(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】シャフト継手
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230130BHJP
【FI】
F16H1/32 A
(21)【出願番号】P 2020562690
(86)(22)【出願日】2018-05-15
(86)【国際出願番号】 US2018032722
(87)【国際公開番号】W WO2019221703
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501228071
【氏名又は名称】エスアールアイ インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】SRI International
【住所又は居所原語表記】333 Ravenswood Avenue, Menlo Park, California 94025, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーンバウム・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キッチェル・マーフィ
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/052978(WO,A1)
【文献】実開昭50-020954(JP,U)
【文献】特開2017-025979(JP,A)
【文献】特開昭59-117941(JP,A)
【文献】特開2014-066262(JP,A)
【文献】特開2002-266955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにオフセットされた回転の第1回転軸から回転の第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手であって、
前記第1回転軸を中心に回転するよう構成された第1部材であって、複数の第1穴および複数の第2穴を有する、第1部材と、
前記第2回転軸を中心に回転するよう構成され、複数の第3穴を有する第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、(i)前記第1部材の前記第1回転軸および前記第2部材の前記第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持され、(ii)前記複数の第3穴の各穴が、前記複数の第1穴の内の対応する穴と前記複数の第2穴の内の対応する穴との間に配置されるように、互いに結合される、第2部材と、
複数のピンであって、前記複数のピンの各ピンは、前記複数の第1穴の内のそれぞれの穴の軸受面に配置されて該軸受面に転がり運動接触し、前記複数の第2穴の内のそれぞれの穴の軸受面に配置されて該軸受面に転がり運動接触し、および、前記複数の第3穴の内のそれぞれの穴の軸受面に配置されて該軸受面に転がり運動接触し、前記複数のピンは、前記第1部材と前記第2部材との間で、力ひいてはトルクを伝達する、複数のピンと、
を備え
、
さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第2回転軸に前記第1回転軸を中心に周回させ、(ii)前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動を引き起こすように、前記第2部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備え、
前記第2部材は、第1プーリを備え、前記ハウジングは、第2プーリを備え、 前記継手は、さらに、前記第1プーリを前記第2プーリに結合するベルトを備える、継手。
【請求項2】
請求項1に記載の継手であって、
前記複数のピンは、少なくとも3つのピンを含む、継手。
【請求項3】
請求項1に記載の継手であって、
前記複数のピンは、少なくとも4つのピンを含む、継手。
【請求項4】
請求項1に記載の継手であって、
前記第1部材は、互いに剛結合された第1プレートおよび第2プレートを備え、前記第1プレートは前記複数の第1穴を有し、前記第2プレートは前記複数の第2穴を有し、前記第2部材は、前記複数の第3穴を有するプレートを備える、継手。
【請求項5】
請求項4に記載の継手であって、
前記第2部材の前記プレートは、複数のさらなる穴を有し、前記第1部材は、さらに、複数の支持部材を備え、前記第1部材の前記第1プレートおよび前記第1部材の前記第2プレートは、前記複数の支持部材を介して互いに剛結合され、前記複数の支持部材の各支持部材は、前記第2部材の前記プレート内の前記複数のさらなる穴の内のそれぞれのさらなる穴を通して伸びる、継手。
【請求項6】
請求項4に記載の継手であって、
前記第1部材の前記第1プレートは、前記第2部材の前記プレートを部分的に囲む構造を介して、前記第1部材の前記第2プレートに剛結合される、継手。
【請求項7】
請求項1に記載の継手であって、
前記第1部材は、さらに、前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第1ロッドを備え、前記第2部材は、前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第2ロッドを備え、前記継手は、さらに、
複数のローラであって、前記複数のローラの各ローラは、前記複数の第1ロッドの内の
対応するロッド
と前記複数の第2ロッドの内の
対応するロッドと
の間に、各前記ロッドと接触し
て配置され、前記複数のローラは、前記第1部材と前記第2部材との間で、力ひいてはトルクを伝達する、複数のローラを備える、継手。
【請求項8】
請求項7に記載の継手であって、さらに、
複数のケージであって、前記複数のケージの各ケージは、前記複数のローラの内のそれぞれのローラを、前記複数の第1ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第2ロッドの内のそれぞれのロッドと接触するように維持する、複数のケージを備える、継手。
【請求項9】
請求項8に記載の継手であって、
前記複数のケージの内の少なくとも1つのケージは、真鍮、ポリオキシメチレン、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン、の内の少なくとも1つを含んだ材料を含む、継手。
【請求項10】
請求項1に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第1回転軸に前記第2回転軸を中心に周回させ、(ii)前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動を引き起こすように、前記第1部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
【請求項11】
請求項10に記載の継手であって、
前記ハウジングは、リングギアを備え、前記第1部材は、前記リングギアを介して前記ハウジングと接触する、継手。
【請求項12】
請求項10に記載の継手であって、
前記第1部材は、第1回転軸受面を備え、前記ハウジングは、第2回転軸受面を備え、前記継手は、さらに、
複数の軸受であって、前記複数の軸受の各軸受は、前記第1回転軸受面および前記第2回転軸受面と接触しており、前記第1回転軸受面の形状、前記第2回転軸受面の形状、および、前記複数の軸受の各軸受の形状は、前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動が、前記複数の軸受の各軸受を回転させてサイクロイド運動させるように規定されている、複数の軸受を備える、継手。
【請求項13】
請求項10に記載の継手であって、
前記第1部材は、第1プーリを備え、前記ハウジングは、第2プーリを備え、前記継手は、さらに、
前記第1プーリを前記第2プーリに結合するベルトを備える、継手。
【請求項14】
請求項
1に記載の継手であって、
前記ハウジングは、リングギアを備え、前記第2部材は、前記リングギアを介して前記ハウジングと接触する、継手。
【請求項15】
請求項
1に記載の継手であって、
前記第2部材は、第1回転軸受面を備え、前記ハウジングは、第2回転軸受面を備え、前記継手は、さらに、
複数の軸受であって、前記複数の軸受の各軸受は、前記第1回転軸受面および前記第2回転軸受面と接触しており、前記第1回転軸受面の形状、前記第2回転軸受面の形状、および、前記複数の軸受の各軸受の形状は、前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動が、前記複数の軸受の各軸受を回転させてサイクロイド運動させるように規定されている、複数の軸受を備える、継手。
【請求項16】
互いにオフセットされた第1回転軸から第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手であって、
