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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230131BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G03G21/00 378
G03G21/00 388
B41J29/38 202
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018163421
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020034865
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】芝田 幸大
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-215458(JP,A)
【文献】特開2009-088758(JP,A)
【文献】特開2008-302648(JP,A)
【文献】特開2007-057606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0291485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
記録紙に画像を形成する画像形成部と、
通常モード、及び該通常モードよりも動作速度を低下させることで動作音を通常モードよりも小さくする静音モードのいずれで前記画像形成部が画像形成を行うかを示すモード設定指示が入力される指示入力部と、
前記指示入力部に入力された印刷ジョブの実行指示及び前記モード設定指示に従って、前記通常モード又は前記静音モードのいずれかを設定して前記画像形成部を制御して印刷ジョブを実行する制御部と、
記憶部と、
前記画像形成装置から予め定められた範囲内に居る人を検出する人感センサーと、を備え、
前記制御部は、
ユーザーにより前記指示入力部に入力された前記印刷ジョブの実行指示に従って印刷ジョブを実行する度に、前記通常モード及び前記静音モードのいずれが設定されたかを、当該印刷ジョブの実行を指示したユーザーに対応付けて履歴情報として前記記憶部に記憶させ、
ユーザーにより、前記モード設定指示が入力されることなく、新たな印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたときは、当該ユーザーに対応付けられた前記履歴情報を前記記憶部から読み出し、当該読み出した履歴情報に基づいて前記通常モード又は前記静音モードを設定して、前記画像形成部を制御して印刷ジョブを実行し、
前記制御部はまた、
前記モード設定指示が入力されることなく前記新たな印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたとき、当該新たな印刷ジョブを含めてこの時点で前記指示入力部に入力されている全ての印刷ジョブに従って前記画像形成部により画像が形成される記録紙の枚数が予め設定された一定枚数を超えるか否かを判定し、
当該枚数が前記一定枚数を超える場合であって、かつ、前記人感センサーにより前記人が検出されている場合には、前記履歴情報に基づく前記設定が前記静音モードである場合であっても、前記通常モードを設定して、前記全ての印刷ジョブを実行し、
前記履歴情報に基づく前記設定が前記静音モードである場合において、当該枚数が前記一定枚数を超えていない場合には、前記人感センサーにより前記人が検出されている場合であっても、前記静音モードを設定して、前記全ての印刷ジョブを実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記履歴情報が示す過去の設定回数に基づいて、前記通常モード又は前記静音モードのうち、当該設定回数が多い方のモードに設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記指示入力部に入力された前記モード設定指示に従って前記通常モード又は前記静音モードを設定して印刷ジョブを実行した場合には、前記通常モード又は前記静音モードの重み付けを予め定められた第1の値とし、
前記指示入力部に入力された前記モード設定指示によらずに前記通常モード又は前記静音モードを設定して印刷ジョブを実行した場合には、前記通常モード又は前記静音モードの重み付けを上記第1の値よりも小さな予め定められた第2の値として、
前記通常モード及び前記静音モードのいずれが設定されたかを前記重み付けと共に、前記履歴情報として前記記憶部に記憶させ、
前記制御部は、ユーザーにより、前記モード設定指示が入力されることなく、印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたときは、当該ユーザーに対応付けられた前記履歴情報を前記記憶部から読み出し、前記履歴情報が示す前記重み付けが示す値を合計し、前記通常モード又は前記静音モードのうち、当該重み付けの合計値が大きい方のモードに設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記モード設定指示が入力されることなく新たな印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたとき、当該新たな印刷ジョブを含めてこの時点で前記指示入力部に入力されている全ての印刷ジョブに従って前記画像形成部により画像が形成される記録紙の枚数が予め設定された一定枚数を超えるか否かを判定し、当該枚数が前記一定枚数を超える場合に、前記履歴情報に基づく前記通常モード又は前記静音モードの設定に拘わらず、前記通常モードを設定して、前記全ての印刷ジョブを実行する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、通常モード及び該通常モードよりも動作速度を低下させることで動作音を通常モードよりも小さくする静音モードのいずれかを設定して印刷ジョブを実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事務機器への静音化の要求が高まってきており、複写機、プリンター、複合機などの画像形成装置もその例外ではない。このため、例えば特許文献1では、人体検知センサーによって画像形成装置の周辺に人がいるか否かを検知し、人が検知された場合は、該装置のモータの回転速度が高速となる標準モードを選択し、また人が検知されなかった場合は、該装置のモータの回転速度が低速となる静音モードを選択している。
