IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 協立化学産業株式会社の特許一覧

特許7218485光硬化性樹脂組成物の製造方法、光硬化性樹脂組成物、接着剤組成物、複合構造物並びに複合構造物の製造方法及び解体方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物の製造方法、光硬化性樹脂組成物、接着剤組成物、複合構造物並びに複合構造物の製造方法及び解体方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/40 20060101AFI20230131BHJP
   C08F 2/00 20060101ALI20230131BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20230131BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20230131BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20230131BHJP
   C09J 7/20 20180101ALI20230131BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230131BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C08F2/40
C08F2/00 A
C08F290/00
C09J4/00
C09J4/02
C09J7/20
C09J11/06
C09J133/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2015178347
(22)【出願日】2015-09-10
(65)【公開番号】P2017052885
(43)【公開日】2017-03-16
【審査請求日】2018-03-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(72)【発明者】
【氏名】金子 聖
(72)【発明者】
【氏名】片上 英治
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】細井 龍史
【審判官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520787(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063616(WO,A1)
【文献】特開2003-95702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-2/48
C08F290/00
C09J1/00-5/10
C09J9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
光硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
化合物A、B、C及びDを配合してなる光硬化性樹脂組成物であって、
前記化合物Aは、4官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Bは、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Cは、光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Dは、反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
前記化合物Dが、樹脂系可塑剤及び/又はオイル系可塑剤(但し、前記化合物Dは脂肪族アルコール、アルコキシル化脂肪族アルコール、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、パラフィン並びにポリエチレンワックス及び不飽和油のビニルエスエルを含まない)であり、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、前記化合物Dの配合量が5~1000質量部であり、
前記光硬化性樹脂組成物は、下記溶剤溶解テストにおいて、レベル2と判定され、
前記光硬化性樹脂組成物を含む接着剤組成物が硬化して接着された部材を含む複合構造物中の、光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法で使用される光硬化性樹脂組成物(但し、前記複合構造物の解体方法において、前記部材がそれぞれが電極を備える2つの回路基板で構成され、前記2つの回路基板が前記接着剤組成物が硬化して接着されることで、前記2つの回路基板の電極間が電気的に導通された前記部材を含む複合構造物の解体方法を除く)

前記光硬化性樹脂組成物に紫外線を照射して得た前記光硬化性樹脂組成物の光硬化体0.02gにアセトンを0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト(但し、前記紫外線の光量は、前記光硬化性樹脂組成物を、幅20長さ20mm、厚さ0.5mmになるように透明なスライドガラス(松浪ガラス社製S1127)と透明なPETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)で挟み込んで得た、前記スライドガラスと前記光硬化性樹脂組成物と前記PETフィルムで構成された積層体の紫外線照射後の光硬化後積層体に対して、紫外線照射ミネベア社製引張試験機(テクノグラフTG-2kN)で、前記PETフィルムのせん断方向に、前記スライドガラスと前記PETフィルムをそれぞれ逆方向に、100mm/分の速度で引っ張り、検出された応力が1N以上になる、100mJ/cm 以上の光量であるとする)。
【請求項3】
請求項2記載の光硬化性樹脂組成物を配合してなる接着剤組成物。
【請求項4】
部材1及び部材2を含む複合構造物であって、
部材1及び部材2が請求項3記載の接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合
構造物。
【請求項5】
前記部材1及び前記部材2がプレートであり、
前記複合構造物が、前記部材1及び前記部材2が前記接着剤組成物の光硬化体を介して
接着してなる、前記部材1及び前記部材2の積層体である請求項4記載の複合構造物。
【請求項6】
部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
請求項4又は5記載の複合構造物における接着剤組成物の光硬化体に請求項1記載の溶剤を接触させて、前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法。
