(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】有線デジタル・インタフェースからの無線干渉低減
(51)【国際特許分類】
H04B 1/10 20060101AFI20230130BHJP
H03H 17/00 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
H04B1/10 U
H04B1/10 N
H03H17/00 601B
(21)【出願番号】P 2020542438
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 US2019016196
(87)【国際公開番号】W WO2019156893
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-01-27
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514188564
【氏名又は名称】アリス エンタープライジズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARRIS ENTERPRISES LLC
【住所又は居所原語表記】3871 Lakefield Drive, Suwanee, GA 30024, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド イー ザイドラー
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0133185(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0344829(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0181568(US,A1)
【文献】特開平05-122168(JP,A)
【文献】特開2014-011778(JP,A)
【文献】特開2009-111968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/10
H03H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数帯域を使用する有線インタフェース及び第2周波数帯域を使用する無線インタフェースを含む通信装置であって、
前記第1周波数帯域内にエネルギーを有する有線インタフェース出力信号を生成するように構成された有線インタフェース信号部と、
前記第2周波数帯域を用いて通信するように構成された無線インタフェース信号部と、
前記有線インタフェース出力信号を選択的に減衰させるように構成されたフィルタと、
前記フィルタに動作的に結合されたプロセッサ、及び設定データを有するメモリと、
前記減衰した有線インタフェース出力信号を外部装置に供給するように構成された出力端子とを具え、
前記第2周波数帯域が前記無線インタフェース信号部によって使用中であることを前記設定データが示す場合に、前記プロセッサは、前記有線インタフェース出力信号における前記第2周波数帯域内にエネルギーを有する部分を減衰させることを前記フィルタに指示する通信装置。
【請求項2】
有線インタフェースから無線インタフェースへの干渉を低減する通信装置であって、
設定データを記憶するように構成されたメモリと、
第1周波数帯域内にエネルギーを有する信号を出力するように構成された有線インタフェース集積回路に接続された有線インタフェースと、
第2周波数帯域を用いて通信するように構成された無線インタフェースと、
フィルタとを具え、
該フィルタは、
(1)前記有線インタフェース集積回路が出力する信号を受信し、
(2)前記記憶されている設定データが、前記第2周波数帯域が前記無線インタフェース
によって使用中であることを示すことを見出すと、前記有線インタフェース集積回路が出力する信号における前記第2周波数帯域内にエネルギーを有する部分を減衰させる
ように構成されている通信装置。
【請求項3】
前記有線インタフェースが、HDMI(登録商標)インタフェース、MoCA(登録商標)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、またはUSBインタフェースのうちの1つである、請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース出力信号における2.4GHz~2.5GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース出力信号における3.55GHz~3.7GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース出力信号における5GHz~6GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース集積回路が出力する信号における2.4GHz~2.5GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース集積回路が出力する信号における3.55GHz~3.7GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項9】
前記フィルタが、ストップバンドを有するバンドストップフィルタであり、前記有線インタフェース集積回路が出力する信号における5GHz~6GHzの周波数を有する部分を減衰させる、請求項2に記載の通信装置。
【請求項10】
前記フィルタが、2.4GHz未満の通過帯域を有するローパスフィルタである、請求項
1または2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記フィルタが、3.55GHz未満の通過帯域を有するローパスフィルタである、請求
項1または2に記載の通信装置。
【請求項12】
前記フィルタが、5.15GHz未満の通過帯域を有するローパスフィルタである、請求
項1または2に記載の通信装置。
【請求項13】