【0003】
また、特許文献2では、集音器コントローラによって環境騒音のレベルを計測し、人感センサコントローラによって人の位置、体温、動作速度などの活動度合いを判定している。そして、CPUは、プリントシステムの位置及び人感センサコントローラにより判定された人の位置に基づき、プリントシステムから人までの距離を算出すると共に、プリントジョブを標準モードで実行したときにプリントシステムから発生する稼働音のレベルを予測し、環境騒音のレベル、活動度合い、距離、及び稼働音のレベルに基づきプリントシステムの動作モードを選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-057606号公報
【文献】特開2014-142498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、人の検知、あるいは人の活動度合いや人との距離に応じて、画像形成装置(又はプリントシステム)の動作音を調節している。
【0006】
しかしながら、個々のユーザーの嗜好を反映して、画像形成装置の動作音を調節してはいない。つまり、ユーザーによっては、画像形成装置の処理速度が遅くなっても良いからその動作音を小さく抑えたいという要望があったり、また動作音が大きくなっても構わないから処理速度を速くしたいという要望があるが、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、これらの要望に応じることができなかった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、個々のユーザーの嗜好を反映して、画像形成装置の動作音を調節可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙に画像を形成する画像形成部と、通常モード、及び該通常モードよりも動作速度を低下させることで動作音を通常モードよりも小さくする静音モードのいずれで前記画像形成部が画像形成を行うかを示すモード設定指示が入力される指示入力部と、前記指示入力部に入力された印刷ジョブの実行指示及び前記モード設定指示に従って、前記通常モード又は前記静音モードのいずれかを設定して前記画像形成部を制御して印刷ジョブを実行する制御部と、記憶部と、前記画像形成装置から予め定められた範囲内に居る人を検出する人感センサーと、を備え、前記制御部は、ユーザーにより前記指示入力部に入力された前記印刷ジョブの実行指示に従って印刷ジョブを実行する度に、前記通常モード及び前記静音モードのいずれが設定されたかを、当該印刷ジョブの実行を指示したユーザーに対応付けて履歴情報として前記記憶部に記憶させ、ユーザーにより、前記モード設定指示が入力されることなく、新たな印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたときは、当該ユーザーに対応付けられた前記履歴情報を前記記憶部から読み出し、当該読み出した履歴情報に基づいて前記通常モード又は前記静音モードを設定して、前記画像形成部を制御して印刷ジョブを実行する。前記制御部はまた、前記モード設定指示が入力されることなく前記新たな印刷ジョブの実行指示が前記指示入力部に入力されたとき、当該新たな印刷ジョブを含めてこの時点で前記指示入力部に入力されている全ての印刷ジョブに従って前記画像形成部により画像が形成される記録紙の枚数が予め設定された一定枚数を超えるか否かを判定し、当該枚数が前記一定枚数を超える場合であって、かつ、前記人感センサーにより前記人が検出されている場合には、前記履歴情報に基づく前記設定が前記静音モードである場合であっても、前記通常モードを設定して、前記全ての印刷ジョブを実行し、前記履歴情報に基づく前記設定が前記静音モードである場合において、当該枚数が前記一定枚数を超えていない場合には、前記人感センサーにより前記人が検出されている場合であっても、前記静音モードを設定して、前記全ての印刷ジョブを実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個々のユーザーの嗜好を反映して、画像形成装置の動作音を調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置を示す断面図である。
図2】本実施形態の画像形成装置の主要内部構成を示すブロック図である。
図3】印刷ジョブの実行に際し、通常モード及び静音モードのいずれかを設定するための処理手順を示すフローチャートである。
図4】印刷ジョブの実行の度に、通常モード及び静音モードのいずれが設定されたかを記憶した履歴情報を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明にかかる一実施形態の画像形成装置を示す断面図である。本実施形態の画像形成装置10は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能のような複数の機能を兼ね備えたMFP(複合機)である。この画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。
