IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューウェーブ メディカル,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7218406エネルギー供給のためのシステム及び方法
<>
  • 特許-エネルギー供給のためのシステム及び方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】エネルギー供給のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20230130BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20230130BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/18 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021154140
(22)【出願日】2021-09-22
(62)【分割の表示】P 2018554066の分割
【原出願日】2017-04-13
(65)【公開番号】P2022000198
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】62/323,319
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512023166
【氏名又は名称】ニューウェーブ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEUWAVE MEDICAL,INC.
【住所又は居所原語表記】3529 Anderson Street,Madison,Wisconsin 53704,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・スコット
(72)【発明者】
【氏名】モラン・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】シェフェルカー・リチャード・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ブレース・クリストファー・エル
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0196480(US,A1)
【文献】特表2014-500102(JP,A)
【文献】特表2014-501551(JP,A)
【文献】特表2007-535369(JP,A)
【文献】特開2012-170777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0230757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー供給デバイス及びプロセッサを備えるシステムであって、前記プロセッサは、アブレーション中の組織の解剖学的変化である収縮予測を適用した予測標的組織領域を識別するように構成されており、
予測標的組織領域を識別することは、
a)アブレーションされる組織領域及び前記エネルギー供給デバイスに関する情報を受信することと、
b)前記情報に基づき前記アブレーションされる組織領域内の収縮変形を計算すること、
により前記予測標的組織領域を識別することと、を含み、
前記プロセッサは、前記エネルギー供給デバイスと通信している、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記エネルギー供給デバイスの所望の組織領域への位置決定を誘導するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所望の組織領域は、識別された前記予測標的組織領域である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー供給デバイスに電気接続された電源を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記組織領域内の収縮点を判定し、前記収縮変形は、各収縮点の収縮点距離及び収縮点方向を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
各収縮点の収縮点方向は、1つ以上の方向変化を含む、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置(例えば、組織切除、摘出、焼灼、血栓、心不整脈及びリズム障害の治療、電気手術、組織採取等)を含む多様な用途のために、組織にエネルギーを供給するための総合的システム及び方法に関する。特定の実施形態では、アブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を識別及び処理するためのシステム及び方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
エネルギー供給デバイス(例えば、アンテナ、プローブ、電極等)(例えば、マイクロ波アブレーションデバイス)(例えば、高周波アブレーションデバイス)を使用して、所望の組織領域を「治療」するために所望の組織領域にエネルギーを供給する。アブレーション療法(例えば、マイクロ波アブレーション、高周波アブレーション)は、様々な容態及び/又は疾患(例えば、腫瘍細胞)の治療に広く使用されている最小侵襲性技術である。このような技術においては、アブレーションエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)(例えば、高周波エネルギー)を使用して、所望の組織領域を所望の温度まで加熱して、加熱領域での組織破壊を引き起こす。
【0003】