前記第1回転軸を中心に回転するよう構成された第1部材であって、前記第1部材は、前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第1ロッドを備える、第1部材と、
前記第2回転軸を中心に回転するよう構成された第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、前記第1部材の前記第1回転軸および前記第2部材の前記第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持されるように、互いに結合されており、前記第2部材は、前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第2ロッドを備える、第2部材と、
複数のローラであって、前記複数のローラの各ローラは、前記複数の第1ロッドの内の
対応するロッド
と前記複数の第2ロッドの内の
対応するロッドと
の間に、各前記ロッドと接触し
て配置され、前記複数のローラは、前記第1部材から前記第2部材へトルクを伝達する、複数のローラと、
を備える、継手。
【請求項17】
請求項
16に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第2回転軸を中心とした前記第1回転軸の回転と、(ii)前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動と、を引き起こすように、前記第1部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
【請求項18】
請求項
16に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第1回転軸を中心とした前記第2回転軸の回転と、(ii)前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動と、を引き起こすように、前記第2部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本明細書で別段の指示がない限りは、本セクションに記載の材料は、本願の請求項に対する先行技術ではなく、本セクションに含まれることによって先行技術であると認められるものではない。
【0002】
トルクおよび回転が機械要素の間で伝達されうるように、シャフトまたはその他の回転機械要素を結合するための様々な機構の一部として、継手が含まれる。継手は、オフセットした回転軸を有するシャフト、非平行な回転軸を有するシャフト、または、回転軸に関して何らかの他の形で異なるシャフトの間での回転/トルクの伝達を可能にするよう構成されうる。例えば、オルダム継手は、平行だがオフセットした回転軸を有する2つのシャフトを結合する。一部の例において、継手は、シャフト(またはその他の結合された回転機械要素)が回転軸の位置および/または角度に関して経時的に変化することを可能にするよう構成されうる。例えば、自在継手は、異なる角度の回転軸を有する2つのシャフトを結合して、それらの角度が経時的に変化することを可能にする。
【0003】
継手は、別の機構の一部として提供される場合がある。例えば、トランスミッションは、トランスミッション内の要素の回転を結合するために1以上の継手を含みうる。特に、様々なトランスミッション(例えば、サイクロイドドライブ)が、サイクロイド運動を行う、トランスミッションの出力シャフト(またはその他の出力要素)に結合された1以上の要素を備える。かかるサイクロイド運動は、別の回転軸を中心にそれ自体が周回する回転軸を中心とする回転として説明できる。サイクロイドドライブまたはその他の機構において、第1要素(例えば、サイクロイドギア)の回転軸は、出力要素の回転軸を中心に周回しうる(例えば、第1要素が機構の入力に結合されたカムによって駆動された時に)。第1要素の回転軸と出力要素の回転軸との間のオフセットは、実質的に一定のままでありうる。
【0004】
入力トルクと出力トルクとの間の機械的利益を提供するために、様々な機構の一部としてトランスミッションが備えられる。したがって、トランスミッションは、モータ、エンジン、タービン、または、その他のトルクジェネレータの特性(例えば、トルク-速度曲線、効率曲線)を、エフェクタ、車輪、ジェネレータ、または、生み出されたトルクを対象とした何らかの他の用途の特性に合わせるために備えられうる。例えば、トランスミッションは、内燃エンジンによって生み出された高い回転数および比較的低いトルクを、自動車の車輪を駆動するためのより低い速度およびより高いトルクの要件に合わせるために、自動車に設けられうる。別の例において、トランスミッションは、内燃エンジンおよびジェネレータの両方がそれぞれの効率的な回転数に従って動作されるように、内燃エンジンをジェネレータに接続するために提供されうる。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、互いにオフセットされた第1回転軸から第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手を提供する。継手は:(i)第1回転軸を中心に回転するよう構成され、複数の第1穴および複数の第2穴を有する第1部材と;(ii)第2回転軸を中心に回転するよう構成され、複数の第3穴を有する第2部材と;(iii)複数のピンと、を備える。第1部材および第2部材は、(a)第1部材の第1回転軸および第2部材の第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持され、(b)複数の第3穴の各穴が、複数の第1穴の内の対応する穴と複数の第2穴の内の対応する穴との間に配置されるように、互いに結合されている。複数のピンの各ピンは、複数のピンが、第1部材と第2部材との間でトルクを伝達しうるように、複数の第1穴の内のそれぞれの穴、複数の第2穴の内のそれぞれの穴、および、複数の第3穴の内のそれぞれの穴、の中に配置される。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態は、互いにオフセットされた第1回転軸から第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手を提供する。継手は:(i)第1回転軸を中心に回転するよう構成され、第1回転軸と平行に第1部材から伸びる複数の第1ロッドおよび第1回転軸と平行に第1部材から伸びる複数の第2ロッドを有する第1部材と;(ii)第2回転軸を中心に回転するよう構成され,第2回転軸と平行に第2部材から伸びる複数の第3ロッドおよび第2回転軸と平行に第2部材から伸びる複数の第4ロッドを有する第2部材と;(iii)複数の第1ローラと;(iv)複数の第2ローラと、を備える。第1部材および第2部材は、第1部材の第1回転軸および第2部材の第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持されるように、互いに結合されている。複数の第1ローラの各ローラは、複数の第1ローラが、第1部材から第2部材へトルクを伝達しうるように、複数の第1ロッドの内のそれぞれのロッドおよび複数の第3ロッドの内のそれぞれのロッドと接触している。複数の第2ローラの各ローラは、複数の第2ローラが、第1部材から第2部材へトルクを伝達しうるように、複数の第2ロッドの内のそれぞれのロッドおよび複数の第4ロッドの内のそれぞれのロッドと接触している。
【0007】
必要に応じて添付の図面を参照しつつ、以下の詳細な説明を読むことにより、当業者にとっては、これらおよびその他の態様、利点、および、代替物が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【0009】
【0010】
【
図2A】部分的に分解された継手の例を示す斜視図。
【0011】
【0012】
【0013】
【
図4】継手を備えたトランスミッションの一例を示す断面図。
【0014】
【
図5】継手を備えたトランスミッションの一例を示す断面図。
【0015】
【
図6】継手を備えたトランスミッションの一例を示す断面図。
【0016】
【
図7】継手を備えたトランスミッションの一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照される。図において、同様の符号は、通例、文脈で特に指示が限りは、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および、請求項に記載の実施形態の例は、限定を意図したものではない。本明細書に提示された主題の範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、その他の変更がなされてもよい。本明細書に概略的に記載され、図に示されている本開示の態様は、幅広い異なる構成で、配置、置換、組みあわせ、分離、および、設計されてよく、それらのすべてが、本明細書内で明確に意図されていることが容易に理解される。
