルオロアルカンの使用227EA)、二酸化炭素またはその他の適切なガスでる。加圧エアロゾルの場合、計量単位を送達するためのバルブを提供することにより、投与単位を決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えばエタノールと噴射剤の混合物を溶媒として使用して、活性化合物の溶液または懸濁液を含むことができ、さらに潤滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンを含むことができる。
【0196】
吸入器または吸入器で使用するためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の粉末混合物、および乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤を含むように製剤化することができる。
【0197】
吸入による局所投与の場合、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、ネブライザーを介してヒトまたは獣医学で使用するために送達することができる。
【0198】
本開示の医薬組成物は、体積あたり0.01から99%の重量の活性物質を含むことができる。例えば、局所投与の場合、医薬組成物は一般に0.01~10%、より好ましくは0.01~1%の活性物質を含む。
【0199】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層ベシクルなどのリポソーム送達システムの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、ホスファチジルコリンなどのさまざまなリン脂質から形成できる。
【0200】
本明細書に記載の任意の実施形態による医薬組成物または単位剤形は、毒性または特定の患者の副作用を最小限に抑える一方で、化合物または単位剤形の投与量は、基礎疾患の状態、個人の状態、体重、性別、年齢、投与方法などのさまざまな要因によって異なる場合がある。患者に投与される正確な量は、障害の状態と重症度、および患者の身体状態によって異なる。任意の症状またはパラメーターの測定可能な改善は、当業者によって決定されるか、患者から医師に報告される。任意の症状またはパラメーターの臨床的または統計的に有意な減弱または改善が本開示の範囲内であることが理解されだろう。臨床的に有意な減弱または改善とは、患者および/または医師が知覚できることを意味する。
【0201】
いくつかの態様において、投与される化合物の量は、約0.01から約25mg/kg/日の範囲であり得る。一般に、毎日0.01~25mg/kg体重の用量レベルが患者、例えばヒトに投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、体重の約0.01mg/kg体重、体重の約0.1mg/kg体重、体重の約0.2mg/kg体重、体重の約0.3mg/kg体重の下限の間である。いくつかの実施形態では、治療有効量は約0.1mg/kg/日から約10mg/kg、0.4mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.60mg/kg体重、約0.70 mg/kg体重、約0.80mg/kg体重、約0.90mg/kg体重体重、約1mg/kg体重、約2.5mg/kg体重、約5mg/kg体重、約7.5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約12.5mg/kg体重、約15mg/kg体重、約17.5mg/kg体重、約20mg/kg体重、約22.5mg/kg体重、および約25 mg/kg体重体重;上限は25mg/kg体重、約22.5mg/kg体重、約20mg/kg体重、約17.5mg/kg体重、約15mg/kg体重、約12.5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約7.5mg/kg体重、約5mg/kg体重、約2.5mg/kg体重、約1mg/kg体重体重、約0.9mg/kg体重、約0.8mg/kg体重、約0.7mg/kg体重、約0.6mg/kg体重、約0.5mg/kg体重、約0.4mg/kg体重、約0.3mg/kg体重、約0.2mg/kg体重、約0.1mg/kg体重、および約0.01 mg/kg体重である。いくつかの実施形態では、治療有効量は約0.2および約5mg/kg/日である。本開示の医薬製剤は、障害を治療するのに有効な化合物の全量を必ずしも含む必要はなく、そのような有効量は、そのような医薬製剤の複数の分割用量の投与により到達できるため理解される。化合物は、1日1回、2回、3回、または4回など、1日1~4回のレジメンで投与されても良い。
【0202】
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、通常約10~約200mgの化合物を含むカプセルまたは錠剤に製剤化される。いくつかの実施形態では、カプセルまたは錠剤は、本明細書の任意の実施形態による化合物の約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80 mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg;約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、および約200mg、約200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg;約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、約50mg、約45mg、約40mg、約35mg、約30mg、約25mg、約20mg、約15mg、および約10mgの下限の値を含む。
【0203】
いくつかの態様において、本明細書の任意の態様による化合物は、50mg~500 mgの総1日用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、一日量は、本明細書の任意の実施形態による化合物の下限が約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175 mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg。約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、300mg、約305mg、約310mg、約315mg。約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395、約400mg、約405mg、約410mg、約415mg。約420mg、約425mg、約430 mg、約435mg、約440mg、約445 mg、約450 mg、約455mg、約460mg、約465mg、約470mg、約475mg、約480mg、約485mg、約490mg、約495mg、および約500mg、および約500mgの上限、約495mg、約490mg、約485mg、約480mg、約475mg、約470mg、約465mg、約460mg、約455mg、約450mg、約445mg、約440mg、約435mg、約430mg、約425mg、約420mg、約415mg、約410mg、約405mg、約400mg、約395mg、約390mg、約385mg、約380mg、約375mg 、約370mg、約365mg、約360mg、約355mg、約350mg、約345mg、約340mg、約335mg、約330mg、約325mg、約320mg、約315mg、約310mg、約305mg、約300mg、約295mg、約290mg、約285mg、約280mg、約275mg、約270mg、約265mg、約260mg、約255mg、約250mg、約245mg、約240mg、約235mg、約230mg、約225mg、約220mg、約215mg、約210mg、約205mg、200mg、約195mg、約190mg、約185mg、約180mg、約175mg、約170mg、約165mg、約160mg、約155mg、約150mg、約145mg、約140mg、約135mg、約130mg、約125mg、約120mg、約115mg、約110mg、約105mg、約100mg、約95mg、約90mg、約85mg、約80mg、約75mg、約70mg、約65mg、約60mg、約55mg、および約50mgを含む。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから150mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから250mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから350mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgから450mgである。いくつかの実施形態では、総1日用量は約50mgである。
【0204】
非経口投与用の医薬組成物は、総医薬組成物の100重量%に基づいて、本明細書に記載の任意の実施形態による約0.01重量%から約100重量%の活性化合物を含む。
【0205】
一般に、経皮剤形は、剤形の総重量100%に対して、約0.01重量%~約100重量%の本明細書に記載の任意の実施形態による活性化合物を含む。
【0206】
医薬組成物または単位剤形は、1日1回投与で投与されてもよく、または1日総投与量は分割投与で投与されても良い。さらに、障害の治療のための別の化合物の同時投与または連続投与が望ましい場合がある。この目的のために、組み合わされた有効成分は単純な投与単位に処方される。
【0207】
本明細書に記載される任意の実施形態による化合物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、または本明細書に記載されるWO2013/029057に概説される一般的な方法により調製され得る。
【0208】
本明細書に開示される任意の実施形態による化合物は、本明細書に提供される一般的な方法および特定の合成例に従って合成することができる。
【0209】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の調製に使用される中間体の保護された誘導体を使用することが望ましい場合があることは、当業者には理解されるだろう。官能基の保護および脱保護は、当技術分野で知られている方法によって実施することができる(例えば、Green and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis.John Wiley and Sons,New York,1999.)。ヒドロキシまたはアミノ基は、ヒドロキシまたはアミノ保護基で保護されています。アミノ保護基は、従来の技術により除去され得る。例えば、アルカノイル、アルコキシカルボニルおよびアロイル基などのアシル基は、加溶媒分解により、例えば酸性または塩基性条件下での加水分解により除去され得る。アリールメトキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)は、木炭上のパラジウムなどの触媒の存在下での水素化分解によって切断される。
【0210】
標的化合物の合成は、当業者に周知の標準的な技術を使用して、最後から2番目の中間体に存在する可能性のある保護基を除去することにより完了する。次いで、脱保護された最終生成物は、必要に応じて、シリカゲルクロマトグラフィー、シリカゲル上でのHPLCなどの標準技術を使用して、または再結晶により精製される。
【0211】
使用方法
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の任意の態様による化合物の投与により、ニューロン細胞のAβ種への曝露に関連するシナプス数減少または膜輸送異常を阻害する方法を提供する。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示は、認知機能低下および/または神経変性疾患、例えば、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を患者におけるアルツハイマー病または軽度認知障害(MCI)を有する患者に投与することを含む。
【0213】