【0013】
画像読取部11は、原稿の画像を光学的に読み取る撮像素子を有しており、この撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿の画像を示す画像データが生成される。
【0014】
画像形成部12は、上記画像データ又は外部から受信した画像データによって示される画像を記録紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム4の表面のトナー像を、中間転写ベルト5に1次転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー6の間のニップ域NPにおいて給紙部14から搬送路8を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。
【0015】
この後、定着装置15で記録紙Pが加熱及び加圧されて、記録紙P上のトナー像が熱圧着により定着され、更に記録紙Pが排出ローラー16を通じて排出トレイ17に排出される。
【0016】
次に、画像形成装置10の制御に係る構成について説明する。図2は、画像形成装置10の主要内部構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように画像形成装置10は、制御ユニット21、表示部22、通信部23、操作部24、タッチパネル25、人感センサー26、記憶部28、画像読取部11、及び画像形成部12などを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0017】
表示部22は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどから構成される。
【0018】
通信部23は、通信モジュールを備える通信インターフェイスであり、ネットワークNWを通じてパーソナルコンピューター(PC)40との間でデータ通信を行う。
【0019】
操作部24は、テンキー、決定キー、スタートキーなどのハードキーを備えている。
【0020】
表示部22の画面には、タッチパネル25が重ねられている。タッチパネル25は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル25に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置と共に検知し、表示部22の画面上のGUIなどに対するユーザーの指示を入力する。従って、タッチパネル25は、表示部22の画面に対するユーザー操作が入力される指示入力部としての役割を果たす。また、操作部24も指示入力部としての役割を果たす。
【0021】
記憶部28は、RAM、大容量のHDD(Hard Disk Drive)などからなり、各種のデータやプログラムを記憶している。
【0022】
人感センサー26は、画像形成装置10の周辺に居る人を検出する既知のセンサーである。例えば、人感センサー26は、人体から発せられる赤外線を検出する赤外線センサーである。
【0023】
制御ユニット21は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。この制御ユニット21は、上記のROMまたは記憶部28に記憶されている制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部31として機能する。なお、制御ユニット21の上記制御部31は、制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい。
【0024】
制御部31は、種々の処理を実行する処理部としての役割を果たす。また、制御部31は、表示部22を制御して、各種の設定画面や情報などを表示させる。更に、制御部31は、通信部23の通信動作を制御する。
【0025】
ここで、PC40は、PC40の全体的な動作制御を司るCPU等を備える制御部401と、ユーザーから印刷ジョブの実行指示及び当該印刷ジョブを通常モード又は静音モードのいずれで実行するかのモード設定指示がユーザーから入力されるキーボード等を備える入力部402と、入力部402に入力された印刷ジョブの実行指示及びモード設定指示を画像形成装置10に対して例えばネットワークを通じて送信する通信インターフェイス等からなる送信部403とを備えている。PC40のユーザーが、入力部402に印刷ジョブの実行指示及びモード設定指示を入力すると、送信部403が、当該印刷ジョブをモード設定指示と共に画像形成装置10に送信する。
【0026】
画像形成装置10では、PC40からの印刷ジョブの実行指示及びモード設定指示を通信部23で受信すると、制御部31は、モード設定指示が示す通常モード又は静音モードで該印刷ジョブを実行して、画像形成部12により画像を記録紙に記録させる。従って、通信部23も、指示入力部としての役割を果たす。
【0027】
ここで、通常モードとは、制御部31による制御で、画像形成部12等の機構を予め定められた通常の動作速度で動作させて画像形成動作を行わせるモードである。静音モードとは、当該通常モードよりも画像形成部12等の機構の動作速度を低下させることで動作音を通常モードよりも小さくしたモードである。すなわち、通常モードでは、画像を記録紙に形成するための処理速度が比較的速く、画像形成装置10から発生される動作音が比較的大きい。また、静音モードでは、その処理速度が通常モードよりも遅く、動作音が通常モードよりも小さい。
【0028】