【0018】
I.概要
継手は、シャフトまたはその他の機械要素の間で回転およびトルクを伝えるために、様々な応用例で提供される。継手は、回転軸の角度および/または位置が異なるシャフトの間で回転を結合することができ、様々な特性(例えば、低バックラッシュ、高効率、高剛性、低い速度リップルまたはトルクリップル)によって特徴付けられうる。継手は、機構の要素の間で(例えば、サイクロイドドライブのサイクロイドディスクと、サイクロイドドライブの出力との間で)エネルギ(例えば、回転、トルク)を伝えるために、トランスミッション、エンジン、差動装置、または、その他の機構の中に提供されうる。一般的には、継手を含む機構の動作中のエネルギ損失を最小限に抑えるために、かかる継手は高効率によって特徴付けられることが好ましい。
【0019】
様々な応用例において、第1回転軸を中心に回転する第1シャフトまたはその他の要素から、第1回転軸からオフセットされているが実質的に平行である第2回転軸を中心に回転する第2シャフトまたはその他の要素へ、回転およびトルクを結合する継手を提供することが望ましい。例えば、サイクロイドドライブにおいて、サイクロイドディスクは、入力カムの回転軸をそれ自体が周回する回転軸を中心に回転するように、カムによって駆動される(すなわち、サイクロイドディスクは、サイクロイド運動を行う)。サイクロイド部材から出力回転/トルクを抽出するために、継手は、サイクロイド部材と出力部材との間に提供されなければならず、出力部材の回転軸は、入力カムの回転軸と同じである。したがって、サイクロイド部材の回転軸は、設定されたオフセット距離で出力の回転軸を中心に周回する。
【0020】
高効率、高出力、かつ、高剛性を有する継手が、かかる応用例のために提供されうる。これらの利点を提供するために、継手は、継手の第1部材(例えば、入力シャフト、サイクロイドドライブのサイクロイドディスク)および継手の第2部材(例えば、出力シャフトに結合された出力プレート)の両方と接触する複数のピンまたはローラを備え、その結果、トルクが、ピンを介して第1および第2部材の間から伝達されるようになる。ピンは、第1および第2部材が回転した時にピンも回転するように成形された(例えば、円筒形接触面として成形された)接触面を介して第1および第2部材と接触してよい。さらに、ピンは、第1および第2部材の接触面に対する実質的に純粋な転がり運動を行うことができ、効率の向上、出力容量の増大、および、コストの削減(例えば、ピンと第1および第2部材との間の接触面に軸受がない)を可能にする。
【0021】
一部の例において、ピンは、第1および第2部材に形成されたポケット、ピット、穴、または、その他の形状の中に配置されうる。第1および第2部材によってピンに加えられる力のバランスを取るために、第1および第2セットの向かい合う穴が第1部材に形成されてよく、一方で、第3セットの穴の各穴が第1セットの穴に含まれる穴と第2セットの穴に含まれる向かい合う穴との間に配置されるように、第3セットの穴が第2部材に形成される。追加的または代替的に、ピンは、第1および第2部材から形成されたおよび/またはそれらの部材に剛結合されたシャフト、シリンダ、ロッド、管、または、その他の要素の間に配置されてもよい。
【0022】
II.継手の例
【0023】
様々な応用例において、実質的に平行であり、或る距離だけ互いにオフセットされた2つの回転軸の間で回転およびトルクを結合する継手を提供することが有利でありうる。かかる継手は、例えば、自動車のリア駆動シャフトを下方にオフセットさせるため、または、自動車のキャビン内にさらなる空間を提供するために、有利でありうる。かかる継手は、トランスミッション(またはその他の機構)の要素の回転を、トランスミッションの要素がサイクロイド運動をする(すなわち、装置の要素が、別の回転軸を中心にそれ自体が周回する回転軸を中心に回転する)場合にトランスミッションの出力に結合するために有利でありうる。例えば、サイクロイドドライブまたは同様の機構は、第1回転軸を中心に回転する出力部材の運動を、第1回転軸からの固定オフセット距離に配置され第1回転軸を中心に周回する第2回転軸を中心に回転する内部部材(例えば、サイクロイドディスク)のサイクロイド運動に結合するために、ケージギアまたはその他の継手機構を備えうる。かかる継手は、他の応用例で利点を提供しうる。
【0024】
かかる継手は、効率、バックラッシュ、バックドライバビリティ、剛性、および、コストなど、様々な特性を向上させるように設計されうる。かかる継手の効率を高めるために、互いに対して滑り運動する継手内の軸受面に、ニードル軸受、玉軸受、または、その他のタイプのころ軸受を備えてよい。かかる表面は、サイクロイドドライブのサイクロイドディスクをサイクロイドドライブの出力に結合するために用いられるケージギアの表面、もしくは、何らかの他のトランスミッションまたは機構の同様の構成要素の間の回転を結合するために用いられるケージギアまたは同様の要素の表面を含みうる。しかしながら、かかるころ軸受の利用は、継手のコストを高めうる。さらに、ころ軸受は、例えば、スラスト軸受またはその他のタイプの滑り軸受面に対して低い負荷容量および剛性を有しうる。
【0025】
あるいは、継手は、継手内の軸受面が実質的に純粋な転がり運動を行うことができるように構成されてもよい。例えば、軸受面は、軸受面の間で実質的に滑ることなしに、転がりによって互いに対して移動できる。かかる転がり運動による(すなわち、転がり摩擦による)摩擦損失は、滑り運動による(すなわち、滑り摩擦による)損失よりも大幅に小さい。したがって、ころ軸受またはその他の摩擦低減要素は、省略または削減されてもよく、コストの削減および負荷容量の増大が可能になる。さらに、かかる実質的に純粋な転がり軸受面は、面積またはサイズが増大されてもよく、継手の負荷容量をさらに増大させることが可能になる。本明細書に記載の継手は、互いに対して実質的に純粋な転がり運動を行うことができる1以上の軸受要素または軸受面を備えるかかる継手を提供する。したがって、これらの継手は、別の継手構成(例えば、ケージギアの歯の周りに配置されたころ軸受を備えたケージギア)よりも高い効率、負荷容量、剛性、および、その他の利点を提供しうる。
【0026】
かかる継手は、かかる高荷重の転がり軸受面を提供するように様々な方法で構成されうる。一部の例において、継手は、それぞれの接触面を介して、複数のピンと接触する第1および第2部材(例えば、入力部材および出力部材、サイクロイドディスクおよび出力部材)を備えうる。トルクが、それぞれの接触面を介して、ピンを介して、第1および第2部材の間で伝達される。ピンおよび接触面は、第1および第2部材が回転した時に、ピンも実質的に純粋な転がりを行って接触面と係合するように回転するよう成形される。
【0027】
一部の例において、これは、第1および第2部材に形成されたポケット、ピット、穴、または、その他の形状の中に、ピンが配置されることを含みうる。第1および第2部材によってピンに加えられる力のバランスを取るために、第1および第2セットの向かい合う穴(第1および第2セットの接触面を表す)が第1部材に形成されてよく、一方で、第3セットの穴(第3セットの接触面を表す)が第2部材に形成される。(複数のピンの内の)各ピンは、第2部材との接触によってピンに印加される力が、第1部材によって、第1セットの穴に含まれる穴および第2セットの穴に含まれる向かい合う穴を介して、ピンに印加される力と釣り合うように、第1、第2、および、第3セットの穴の各セットのそれぞれの穴の中に配置される。追加的または代替的に、ピンは、第1および第2部材から形成されたおよび/またはそれらの部材に剛結合されたシャフト、シリンダ、ロッド、管、または、その他の要素の間に配置されてもよい。
【0028】
かかる継手に関連する態様を、
図1Aおよび
図1Bに例として示す。
図1Aは、継手100の斜視断面図を示し;
図1Bは、継手100の正面図を示す。継手100は、第1部材110と、向かい合う第1プレート120aおよび第2プレート120bを備えた第2部材120と、を備える。第1プレート120aおよび第2プレート120bは、一緒にボルト締めされるか、または、他の方法で一緒に剛結合されている。第1部材110は、第1回転軸111を中心に回転し、第2部材120は、第2回転軸121を中心に回転する。回転軸111、121は、実質的に平行であり、ゼロではない距離d1だけ互いからオフセットされている。回転軸111、121の位置および角度は、支持部材150によって維持されており、支持部材150には、第1部材110および第2部材120がそれぞれの軸受を介して結合されている。
【0029】