いくつかの態様において、神経変性疾患は、加齢性記憶障害(AAMI)、加齢関連認知低下(ARCD)、興奮性シヌクレイノパチー、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)認知症、常染色体-優性パーキンソン病、認知障害認知症(CIND)、認知症、レビー小体型認知症(DLB)としても知られるびまん性レビー小体病(DLBD)、レビー小体の存在を特徴とする障害または状態、ダウン症候群、ジスキネジア、HIV認知症、ハンチントン病、偶発性LBD、遺伝性LBD、レビー小体嚥下障害、軽度認知障害(MCI)、多発性硬化症、多系統萎縮症(MSA)、オリーブ橋小脳萎縮症、パーキンソン病(PD)、前臨床アルツハイマー病(PCAD)、精神病、精神病自律神経障害、恥ずかしがり症候群、線条体変性、シヌクレイノパチー、アルツハイマー病とパーキンソン病および/またはMSAの合併、血管性認知症、疾患、障害oα-シヌクレインの異常な発現、安定性、活性および/または細胞プロセシングに関連する状態、レビー小体の存在を特徴とする疾患、障害または状態、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0214】
いくつかの実施形態では、認知機能低下および/または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病などの神経障害を抑制または治療する方法は、記憶喪失、混乱、判断障害、人格変化、見当識障害、および言語スキルの喪失からなる群から選択される認知低下の1つまたは複数の症状を抑制または治療することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、Aベータオリゴマーにより媒介されるかまたは関連する疾患または障害または状態を阻害または治療することを含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、認知機能低下および/または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病などの神経障害を抑制または治療する方法は、(i)長期増強(LTP)、長期抑圧(LTD)、または電気生理学的測定によって検出可能なシナプス可塑性またはその他の認知機能の負の変化の定義上記の用語;および/または(ii)神経変性の抑制または治療;および/または(iii)一般的なアミロイドーシスの阻害または治療、および/または(iv)アミロイド産生、アミロイド集合、アミロイド凝集、アミロイドオリゴマー結合、およびアミロイド沈着の1つまたは複数を阻害または治療;および/または(v)ニューロン細胞に対する1つまたは複数のAベータオリゴマーの効果、特に非致死的効果を阻害、治療、および/または軽減する。
【0216】
いくつかの実施形態では、認知機能低下および/または神経変性疾患、例えばアルツハイマー病などの神経障害を抑制、治療、および/または軽減する方法は、1つまたは複数のアミロイド産生、アミロイド集合、ニューロン細胞に対するAβオリゴマーの1つまたは複数の活性/効果、アミロイド凝集、アミロイド結合、およびアミロイド沈着の抑制、治療、および/または軽減を含む。
【0217】
いくつかの態様において、認知低下および/または神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病などの神経変性疾患を阻害、治療、および/または軽減する方法は、ニューロン細胞に対する1つまたは複数のAベータオリゴマーの1つまたは複数の活性/効果を阻害、治療、および/または軽減することを含む。
【0218】
いくつかの態様において、ニューロン細胞、アミロイド凝集およびアミロイド結合に対するAベータオリゴマーの1つまたは複数の活性/効果は、膜輸送またはシナプス数に対するAベータオリゴマーの効果である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、膜輸送またはシナプス数またはAベータオリゴマー結合に対するAベータオリゴマーの効果を阻害する。
【0219】
いくつかの態様において、本開示は、Aベータオリゴマー毒性、特に非致死的Aベータオリゴマー効果に関連するプロテオパシー疾患を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、そのようなプロテオパシー疾患を有する対象を、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはシグマ-2受容体に結合するものを含む医薬組成物と接触させることを含む。
【0220】
いくつかの態様において、プロテオパシー疾患は、MCI、ダウン症候群、黄斑変性症またはアルツハイマー病などのAβタンパク質の増加を特徴とするCNSプロテオパチーである。
【0221】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の任意の態様による化合物を投与することにより、1つまたは複数の軽度認知障害(MCI)または認知症を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、MCIおよび認知症を治療する方法を提供する。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を投与することによりアルツハイマー病を治療する方法を提供する。
【0223】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物で個体を治療し、対象の細胞を部分的または全体的に、AベータオリゴマーのようなAベータ種によって悪影響を受ける機能に関して正常な表現型に回復させる方法を提供する。例は、シナプス数の減少および膜輸送の異常であり、これらは、本明細書に記載のアッセイを含むさまざまな方法によって測定することができる。正常な表現型は、例えば、正常な膜輸送であり得る。いくつかの実施形態では、正常な表現型は正常な認知能力である。「正常な」表現型は、被験者の結果を正常な被験者のサンプルと比較することで決定できる。サンプルは、1人の被験者または1つのサンプルと同じくらい小さくても、10を超えるサンプルまたは被験者でもよく、ノルムは複数の被験者に基づいて計算される平均である。
【0224】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物は、一般に、ニューロンに対するAベータ効果を阻害する。いくつかの実施形態では、上記の化合物は、約100μM、約50μM、約20μM、約15μM、約10μM、約5μM、約1μM、約500nM未満のAベータ効果の阻害のIC50を有する。ニューロン(脳内のニューロンなど)、アミロイドアセンブリまたはその破壊、およびアミロイド(アミロイドオリゴマーを含む)結合、およびアミロイド沈着に対する約100nM、約50nM、または約10nMを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、ニューロン(中枢神経系ニューロンなど)での約100μM未満、約50μM、約20μM、約15μM、約10μM、約5μM、約1μM、約500nM、約100nM、約50nM、または約10nMのオリゴマーなどのAβ種の活性/効果の阻害についてIC50を有し得る。
【0225】
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、シグマ-2受容体に特異的に結合することによりAベータ効果を阻害し得る。化合物は、シグマ-1およびシグマ-2受容体の両方に結合できるにもかかわらず、シグマ-1受容体よりも少なくとも10%高い結合親和性で結合する場合、シグマ-2受容体に「特異的」であると言える。そのような実施形態の化合物は、シグマ-1受容体よりシグマ-2受容体の方が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、または1000%大きい特異性を示し得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物による、アミロイド(アミロイドオリゴマーを含む)などのニューロン(脳のニューロンなど)に対するオリゴマーなどのAベータ種の効果の1つまたは複数による阻害の割合)シナプスへの結合、およびAベータオリゴマーによって媒介される膜輸送の異常は、10nMから10μMの濃度の測定で、約1%から約20%、約20%から約50%、約1%から約50%、または約1%から約80%であり得る。阻害は、例えば、アミロイドベータ種への曝露前後のニューロンのシナプス数を定量化するか、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物およびAベータ種の両方の存在下でシナプス数を定量化することにより評価することができる。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、Aベータ種曝露と同時に、または先行または後続する。別の例として、膜輸送を決定し、エキソサイトーシスの速度と範囲、エンドサイトーシスの速度と範囲、またはAベータ種の存在下および非存在下で、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の存在下および非存在下での細胞代謝の他の指標を測定する1つ以上のパラメーターを比較することにより、阻害を評価できる。
【0227】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に記載の任意の態様による標識化合物を使用して、動物のベータアミロイド関連認知低下を測定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、動物を本明細書に記載の任意の実施形態による標識化合物と接触させ、シグマ-2の活性または発現を測定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、動物におけるシグマ-2活性または発現を、ベータアミロイド誘発性認知低下を有することが知られている動物と比較することを含む。活動または発現が、ベータアミロイドによって誘導される認知機能低下があることが知られている動物と同じである場合、その動物は同じレベルの認知機能低下があると言われる。動物は、ベータアミロイド誘発性認知低下のさまざまな段階の既知の活動または発現の類似性に従ってランク付けすることができる。本明細書に記載の任意の実施形態による任意の化合物は、標識化合物がインビボで使用できるように標識することができる。
【0228】
いくつかの態様において、アッセイは、本明細書に記載の任意の態様による化合物がシグマ-2受容体に結合できるかどうかを決定するために使用される。いくつかの実施形態では、方法は、可溶性Aβオリゴマー誘導シナプス喪失の阻害に関して可溶性Aβオリゴマー誘導神経毒性を阻害することにより、シグマ-2受容体に結合する化合物がシグマ-2受容体で機能的アンタゴニストとして作用するかどうかを決定することをさらに含む、および可溶性Aβオリゴマーの阻害は、膜輸送アッセイにおける欠損を誘発した。
【0229】
アミロイドβモノマー、オリゴマー、フィブリル、およびタンパク質に関連するアミロイドscreening(「タンパク質複合体」)、およびより一般的には、アミロイドβアセンブリを含む、アミロイドofの任意の形態を、本開示によるスクリーニング方法およびアッセイの実施において使用することができる。例えば、スクリーニング方法は、米国特許出願第13/021,872号に開示されているように、様々な形態の可溶性アミロイドαオリゴマーを使用することができる。米国特許公開2010/0240868;国際特許出願WO/2004/067561;国際特許出願WO/2010/011947;米国特許公開20070098721;米国特許公開20100209346;国際特許出願WO/2007/005359;米国特許公開20080044356;米国特許公開20070218491;WO/2007/126473;米国特許公開20050074763;国際特許出願WO/2007/126473、国際特許出願WO/2009/048631、および米国特許公開20080044406、米国特許第7,902,328号および米国特許第6,218,506号であり、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる。
【0230】
アミロイドβのモノマーまたはオリゴマーを含むアミロイドβフォームは、任意のソースから取得できる。例えば、いくつかの実施形態では、市販のアミロイドβモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーを水溶液で使用しても良く、他の実施形態では、タンパク質水溶液で使用されるアミロイβモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーを任意の数の既知の技術を使用して、当業者によって単離および精製される。一般に、様々な実施形態のタンパク質およびアミロイドβの水溶液の調製に使用されるアミロイドβモノマーおよび/またはアミロイドβオリゴマーは、水溶液に可溶性であり得る。したがって、水溶液のタンパク質とアミロイドβの両方が可溶性である可能性がある。
【0231】
