(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】ガラス密封ガス放電管
(51)【国際特許分類】
H01T 4/12 20060101AFI20230130BHJP
H01T 4/10 20060101ALI20230130BHJP
H01T 21/00 20060101ALI20230130BHJP
H01J 61/36 20060101ALI20230130BHJP
H01J 9/26 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H01T4/12 F
H01T4/10 J
H01T21/00
H01J61/36 Z
H01J9/26 Z
(21)【出願番号】P 2019565874
(86)(22)【出願日】2018-05-29
(86)【国際出願番号】 US2018034835
(87)【国際公開番号】W WO2018222568
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-24
(32)【優先日】2017-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505441524
【氏名又は名称】ボーンズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ズオイー
(72)【発明者】
【氏名】シャク、 ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ボーンズ、 ゴードン エル.
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-515282(JP,A)
【文献】実開昭58-113290(JP,U)
【文献】国際公開第2016/149553(WO,A1)
【文献】特開2005-063720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 4/12
H01T 4/10
H01T 21/00
H01J 61/36
H01J 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス放電管(GDT)デバイスであって、
対向する第1および第2の側面を有し
、かつ前記第1および第2の側面を貫通する開口部を画定する絶縁体基板
であって、前記絶縁体基板の前記第1および第2の側面の各々の上の前記開口部の周りに周囲部が設けられた絶縁体基板と、
前記絶縁体基板の第1の側面の開口部を覆うように実装された第1の電極、および、前記絶縁体基板の第2の側面の開口部を覆うように実装された第2の電極
であって、前記第1および前記第2の電極の各々は前記絶縁体基板のそれぞれの前記側面上の前記周囲部と重なる周囲部を含む内向き面を有しており、前記内向き面は前記周囲部の横方向内側に同一平面上の内側領域をさらに含んでいる、第1および第2の電極と、
前記第1の電極
の前記内向き面の前記周囲部と絶縁体基板の第1の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装された第1のガラスシール、および、前記第2の電極
の前記内向き面の前記周囲部と絶縁体基板の第2の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装された第2のガラスシールであって、前記開口部と第1および第2の電極
の前記内向き面とによって画定されるチャンバのための密封シールを提供する、第1および第2のガラスシールと、
を備える、ガス放電管(GDT)デバイス。
【請求項2】
前記絶縁体基板がセラミック基板を含む、請求項1に記載のGDTデバイス。
【請求項3】
前記第1および第2の電極のそれぞれが銅材料を含む、請求項1に記載のGDTデバイス。
【請求項4】
前記第1および第2のガラスシールのそれぞれが、リフローされたガラス層を含む、請求項1に記載のGDTデバイス。
【請求項5】
前記リフローされたガラス層が、前記絶縁体基板および対応する電極のそれぞれの側面に存在していたガラス層からのガラス材料を含んでいる、請求項4に記載のGDTデバイス。
【請求項6】
さらに、
前記チャンバ内に実質的に含まれるガスまたはガス混合物を含む、請求項1に記載のGDTデバイス。
【請求項7】
前記第1および第2のガラスシールのそれぞれが、シリカ化合物を含むかまたはシリカ化合物ベースのものである、請求項1に記載のGDTデバイス。
【請求項8】
前記シリカ化合物が二酸化ケイ素または石英を含む、請求項7に記載のGDTデバイス。
【請求項9】
ガス放電管(GDT)デバイスの製造方法であって、
対向する第1および第2の側面を有し
、かつ前記第1および第2の側面を貫通する開口部を画定する絶縁体基板
であって、前記絶縁体基板の前記第1および第2の側面の各々の上の前記開口部の周りに周囲部が設けられた絶縁体基板を提供または形成することステップと、
前記絶縁体基板の第1および第2の側面のそれぞれの
前記周囲部の少なくとも一部の上の開口部の周りにガラス層を適用するステップと、
第1および第2の電極の各々が周囲部と当該周囲部の横方向内側の同一平面上の内側領域とを含む内向き面を有するように、第1の電極および第2の電極を提供または形成するステップと、
前記第1および第2の電極のそれぞれ
の前記内向き面の前記周囲部の少なくとも一部の上にガラス層を適用するステップと。
各電極上の前記ガラス層は絶縁体基板の対応する側面のガラス層と係合するように、前記絶縁体基板の第1の側面の第1の電極と前記絶縁体基板の第2の側面の第2の電極とのアセンブリを形成するステップと、
前記アセンブリを加熱して、各電極上の前記ガラス層、および、絶縁体基板の対応する側面の前記ガラス層を溶融させ
、前記第1の電極の前記内向き面の前記周囲部と前記絶縁体基板の前記第1の側面上の前記開口部の周りの前記周囲部との間の第1のリフローされたガラスシール
と、前記第2の電極の前記内向き面の前記周囲部と前記絶縁体基板の前記第2の側面上の前記開口部の周りの前記周囲部との間の第2のリフローされたガラスシールとを生成するように、前記アセンブリを加熱するステップと、
を含む、ガス放電管(GDT)デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記絶縁体基板の各側面の前記開口部の周りに前記ガラス層を適用するステップ、および、前記第1および第2の電極のそれぞれに前記ガラス層を適用するステップが、焼結ステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記
第1および第2のリフローされたガラスシールが、前記開口部ならびに前記第1および第2の電極