継手100は、さらに、複数のピン(例えば、ピン140)を備える。複数の第1穴(第1穴115など)が、第1部材110に形成されている。複数の第2および第3穴(それぞれ、第2穴125aおよび第3穴125bなど)が、第2部材120に形成されている。第1部材110の各穴は、複数の第2穴の内の対応する穴と、複数の第3穴の内の対応する穴との間に配置される。これは、第1穴115が第2穴125aと第3穴125bとの間に配置されていることで図示されている。継手100の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されている。これは、ピン140が、第1穴115、第2穴125a、および、第3穴125bの中に配置されていることで図示されている。各ピンは、継手100の第1部材110と第2部材120との間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。第2部材120は、ピンに印加される力/トルクのバランスを取るように、2セットの向かい合った穴を備えており、それにより、ピンが整列を外れて回転されるのを防ぐ、および/または、継手100の他の要素と整列するようにピンを維持するためのさらなる軸受またはその他の機構の必要性を削減する。
【0030】
ピン(例えば、140)および穴(例えば、115、125a、125b)は、第1部材110および第2部材120の回転の結果として、ピンが穴の内面に対して実質的に純粋な転がり運動を行うようなピンの回転を引き起こすような、形状および/またはサイズを有する。ピンが穴の表面に対して純粋な転がり運動を行うことは、穴の表面上の所与の接触点と接触するピン上の所与の接触点が、互いに対してゼロ(または実質的にゼロ)の速度を示すこと、および/または、それらの所与の接触点が同じ(または実質的に同じ)絶対速度を有することを意味する。互いに対して純粋またはほぼ純粋な転がり運動を行うかかる接触面は、接触面を介して動力伝達の効率を高めることに関して、表面によって経験される摩耗を削減することに関して、接触面に存在する必要な潤滑またはその他の摩擦低減手段を削減することに関して、もしくは、その他の利点に関して、利点を有する。一部の例において、本明細書に記載の機構は、接触面によって経験される摩耗の量を等しくするため、接触面に沿って潤滑を分散させるため、または、何らかの他の利点を提供するために、かかる接触面で純粋な転がり運動から或る程度のずれを示すよう構成されうる。
【0031】
一例において、ピンおよび穴は各々、それぞれの円柱形状に対応しうる。したがって、ピンは、(
図1A/
図1Bに示すように)さらなる軸受要素を全く欠いてよい。ピンは、(例えば、効率を高めるため、穴表面に対する純粋な転がり運動からの若干のずれを補償するために)潤滑されてよい。継手100の負荷容量は、ピンの数を増やすことによって、ピンの長さを増すことによって、および/または、ピンの直径を増すことによって、増大できる。ピンおよび/または穴の直径は、第1回転軸111と第2回転軸121との間のオフセット距離に関連しうる。
【0032】
図1A/
図1Bで継手100の一部として示したピン/穴の数(すなわち、8)は、かかるピンの数および間隔の非制限的な例として意図される。本明細書に記載の継手は、応用例に従って規定される数のピン(および対応する穴)を備える。継手の安定性を提供するために、継手は、3以上のかかるピンおよび/またはローラを備えてよい。継手の負荷容量を増やすため、冗長性を提供するため、または、その他の利点を提供するために、継手は、さらなるピンおよび/またはローラを備えてもよい(例えば、4以上のピンおよび/またはローラ)。
【0033】
図1Aおよび
図1Bで示したように、複数セットの穴の中に複数セットのピンを配置することが、実質的に純粋な転がり運動を行う要素を介してトルクを伝達する継手を実施する唯一の方法である。かかる継手は、追加的または代替的に、第1および第2部材が回転した時に、ピンが、第1および第2部材の間でトルクを伝達し、接触面に対して実質的に純粋な転がり運動を行うことを可能にするように規定された接触面を有するそれぞれのセットのさらなるピン、ロッド、管、もしくは、その他の方法で形成または成型された要素と接触するローラを備えてもよい。
【0034】
かかる継手に関連する態様を、
図2Aおよび
図2Bに例として示す。
図2Aは、部分的に分解された継手200を示す斜視図であり;
図2Bは、分解された継手200を示す正面図である。継手200は、第1部材210と、向かい合う第1プレート220aおよび第2プレート(第2プレートは図に示されていない)を備えた第2部材と、を備える。第1プレート220aおよび第2プレートは、一緒にボルト締めされるか、または、他の方法で一緒に剛結合されている。第1部材210は、第1回転軸211を中心に回転し、第2部材220aは、第2回転軸221を中心に回転する。回転軸211、221は、実質的に平行であり、ゼロではない距離だけ互いからオフセットされている。回転軸の位置および角度は、支持部材250によって維持されており、支持部材250には、第1部材210および第2部材220aがそれぞれの軸受を介して結合されている。
【0035】
図1Aおよび
図1Bに示した継手100と同様に、継手200は、複数のピン(例えば、ピン240)を備える。ピンは、第1部材210に形成された複数の第1穴(例えば、第1穴215)と、第2部材220aに形成された複数の第2および第3穴(例えば、第2穴225a)との中に配置される(第2部材の一部および複数の第3穴は図に示されていない)。第1部材210の各穴は、複数の第2穴の内の対応する穴と、複数の第3穴の内の対応する穴との間に配置される。継手200の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されており、継手200の第1部材210と第2部材220aとの間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。ピン(例えば、240)および穴(例えば、215、225a)は、第1部材210および第2部材220aの回転の結果として、ピンが穴の内面に対して実質的に純粋な転がり運動を行うようなピンの回転を引き起こすような、形状および/またはサイズを有する。
【0036】
継手200は、第1部材と第2部材との間でトルクを伝達するためのさらなる要素を備える。継手200は、複数のローラ(例えば、ローラ260c)を備える。複数の第1ロッド(例えば、第1ロッド260a)が、第1回転軸211と平行に第1部材210から伸び、複数の第2ロッド(例えば、第2ロッド260b)が、第2回転軸221と平行に第2部材から伸びている(複数の第2ロッドがそこから伸びる第2部材の部分は図に示されていない)。複数のローラに含まれる各ローラは、複数の第1ロッドの内の対応するロッドと複数の第2ロッドの内の対応するロッドとの間に、それらのロッドと接触して配置されている。これは、特定のローラ260cが、第1ロッド260aと第2ロッド260bとの間にそれらと接触して配置されていることで図示されている。各ローラは、継手200の第1部材210と第2部材220aとの間でトルクを伝達できるように、対応するロッドの接触面と接触している。ケージ(例えば、260d)が、対応するロッド(例えば、260a、260b)の間でのローラの各々(例えば、260c)の位置決めを維持するために提供される。補完的なセットのさらなるローラおよびロッドが、ローラを介して部材の間に印加される力/トルクのバランスを取るように、第1部材210の反対側に配置され(図示せず)、それにより、ピンが整列を外れて回転されるのを防ぐ、および/または、継手200の他の要素と整列するようにピンならびに/もしくは第1および第2部材を維持するためのさらなる軸受またはその他の機構の必要性を削減する。
【0037】
継手の第1および第2部材の間でトルクを伝達するために、穴の中のピン(240、215、225aなど)およびローラ(260a、260b、260cなど)を備えることによって、様々な利点を得ることができる。1つの利点は、継手のトルク容量の増大を含みうる。別の利点は、トルクの伝達時に第1および第2部材の間で印加される総反力を低減することを含みうる。ピン(ピン240を含む)を介して、第1および第2部材の間でトルクを伝達する時、ピンによって、回転軸211、221の間の或る方向に、第1および第2部材の間で反力が印加される。同様に、ローラ(ローラ260cを含む)を介して、第1および第2部材の間でトルクを伝達する時、ピンによって印加される反力の方向と反対の方向に、第1および第2部材の間で反力が印加される。したがって、穴の中のピンおよびローラの両方を提供することにより、第1および第2部材の間の総反力は、低減されるかまたは実質的に排除されうる。それに応じて、第1および第2部材の間のかかる力を(例えば、支持部材250を介して)結合するために用いられる軸受またはその他の要素のサイズ、コスト、定格荷重、または、その他の設計特性が、緩和されうる。
【0038】
継手200は、第1および第2部材の間でトルクを伝達するための穴の中のピンおよびローラの両方を備えており、非限定的な実施形態例として意図されることに注意されたい。本明細書で想定される継手は、穴の中のピンを欠いてもよく、継手の第1および第2部材の間でトルクを伝達するためのローラ(ならびに、対応するロッドまたはその他の接触面)だけを備えてよい。さらに、
図2Aおよび