追加されるアミロイドβは、どのアイソフォームでも良い。例えば、いくつかの実施形態では、アミロイドβモノマーはアミロイドβ1-42であっても良く、他の実施形態では、アミロイドβモノマーはアミロイドβ1-40であっても良い。さらに他の実施形態では、アミロイドβは、アミロイドβ1-39またはアミロイドβ1-41であっても良い。したがって、様々な実施形態のアミロイドAは、アミロイドAの任意のC末端アイソフォームを包含し得る。さらに他の実施形態は、N末端がほつれているアミロイドβを含み、いくつかの実施形態では、上記のアミロイドβC末端異性体のいずれかのN末端は、アミノ酸2、3、4、5、または6であり得る例えば、アミロイドβ1-42はアミロイドβ2-42、アミロイドβ3-42、アミロイドβ4-42、またはアミロイドβ5-42およびそれらの混合物を包含しても良く、同様に、アミロイドβ1-40はアミロイドβ2-40、アミロイドβ3-40、アミロイドβ4-40、またはアミロイドβ5-40を包含しても良い。
【0232】
様々な実施形態で使用されるアミロイドβ形態は、野生型、すなわち、大部分の集団によってインビボで合成されるアミロイドβのアミノ酸配列、またはいくつかの実施形態ではアミロイドと同一のアミノ酸配列を有し、いくつかの実施形態では、アミロイドβは変異アミロイドβであっても良い。実施形態は、特定の様々な変異アミロイドαに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、水溶液に導入されるアミロイドαは、例えば「オランダ」(E22Q)変異または「北極」(E22G)変異を有するアミロイドαなどの既知の変異を含んでも良い。そのような変異モノマーには、例えば、アルツハイマー病、アミロイドβの家族性形態にかかりやすい個体の集団から単離されたアミロイドβの形態などの天然に生じる突然変異が含まれ得る。他の実施形態では、変異アミロイドβモノマーは分子技術を使用して、特定の変異を持つアミロイドβ変異体を生成することにより合成的に生成される。さらに他の実施形態では、変異アミロイドβモノマーは、例えば、ランダムに生成されたアミロイドα変異体に見られる変異体など、以前に同定されていない変異を含んでも良い。本明細書で使用される「アミロイドA」という用語は、野生型のアミロイドAおよび変異型のいずれかのアミロイドAの両方を包含することを意味する。
【0233】
いくつかの態様において、タンパク質水溶液中のアミロイドαは、単一のアイソフォームのものであっても良い。他の実施形態では、アミロイドαの様々なC末端アイソフォームおよび/またはアミロイドαの様々なN末端アイソフォームを組み合わせて、タンパク質水溶液で提供できるアミロイドα混合物を形成することができる。さらに他の実施形態では、アミロイドβは、タンパク質含有水溶液に加えられ、インサイチュで切断されるアミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来する場合があり、そのような実施形態では、アミロイドβの様々なアイソフォームが溶液内に含まれ得る。アミロイドβを添加した後、水溶液内でN末端のフラッシングおよび/またはC末端アミノ酸の除去が発生する場合がある。したがって、本明細書に記載されるように調製された水溶液は、単一のアイソフォームが最初に溶液に加えられた場合でさえ、さまざまなアミロイドβアイソフォームを含み得る。
【0234】
水溶液に添加されるアミロイドβモノマーは、生体組織などの天然源から単離されても良く、他の実施形態では、アミロイドβは、トランスジェニックマウスまたは培養細胞などの合成源に由来しても良い。いくつかの実施形態では、モノマー、オリゴマー、またはそれらの組み合わせを含むアミロイドβ型は、認知機能低下またはアルツハイマー病などのそれに関連する疾患と診断された正常な被験者および/または患者から単離される。いくつかの実施形態では、アミロイドβモノマー、オリゴマー、またはそれらの組み合わせは、正常な被験者または病気の患者から単離されたAベータ集合体である。いくつかの実施形態では、Aベータ集合体は高分子量であり、例えば、100KDa以上である。いくつかの実施形態では、Aベータ集合体は中間分子量10から100KDaである。一部の実施形態では、Aベータ集合体は10kDa未満である。
【0235】
いくつかの実施形態のアミロイドAオリゴマーは、「オリゴマー」の一般的に使用される定義と一致する任意の数のアミロイドAモノマーから構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、アミロイドAオリゴマーは約2~約300約2~約250、約2~約200個のアミロイドαモノマー、および他の実施形態では、アミロイドαオリゴマーは、約2~約150、約2~約100、約2~約50、または約2~約25、アミロイドβモノマーを含む。いくつかの実施形態では、アミロイドβオリゴマーは、2つ以上のモノマーを含んでも良い。様々な実施形態のアミロイドβオリゴマーは、モノマーの確認に基づいて、アミロイドβフィブリルおよびアミロイドβプロトフィブリルと区別され得る。特に、アミロイドβオリゴマーのアミロイドβモノマーは、一般にβプリーツシートからなる球状であるのに対し、フィブリルおよびプロトフィブリルのアミロイドβモノマーの二次構造は平行βシートである。
【0236】
実施例
実施例1および2は、以下に記載される実験に使用され得るAベータオリゴマー調製物を記載する。膜輸送およびオリゴマー結合/シナプス減少アッセイで使用される特定の調製物、ならびに以下に記載される生体内アッセイで使用される調製物は、それぞれ関連する実施例に記載される。
【0237】
例1:アミロイドβオリゴマーの調製
アミロイドβが結合する可能性のある水溶性タンパク質の環境である神経組織でアミロイドβがオリゴマー化する可能性のある条件を再現して、アミロイドβオリゴマーおよび原線維のより疾患関連の構造状態を特定した。水溶性タンパク質は、超遠心分離によりラットの脳から調製された。具体的には、氷上のラット脳組織に、脳組織1グラムあたり5容量のTBSバッファー(20mM Tris-HCL、pH7.5、34mM NaClおよび完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Santa Cruz)を添加した。ホモジナイズされた脳組織は、その後、150,000xgで4℃(40,000rpm Ty65)で1時間遠心分離された。浮遊物(浮遊ミエリンとペレットの上0.5cmの間)が除去され、アリコートが凍結された。-75℃でペレットをTBSに再懸濁し、元の容量に再懸濁し、-75℃でアリコートで凍結した。合成、単量体ヒトアミロイドβ1-42をこの混合物に加えて、1.5uMアミロイドβの最終濃度を得て、溶液を4℃で24時間インキュベートした。線維状集合体を除去するために5,800gで10分間の混合物の遠心分離を実施し、次いで6E10共役アガローススピンカラム(Pierce Chemical Company)を使用して24時間免疫沈降を実施した。その後、溶出したアミロイドβオリゴマーをMALDI-Tof質量分析にかけ、サンプルの内容物を特定した。
【0238】
タンパク質含有溶液中で自己会合したするアミロイドβは、22,599Da、5サブユニット5量体および31,950Da、7サブユニット、7merのサブユニット集合体を形成する。49,291Daの別のピークは12サブユニット、12merを表すが、これはアミロイドβ12merの正確な分子量ではない。特に、4518Daまたは9036Daのいずれにも、アミロイドβモノマーおよびダイマーを表すピークは観察されない。ただし、9,882Daおよび14,731Daのピークは、それぞれ786Da(または2x393Da)の脂質またはタンパク質に関連するアミロイドβ二量体、および3x393Daの脂質またはタンパク質に関連するアミロイドβ三量体を表す。さらに、19,686Daのピークの存在は、3量体複合体と4954Daのラットアミロイドβフラグメントが関与している可能性があるアセンブリ状態を示す。したがって、これらのデータは、小さな脂質またはタンパク質とアミロイドβの二量体および三量体との関連を反映している可能性があり、生理学的システムに特有の立体構造状態のアセンブリを指図する可能性がある。
【0239】
実施例2ベータアミロイドオリゴマーの調製
ラット脳可溶性タンパク質の混合物中の1.5uM単量体ヒトアミロイドβ1-42の溶液を、実施例1に記載のように4℃で24時間インキュベートした。その後、この溶液をスペクトルを取る前にトリフルオロエタノール(TFE)で処理した。TFEでは、組み立てられたタンパク質構造と非共有結合したタンパク質複合体が変性タンパク質に解離し、組み立てられたオリゴマーに関連するピークが消えると予想される。上記で特定された9822Da、14,731Da、31,950Da、および49,291Daのピークを含む、実施例1で観察されたタンパク質ピークの大部分は消失した。ただし、4518Daに豊富なピークが観察され、これはアミロイドβモノマーピークを表す。4954.7のピークは明らかであり、これはアミロイドβ1-46と同様のより長いベータフラグメントを表している可能性がある。追加のピークが7086Daで観察される。これは、2550Daの共有結合したタンパク質に関連するアミロイドβモノマーに相当する可能性のある、実施例1に記載の調製物には存在しなかった。
【0240】
実施例3:ヒトAD脳組織からのベータアミロイドオリゴマーの単離
TBS可溶性抽出物:組織病理学的分析によりBraak Stage V/VIアルツハイマー病(AD)であると特徴付けられたヒト患者の死後脳組織のサンプルは、病院の脳組織バンクから入手した。年齢および性別が一致したADおよび正常組織標本を、1mM EDTAおよび1mg/ml完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma P8340)を含む20mM Tris-HCL、137mM NaCl、pH7.6で0.15gm組織/mlに希釈し、ホモジナイズした。組織ホモジネートの超遠心分離は、Beckman Optima XL-80K Ultracentrifugeで105,000gで1時間実施した。得られたTBS可溶性画分をプロテインAおよびプロテインGアガロースカラム(Pierce Chemical)を使用して免疫枯渇させ、次にAmicon Ultra 3、10および100kDa NMWCOフィルター(Millipore Corporation)でサイズ分画した。
【0241】
免疫沈降:サイズ分画および免疫枯渇TBS可溶性抽出物を、適切なNMWCO Amicon Ultraフィルターで約200ulに濃縮した。濃縮TBS可溶性抽出物をTBSサンプル緩衝液(Pierce Chemical)で400ulまで希釈し、5800gで10分間遠心分離して原線維を除去した。次に、得られた上清を6E10結合アガロースビーズで4℃で一晩免疫沈降させた後、高浸透圧のジェントル溶出バッファー(Pierce Chemical)を使用して抗原溶出し、Aβ含有タンパク質種を単離した。
【0242】
MALDI-質量分析:免疫分離されたベータアミロイドは、Applied Biosystems(ABI)Voyager DE-Pro MALDI-Tof機器を使用して質量分析にかけられた。サンプルは、分析のターゲット分子量範囲に応じて、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、シナピン酸(SA)、6-アザ-2-チオチミン(ATT)などのさまざまなマトリックスタイプを使用して分析した。機器は、可変抽出遅延とともに線形陽イオンモードで実行された。蓄積されていないスペクトルは、取得ごとに「ホットスポット」の100ショットを表し、蓄積スペクトルは、取得ごとに200レーザーショットの各スポットの12の個別の領域で表された。
【0243】
データ分析:データ収集と分析は、VoyagerのData Explorerソフトウェアパッケージを使用して実行された。質量スペクトルの標準処理には、S/N比の変動に加えて、スペクトルの平滑化とベースライン減算関数が含まれた。
【0244】
Ab定量のためのELISA:修正サンドイッチELISA技術を使用して、免疫沈降TBS可溶性画分を「総」AベータおよびAベータオリゴマー濃度の両方について分析した。簡単に説明すると、6E10および4G8でコーティングされたNunc MaxiSorp 96ウェルプレートをAbeta含有サンプルとインキュベートし、ビオチン化4G8検出抗体でプローブした。Streptavidin-HRP(Rockland)とのインキュベーションに続いて、BioTEk Synergy HTプレートリーダーでaベータの比色検出(OD 450)を可能にするテトラメチルベンジジン(TMB)基質の開発した。検量線の作成にはモノマーAベータ 1-42を使用し、GEN 5ソフトウェアとともに免疫沈降サンプルのAベータレベルの定量化を許可した。
実施例4:受容体結合アッセイ
【0245】
特定の化合物は、そのアゴニストまたはアンタゴニストの結合または作用をブロックすることにより、いくつかの受容体との相互作用について試験された。一部の化合物は、既知の細胞受容体またはシグナル伝達タンパク質と直接相互作用するかどうかを確認するためにテストされた。化合物は、細胞株で過剰発現されたまたは組織から単離された所定のヒト受容体の既知のアゴニストまたはアンタゴニストの結合を置換する能力について試験することができる。化合物はまた、所定のヒト受容体のアゴニストまたはアンタゴニストにより誘導される下流シグナル伝達を遮断する能力についても試験できる。化合物は、100種類の既知の受容体での作用を試験できる。CNSに関連する受容体のごく一部のみで比活性が生じることが望まし。
