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特許7218448電池セル等のセル状キャビティ内に生じる圧力を減少させるための圧力リリーフ弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-27
(45)【発行日】2023-02-06
(54)【発明の名称】電池セル等のセル状キャビティ内に生じる圧力を減少させるための圧力リリーフ弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/04 20060101AFI20230130BHJP
   H01M 50/333 20210101ALN20230130BHJP
【FI】
F16K17/04 E
F16K17/04 A
H01M50/333
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021547327
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2020051990
(87)【国際公開番号】W WO2020164902
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】102019103431.0
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521355821
【氏名又は名称】ヒューゴ ベンツィング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HUGO BENZING GMBH & CO KG
【住所又は居所原語表記】Daimlerstr. 49/53, 70825 Korntal-Muenchingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイトマン, シュテファン
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016121605(DE,A1)
【文献】実開昭54-115526(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0036025(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107218418(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00-17/168
H01M 50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルのセル状キャビティ内に生じる圧力を低減するための圧力リリーフ弁であって、所定のセル圧力に至るまでハウジング開口部(11)を密封するためのシール(21)を有するカバー(2)を備え、前記ハウジング開口部(11)に前記カバーを保持するための保持装置を備え、前記保持装置は、前記ハウジング開口部(11)に面する前記カバー(2)の下面に取り付けられ、半径方向外向きの複数のばね舌片(220)を有するばねクリップ(22)を有し、前記ばね舌片は、その端部に複数のばね部分(221、222)を備えており、前記ばね部分は、前記カバー(2)が前記ハウジング開口部(11)に押し付けられたときに、前記開口部の縁部を通って半径方向に弾性的に復元することができ、前記ハウジング開口部を通過した後に、前記開口部の縁部の周りの壁領域の下側にスナップ式に戻る圧力リリーフ弁において、
支持装置(201)及び接続アダプタ(203)を備え、
前記支持装置(201)は、取付前において前記カバーとは別個に設けられ、前記ばねクリップ(22)が支持部分(23)を用いて固定されるものであり、前記ハウジング開口部(11)に面する前記カバー(2)の前記下面で前記カバー(2)に接続されており、
前記接続アダプタ(203)は、前記支持装置(201)の中央に接続されており、
前記ばねクリップ(22)の中央開口は、前記接続アダプタ(203)に位置付けられており、
前記支持部分(23)は前記接続アダプタ(203)に接続され、これにより前記ばねクリップ(22)を固定する、ことを特徴とする圧力リリーフ弁。
【請求項2】
前記接続アダプタ(203)は、前記支持装置(201)、前記ばねクリップ(22)及び前記支持部分(23)が前記接続アダプタを用いて互いに対して固定された回転位置に配向されるように設計されている、ことを特徴とする請求項1記載の圧力リリーフ弁。
【請求項3】
前記支持装置(201)及び前記ばねクリップ(22)は、圧力リリーフ弁の軸線方向平面において星形を有しており、2n個のアーム及び2n個のばね舌片(220)を有し、