アブレーション処置の成功は一般に、所望の組織アブレーションの量を最大化すること、及び望ましくない組織アブレーションの量を最小化することによる。このような成功は、標的組織領域の精密かつ正確な識別、かかる識別された標的組織領域でのエネルギー供給デバイスの位置決定、及びかかるエネルギーの識別された組織領域への供給による。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アブレーション処置を対象とする標的組織領域を正確かつ精密に識別するための改善された技術が必要とされている。
【0005】
本発明は、このニーズに対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アブレーション処置における標的組織領域を識別するための現在の技術は、例えば、CT撮像又はその他の撮像方式の使用を伴う。例えば、CT撮像を使用して、アブレーションされる特定の解剖学的領域(例えば三次元解剖学的寸法)を位置付け及び識別し、この識別された位置に基づいて、識別された位置でエネルギー供給デバイスを位置決定し、アブレーションエネルギーを識別された位置に供給する。
【0007】
しかしながら、アブレーション処置の成功を制限する問題は、アブレーション中に標的組織領域が受ける解剖学的変化を伴う。実際に、アブレーション処置を受ける組織領域の解剖学的寸法は、組織領域がアブレーションされるにつれて変化する。例えば、組織領域の解剖学的寸法は、アブレーション中に収縮し、これが組織領域の処置前及び処置後の解剖学的寸法を変化させる。処置中に発生するこのような解剖学的変化(例えば、収縮)により、望ましくない組織(例えば、健康な組織)がアブレーションエネルギーに曝露されてしまう。このような非標的組織の望ましくないアブレーションは、アブレーション処置の成功を損なうだけでなく、特に、アブレーション領域が健康な重大組織又は構造に近い場合、深刻な健康への悪影響をもたらし得る。より小さい領域を選択して補償しようとすると、意図した組織全てが破壊されない場合があり、これにより治療効果が低くなり得、又は腫瘍アブレーションの場合は、腫瘍の再成長及び転移が可能になり得る。
【0008】
アブレーションされる特定の解剖学的領域(例えば三次元解剖学的寸法)を位置付け及び識別するのに使用される現在の技術(例えば、CTスキャン)では、標的組織領域がアブレーション処置を受ける際のこのような解剖学的変化(例えば、組織収縮)に対応できない。
【0009】
本発明は、標的組織領域がアブレーション処置を受ける際のこのような解剖学的変化(例えば、組織収縮)に対応する、標的組織領域の識別及び位置付けを可能にする、システム、材料、及び方法を提供する。
【0010】
特定の実施形態では、本発明は、エネルギー供給デバイス及びプロセッサを備えるシステムを提供し、このプロセッサは、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する標的組織領域を識別、選択、及び/又は修正するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する標的組織領域を識別することは、組織領域及びエネルギー供給デバイスに関する情報を受信することと、組織領域内の収縮領域を計算することと、組織領域内の予想された収縮点を判定することと、組織領域内の予想された収縮変形を計算すること(例えば、予想された収縮距離(例えば、最大及び最小)及び各収縮点の方向を判定すること)と、計算された予想された収縮変形を適用することと、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域を識別及び報告することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、エネルギー供給デバイスと通信している。いくつかの実施形態では、プロセッサは、所望の組織領域でエネルギー供給デバイスを位置決定し、及び/又はアブレーション処置中のエネルギー供給を制御するように構成されている。いくつかの実施形態では、所望の組織領域は、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された識別された標的組織領域である。
【0013】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、収縮点に関する情報をユーザに提供する(例えば、プロセッサベースの視覚表示を介して、無線通信を介して等)。例えば、いくつかの実施形態では、組織領域は、処置中の各点(例えば、処置の前、後、及び処置中の任意の点)に関する収縮点並びに計算された収縮点距離及び方向と共に提供される。いくつかの実施形態では、組織領域及び各収縮点の最小及び最大マージン距離が提供される。
【0014】
特定の実施形態では、プロセッサは、アブレーション(例えば、収縮後のアブレーション)の前と後の標的組織領域間の最小距離及び最大距離を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、このような測定された距離を使用して、所望のマージンがアブレーション処置中及びその後に達成されるかどうかを判定する。
【0015】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する前の標的組織領域とアブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する前の標的組織領域との間の距離の差及び/又は方向の差を定量化及び比較するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整されていない標的組織領域とアブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域との間の実際の距離の差及び/又は方向の差(例えば、アブレーション処置の前及びアブレーション処置の後)を定量化及び比較するように構成されている。