【請求項7】
前記接着剤組成物の硬化体に請求項1記載の溶剤を接触させて前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除して、前記部材1と前記部材2とを離隔する、請求項4又は5記載の複合構造物の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性樹脂組成物の製造方法、前記製造方法で得られる光硬化性樹脂組成物、前記光硬化性樹脂組成物を含有する接着剤組成物、前記接着剤組成物が使用されている複合構造物並びに前記複合構造物の製造方法及び解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示体及び光学レンズ等の光学系デバイスの構成部材や、電子ペーパ及び電池等の電子系デバイスの構成部材を接着剤で固定し、場合により、その固定を解除できるようにすることを要請される場合がある。
【0003】
その要請に対して、従来は、固定部分の硬化した接着剤を、溶剤を接触させて膨潤させたり、水に浸漬して硬化した接着剤を部材から剥離させたりする方法がとられていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-100831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されているような従来の接着剤の硬化体は、溶剤や水に接触させても固体状態で残存するため、部材の結合を解除できても、一度硬化した接着剤を除去することは容易ではなかった。
【0006】
本発明は、
光硬化体が溶剤で溶解する光硬化性組成物、
前記光硬化性組成物を含む、光硬化体が溶剤で溶解する接着剤組成物、
前記接着剤組成物で接着された部材を含む複合構造物及びその製造方法、並びに、
光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
〔1〕(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
光硬化性樹脂組成物の製造方法、
〔2〕前項〔1〕記載の光硬化性樹脂組成物の製造方法で得られる光硬化性樹脂組成物、
〔3〕前項〔2〕記載の光硬化性樹脂組成物を配合してなる接着剤組成物。
〔4〕部材1及び部材2を含む複合構造物であって、
部材1及び部材2前項〔3〕記載の接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合構造物、
〔5〕部材1及び部材2を含む複合構造物の製造方法であって、
前項〔4〕記載の複合構造物における接着剤組成物の光硬化体に前項〔1〕記載の溶剤を接触させて、前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法。
〔6〕前記接着剤組成物の硬化体に前項〔1〕記載の溶剤を接触させて前記部材1及び前記部材2の前記接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除して、前記部材1と前記部材2とを離隔する、前項〔4〕記載の複合構造物の解体方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、
光硬化体が溶剤で溶解する光硬化性組成物、
前記光硬化性組成物を含む、光硬化体が溶剤で溶解する接着剤組成物、
前記接着剤組成物で接着された部材を含む複合構造物及びその製造方法、並びに、
光硬化した接着剤組成物を溶剤に接触して除去する前記複合構造物の解体方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔光硬化性樹脂組成物の製造方法〕
本発明の光硬化性樹脂組成物(以下、光硬化性樹脂組成物)は、
以下の本発明の光硬化性樹脂組成物の製造方法(以下、組成物製造方法ともいう):
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる光硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
前記(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物A、
前記(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物B、
前記光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物C、並びに、
前記反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物Dを選択する工程1、
前記化合物A~Dの配合量を調整する工程2、
配合量が調整された前記化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る工程3、
前記配合組成物に紫外線を照射して光硬化体を得る工程4、
及び、
前記光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の状態を目視で確認し、
前記光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
前記光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う工程5を含み、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
前記溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの前記配合組成物を前記製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とし、
前記光硬化性樹脂組成物中において、
前記化合物A100質量部に対して、
前記化合物Bの配合量が1~1000質量部であり、
前記化合物A及び前記化合物Bの合計100質量部に対して、
前記化合物Cの配合量が0.1~100質量部であり、
前記化合物Dの配合量が0~1000質量部である、
組成物製造方法で得ることができる。
【0010】
(1)工程1
化合物A~Dは、工程2及び3でこれらの配合量を調整して得られる配合組成物を、工程4で光硬化体にしたときに、光硬化体が、工程5の溶剤溶解テストでレベル2と判定されることに向けて、工程1で選択される。
【0011】
以下では、工程5の溶剤溶解テストで示す光硬化体がレベル2と判定されることを光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性ともいう。
【0012】
(1-1)化合物A