前記接続アダプタ(203)は軸線方向平面において非円形の形状を有し、且つ前記支持部分(23)はn個のアームを含む星形を有し、
この場合nは正の整数である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の圧力リリーフ弁。
【請求項4】
前記接続アダプタ(203)は、軸線方向平面において角をもつ特にn個の角を含む形状を有する、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項5】
前記支持装置(201)及び前記接続アダプタ(203)は、互いに一体に形成されており、若しくは接着、ラッチ止め又はねじ止めにより統合されて形成されており、
前記接続アダプタ(203)及び前記支持部分(23)は、一緒にラッチ止めまたはねじ止めされている、ことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項6】
前記ばね部分(221、222)は、半径方向に延在する前記ばね部分(221、222)の長手方向部分において、前記カバー(2)から離れる方向にU字状に下方に窪んでおり、
前記圧力リリーフ弁の取付け状態において、前記ばね部分(221、222)それぞれにおける半径方向外側のU字状脚部の自由端は、前記ハウジング開口部(11)の周囲の壁領域に下側で係合する支持面を形成する、ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項7】
前記ばね部分(221)の少なくともいくつかは、取付け状態において前記シール(21)が前記開口部の縁部の周囲における前記壁領域に圧力を加えて保持される程度にまで、前記カバー(2)の下面から離れて位置する、ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項8】
前記ばね部分(222)の別の部分は、取付け状態において前記部分が前記開口部の縁部の周囲における前記壁領域の下面から離れて位置する程度にまで、前記カバー(2)の前記下面から離れて位置する、ことを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項9】
前記カバー(2)の下面からさらに離間して位置する前記ばね部分(222)に接続される前記ばね舌片(220)は、前記支持部分(23)によって下方から支持され及び/又は補強される、ことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項10】
前記ばねクリップ(22)は、前記支持装置(201)の下面における支持構造において支持され且つ位置決めされており、U字形のばね部分(221、222)の窪みに係合する突起及び前記支持構造は、前記半径方向外側のばね部分(221、222)が内側に撓み得るように設計されている、請求項1から9までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項11】
前記カバー(2)は、当該カバーの組立前において別個の部分である2つのカバー部分(20、25)を有するカバーユニットとして用意されており、前記ユニットは、前記ハウジング開口部(11)に面する前記下面に関する第1カバー部分(20)と、前記ハウジング開口部(11)から離れる方向に面する上面において、前記第1カバー部分(20)に接続される第2カバー部分(25)と、を有する、請求項1から10までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項12】
ガス透過性の、少なくとも大部分で水分不透過性の膜(24)が、前記2つのカバー部分(20、25)の間に配置されている、ことを特徴とする請求項11記載の圧力リリーフ弁。
【請求項13】
前記支持装置(201)及び/又は前記第2カバー部分(25)は、前記第1カバー部分(20)に、解除可能にラッチ止め又はねじ止めされ、若しくは、特に溶接又は接着により解除不能に接続されている、ことを特徴とする請求項11又は12記載の圧力リリーフ弁。
【請求項14】
前記膜(24)は前記第1カバー部分(20)に接着又は溶接されており、又は、
前記膜(24)は前記カバー部分(20、25)によって保持されている、ことを特徴とする請求項12記載の圧力リリーフ弁。
【請求項15】
前記膜(24)は、半径方向外側の領域において流体密な手段で前記第1カバー部分(20)に接続されている、ことを特徴とする請求項12記載の圧力リリーフ弁。
【請求項16】
ガス通過のための少なくとも1つの流体通路は、前記カバー部分(20、25)の間に配置された少なくとも1つの流路部分(26)によって形成され、前記流路部分(26)は、一方の側で前記キャビティへの少なくとも1つの開口に接続され、他方の側で前記カバー(2)の周りの外部空間に接続される、ことを特徴とする請求項11から15までのいずれか一項記載の圧力リリーフ弁。