【0016】
特定の実施形態では、プロセッサは、アブレーション処置中の1つ以上の態様を監視及び/又は制御し、かつ/あるいはそれに関するフィードバックを提供するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーション処置中の各収縮点の予測される収縮点距離及び方向を監視するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、アブレーション処置を停止するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、アブレーション処置中に供給されるエネルギー量を調整する(例えば、上昇させる又は低下させる)ように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、1つ以上の収縮点の収縮点距離及び/又は方向を再計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、各収縮点の実際の収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、新しい収縮点を識別する、並びに/又は1つ以上の既存の収縮点の収縮点距離及び/若しくは方向を再計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、組織領域内の予測される温度対実温度の差、エネルギー供給デバイス中の予測される温度対実温度の差等の差に基づいて類似の調整を行うように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムは、エネルギー供給デバイスに電気接続された電源を更に備える。
【0018】
特定の実施形態では、本発明は、このようなシステムを提供することと、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域をプロセッサで識別することと、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された識別された標的組織領域にエネルギー供給デバイスを位置決定することと、組織領域をアブレーションすること(例えば、更に標的組織領域外の組織はアブレーションしないこと)と、を含む、組織領域をアブレーションするための方法を提供する。いくつかの実施形態では、標的組織領域は、アブレーション処置中に識別及び/又は修正される。
【0019】
いくつかの実施形態では、組織領域は、被験体内(例えば、ヒト被験体)にある。
【0020】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織領域は、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された識別された標的組織領域に含まれない組織を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】アブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を生成するのに使用される例示的プロセスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
アブレーションされる特定の解剖学的領域(例えば三次元解剖学的寸法)を位置付け及び識別するのに使用される現在の技術(例えば、CTスキャンを介して)では、標的組織領域がアブレーション処置を受ける際の解剖学的変化(例えば、組織収縮)に対応できない。このような解剖学的変化により、健康な組織の望ましくないアブレーションが起きるか、又はそうでなければ、組織の過度のアブレーション若しくはアブレーション不足を引き起こし、処置の目的に反する。
【0023】
本発明は、標的組織領域がアブレーション処置を受ける際のこのような解剖学的変化(例えば、組織収縮)に対応する、標的組織領域の識別、位置付け、及びアブレーションを可能にする、システム、材料、及び方法を提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、プロセッサ(例えば、コンピュータ)を使用して、このような解剖学的変化(例えば、組織収縮)に対応する組織撮像データから、標的組織領域(単数又は複数)を識別及び位置付けする。いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーションされる組織領域に関連する変数、並びに処置中に使用されるエネルギー供給デバイス及びエネルギーのタイプに関連する変数の存在及び不在を評価するソフトウェアを使用する。
【0025】
このようなアブレーションされる組織領域に関連する変数、並びに処置中に使用されるエネルギー供給デバイス及びエネルギーのタイプに関連する変数の例としては、処置中に利用されるエネルギーのタイプ(例えば、マイクロ波、又は高周波、又は両方)、処置時間の長さ、処置中に得られる温度範囲(例えば、組織における温度(単数又は複数))、処置を受ける組織領域のタイプ(例えば、肝臓、肺、心臓、腎臓、固形腫瘍等)、組織領域の温度、被験体の年齢、被験体の全体的健康等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態では、標的組織領域の識別には、入力変数(例えば、アブレーションされる組織領域に関連する変数、並びに処置中に使用されるエネルギー供給デバイス及びエネルギーのタイプに関連する変数)に基づく計算が伴う。
【0027】
いくつかの実施形態では、入力された変数情報に基づいて、このような計算で所望の組織領域が処置中に受ける解剖学的変化の量及びタイプを予測する。
【0028】
いくつかの実施形態では、このような計算には、収縮点を判定することと、収縮領域を計算することと、収縮変形を計算することと、かかる収縮変形を適用することと、アブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を生成することと、が伴う。