前記無線インタフェースによって使用される前記第2周波数帯域が単一の無線帯域である、請求項2に記載の通信装置。
【請求項14】
前記単一の無線帯域が5GHzの単位帯域である、請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記有線インタフェース集積回路が出力する信号が、10GHzまで広がる周波数成分を
有する、請求項2に記載の通信装置。
【請求項16】
前記フィルタがプログラマブル・ノッチフィルタであり、その帯域幅及び中心周波数は2.4GHz~5.5GHzの間で選択可能である、請求項2に記載の通信装置。
【請求項17】
前記通信装置が前記設定データを受信し、前記設定データは外部管理システムによってメモリに記憶される、請求項2に記載の通信装置。
【請求項18】
有線インタフェースから無線通信インタフェースへの干渉を低減する方法であって、
設定データにアクセスすることによって、少なくとも1つの周波数範囲が前記無線通信
インタフェースによって使用中であるか否かを判定するステップと、
有線インタフェース出力信号を生成するステップとを含み、前記少なくとも1つの周波数範囲が前記無線通信インタフェースによって使用中である場合に、前記有線インタフェース出力信号における、前記無線通信インタフェースが使用する少なくとも1つの周波数範囲内のエネルギー成分を選択的に低減する方法。
【請求項19】
前記有線インタフェースが、HDMI(登録商標)インタフェース、MoCA(登録商標)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、またはUSBインタフェースのうちの1つである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記周波数範囲が、2.4GHz~2.5GHzの帯域の少なくとも一部分を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記周波数範囲が、3.55GHz~3.7GHzの帯域の少なくとも一部分を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記周波数範囲が、5GHz~6GHzの帯域の少なくとも一部分を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記エネルギー成分の低減が、前記有線インタフェースの信号が出力リード線へ送られる前にデジタルフィルタを用いることによって生じる、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記エネルギー成分の低減が、前記有線インタフェースの信号が出力リード線へ送られる前に内部アナログフィルタを用いることによって生じる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記エネルギー成分の低減を有効または無効にするための選択可能な制御を行うステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記有線インタフェース
出力信号における、前記無線通信インタフェースが使用する前記少なくとも1つの周波数範囲内のエネルギー成分を低減するための選択可能な制御を行うステップをさらに含み、該選択可能な制御は、前記エネルギー成分の低減を有効または無効にする、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線インタフェースによって無線インタフェース上に発生する干渉を低減することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワーキング(ネットワーク構成)は、広範囲の家庭用電子機器においてますます一般的になっている。IEEE 802.1ac(登録商標)のような無線接続は一般に、例えばホーム・ゲートウェイとセットトップボックスとの間でビデオ信号を受け渡すのに十分な帯域幅及びロバスト(頑健)性を有する。テレビ受像機も一般に、ビデオ・コンテンツ及び他のコンテンツを受信するための無線インタフェースを有する。無線受信機の選択度は重要な製品パラメータであり、従って、無線ネットワーク機能をサポートする装置は、1つ以上のアンテナを筐体内に内蔵することができる。また、受信回路自体も、電源または接地接続を通して受信したノイズに感応し得る。無線ネットワーク技術の例は、数ある中で特に、IEEE 802.1(Wi-Fi(登録商標)としても知られている)、ブルートゥース(Bluetooth、登録商標)、ジグビー(Zigbee:登録商標)を含む。最も一般的な無線インタフェース装置は、工業、科学及び医療(ISM:Industrial, Scientific and Medical)周波数帯域内及び免許不要全国情報インフラストラクチャ(UNII:Unlicensed National Information Infrastructure)帯域内で動作する。米国内で一般に用いられるISM帯域は、2.4~2.5GHz及び5.725~5.875GHzである。UNII帯域は5GHzのISM帯域を5.15GHz~5.925GHzに拡張する。これらの周波数は代表例であり;周波数割り当てはFCC(Federal Communications Commission:連邦通信委員会)によって定期的に変更され、市民ブロードバンド無線サービス(CBRS:Citizens Broadband Radio Service)のような新たな割り当てが頻繁に追加される。
【0003】