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Aは、
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0013】
なお、(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、光硬化性樹脂組成物の速硬性及び低硬化収縮性を両立する観点から、重量平均分子量が、好ましくは1000~100000、より好ましくは2000~70000、更に好ましくは5000~50000である。
【0014】
なお、重量平均分子量は、GPCに基づいて測定されたものであり、好ましくは、以下の条件で測定される:
測定装置:島津製作所社製GPCシステム;
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製);
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)。
【0015】
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Aは、光硬化性樹脂組成物の光硬化体の架橋密度が低くなるように選ぶとよく、
好ましくは、4官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
より好ましくは、3官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、2官能以下の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、少なくとも2官能の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物を含む。
【0016】
化合物Aとしては、速硬性及び低硬化収縮性を両立する観点から、好ましくはポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(メタ)アクリレート及びポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種を骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の少なくとも1種を含む。
【0017】
ポリイソプレンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、(メタ)アクリル変性ポリイソプレンとも呼ばれる。ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の重量平均分子量は、好ましくは1000~100000であり、より好ましくは10000~60000である。
ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、クラレ社製の「UC-203」(重量平均分子量25000)が挙げられる。
【0018】
ポリブタジエンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、(メタ)アクリル変性ポリブタジエンとも呼ばれる。ポリブタジエンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の重量平均分子量は、好ましくは500~100000であり、より好ましくは1000~60000である。
ポリブタジエンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、日本曹達社製の「TE2000」(重量平均分子量2000)が挙げられる。
【0019】
ポリ(メタ)アクリレートを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、(メタ)アクリル変性ポリ(メタ)アクリレートとも呼ばれる。ポリ(メタ)アクリレートを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の重量平均分子量は、好ましくは1000~100000であり、より好ましくは2000~60000である。
ポリ(メタ)アクリレートを骨格にもつ(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、東亞合成社製の「AB-6」(重量平均分子量6000)が挙げられる。
【0020】
ポリウレタンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、(メタ)アクリル変性ポリウレタンとも呼ばれる。ポリウレタンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の重量平均分子量は、好ましくは1000~100000であり、より好ましくは10000~60000である。
ポリウレタンを骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の市販品として、例えば、根上工業社製の「UN-7700」が挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、これらの中でも、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を骨格に含む(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物が特に好ましい。
【0022】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることによって得られる。
【0023】
多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、前記多価アルコールとε-カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6- ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ビスフェノールA 等)等が挙げられる。
【0024】
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、以下の反応により得られる。
即ち、多価アルコールにその水酸基1当量当りイソシアネート基が好ましくは1.1~2.0当量になるように有機ポリイソシアネートを混合し、反応温度を好ましくは70~90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで得られたウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量当り、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1~1.5当量となるように混合し、好ましくは70~90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