また、制御部31は、印刷ジョブを実行する度に、通常モード及び静音モードのいずれが設定されたかを、当該印刷ジョブの実行を指示したユーザー毎にそれぞれ対応付けて履歴情報として記憶部28に記憶させる。
【0029】
そして、制御部31は、ユーザーにより上記の指示入力部にモード設定指示が入力されることなく、印刷ジョブの実行指示が上記指示入力部に入力されたとき、当該ユーザーに対応付けられた履歴情報を記憶部28から読み出して、当該読み出した履歴情報に基づき、通常モード又は静音モードを設定して、当該印刷ジョブを実行する。
【0030】
次に、印刷ジョブの実行に際し、通常モード及び静音モードのいずれかを設定するための処理手順を図3に示すフローチャートなどを参照して説明する。
【0031】
制御部31は、印刷ジョブの実行指示の入力を待機している(S101「No」)。この印刷ジョブの実行指示は、例えばユーザーがPC40の入力部402を操作することで入力されて、送信部403により該ユーザーの識別情報IDと共にPC40からネットワークNWを通じて画像形成装置10に送信される。
【0032】
画像形成装置10では、印刷ジョブの実行及びユーザーの識別情報IDを通信部23で受信すると(S101「Yes」)、制御部31は、その識別情報IDを承認した場合に、S102以降の印刷ジョブを実行するための処理に移る。
【0033】
また、PC40のユーザーは、PC40の入力部402を操作して、通常モード又は静音モードを指定するモード設定指示を入力し、送信部403が当該モード設定指示を、印刷ジョブの実行及び自己の識別情報IDと共にPC40から画像形成装置10に送信する。画像形成装置10では、当該モード設定指示を通信部23で受信すると、制御部31は、通常モード又は静音モードが指示されたと判定し(S102「Yes」)、その指示された通常モード又は静音モードを設定して、上記実行指示に従って印刷ジョブを実行し、画像形成部12により画像を記録紙に記録させる(S103)。
【0034】
そして、制御部31は、印刷ジョブが終了すると(S104)、印刷ジョブの実行に際してS103で設定された通常モード又は静音モードが上記モード設定指示でユーザーにより指示されたものであることから、通常モード及び静音モードのいずれが設定されたかを、通常モード又は静音モードの重み付け加算値αを予め定められた値A(第1の値)である「2」に設定した上で(S105)、当該ユーザーの履歴情報RDとして、記憶部28に記憶させる(S106)。
【0035】
また、制御部31は、S101で受信したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDが記憶部28に記憶されておらず、該当する履歴情報RDが無ければ、通常モード又は静音モードの重み付け加算値αを予め定められた値Aである「2」に設定した上で(S105)、当該ユーザーについての新たな履歴情報RDを生成し、この履歴情報RDをユーザーの識別情報IDに対応付けて記憶部28に記憶させる(S106)。
【0036】
このように印刷ジョブの実行、通常モード又は静音モードの指示がPC40から画像形成装置10へと送信された場合は、その指示された通常モード又は静音モードが設定されて、印刷ジョブが実行される。この後、制御部31は、図3の処理を一旦終了して、印刷ジョブの実行指示を待機し、印刷ジョブの実指示があった場合にS101からの処理を始める。
【0037】
図4は、履歴情報RDを例示する図である。この履歴情報RDは、複数のユーザーの識別情報ID別に、最新の印刷ジョブが実行された時点から直近の例えば10個の印刷ジョブの実行のときに通常モード又は静音モードのいずれが設定されたか、及びそれぞれの重み付け加算値αを記憶してなる。制御部31は、新たな印刷ジョブが実行されたときには、該新たな印刷ジョブの実行を指示したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDから、最も前の印刷ジョブの実行のときに設定された通常モード又は静音モードと重み付け加算値αを消去し、該新たな印刷ジョブの実行のときに設定された通常モード又は静音モードと重み付け加算値αを記憶部28に記憶させる。
【0038】
また、制御部31は、重み付け加算値αを、通常モード又は静音モードが上記モード設定指示によりPC40から画像形成装置10へとユーザーから指示されて通常モード又は静音モードを設定したときは、予め定められた値A(例えば「2」。本実施形態では、以下「2」として説明する)に設定する。また、後述するように、制御部31が、モード設定指示によらず、履歴情報RDに基づいて通常モード又は静音モードを設定する場合は、予め定められた値B(第2の値)に設定する。ここで、予め定められた値B<予め定められた値Aとされ、予め定められた値Bは例えば「1」である。本実施形態では、以下「1」として説明する。
【0039】
一方、PC40のユーザーは、入力部402の操作により、通常モード又は静音モードをモード設定指示で指示することなく、印刷ジョブの実行指示及び自己の識別情報IDのみを送信部403から画像形成装置10へと送信させることもできる。この場合、画像形成装置10では、印刷ジョブの印刷及びユーザーの識別情報IDを通信部23で受信しながらも(S101「Yes」)、モード設定指示を受信せず、制御部31は、通常モード又は静音モードが指示されなかったと判定する(S102「No」)。
【0040】
そして、制御部31は、当該ユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDが記憶部28に記憶されているか否かを判定し(S107)、当該ユーザーの履歴情報RDが記憶されていなければ(S107「No」)、静音モードを設定して(S108)、印刷ジョブを開始し、画像形成部12により画像を記録紙に記録させる。
【0041】