現代の家庭用電子機器上で使用される無線インタフェースに加えて、高速デジタル有線インタフェースも一般的である。高速デジタル有線インタフェースの例は、高精細マルチメディア・インタフェース(HDMI:High Definition Multimedia Interface:登録商標)であり、非常に一般的で普及したビデオ伝送用のホームネットワーキング(家庭内ネットワーク構成)無線インタフェースである。HDMI(登録商標)インタフェースは一般に、セットトップボックスまたは他のビデオソース(映像信号源)をテレビ受像機またはビデオプロジェクタのような表示装置に接続する。HDMI(登録商標)送信インタフェースは、集積回路から信号を供給され、外部コネクタに至る信号トレース線とクロックトレース線との組合せを提供する。外部HDMI(登録商標)コネクタは、集積回路からの信号を受信して、これらの信号を標準化されたコネクタ・アセンブリ内へ展開する。HDMI(登録商標)は、ビデオ・ディスプレイまたはテレビ受像機のような装置上の受信インタフェースも規定する。HDMI(登録商標)受信構成では、外部HDMI(登録商標)コネクタ・アセンブリが信号を受信し、信号リード線及びクロックリード線をマザーボード上のトレース線上へ展開する。これらのHDMI(登録商標)トレース線は集積回路に至り、この集積回路はこれらの信号を受信して処理する。一般に、説明はHDMI(登録商標)ソース(信号源)装置を用いるが、本発明はHDMI(登録商標)シンク(受信側)装置にも適用可能である。HDMI(登録商標)ソース装置が最初にHDMI(登録商標)シンク装置に接続されると、これらの装置は必要に応じて設定パラメータを交換する。
【0004】
多数の有線インタフェース上の信号の周波数は、クロック信号を含めて、無線インタフェースが使用する周波数とオーバーラップ(重複)する。例えば、HDMI信号の周波数成分は、解像度及びフレームレートのようなHDMI(登録商標)インタフェースの特定の設定に応じて変化し、HDMI(登録商標)信号は、代表的な無線インタフェースの周波数成分とオーバーラップする周波数成分を常に有する。両方の技術を単一の装置内に備える際に、HDMI(登録商標)トレース線が上記集積回路とHDMI(登録商標)コネクタとの間に延びるので、HDMI信号からのエネルギーを放射し得る。
【0005】
それに加えて、一部のHDMI(登録商標)ケーブルは低レベルのシールド(遮蔽)を有し、これもSTB(set top box:セットトップボックス)上のHDMI(登録商標)コネクタの外側にあるケーブルからHDMI(登録商標)信号が放射されることを許容する。この放射エネルギーが無線アンテナまたは無線回路によって吸収されるならば、このエネルギーは無線受信機にノイズを与えて、無線の距離範囲及び性能を低下させる。このように低下した性能は、製品の有用性にとって有害である。セットトップボックスのような家庭用電子機器は、できる限り小型にまとまるべき圧力下にある。表示装置は薄型で外から見える接続部を最小限にするべき同様な圧力下にある。こうしたサイズの減少は、有線インタフェースと無線インタフェースとを互いに近付けることを強いることが多く、このことは有線インタフェースの内部トレース線及び外部配線と無線受信機アセンブリとの放射結合を増加させがちである。
【0006】
HDMI(登録商標)を極めて高速のデジタル有線インタフェースとして説明してきたが、他の多数の同様な技術が存在する。他のいくつかの例は、同軸経由マルチメディア・アライアンス(MoCA:Multimedia over Coax Alliance:登録商標)、イーサネット(登録商標)、及びユニバーサル・シリアルバス(USB:Universal Serial Bus)である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、電子機器内の有線インタフェースと無線インタフェースとの干渉を低減する改良された方法及びシステムの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電子機器内の有線インタフェースから無線インタフェースへの干渉を低減するための方法及び装置を提示する。好適例では、第1周波数帯域を用いた有線インタフェース及び第2周波数帯域を用いた無線インタフェースを含む通信装置を提示し、この通信装置は、第1周波数帯域内にエネルギーを有する有線インタフェース出力信号を生成するように構成された有線インタフェース信号部と、有線インタフェース出力信号を減衰させるように構成されたフィルタと、減衰した有線インタフェース信号を外部装置に供給するように構成された出力端子とを有し、フィルタは、有線インタフェース出力信号における第2周波数帯域内にエネルギーを有する部分を減衰させる。好適例では、有線インタフェースを、HDMI(登録商標)インタフェース、MoCA(登録商標)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、またはUSBインタフェースとすることができる。好適例では、上記フィルタを、ストップバンド(阻止帯域)を有するバンドストップ(帯域除去)フィルタとすることができ、このバンドストップフィルタは、有線インタフェース出力信号における2.4GHz~2.5GHz、または3.55GHz~3.7GHz、あるいは5GHz~6GHzの周波数を有する部分を減衰させる。他の好適例では、上記フィルタをローパス(低域通過)フィルタとすることができ、このローパスフィルタは、2.4GHz未満、または3.55GHz未満、あるいは5.15GHz未満の通過帯域(パスバンド)を有する。
【0009】
有線インタフェース出力信号を生成しつつ、有線インタフェースから無線通信インタフェースへの干渉を低減する方法を提示し、この方法により、有線インタフェース出力信号における、無線通信インタフェースが使用する少なくとも1つの周波数範囲内のエネルギー成分を選択的に低減する。好適例では、有線インタフェースを、HDMI(登録商標)インタフェース、MoCA(登録商標)インタフェース、イーサネット(登録商標)インタフェース、またはUSBインタフェースとすることができる。好適例では、異なる周波数範囲を用いることができる。例えば、周波数範囲は、2.4GHz~2.5GHzの帯域の一部分、または3.55GHz~3.7GHzの帯域の一部分、あるいは5GHz~6GHzの帯域の一部分を含むことができる。好適例では、有線インタフェースの信号が出力リード線へ送信される前に、デジタルフィルタを用いることによってエネルギーの低減を生成することができる。他の好適例では、信号が出力リード線へ送信される前に、内部アナログフィルタを用いることによってエネルギーの低減を生成することができる。好適例では、選択可能な制御を用いてエネルギーの低減を有効または無効にすることができ、それに加えて、選択可能な制御は、影響を受ける周波数範囲を選択する能力を提供することができる。