の前記内向き面によって画定されたチャンバのための密封シールを提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
密封された前記チャンバが所定のガスを含むように、加熱の少なくとも一部の間に、所定のガスを提供するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
前記
第1および第2のリフローされたガラスシールの形成後に前記アセンブリを冷却するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記GDTは、絶縁体基板のアレイを画定する絶縁体シートによって接合された複数のGDTのうちの1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
前記絶縁体シートを個別化して、複数の個々のGDTを生成するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記絶縁体シートの個別化は、前記アセンブリの冷却後に実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
各境界によって画定される複数のユニットを有する絶縁体シートであって、各ユニットは、
対向する第1および第2の側面を有し
、かつ前記第1および第2の側面を貫通する開口部を画定する絶縁体基板
であって、前記絶縁体基板の前記第1および第2の側面の各々の上の前記開口部の周りに周囲部が設けられた絶縁体基板を含んでいる、絶縁体シートと、
それぞれが前記絶縁体基板の第1の側面の各ユニットの開口部を覆うように実装された複数の第1の電極、および、それぞれが絶縁体基板の第2の側面の各ユニットの開口部を覆うように実装された複数の第2の電極
であって、前記第1および前記第2の電極の各々は前記絶縁体基板のそれぞれの前記側面上の前記周囲部と重なる周囲部を含む内向き面を有しており、前記内向き面は前記周囲部の横方向内側に同一平面上の内側領域をさらに含んでいる、複数の第1および第2の電極と、
それぞれが各ユニット
の第1の電極
の前記内向き面の前記周囲部と
絶縁体基板の第1の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装された複数の第1のガラスシール、および、それぞれが各ユニット
の第2の電極
の前記内向き面の前記周囲部と
絶縁体基板の第2の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装された複数の第2のガラスシールであって、第1および第2のガラスシールは、それぞれのユニットの第1および第2の電極
の前記内向き面と前記開口部とによって画定されるチャンバのための密封シールを提供す
るものである、複数の第1および第2のガラスシールと、
を備える、ガス放電管(GDT)のアセンブリ。
【請求項18】
前記複数のユニットがアレイ状に配置されている、請求項17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記境界の少なくとも幾つかは、前記ユニットのアレイを個々のユニットへ個別化できるように構成される、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
ガス放電管(GDT)デバイスの製造方法であって、
各境界によって画定されている複数のユニットを有する絶縁体シートを提供または形成するステップであって、各ユニットは、
対向する第1および第2の側面を有し
、かつ前記第1および第2の側面を貫通する開口部を画定する絶縁体基板
であって、前記絶縁体基板の前記第1および第2の側面の各々の上の前記開口部の周りに周囲部が設けられた絶縁体基板を含
む、ステップと、
各ユニットの絶縁体基板の第1の側面の
前記周囲部の少なくとも一部の上の開口部の周囲にガラス層を適用するステップと、
各ユニットの絶縁体基板の第2の側面の
前記周囲部の少なくとも一部の上の開口部の周囲にガラス層を適用するステップと、
第1および第2の電極の各々が周囲部と当該周囲部の横方向内側の同一平面上の内側領域とを含む内向き面を有するように、複数の第1の電極および複数の第2の電極を提供または形成するステップと、
第1の電極および第2の電極のそれぞれ
の前記内向き面の前記周囲部の少なくとも一部の上にガラス層を適用するステップと、
各電極のガラス層がそれぞれのユニットの絶縁体基板の対応する側面のガラス層に係合するように、絶縁体シートの第1の側面の第1の電極と絶縁体シートの第2の側面の第2の電極とをアセンブルするステップと、
を含む、ガス放電管(GDT)デバイスの製造方法。
【請求項21】
さらに、
前記アセンブリを加熱するステップであって、その加熱により、各電極のガラス層と各ユニットの絶縁体基板の対応する側面のガラス層とを溶融させ、それぞれのユニットの第1および第2の電極
のそれぞれの内向き面と開口部とによって画定されるチャンバのための密封シールを提供する
第1および第2のリフローガラスシールを生成する、ステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、
各密封チャンバが所定のガスを含むように、加熱の少なくとも一部の間に所定のガスを提供するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
さらに、
各ユニットのリフローされたガラスシールの形成後にアセンブリを冷却するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
さらに、
前記絶縁体シートを個別化して、複数の個々のGDTを生成するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対向する第1および第2の側面を有し
、かつ前記第1および第2の側面を貫通する開口部を画定する絶縁体基板
であって、前記絶縁体基板の前記第1および第2の側面の各々の上の前記開口部の周りに周囲部が設けられた絶縁体基板と、前記絶縁体基板の第1の側面の開口部を覆うように実装される第1の電極
、および、前記絶縁体基板の第2の側面の開口部を覆うように実装される第2の電極
であって、前記第1および前記第2の電極の各々は前記絶縁体基板のそれぞれの前記側面上の前記周囲部と重なる周囲部を含む内向き面を有しており、前記内向き面は前記周囲部の横方向内側に同一平面上の内側領域をさらに含んでいる、第1および第2の電極と、を含むガス放電管(GDT)であって、当該GDTは、さらに、第1の電極
の前記内向き面の前記周囲部と絶縁体基板の第1の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装される第1のガラスシール、および第2の電極