図2Bで継手200の一部として示したピン/穴およびローラ/ロッドの具体的な数(すなわち、8)は、かかるピンおよびローラの数および間隔の非限定的な例として意図される。本明細書に記載の継手は、特定の数のピン(および対応する穴)、および/または、特定の数のローラ(ならびに、対応するロッド、または、ローラと接触するその他の機構)を備える。継手の安定性を提供するために、継手は、3以上のかかるピンおよび/またはローラを備えてよい。継手の負荷容量を増やすため、冗長性を提供するため、または、その他の利点を提供するために、継手は、さらなるピンおよび/またはローラを備えてもよい(例えば、4以上のピンおよび/またはローラ)。
【0039】
継手200は、対応するペアのロッド(例えば、260a、260b)の間でローラ(例えば、260c)を安定させるためのケージ(例えば、260d)を備える。これらのケージは、様々な材料で構成されてよい。ロッドの間で、ローラを通した力が、ローラによって直接的に伝えられるので、ケージは、明確なころ軸受またはその他の摩擦低減要素を欠いてよい。追加的または代替的に、ケージは、摩擦を軽減するために潤滑されてもよい。材料は、それが接触する要素(ローラ、ロッド)に対して低摩擦面を提供するよう選択されてよい(例えば、ケージは、真鍮、ポリオキシメチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、または、何らかの他の低摩擦材料で構成されてよい)。
【0040】
図1Aおよび
図1Bに示した継手は、さらなる軸受またはその他の機構なしに継手内でピン(例えば、140)の位置および向きを維持するために、それぞれの向かい合う穴のセットを各々備える外側部材(第2部材120)の向かい合った部分が側面に配置された、第1セットの穴を備えた内側部材(第1部材110)を備える。
図1Aおよび
図1Bに示したように、外側の第2部材の2つのプレート120a、120bは、内側の第1部材110を完全に取り囲んでおり、したがって、ボルト、溶接、または、その他のかかる結合方法を用いて一緒に剛結合されてよい。しかしながら、外側部材のプレートを一緒に結合するかかる方法は、内側部材がその他の機構(例えば、サイクロイドドライブのリングギア、入れ子状割りプーリトランスミッションのベルト)と相互作用するのを妨げるか、または、何らかのその他の望ましくない結果を生じうる。したがって、本明細書に記載する継手の外側部材の向かい合った部分(例えば、プレート)を一緒に剛結合するための何らかのその他の方法を用いることが有利でありうる。
【0041】
そのための1つの方法は、内側部材にさらなる穴を形成して、外側部材の部分の間でかかるさらなる穴を通して支持部材を配置することを含む。支持部材およびさらなる穴の形状は、支持部材と内側部材との間の接触を防ぐように規定される。
【0042】
かかる継手に関連する態様を、継手300の断面図を示す
図3に例として示す。継手300は、第1部材310と、向かい合う第1プレート320aおよび第2プレート320bを備えた第2部材320と、を備える。第1プレート320aおよび第2プレート320bは、第1部材310の対応する穴317を通る少なくとも1つの支持部材327を介して一緒に結合されている。第1部材310は、第1回転軸311を中心に回転し、第2部材320は、第2回転軸321を中心に回転する。穴317および支持部材327のサイズおよび形状は、第1部材310および第2部材320がそれぞれの軸311、321を中心に回転する時に、支持部材327が第1部材310と接触しない(例えば、穴317の内面と接触しない)ようになっている。回転軸311、321は、実質的に平行であり、ゼロではない距離d
3だけ互いからオフセットされている。
【0043】
継手300は、複数のピン(例えば、ピン340)を備える。ピンは、第1部材310に形成された複数の第1穴(例えば、第1穴315)と、第2部材320に形成された複数の第2および第3穴(例えば、それぞれ、第2穴325aおよび第3穴325b)との中に配置される。継手300の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されており、継手300の第1部材310と第2部材320との間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。ピン(例えば、340)および穴(例えば、315、325a、325b)は、第1部材310および第2部材320の回転の結果として、ピンが穴の内面に対して実質的に純粋な転がり運動を行うようなピンの回転を引き起こすような、形状および/またはサイズを有する。追加的または代替的に、継手300は、
図2Aおよび
図2Bに示したのと同様に、1セットのローラと、それらに対応するロッド(またはローラに対応する接触面を有するその他の要素)と、を備えてもよい。
【0044】
継手を形成するための要素(
図1A~B、
図2A~B、および、
図3に示した要素)の構成は、非限定的な実施形態例として意図されたものである。かかる継手および/またはそれに結合される要素の、ピン、ローラ、ロッド、穴、接触面、支持部材、回転部材、軸受、または、その他の要素は、別の方法で構成されてもよい。一部の例において、継手がトランスミッションの一部として(例えば、サイクロイドドライブの一部として、入れ子状割りプーリトランスミッションの一部として)動作することを可能にするよう構成された接触面を、回転部材の一方または両方が備えてもよい。
【0045】
III.トランスミッションの例
(例えば、
図1A~B、
図2A~B、および、
図3と関連して)本明細書に記載する継手は、第1回転軸から、第1回転軸からオフセットされ、第1回転軸と実質的に平行な第2回転軸へ、回転およびトルクを結合するために、様々な応用例で利用されてよい。例えば、様々なトランスミッションまたはその他の機構が、第1部材から(例えば、サイクロイドドライブのサイクロイドディスクから、入れ子状プーリトランスミッションのプーリまたは割りプーリから)第2部材の回転運動へ、サイクロイド運動を結合することを必要とする。第1部材のサイクロイド運動は、設定されたオフセット距離で第2部材の回転軸を中心にそれ自体が周回する回転軸を中心とした第1部材の回転を含む。本明細書に記載する継手は、かかる機構に利用されることで、効率の向上、剛性の増大、または、その他の利点を、かかるトランスミッションまたはその他の機構に提供することができる。
【0046】
かかるトランスミッションに関連する態様を、トランスミッション400の断面図を示す
図4に例として示す。トランスミッション400は、(出力シャフト405を介して)トランスミッションの出力として機能する第1部材410と、向かい合う第1プレート420aおよび第2プレート420bを備えた第2部材420と、トランスミッションの入力として機能し、入力シャフト401およびカム450を備えた第3部材430と、を備える。第1プレート420aおよび第2プレート420bは、一緒にボルト締めされるか、または、他の方法で一緒に剛結合されている。第1部材410および第3部材430は、第1回転軸411を中心に回転し、第2部材420は、第2回転軸421を中心に回転する。回転軸411、421は、実質的に平行であり、ゼロではない距離d
4だけ互いからオフセットされている。回転軸411、421の相対位置は、第3部材430によって互いから設定距離に維持されており、第3部材430には、第1部材410および第2部材420がそれぞれの軸受を介して結合されている。
【0047】
第2部材420は、接触面429を含み、接触面429を介して、第2部材420がトランスミッション400のハウジング(図示せず)に結合されてよい。例えば、接触面429は、v字形ベルトと接触するように成形されてよく、v字形ベルトは、ハウジングの一部を形成する割りプーリと接触する。別の例において、接触面429は、ハウジングの一部であるリングギアと相互作用するように成形される。
【0048】
トランスミッション400への回転入力は、入力シャフト401を介して、カム450の回転を引き起こす。第2部材420は、カム450の回転が第2回転軸421に第1回転軸411を中心に周回させるように、(例えば、ころ軸受を介して)カムに摺動可能に結合される。この回転と、接触面429を介した第2部材420およびハウジングの間の相互作用との組み合わせにより、第2部材420は、ハウジングに対してサイクロイド運動をする。すなわち、第2部材は、第2回転軸421が第1回転軸411を中心に周回する時に、第2回転軸421を中心に回転する。
【0049】
トランスミッション400は、このサイクロイド運動を第1部材410の回転に結合するための継手を備える。この継手は、複数のピン(例えば、ピン440)と、第1部材410に形成された複数の第1穴(例えば、第1穴415)と、第2部材の第1プレート420aに形成された複数の第2穴(例えば、第2穴425a)と、第2部材の第2プレート420bに形成された複数の第3穴(例えば、第3の穴425b)と、を備える。第1部材410の各穴は、複数の第2穴の内の対応する穴と、複数の第3穴の内の対応する穴との間に配置される。これは、第1穴415が第2穴425aと第3穴425bとの間に配置されていることで図示されている。継手の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されている。これは、特定のピン440が、第1穴415、第2穴425a、および、第3穴425bの中に配置されていることで図示されている。各ピンは、第1部材410と第2部材420との間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。