【0010】
他の好適例では、非一時的なコンピュータ可読媒体が命令を有することができ、これらの命令は、1つ以上のプロセッサに、有線インタフェースにおいて抑制されるべき周波数帯域の選択を受信させ、この選択を記憶する設定データを記憶させ、選択された周波数帯域を抑制するのに適したフィルタを選択させ、フィルタ処理された有線インタフェース信号を生成させ、これにより、フィルタは、有線インタフェース信号の成分のうち選択された周波数帯域に相当する周波数成分を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】無線ネットワーク機能及びHDMIポートを有するセットトップボックスの例を示すブロック図である。
【
図2a】不変のHDMI信号の例の周波数成分を示すグラフである。
【
図2b】不変のHDMI信号の例についてのアイダイアグラムのグラフである。
【
図3】無線ネットワーク機能、及びHDMIポート及びHDMIフィルタ回路を有するセットトップボックスの例を示すブロック図である。
【
図4a】HDMI信号に関連するノッチフィルタを示すグラフである。
【
図4b】
図4aのノッチフィルタを通過した後のHDMI信号についてのアイダイアグラムのグラフである。
【
図5a】HDMI信号に関連するローパスフィルタを示すグラフである。
【
図5b】
図5aのローパスフィルタを通過した後のHDMI信号についてのアイダイアグラムのグラフである。
【
図6】改良されたHDMI集積回路からの低減された無線干渉で動作するハードウェア・プラットフォームを示すブロック図である。
【
図7】構成部品のフィルタ初期化についてのプロセスの流れのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
種々の図面中では、同様な参照番号は同様な要素を示す。
【0013】
詳細な説明
高速デジタル有線信号の存在下で、改良された無線性能のための改良された方法及びシステムを提供することが望まれる。
【0014】
図1は、従来技術のセットトップボックス(STB)101を示すブロック図であり、STB101は、無線インタフェース、及び表示装置110に接続されたHDMI(登録商標)インタフェースを有する。他の有線インタフェースも同等に可能であるが、本実現はHDMI(登録商標)を高速のデジタル有線インタフェースとして使用する。STB101は、無線インタフェース102、プロセッサ103、メモリ105、及びHDMI(登録商標)コネクタ107付きのHDMI(登録商標)集積回路(IC:integrated circuit)106を含むことができる。構成要素102、103、105、及び106の各々は、例えばシステムバス104を用いて相互接続することができる。プロセッサ103は、STB101内での実行用の命令を処理可能にすることができ、これらの命令はビデオ(映像)処理用の命令を含む。1つの実現では、プロセッサ103をシングルスレッド・プロセッサとすることができる。他の実現では、プロセッサ103をマルチスレッド・プロセッサとすることができる。プロセッサ103は、メモリ105に記憶されている命令を処理可能にすることができる。プロセッサ103は、無線インタフェース102から受信したビデオを、HDMI(登録商標)IC106を通した表示装置110への伝送用に処理可能にすることができる。
【0015】
HDMI(登録商標)インタフェース用のコンテンツは、種々の信号源から提供することができる。一例として、無線インタフェース102は、アンテナを利用して、STB101に宛てられた情報を搬送する無線信号を受信する。無線インタフェース102上で伝送される情報はバス104を通してプロセッサ103に提供されて、HDMI(登録商標)インタフェースを通した表示装置110への伝送に適した形式に処理される。例えば、ビデオ情報は一般に圧縮された形式で伝送され、HDMI(登録商標)インタフェース用に解凍しなければならない。
【0016】
メモリ105は、STB101内の情報を、無線インタフェース102並びにプロセッサ103用に記憶することができる。1つの実現では、メモリ105をコンピュータ可読媒体とすることができる。1つの実現では、メモリ105を揮発性メモリユニットとすることができる。他の実現では、メモリ105を不揮発性メモリユニットとすることができる。さらに他の実現では、メモリ105を揮発性メモリユニットと不揮発性メモリユニットとの組合せとすることができる。
【0017】
プロセッサ103は、処理されたビデオ情報を、バス104を用いてHDMI(登録商標)集積回路(IC)106に提供する。HDMI(登録商標)IC106はプロセッサ103とは別個のブロックとして示しているが、他の実施形態では、プロセッサ103及びHDMI(登録商標)IC106を単一のシステム・オン・チップ上の構成部品とすることができる。こうしたシステム・オン・チップは、本発明に関係しない他の機能を含むことができる。
【0018】
HDMI(登録商標)IC106は、処理されたビデオ情報をプロセッサ103から受信する。HDMI(登録商標)IC106は、HDMI(登録商標)出力インタフェース仕様のうちの1つに準拠するように情報をフォーマット化(書式設定)する。HDMI(登録商標)IC106によって生成されるHDMI(登録商標)信号は、HDMI(登録商標)初期化シーケンス中に、STB101と表示装置110との初期のやり取りによって構成することができる。例えば、HDMI(登録商標)タイプAインタフェースは、差動クロック対、及びホットスワップ検出リード線のような他のサポート信号に加えて、3つの差分データ対を必要とする。HDMI(登録商標)IC106はHDMI(登録商標)信号をHDMI(登録商標)インタフェース107に供給する。
【0019】
HDMI(登録商標)インタフェース107は標準化されたコネクタ・アセンブリであり、STB101用のディスプレイのような外部装置にケーブルを接続することを可能にする。HDMIインタフェース107は、信号リード線及びクロックリード線を有する複数のトレース線で構成されるバスによってHDMI(登録商標)IC106に接続されている。