【0029】
このような評価は、特定のやり方による収縮点の判定及び収縮領域の計算に限定されない。いくつかの実施形態では、この方法は、アブレーション処置中に接触する組織領域(例えば、臓器組織)の総範囲の概算を計算することにより収縮点を判定する。概算は、形態的であってもよく、又は組織及び近接構造の種類に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、組織は収縮点で最も収縮し、その点からの距離及び方向に応じて減少するという知見を利用することにより収縮領域を計算する。このような実施形態では、この方法は、アブレーションされた領域内の1つ以上の収縮点を計算する。この計算は、アブレーションされた領域の形状又はアブレーションプローブの位置決定に基づいてもよい。
【0030】
このような方法は、特定のやり方による収縮変形の計算に限定されない。いくつかの実施形態では、この方法は、収縮の性質によって、収縮領域(単数又は複数)内のあらゆる位置がある程度まで形質転換され、形質転換の量は収縮点からの距離及び方向に応じるという知見を利用する。いくつかの実施形態では、計算された収縮変形は、設定された距離及び方向を含むことができ、又は複数の方向変化に関する複数の距離を含むことができる。この関数は、幾何学的(収縮点からの距離及び方向に基づく)又は物理的(領域内のその位置及び構造における組織の特徴に基づく)であり得る。いくつかの実施形態では、実際の収縮距離は、アブレーション前及びアブレーション後の各収縮点について予測される。いくつかの実施形態では、実際の収縮方向(場合により複数の方向変化を含む)は、アブレーション前及びアブレーション後の各収縮点について予測される。いくつかの実施形態では、実際の収縮距離及び方向(場合により複数の方向変化を含む)の両方が、アブレーション前及びアブレーション後の各収縮点について予測される。例えば、ある収縮点において、収縮距離の量及び方向(場合により複数の方向変化を含む)が測定される。いくつかの実施形態では、プロセッサは、各収縮点の予測される収縮距離及び方向と実際の収縮距離及び方向とを比較するように構成されている。
【0031】
これらの形質転換は、変形グリッド内に格納された変形として記載され得る。各位置における変形は、大きさ及び方向が収縮の特徴を示すベクトルとして記載され得る。例えば、いくつかの実施形態では、変形グリッドの各成分は、収縮点の方向を指すベクトルによって定義することができ、その大きさは、収縮点からの距離の線形関数として定義することができる。
【0032】
このような方法は、特定のやり方による変形の適用に限定されない。いくつかの実施形態では、このプロセスは、変形に記載されているように、収縮の特徴をアブレーションされる組織領域に適用する。アブレーション領域内の各位置において、標的と交差すると判定されると、対応する位置での変形グリッドからの形質転換の量が決定される。いくつかの実施形態では、標的がアブレーション領域と交差しない場合、形質転換の大きさには1つの値(例えば、ゼロ)が適用される。いくつかの実施形態では、アブレーションされる組織領域の寸法は、このような調整に基づいて調整される(例えば、組織領域は、形質転換の方向及び大きさに基づいて新しい位置に形質転換される)。
【0033】
図1は、アブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を生成するのに使用される例示的方法の概略図を示す。分かるように、ストレージデバイス(例えば、コンピュータ)は、アブレーションされる組織領域及び追加の因子に関する情報を受信する。次に、システムは、収縮点を判定し、収縮領域を計算する。次に、判定された収縮点及び計算された収縮領域に基づいて、収縮変形を計算する。最後に、計算された収縮変形に基づいて変形を適用し、アブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を生成する。
【0034】
特定の実施形態では、アブレーションプロセスによって引き起こされる組織収縮を考慮して、所望の組織を切除するアブレーションを行うために、エネルギー供給デバイスが識別された標的組織領域に適切に位置決定されるように、このシステムはエネルギー供給デバイス又はオペレーターと通信する。
【0035】
特定の実施形態では、本発明は、被験体内の組織領域を治療するためのシステムを提供する。いくつかの実施形態では、このようなシステムは、上記のようなプロセッサ(及び関連ソフトウェア)及びエネルギー供給デバイス(単数又は複数)を備える。いくつかの実施形態では、プロセッサは、エネルギー供給デバイスと通信するように構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、エネルギー供給デバイスと通信しているエネルギージェネレーターを更に備える。
【0036】
特定の実施形態では、本発明は、電源、供給電力管理システム(例えば、2つ以上のプローブへの電力供給を制御するパワースプリッター)、プロセッサ、エネルギー放出デバイス(例えば、アブレーションプローブ)、冷却システム、撮像システム、温度管理システム、及び/又は処置監視システムを含む、アブレーションエネルギーを供給するシステムを提供する。
【0037】
特定の実施形態では、プロセッサは更に、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する前の標的組織領域とアブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整する前の標的組織領域との間の距離の差及び方向の差を定量化及び比較するように構成されている。同様に、いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整されていない標的組織領域とアブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域との間の実際の距離の差及び方向の差(例えば、アブレーション処置の前及びアブレーション処置の後)を定量化及び比較するように構成されている。