の前記内向き面の前記周囲部と絶縁体基板の第2の側面
上の前記開口部の周りの前記周囲部との間に実装される第2のガラスシールを有し、それにより前記第1および第2のガラスシールが前記開口部ならびに第1および第2の電極の
前記内向き面によって画定されるチャンバのための密封シールを提供する、ガス放電管(GDT)と、
前記GDTに電気的に接続された電気部品と、
を備える、電気デバイス。
【請求項26】
前記GDTと前記電気部品との間の電気的接続は、前記電気デバイスが単一のパッケージユニットであるように構成されている、請求項25に記載の電気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2017年5月29日に出願されたGLASS SEALED GAS DISCHARGE TUBESと題する米国仮出願第62/512,163号の優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ガス放電管ならびに関連するデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス放電管(GDT)は、2つの電極の間に閉じ込められた一定量のガスを含むデバイスである。2つの電極間に十分な電位差が存在する場合、ガスはイオン化して導電性媒体を提供し、それによってアークの形態での電流を生成することができる。
【0004】
そのような動作原理に基づき、GDTは、電気的な障害中の種々の用途のための信頼性の高い効果的な保護を提供するように構成可能である。一部の用途においては、低静電容量や低い挿入/リターン損失などの特性などから、GDTが半導体放電デバイスよりも好ましい場合がある。したがって、GDTは、電気通信や、過電圧などの電気的な障害に対する保護が必要なその他の用途において、頻繁に使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
幾つかの実装形態では、本開示は、第1および第2の側面を有し開口部を画定する絶縁体基板と、絶縁体基板の第1の側面の開口部を覆うように実装された第1の電極と、絶縁体基板の第2の側面の開口部を覆うように実装された第2の電極とを含むガス放電管(GDT)デバイスに関する。GDTデバイスは、第1の電極と絶縁体基板の第1の側面との間に実装された第1のガラスシールと、第2の電極と絶縁体基板の第2の側面との間に実装された第2のガラスシールとをさらに含んでおり、これにより、第1および第2のガラスシールによって、開口部と第1および第2の電極によって規定されるチャンバのための密封シールが提供される。
【0006】
幾つかの実施形態では、絶縁体基板はセラミック基板を含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、第1および第2の電極のそれぞれが銅材料を含んでいてもよい。
【0007】
幾つかの実施形態では、第1および第2のガラスシールのそれぞれは、リフローされたガラス層を含むことができる。リフローされたガラス層は、絶縁体基板および対応する電極のそれぞれの側面に存在していたガラス層からのガラス材料を含むものであってもよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、GDTデバイスは、チャンバ内に実質的に含まれるガスまたはガス混合物をさらに含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、第1および第2のガラスシールのそれぞれは、シリカ化合物を含むか、またはシリカ化合物ベースのものであってもよい。シリカ化合物は、例えば、二酸化ケイ素または石英を含むことができる。
【0009】
幾つかの実装形態では、本開示は、ガス放電管(GDT)デバイスを製造する方法に関する。この方法は、第1および第2の側面を有する絶縁体基板を提供または形成し、開口部を画定すること、および絶縁体基板の第1および第2の側面のそれぞれの開口部の周りにガラス層を適用することを含む。この方法は、さらに、第1の電極および第2の電極を提供または形成すること、および第1および第2の電極のそれぞれにガラス層を適用することを含む。当該方法は、各電極上のガラス層が絶縁体基板の対応する側のガラス層と係合するように、絶縁体基板の第1の側面の第1の電極と絶縁体基板の第2の側面の第2の電極とのアセンブリを形成することをさらに含む。この方法は、さらに、アセンブリを加熱して、各電極上のガラス層および絶縁体基板の対応する側のガラス層を溶融し、リフローされたガラスシールを生成することを含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、絶縁体基板の各側の開口部の周りのガラス層の適用、および第1および第2の電極のそれぞれへのガラス層の適用は、焼結ステップを含むものであってもよい。
【0011】
幾つかの実施形態では、リフローされたガラスシールは、開口部ならびに第1および第2の電極によって画定されるチャンバに密封シールを提供し得る。幾つかの実施形態では、この方法は、密封チャンバが所定のガスを含むように、加熱の少なくとも一部の間に所定のガスを提供することをさらに含むことができる。
【0012】
幾つかの実施形態では、当該方法は、リフローされたガラスシールの形成後にアセンブリを冷却することをさらに含むことができる。幾つかの実施形態では、GDTは、絶縁体基板のアレイを画定する絶縁体シートによって接合された複数のGDTのうちの1つであってもよい。幾つかの実施形態では、この方法は、絶縁体シートを個別化して、複数の個々のGDTを生成することをさらに含んでいてもよい。このような個別化は、アセンブリの冷却後に実行可能である。
【0013】
幾つかの実装形態では、本開示は、ガス放電管(GDT)のアセンブリに関する。アセンブリは、それぞれの境界によって画定される複数のユニットを有する絶縁体シートを含んでいてもよく、各ユニットは、第1および第2の側面を有し開口部を画定する絶縁体基板を含んでいる。当該アセンブリは、それぞれが絶縁体基板の第1の側面のそれぞれのユニットの開口部を覆うように実装された複数の第1の電極と、それぞれが各ユニットの開口部を覆うように実装された複数の第2の電極とをさらに含んでいてもよく、それぞれは絶縁体基板の第2の側面のユニットの開口部を覆うようになっている。アセンブリは、それぞれが第1の電極とそれぞれのユニットの絶縁体基板の第1の側面の間に実装された複数の第1のガラスシールを含んでいてもよく、また、それぞれが第2の電極と第2の間に実装された複数の第2のガラスシールをさらに含んでいてもよく、そして、第1および第2のガラスシールが、それぞれのユニットの開口部ならびに第1および第2の電極によって画定されるチャンバに密封シールを提供するようになっている。