【0020】
図2aは、代表的な1080P60HDMI(登録商標)データ信号の周波数成分のシミュレーションによる例示であり、広範囲の直線210で表す全通過フィルタを通過している。HDMI(登録商標)信号201は、10GHzまでに及ぶ周波数成分を有する。高速デジタル・インタフェース信号は一般に高周波成分を有し、この高周波成分は、
図2a中のHDMI(登録商標)信号201がそうであるように、幾分周期的な傾向を有し得る。直線210は、信号に適用される全通過フィルタを示す。ビデオ信号用の無線ホームネットワーキングは、5GHzの周辺のUNII帯域内であることが多い。この図は、HDMI(登録商標)信号201が相当量のエネルギーをこの周波数範囲内に有することを示している。無線ホームネットワーキングにとって関心事の可能性のある他の帯域は、2.4GHzの周辺のISM帯域及び3.5GHzの周辺の市民ブロードバンド無線サービス(CBRS)帯域である。これらの帯域のいずれも、HDMI(登録商標)信号からのエネルギーに曝される。
【0021】
図2bは、同じシミュレーションによるHDMI(登録商標)信号の例示であり、今度は時間領域内で表すHDMI(登録商標)信号202であり、アイダイアグラム(アイパターン)としても知られている。HDMI(登録商標)仕様は、
図2aに示す周波数帯域内のエネルギーは指定しないが、その代わりに、
図2bに示すアイダイアグラムに要件を課す。HDMI仕様の要件は多角形220の形で具体化される。HDMI(登録商標)仕様に準拠するために、アイダイアグラム202は多角形220上に侵入してはならない。なお、本説明中に用いるグラフは1080P60HDMI(登録商標)インタフェースのシミュレーションによるものであるが、4KP60のような他のHDMI(登録商標)モード同様な特性を有する。
【0022】
図3に、表示装置310に接続されたHDMI(登録商標)信号からの無線干渉に曝されることを低減した改良型のSTB301のブロック図を示す。他の有線インタフェースも同等に可能であるが、この実現はHDMI(登録商標)インタフェースを代表的な有線インタフェースとして用いる。
【0023】
STB301では、無線インタフェース302が、STB301がマルチメディア・コンテンツを無線ホームネットワークから受信するためのネットワーク接続性を提供する。前に説明したように、実施形態では、無線インタフェース302が、5GHzのUNII帯域のような単一の無線帯域内で動作することができる。他の実施形態は、他の免許不要の帯域または免許が必要な帯域を無線インタフェース302により利用することができる。この図は単一のアンテナを有するシステムを示すが、実施形態では、単一の無線帯域用の複数のアンテナが存在し得る。また、STB301は、2つ以上の周波数帯域を帯域毎に異なるアンテナでサポートすることができる。
【0024】
HDMI(登録商標)インタフェース用のコンテンツは種々の信号源から提供することができる。この実現例では、無線インタフェース302がアンテナ312を利用して、STB301に宛てられた情報を搬送する無線信号を受信する。実施形態では、無線インタフェース302を通して伝送される情報をプロセッサ303に提供して、HDMI(登録商標)インタフェース308を通した表示装置310への伝送に適した形式に処理することができる。プロセッサ303は、処理したビデオ情報をHDMI(登録商標)集積回路(IC)306に提供する。本実施形態では、HDMI(登録商標)ICをプロセッサ303とは別個のブロックとして示しているが、他の実施形態では、プロセッサ303及びHDMI(登録商標)ICを単一のシステム・オン・チップの構成部品とすることができる。こうしたシステム・オン・チップは、本発明に関係しない他の機能を含むことができる。
【0025】
実施形態では、HDMI(登録商標)IC306が処理されたビデオ情報をプロセッサ303から受信する。HDMI(登録商標)IC306は、この情報を、HDMI(登録商標)出力インタフェース仕様のうちの1つに準拠するようにフォーマット化することができる。例えば、HDMI(登録商標)タイプAインタフェースは、差動クロック対、及びホットスワップ検出リード線のような他のサポート信号に加えて、3つの差分データ対を必要とする。HDMI(登録商標)IC306は、HDMI(登録商標)信号をHDMI(登録商標)フィルタ回路307に供給する。
【0026】
実施形態では、HDMI(登録商標)フィルタ回路307が、HDMI(登録商標)信号における、無線インタフェース302との干渉が生じやすい帯域内のエネルギーを抑制する。他の実施形態では、HDMI(登録商標)フィルタ回路307の機能を、テキサス・インスツルメンツ社のTPD12S016のようなHDMI(登録商標)コンパニオンチップ内に含めることができる。従来技術におけるコンパニオンチップは、静電放電、あるいはHDMI(登録商標)IC306のようなHDMI(登録商標)ICにとっての他の悪条件からの出力保護を行う。
【0027】
実施形態では、HDMIフィルタ回路307の後方には、HDMI(登録商標)トレース線がHDMI(登録商標)インタフェース308まで続き、HDMI(登録商標)トレース線は信号データ及びクロック信号を含むことができる。HDMI(登録商標)インタフェース308は標準化されたコネクタ・アセンブリであり、ケーブルを表示装置310に接続することを可能にする。
【0028】
HDMI(登録商標)フィルタ回路307については異なる形式が可能であり、これらの形式も本発明によるものである。フィルタを記述する際に、大幅な減衰なしに通過することができる周波数については「通過帯域」を用い、フィルタによって大幅に減衰する周波数については「阻止帯域」を用いることが一般的である。実施形態では、HDMI(登録商標)フィルタ回路307がノッチフィルタまたはバンドストップフィルタの形をとることができ、これらのフィルタは周波数の単一ブロックまたは単一帯域内のみで信号エネルギーを抑制する。
【0029】
図4aにノッチフィルタの実施形態の例を示し、ノッチは5.15GHzから5.85GHzまでのISM UNII帯域上を中心とする。HDMI(登録商標)信号401をノッチフィルタ410と共に示す。HDMI(登録商標)信号401の減衰した部分は完全に抑制されているものとして示すのに対し、現実の実施形態では、いくらかのエネルギーが一般に残る。