【請求項17】
数の流路部分(26)が存在しており、
前記流路部分(26)は、前記カバー部分(20、25)の窪みによって又はスペーサ(28)及びスペーサ(27)によって、前記ハウジング開口部(11)から離れる方向に面する前記第1カバー部分(20)の上面、および/または、前記ハウジング開口部(11)に面する前記第2カバー部分(25)の下面で画定されており、前記スペーサ(28)は、前記第1カバー部分(20)の上面及び前記第2カバー部分(25)の下面に配置され、前記第1カバー部分(20)の上面及び前記第2カバー部分(25)の下面と一体に形成され、前記スペーサ(27)は、前記第1カバー部分(20)及び/又は前記第2カバー部分(25)の半径方向外側面に配置され、それらと一体に形成されている、ことを特徴とする請求項16記載の圧力リリーフ弁。
【請求項18】
異なる高さから成る少なくとも二つの支持装置(201)であって接続アダプタ(203)を有する支持装置(201)と、少なくとも一つのばねクリップ(22)と、少なくとも一つの支持部分(23)と、少なくとも一つの組み立てられたカバー(2)と、を含む、ことを特徴とする請求項1から17までのいずか一項記載の圧力リリーフ弁を構成する組立てキット。
【請求項19】
請求項1から17までのいずれか一項記載の少なくとも一つの圧力リリーフ弁を有し、少なくとも一つのセル状キャビティ、特にバッテリ又は充電可能なバッテリを含む容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル等のセル状キャビティ内に生じる圧力を減少させるための圧力リリーフ弁に関し、当該圧力リリーフ弁は、所定のセル圧力に至るまでハウジング開口部を密封するためのシールを有するカバーを備え、当該ハウジング開口部に上記カバーを保持するための保持装置を備える。当該保持装置は、ハウジング開口部に面するカバーの下面に取り付けられ、半径方向外向きの複数のばね舌片を含むばねクリップを有する。ばね舌片はその端部にばね部分を備えており、当該ばね部分は、カバーがハウジング開口部に押し付けられたときに、開口縁部を通って半径方向に弾性的に復元することができ、ハウジング開口部を通過した後に、開口縁部の周りの壁領域の下にスナップ式に戻る。
【0002】
また、本発明は、圧力リリーフ弁と、このような圧力リリーフ弁を有するセル状キャビティを備える容器とを組み立てるための組立キットに関する。
【背景技術】
【0003】
DE102016121605A1は、電池セル等のセル状キャビティ内に生じる圧力を減少させるために使用される圧力リリーフ弁を明示している。カバーはカバー部分を備え、当該カバー部分は、所定のセル圧力に至るまでハウジング開口部を密封するためのシールを有し、ハウジング開口部に当該カバーを保持するための保持装置を備える。確実に機能する有利なタイプの取付けは、ばねクリップを有する保持装置によって達成される。当該ばねクリップは、ハウジング開口部に面するカバー部分の下面に取り付けられ、かつ、半径方向外向きの複数のばね舌片を有する。ばね舌片の端部にばね部分が設けられており、当該ばね部分は、カバーがハウジング開口部に押し付けられたときに、開口縁部を通って半径方向に弾性的に復元することができ、ハウジング開口部を通過した後に、開口縁部の周りの壁領域の下にスナップ式に戻ることができる
【0004】
圧力リリーフ弁は、同様にDE102014111041A1に規定されている。この公知の圧力リリーフ弁では、特に自動車のバッテリのハウジングに関連してガス抜き弁が形成されており、当該ガス抜き弁の膜は、所定の押圧力を有する締結フレームによって支持要素に対して押圧されている。所定の解放力になると当該膜は支持要素から分離し、ハウジングの内部とハウジングの周囲との間の流体通路を解放する。ガス抜き弁は、支持要素の方向に締結フレームを押圧するために、少なくとも1つのばね要素を有する。ガス抜き弁は、ハウジング本体によってハウジングの開口部に固定され、ナットによってハウジングに取り付けられる。
【0005】
バッテリハウジング用のさらなる圧力リリーフカバーがDE10201301668A1に開示されている。圧力リリーフカバーは、弁本体と少なくとも1つのばね要素とを備え、当該弁本体は、バッテリハウジングの内圧が上昇するときにばね力に抗して持ち上げられ、内圧が低下するときにばね力によって閉鎖位置に移動される。
【0006】