【0246】
同じプロトコルを使用して、膜輸送データが表1に示されているいくつかの化合物を、シグマ-2受容体の認識についてテストした。特定の化合物は、シグマ-2受容体に優先的に結合する。
【0247】
競合放射性リガンド結合アッセイ1
Sigma-1の結合では、100μM~1 nMのさまざまな濃度の試験化合物を使用して、8nM[3H](+)ペンタゾシンをJurkat細胞膜の内因性受容体から置き換えた(Ganapathy ME et al.1991,J Pharmacol.Exp.Ther.289:251-260)。10μMハロペリドールを使用して、非特異的結合を定義した。Sigma-2受容体の場合、100μM~1nMのさまざまな濃度の試験化合物を使用して、5nM[3H]1,3-Di-(2-tolyl)guanidineをSigma-1受容体をマスクするための300nM(+)ペンタゾシンの存在下で、ラット大脳皮質の膜上の内因性受容体から置換した。(Bowen WD,et al.1993,Mol.Neuropharmcol 3:117-126)。10μMハロペリドールを使用して、非特異的結合を定義した。Brandel 12Rセルハーベスターを使用してWhatman GF/Cフィルターで迅速にろ過した後、氷冷バッファーで2回洗浄して反応を終了した。乾燥したフィルターディスクの放射能は、液体シンチレーションアナライザー(Tri-Carb 2900TR;PerkinElmer Life and Analytical Sciences))を使用して測定した。置換曲線をプロットし、GraphPad Prism(GraphPad Software Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、受容体サブタイプの試験化合物のKi値を決定した。特異的結合の割合は、総結合(1分あたりの崩壊)と非特異的結合(1分あたりの崩壊)の差を総結合(1分あたりの崩壊)で除算することによって決定した。
【0248】
シグマ-1およびシグマ-2受容体の親和性は、シグマ-1受容体および[3H]1,3-Di-(シグマ-2受容体からの変位を測定するための300nM(+)ペンタゾシンの存在下での2-トリル)グアニジンを使った公開研究から通常得られる。
【0249】
競合的放射性リガンド結合アッセイ2
シグマ-1およびシグマ-2受容体での試験化合物の親和性は、異なる既知の標識シグマ-2またはシグマ-1リガンドの置換によっても決定された。ろ過アッセイは、以前に公開された手順に従って実施した(Xu,et al.,2005)。試験化合物をN、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはエタノールに溶解し、150mM NaClおよび100mM EDTAを含む50mM Tris-HCl pH7.4緩衝液で希釈した。膜ホモジネートは、シグマ-1結合アッセイではモルモットの脳から、シグマ-2結合アッセイではラットの肝臓から作製された。膜ホモジネートを50mM Tris-HClバッファー、pH8.0で希釈し、濃度0.1nM~10uMの放射性リガンドと試験化合物を含む96ウェルプレートで、総容量150uLで25°Cでインキュベートした。インキュベーションが完了した後、96チャンネルトランスファーピペット(フィッシャーサイエンティフィック、ピッツバーグ、ペンシルバニア州)を使用して150μLの氷冷洗浄バッファー(10mM Tris HCl、150mM NaCl、pH7.4)と採取したサンプルは、100μLの50mM Tris-HCIバッファーをあらかじめ浸しておいた96ウェルファイバーグラスフィルタープレート(Millipore、Billerica、MA)で迅速にろ過しました。各フィルターは、200μLの氷冷洗浄バッファー(10mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.4)で4回洗浄した。Wallac 1450 MicroBeta液体シンチレーションカウンター(Perkin Elmer、マサチューセッツ州ボストン)を使用して、結合放射能を定量した。
【0250】
モルモット脳膜ホモジネート(~300ugタンパク質)および~5nM[3H](+)-ペンタゾシン(34.9Ci/mmol、Perkin Elmer、Boston、MA)を使用して、シグマ-1受容体結合アッセイを実施した。インキュベーション時間は室温で90分だった。非特異的結合は、10μMの冷たいハロペリドールを含むサンプルから決定された。
【0251】
ラット肝臓膜ホモジネート(~300ugタンパク質)および~2nM sigma-2高選択性放射性リガンド[3H]RHM-1のみ(他のブロッカーなし)(America Radiolabeled Chemicals Incセントルイス、ミズーリ州)、~10nM[3H]DTG(58.1Ci/mmol、パーキンエルマー、ボストン、マサチューセッツ州)または~10nM[3H]ハロペリドール(America Radiolabeled Chemicals Inc.、セントルイス、ミズーリ州)シグマ-1部位をブロックする1uM(+)-ペンタゾシンの存在、インキュベーション時間は[3H]RHM-1では6分、室温で[3H]DTGおよび[3H]ハロペリドールでは120分だった。非特異的結合は、10uMの冷たいハロペリドールを含むサンプルから決定された。
【0252】
競合的阻害実験のデータを非線形回帰分析を使用してモデル化し、放射性リガンドの特異的結合の50%を阻害する阻害剤の濃度(IC50値)を決定した。結合親和性、Ki値は、ChengおよびPrusoffの方法を使用して計算された。モルモットの脳の[3H](+)-ペンタゾシンに使用されるKd値は7.89nMであり、ラット肝臓の[3H]RHM-1と[3H]DTGはそれぞれ0.66nMと30.73nMだった。標準化合物のハロペリドールは、品質保証のために使用されました。例示的な化合物のシグマ-2受容体での親和性データを表1に示す。
【0253】
いくつかの実施形態において、本明細書の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩は、本明細書で提供されるシグマ-2受容体結合アッセイプロトコルに従って試験した場合、1,000nM以下、750nM以下、500nM、250nM超、100nM以下、50nM以下、25nM以下、または10nM以下のシグマ-2受容体結合親和性Kiを示す。
【0254】
実施例5:膜輸送アッセイにおける神経細胞に対するAベータオリゴマー効果の阻害
本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を、細胞に対するアミロイドベータ効果を阻害する能力について試験した。化合物は一般に、膜輸送/エキソサイトーシスアッセイ(MTTアッセイ)によって測定されるアミロイドベータ効果を阻害することができた。結果を表1に示す。このアッセイの原理は次のとおりである。
【0255】
広範囲の細胞死ではなく、シナプスおよび記憶障害がアルツハイマー病の初期段階で支配的であるため、これらの変化を測定するアッセイは、オリゴマー活性の小分子阻害剤を発見するのに特に適する。MTTアッセイは、培養物の毒性の尺度として頻繁に使用されます。黄色のテトラゾリウム塩は細胞によってエンドサイトーシスされ、エンドソーム経路で不溶性の紫色ホルマザンに還元される。紫色のホルマザンのレベルは、培養中の活発に代謝する細胞の数を反映しており、ホルマザンの量の減少は、培養中の細胞死または代謝毒性の尺度として採用される。顕微鏡で観察すると、紫色のホルマザンが最初に細胞を埋める細胞内小胞に見える。時間が経つにつれて、ベシクルはエキソサイトーシスされ、不溶性ホルマザンが水性媒体環境にさらされると、ホルマザンは細胞膜の外表面に針状結晶として沈殿する。LiuとSchubert('97)は、エンドサイトーシス率に影響を与えずに、ホルマザンの減少によるエキソサイトーシス率を選択的に加速することにより、細胞が亜ベータオリゴマーの亜致死レベルに応答することを発見した。本発明者らは、培養中の成熟した一次ニューロンでこれらの観察結果を複製し、自動化された顕微鏡検査および画像処理によりこれらの形態学的変化を定量化した。これらの状況下では、減少したホルマザンの総量に全体的な変化はなく、その形成速度の変化および/または細胞からの排出の変化を反映する形態の単純な変化がある。本発明者らは、このアッセイが細胞死を引き起こさない低レベルのオリゴマーに敏感であるという以前の発見を確認した(Liu and Schubert'04,Hong et al.,'07)。実際、LTPの阻害につながる少量のオリゴマーは細胞死を引き起こさず(Tong et al.,'04)、培養中(または脳スライス)のホルマザンの総量を変えることは期待されていない。
【0256】
他の研究者が示唆した証拠は、膜輸送により媒介されるニューロン表面受容体発現のAベータオリゴマー媒介減少が、シナプス可塑性(LTP)、したがって学習および記憶の電気生理学的測定のオリゴマー阻害の基礎であることを示唆する(Kamenetz et al.,'03,Hseih et al.,'06)。ホルマザンの形態学的変化を介してオリゴマーによって誘導される膜輸送速度変化を測定することは、細胞株でAベータオリゴマー遮断薬を発見するために使用される(Maezawa et al.,'06,Liu and Schubert'97,'04,'06,Rana et al.,'09,Hong et al.,'08)in vivoでげっ歯類のAベータ脳レベルを低下させる(Hong et al.,'09)。エキソサイトーシスアッセイ/MTTアッセイの同様の手順は、文献に記載される。例えば、Liu Y,et.al.,Detecting bioactive amyloid beta peptide species in Alzheimer's disease.J Neurochem.2004 Nov;91(3):648-56;Liu Y,and Schubert D."Cytotoxic amyloid peptides inhibit cellular 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide(MTT)reduction by enhancing MTT formazan exocytosis."J Neurochem.1997 Dec;69(6):2285-93;とLiu Y,及びSchubert D."Treating Alzheimer's disease by inactivating bioactive amyloid beta peptide" Curr.Alzheimer Res.2006 Apr;3(2):129-35。したがって、アプローチは有効である。
【0257】
本エキソサイトーシスアッセイは、in vitroで3週間成長した成熟した初代ニューロン培養での使用に適応した。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO 2011/106785を参照されたい。Abetaオリゴマーは、Cellomics VTI自動顕微鏡システムを使用した画像処理で測定した場合、減少した紫色のホルマザンで満たされた細胞内小胞(涙点)の量の用量依存的減少を引き起こす。ビヒクルのみに曝露した培養神経細胞の顕微鏡写真は、ホルマザンで満たされた小胞を示す。ビヒクルとAベータオリゴマーにさらされた神経細胞の顕微鏡写真では、ホルマザンで満たされた小胞がかなり少なく、代わりに細胞外環境に遭遇すると結晶に沈殿するエキソサイトーシスされたホルマザンが示される。Aベータオリゴマーの量を増やすと、最終的に明白な毒性が生じる。したがって、アッセイで使用される神経活性Aベータオリゴマーの濃度は、細胞死を引き起こす濃度よりもはるかに低い。本発明者らは、抗Aベータ抗体の添加によりAベータオリゴマーの効果がブロックされるが、抗体単独ではそれ自体には効果がないことを示すことにより、アッセイが有効であることを確認した(データは示していない)。この方法で構成された場合、アッセイは、これらの化合物がオリゴマーの破壊、ニューロンへのオリゴマー結合の阻害、またはオリゴマー結合によって開始されるシグナル伝達機構の反作用を介して作用するかどうかにかかわらず、Abetaオリゴマーの非致死効果を阻害する化合物を検出することができる。
【0258】
結果の生成に使用された方法は、膜輸送/エキソサイトーシス(MTT)アッセイで以下のとおりである。
【0259】