図4b中のアイダイアグラム402は、
図4aのフィルタ410を通過したHDMI信号401の時間領域表現である。高周波数のこの帯域の除去はアイダイアグラムに影響を与えるが、アイダイアグラム402はそれでもHDMI(登録商標)の要件の多角形420に準拠している。
【0030】
ノッチ回路は、ローパスフィルタよりも製造することがより挑戦的であり、しかもより高価である。実施形態では、HDMI(登録商標)フィルタ回路307が代わりにローパスフィルタの形をとることができ、このローパスフィルタは、関心事の無線帯域を下回る全周波数が通過することを可能にするが、この帯域の始点を上回る全周波数を減衰させる。
【0031】
図5aに、ローパスフィルタを有する一実施形態を示し、このローパスフィルタは、2.4GHzで始まるISM帯域を下回る周波数が最小限の減衰で通過することを可能にするが、2.4GHzを上回る周波数は減衰させる。HDMI(登録商標)信号501はローパスフィルタ510によってこれらの高い方の周波数が減衰する。
図5bに、ローパスフィルタ510を通過したHDMI(登録商標)信号501のアイダイアグラムを示す。HDMI(登録商標)信号501のアイダイアグラム502は、
図2bのフィルタ処理のないアイダイアグラムの例から劣化しているが、アイダイアグラム502が多角形520とのオーバーラップを回避する用途にとっては、この信号は有利である、というのは、無線干渉を生じさせ得る周波数も除去するからである。現実のフィルタが通過帯域から阻止帯域までに傾斜(スロープ)を有することは、RFフィルタの当業者の理解する所である。実現可能なフィルタは2.3GHzの所にニー(折れ曲がり)を有し、デカード当たり(10倍毎に)20dBの傾斜を有する。実施形態では他のフィルタも可能であり、利用可能な無線帯域のうちの1つ以上において同じ信号抑制をもたらすものと認められる。HDMI(登録商標)有線インタフェースを実現例として用いているが、他のデジタル有線インタフェースも同様に、その信号スペクトルのフィルタ処理を可能にして、信号をそれぞれの規格に不適合にすることなしに、無線干渉を低減することができる。
【0032】
図6は、代案実施形態のSTB601のブロック図であり、STB601は、表示装置610に接続されたHDMI(登録商標)インタフェースの無線干渉を低減するように動作可能である。他の有線インタフェースも同等に可能であるが、この実現はHDMI(登録商標)インタフェースを代表的な有線インタフェースとして用いる。
【0033】
実施形態では、プロセッサ603が、STB601内で実行される命令を処理することができ、これらの命令はビデオ処理用の命令を含む。プロセッサ603は、無線インタフェース602から受信したビデオを処理して、HDMI(登録商標)+フィルタIC606を通して外部ディスプレイへ伝送することができる。
【0034】
無線インタフェース602を通して伝送される情報は、バス605を通してプロセッサ603に提供されて、HDMI(登録商標)インタフェース607を通して表示装置610に伝送するのに適した形式に処理される。
【0035】
メモリ604は、無線インタフェース602並びにプロセッサ603についての設定情報をSTB601内に記憶することができる。
【0036】
プロセッサ603は、処理したビデオ情報をHDMI(登録商標)+フィルタIC606に提供する。HDMI(登録商標)IC606はビデオプロセッサ603とは別個のブロックとして示しているが、他の実施形態では、プロセッサ603及びHDMI(登録商標)IC606を単一のシステム・オン・チップ上の構成部品とすることができる。こうしたシステム・オン・チップは、本発明に関係しない他の機能を含むことができる。
【0037】
HDMI(登録商標)+フィルタIC606は、処理されたビデオ情報をプロセッサ603から受信する。HDMI(登録商標)+フィルタIC606は、ビデオ及び音声情報を、HDMI(登録商標)準拠のコネクタ経由で表示装置610に提供することができる。一部の実施形態では、無線インタフェース602への干渉を低減するために、HDMI(登録商標)+フィルタIC606が、HDMI(登録商標)信号における、さもなければ無線インタフェース602と干渉する部分を抑制するか減衰させるための追加的な信号処理を含む。実施形態では、この信号処理が、外部ノッチフィルタの実現と同様な周波数帯域内の信号エネルギーの除去を生じさせることができる。他の実施形態では、この信号処理が、外部ローパスフィルタの実現と同様に、特定周波数を上回る周波数の信号エネルギーの除去または減衰を生じさせることができる。HDMI(登録商標)+フィルタIC606によって成立させる実施形態の選択は、プロセッサ603によって設定することができる。プロセッサ603は、フィルタの実施形態を、無線インタフェース602の内部構成のような内部構成に基づいて選択することができ、あるいは、この選択は、接続された表示装置610から受信した情報に基づいて行うことができる。この決定のためのプロセスの例を
図7で説明する。より大幅な出力スペクトル内の周波数の信号エネルギーを選択的に減衰させるための他の実施形態は、デジタル信号処理の当業者が想到することができる。実施形態では、HDMI(登録商標)+フィルタIC606を単一のチップ実現で構成することができる。他の実施形態では、HDMI(登録商標)+フィルタIC606の機能をマルチチップ・モジュールの一部とすることができる。さらに他の実現では、HDMI(登録商標)+フィルタIC606の機能をプロセッサ603内に統合することができる。
【0038】
インタフェース607は標準化されたコネクタ・アセンブリであり、ケーブルを表示装置610に接続することを可能にする。HDMIインタフェース607は、信号リード線及びクロックリード線を含む複数のトレース線で構成されるバスによってHDMI(登録商標)+フィルタIC606に接続されている。
【0039】