【0027】
(1-2)化合物B
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Bは、
(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0028】
光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Bは、光硬化性樹脂組成物の光硬化体の架橋密度が低くなるように選ぶとよい。
【0029】
低架橋密度の観点から、(メタ)アクリレートモノマー化合物としては、
好ましくは、4官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
より好ましくは、3官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、2官能以下の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
更に好ましくは、単官能の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0030】
同様の観点から、化合物Bは、単官能の(メタ)アクリレートモノマー化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。
【0031】
化合物Bとしては、具体的には、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ置換アルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート又はC2-10アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート;
ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルネン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環構造含有(メタ)アクリレート;
グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート;2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート;
2-(1,2-シクロヘキサンジカルボキシイミド)エチルアクリレート、ピペリジニル(メタ)アクリレート、アルキルピペリジニル(メタ)アクリレート(ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレートなど)、モルホリノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどのヘテロ環式(メタ)アクリレート;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;
2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;
アクリロイルモルフォリン、ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド等のアミド化合物;
N-ビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニル複素環化合物;などが好ましく、
ヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート、炭素数2~10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート、アクリルアミド化合物がより好ましく、
ヒドロキシC2-10アルキル(メタ)アクリレート及び/又は炭素数2~10のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0032】
(1-3)化合物C
化合物Cは、光重合開始剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
化合物Cとしては、ラジカル光重合開始剤及び/又はカチオン光重合開始剤が好ましい。
ラジカル光重合開始剤は、化合物A及び化合物Bにおけるアクリレート部位の硬化に利用され、カチオン光重合開始剤は末端SiOHの脱水縮合反応を促進させ、かつ、エポキシ部のカチオン重合にも利用される。
【0033】
ラジカル光重合開始剤としては、光励起によってラジカル重合を開始できる機能を有するものであり、例えばモノカルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アシルフォスフィンオキシド化合物、アミノカルボニル化合物などが挙げられる。
【0034】
ラジカル光重合開始剤としては、紫外線重合開始剤や可視光重合開始剤等が挙げられ、
紫外線重合開始剤としては、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、及びアセトフェノン系等が挙げられ、
可視光重合開始剤にはアシルホスフィンオキサイド系、チオキサントン系、メタロセン系、及びキノン系等が挙げられる。
【0035】
紫外線重合開始剤としては、具体的には、
ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、及びビスジエチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系重合開始剤;
2,2-ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノン系重合開始剤;
ベンジル、ベンゾイン、及びベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン系重合開始剤;
ベンジルジメチルケタールなどのアルキルフェノン系重合開始剤;チオキサントンなどのチオキサントン系重合開始剤;
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1―プロパン-1-オン、及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンなどのヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤が挙げられる。
【0036】
可視光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド光重合開始剤;
カンファーキノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、及び2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン-1などのケトン系重合開始剤等が挙げられる。
【0037】
化合物Cとして、上記例示の中でも、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及び/又はアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤がより好ましく、
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)及び/又は2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(IRGACURE TPO、BASF社製)が更に好ましく、
1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)が更に好ましい。
【0038】
カチオン光重合開始剤は、化合物A及び化合物Bのカチオン重合性部位に対して、光酸発生剤として作用することが好ましく、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、エネルギー線の照射によりルイス酸又はブレンステッド酸を発生する化合物であることがより好ましく、スルホニウム塩及び/又はヨードニウム塩がさらに好ましい。
【0039】
スルホニウム塩として、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4’-ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロ
ホスフェート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスル
フィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン ヘキサフ
ルオロアンチモネート、
7-〔ジ(p-トルイル)スルホニオ〕-2-イソプロピルチオキサントン テトラキ
ス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4-フェニルカルボニル-4’-ジフェニルスルホニオ-ジフェニルスルフィド ヘキ
サフルオロホスフェート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジフェニルスルホニオ-ジ
フェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4-(p-tert-ブチルフェニルカルボニル)-4’-ジ(p-トルイル)スルホ
ニオ-ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ま
しい。
【0040】
市販されているスルホニウム塩系カチオン光重合開始剤としては、アデカ社製SP-170、SP-172、SP-150、SP-152、サンアプロ社製CPI-210Sなどが好ましく、アデカ社製SP-170、SP-172またはサンアプロ社製CPI-210Sが更に好ましい。
【0041】
ヨードニウム塩として、常態強度及び耐久強度に加えて硬化性の観点から、
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が好ましい。
市販されているヨードニウム塩系カチオン光重合開始剤としては、ローディア社製PI2074が好ましい。
【0042】
(1-4)化合物D
化合物Dは、反応抑制剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0043】
反応抑制剤とは、光硬化性樹脂組成物は溶剤溶解性を有するが、この光硬化性樹脂組成物中の化合物A、化合物B及び化合物Cだけを残した配合組成物に対して工程5の溶剤溶解テストを行うとレベル1になる、光硬化性樹脂組成物中の化合物A、化合物B及び化合物C以外の化合物である。
【0044】
反応抑制剤は、光硬化性樹脂組成物の光硬化体の架橋密度が低くなるように化合物A及び化合物Bの重合反応を調整していると考えられ、好ましくは可塑剤及び/又は連鎖移動剤が挙げられる。
【0045】
可塑剤としては、好ましくは樹脂系可塑剤とオイル系可塑剤とが挙げられる。
【0046】
樹脂系可塑剤としては、好ましくは、ロジン系、テルペン系、石油樹脂系及びクマロンインデン樹脂からなる群から選ばれる一種以上が挙げられ、より好ましくは、
ロジン系可塑剤としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジン・グリセリンエステル、水添ロジン・グリセリンエステルなどのロジン系樹脂;
不均化ロジンエステル系樹脂、重合ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂等のロジンエステル系樹脂;
ロジンフェノール等のロジン系樹脂;
テルペン系としては、樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などのテルペン系樹脂;
石油樹脂系としては、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂などの石油系樹脂;
(水添)ポリイソプレン、水酸基含有(水添)ポリイソプレン、(水添)ポリブタジエン、水酸基含有(水添)ポリブタジエン、ポリブテン等のゴム系ポリマー;
熱可塑性エラストマー;
キシレン樹脂;及び
アクリルポリマー、アクリルコポリマー等のアクリル系樹脂
からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0047】
オイル系可塑剤としては、好ましくは、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル;
アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニル、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニル等の多価カルボン酸エステル;
トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル;
トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、アセチルクエン酸トリブチル、エポキシ化植物油、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル及び安息香酸エステルからなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0048】