E18 Sprague-Dawleyラット胚の初代海馬ニューロンを、NB培地(Invitrogen)の384ウェルプレートに最適濃度で播種した。ニューロンは培養中に3週間維持され、NBメディアにN2サプリメント(Invitrogen)を週に2回供給した。これらのニューロンは、成熟した脳のニューロンに特徴的なシナプスタンパク質の完全な補体を発現し、活動依存性の電気シグナル伝達の複雑なネットワークを示す。このような文化のニューロンとグリアは、無傷の脳回路との優れたレジストレーションを示す分子シグナル伝達ネットワークを有しており、このため、学習と記憶のモデルシステムとして20年以上にわたって使用された(例:Kaech S,Banker G.Culturing hippocampal neurons.Nat Protoc.2006;1(5):2406-15.Epub 2007 Jan 11;See also Craig AM,Graf ER,Linhoff MW.How to build a central synapse:clues from cell culture.Trends Neurosci.2006 Jan;29(1):8-20.Epub 2005 Dec 7.Review)。
【0260】
試験化合物を100uM~0.001nMの範囲の濃度で細胞に加え、続いてビヒクルまたはAベータオリゴマー調製物(総Aベータタンパク質濃度3μM)を加え、5%CO2で37℃で1~24時間インキュベートした。MTT試薬(3-(4,5-dimethylthizaol-2yl)-2,5diphenyl tetrazolium bromide)(Roche Molecular Biochemicals)をリン酸緩衝生理食塩水で5mg/mLに再構成した。MTT標識試薬10μLを各ウェルに添加し、37oCで1時間インキュベートしてからイメージング下。エキソサイトーシスは、自動化された顕微鏡検査および画像処理によって評価され、エンドサイトーシスおよびエキソサイトーシスされたホルマザンの量を定量化した。
【0261】
各アッセイプレートは、各プレート上でAベータオリゴマーを使用して、または使用せずに化合物がテストされるようにフォーマットされた。この設計により、スクリーニングカスケードの初期段階で(一次スクリーニングのレベルで)毒性または代謝的に活性な化合物が排除される。ホルマザンの減少は、細胞内小胞で最初に見られた。最終的なホルマザンエキソサイトーシスはAベータオリゴマーを介して加速された。
【0262】
有効濃度の活性試験化合物の存在下では、膜輸送の変化がブロックされ、細胞はビヒクルで処理されたニューロンと見分けがつかなくなる。さらに、場合によっては、試験化合物のこの効果は、細胞をAベータオリゴマーに曝露する前または後に試験化合物を添加するかどうかに依存しないようであり、これは治療効果および予防効果を示す。活性試験化合物の適切な濃度は、このアッセイで見られるAベータオリゴマーの膜輸送効果をブロックします。本明細書に記載の任意の実施形態による化合物の上昇用量は、シグマ-2受容体の選択的高親和性アゴニストであり、オリゴマー効果を停止し、培養物をビヒクル処理培養物のように見せる。
【0263】
Aβオリゴマー毒性の阻害に有効なシグマ-2受容体の選択的高親和性アゴニストである、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、アルツハイマー病で見られる。
【0264】
合成Abetaオリゴマーは膜輸送アッセイで投与され、820nMのEC50を示した。Aベータの各濃度は、各テスト化合物のいくつかの濃度に対してテストされた。活性化合物は、EC50をほぼ2桁右にシフトした。データが古典的な線形および非線形モデルに適合した場合、データはシルド分析(1のヒルスロープnH)で線形であり、これは化合物が膜輸送を媒介する標的に対するオリゴマーと化合物の間で真の薬理学的競合を示すことを示す。
【0265】
アルツハイマー病患者の脳に由来するAベータオリゴマーは、試験化合物に対して投与することができ、化合物への曝露により右方向へのシフトも示されると予想される。具体的には、有効用量で、活性試験化合物は、合成およびヒトのアルツハイマー病患者由来のオリゴマーの両方と薬理学的な競合を示す。
【0266】
実験制御
公表された方法に従って作成されたAベータ1-42オリゴマーを陽性対照として使用した。[例えばDahlgren et al.,"Oligomeric and fibrillar species of amyloid-beta peptides differentially affect neuronal viability"J Biol Chem.2002 Aug 30;277(35):32046-53.Epub 2002 Jun 10.;LeVine H 3rd."Alzheimer's beta-peptide oligomer formation at physiologic concentrations"Anal Biochem.2004 Dec 1;335(1):81-90;Shrestha et.al,"Amyloid beta peptide adversely affects spine number and motility in hippocampal neurons"Mol Cell Neurosci.2006 Nov;33(3):274-82. Epub 2006 Sep 8;Puzzo et al.,"Amyloid-beta peptide inhibits activation of the nitric oxide/cGMP/cAMP-responsive element-binding protein pathway during hippocampal synaptic plasticity"J Neurosci.2005 Jul 20;25(29):6887-97;Barghorn et al.,"Globular amyloid beta-peptide oligomer-a homogenous and stable neuropathological protein in Alzheimer's disease"J Neurochem.2005 Nov;95(3):834-47.Epub 2005 Aug 31;Johansson et al.,Physiochemical characterization of the Alzheimer's disease-related peptides A beta 1-42 Arctic and A beta 1-42wt.FEBS J.2006 Jun;2 73(12):2618-30]および脳由来Abetaオリゴマー(例えば、Walsh et al.,Naturally secreted oligomers of amyloid beta protein potently inhibit hippocampal long-term potentiation in vivo.Nature(2002).416,535-539;Lesne et al.,A specific amyloid-beta protein assembly in the brain impairs memory.Nature.2006 Mar 16;440(7082):352-7; Shankar et al,Amyloid-beta protein dimers isolated directly from Alzheimer's brains impair synaptic plasticity and memory.Nat Med.2008 Aug;14(8):837-42.Epub 2008 Jun 22)。上記の特許文献に記載され、その全体が参照により組み込まれている特許文献に記載されている調製物を含む、任意のAベータオリゴマー調製物をこのアッセイまたは対照として使用できることに留意すべきである。
【0267】
特にアルツハイマー病患者の脳から単離されたオリゴマー製剤を含む、さまざまな異なるAベータオリゴマー製剤が膜輸送アッセイにおいてAベータ効果を引き起こすことが実証された。
【0268】
界面活性剤を使用せずに、死後のヒト海馬または前頭前野からオリゴマーを単離し、6pMolarのKdで用量依存的に膜輸送を阻害した。ヒトアルツハイマー病患者由来のAbetaオリゴマー(137pM)は、媒体と比較して膜輸送の統計的に有意な抑制をもたらす。化合物4-(3-(4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ブチル)-2-メトキシフェノールは、AD脳由来Aベータオリゴマーによって誘発される膜輸送不足を排除するが、Aベータの非存在下で投与した場合、人身売買には影響しない。
【0269】
さまざまなAbetaオリゴマー製剤の効力は異なるが(たとえば、ネイティブのアルツハイマー分離株は、試験した合成製剤のいずれよりも強力です-データは示さない)、結果は定性的に同じである:オリゴマーが媒介する病態は、本明細書の任意の実施形態によると、シグマ-2機能的アンタゴニストとして作用する。
【0270】
初代ニューロン培養
最適な細胞密度は、読み出しとしてエキソサイトーシスアッセイを使用し、培養中のニューロンに対するグリアの相対的割合の免疫組織化学分析を使用して、Aβオリゴマーに対する細胞応答に基づいて決定される。培養は、神経組織とグリア(グリア細胞)である培養の割合を監視するために、免疫組織化学および画像処理ベースの定量化により毎週監視される。インビトロで21日のスクリーニング年齢で、20%を超えるグリア(GFAP陽性)とニューロン(1:5000(濃度変数)のMAP2に対する(ニワトリポリクローナル)抗体(Millipore)で陽性に染色)を含む培養物(21 DIV)は拒否される。
【0271】
Aベータオリゴマー製剤
ヒトアミロイドペプチド1-42は、品質管理分析に応じてロット選択を行いながら、カリフォルニアペプチドなどの多くの販売業者から入手した。オリゴマー調製物の品質管理は、オリゴマーのサイズ範囲と相対濃度を決定するウェスタンと、毒性なしでエキソサイトーシスの加速を確認するMTTアッセイで構成される。DNA結合ブルー色素DAPI(Invitrogen)で視覚化された核形態の定量化を介して、各画像ベースのアッセイで毒性を監視した。断片化された核は後期のアポトーシスにあると見なされ(MajnoおよびJoris'95)、テストは拒否される。ニューロンに標準の1.5μM濃度で異常なペプチドサイズ範囲または重大な毒性を生じるペプチドロットも拒否される。
【0272】
プレートベースのコントロール-再フォーマットされたプレートが、ビークルとAベータオリゴマーで処理されたニューロン間で統計的に有意な最小2倍の分離を達成すると、アッセイの最適化は完了したとみなされた(p<0.01、スチューデントt検定、不等分散)プレート間のCVが10%を超えない、日常的な基準である。
統計ソフトウェアと分析
【0273】
データ処理と分析は、Cellomics VTI画像分析ソフトウェアとSTORE自動化データベースソフトウェアによって達成された。培養3週間後のダイナミックレンジが低く、ニューロンのウェル間変動が大きいため、ペアワイズチューキークラマー分析で統計的比較を行い、化合物+AベータオリゴマーとAベータ単独および化合物単独の分離の重要性を車両から判断する。成熟した初代ニューロンが成人の脳の電気生理学的に媒介されたシグナル伝達ネットワークをより厳密に近似する能力は、このスクリーニング戦略を正当化する。偽陰性を最小限に抑える多数の複製スクリーニングウェルに対してパワー解析を設定した(例:N=4)。本開示の試験化合物は、膜輸送に対するAベータオリゴマーの効果を著しく逆転させるが、ニューロン代謝自体には影響を及ぼさない。
【0274】
本明細書に記載の任意の実施形態による選択された化合物は、Aベータオリゴマー添加の前に本明細書に記載のMTTアッセイで投与され、示されたEC50でAベータオリゴマー誘発膜輸送欠損を遮断することが示された。具体的には、これらの結果は、化合物がマイクロモル濃度でニューロン細胞の膜輸送に対するAベータオリゴマーの活性/効果をブロック/軽減することを示す。表1の特定の化合物は、示されたEC50でAベータオリゴマーによるエキソサイトーシスの促進をブロックすることが示された。したがって、表1の化合物は、膜輸送のAベータオリゴマーを介した変化を大幅にブロックした。これらの結果は、化合物がニューロン細胞に対するAベータオリゴマーの活性/効果をブロック/軽減し、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物を使用して、Aベータオリゴマーが誘発する膜輸送異常をブロックできることを示す。
【0275】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物は、本明細書で提供される膜輸送アッセイプロトコルに従って試験した場合、20μM以下、15μM以下、10μM以下、5uM以下、1uM以下、1uM以下、0.5uM以下のEC50で、Aベータオリゴマー誘発膜輸送欠損を阻害する。
【0276】
実施例6:薬物動態および代謝安定性研究
最初の薬物動態研究は、マウスのミクロソーム、マウス肝ミクロソーム、MLMで実施された。この研究は、Obach,R.S et al.(1997)J.Pharmacol.Exp.Ther.,283:46-58によって実施され、これは参照により本明細書に組み込まれる。MLMアッセイにおける化合物の半減期(t1/2)を表1に示す。