また、制御部31は、当該ユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDが記憶されていれば(S107「Yes」)、この履歴情報RDに基づき通常モード又は静音モードのいずれかを選択する。例えば、制御部31は、その履歴情報RDにおける通常モード及び静音モード別に、重み付け加算値αの合計値を算出する。制御部31は、通常モードの重み付け加算値αの合計値と、静音モードの重み付け加算値αの合計値とを比較して、重み付け加算値αの合計値が大きい方の通常モード又は静音モードを選択する(なお、同値の場合は、予め定めておいた方のモードとする。)。
【0042】
ここで、制御部31は、通常モードを選択した場合(S109「Yes」)、通常モードを設定して印刷ジョブを開始し、画像形成部12により画像を記録紙に形成させる(S111)。
【0043】
また、制御部31は、静音モードを選択した場合は(S109「No」)、更に、今回の印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の枚数N1と、この時点で実行待ちとなっている他の印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の枚数N2とを算出し、今回の印刷ジョブを含めてこの時点で上記指示入力部に入力されている全ての印刷ジョブに従って画像形成部12により画像が形成される記録紙の合計枚数N(=N1+N2)を算出する。そして、制御部31は、算出した当該合計枚数Nが予め設定された一定枚数Nth(例えば、100枚)を超えるか否かを判定する(S110)。
【0044】
制御部31は、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えないと判定したときは(S110「No」)、静音モードを設定して、印刷ジョブを開始し、画像形成部12により画像を記録紙に形成させる(S108)。すなわち、印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の合計枚数Nが比較的少ない場合は、全ての印刷ジョブの実行に必要な時間が比較的短いため、画像形成時間が長くても静かな静音モードがそのまま設定される。
【0045】
また、制御部31は、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えると判定すると(S110「Yes」)、S109で選択した静音モードを通常モードに変更して、通常モードを設定して印刷ジョブを開始し、画像形成部12により画像を記録紙に記録させる(S111)。すなわち、全ての印刷ジョブの実行により画像が記録される記録紙の合計枚数Nが比較的多い場合は、静音モードでは印刷ジョブの実行に費やされる時間が長くなるため、画像形成速度が速い通常モードが設定される。
【0046】
従って、モード設定指示がPC40から画像形成装置10に送信されなかった場合は、ユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDがあり、かつ履歴情報RDに基づき通常モードが選択され、また、印刷ジョブの実行により画像が記録される記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えるときにも通常モードが設定されて印刷ジョブが開始され、それ以外のときには、静音モードが設定されて、印刷ジョブが開始され、画像形成装置10の動作音が小さく抑えられる。
【0047】
更に、S108で静音モードが設定されて印刷ジョブが開始されるか、又はS111で通常モードが設定されて印刷ジョブが開始された後、制御部31は、人感センサー26による人の検出を待機している(S112)。
【0048】
このとき、制御部31は、人感センサー26により人が検出されることなく(S112「No」)、印刷ジョブが終了すると(S104)、S101で受信したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDを記憶部28から読み出し、S111で設定された通常モード又はS108で設定された静音モードがユーザーにより指示されたものではないことから、通常モード又は静音モードの重み付け加算値αを予め定められた値Bである「1」に設定して(S105)、その読み出した履歴情報RDに対して通常モード又は静音モードとその重み付け加算値αを記録し、この履歴情報RDを更新する(S106)。
【0049】
一方、制御部31は、人感センサー26により人が検出された場合(S112「Yes」)、印刷ジョブが静音モードで実行されているか否かを判定し(S113)、印刷ジョブが静音モードで実行されていないとき(S113「No」)、すなわち、印刷ジョブがS111で設定された通常モードで実行されているならば当該通常モードを維持して画像形成動作を続けさせる。そして、制御部31は、印刷ジョブが終了したときに(S104)、S101で受信したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDを記憶部28から読み出し、S111で設定された通常モードがユーザーにより指示されたものではないことから、通常モードの重み付け加算値αを予め定められた値Bである「1」に設定して(S105)、その読み出した履歴情報RDに対して通常モードとその重み付け加算値αを記録し、この履歴情報RDを更新する(S106)。
【0050】
また、印刷ジョブがS108で設定された静音モードで実行されているならば(S113「Yes」)、上記のS110と同様に、今回の印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の枚数N1と、この時点で実行待ちとなっている他の印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の枚数N2の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えるか否かを判定する(S114)。