【0050】
トランスミッション400の継手は、追加的または代替的に、トランスミッション400の第1部材410および第2部材420の間でトルクを伝達するために、
図2A~Bに示したのと同様のローラおよび関連ロッド(またはその他の接触面)を備えてもよいことに注意されたい。
【0051】
出力シャフト405を介して第1部材410の回転をトランスミッション400の出力へ印加するために、トランスミッションは、さらに、支持部材417a、417bを介して第1部材410に剛結合された出力プレート419a、419bを備える。これらの支持部材は、第1部材に対する第2部材の運動が、支持部材417a、417bと第2部材420との間の接触を引き起こさないように、第2部材420に形成されたさらなる穴427a、427b内に配置される。
【0052】
図4に示すように、継手の「内側部材」は、トランスミッションの出力の一部でありうるが、継手の「外側部材」(すなわち、互いに向かい合い、向かい合った複数の穴および/またはロッドを備える対になったプレートまたはその他の部分を備えた継手の部分)は、トランスミッション400のサイクロイドディスク、内側プーリ、または、その他の仲介要素の一部を形成する。しかしながら、これは、非限定的な実施形態例であり、本明細書に記載の継手を備えたトランスミッションは、異なる方法で構成されてもよい。例えば、「内側部材」が、トランスミッション400のサイクロイドディスク、内側プーリ、または、その他の仲介要素の一部であり、「外側部材」が、トランスミッションの出力の一部を形成してもよい。
【0053】
かかるトランスミッションに関連する態様を、トランスミッション500の断面図を示す
図5に例として示す。トランスミッション500は、向かい合う第1プレート510aおよび第2プレート
510bを備えると共に(出力シャフト405を介して)トランスミッションの出力として機能する第1部材510と、第2部材520と、トランスミッションの入力として機能すると共に入力シャフト501およびカム550を備えた第3部材530と、を備える。第1プレート510aおよび第2プレート510bは、第2部材520に形成された穴527を通して伸びる少なくとも1つの支持部材517を介して一緒に結合されている。第1部材510および第3部材530は、第1回転軸511を中心に回転し、第2部材520は、第2回転軸521を中心に回転する。回転軸511、521は、実質的に平行であり、ゼロではない距離d
5だけ互いからオフセットされている。
【0054】
第2部材520は、接触面529を含み、接触面529を介して、第2部材がトランスミッション500のハウジング(図示せず)に結合されてよい。例えば、接触面529は、v字形ベルトと接触するように成形されてよく、v字形ベルトは、ハウジングの一部を形成する割りプーリと接触する。別の例において、接触面529は、ハウジングの一部であるリングギアと相互作用するように成形される。
【0055】
トランスミッション500への回転入力は、入力シャフト501を介して、カム550の回転を引き起こす。第2部材520は、カム550の回転が第2回転軸521に第1回転軸511を中心に周回させるように、(例えば、ころ軸受を介して)カムに摺動可能に結合される。この回転と、接触面529を介した第2部材520およびハウジングの間の相互作用との組み合わせにより、第2部材520は、ハウジングに対してサイクロイド運動をする。すなわち、第2部材は、第2回転軸521が第1回転軸511を中心に周回する間に、第2回転軸521を中心に回転する。
【0056】
トランスミッション500は、このサイクロイド運動を第1部材510の回転に結合するための継手を備える。この継手は、複数のピン(例えば、ピン540)と、第1プレート510aに形成された複数の第1穴(例えば、第1穴515a)と、第2プレート510bに形成された複数の第2穴(例えば、第2穴515b)と、第2部材520に形成された複数の第3穴(例えば、第3穴525)と、を備える。第2部材520の各穴は、複数の第1穴の内の対応する穴と、複数の第2穴の内の対応する穴との間に配置される。これは、第3穴525が第1穴515aと第2穴515bとの間に配置されていることで図示されている。継手の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されている。これは、特定のピン540が、第1穴515a、第2穴515b、および、第3穴525の中に配置されていることで図示されている。各ピンは、第1部材510と第2部材520との間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。
【0057】
トランスミッション500の継手は、追加的または代替的に、トランスミッション500の第1部材510および第2部材520の間でトルクを伝達するために、
図2A~Bに示したのと同様のローラおよび関連ロッド(またはその他の接触面)を備えてもよいことに注意されたい。
【0058】
図4および
図5に関連して上述したように、本明細書に記載の継手の部材の1つが、トランスミッションのサイクロイドディスク、プーリ、または、その他の仲介要素の一部を形成することで、仲介要素がトランスミッションのハウジングまたはその他の固定要素に対してサイクロイド運動を行うようにすることができる。このサイクロイド運動は、トランスミッションの入力によって(例えば、仲介要素に摺動可能に結合され、入力によって駆動されるカムによって)駆動されてよく、サイクロイド運動は、継手を介して、トランスミッションの出力を駆動するようように結合されうる。仲介部材(例えば、継手400の第2部材420、または、継手500の第2部材520)は、トランスミッションが入力回転を受けたことに応じて、仲介部材にサイクロイド運動をさせるために、様々な手段を介して、トランスミッションのハウジングと結合するよう構成されうる。
【0059】
一部の例において、仲介部材は、サイクロイド運動をもたらすために、リングギアまたはその他の要素と相互作用するよう成形またはその他の方法で構成された軸受面を備えうる。かかるトランスミッションに関連する態様を、トランスミッション600の断面図を示す
図6に例として示す。トランスミッション600は、サイクロイドディスク620を含む仲介部材と、出力部材610と、カム650を含む入力部材と、を備える。入力部材および出力部材は、(「+」で示す)第1回転軸を中心に回転し、仲介部材は、(「×」で示す)第2回転軸を中心に回転する。サイクロイドディスク620は、接触面629を備えており、接触面629を介して、サイクロイドディスクがトランスミッション600のハウジング660に結合される。特に、接触面629は、ハウジング660の一部であるリングギアの歯665と接触するように成形される。歯665は、(例えば、サイクロイドプレート620がリングギアの歯665と接触しつつサイクロイド運動を行う時に、滑り摩擦を低減するために)ころ軸受として構成されてよい。
【0060】
トランスミッション600への回転入力は、カム650の回転を引き起こす。サイクロイドディスク620は、カム650の回転が第2回転軸に第1回転軸を中心に周回させるように、(例えば、ころ軸受を介して)カム650に摺動可能に結合される。この回転と、接触面629を介したサイクロイドディスク620およびリングギア665の間の相互作用との組み合わせにより、サイクロイドディスク620は、ハウジング660に対してサイクロイド運動をする。すなわち、サイクロイドディスク620は、第2回転軸が第1回転軸を中心に周回する時に、第2回転軸を中心に回転する。
【0061】
トランスミッション600は、このサイクロイド運動を出力部材610の回転に結合するための継手を備える。この継手は、複数のピン(例えば、ピン640)と、サイクロイドディスク620に形成された複数の第1穴(例えば、第1穴625a)と、第1部材610の第1プレート(またはその他の部分)に形成された複数の第2穴(例えば、第2穴615)と、複数の第2穴とはサイクロイドディスク620の反対側に配置された第1部材610のさらなるプレートまたはその他の部分に形成された複数の第3穴(図示せず)と、を備える。サイクロイドディスク620の各穴は、複数の第1穴の内の対応する穴と、複数の第2穴の内の対応する穴との間に配置される。継手の各ピンは、複数の第1、第2、および、第3穴の各々に含まれるそれぞれの穴の中に配置されている。各ピンは、サイクロイドディスク620と出力部材610との間でトルクを伝達できるように、対応する穴の接触面と接触している。さらなる穴(例えば、627)が、出力部材610の向かい合った部分を一緒に剛結合するために支持部材(例えば、617)がサイクロイドディスク620を貫通することを可能にするようにサイクロイドディスク620に形成されている。