図7を参照すれば、HDMI(登録商標)+フィルタIC606のようなプログラマブル・フィルタを有する構成部品を動作用に構成することを可能にするプロセスの例を提示する。ステップ701では、IC構成部品がフィルタ初期化モードに入る。実施形態では、このモードを、このICへの電力の供給によってトリガすることができ、あるいは、内部信号源または外部信号源からの設定トリガによってトリガすることができる。一例として、表示装置610がオン状態にされれば、HDMI(登録商標)インタフェース607及びHDMI(登録商標)+フィルタIC606へのHDMI(登録商標)リンクの初期化が、フィルタ初期化をトリガすることができる。
【0040】
ステップ702では、上記構成部品が、接続された装置によってフィルタが選択されたか否かを判定する。必ずしもすべての実施形態が、接続された装置によるフィルタ選択をサポートすることができるとは限らない。一実施形態が、接続された装置によるフィルタ選択をサポートする場合、上記構成部品は、接続された装置が、当該構成部品によって例示されるフィルタを選択したことを判定することができる。実施形態では、上記構成部品が、限定されたフィルタの集合を起動用にサポートすることができる。例えば、ある構成部品が、5GHzのカットオフを有するローパスフィルタのみをサポートすることができ、このローパスフィルタは起動することもしないこともできる。その代わりに、ある構成部品がプログラマブルなノッチフィルタをサポートすることができ、その帯域幅及び中心周波数は2.4GHz~5.5GHzの間で選択可能である。実施形態では、接続された装置がフィルタを選択したか否かの判定を、初期化中に有線リンクを通して伝達された構成設定に基づいて行うことができる。その代わりに、初期化が完了するまで上記有線リンクが通信用に利用可能でない場合、接続された装置は他の有線または無線リンクを用いることができる。上記構成部品が、接続された装置によってフィルタが選択されたことを判定した場合、プロセスはステップ704に進む。なお、一部の実施形態では、接続された装置が全通過フィルタを選択することを可能にすることができ、全通過フィルタは出力信号に対するフィルタの事実上の選択がないことである。上記構成部品が、接続された装置がフィルタを選択していないことを判定した場合、プロセスはステップ703に進む。
【0041】
ステップ703では、上記構成部品が、フィルタが選択されたことを内部設定データが示すか否かを判定する。実施形態では、内部設定データを、外部の管理システムによる初期化時に上記構成部品に提供することができる。他の実施形態では、上記構成部品が設定を記憶していることができ、この設定は、例示すべきフィルタがあればどのフィルタを例示するかについて当該構成部品に指示する。内部設定データがフィルタを要求する場合、プロセスはステップ704に進む。そうでない場合、プロセスはステップ705に進む。
【0042】
ステップ704では、上記構成部品が、選択されたフィルタを例示する。実施形態では、上記構成部品が種々の周知のデジタル信号処理技術を利用して、要求されたフィルタを、例えばソフトウェア定義のフィルタを含めて、適切な信号に施すことができる。信号の選択した周波数帯域内のエネルギー成分を抑制する多数の技術がデジタル信号処理の当業者に知られ、このことがフィルタの本質である。
【0043】
ステップ705では、上記構成部品が、外部へ出る信号に対するフィルタを例示しない。実施形態では、フィルタ処理の欠如を全通過フィルタによって実現することができる。他の実施形態では、上記構成部品が単に適切な信号の追加的なフィルタ処理を起動しないだけとすることができる。
【0044】
本明細書中に説明する本発明が、無線インタフェースに対する有線インタフェースの干渉を低減することは、当業者の理解する所である。提示した実施形態を、本発明を多数の異なる実施形態により実現して、例えば、HDMI(登録商標)信号のエネルギーのうち無線インタフェースも使用する周波数帯域内のエネルギーを低減することによって、HDMI(登録商標)有線インタフェースから無線インタフェースへの干渉を低減することができる。代表的な高速有線インタフェースの設計は、その固有の周波数成分とは無関係にアイパターンを最適化することを追求する。これらの周波数成分は一般に、FCCパート15のような広域スペクトル放射ノイズ基準に対してしか評価されない。一般的な放射ノイズ基準は、無線インタフェース用に用いられる免許不要のISM及びUNII帯域内の放射に対する追加的な制約を課さない。提示する実施形態は、特定周波数帯域の抑制により生じる、制御によるアイパターンの劣化を用いて、準拠する有線信号並びに低減された無線干渉を共に提供する。
【0045】
本発明の主題、及びその構成要素は命令によって実現することができ、これらの命令は、実行されると、1つ以上の処理装置に上述したプロセス及び機能を実行させる。こうした命令は、例えば、スクリプト命令、例えばJavaScript(登録商標)またはECMAScript(European Computer Manufacturers Association(欧州電子計算機工業会)スクリプト:登録商標)命令のようなインタプリタ命令、または実行可能なコード、あるいはコンピュータ可読媒体内に記憶されている他の命令を含むことができる。
【0046】
本明細書中に説明した主題及び機能的動作の実現は、デジタル電子回路の形で、あるいはコンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア、あるいはその1つ以上の組合せの形で提供することができ、本明細書中に開示する構造、及びその構造上の等価物を含む。本明細書中に説明した主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、即ち、有形のプログラム担体上に符号化された、データ処理装置による実行用の、あるいはデータ処理装置の動作を制御するためのコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現することができる。