【0014】
幾つかの実施形態では、複数のユニットはアレイ状に配置することができる。少なくとも幾つかの境界は、ユニットの配列を個別の個別化されたユニットに個別化できるように構成されていてもよい。
【0015】
幾つかの実装形態では、本開示は、ガス放電管(GDT)デバイスを製造する方法に関する。この方法は、それぞれの境界によって画定される複数のユニットを有する絶縁体シートを提供または形成することを含み、ここで、各ユニットは、第1および第2の側面を有する開口部を画定する絶縁体基板を含んでいる。この方法は、各ユニットの絶縁体基板の第1の側の開口部の周りにガラス層を適用すること、および、各ユニットの絶縁体基板の第2の側の開口部の周りにガラス層を適用することをさらに含む。この方法は、複数の第1の電極および複数の第2の電極を提供または形成することと、各第1の電極および各第2の電極にガラス層を適用することとをさらに含む。この方法は、各電極上のガラス層が各ユニットの絶縁体基板の対応する側のガラス層と係合するように、絶縁体シートの第1の側面の第1の電極と絶縁体シートの第2の側面の第2の電極とを組み立てることをさらに含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、当該方法は、アセンブリを加熱して、各電極のガラス層と、各ユニットの絶縁体基板の対応する側のガラス層を溶かし、開口部とそれぞれのユニットの第1および第2電極によって画定されるチャンバに密封シールを提供するリフローガラスシールを生成することをさらに含んでいてもよい。この方法は、加熱の少なくとも一部の間に所定のガスを提供することをさらに含むことができ、その結果、各密封チャンバは所定のガスを含むこととなる。この方法は、各ユニットのリフローされたガラスシールの形成後にアセンブリを冷却することをさらに含んでいてもよい。この方法は、絶縁体シートを個別化して、複数の個々のGDTを生成することをさらに含んでいてもよい。
【0017】
幾つかの実装形態では、本開示は、第1および第2の側面を有し、開口部を画定する絶縁体基板と、第1の側面の開口部を覆うように実装された第1の電極と、絶縁体基板の第2の側面の開口部を覆うように実装された第2の電極とを含むガス放電管(GDT)を有する電気デバイスに関する。当該GDTは、第1の電極と絶縁体基板の第1の側面との間に実装された第1のガラスシールと、第2の電極と絶縁体基板の第2の側面との間に実装された第2のガラスシールをさらに含み、これにより、第1および第2のガラスシールが、開口部ならびに第1および第2の電極によって画定されるチャンバ用の密封シールを提供する。この電気装置は、さらに、GDTに電気的に接続された電気部品を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、GDTと電気部品との間の電気接続は、電気デバイスが単一のパッケージユニットであるように構成されていてもよい。
【0019】
本開示を要約する目的で、本発明の特定の態様、利点、および新規の特徴がこの明細書で説明される。本発明の特定の実施形態に従って、そのような利点のすべてが必ずしも達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書で教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点または複数の利点を達成もしくは最適化する方法で実施または実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】密封チャンバになる開口部を有するセラミック基板を示している。
【
図1B】セラミック基板の第1の側面と第2の側面のそれぞれに適用されているガラス層を示している。
【
図2A】セラミック基板の第1の側面の開口部を覆う第1の電極を示している。
【
図2B】酸化された第1の電極の側面に適用されたガラス層を示している。
【
図3A】セラミック基板の第2の側面の開口部を覆う第2の電極を示している。
【
図3B】酸化された第2の電極の側面に適用されたガラス層を示している。
【
図4A】
図2Bの第1の電極アセンブリの第1の側面の嵌合を可能にし、
図3Bの第2の電極アセンブリの第2の側面の嵌合を可能にするように配置された
図1Bのアセンブリの未組込状態の図を示している。
【
図4B】
図4Aの3つのアセンブリの構成の組立図を示している。
【
図4C】セラミック基板の第1および第2の側面のそれぞれにリフローされた密封ガラスシールが形成されるさらなる処理段階を示している。
【
図5A】ガラス密封ガス放電管の例を示しており、この密封チャンバは、円筒形の密封チャンバを提供するように円形断面形状を持つものであってもよく、そのような密封チャンバは円形電極で覆われ、円形のリング状のガラスシールでシールされる。
【
図5B】ガラス密封ガス放電管の別の例を示しており、この密閉チャンバは、円筒形の密封チャンバを提供ように円形断面形状を持つものであってもよく、そのような密封チャンバは円形電極で覆われ、円形リング状のガラスシールでシールされる。
【
図5C】幾つかの実施形態では、ガラス密封ガス放電管は長方形の断面形状を有する密封チャンバを含み、箱形の密封チャンバを提供してもよく、そのような密封チャンバは長方形の電極で覆われ、長方形のリング形状ガラスシールでシールされる。
【
図5D】幾つかの実施形態では、ガラス密封ガス放電管が円筒形の密封チャンバを提供するように円形断面形状を有する密封チャンバを含むものであってもよく、そのような密封チャンバは、長方形電極で覆われ、円形のリング形状ガラスシールでシールされる。
【
図6】セラミックシートなどの絶縁体シート上に形成された、接合されたガラス封止ガス放電管のアレイを示している
【
図7】接合されたガラス封止ガス放電管のアレイがセラミックシートなどの絶縁体シート上に形成できる別の例を示している。
【
図8A】セラミックシートをどのように処理して接合ユニットのアレイを生成することができるかの例を示し、各ユニットは
図1Aおよび1Bの例に類似している。
【
図8B】セラミックシートをどのように処理して接合ユニットのアレイを生成することができるかの例を示し、各ユニットは
図1Aおよび1Bの例に類似している。
【
図8C】セラミックシートをどのように処理して接合ユニットのアレイを生成することができるかの例を示し、各ユニットは
図1Aおよび1Bの例に類似している。
【
図9A】
図8A~8Cから得られるシートアセンブリの第1および第2の側面に電極を提供する方法の例を示している。
【
図9B】
図8A~8Cから得られるシートアセンブリの第1および第2の側面に電極を提供する方法の例を示している。