【0062】
図6に示すトランスミッション600は、静的ころ軸受665をサイクロイドドライブのリングギアの歯として利用する。しかしながら、トランスミッションは、仲介部材(例えば、 620)上の第1回転軸受面と接触すると共にトランスミッションのハウジングに形成された第2回転軸受面と接触する可動軸受を備えるよう構成されてもよい。軸受ならびに第1および第2回転軸受面の形状は、仲介部材がサイクロイド運動を行う時に、軸受が、(i)仲介部材とハウジングとの間で力を伝達し、(ii)回転して、サイクロイド運動を行い、(iii)第1回転軸受面および第2回転軸受面の両方に対して実質的に純粋な転がり運動を行うように規定されうる。かかるトランスミッションの一例が、国際出願第WO 2017/044171A2号に開示されており、その出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。かかるサイクロイドドライブは、実質的に純粋な転がり運動を行う軸受を介してサイクロイドプレートとハウジングとの間で力を伝達するものであり、トランスミッションの別の構成に対して、高い効率、高い支持力、(例えば、従来のサイクロイドドライブよりも軸受の数を減らすことによる)低いコスト、または、その他の利点を示しうる。
【0063】
一部の例において、仲介部材は、トランスミッションのハウジングに結合された別のプーリ内に入れ子状になったプーリ(例えば、ベルトまたはその他の柔軟な要素に接触するよう構成された溝付きまたは他の形状の表面)を組み込んでもよい。すなわち、いくらかの重複がプーリの間に生じる。仲介部材のプーリをハウジングのプーリに結合するベルトを介して仲介部材とハウジングとの間で、力が伝達されうる。したがって、仲介部材は、トランスミッションに印加される回転入力に応じて、サイクロイド運動を行いうる。一部の例において、プーリは、例えば、割りプーリのプーリハーフの間の軸分離を制御することによってトランスミッションの伝達比の調整を容易にするために、割りプーリであってよい。
【0064】
かかるトランスミッションに関連する態様を、可変トランスミッション700の斜視断面図を示す
図7に例として示す。可変トランスミッション700は、トランスミッションのハウジング(図示せず)に結合された第1ハーフプーリ760aおよび第2ハーフプーリ760bを有する第1割りプーリを備える。トランスミッション700は、さらに、第3ハーフプーリ720aおよび第4ハーフプーリ720bを有する第2割りプーリを備えた仲介部材を備える。第1および第2割りプーリは、ベルト770を介して結合される。第2割りプーリは、第1割りプーリ内に入れ子状に含まれている。これは、第2割りプーリの回転軸が第1割りプーリの外周内に配置されていることを含む。入力部材750が、カムおよびカム軸受を介して第2割りプーリに結合されている。入力部材750および第2割りプーリは、それぞれの異なるオフセットされた回転軸を有する。入力750の回転は、入力750の回転軸の周りでの第2割りプーリの回転軸の周回と、ハーフプーリ720a、720bの回転と、ベルト770を介した第1割りプーリから第2割りプーリへのトルクの伝達と、を引き起こす。したがって、入力750の回転は、第2割りプーリの特定の部分のサイクロイド運動を引き起こしうる。
【0065】
トランスミッション700は、さらに、第1部分710aおよび第2部分710bを有する出力部材710を備える。出力部材710は、入力750と共通の軸を中心に回転する。トランスミッション700は、回転しないように第1割りプーリのハーフプーリ760a、760bを機械的に固定すると共に、第2割りプーリの回転が出力部材710の回転を引き起こすように第2割りプーリ720のハーフプーリの少なくとも一方に出力部材710を結合することにより、制御可能な伝達比に従って入力部材750から出力部材710へ回転および/またはトルクを伝達するよう構成されてよい。これは、本明細書の別の箇所に記載したように、継手を介して出力部材710を第2割りプーリ720に結合することを含みうる。
【0066】
本明細書に記載のトランスミッションは、そこから力が出力へ伝達される入力を備えるものとして特徴付けられているが、これらのトランスミッションは、追加的または代替的に、バックドライブ可能であるよう構成されてもよいし、双方向エネルギ伝達および/または出力から入力へのエネルギ伝達を可能にするよう他の方法で構成されてもよいことに注意されたい。例えば、本明細書に記載のトランスミッションは、ロボットの関節の間でエネルギを双方向に伝達するために、例えば、1つの関節(例えば、エネルギを、例えば接地との接触から現在受けている関節)からエネルギを取り込んで、別の関節(例えば、ペイロードに力を加えるために現在利用されている関節)に印加するかまたはその逆を可能にすることによってロボットの全体効率を高めるために、利用できる。さらに、かかる構成は、(例えば、ロボットの1または複数の関節の)複数の自由度を単一のモータによって(例えば、それぞれの入れ子状プーリ可変トランスミッションを介して)駆動することを可能にしうる。
【0067】
本明細書に記載のトランスミッション、または、その要素(例えば、継手、割りプーリのハーフプーリの間の軸分離を調節するためのシフト機構)は、何らかの応用例を容易にするために追加的または代替的な要素を備えてもよい。例えば、トランスミッションは、例えば、異なる軸に関する回転を提供するため、ギア減速を提供するため、または、何らかの他の機械的効果を提供するために、さらなるギアを備えてもよい。これらの変形例は、例えば、入力トルクと出力トルクとの間の関係性を制御するため、回転運動を線形運動に変換するため、または、応用例に従って何らかのその他の利点を提供するために、提供されてよい。さらに、本明細書に記載のトランスミッションの特定の要素は、「入力」、「出力」、または、「グラウンド」(すなわち、トランスミッションを通した回転および/またはトルクの伝達を容易にするために、機械的グラウンドに剛結合された要素)として特徴付けられうるおよび/または記載されうるが、これらの特徴は、非限定的なものとして意図される。「入力」、「出力」、または、「グラウンド」として記載された要素は、再構成および/または別の目的で利用されてよい。例えば、
図7に示したトランスミッション700の「入力」750は、グラウンドされて、第1割りプーリ760a、760bが、トランスミッション700の出力または入力として動作されうるようにグラウンドされていない場合に、「出力」710が、トランスミッション700の出力または入力として動作されることを可能にしてもよい。
【0068】
IV.結び
図に示した特定の配置は、限定と見なすべきではない。別の実施形態が、所与の図に示した各要素を多くまたは少なく備えてもよいことを理解されたい。さらに、図示した要素の一部は、組み合わせられてもよいし、省略されてもよい。さらにまた、一実施例が、図示されていない要素を備えてもよい。
【0069】
さらに、様々な態様および実施形態を本明細書で開示したが、別の態様および実施形態が当業者にとっては明らかである。本明細書に開示した様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものであり、限定の意図はなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書に提示された主題の精神または範囲から逸脱することなしに、他の実施形態が用いられてもよく、その他の変更がなされてもよい。本明細書に概略的に記載され、図に示されている本開示の態様は、幅広い異なる構成で、配置、置換、組みあわせ、分離、および、設計されてよく、それらのすべてが、本明細書内で想定されていることが容易に理解される。
本開示は、以下の形態により実現されてもよい。
[形態1]
互いにオフセットされた回転の第1回転軸から回転の第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手であって、
前記第1回転軸を中心に回転するよう構成された第1部材であって、複数の第1穴および複数の第2穴を有する、第1部材と、
前記第2回転軸を中心に回転するよう構成され、複数の第3穴を有する第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、(i)前記第1部材の前記第1回転軸および前記第2部材の前記第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持され、(ii)前記複数の第3穴の各穴が、前記複数の第1穴の内の対応する穴と前記複数の第2穴の内の対応する穴との間に配置されるように、互いに結合される、第2部材と、