【0038】
特定の実施形態では、プロセッサは、収縮点に関する情報をユーザに提供する(例えば、プロセッサベースの視覚表示を介して、無線通信を介して等)。例えば、いくつかの実施形態では、組織領域は、処置中の各点(例えば、処置の前、後、及び処置中の任意の点)に関する収縮点並びに計算された収縮点距離及び方向と共に提供される。いくつかの実施形態では、組織領域及び各収縮点の最小及び最大マージン距離並びに方向が提供される。
【0039】
特定の実施形態では、プロセッサは、アブレーション(例えば、収縮後のアブレーション)の前と後の標的組織領域間の最小距離及び最大距離を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、このような測定された距離を使用して、所望のマージンがアブレーション処置中及びその後に達成されるかどうかを判定する。
【0040】
特定の実施形態では、プロセッサは、アブレーション処置中の1つ以上の態様を監視及び/又は制御し、かつ/あるいはそれに関するフィードバックを提供するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサは、アブレーション処置中の各収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向を監視するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、アブレーション処置を停止するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、アブレーション処置中に供給されるエネルギー量を調整する(例えば、上昇させる又は低下させる)ように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、実際のそれぞれの収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、1つ以上の収縮点の収縮点距離及び/又は方向を再計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、1つ以上の収縮点の予測される収縮点距離及び/又は方向が、各収縮点の実際の収縮点距離及び/又は方向と一致しない場合に、新しい収縮点を識別する、並びに/又は1つ以上の既存の収縮点の収縮点距離及び/若しくは方向を再計算するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、組織領域内の予測される温度対実温度の差、エネルギー供給デバイス内の予測される温度対実温度の差等の差に基づいて類似の調整を行うように構成されている。
【0041】
特定の実施形態では、プロセッサは、アブレーション(例えば、収縮後のアブレーション)の前と後の標的組織領域間の最小距離及び最大距離を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、このような測定された距離を使用して、所望のマージンがアブレーション処置中及びその後に達成されるかどうかを判定する。
【0042】
本明細書のシステムは、様々なシステム/キットの実施形態内で組み合わされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、任意の1つ以上の付属コンポーネント(例えば、外科用器具、温度管理デバイス等)と共に、プロセッサを有するコンピュータ、ジェネレーター、配電システム、及びエネルギーアプリケータのうちの1つ以上又は全てを含む。例示的なシステムコンポーネントは、米国特許第7,101,369号、同第9,072,532号、同第9,119,649号、及び同第9,192,438号、並びに米国特許公開第20130116679号に記載されており、それぞれは、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる。
【0043】
本発明のシステムは、組織領域へのエネルギー(例えば、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザー、集束超音波等)の供給を伴う任意の医療処置において用いることができる。
【0044】
システムは、特定のタイプ又は種類の組織領域(例えば、脳、肝臓、心臓、血管、足、肺、骨等)の治療に限定されない。いくつかの実施形態では、システムは、腫瘍領域のアブレーションに使用される。追加の治療としては、心不整脈の治療、腫瘍切除(良性及び悪性)、手術中、外傷後、出血の任意のその他の制御のための出血の制御、軟組織の除去、組織摘出及び採取、静脈瘤の治療、腔内組織切除(例えば、バレット食道及び食道腺癌などの食道病理を治療する)、骨性腫瘍、正常な骨、及び良性骨性病態の治療、眼内用途、整形手術における用途、脳腫瘍及び電気的じょう乱を含む中枢神経系の病理の治療、避妊手術(例えば、卵管の切除)、並びに任意の目的のための血管又は組織の焼灼が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、外科的用途は、切除療法(例えば、凝固壊死を達成する)を含む。いくつかの実施形態では、外科的用途は、例えば、原発性若しくは転移性腫瘍を標的とする腫瘍切除を含む。いくつかの実施形態では、外科的用途は、出血の制御(例えば、電気焼灼)を含む。いくつかの実施形態では、外科的用途は、組織の切断又は除去を含む。
【0045】