【0277】
いくつかの態様において、本明細書に記載の任意の態様による化合物、またはその薬学的に許容される塩は、本明細書に提供されるマウス肝臓ミクロソーム(MLM)アッセイにおいて少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも25分、少なくとも50分、少なくとも100分、または少なくとも200分の半減期(t1/2)を示す。
【0278】
結果は、試験した化合物のいくつかがマウス肝臓ミクロソームで実質的に長い半減期を有していたことを示す。この結果は、これらの化合物の経口投与後の生物学的利用能が大きくなることを示す。同じ化合物が、上記の膜輸送アッセイおよび本明細書で言及されるそれらの活性により試験された。
【0279】
試験化合物の固有クリアランスの速度が速かった場合、実質的な初回通過代謝が示唆されます。薬物動態特性を改善するために、化合物は代謝安定性を高め、薬物様特性を改善するように設計された。候補化合物の代謝および肝安定性を決定するために、ミクロソーム安定性実験および血漿安定性実験が実施された。いくつかの実施形態において、インビトロミクロソーム安定性は、標準化合物、4-(3-(4-(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ブチル)-2-メトキシフェノール、16のマウス肝臓ミクロソームt1/2(min)の初期リード化合物に正規化された。本発明の化合物は、この初期のリード化合物よりも優れている。
【0280】
2回目のPK研究はin vivoで実施することができ、以下のように、さまざまな経路で急性または慢性的に投与された試験化合物の血漿レベルと脳レベルの測定が含まれる。
【0281】
HPLC-MS最適化
各試験化合物の溶液を調製し、一定速度でシリンジポンプを介してTSQ Quantum分光計(Fisher Thermo Scientific)ソースに注入する。フルスキャンMS(質量分析)分析が行われ、全イオン電流クロマトグラムと対応する質量スペクトルが、正と負の両方のイオン化モードで各試験化合物について生成される。MS/MSのプリカーサイオンは、それぞれのイオン量の関数として、正または負の質量スペクトルから選択される。さらに、定量分析で使用する適切な選択されたフラグメンテーション反応を決定するために、プロダクトイオンMS/MS分析が実行される。最終的な反応モニタリングパラメータは、成分の複雑な混合物内に存在する場合に試験化合物を定量化する能力を最大化するように選択される。各テスト化合物に使用する特定のSRMトランジションを特定した後、TSQ量子化合物最適化ワークスペースの自動化プロトコルを使用して検出パラメーターを最適化する。最後に、LC-MS分析に使用するクロマトグラフィー条件は、適切なLCカラムでの分析物の注入と分離によって識別され、必要に応じて勾配条件の調整が実行される。
【0282】
IV投与の処方:
pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)への試験化合物の溶解度は、最初に目視検査により評価される。化合物が目標濃度で溶解する場合、PBSが媒体として使用される。(化合物がPBSに完全に溶解しない場合、IV投与に適合する他の媒体を評価できます。そのような媒体には、DMSO、ポリエチレングリコール(PEG 400)、ソルトールHS 15、およびクレモホールELが含まれる。)単回ボーラス、10mg/kgの試験化合物を静脈内投与する。
【0283】
PO投与用の製剤:PBSへの試験化合物の溶解度が最初に評価される。化合物が目標濃度で溶解する場合、PBSが媒体として使用される。(DMSO/Solutol HS15/PBS(5/5/90、v/v/v)、またはDMSO/1%メチルセルロース(5/95、v/v)は、それぞれの濃度で試験化合物がPBSに完全に溶解しない場合に使用できる。)
【0284】
プラズマの直線性
血漿のアリコートに、指定された濃度の試験化合物をスパイクする。スパイクされたサンプルは、アセトニトリル沈殿を使用して処理され、HPLC-MSまたはHPLC-MS/MSで分析される。ピーク面積と濃度の検量線が作成される。定量下限(LLQ)とともに、アッセイの報告可能な線形範囲が決定される。
【0285】
血漿サンプルの定量的バイオ分析
血漿サンプルはアセトニトリル沈殿を使用して処理され、HPLC-MSまたはHPLC-MS/MSで分析される。プラズマ較正曲線が生成された。薬物を含まない血漿のアリコートに、指定の濃度レベルで試験化合物をスパイクする。スパイクされた血漿サンプルは、同じ手順を使用して未知の血漿サンプルと一緒に処理される。通常、処理された血漿サンプル(乾燥抽出物)は、HPLC-MSまたはHPLC-MS/MS分析まで凍結(-20°C)で保存される。乾燥した抽出物を適切な溶媒に再構成し、遠心分離後にHPLC-MSまたはHPLC-MS/MSで分析した。ピーク面積が記録され、未知の血漿サンプル中の試験化合物の濃度は、それぞれの検量線を使用して決定される。定量下限(LLQ)とともに、アッセイの報告可能な線形範囲が決定される。
【0286】
この研究で使用される動物は、通常、それぞれ体重20~30gのオスのC57BL/6マウス、または体重180~250gのオスのSprague-Dawleyラットである。各投与条件および各時点で3匹の動物を治療するため、各動物は1回の採血のみを受ける。皮下化合物投与は、腹腔内注射により達成された。経口投与は胃管栄養法によって行われる。静脈内投与は頸静脈カテーテルを介して行われる。
【0287】
様々な濃度での化合物投与後、血漿サンプルは、例えば、10、30、60、120、240、360、480、および1440分で収集される。
【0288】
マウスおよびラットからの血漿サンプル採取
【0289】
心臓穿刺(マウス)または頸静脈カテーテル(ラット)による採血のために、動物を全身吸入麻酔(3%イソフルラン)下で鎮静させる。血液アリコート(300-400μL)をリチウムヘパリンでコーティングされたチューブに集め、穏やかに混合し、氷上で保持し、収集から1時間以内に4℃で15分間、2,500xgで遠心分離する。その後、血漿を採取し、さらに処理するまで-20℃で凍結する。
【0290】
動物の投与設計-生体内PK-カニューレが挿入されていない、絶食していない動物
【0291】
グループ1:SC、n=各時点で3匹の動物(合計24匹)または
【0292】
IV、各時点でn=3匹(合計24匹)
【0293】
グループ2:PO、n=3の時点ごとの動物(合計24匹の動物)
【0294】
グループ3:対照動物(薬物を含まない血液用)、n=5マウス
【0295】
各動物は、1回の採血と1回の脳採取の対象となる。
【0296】
動物からの脳サンプル収集
採血直後、動物を断頭し、脳全体を素早く取り出し、冷生理食塩水(0.9%NaCl、g/mL)で洗い流し、表面血管系を破裂させ、ガーゼで吸い取り乾燥させ、重量を量り、さらに処理するまで収集から1時間以内氷上に置く。各脳は、Power Gen 125を使用して、氷上で10秒間、1.5mLの冷リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4(マウス=1.5mL、ラット=)でホモジナイズされる。各脳の脳ホモジネートは、次の処理まで-20°Cで保存される。
【0297】
脳サンプルの直線性
脳ホモジネートのアリコートに、指定濃度の試験化合物をスパイクされる。各脳アリコートに、等量の冷却26%(g/mL)中性デキストラン(Sigmaからの平均分子量65,000-85,000、カタログ番号D-1390)溶液を添加して、13%の最終デキストラン濃度を取得する。ホモジネートを54000xgで4℃で15分間遠心分離する。その後、上清をアセトニトリル沈殿を使用して処理し、HPLC-MS/MSで分析する。ピーク対濃度iの検量線を作成した。定量下限(LLQ)とともに、アッセイの報告可能な線形範囲が決定される。
【0298】
脳サンプルの定量分析
各脳ホモジネートアリコートに、等量の冷却された26%(g/mL)の中性デキストラン(Sigmaからの平均分子量65,000-85,000、カタログ番号D-1390)溶液を加えて、13%の最終デキストラン濃度を得る。ホモジネートを54000xgで4℃で15分間遠心分離する。その後、上清をアセトニトリル沈殿を使用して処理し、HPLC-MS/MSで分析する。脳の較正曲線が生成される。薬物を含まない脳ホモジネートのアリコートに、指定の濃度レベルで試験化合物をスパイクする。スパイクされた脳ホモジネートサンプルは、同じ手順を使用して未知の脳ホモジネートサンプルと一緒に処理される。処理された脳サンプルは、LC-MS/MS分析まで-20°Cで保存される。LC-MS/MS分析では、ピーク面積が記録され、未知の脳サンプル中のテスト化合物の濃度がそれぞれの検量線を使用して決定された。アッセイの報告可能な線形範囲は、定量下限(LLQ)とともに決定された。
【0299】
脳の透過性
脳(ng/g組織)および血漿(ng/mL)の試験化合物の濃度、ならびに各時点での脳濃度と血漿濃度の比は、LC-MS/MSおよび上記のように報告される。
【0300】
薬物動態
時間に対する化合物の血漿濃度のプロットが作成される。経口およびSC投与後の化合物の基本的な薬物動態パラメーター(AUClast、AUCINF、T1/2、Tmax、およびCmax)は、WinNonlin(Pharsight)を使用した血漿データの非コンパートメント分析(NCA)から取得される。非コンパートメント分析では、薬物または代謝物の特定のコンパートメントモデルを仮定する必要はない。NCAでは、血漿濃度-時間曲線下の面積の測定に台形規則を適用できる(Gabrielsson,J.and Weiner,D.Pharmacokinetic and Pharmacodynamic Data Analysis:Concepts and Applications.Swedish Pharmaceutical Press.1997)。
【0301】
報告された用語の定義
曲線下面積(AUC)-全身循環に到達する未変化薬物の総量の測定。曲線の下の領域は、濃度と時間をプロットし、各台形の増分領域を合計することによって計算された幾何学的な測定値である。
【0302】
WinNonlinには、面積を計算するための2つの計算方法がある。線形台形法と線形対数台形法である。線形台形法は、濃度-時間曲線の下降部分に偏った結果を与え、AUCを過大評価する可能性があるため、WinNonlinはAUCの計算に線形対数オプションを提供する。デフォルトでは、対数線形台形法を使用して、残りの血漿濃度-時間曲線のTmax後の面積を測定する。
【0303】
AUClast:投与時から最後の観察時までの曲線下の面積で、定量限界よりも大きかった。
【0304】
AUCINF:外挿された投与時から無限大までの曲線下面積。
【0305】
Cmax-行う時間と最後に観察された時間の間に薬物の経口または非IV投与後に得られた最大血漿薬物濃度。
【0306】
Tmax-薬物投与後数分で記録される最大観察血漿濃度(Cmax)の時間。
【0307】
T1/2-IV投与と非IV投与の両方からの終末消失半減期。
【0308】
ここで、ラムダZ(z)は、血漿濃度-時間曲線の末端(対数線形)部分に関連付けられた1次速度定数である。zは、時間対ログ濃度の線形回帰によって推定される。
【0309】
結果は、特定の試験化合物が0.1~0.5mg/kgの範囲の用量で急性または慢性(毎日5日以上)投与した場合、良好な生物学的利用能と脳透過性を示すことを示すと予想される。この方法で、選択した試験化合物の経口バイオアベイラビリティを評価する。
【0310】
実施例8:hERG阻害のインビトロ試験
標準アッセイでhERG阻害のin vitro試験を実施した(Haverkamp W,Breithardt G,Camm AJ,Janse MJ,Rosen MR,Antzelevitch C,Escande D,Franz M,Malik M,Moss A and Shah R.(2000)Eur Heart J 21 (15);1216-31)。hERG阻害の試験化合物の結果(IC50、nM)を表1に示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩は、300nMを超えるIC50で、最小限のhERG阻害を示す。500nMを超える、1,000nMを超える、3,000nMを超える、5,000nMを超える、10,000を超える、または20,000nMを超える。特定の実施形態において、本明細書に記載の任意の実施形態による化合物、またはその薬学的に許容される塩は、最小限のhERG阻害を示し、5,000nMを超える、10,000を超える、または20,000nMを超えるIC50を示す。
【0311】
logP、膜輸送(uM)、シグマ-2受容体親和性、マウス肝臓ミクロソームにおけるシグマ-1受容体親和性ミクロソーム安定性(MLM)(t1/2、分)に関する本明細書に記載の特定の化合物の総合結果、t1/2をCTに正規化した)10914およびin vitro毒性カリウムチャネルhERG(IC50、nM)を表1に示す。
