(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】局側装置、通信システムおよび通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20230131BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L12/44 Z
(21)【出願番号】P 2019018726
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】東 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】河本 一貴
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-262129(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166791(WO,A1)
【文献】特開2016-219878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の宅側装置と通信可能な局側装置であって、
複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する取得部と、
前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うとともに、対応する前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて前記宅側装置と通信する通信部と、
前記取得部によって取得された前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を前記通信部に設定する設定処理を行う設定部とを備え、
前記設定部は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を前記通信部が行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始
し、
前記設定部は、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記設定処理を開始する、局側装置。
【請求項2】
前記設定部は、通信接続を確立済の複数の前記宅側装置の中から、前記宅側装置の優先度に応じた順番に従って前記設定処理を開始する、請求項1に記載の局側装置。
【請求項3】
前記設定部は、通信接続を確立済の1または複数の前記宅側装置を示す接続情報に基づいて、前記設定処理を開始する、請求項1または請求項2に記載の局側装置。
【請求項4】
前記設定部は、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない複数の前記宅側装置の中から、前記宅側装置の優先度に応じた順番に従って前記設定処理を開始する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の局側装置。
【請求項5】
複数の宅側装置と、
複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備え、
前記局側装置は、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行い、
前記局側装置は、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得し、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行い、
前記局側装置は、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信し、
前記局側装置は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始
し、
前記局側装置は、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記設定処理を開始する、通信システム。
【請求項6】
複数の宅側装置と通信可能な局側装置における通信制御方法であって、
前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、
複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、
取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップとを含み、
前記設定処理を行うステップにおいては、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始
し、
前記設定処理を行うステップにおいては、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記設定処理を開始する、通信制御方法。
【請求項7】
複数の宅側装置と、複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、
前記局側装置が、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、
前記局側装置が、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、
前記局側装置が、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップと、
前記局側装置が、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信するステップとを含み、
前記局側装置が前記設定処理を行うステップにおいては、前記局側装置が、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始
し、
前記局側装置が前記設定処理を行うステップにおいては、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記設定処理を開始する、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、局側装置、通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが広く普及しており、利用者は世界各地で運営されているサイトの様々な情報にアクセスし、その情報を入手することが可能である。これに伴って、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)およびFTTH(Fiber To The Home)等のブロードバンドアクセスが可能な装置も急速に普及してきている。
【0003】
IEEE Std 802.3ah(登録商標)-2004(非特許文献1)には、複数の宅側装置(ONU:Optical Network Unit)が光通信回線を共有して局側装置(OLT:Optical Line Terminal)とのデータ伝送を行なう媒体共有形通信である受動的光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)の1つの方式が開示されている。すなわち、PONを通過するユーザ情報およびPONを管理運用するための制御情報を含め、すべての情報がイーサネット(登録商標)フレームの形式で通信されるEPON(Ethernet(登録商標) PON)と、EPONのアクセス制御プロトコル(MPCP(Multi-Point Control Protocol))およびOAM(Operations Administration and Maintenance)プロトコルとが規定されている。局側装置と宅側装置との間でMPCPフレームをやりとりすることによって、宅側装置の加入、離脱、および上りアクセス多重制御などが行なわれる。また、非特許文献1では、MPCPメッセージによる、新規宅側装置の登録方法、帯域割り当て要求を示すレポート、および送信指示を示すゲートについて記載されている。
【0004】
また、特許文献1(国際公開第2015/166791号)には、以下のような局側装置が開示されている。すなわち、局側装置は、複数の宅側装置と通信可能な局側装置であって、前記宅側装置の設定情報を他の装置から取得する取得処理を行なう取得部と、前記取得部によって取得された前記設定情報の一部または全部を前記宅側装置へ送信する設定処理を行なう設定部とを備え、前記取得部は、各前記宅側装置の優先度に応じた順番で前記各宅側装置の前記取得処理を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】IEEE Std 802.3ah(登録商標)-2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような特許文献1に記載の技術を超えて、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することが可能な技術が望まれる。
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することが可能な局側装置、通信システムおよび通信制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の局側装置は、複数の宅側装置と通信可能な局側装置であって、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する取得部と、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うとともに、対応する前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて前記宅側装置と通信する通信部と、前記取得部によって取得された前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を前記通信部に設定する設定処理を行う設定部とを備え、前記設定部は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を前記通信部が行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0010】
本開示の通信システムは、複数の宅側装置と、複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備え、前記局側装置は、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行い、前記局側装置は、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得し、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行い、前記局側装置は、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信し、前記局側装置は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0011】
本開示の通信制御方法は、複数の宅側装置と通信可能な局側装置における通信制御方法であって、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップとを含み、前記設定処理を行うステップにおいては、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0012】