エネルギー供給システムは、エネルギーを供給する(例えば、放出する)ように構成された任意のデバイスタイプの使用を想到している(例えば、アブレーションデバイス、手術デバイス等)(例えば、米国特許第7,101,369号、同第7,033,352号、同第6,893,436号、同第6,878,147号、同第6,823,218号、同第6,817,999号、同第6,635,055号、同第6,471,696号、同第6,383,182号、同第6,312,427号、同第6,287,302号、同第6,277,113号、同第6,251,128号、同第6,245,062号、同第6,026,331号、同第6,016,811号、同第5,810,803号、同第5,800,494号、同第5,788,692号、同第5,405,346号、同第4,494,539号、米国特許出願第11/728,460号、同第11/728,457号、同第11/728,428号、同第11/237,136号、同第11/236,985号、同第10/980,699号、同第10/961,994号、同第10/961,761号、同第10/834,802号、同第10/370,179号、同第09/847,181号、英国特許出願第2,406,521号、同第2,388,039号、欧州特許第1395190号、及び国際公開第06/008481号、同第06/002943号、同第05/034783号、同第04/112628号、同第04/033039号、同第04/026122号、同第03/088858号、同第03/039385号、同第95/04385号を参照されたい。それぞれは、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる)。そのような装置は、エネルギー放出のために構成されたありとあらゆる医療用、獣医学、及び研究用のアプリケーション装置、並びに農業環境、製造環境、機械的環境又はエネルギーが送達されるその他の任意の用途で使用される装置を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、エネルギー供給システムは、システムのコンポーネントのうちの1つ以上を監視及び/又は制御し、かつ/あるいはそれに関するフィードバックを提供するプロセッサを利用する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、コンピュータモジュール内に設けられる。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、標的組織のサイズ及び形状、組織領域の温度等挙げられるがこれらに限定されない組織領域の1つ以上の特徴を監視することを通して(例えば、フィードバックシステムを通して)、組織領域に提供されるマイクロ波エネルギーの量を調節するためのソフトウェアを提供する(例えば、米国特許出願第11/728,460号、同第11/728,457号、及び同第11/728,428号を参照されたい。これらの各々をその全体にわたって参照により本明細書に援用する)。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、リアルタイムで情報(例えば、監視情報)を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、エネルギー供給システムと相互作用するように構成されており、それにより組織領域に供給されるエネルギーの量を上昇又は低下させる(例えば、調整する)ことが可能である。いくつかの実施形態では、ソフトウェアは、冷却剤を調節するように設計されている。いくつかの実施形態では、治療される組織のタイプ(例えば、肝臓)は、その特定のタイプの組織領域のために事前に較正された方法に基づいて、プロセッサに組織領域へのエネルギーの供給を調節(例えば、調整)させる目的で、ソフトウェアに入力される。他の実施形態では、プロセッサは、特定のタイプの組織領域に基づいて、システムのユーザに有用な特徴を表示するチャート又は図を生成する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、例えば、高温によって引き起こされる急速なガス放出に起因する組織の亀裂を回避するために電力をゆっくり上昇させる目的で、エネルギー供給アルゴリズムを提供する。いくつかの実施形態では、プロセッサは、ユーザが電力、治療期間、異なる組織タイプに対する異なる治療アルゴリズム、複数のアンテナモードにおけるアンテナへの電力の同時印加、アンテナ間で切り替えられた電力供給、可干渉性及び非干渉性位相整合等を選択することを可能にする。いくつかの実施形態では、プロセッサは、類似の又は異なる患者特性での以前の治療に基づいて、特定の組織領域に対する切除治療に関する情報のデータベース(例えば、特定の患者特徴に基づいて、必要とされるエネルギーレベル、組織領域の治療期間)の形成のために構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサは、遠隔制御によって操作される。
【0047】
いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースソフトウエアは、エネルギー供給システムのコンポーネントを監視及び/又は操作するために提供される。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースソフトウエアは、タッチスクリーンインターフェースによって操作される。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースソフトウエアは、無菌環境(例えば、処置室)内又は非無菌環境内で実行及び操作されてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースソフトウエアは、処置デバイスハブ内で(例えば、プロセッサを介して)実行及び操作される。いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースソフトウエアは、処置カート内で(例えば、プロセッサを介して)実行及び操作される。ユーザーインターフェースソフトウエアは、特定の機能に限定されない。