複数のピンであって、前記複数のピンの各ピンは、前記複数の第1穴の内のそれぞれの穴、前記複数の第2穴の内のそれぞれの穴、および、前記複数の第3穴の内のそれぞれの穴、の中に配置され、前記複数のピンは、前記第1部材と前記第2部材との間で、力ひいてはトルクを伝達する、複数のピンと、
を備える、継手。
[形態2]
形態1に記載の継手であって、
前記複数のピンは、少なくとも3つのピンを含む、継手。
[形態3]
形態1に記載の継手であって、
前記複数のピンは、少なくとも4つのピンを含む、継手。
[形態4]
形態1に記載の継手であって、
前記第1部材は、互いに剛結合された第1プレートおよび第2プレートを備え、前記第1プレートは前記複数の第1穴を有し、前記第2プレートは前記複数の第2穴を有し、前記第2部材は、前記複数の第3穴を有するプレートを備える、継手。
[形態5]
形態4に記載の継手であって、
前記第2部材の前記プレートは、複数のさらなる穴を有し、前記第1部材は、さらに、複数の支持部材を備え、前記第1部材の前記第1プレートおよび前記第1部材の前記第2プレートは、前記複数の支持部材を介して互いに剛結合され、前記複数の支持部材の各支持部材は、前記第2部材の前記プレート内の前記複数のさらなる穴の内のそれぞれのさらなる穴を通して伸びる、継手。
[形態6]
形態4に記載の継手であって、
前記第1部材の前記第1プレートは、前記第2部材の前記プレートを部分的に囲む構造を介して、前記第1部材の前記第2プレートに剛結合される、継手。
[形態7]
形態1に記載の継手であって、
前記第1部材は、さらに、前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第1ロッドおよび前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第2ロッドを備え、前記第2部材は、前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第3ロッドおよび前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第4ロッドを備え、前記継手は、さらに、
複数の第1ローラであって、前記複数の第1ローラの各ローラは、前記複数の第1ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第3ロッドの内のそれぞれのロッドと接触し、前記複数の第1ローラは、前記第1部材と前記第2部材との間で、力ひいてはトルクを伝達する、複数の第1ローラと、
複数の第2ローラであって、前記複数の第2ローラの各ローラは、前記複数の第2ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第4ロッドの内のそれぞれのロッドと接触し、前記複数の第2ローラは、前記第1部材と前記第2部材との間で、力ひいてはトルクを伝達する、複数の第2ローラと、
を備える、継手。
[形態8]
形態7に記載の継手であって、さらに、
複数のケージであって、前記複数のケージの各ケージは、前記複数の第1ローラの内のそれぞれのローラを、前記複数の第1ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第3ロッドの内のそれぞれのロッドと接触するように維持する、複数のケージを備える、継手。
[形態9]
形態8に記載の継手であって、
前記複数のケージの内の少なくとも1つのケージは、真鍮、ポリオキシメチレン、または、アクリロニトリルブタジエンスチレン、の内の少なくとも1つを含んだ材料を含む、継手。
[形態10]
形態1に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第1回転軸に前記第2回転軸を中心に周回させ、(ii)前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動を引き起こすように、前記第1部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
[形態11]
形態10に記載の継手であって、
前記ハウジングは、リングギアを備え、前記第1部材は、前記リングギアを介して前記ハウジングと接触する、継手。
[形態12]
形態10に記載の継手であって、
前記第1部材は、第1回転軸受面を備え、前記ハウジングは、第2回転軸受面を備え、前記継手は、さらに、
複数の軸受であって、前記複数の軸受の各軸受は、前記第1回転軸受面および前記第2回転軸受面と接触しており、前記第1回転軸受面の形状、前記第2回転軸受面の形状、および、前記複数の軸受の各軸受の形状は、前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動が、前記複数の軸受の各軸受を回転させてサイクロイド運動させるように規定されている、複数の軸受を備える、継手。
[形態13]
形態10に記載の継手であって、
前記第1部材は、第1プーリを備え、前記ハウジングは、第2プーリを備え、前記継手は、さらに、
前記第1プーリを前記第2プーリに結合するベルトを備える、継手。
[形態14]
形態1に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第2回転軸に前記第1回転軸を中心に周回させ、(ii)前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動を引き起こすように、前記第2部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
[形態15]
形態14に記載の継手であって、
前記ハウジングは、リングギアを備え、前記第2部材は、前記リングギアを介して前記ハウジングと接触する、継手。
[形態16]
形態14に記載の継手であって、
前記第2部材は、第1回転軸受面を備え、前記ハウジングは、第2回転軸受面を備え、前記継手は、さらに、
複数の軸受であって、前記複数の軸受の各軸受は、前記第1回転軸受面および前記第2回転軸受面と接触しており、前記第1回転軸受面の形状、前記第2回転軸受面の形状、および、前記複数の軸受の各軸受の形状は、前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動が、前記複数の軸受の各軸受を回転させてサイクロイド運動させるように規定されている、複数の軸受を備える、継手。
[形態17]
形態14に記載の継手であって、
前記第2部材は、第1プーリを備え、前記ハウジングは、第2プーリを備え、前記継手は、さらに、
前記第1プーリを前記第2プーリに結合するベルトを備える、継手。
[形態18]
互いにオフセットされた第1回転軸から第2回転軸へ高効率かつ高剛性でトルクを伝達するための継手であって、
前記第1回転軸を中心に回転するよう構成された第1部材であって、前記第1部材は、前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第1ロッドおよび前記第1回転軸と平行に前記第1部材から伸びる複数の第2ロッドを備える、第1部材と、
前記第2回転軸を中心に回転するよう構成された第2部材であって、前記第1部材および前記第2部材は、前記第1部材の前記第1回転軸および前記第2部材の前記第2回転軸が、平行であり、互いに対して設定されたオフセット距離に維持されるように、互いに結合されており、前記第2部材は、前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第3ロッドおよび前記第2回転軸と平行に前記第2部材から伸びる複数の第4ロッドを備える、第2部材と、
複数の第1ローラであって、前記複数の第1ローラの各ローラは、前記複数の第1ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第3ロッドの内のそれぞれのロッドと接触し、前記複数の第1ローラは、前記第1部材から前記第2部材へトルクを伝達する、複数の第1ローラと、
複数の第2ローラであって、前記複数の第2ローラの各ローラは、前記複数の第2ロッドの内のそれぞれのロッドおよび前記複数の第4ロッドの内のそれぞれのロッドと接触し、前記複数の第2ローラは、前記第1部材から前記第2部材へトルクを伝達する、複数の第2ローラと、
を備える、継手。
[形態19]
形態18に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第2回転軸を中心とした前記第1回転軸の回転と、(ii)前記ハウジングに対する前記第1部材のサイクロイド運動と、を引き起こすように、前記第1部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。
[形態20]
形態18に記載の継手であって、さらに、
ハウジングと、
第3部材であって、前記第3部材は、カムに結合された入力シャフトを備え、前記カムは、前記入力シャフトの回転が、(i)前記第1回転軸を中心とした前記第2回転軸の回転と、(ii)前記ハウジングに対する前記第2部材のサイクロイド運動と、を引き起こすように、前記第2部材に摺動可能に結合されている、第3部材と、
を備える、継手。