DE102015011663A1には非常時ガス抜き装置に関連する圧力リリーフ弁が開示されており、ハウジング開口部はハウジング内部の昇圧下で変形するカバー部によって覆われており、変形を表示するための調節可能な表示構成要素が設けられ、この構成要素はカバー部に接触している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が対処する課題は、最初に述べたタイプの圧力リリーフ弁を設けることであり、これは、信頼性をもって機能しながら単純に組み立てることができ、かつその壁が異なる肉厚を有し得る電池セル等のセル状キャビティの開口部に取り付けることができる。また、このような圧力リリーフ弁と、過度の圧力上昇に対して保護されたセル状の中空本体を有する容器とを組み立てる組立キットを設けることである。
【0008】
この課題は請求項1の特徴によって解決される。この場合、取付け前においてカバーとは別個であり、ばねクリップが支持部分によって固定される支持装置が、ハウジング開口部に面するカバーの下面でカバーに接続されており、接続アダプタが支持装置の中央に接続されており、ばねクリップの中央開口が接続アダプタに配置され、支持部分が接続アダプタに接続され、したがってばねクリップが固定される。
【0009】
このように構成された圧力リリーフ弁は少ない部品で構成されており、電池セル等のセル状キャビティの開口部に、外部から押圧されて単純に取り付けることができる。特に、開口部の縁部周りの異なる肉厚への簡単な適応が、一貫して良好な機能性を持って可能である。当該肉厚に応じて、当該肉厚に適合する支持装置のみを使用する必要があり、圧力リリーフ弁の他の部分は変更しないことができる。固定された後、シールを有するカバー部分は、電池セルの内圧が所定の圧力閾値を超えると開口部の縁部周囲の壁領域の外面から持ち上がり、圧力閾値は、ばね舌片のばね力によって予め決定することが可能である。電池セルの内圧が所定の圧力閾値未満であるか、またはセル内の圧力減少後に再び減少する限り、シールを有するカバー部分は、ばね舌片のばね力によって、開口部の縁部周囲の壁領域に(再び)押し付けられる。圧力閾値は比較的低く設定することができ、例えば、1バール未満、例えば、10分の1バールの範囲で設定することができる。バッテリまたは再充電可能バッテリセルに加えて、圧力が蓄積し得る密閉容器のような他のセル状キャビティでも使用が可能であり、このような密閉容器は、航空機内の貯蔵容器のような破裂の危険の要因となる。
【0010】
取付けのために特に好都合な実施形態では、接続アダプタは、支持装置、ばねクリップ、および支持部分が当該接続アダプタによって、固定された回転位置で互いに対して配向されるように設計される。これにより、開口縁部の周りの壁領域の下面から離間されたばね部分がばね舌片とともに支持部分によって支持され、ガスが過剰圧力下で解放されたときにカバーがハウジング開口部に保持されることが保証される。
【0011】
取付けおよび機能に関して特に有利な追加の実施形態では、支持装置およびばねクリップが軸線方向平面において星形を有し、2n個のアームおよび2n個のばね舌片を有し、接続アダプタは軸線方向平面において非円形の形状を有し、支持部分はn個のアームを含む星形を有し、この場合nは正の整数である。その結果、支持装置、ばねクリップ及び支持部分の互いに対する明確な回転位置が予め決定される。
【0012】
製造に関して特に有利な実施形態は、接続アダプタが軸線方向平面において、特にn個の角を含む角度付き形状を有することを含む。
【0013】
製造および取付けに関して特に有利な一実施形態の変形例では、支持装置および接続アダプタは、互いに一体に形成されるか、または(例えば、接着、溶接によって)一体的に結合されるかまたはラッチ止めまたはねじ止めされ、接続アダプタおよび支持部分はラッチ止めまたはねじ止めされる。
【0014】
取付け及び機能に関し以下の手段、即ち、ばね部が半径方向に延びるその長手方向部分においてU字形にカバーから離れるように下方に窪んでおり、圧力リリーフ弁の取付け状態において、ばね部の半径方向外側のU字状脚部の自由縁部がそれぞれ、ハウジング開口部の周りの壁領域の下側に係合する支持面を形成すること、が有利である。U字形の窪みは、自由な外側脚部をもたらし、この外側脚部は取付け中に、開口縁部を通って半径方向内向きに弾性的に撓んで、次いで、半径方向外向きに復元することができる。
【0015】
構造および機能にとって有利な一実施形態では、ばね部の少なくとも一部が、取付け状態においてシールが開口縁部の周囲の壁領域の上面に圧力を受けて保持されるような程度に、カバー部の下面から離間されているという点で構成される。
【0016】
さらなる実施形態の変形例では、ばね部の別の部分が、取付け状態において当該部分が開口縁部の周りの壁領域の下面から離間するような範囲でカバー部の下面から離間されていることが好ましい。これにより、圧力リリーフ弁が過剰な圧力下でハウジング開口部の領域から不用意に遠ざかることが防止される。カバー部の下面から更に離れ、従って、ハウジング開口部の周囲の壁領域の下面から離れている付加的なばね部分の端部は、所定の圧力閾値を超えると、開口部の周囲の壁領域からカバー部が妨げられることなく持ち上がる結果となるが、その後、開口部の領域からの圧力リリーフ弁が意図せず完全に外れることを防止する。