ユーザーインターフェースソフトウエアと関連付けられた機能の例としては、エネルギー供給システム内のコンポーネントごとの使用数を監視すること(例えば、エネルギー供給デバイスの使用回数を監視すること)、各コンポーネント又は各コンポーネント部品のリアルタイム温度を提供及び監視すること(例えば、エネルギー供給デバイスに沿った異なる位置(例えば、ハンドルにて、スティックにて、先端部にて)でのリアルタイム温度を提供すること)(例えば、エネルギー供給システムと関連付けられたケーブルのリアルタイム温度を提供すること)、治療される組織のリアルタイム温度を提供及び監視すること、エネルギー供給システムの一部又は全部を自動停止すること(例えば、緊急停止)、例えば処置の前、処置中、及び処置の後に蓄積されたデータに基づいてレポートを生成すること、ユーザに可聴及び/又は視覚的アラートを提供すること(例えば、処置が開始及び/又は終了したことを示すアラート、温度が異常レベルに達したことを示すアラート、処置の長さがデフォルトを超えていることを示すアラート等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態では、エネルギー供給システムは、撮像デバイスを備える撮像システムを利用する。エネルギー供給システムは、特定のタイプの撮像デバイスに限定されない(例えば、内視鏡デバイス、定位的コンピュータ支援神経外科的ナビゲーションデバイス、熱センサ位置決定システム、運動速度センサ、操縦ワイヤシステム、術中超音波、介在性超音波、マイクロ波撮像、音響トモグラフィー、二重エネルギー撮像、蛍光法、コンピュータトモグラフィー磁気共鳴撮像、核医学撮像デバイス三角測量撮像、熱音響撮像、赤外線及び/又はレーザー撮像、電磁気撮像)(例えば、米国特許第6,817,976号、同第6,577,903号、及び同第5,697,949号、同第5,603,697号、並びに国際公開第06/005,579号を参照されたい。それぞれは、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる)。いくつかの実施形態では、システムは、本発明のエネルギーシステムと共に用いられるアイテムのうちのいずれかの配置、位置決定、及び/又は監視を可能にする又は支援する、内視鏡カメラ、撮像コンポーネント、及び/又はナビゲーションシステムを利用する。
【0049】
いくつかの実施形態では、エネルギー供給システムは、組織領域に供給されるエネルギーの量を調節するための調整素子を利用する。いくつかの実施形態では、調整素子は、システムのユーザによって手動で調節される。いくつかの実施形態では、調整システムは、ユーザがデバイスのエネルギー供給を所望するとおりに調節できるように、エネルギー供給デバイスに組み込まれる(例えば、米国特許第5,957,969号、同第5,405,346号を参照されたい。それぞれは、本明細書において参照によりその全体が組み込まれる)。
【0050】
いくつかの実施形態では、エネルギー供給システムは、エネルギー供給デバイス(例えば、組織切除カテーテル)内及びそれに沿った望ましくない加熱を低減するように、冷却剤システムを利用する。システムは、特定の冷却システム機序に限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態では、エネルギー供給システムは、温度監視システムを利用する。いくつかの実施形態では、温度監視システムを使用して、エネルギー供給デバイスの温度を監視する(例えば、温度センサを用いて)。いくつかの実施形態では、温度監視システムを使用して、組織領域(例えば、治療される組織、周囲組織)の温度を監視する。いくつかの実施形態では、温度監視システムは、温度情報をユーザ又はプロセッサに提供して、プロセッサがシステムを適切に調節することを可能にする目的で、プロセッサと通信するように設計される。
【0052】
システムは、本発明の特徴を直接的又は間接的のいずれかで利用するか又は支援する、1つ以上の追加のコンポーネントを更に用いることができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の監視デバイスを用いて、システムの任意の1つ以上のコンポーネントの機能を監視及び/又は報告する。追加として、本発明のデバイスと併せて直接的又は間接的に用いられ得る任意の医療デバイス又はシステムが、本システムと共に含まれてもよい。そのようなコンポーネントとしては、滅菌システム、デバイス、及びコンポーネント、その他の外科的、診断的、若しくは監視デバイス又はシステム、コンピュータ機器、手引書、説明書、ラベル、並びにガイドライン、ロボット機器等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
このシステムは、特定の用途に限定されない。実際に、本発明のエネルギー供給システムは、エネルギーの放出が適用できる任意の環境において使用するために設計される。そのような使用には、あらゆる医学的、獣医学的、及び研究用途が挙げられる。加えて、本発明のシステム及びデバイスは、農業環境、製造環境、機械環境、又はエネルギーが供給される任意のその他の用途において使用され得る。いくつかの実施形態では、このシステムは、観血手術、経皮、血管内、心臓内、内視鏡、腔内、腹腔鏡、又は外科的エネルギー供給のために構成されている。いくつかの実施形態では、エネルギー供給デバイスは、カテーテルを介して、外科的に作られた開口部を介して、及び/又は身体開口部(例えば、口、耳、鼻、眼、膣、陰茎、肛門)を介して、患者の体内に配置することができる(例えば、N.O.T.E.S.処置)。いくつかの実施形態では、このシステムは、標的組織又は領域へエネルギーを供給するために構成されている。
【0054】