連鎖移動剤としては、好ましくは、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;
四塩化炭素、クロロホルム等のハロゲン類;
α-メチルスチレンダイマー;
および、
ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0049】
(2)工程2
工程2では、光硬化性組成物が、工程5の溶剤溶解テストでレベル2と判断されるように、前記化合物A~Dの配合量を調整する。
【0050】
光硬化性組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Aが3官能以上の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物からなる群から選ばれるオリゴマー化合物を含む場合は、
化合物A中、3官能以上の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物の配合量は、好ましくは0~20質量%、より好ましくは0~15質量%、更に好ましくは0~10質量%、更に好ましくは0~5質量%である。
【0051】
光硬化性組成物の溶剤溶解性の観点から、化合物Aが単官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物を含む場合は、
化合物A中、単官能及び/又は2官能の(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物は、好ましくは80~100質量%、より好ましくは85~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、更に好ましくは95~100質量%、更に好ましく100質量%である。
【0052】
光硬化性組成物の溶剤溶解性および粘度調整の観点から、光硬化性樹脂組成物中において、化合物Aの配合量100質量部に対して、化合物Bの配合量は、好ましくは1~1000質量部、より好ましくは20~700質量部、更に好ましくは100~500質量部
【0053】
光硬化性組成物の溶剤溶解性および硬化性の観点から、化合物A及び化合物Bの合計100質量部に対して、化合物Cの配合量は、好ましくは0.1~50質量部、より好ましくは0.5~30質量部、更に好ましくは1~20質量部、更に好ましくは1~10質量部である。
【0054】
光硬化性組成物の溶剤溶解性および硬化性の観点から、化合物A及び化合物Bの合計100質量部に対して、化合物Dの配合量は、0~500量質部であり、好ましくは5~300質量部、より好ましくは10~200質量部であり、更に好ましくは20~100質量部である。
【0055】
(3)工程3
工程3では、工程2で配合量が調整された化合物A~Dを配合して前記化合物A~Dを含む配合組成物を得る.
【0056】
工程3では、化合物A~Dを、SUS製の容器に充填し、配合組成物が粉体の溶け残りなく均一の状態になるまで、例えば、スリーワンモーター(新東科学社製)のようなシャフト回転型攪拌機で攪拌することが好ましい。
【0057】
(4)工程4
工程4では、工程3で得たに紫外線を照射して光硬化体を得る。
【0058】
工程4では、配合組成物を、幅20長さ20mm、厚さ0.5mmになるように透明なスライドガラス(松浪ガラス社製S1127)と透明なPETフィルム(パナック社製、品名ルミラー100T60、厚さ100μm)で挟み込み、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製ECS-301)にて紫外線を照射して硬化させた。
【0059】
紫外線は、配合組成物を使用して後述する実施例の積層体を構成したときに、積層体の接着強度が、好ましくは1N以上、より好ましくは1~1000N、更に好ましくは1~500N、更に好ましくは1~300Nの範囲になる程度の照射量に相当する照射量に調整する。
【0060】
(5)工程5
工程5では、工程4で得た光硬化体に対して下記溶剤溶解テスト:
前記光硬化体0.02gに溶剤を0.78g加え、25℃、遮光環境下で24時間静置した後、光硬化体の残存状態を目視で確認し、
光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、
と判定する溶剤溶解テスト;
を行う。
【0061】
光硬化体の残物とは、溶剤に溶解して溶液なったもの以外の、例えば、光硬化体と同じ状態のもの、ゲル化状態のもの、膨潤状態のものなどを含む。
【0062】
溶剤は、後述する光硬化性組成物を本発明の接着剤組成物として使用した場合に、接着剤組成物の光硬化体を溶解する目的で使用する溶剤であることが好ましく、例えば、
メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサン、スチレンなどの炭化水素類;
ジエチルエーテルなどのエーテル類;
酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレンなどのエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどの窒素類;
ブチルグリコール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、テトラヒドロフランなどのグリコールエーテル類;
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどの塩素類;
ジメチルスルホキシド;アセトニトリル;ギ酸、酢酸等のカルボン酸類;及び水からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
より好ましくは、アルコール類、炭化水素類、エステル類及びケトン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、
更に好ましくは、アセトン、ヘキサン、イソプロピルアルコール及び炭酸ジエチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、である。
【0063】
0.02gの光硬化体と0.78gの溶剤は、容量10mlのガラス製容器に充填して密封し、容器全体をアルミホイルで被覆して遮光することが好ましい。
【0064】
溶剤溶解テストの結果がレベル2になるまで、前記工程1~5を繰り返し、
溶剤溶解テストの結果がレベル2になったときの配合組成物を、組成物製造方法の目的物である光硬化性樹脂組成物とする。
【0065】