【0017】
この場合、機能にとって好都合な1つの実施形態は、カバー部の下面からさらに離間されたばね部に接続されたばね舌片が、同様にカバー部の下面に取り付けられた支持部分によって、下側から支持されかつ/または補強されることにある。その結果、別のばね部に属するばね舌片は、弾性的に撓んで戻ることが阻止される。
【0018】
本発明の一実施形態は、ばねクリップが支持装置の下面の支持構造に支持され、配置され、U字形状のばね部分の窪みに係合する突起及び支持構造が、半径方向外側のばね部が内側に撓み得るように設計される点で、機能に関して有利である。
【0019】
取付けのために有利な更なる手段は、カバーが、当該カバーの組立ての前に別個である2つのカバー部分を有するカバーユニットとして用意され、このユニットはハウジング開口部に面する下面に第1カバー部分を有し、第1カバー部分に接続され、ハウジング開口部から離れる方向に面する上面に第2カバー部分を有することである。
【0020】
この機能にとっても有利な実施形態は、ガス透過性の、少なくとも大部分において水分不透過性の膜が2つのカバー部分の間に配置されることにある。
【0021】
取付けおよび機能に有利なさらなる実施形態では、支持装置および/または第2カバー部がラッチ止めまたはねじ止めによって第1カバー部分に解除可能に接続されるか、または特に溶接または接着によって第1カバー部分に解除不能に接続される。
【0022】
取付けにも有利な実施形態は、膜が第1カバー部分に接着または溶接されること、または膜がカバー部分によって、例えばクランプによって保持されることを提供する。
【0023】
機能にとって有利である本発明のさらなる実施形態では、膜は半径方向外側の領域において流体密封な手段で第1カバー部分に接続される。
【0024】
機能にとって有利な別の実施形態では、ガスの通過のための少なくとも1つの流路がカバー部分の間に配置された少なくとも1つの流路部分によって形成され、この流路部分は膜の介在により、一方の側でキャビティへの少なくとも1つの開口部に接続され、他方の側でカバーの周りの外側空間に接続される。
【0025】
特に好ましい実施形態では複数の流路部分が存在し、流路部分は、カバー部分の窪みによって、またはカバー部分に配置されそれと一体に形成されるスペーサ、及び第1カバー部分および/または第2カバー部分の半径方向外面に配置されそれと一体に形成されるスペーサによって、ハウジング開口部から離れる方向に面する第1カバー部分の上面、および/または、ハウジング開口部に面する第2カバー部分の下面に画定される。
【0026】
さらに、本発明の主題は圧力リリーフ弁を構成するための組立キットであり、この組立キットには、接続アダプタを有する異なる高さの少なくとも2つの支持装置、少なくとも1つのばねクリップ、少なくとも1つの支持部分、および少なくとも1つの選択的に組み立て済みのカバーが設けられている。
【0027】
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つのセル状キャビティと、上述のように設計された少なくとも1つの圧力リリーフ弁とを含む容器でもある。
【0028】
本発明は、実施形態に基づいて且つ図面を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、圧力リリーフ弁の分解斜視図である。
図2a図2aは、ハウジング開口部に取り付けられた図1による圧力リリーフ弁の斜視断面図である。
図2b図2bは、ハウジング開口部に取り付けられた図1による圧力リリーフ弁の斜視断面図である。
図2c図2cは、ハウジング開口部に取り付けられた図1による圧力リリーフ弁の斜視断面図である。
図2d図2dは、ハウジング開口部に取り付けられた図1による圧力リリーフ弁の斜視断面図である。
図3図1による取付けられた圧力リリーフ弁を備えたハウジング開口部の下面の斜視平面図であり、
図4】ハウジング開口部に挿入された図1による圧力リリーフ弁の断面図であり、膜を通るガス交換を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は圧力リリーフ弁の分解斜視図であり、当該圧力リリーフ弁は、複数の構成要素、すなわち、第1カバー部分20、第2カバー部分25、及び2つのカバー部分20、25の間に配置された少なくとも大部分が水分不透過性の気体透過性膜24を有する複合カバー2と、接続アダプタ203が接続された別個の貯蔵装置201と、ばねクリップ22と、支持部分23とを有する。
【0031】