【0051】
制御部31は、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えないと判定すると(S114「No」)、静音モードを維持し、印刷ジョブが終了すると(S104)、S101で受信したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDを記憶部28から読み出し、S108で設定された静音モードがユーザーにより指示されたものではないことから、静音モードの重み付け加算値αを小さな値「1」に設定して(S105)、その読み出した履歴情報RDに対して静音モードとその重み付け加算値αを記録し、この履歴情報RDを更新する(S106)。
【0052】
また、制御部31は、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えると判定すると(S114「Yes」)、静音モードを通常モードに切り替えて印刷ジョブを続行させる(S115)。制御部31は、印刷ジョブが終了すると(S104)、S101で受信したユーザーの識別情報IDに対応する履歴情報RDを記憶部28から読み出し、当該通常モードがユーザーにより指示されたものではないことから、通常モードの重み付け加算値αを小さな値「1」に設定して(S105)、その読み出した履歴情報RDに対して通常モードとその重み付け加算値αを記録し、この履歴情報RDを更新する(S106)。
【0053】
つまり、S110の処理時点では、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えていないが、S114の処理時点で、記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えるに至っている場合には、制御部31が、静音モードを通常モードに変更して、印刷ジョブを実行し、それ以外のときには静音モードが維持して印刷ジョブを実行する。また、S111で通常モードが設定された場合は、人感センサー26による人の検出に拘わらず、通常モードが維持されて、印刷ジョブが実行される。
【0054】
このように本実施形態では、印刷ジョブが実行されたときの通常モード又は静音モードを履歴情報として記憶しておき、新たな印刷ジョブの実行に際し、通常モード又は静音モードがユーザーにより指示されなければ、その履歴情報、印刷ジョブの実行により画像が形成される記録紙の合計枚数N、及び人感センサー26による人の検出などに基づき、通常モード又は静音モードのいずれかを選択して設定しているので、履歴情報に基づき、通常モード又は静音モードのいずれかが好みかというユーザーの嗜好を反映した上で通常モード又は静音モードを選択して、画像形成装置10の動作音を調節することができる。
【0055】
なお、上記実施形態では、S108で静音モードが設定されて印刷ジョブが開始されるか、又はS111で通常モードが設定されて印刷ジョブが開始された後、S114において印刷ジョブの実行により画像が記録される記録紙の合計枚数Nが一定枚数Nthを超えるか否かを判定しているが、このS114を省略しても構わない。また、一定枚数Nthは、変更もしくは調整可能な任意の枚数である。すなわち、制御部31は、S108で静音モードが設定されている場合に、人感センサー26により人が検出されると(S112「Yes」)、静音モードを通常モードに切り替えて印刷ジョブを続行させる(S115)。人が画像形成装置10に近付いた場合は、この人が画像形成装置10を操作して更に画像形成動作を行わせる可能性が高いため、溜まっている印刷ジョブを迅速に完了させるため等の理由からである。
【0056】
また、制御部31は、S108で静音モードが設定されて印刷ジョブが開始された後、ユーザーによる操作部24の操作で通常モードへの切替えが指示されたときは、静音モードを通常モードに切り替えるようにしてもよい。この場合は、通常モードがユーザーにより指示されたものであるため、制御部31は、通常モードの重み付け加算値αを大きな値「2」に設定して、この履歴情報RDを更新する。
【0057】
また、制御部31は、通常モード及び静音モードの重み付け加算値を設定せず、通常モードの設定回数及び静音モードの設定回数のみを履歴情報に記録して、直近の設定回数が多い方の通常モード又は静音モードを選択して設定してもよい。
【0058】
また、印刷ジョブの実行、通常モード又は静音モードの指示、及びユーザーの識別情報IDをPC40から画像形成装置10に送信しているが、ユーザーが画像形成装置10の操作部24を操作して、印刷ジョブの実行、通常モード又は静音モードの指示、及びユーザーの識別情報IDを入力し、制御部31が当該入力内容を受け付けるようにしてもよい。
【0059】
また、ユーザーの識別情報IDの入力に代えて、カードリーダーによりユーザーのIDカードから該ユーザー識別情報IDを読取らせて入力しても構わない。あるいは、顔認証、指紋認証、音声認証などを用いて、ユーザーを識別して、該ユーザーに対応する識別情報IDを得るようにしてもよい。
【0060】
また、図1乃至図4を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0061】
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
21 制御ユニット
22 表示部
23 通信部
24 操作部
25 タッチパネル
26 人感センサー
28 記憶部
31 制御部
40 パーソナルコンピューター
図1
図2
図3
図4