【0047】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア・アプリケーション、スクリプト、またはコードとも称される)は、プログラミング言語の任意の形式で書くことができ、プログラミング言語は、コンパイラ言語またはインタプリタ言語、あるいは宣言型または手続き型言語を含み、スタンドアロン・プログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピュータ環境での使用に適した他のユニットとしての展開を含むあらゆる形式に展開することができる。コンピュータプログラムは必ずしもファイルシステム内のファイルに相当しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメント中に記憶されている1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分中に、問題のプログラム専用の単一ファイル内に、あるいは連係する複数のファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードのいくつかの部分を記憶するファイル)内に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上または複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができ、これらのコンピュータは1つのサイトに位置し、あるいは複数のサイトにわたって分散して、通信ネットワークによって相互接続されている。
【0048】
本明細書中に説明したプロセス及び論理の流れは、1つ以上のプログラマブルなプロセッサによって実行され、これらのプロセッサは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行して、入力データに対して動作して出力を発生し、これにより、プロセスを特定のマシン(例えば、本明細書中に説明したプロセスを実行するようにプログラムされたマシン)に結び付けることによって機能を実行する。上記のプロセス及び論理の流れは専用論理回路によって実行することもでき、装置は専用論理回路として実現することもでき、これらの専用論理回路は、例えば、FPGA(field programmable gate array:フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)またはASIC(application specific integrated circuit:特定用途向け集積回路)として実現することもできる。
【0049】
コンピュータプログラムの命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、不揮発性のメモリ、媒体、またはメモリデバイスの全形式を含み、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM(erasable programmable read-only memory:消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory:電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、及びフラッシュメモリデバイス);磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブル(着脱式)ディスク);光磁気ディスク;及びCD-ROM(compact disc read-only memory:コンパクトディスク読出し専用メモリ)及びDVD-ROM(digital versatile disc read-only memory:デジタル多用途ディスク読出し専用メモリ)ディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完すること、あるいは専用論理回路内に含めることができる。
【0050】
本明細書は多数の具体的実現の細部を含むが、これらは、いずれかの発明に対する限定として、あるいは特許請求し得るものの限定として考えるべきでなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として考えるべきである。別個の実施形態に関連して本明細書中に説明する特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実現することもできる。逆に、単一の実施形態に関連して説明する種々の特徴は、複数の実施形態において別個に、あるいはあらゆる適切なサブコンビネーション(副次的組合せ)の形で実現することもできる。さらに、特徴は、特定の組合せの形で機能するものとして上述していること、さらには最初にそのように特許請求することがあるが、特許請求する組合せからの1つ以上の特徴は、一部の場合には、組合せから切り出すことができ、特許請求する組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に指向させることができる。
【0051】
同様に、上述した実施形態中の種々の構成要素の分離は、すべての実施形態においてこうした分離を要求するものとして理解するべきでなく、説明したプログラム・コンポーネント及びシステムは一般に、一緒に統合して単一のソフトウェア製品の形にすることができ、あるいはパッケージ化して複数のソフトウェア製品にすることができる。
【0052】
本明細書中に説明した主題の特定の実施形態を説明してきた。他の実施形態も以下の特許請求の範囲内である。例えば、特許請求の範囲中に記載する動作は、特に断りのない限り、異なる順序で実行することができ、それでも所望の結果を実現することができる。一例として、上記の例では、単一の無線インタフェース及び単一のHDMI(登録商標)インタフェースを説明しているが、本発明の原理は、複数の無線インタフェースまたは複数のHDMI(登録商標)インタフェースを有する装置にも同等に適用可能である。以上に挙げた例は、5GHzのUNII帯域で可能な改良を説明しているが、本発明は、2.4GHzのISM帯域を用いる無線インタフェース、あるいは2つ以上の無線インタフェースを有する装置にも同等に適用可能である。一部の実現では、マルチタスク及び並列処理が有利であり得る。