【
図9C】
図8A~8Cから得られるシートアセンブリの第1および第2の側面に電極を提供する方法の例を示している。
【
図9D】
図8A~8Cから得られるシートアセンブリの第1および第2の側面に電極を提供する方法の例を示している。
【
図10A】
図8A~
図8Cから得られるシートアセンブリを含む多数のプロセスステップを実行しながら電極のアレイをどのように一緒に保持可能であるかの例を示している。
【
図10B】
図8A~
図8Cから得られるシートアセンブリを含む多数のプロセスステップを実行しながら電極のアレイをどのように一緒に保持可能であるかの例を示している。
【
図10C】
図8A~
図8Cから得られるシートアセンブリを含む多数のプロセスステップを実行しながら電極のアレイをどのように一緒に保持可能であるかの例を示している。
【
図10D】
図8A~
図8Cから得られるシートアセンブリを含む多数のプロセスステップを実行しながら電極のアレイをどのように一緒に保持可能であるかの例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で提供される見出しは、仮に記載されていたとしても便宜上のものであり、特許請求の範囲の発明の範囲または意味に必ずしも影響を与えるものではない。
【0022】
本明細書では、ガラスシールを有するガス放電管(GDT)に関連する例を説明する。幾つかの実施形態では、GDTは、セラミック基板などの絶縁体層を含んでいてもよく、そのような絶縁体層は、密封チャンバとなる開口部を画定するものであってもよい。そのような開口部は、絶縁体層の両側のそれぞれにおいて、電極で覆われていてもよい。ガラスシールは、開口部の周囲またはその近くで、各電極と絶縁体層の対応する表面との間に形成され密封されたチャンバを形成するものであってもよい。本明細書では、このようなガラス封止されたGDTをどのように設けることができるかについての様々な例を詳細に説明する。
【0023】
図1~
図4は、ガラス封止GDTの製造プロセスの例を示している。
図1Aは、密封チャンバとなる開口部101を有したセラミック基板102を示している。説明のために、セラミック基板102は、第1の側面および第2の側面を含んでいてもよく、2つの側面のそれぞれは、開口部101の周りの表面を含むように示されている。
図1Aに示されるように、例えば第1の側面がセラミック基板102の下面で、第2の側面が上面に設けられていてもよい。本明細書では、絶縁体層がセラミック基板であるという文脈で様々な態様が説明されるが、本開示の1つまたは複数の特徴は、他のタイプの電気絶縁基板を利用して実装可能であることを理解されたい。
【0024】
図1Bは、セラミック基板102の第1および第2の側面のそれぞれに適用されるガラス層を示している。より詳細には、ガラス層120aはセラミック基板102の第1の側面に適用(塗布)されるように示され、ガラス層120aはセラミック基板102の第2の側面に適用されるように示されている。幾つかの実施形態では、ガラス層120a、122aのそのような適用を連続で実施でき(例えば、ガラス層120aをセラミック基板102の上方に面する第1の側面に適用し、次いで、第2の側面が上方に面するようにそのセラミック基板102を反転させ、ガラス層122aを第2の側面に適用する)、または、同時、もしくは連続と同時の組合せで達成することができる。幾つかの実施形態では、セラミック基板102の第1および第2の側面は実質的に同じであってもよく、対応するガラス層も実質的に同じであってもよい。
【0025】
幾つかの実施形態では、ガラス層120a、122aは、セラミック基板102の開口部101の周囲に形成されてもよく、例えば、セラミック基板102の開口部101の周囲の形状に事前に形成されるものであってもよい。セラミック基板102のそれぞれの表面に位置決めされた後、ガラス層120a、122aは、例えば、適切な温度および大気プロファイルを有する炉内で適切な時間にわたって焼結されてもよい。
図1Bの例では、第1および第2の側面上で焼結されたガラス層120a、122aを有したセラミック基板102のアセンブリが130で示されている。
【0026】
図2Aは、
図1Bのセラミック基板102の第1の側面の開口部101を覆う第1の電極114を示している。説明のために、第1の電極114は、第1の側面および第2の側面を含むことができ、セラミック基板102の対応する側面の開口部101を覆うように寸法決めされていてもよい。説明のために、また、第1の電極114は、開口部101の内側に向く方向であってもよく、第1の電極114の第2の側面は、開口部101から離れて外側を向く方向であってもよい。幾つかの実施形態では、そのような電極は例えば、銅電極、およびそのような銅電極が酸化されたものであってもよい。
【0027】
図2Bは、酸化された第1の電極114の第1の側面に適用されたガラス層120bを示している。幾つかの実施形態では、ガラス層120bは、第1の電極114の第1の側面の周囲に形成され予め形成されてもよい。第1の電極114の第1の側面に配置された後、ガラス層120bは、例えば、適切な温度および大気プロファイルを有する炉内で適切な時間にわたって焼結されてもよい。
図2Bの例では、第1の側面で焼結されたガラス層120bを有する第1の電極114のアセンブリが140として示されている。
【0028】
幾つかの実施形態では、放出性コーティングが、第1の電極114の第1の側面に適用されていてもよい。幾つかの実施形態では、そのような放出性コーティングは、第1の電極114の中央部またはその近くに配置されるものであってもよい。
【0029】
図3Aおよび3Bは、
図2Aおよび2Bを参照して上述した例と同様に、アセンブリ150を生成するために第2の電極116の第1の側面に適用されたガラス層122bを示している。幾つかの実施形態では、
図3Bのアセンブリ150は、
図2Bのアセンブリ140とほぼ同じであってもよい。しかしながら、そのような電極アセンブリは異なるものであってもよいことが理解されるであろう。
【0030】
図4A~
図4Cは、
図1B、
図2B、
図3Bのアセンブリ130、140、150をそれぞれ組み立てて、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するGDTを生成する方法の例を示している。
図4Aでは、
図1Bのガラス層(120a、122a)を有するセラミック基板102を備えたアセンブリ130が示されており、このアセンブリは、セラミック基板102の第1の電極アセンブリ140(第1の電極114上のガラス層120bとともに)の嵌合を可能にするよう配置されるように示され、また、セラミック基板102の第2の側面で、