【表1】
【0312】
合成例
実施例Syn1:実施例化合物9の調製:
【化39】
化合物S1-2の調製のための一般的な手順
【化40】
【0313】
三つ口フラスコに、マグネシウム(9.39g、391.09mmol、1.1 eq)とヨウ素粒を入れた。その後、THF(800mL)中の化合物S1-1(80g、355.54mmol、1.0eq)の15パーセント容量を窒素雰囲気下で混合物に加え、黄褐色が消えるまで攪拌した混合物を70oCに加熱してから攪拌しましたその温度でさらに6時間、THF中の化合物S1-2(0.44M)の溶液を得て、次のステップで直接使用した。
化合物S1-4の調製のための一般的な手順
【化41】
【0314】
化合物S1-2(320ミリモル、1.0当量)のTHF(500mL)溶液に、CuCl(3.17g、32ミリモル、0.1当量)を加えた。溶液を0℃に冷却したら、化合物S1-3(64g、320mmol、1.0当量)を滴下した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE/EA、50:1~10:1)で精製し、表題化合物S1-4(51g、46%)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl
3)δ7.57-7.49(m、4H)、4.08-4.03(m、4H)、3.80(d、J=2.4Hz、1H)、1.62-1.58(m、6H)、1.13-1.09(m、6H)
TLC:PE/EA=10:1、UV254nm
Rf(化合物S1-4)=0.5
化合物S1-5の調製の一般手順
【化42】
【0315】
化合物S1-4(51g、147.25mmol、1.0当量)のMeOH(300mL)溶液に、1N NaOH水溶液(736mL、736.25mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を90℃で3時間撹拌した後、室温に冷却した。混合物を1NHCl溶液でpH4~5まで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮して、化合物S1-5(40g、94%)を得て、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
1HNMR(400MHz、CDCl
3)δ7.57-7.55(m、2H)、7.50-7.48(m、2H)、3.86(s、1H)、1.59(s、6H);
TLC:DCM/MeOH=10:1、UV254nm
Rf(化合物S1-5)=0.5
化合物S1-6の調製のための一般的な手順
【化43】
【0316】
化合物S1-5(40g、137.82mmol、1.0当量)のDMSO(200mL)溶液を150℃で2時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、水、ブラインで洗浄した。次いで、有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮して、表題化合物S1-6(30g、88%)を得て、これをさらに精製することなく直接使用した。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.57-7.55(m、2H)、7.48-7.45(m、2H)、2.67(s、2H)、1.49-1.46(m、6H);
TLC:DCM/MeOH=10:1、UV254nm
Rf(化合物S1-5)=0.4
Rf(化合物S1-6)=0.8
化合物S1-8の調製のための一般的な手順
【化44】
【0317】
THF(500mL)中の化合物S1-6(30g、121.84mmol、1.0当量)の溶液にHOBt(19.8g、146.2mmol、1.2当量)、EDCI(28g、146.21mmol、1.2eq)、TEA(37g、365.52mmol、3.0eq)、および化合物S1-7(23.77g、243.68mmol、2.0eq)。反応物を室温で一晩撹拌し、次に水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1~3:1)で精製して化合物S1-8(31g、88%)を得た)。
1HNMR(400MHz、CDCl
3)δ7.56-7.54(m、2H)、7.50-7.47(m、2H)、3.59(s、3H)、3.06(s、3H)、2.78(s、2H)、1.49(s、6H);
TLC:PE/EA=3:1、UV254nm
Rf(化合物S1-6)=0.4
Rf(化合物S1-8)=0.8
化合物S1-10の調製のための一般的な手順
【化45】
【0318】
三口フラスコに、マグネシウム(8.0g、331.39ミリモル、1.1eq)とヨウ素粒を入れた。その後、THF(300mL)中の化合物S1-9(40.67g、301.26mmol、1.0eq)の15%体積を窒素雰囲気下で混合物に加え、黄褐色が消えるまで攪拌した混合物を70oCに加熱し、溶液をその温度でさらに6時間撹拌して、THF中の化合物S1-10(1.0M)の溶液を得、これを次のステップで直接使用した。
化合物S-11の調製のための一般的な手順
【化46】
【0319】
化合物S1-8(31g、107.16mmol、1.0eq)のTHF(200mL)溶液に、0℃で化合物S1-10(1.0M、215mL、214.32mmol、2.0eq)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌した。次に、混合物を飽和NH
4Cl溶液でクエンチし、エーテルで抽出し、有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、真空濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲル(PE)でのカラムクロマトグラフィーにより精製して粗化合物S-を得た。11(28.9g、95%)。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.56-7.54(m、2H)、7.47-7.45(m、2H)、7.75(m、1H)、2.75(s、2H)、2.01-1.99(m、3H)、1.74-1.73(m、3H)、1.44-1.42(m、6H);
TLC:PE/EA=10:1、UV254nm
Rf(化合物S1-8)=0.5
Rf(化合物S1-11)=0.9
実施例9の調製の一般的手順
【化47】
【0320】
化合物S1-11(2.4g、8.44mmol、1.0eq)、化合物S1-12(1.43g、8.44mmol、1.0eq)およびTi(EtO)4(7.7g、33.76mmol、4.0eq)の混合物)THF(100mL)中、窒素雰囲気下で70℃で一晩撹拌した。次に、混合物を室温まで冷却し、NaBH
4(1.23g、33.76mmol、4.0当量)を加えた。添加完了後、混合物を室温で3時間撹拌した。次に、水を加え、酢酸エチルで抽出し、ろ過した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1~1:1)で精製して、化合物実施例9を得、これをHCl/EA(2.0M、10mL)に溶解した。混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮して、実施例9HCl(600mg、15%)を油として得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ7.60-7.52(m、4H)、4.70-4.67(m、1H)、3.95-3.92(m、2H)、3.79-3.73(m、1H)、3.61-3.59(m、1H)、2.81-2.73(m、2H)、2.38-2.22(m、2H)、1.98(s、6H)、1.64-1.61(m、2H)、1.46-1.43(m、12H)、1.31-1.28(m、6H);
MS:[M+H]+=438.5
例Syn2:例化合物262の調製:
【化48】
化合物S2-7の調製のための一般的な手順
【化49】
【0321】
0℃に冷却した無水THF(4.5L)中の化合物S2-6(450g、1.83mol、1.0eq)の溶液に、1MBH
3(2.75L、2.745mol、1.5eq)の溶液を滴下し加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより反応をモニターした。無色の均一な反応混合物を0℃に冷却し、MeOH(2L)、続いて水(1L)を注意深く加えた。次に、MeOHおよびTHFを真空下で除去した。混合物をDCM(3x1L)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(1L)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固させて粗化合物S2-7(340g、80%)無色のオイルとして。
1HNMR(400MHz、CDCl
3):δ7.57(d、J=8.0 Hz、2H)、7.47(d、J=8.4Hz、2H)、3.47(t、J=7.2Hz、2H)、1.98(t、J=7.2Hz、2H)、1.29(s、6H)。
化合物S2-9の調製のための一般的な手順
【化50】
【0322】
化合物S2-7(296g、1.27mol、1.0eq)の溶液をCH
3CN(3.6L)、NMI(10.3g、127mmol、0.1eq)、TEMPO(9.8g、63mmol、0.05eq)およびBPy(9.7g、63mmol、0.05eq)を加えた後、Cu(PF6)(MeCN)4(23.5g、63mmol、0.05eq)を加えました。混合物を酸素雰囲気下で4時間撹拌した。TLCにより反応をモニターした。混合物を水(2L)に注ぎ、DCM(3x2L)で抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、化合物S2-9(281g、96%)を暗緑色の油として得た。
1HNMR(400MHz、CDCl
3):δ9.54(s、1H)、7.61(d、J=7.6Hz、2H)、7.51(d、J=7.6Hz、2H)、2.66(s、2H)、1.49(s、6H)。
TLC:PE/EA=20:1、UV254nm
Rf(化合物S2-7)=0.1
Rf(S2-9)=0.8
化合物S2-11Rの調製のための一般的な手順
【化51】
【0323】
化合物S2-9(150g、652.5mmol、1.0当量)のTHF(750mL)溶液、化合物S2-10R(118.96g、978.77mmol、1.5当量)およびTi(OEt)4(74.4g、326.2ミリモル、0.5当量)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した後、水(24g、1.3mol)でクエンチし、セライトパッドで濾過し、酢酸エチルで希釈し、ブライン、水で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE/EA、5:1)で精製して、化合物S2-11R(165g、75.9%)を得た。
TLC:PE/EA=3:1、UV254nm
Rf(化合物S2-9)=0.6
Rf(化合物S2-11R)=0.5
化合物S2-12の調製のための一般的な手順
【化52】
【0324】
三口フラスコに、マグネシウム(31.9g、1.3mol、1.1eq)とヨウ素粒を入れた。次に、THF(1.5L)中の化合物S2-31(149g、1.2mol、1.0eq)の15%体積を窒素雰囲気下で混合物に加え、黄褐色が消えるまで攪拌した混合物を70oCに加熱した。次に、残りの溶液を滴下し、さらに6時間撹拌して、THF中の化合物S2-12(1.0M)の溶液を得、これを次のステップで直接使用した。
化合物S2-13Rの調製のための一般的な手順
【化53】
【0325】
化合物S2-11R(120g、359.9ミリモル、1.0当量)のTHF(80mL)溶液に、化合物S2-12(1080mL、539.9ミリモル、1.50当量、0.5M)を0℃で加えた。5℃。室温で一晩撹拌した後、反応をNH4Clでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1~3:1)で精製して化合物S2-13R(69.1g、49.3%)を得た。
【0326】
化合物S2-13R(69.1g)をエーテル/ヘキサン(1/1)(30mL)で4~8oCで最大2日間再結晶し、白色固体(25.6g、37%)を得た。を使用して、実施例262を99%eeで生成した。母液をエーテル/ヘキサン(1/1)(20mL)で再結晶して、白色固体(15.1g)を得た。
TLC:PE/EA=3:1、UV254nm
Rf(化合物S2-11R)=0.5
Rf(化合物S2-13R)=0.3
化合物S2-14Rの調製の一般手順
【化54】
【0327】
化合物S2-13R(34.6g、88.8mmol、1.0当量)を丸底フラスコに加えた。次に、HClのEtOAc溶液(90mL、2N、2当量)を加えた。2時間撹拌した後、約80mLの溶媒を真空下で除去した。混合物をエーテル(20mL)で希釈し、白色固体を化合物S2-14R塩酸塩としてろ過した。塩酸塩をH