図2a~図2dは、ハウジング壁10に設けられたハウジング開口部11とハウジング開口部11に挿入された圧力リリーフ弁とを有する電池セル等のセル状キャビティのハウジング1の断面をハウジング壁10の上方から斜めに見た斜視図(図2a)、ハウジング壁10の側面図(図2b)、例えば図2bと比較して60°回転した側面図(図2c)、及びハウジング1の下面又は内部から斜めに見た斜視図(図2d)を示す。
【0032】
この場合、圧力リリーフ弁は、ハウジング壁10の上面においてハウジング開口部11の縁部周りにシール21を介して第1カバー部分20と共に載置され、当該第1カバー部分20は第2カバー部分25に接続される。カバー2の製造工程中または組立前に、カバー部分20、25の接続前に、膜24がカバー部分20、25の間に導入され、当該膜は、第1カバー部分20に接着または溶接されるか、若しくはカバー部分20、25によって例えばクランプされて保持される。膜24は、有利には円周方向において第1カバー部分20に、半径方向外側領域において流体密に接続されている。ガス通過のための少なくとも1つの通路は、カバー部分20、25の間に配置された少なくとも1つの流路部分26によって形成され、当該流路部分26は、一方の側でキャビティへの少なくとも1つの開口に接続され、他方の側でカバーの周りの外部空間に接続される。円周方向に互いにオフセットされた複数の流路部分26が存在することが好ましい。流路部分26は例えば、スペーサ27、28によって画定されており、当該スペーサ27、28は、ハウジング開口部11から離れる方向に面する第1カバー部分20の上面、および/または、ハウジング開口部11に面する第2カバー部分25の下面、ならびに第1カバー部分20および/または第2カバー部分25の半径方向外側面に配置され、それらと一体に形成される。しかしながら、流路部分はまた、第1カバー部分20の上面および/または第2カバー部分25の下面の窪みによって、ならびに第1カバー部分20および/または第2カバー部分25の半径方向外側面に配置されそれと一体に形成されるスペーサ27、28によって画定されてもよく、第1カバー部分20および第2カバー部分25もまた、互いに直接重なり合うことが可能である。
【0033】
取付け前にカバーから分離されている支持装置201は、ハウジング開口部11に面するカバー2の面、特にその第1カバー部分20に接続されており、接続アダプタ203は支持装置201の中央に接続されている。接続アダプタ203および支持部分23に配置されたばねクリップ22の中央開口部は、接続アダプタ203に接続され、したがってばねクリップ22を固定し、その結果、それらの間に配置されたばねクリップ22は支持装置201に固定される。この場合、貯蔵装置201に対する第1カバー部分20の接続は、有利には例えばラッチ止め又はねじ止めによって解除可能に、若しくは例えば溶接又は接着によって解除不能に確立される。支持装置201と接続アダプタ203とが互いに一体に形成されているか、または取付けられた状態で互いに係止またはねじ止めされており、接続アダプタ203と支持部分23とが同様に互いに係止またはねじ止めされていると、特に有利である。
【0034】
ばねクリップ22は好ましくは金属から成り、半径方向外方に延在する複数のばね舌片220、具体的には図示の実施形態では6つのばね舌片220を有する。ばね舌片の端部は、U字状に、即ちカバー2特に第1カバー部分20から離れて下方に窪んでいるばね部221、222に移行しており、その半径方向外側の自由ばね脚部又は縁部は、装着された状態でハウジング開口部11の開口縁部の周囲の壁領域の下側に係合する。3つのばね舌片220が支持部分23によって支持されており、その結果、これらは実用上、弾性的に下方に撓み得ないが、残りの3つの弾性舌片220は下方に露出されており、弾性的に撓み得る。図示の実施形態では、ばね舌片220は円周方向に等しい角度間隔で分布されており、下方に露出したばね舌片220は、支持部分23によって下方から支持されるばね舌片と交互に、すなわち、円周方向に個々のばね舌片220の間で60度の角度距離が結果として生じる。例えば、交互に露出され且つ支持される6個より多くのばね舌片220を設けることもできる。
【0035】
支持部分23によって支持されたばね舌片220、又は支持部分23によって覆われていないばね舌片220のU字形端部も同様に露出しており、その結果、圧力リリーフ弁が上方からハウジング開口部11内に押圧されたときに、半径方向外側のU字形脚部が内側に撓むことができ、半径方向外側のU字形脚部の周りの外周はその自由端の領域において、関連するハウジング開口部11の円周よりもわずかに大きい。さらに、ばね部分221、222の半径方向外側のU字形脚部の自由端は、カバー部分20の下面およびその上に載っているシール21から遠く離れているので、外側脚部は、ハウジング開口部11を通過した後、壁領域の下側で開口縁部の周りにスナップ式に戻ることができる。