図3Bの第2の電極アセンブリ150(第2の電極116のガラス層122bとともに)の嵌合を可能にするよう配置されるように示されている。
【0031】
図4Bは、
図4Aのアセンブリ130、140、150の前述の構成の組立て図を示している。より具体的には、セラミック基板102の第1の側面で、セラミック基板102に関連付けられたガラス層120aが、第1の電極114に関連付けられたガラス層120bと結合するように示されている。同様に、セラミック基板102の第2の側面で、セラミック基板102に関連付けられたガラス層122aが、第2の電極116に関連付けられたガラス層122bと結合するように示されている。
図4Bでは、そのような組立て構造が、セラミック基板102の開口部と第1および第2の電極114、116によって画定される閉容積103を形成するように描かれている。
【0032】
幾つかの実施形態では、
図4Bのアセンブリを炉内に配置し、電極114、116の一方または両方の放出性コーティング(存在する場合)を硬化させるために、適切な温度および大気条件が提供されてもよい。そのような硬化プロセスの後、放出性コーティング硬化プロセスからの空気と排出ガスは排気されてもよく、また、炉には所定のガスまたはガス混合物(例えば、アルゴン、ネオン、または他のガス混合物)が満たされてもよい。そして、ガラス層(
図4Bの120a、120b、122a、122b)を溶融させるために適切な温度が提供されてもよく、これにより、そのようなガラス層が一緒にリフローし、セラミック基板102の第1および第2の側面のそれぞれに密封ガラスシールを形成することができる。
【0033】
図4Cでは、そのようなリフローされた密封ガラスシールが、セラミック基板102の第1の側面に120として示され、セラミック基板102の第2の側面に122として示されている。幾つかの実施形態では、そのようなリフローされた密封ガラスシールは炉の内部で、ガラスシールされたGDT100をもたらすのに好適な冷却プロファイルで冷却されてもよい。このような密封構成において、ガラスシールされたGDT100の密封チャンバ160が、ガラスリフロープロセスの前に提供されるガスまたはガス混合物を含んでいる。
【0034】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するガラス封止GDTは、異なるチャンバ形状および/または異なる外形を有するように構成することができる。例えば、
図5A~
図5Dは、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するガラス封止GDT100の非限定的な例を示している。平面図に描かれた各例において、電極116は、ガラスシール122でセラミック基板102の上側に取り付けられるように示されている。下部の電極(
図4Cの114)が、同様の方式で、同様の方法で(ガラスシール120により)セラミック基板120の下側に取り付けられ、これにより密封チャンバ160が形成されていることが理解されよう。
【0035】
図5Aは、幾つかの実施形態において、ガラス密封GDT100の密封チャンバ160が、円筒形状の密封チャンバ160を提供するように円形断面形状を有していてもよく、そして、そのような密封チャンバは円形電極(例えば116)で覆うことができ、円形リング状のガラスシール(例えば122)でシールされ得ることを示している。
図5Aの例では、セラミック基板102の外形は、ガラス密封GDT100がほぼ円筒形状を有するように円形状であってもよい。
【0036】
図5Bは、幾つかの実施形態において、ガラス密封GDT100の密封チャンバ160が、円筒形状の密封チャンバ160を提供するように円形断面形状を有することができ、そして、そのような密封チャンバは円形電極(例えば116)で覆うことができ、円形リング状のガラスシール(例えば122)でシールされ得ることを示している。
図5Bの例では、セラミック基板102の外形は、ガラス密封GDT100が一般に箱形を有するように、長方形(例えば、正方形)を有することができる。
【0037】
図5Cは、幾つかの実施形態において、ガラス密封GDT100の密封チャンバ160が長方形の断面形状(例えば、正方形)を有して箱形の密封チャンバ160を提供し、そして、そのような密封チャンバは長方形の電極(例えば114)で覆うことができ、長方形リング状のガラスシール(例えば122)でシールされ得ることを示している。
図5Cの例では、セラミック基板102の外形は、ガラス密封GDT100が一般に箱形を有するように、長方形(例えば、正方形)を有することができる。
【0038】
図5Dは、幾つかの実施形態において、ガラス密封GDT100の密封チャンバ160は、円筒形状の密封チャンバ160を提供するように円形断面形状を有していてもよく、そして、そのような密封チャンバは長方形電極(例えば116)で覆うことができ、円形リング状のガラスシール(例えば122)でシールされ得ることを示している。
図5Dの例では、セラミック基板102の外形は、ガラス密封GDT100が一般に箱形を有するように、矩形形状(例えば、正方形)を有することができる。
【0039】
密封チャンバの形状、電極の形状、ガラスシールの形状、および/またはセラミック基板の形状は、
図5A~
図5Dの非限定的な例とは異なる他の構成を有し得ることが理解されよう。
【0040】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有する複数のガラス密封GDTは、アレイの形式で一緒に製造されてもよい。例えば、
図6は、セラミックシートなどの絶縁体シート201上に形成された接合ガラス密封GDT100のアレイ200を示している。そのようなセラミックシートは、接合されたガラス密封GDT100を個別化して複数の個々のガラス密封GDTを生成できるようにするための境界203、205を画定していてもよい。個々のガラス密封GDT100は、セラミック基板102と、電極(例えば116)で覆われガラスシール(例えば122)で密封された密封チャンバ160とを含むように示されている。
【0041】
図6の例では、各ガラス密封GDT100は、
図5Bの例に類似するように描かれている。しかしながら、
図6のアレイ200内の各ガラス密封GDT100は他の形状を有し得るものであることが理解されるであろう。
図6のアレイ形式を利用した製造プロセスの例について、
図8および
図9を参照して詳細に説明する。
【0042】
図7は、接合ガラス密封GDT100のアレイ200がセラミックシートのような絶縁体シート201上に形成され得る別の例を示している。そのようなセラミックシートは、接合ガラス密封GDT100を個別化して複数の個々のガラス密封GDTとすることを可能とする境界203、205を画定するものであってもよい。個々のガラス密封GDT100は、セラミック基板102と、電極(例えば116)で覆われガラスシール(例えば122)で密封された密封チャンバ160と、を含むように示されている。