2O(30mL)に溶解し、Na
2CO
3の飽和水溶液でpH10にアルカリ化した。次に、エーテル(30mLx3)で抽出し、乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮して無色の油(20.2g79.7%)を得た。
TLC:PE/EA=3:1、UV254nm
Rf(化合物S2-13R)=0.3
Rf(化合物S2-14R)=0.1
例示化合物262の調製のための一般手順
【化55】
【0328】
ACN(48mL)中の化合物S2-14R(4.8g、16.8mmol、1.0eq)の溶液に、化合物S2-15(8.35g、16.8mmol、1.0eq)およびK2CO3(4.46g、33.6mmol、2.0eq)。85oCで一晩攪拌した後、反応をH2O(50mL)で停止し、酢酸エチル(40mLx3)で抽出しました。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1~3:1)で精製して、フリーベースとして化合物実施例262(5.1g69%)を与える。キラルHPLCでee%は99%であると決定された。遊離塩基をHCl/EA(1.3M、50mL)に溶解した。混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮して、実施例262HCl(5.5g、69%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD)δ7.60-7.52(m、4H)、4.70-4.67(m、1H)、3.95-3.92(m、2H)、3.79-3.73(m、1H)、3.61-3.59(m、1H)、2.81-2.73(m、2H)、2.38-2.22(m、2H)、1.98(s、6H)、1.64-1.61(m、2H)、1.46-1.43(m、12H)、1.31-1.28(m、6H);
MS:[M+H]+=438.5
化合物2-15の調製のための一般手順
【化56】
【0329】
化合物S2-16(5.0g、26.6mmol、1.0eq)のDCM(50mL)溶液に、化合物TsCl(20.2g、106.2mmol、4.0eq)およびピリジン(8.4g、106.2mmol、4.0eq)を加えた。室温で一晩撹拌した後、反応をH
2O(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(40mLx3)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(PE/EA、10:1~3:1)で精製して化合物S2-15(5.4g 40.9%)を得た。
例Syn3:例化合物14の調製:
【化57】
例示化合物14の調製のための一般手順
【化58】
【0330】
MeOH(600mL)中の化合物S3-9(60.0g、0.26mol、1.0当量)および化合物S3-10(30.0g、0.26mol、1.0当量)の混合物にNaBH
4(39.6g、1.04mol、4.0eq)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で室温で3時間撹拌した。次に、ブラインを加え、溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、Na
2SO
4で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物実施例14(45.1g、52%)を得た。
TLC:DCM:MeOH=10:1
Rf(例14)=0.2
例示化合物14 HClの調製のための一般手順
【化59】
【0331】
HCl/EA(2.5M、160mL)中の実施例14の混合物(65g、0.2mol)。室温で2時間撹拌した。濁った混合物を濃縮して、実施例14のHCl(68g、94%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD):δppm7.67-7.61(m、4H)、3.31-3.3(m、3H)、3.15-3.11(m、2H)、2.85-2.79(m、2H)、2.17-2.12(m、2H)、1.82-1.76(m、2H)、1.43(s、6H)、1.27(s、3H)。
MS:[M+H]+=330.20
実施例Syn4:実施例化合物17の調製:
【化60】
【0332】
化合物S4-11(300mg、1.3mmol、1.0当量)、化合物S4-12(150mg、1.3mmol、1.0当量)およびNaBH
4(197mg、5.2mmol、4.0当量)のMeOH(10mL)を窒素雰囲気下で室温で3時間撹拌した。次にaq。NaClを加え、酢酸エチルで抽出し、ろ過した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、真空で濃縮した。残渣をプレTLCにより精製して、化合物実施例17を得、これをHCl/EA(1.3M、10mL)に溶解した。混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮して、実施例17のHCl(144.1mg、31.4%)を白色の固体として得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD):δ7.75-7.60(m、4H)、4.07-4.03(m、1H)、3.63-3.57(m、1H)、3.34-3.30(m、6H)、3.16-3.09(m、2H)、2.87-2.83(m、2H)、2.19-2.14(m、2H)、1.43(s、6H);
MS:[M+H]+=316.4
実施例Syn5:実施例化合物307の調製:
【化61】
【0333】
化合物S5-9(3.54g、15.38mmol、1.0当量)のMeOH(60mL)溶液に、化合物S5-10(3.0g、16.9mmol、1.1当量)および2滴のAcOHを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。NaBH
4(2.33g、61.55mmol、4.0当量)を加えた後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。H2O(20mL)で反応停止し、ろ過し、EA(20mLx3)で抽出し、濃縮して残留物を得、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で精製して、化合物実施例307(1.3g、21.6%)。
TLC:DCM:EA:MeOH=1:1:0.1
R
f(化合物S5-9)=0.9
R
f(化合物例307)=0.3
実施例307HClの調製のための一般手順
【化62】
【0334】
化合物EA(5mL)中の化合物例307(1.9g、4.85mmol、1.0当量)の溶液に、EA/HCl(2.5M、6mL、3.0当量)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮して、実施例307のHCl(2.1g、100%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.62-7.60(m、2H)、7.50-7.47(m、4H)、7.46-7.31(m、2H)、7.28(m、2H)、3.32(m、2H)、3.13(m、2H)、2.64(m、2H)、2.32(m、2H)、1.67(m、3H)、1.39(m、6H);
MS:[M+H]+=392.6
実施例Syn6:実施例化合物191の調製:
【化63】
【0335】
化合物S6-9(5.4g、23.68mmol、1.0当量)のMeOH(100mL)溶液に、化合物S6-12(3.0g、26mmol、1.1当量)および2滴のAcOHを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。NaBH
4(3.58g、94.71mmol、4.0当量)を加えた後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。H
2O(30mL)で反応を停止し、ろ過し、EA(30mLx3)で抽出し、濃縮して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で精製し、実施例191(3.4 g、44%)。
TLC:DCM:EA:MeOH=1:1:0.1
Rf(化合物S6-9)=0.9
Rf(例191)=0.3
実施例191HClの調製のための一般手順
【化64】
【0336】
EA(10mL)中の実施例191(3.4g、10.33mmol、1.0当量)の溶液に、EA/HCl(2.5M、8.9mL、2.0当量)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮して、実施例191のHCl(3.5g、93%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ7.60-7.58(m、2H)、7.49-7.47(m、2H)、3.56(s、1H)、3.25(s、3H)、3.19(m、2H)、2.80(m、2H)、2.59(m、2H)、2.39(m、2H)、2.30(m、2H)、1.93(m、2H)、1.37(s、6H);
MS:[M+H]+=330.2
実施例Syn7:実施例化合物317の調製:
【化65】
【0337】
化合物S7-9(5.46g、23.7ミリモル、1.0当量)のMeOH(100mL)溶液に、化合物S7-14(3.0g、26ミリモル、1.1当量)および2滴のAcOHを加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。NaBH
4(3.58g、94.63mmol、4.0当量)を加えた後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。H
2O(30mL)で反応停止し、ろ過し、EA(30mLx3)で抽出し、濃縮して残渣を得、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で精製して、実施例317(2.1g、27%)。
TLC:DCM:EA:MeOH=1:1:0.1
Rf(化合物S7-9)=0.9
Rf(例317)=0.3
実施例317のHClの調製のための一般的な手順
【化66】
【0338】
EA(10mL)中の実施例317(2.1g、6.37mmol、1.0当量)の溶液に、EA/HCl(2.5M、6mL、2.0当量)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮して、実施例317のHCl(2.1g、91%)を得た。
1HNMR(400MHz、CDCl
3)δ12.17(m、1H)、7.61-7.59(m、2H)、7.50-7.48(m、2H)、4.16-4.13(m、1H)、3.90-3.86(m、1H))、3.55-3.53(m、1H)、3.33(m、1H)、3.23(s、3H)、2.63-2.59(m、2H)、2.51(m、1H)、2.23(m、1H)、2.19-1.90(m、4H)、1.39-1.37(m、6H);
MS:[M+H]+=330.6
実施例Syn8:実施例化合物306の調製:
【化67】
【0339】
MeOH(80mL)中の化合物S8-9(3.08g、13.3mmol、1.0当量)の溶液に、化合物S8-16(2.0g、17.36mmol、1.1当量)および2滴のAcOHを添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。NaBH
4(2.02g、53.4mmol、4.0当量)を加えた後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。H
2O(30mL)で反応を停止し、ろ過し、EA(30mLx3)で抽出し、濃縮して残渣を得、これをカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1)で精製し、実施例306(1.2g、27%)。
TLC:DCM:EA:MeOH=1:1:0.1
Rf(化合物S8-9)=0.9
Rf(例306)=0.3
実施例306HClの調製の一般手順
【化68】
【0340】
EA(5mL)中の実施例306(2.0g、26.07mmol、1.0当量)の溶液に、EA/HCl(2.5M、5mL、2.0当量)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮して、実施例306HCl(2.28g、100%)を得た。1HNMR(400MHz、CDCl3)δ12.75(m、1H)、7.60-7.58(m、2H)、7.49-7.47(m、2H)、3.53-3.51(m、2H)、2.63-2.60(m、2H)、2.53-2.50(m、2H)、2.34-2.30(m、2H)、2.05(m、4H)、2.00(m、1H)、1.97-1.88(m、2H)、1.38(s、6H);
MS:[M+H]+=330.3