組成物製造方法では、工程1において、必要に応じて、さらに、化合物A~Dに加えて、例えば、界面活性剤、イオン性液体、溶剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、無機、有機各種フィラー、ポリマー等の添加剤化合物(以下、化合物Eという)を選択し、工程2で化合物Eの配合量を調整し、工程3で化合物A~Eを含む配合組成物を得て、工程4及び工程5を行い、溶剤溶解性を有する化合物A~Eを含む光硬化性組成物を得ることができる。
【0066】
但し、化合物Eは、化合物A~Dだけの場合の光硬化性組成物の溶剤溶解性を阻害しない範囲で選択して配合量を調整することが好ましい。
【0067】
〔光硬化性樹脂組成物〕
組成物製造方法で得られた本発明の光硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリレート基を有するオリゴマー化合物、(メタ)アクリレートモノマー化合物、アミド化合物及びN-ビニル複素環化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のラジカル重合性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤並びに反応抑制剤からなる組成物であるが、前述したように、光硬化性樹脂組成物の溶剤溶解性を阻害しない範囲で、任意成分として化合物Eを含んでよい。
【0068】
本発明の光硬化性樹脂組成物は流動性を有する液状で、その光硬化体が溶剤溶解性を有するという効果を奏する。
本発明の光硬化性樹脂組成物は、液状で部材に塗工して、光硬化させると部材への付着力に優れるため、部材同士を接着するための接着剤組成剤として好適に使用できる。
【0069】
〔接着剤組成物〕
【0070】
本発明の接着剤組成物(以下、接着剤組成物ともいう)は、本発明の光硬化性組成物を配合してなり、好ましくは流動性を有する液状組成物であり、その光硬化体が溶剤溶解性を有する。
【0071】
なお、接着剤組成物は、ディスペンサー、ジェットディスペンサー、インクジェット、スリットコーター、ダイコーター、スクリーン印刷等使用して部材に塗工することができる。
【0072】
接着剤組成物は、部材への塗付性及び光硬化時の部材同士の接着性(以下、まとめて、接着性ともいう)を阻害しない範囲で、例えば、界面活性剤、イオン性液体、溶剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、無機、有機各種フィラー、ポリマー等の化合物E以外の添加剤を含めることができる。
【0073】
なお、接着剤組成物中の化合物E以外の添加剤とは、光硬化性組成物中に配合される化合物E以外の添加剤と、光硬化性組成物と共に配合される化合物E以外の添加剤を併せたものをいう。
【0074】
接着剤組成物は、部材への塗工性の観点から、温度25℃における粘度が、
好ましくは0.1~100Pa・s以下であり、
より好ましくは0.3~50Pa・s以下であり、
更に好ましくは0.5~10Pa・s以下である。
【0075】
なお、粘度は、レオメータ(Anton Paar社製)を使用し、コーンローター(φ=25mm、ローター角度2°)、せん断速度10[1/秒]、25℃にて測定する。
【0076】
接着剤組成物は、接着性の観点から、接着剤組成物全量に対して、化合物A~Dの合計量が、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%、更に好ましくは90~100質量%、更に好ましくは100質量%である。
【0077】
〔複合構造物〕
本発明の複合構造物(以下、複合構造物ともいう)は、部材1及び部材2を含み、部材1及び部材2が接着剤組成物を介して接着している構造物である。
【0078】
部材1及び部材2が接着剤組成物を介して接着しているとは、部材1と部材2の表面が接着剤組成物を間に挟んで接着剤組成物に接触して接着している(部材1と部材2の接着剤組成物の近傍の相対的位置が固定されている)ことをいう。
【0079】
複合構造物において、部材1及び2を接着している接着剤組成物が、さらに、接着剤組成物への溶剤の接触によって溶解除去されて、部材1及び2の接着が解除されることが予定している場合、部材1及び部材2が接着剤組成物を介しての接着を仮固定といい、部材1及び2の接着を解除することを予定して使用される場合の接着剤組成物を仮固定剤ともいう。
【0080】
部材1及び部材2がプレートである場合は、例えば、
好ましくは部材1及び部材2の厚み方向の面が接着剤組成物を介して接着又は仮固定されるか、より好ましくは部材1及び部材2のプレート面が接着剤組成物を介して接着又は仮固定されるかして、
部材1及び部材2が接着剤組成物を介して接着して、部材1及び部材2が積層体を構成していてもよい。
【0081】
プレートは表裏面の面積に比べて厚みの薄い構造物であるが、板状でもよく、薄膜状でもよく、平面上でも曲面上でもよい。
【0082】
本発明の複合構造物としては、以下が例示できる。
(1)各種フィルム等の光学部材を備える液晶表示体であって、光学部材が接着又は仮固定されて積層体等を構成している液晶表示体。
【0083】
(2)液晶セルを備える液晶表示体であって、液晶セル内が接着又は仮固定されている液晶表示体。
【0084】
(3)ウエハーなどの表面平滑性を要する物品を基材上に複数個仮固定して、表面加工を同時に行い、基材を除去して使用する。
【0085】
(4)防眩ミラー,電子ペーパ,電池又はコンデンサー等の電解液を用いるデバイスであって、電極やセパレータ、集電体等の部材が接着又は仮固定されているデバイス。仮固定剤として使用する場合、溶解した接着剤組成物が電解液に混入しても電解液の性能が阻害されないように接着剤組成物の構成化合物を選択することが好ましい。
【0086】
(5)光学レンズを研磨するための研磨装置であって、光学レンズと光学レンズの固定支持台が仮固定された研磨装置。
(6)光学レンズ等の原材料を複数個仮固定して所定の形状に機械的加工を行った後接着剤を除去して各々を部品として使用する。
【0087】
接着剤組成物の接着性の観点から、部材1及び2の材質は、ガラス、PET、TAC、COP、ポリイミド、PMMA、ポリカーボネート、塩化ビニル、PVA、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、グラファイト、アルミニウム、銅、SUS等が好ましく、部材の表面に有機ハードコート層や無機ハードコート層が処理されていても良く、導電性を持たせるためにITOやIZO、カーボンナノチューブなどの透明導電性材料が処理されていても良く、電極や配線材料として表面に銀、銅などの金属がパターニングされていても良い。
【0088】
〔複合構造物の製造方法〕