図7の例では、電極116は、相互接続タブ222によって相互接続され、それにより電極116のアレイを一緒に処理できるように描かれている。
【0043】
図7の例では、各ガラス密封GDT100は、
図5Bの例に類似するものとして描かれている。しかしながら、
図7のアレイ200内の各ガラス封止GDT100は他の形状を有することができることが理解されるであろう。
図7のアレイ形式を利用した製造プロセスの例について、
図8および
図10を参照して詳細に説明する。
【0044】
図8A~
図8Cは、各ユニットが
図1Aおよび
図1Bの例と同様である接合ユニット210のアレイを生成するためにセラミックシート212を処理する方法の例を示している。
【0045】
図8Aでは、セラミックシート212が提供されるように示されている。そのようなシートは、マーク付け、刻み目などを付けても付けなくてもよい境界214を含むものであってもよく、そのような境界が結合ユニット210のアレイを画定していてもよい。ここに記載するように、そのような結合ユニットのそれぞれは、個別化によって個々に分離されてもよい。
【0046】
図8Bでは、セラミックシート212の各ユニット210に対して形成される開口部216が示されている。幾つかの実施形態では、そのような開口部は、例えば、ドリル、パンチング、エッチング、および/または、レーザー技術を利用して形成することができる。幾つかの実施形態では、開口部を備えたセラミックシートを最初に形成してもよいことが理解されよう。そして、そのような実施形態では、前述の開口部形成ステップを省略することができる。
【0047】
図8Cでは、ガラス層120aは、セラミックシート212の各ユニット210の第1の側面に設けられるように示され、ガラス層122aは、セラミックシート212の各ユニット210の第2の側面に設けられるように示されており、これによってアセンブリ230を構成している。幾つかの実施形態では、そのようなガラス層は、各ユニット210に対して個別に形成されるか、複数のユニット210に対して一緒に形成されるか、またはそれらの任意の組合せであってもよい。幾つかの実施形態では、ガラス層のアレイを相互接続することができ、そのようなガラス層のアレイは、対応するユニット210のセラミックシート212の対応する側に適用されてもよい。また、セラミックシート212と第1および第2の側面のガラス層120a、122aとのアセンブリ230は
図1Bの例と同様に焼結されてもよい。
【0048】
図9A~9Dは、
図8Cのアセンブリ230の第1および第2の側面に電極を設ける方法の例を示している。
図9Aにおいて、アセンブリ232は電極114およびガラス層120bを含むように示されており、また、そのようなガラス層は、
図2Bの例と同様に、電極114の片側に設けられる想定となっている。
図9Aの例では、アセンブリ232のそれぞれは、電極114のガラス層120bがユニット210のガラス層120aと係合するように、アセンブリ230の第1の側面の対応する開口部に配置されるように示されている。
図9Aでは、ガラス層(120a、120b)のこのような係合は234として示されている。
【0049】
図9Bでは、電極116およびガラス層122bを含むアセンブリ242が示されており、そのようなガラス層は、
図3Bの例と同様に、電極116の片側に設けられる想定となっている。
図9Bの例では、各アセンブリ242は、電極116のガラス層122bがユニット210のガラス層122aと係合するように、アセンブリ230の第2の側面の対応する開口部上に配置されるように示されている。
図9Bでは、ガラス層(122a、122b)のこのような係合は244として示されている。
【0050】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの電極の提供から生じるアセンブリ250を示している。幾つかの実施形態において、そのようなアセンブリは、
図4Bおよび4Cを参照して本明細書で説明される例と同様に、ガラス層アセンブリ234、244をリフローし、対応する密封ガラスシールを形成するように処理されるものであってもよい。幾つかの実施形態では、そのようなリフロープロセスは、アセンブリ250を個々のユニットに個別化する前または後に実行することができる。
【0051】
図9Cの例では、アセンブリ250は、電極114および対応するガラス層アセンブリ234が再びアセンブリ230の上側になるように、配向されて示されている。アセンブリ250のこのような反転は含まれてもよいし含まれなくてもよい。例えば、電極114および116と対応するガラス層アセンブリ(234、244)とがほぼ同じである場合、またはアセンブリ250の向きがアセンブリ250のさらなる処理に影響を及ぼさない場合、アセンブリ250は、
図9Bの段階から結果として生じる向きのままであってもよい。
【0052】
図9Dは、複数のガラス封止GDT100を示しており、それぞれは
図4Cの例に類似している。そのようなガラス密封GDTは、密封ガラスシール120、122をもたらすリフロープロセスの前または後にアセンブリ250の前述した個別化から生じたものであってもよい。
【0053】
図9A~9Dを参照して説明した例では、電極/ガラス層アセンブリ232、242は、多くの方法で製造することができる。例えば、各電極/ガラス層アセンブリ(232または242)は個別に製造可能である。別の例においては、相互接続された電極の配列を処理して各電極にガラス層を提供し、そうしたガラス層の提供が完了した後に、電極/ガラス層アセンブリが、個々のユニットに分離され、セラミックシート/ガラス層アセンブリに配置されてもよい。そのような構成において、ガラス層は、それ自体、個々に、またはそれらの何らかの組合せによって相互接続されることにより相互接続電極に設けられるものであってもよい。
【0054】
図10A~10Eは、多数のプロセスステップを実行しながら電極のアレイがどのように保持され得るかの例を示している。例えば、
図10Aは、幾つかの実施形態において、電極(114または116)のアレイ260を相互接続フィーチャ202と相互接続できることを示す。このような電極のアレイは、セラミックシートアセンブリのそれぞれのユニット(210)に対応するように配置されてもよい(例えば
図8Cの230)。
【0055】
図10Bは、相互接続された電極のそのようなアレイにガラス層を設けることができることを示している。より具体的には、ガラス層262を各電極の片側に提供してアセンブリ264が設けられるようになっていてもよい。このようなアセンブリは、第1の電極のアレイ(例えば