本発明は、標的組織又は領域の性質によって限定されない。用途としては、心不整脈の治療、腫瘍切除(良性及び悪性)、手術中、外傷後、出血の任意のその他の制御のための出血の制御、軟組織の除去、組織摘出及び採取、静脈瘤の治療、腔内組織切除(例えば、バレット食道及び食道腺癌などの食道病理を治療する)、骨性腫瘍、正常な骨、及び良性骨性病態の治療、眼内用途、整形手術における用途、脳腫瘍及び電気的じょう乱を含む中枢神経系の病理の治療、避妊手術(例えば、卵管の切除)、並びに任意の目的のための血管又は組織の焼灼が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、外科的用途は、切除療法(例えば、凝固壊死を達成する)を含む。いくつかの実施形態では、外科的用途は、例えば転移性腫瘍を標的とする腫瘍切除を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、脳、首、胸、腹、及び骨盤が挙げられるがこれらに限定されない任意の所望の位置における、組織又は有機体(organism)に対する最小の損傷での移動及び位置決定のために構成されている。いくつかの実施形態では、システムは、例えば、コンピュータトモグラフィー、超音波、磁気共鳴撮像、蛍光透視等による誘導供給のために構成されている。
【0055】
特定の実施形態では、本発明は、組織領域及び本明細書に記載されているシステム(例えば、エネルギー供給デバイス、及び次のコンポーネントのうちの少なくとも1つ:本発明のアルゴリズムを利用するプロセッサ、電源、温度モニタ、撮像装置、調整システム、及び/又は温度低減システム)を提供することと、予想されたアブレーションに関連した解剖学的変化(例えば、組織収縮)に合わせて調整する標的組織領域を識別及び位置付けることと、組織領域付近にエネルギー供給デバイスの一部を位置決定することと、デバイスで一定量のエネルギーを組織領域に供給することと、を含む、組織領域の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態では、エネルギー供給により、例えば、組織領域及び/若しくは血管の血栓症のアブレーション、並びに/又は組織領域の電気穿孔法が行われる。いくつかの実施形態では、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態では、組織領域は、心臓、肝臓、生殖器、胃、肺、大腸、小腸、脳、首、骨、腎臓、筋肉、腱、血管、前立腺、膀胱、及び脊髄のうちの1つ以上を含む。
【0056】
上記明細に記した全ての刊行物及び特許は、それらの全体が完全に本明細書において参照により組み込まれる。記載された本技術の範囲及び主旨から逸脱することなく、本技術の記載されたコンポジション、方法及び使用の様々な修正及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。本技術は、特定の例示的な実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求される発明はそのような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことを理解されたい。実際には、当業者に明らかである、本発明を実行するための記載された方法の様々な修正は、以下の「特許請求の範囲」の範囲内であることが意図される。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) エネルギー供給デバイス及びプロセッサを備えるシステムであって、前記プロセッサは、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域を識別するように構成されている、システム。
(2) 予想されたアブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された前記標的組織領域を識別することは、
a)前記組織領域及び前記エネルギー供給デバイスに関する情報を受信することと、
b)前記組織領域内の収縮領域を計算することと、
c)前記組織領域内の収縮点を判定することと、
d)前記組織領域内の収縮変形を計算することと、
e)前記計算された収縮変形を適用することと、
f)アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された前記標的組織領域を識別することと、を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサは、前記エネルギー供給デバイスと通信している、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記エネルギー供給デバイスの所望の組織領域への位置決定を誘導するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記所望の組織領域は、前記識別された標的組織領域である、実施態様4に記載のシステム。
【0058】
(6) 前記エネルギー供給デバイスに電気接続された電源を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(7) 収縮変形は、各収縮点の収縮点距離及び収縮点方向を含む、実施態様2に記載のシステム。
(8) 各収縮点の収縮点方向は、1つ以上の方向変化を含む、実施態様7に記載のシステム。
(9) 組織領域をアブレーションする方法であって、実施態様1に記載されているシステムを提供することと、アブレーションに関連した解剖学的変化に合わせて調整された標的組織領域を識別することと、前記識別された標的組織領域で前記エネルギー供給デバイスを位置決定することと、前記組織領域をアブレーションすることと、を含む、方法。
(10) 前記組織領域は、被験体内にある、実施態様9に記載の方法。
【0059】
(11) 前記被験体は、ヒト被験体である、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記アブレーションされた組織領域は、前記識別された標的組織領域に含まれない組織を含まない、実施態様9に記載の方法。
図1