部材1及び部材2が接着剤組成物の光硬化体を介して接着している複合構造物において、接着剤組成物の光硬化体に溶剤を接触させて、部材1及び部材2の接着剤組成物の光硬化体を介しての接着を解除する工程を含む、複合構造物の製造方法によって、部材1及び部材2が互いに固定されずに近接又は接触している複合構造物を得ることができる。
【0089】
〔複合構造物の解体方法〕
工程2で得られた複合構造物は、接着剤組成物に溶剤を接触させて、及び/又は、温度環境を前記温度Tcよりも高温にして、部材1及び部材2の接着剤組成物を介しての接着を解除して前記部材1と前記部材2とを離隔することができるので、複合構造物の解体を容易にすることができる。
【実施例
【0090】
〔化合物原料〕
(1)化合物A
(1-1)化合物a1:UA10000B(ケーエスエム社、2官能ポリエーテルポリウレタンアクリレート)、重量平均分子量:25000
(1-2)化合物a2:UA-BK1(ケーエスエム社、4官能ポリエーテルポリウレタンアクリレート)、重量平均分子量:25000
(1-3)化合物a3:AB-6(東亞合成社、単官能ポリブチルアクリレートオリゴマー)、重量平均分子量:6000
【0091】
(2)化合物B
(2-1)化合物b1:SR395(サートマー社、イソデシルアクリレート)
(2-2)化合物b2:FA513AS(日立化成社、ジシクロペンタニルアクリレ-ト)
(2-3)化合物b3:M-140(東亞合成社、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド)
(2-4)化合物b4:4-HBA(日本化成社、4-ヒドロキシブチルアクリレート)
(2-5)化合物b5:ACMO(KJケミカルズ社、アクリロイルモルホリン)
(2-6)化合物b6:AE-200(日本油脂社、ポリエチレングリコールモノアクリレート)
(2-7)化合物b7:HEAA(KJケミカルズ社、ヒドロキシエチルアクリルアミド)
(2-8)化合物b8:DMAA(KJケミカルズ社、ジメチルアクリルアミド)
【0092】
(3)化合物C
(3-1)化合物c1:I-500(BASF社、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン:ベンゾフェノン=1:1混合物)
(3-2)化合物c2:I-184(BASF社、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
(3-3)化合物c3:I-TPO(BASF社、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)
【0093】
(4)化合物D
(4-1)化合物d1:KE-311(荒川化学工業社、水添ロジンエステル)
(4-2)化合物d2:ME-H(荒川化学工業社、水添ロジンエステル)
(4-3)化合物d3:NK-H (フドー社、キシレン樹脂)
(4-4)化合物d4:DINCH(BASF社、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル)
(4-5)化合物d5:RX31-38(亜細亜工業社、ポリエーテルポリウレタン)
(4-6)化合物d6:MSD-100(三井化学社、α-メチルスチレンダイマー)
【0094】
〔実施例及び参考例〕
実施例1~18は、工程5で溶剤溶解性がレベル2と判断された本発明の光硬化性組成物であり、
参考例1~5は、工程5で溶剤溶解性がレベル1と判断された配合組成物である。
【0095】
表1の実施例及び参考例の各化合物に相当する欄に記載された数値は、工程2で調整された配合量(g)である。
【0096】
(1)実施例1
化合物A~Dとして、表1の実施例1に数値が記載される各化合物を選択し(工程1)、選択された各化合物を表1に記載される配合量で評量して(工程2)、容器(材質SUS316製、容量700ml)に充填し、80℃、大気圧下で、スリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で360分間攪拌して、配合組成物を得た(工程3)。
【0097】
配合組成物に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製、品番UV・031-A/BM-E1)により紫外線を3000mJ/cm照射して、光硬化体を得た(工程4)。
【0098】
25℃の環境温度下で、0.02gの光硬化体を容量10mlのガラス製容器に充填し、さらに、0.78gの溶剤アセトン(関東化学社製、特級)を加えて、容器を密封し、容器全体をアルミホイルで被覆して遮光して、25℃の室内環境で24時間静置した後、容器を開封して光硬化体の状態を目視観察し、
光硬化体の残留物があると確認された場合をレベル1、
光硬化体の残留物がないと確認された場合をレベル2、と判断した(工程5)。
【0099】
(2)実施例2~18及び参考例1~5
化合物A~Dとして、表1の各実施例及び各参考例に数値が記載される各化合物を選択し、紫外線照射条件を表1に記載したように実施例1と変えた以外は、実施例1と同様にして工程1~5を実施した。
【0100】
なお、紫外線の照射条件は、以下の積層体の接着強度が1N以上になる照射量になるようにした。
【0101】
〔積層体の接着強度〕
紫外線照射ミネベア社製引張試験機(テクノグラフTG-2kN)で、積層体のPETフィルムのせん断方向に、スライドガラスとPETフィルムをそれぞれ逆方向に、100mm/分の速度で引っ張り、検出された応力を読み取り積層体の接着強度とした。
【0102】
〔複合構造物及び比較構造物の製造及び解体〕
スライドガラス1(プレート状の部材1)のプレート面上に厚さ200μmのスペーサーを設置したものを23組用意して、スライドガラス1の表面上に、実施例2~18及び参考例1~5の光硬化性組成物を、スパーテルを用いて0.015g採取、設置し、もう1枚のスライドガラス2で挟み、表1に記載の照射量で紫外線照射することでスライドガラス1とスライドガラス2がそれぞれの組成物を介して積層する積層体(実施例2~18及び参考例1~5の光硬化性組成物を使用した複合構造物及び参考例1~5の光硬化性組成物を使用した比較構造物)を得た。
【0103】
複合構造物の製造で得たスライドガラス1とスライドガラス2がそれぞれの光硬化性組成物を介して積層する積層体を、アセトンに浸漬し、360分間放置したところ、
複合構造物における光硬化性組成物は溶剤に溶解して除去されていたが、
比較構造物における光硬化性組成物は溶剤に溶解されない固形分が残っていた。
【0104】
アセトンに浸漬されていた積層体を取り出して積層体を剥離したら、
複合構造物であった積層体は、スライドガラス1とスライドガラス2を手持ちで軽く引き離す程度で離隔して、解体することができたが、
比較構造物であった積層体は、スライドガラス1とスライドガラス2を手持ちで軽く引き離す程度では離隔せず、解体することができなかった。
【0105】
表1に結果を示す。
【0106】
【表1】