【0036】
図2c、図2dおよび図3からより詳細に理解されるように、外側U字脚の自由端と第1カバー部分20の下面との間の距離は、支持されていないばね舌片220の場合の方が支持部分23によって支持されているばね舌片220の場合よりも小さい。これは、支持されていないばね舌片220のU字形脚部が長いばね部分221を形成し、支持されたばね舌片220の外側U字形脚部が短いばね部分222を形成することを意味する。長いばね部分221は、カバー部分20及び僅かに圧縮されたシール21が押圧状態にある場合に、支持面として形成された長いばね部分221の自由端がハウジング開口部11の開口縁部の周りの壁領域の下面で張力を受けて支持されるように寸法決めされている。長いばね部分221を開口縁部の周りの壁領域の下側にスナップ止めするために、第1カバー部分20は、弾性材料からなるシール21が再び膨張し且つそのシール機能を果たすのに十分な張力を維持するように十分に変形するまで、開口縁部の周りの壁領域の上面(外面)に押し付けられる。
【0037】
これに対し、圧力リリーフ弁が取付けられた状態において、短いばね部222の自由端領域は、開口縁部の周辺の壁領域の下面から距離aだけ離れている(図2c)。露出されたばね舌片220によって予め定められた圧力閾値をセル内圧が超えた場合、シール21を備えたカバー2または第1カバー部分20は、ハウジング開口部11の周りの壁領域の上面から持ち上がり、セル内の内部圧力が減少するようになっている。圧力リリーフ弁2がハウジング開口部11の領域から外に移動しないようにするため、短いばね部222は開口縁部周辺の下壁領域から十分な距離を確保するように設けられており、これにより、セルの内部圧力が高い場合でも、それに応じた大きさの通気用隙間によって確実な減圧が保証されているが、ハウジング開口部11の領域にカバーが保持されていることから、短いばね部222に属するばね舌片220は、支持部分23によって下向きに弾性的に撓まないようにされ、この支持部分によって支えられかつ/または補強されている。
【0038】
ばねクリップ22は有利に支持され、したがって、支持装置201の下面の支持構造202にも配置され、U字形ばね部分221、222の窪みに突起が係合するものの、半径方向外側のU字形脚部が内側に撓むために十分なクリアランスが設けられている。図2a~図2dおよび図3から分かるように、ばねクリップ22の中央開口部は、支持装置201の中央に配置された接続アダプタ203上に配置され、ばねクリップは比較的剛性の高い支持部分23によって上記アダプタに接続される。
【0039】
接続アダプタ203は、支持装置201、ばねクリップ22、および支持部分23が当該接続アダプタによって、固定された回転位置で互いに対して配向されるように設計される。支持装置201及びばねクリップ22は有利には軸方向平面図において星形を有し、2n個のアームおよび2n個のばね舌片220を有し、接続アダプタ203は軸方向平面図において非円形の形状を有し、支持部分23はn個のアームを有する星形を有し、この場合nは正の整数である。接続アダプタ203は例えば、角度のある、楕円形の、または突出部を備えた形状を有することができ、その結果、前述の部品の互いに対する明確な回転位置が保証される。接続アダプタ203が軸方向平面図において角度のある形状を有し、n個の角を有する実施形態は特に有利である。
【0040】
図4は、圧力リリーフ弁の圧力閾値未満で、すなわちカバー2が持ち上げられていないときに、膜24によって可能にされるガス交換を概略的に示す。水分または他の微細な異物粒子は、膜24を通ってセルに浸透することができない。圧力リリーフ弁が始動されると、シール21とハウジング開口部11との間のセルから流出するガスの過剰圧力によって、このような浸透は少なくとも大幅に防止される。
【0041】
上述し、図面に示される設計は、確実に機能する有利なタイプの取り付けをもたらす。
【0042】
少なくとも2つの支持装置201および/または、できる限り異なる高さの接続アダプタ203を使用することによって、圧力リリーフ弁は、ハウジング開口部11の周りのハウジング壁の異なる肉厚に対するアセンブリキットとして、有利にはモジュール形式で構成され、使用され得る。このキットは、少なくとも1つのばねクリップ22、少なくとも1つの支持部分23およびカバー2を追加的に備え、これは任意的に既に組み立てられている。
【0043】
圧力リリーフ弁は、少なくとも1つのセル状キャビティ、特にバッテリまたは充電式バッテリを備える容器内で使用される。バッテリまたは蓄電セルに加えて、他のセル状キャビティ、例えば圧力が蓄積し、破裂の危険を引き起こす密閉容器、例えば航空機の貯蔵容器においても使用が可能である。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4