図2Bの114)または第2の電極(例えば
図3Bの116)のアレイのであり得ることが理解されよう。さらに、
図9A~9Dを参照して本明細書で説明したようにガラス層262は、相互接続電極のアレイに個別に、相互接続アレイで、またはそれらの何らかの組合せで提供されるものであってもよい。
【0056】
図10Cでは、
図10Bのアセンブリ264は、アセンブリ264のガラス層262がアセンブリ230の第1の側面の対応するガラス層(例えば
図8Cの120a)に係合するように、アセンブリ230の第1の側面(例えば
図8C)上に位置するように示されている。
【0057】
図10Dでは、
図10Bのアセンブリ264と同様の別のアセンブリが、他のアセンブリのガラス層262がアセンブリの第2の側面で対応するガラス層(例えば、
図8Cの122a)と係合するよう、アセンブリ230の第2の側面上に配置されるように示されている。
図10Dでは、ガラス層(アセンブリ264の262およびアセンブリ230の122a)のそのような係合は244として示され、そして、結果として生じるアセンブリがアセンブリ270として示される。幾つかの実施形態において、そのようなアセンブリ(270)は、
図4Bおよび4Cを参照して本明細書で説明した例と同様に、ガラス層アセンブリ234、244をリフローし、対応する密封ガラスシールを形成するように処理されてもよい。幾つかの実施形態では、このようなリフロープロセスは、アセンブリ270を個々のユニットに個別化する前または後に実行することができる。
【0058】
図10Eは、複数のガラス封止GDT100を示しており、それぞれは
図4Cの例に類似している。そのようなガラス密封GDTは、リフロープロセスの前または後に、アセンブリ270の上記個別化から生じたものであってもよい。リフロープロセスの際、ガラス層のアセンブリ234、244は、密閉されたチャンバ160を提供するために、それぞれの密封ガラスシール120、122を形成する。
【0059】
本明細書で説明したさまざまな例においては、個別に、アレイで、またはそれらの組合せによって製造された個々のガラス密封GDTが、電極のセットを備えた単一の密封チャンバ(例えば4C、9Dおよび10Eの160)を持つものとして描かれている。幾つかの実施形態では、本開示の1つまたは複数の特徴は、他の構成を有するGDTデバイスに実装することも可能であることが理解されよう。例えば、GDT装置は複数のチャンバを含んでいてもよく、そのようなチャンバは1つ以上の電極のセットでガラス密封されてもよい。別の例としては、電気デバイスは、本明細書に記載の1つ以上の特徴を有するGDTと、そのGDTに電気的に結合された別の部品とを含むものであってもよい。特に、本開示の1つまたは複数の特徴を利用できるGDT設計およびパッケージング用途のバリエーションに関する詳細は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれるWO2014/130838において見出すことが可能であって、また、それは本出願の仕様の一部と見做される。
【0060】
説明のために、幾つかの実施形態では、ガラス層またはガラスシールなどのガラス部品は、例えば、二酸化ケイ素または石英などの複合シリカをベースとした、または、それを含む材料を有するものであってもよいことが理解されよう。
【0061】
文脈においてそうではないことが明確に要求されていない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「備える」、「備えている」などの言葉は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈される。つまり、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「結合された」という言葉は、本明細書で一般的に使用されるように、直接接続されるか、1つ以上の手段により接続される2つ以上の要素を指す。中間要素。さらに、「ここで」、「上」、「下」という言葉、および類似するインポート言語は、この出願で使用される場合、この出願の特定の部分ではなく、この出願全体を指す。文脈において許される場合、単数または複数を使用する上記の詳細な説明の単語は、それぞれ複数または単数を含み得る。2つ以上の項目のリストを参照する「または」という単語は、その単語の次のすべての解釈を網羅している:リスト内の任意の項目、リスト内のすべての項目、およびそれら項目の任意の組合せ。
【0062】
本発明の実施形態の上記の詳細な説明は網羅的であることまたは本発明を上記に開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。本発明の特定の実施形態や例は、例示の目的で上記に記載したもののであって、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な同等の修正が可能である。たとえば、プロセスやブロックは所定の順序で提示されているものの、代替の実施形態としてはステップを含むルーチンを実行したり、ブロックを含むシステムを異なる順序で使用したりすることも可能であり、一部のプロセスまたはブロックを削除、移動、追加、細分化、結合、および/または変更してもよい。これらのプロセスまたはブロックはそれぞれ、さまざまな方法で実装可能である。また、プロセスまたはブロックは連続して実行されるように示されている場合があるが、これらのプロセスまたはブロックはそうではなく並列で実行されてもよいし、異なる時間に実行されてもよい。
【0063】
本明細書で提供される本発明の教示は、必ずしも上記のシステムではなく、他のシステムに適用することができる。上述のさまざまな実施形態の要素および動作を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することも可能である。
【0064】
本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例としてのみ提示されており、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。実際、本明細書で説明される新規の方法およびシステムは、さまざまな他の形態で具体化可能である。また、本開示の精神から逸脱することなく、本明細書に記載の方法およびシステムの形態における様々な省略、置換、および変更を行うことも可能である。添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物は、本開示の範囲および思想に含まれるような形態または修正を網羅することを意図している。