本開示の通信制御方法は、複数の宅側装置と、複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、前記局側装置が、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、前記局側装置が、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、前記局側装置が、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップと、前記局側装置が、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信するステップとを含み、前記局側装置が前記設定処理を行うステップにおいては、前記局側装置が、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0013】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える局側装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、局側装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える通信システムとして実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。また、本開示の一態様は、通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係るPONシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける各種処理の順番の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る局側装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける各種処理の順番の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける管理テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係るPONシステムの局側装置および宅側装置による各種処理のシーケンスを示す図である。
【
図8】
図8は、
図7のシーケンスに従って各種処理を行った場合における管理テーブルの変化の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態の変形例1に係る局側装置における記憶部が記憶している優先テーブルを示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態の変形例1に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態の変形例2に係る局側装置における記憶部が記憶している優先テーブルを示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態の変形例2に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0018】
(1)本開示の実施の形態に係る局側装置は、複数の宅側装置と通信可能な局側装置であって、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する取得部と、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うとともに、対応する前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて前記宅側装置と通信する通信部と、前記取得部によって取得された前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を前記通信部に設定する設定処理を行う設定部とを備え、前記設定部は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を前記通信部が行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0019】
このように、通信接続を確立していない宅側装置についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、宅側装置との通信接続を確立してから、局側装置および宅側装置間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。したがって、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0020】
(2)好ましくは、前記設定部は、通信接続を確立済の複数の前記宅側装置の中から、前記宅側装置の優先度に応じた順番に従って前記設定処理を開始する。
【0021】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置を優先することに加えて、さらに、通信接続を確立済の複数の宅側装置の中から、優先度に応じて通信待ち時間を短縮することができる。これにより、たとえばビジネス向けの契約および一般住宅向けの契約等の契約内容に応じて、異なるサービスクラスの通信サービスを提供することができる。
【0022】
(3)好ましくは、前記設定部は、通信接続を確立済の1または複数の前記宅側装置を示す接続情報に基づいて、前記設定処理を開始する。
【0023】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置を簡易な処理で認識し、当該通信接続を確立済の宅側装置についての設定処理を優先的に開始することができる。
【0024】
(4)好ましくは、前記設定部は、通信接続を確立済の前記宅側装置が存在しない場合、通信接続を確立していない複数の前記宅側装置の中から、前記宅側装置の優先度に応じた順番に従って前記設定処理を開始する。
【0025】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置が存在しない場合においても、通信接続を確立していない複数の宅側装置の中から、優先度に応じて通信待ち時間を短縮することができる。
【0026】
(5)本開示の実施の形態に係る通信システムは、複数の宅側装置と、複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備え、前記局側装置は、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行い、前記局側装置は、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得し、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行い、前記局側装置は、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信し、前記局側装置は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0027】
このように、局側装置が、通信接続を確立していない宅側装置についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置が宅側装置との通信接続を確立してから、局側装置および宅側装置間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。したがって、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0028】
(6)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の宅側装置と通信可能な局側装置における通信制御方法であって、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップとを含み、前記設定処理を行うステップにおいては、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0029】
このように、局側装置が、通信接続を確立していない宅側装置についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置が宅側装置との通信接続を確立してから、局側装置および宅側装置間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。したがって、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0030】
(7)本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の宅側装置と、複数の前記宅側装置と通信可能な局側装置とを備える通信システムにおける通信制御方法であって、前記局側装置が、前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うステップと、前記局側装置が、複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得するステップと、前記局側装置が、取得した各前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の前記宅側装置との通信に関する設定処理を行うステップと、前記局側装置が、前記設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の前記宅側装置と通信するステップとを含み、前記局側装置が前記設定処理を行うステップにおいては、前記局側装置が、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する。
【0031】
このように、局側装置が、通信接続を確立していない宅側装置についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置が宅側装置との通信接続を確立してから、局側装置および宅側装置間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。したがって、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0032】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0033】
[通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係るPONシステムの構成を示す図である。
【0034】
図1を参照して、通信システムの一例であるPONシステム300は、複数の宅側装置200と、上位ネットワークに接続された局側装置100と、複数の宅側装置200にそれぞれ接続された複数の端末装置210と、スプリッタSPとを備える。局側装置100は、複数の宅側装置200と通信可能である。
【0035】
PONシステム300は、DPoE(DOCSIS Provisioning of EPON)システムであってもよいし、DPoE以外のPONシステムであってもよい。
【0036】
複数の宅側装置200と局側装置100とは、スプリッタSPおよび光ファイバを介して接続され、互いに光信号を送受信する。
図1に示す例では、1つの局側装置100に512台の宅側装置200が接続されている。
【0037】
以下では、便宜上、512台の宅側装置200の各々に1から512までの通し番号を付して説明する。また、たとえば通し番号が1番である宅側装置200を宅側装置200-1と称するように、通し番号がN番である宅側装置200を宅側装置200-Nと称する場合がある。
【0038】
PONシステム300では、各宅側装置200から局側装置100への光信号が時分割多重される。
【0039】
局側装置100は、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理を行う。より詳細には、局側装置100は、接続処理としてたとえばディスカバリ処理を行うことにより、宅側装置200との通信接続を確立する。すなわち、局側装置100におけるディスカバリ処理により、当該宅側装置200はリンクアップする。
【0040】
また、局側装置100は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得し、取得した各設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の宅側装置200との通信に関する設定処理を行う。
【0041】
そして、局側装置100は、設定処理において設定された情報を用いて、リンクアップ済すなわち通信接続を確立済の宅側装置200と通信する。
【0042】
より詳細には、局側装置100は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数のコンフィグファイルを取得する。コンフィグファイルは、局側装置100と宅側装置200との通信等に用いる各種設定情報を含む。
【0043】
局側装置100は、取得したコンフィグファイルに含まれる設定情報に含まれる一部または全部の情報を自己のLSI(Large Scale Integration)等に設定する。
【0044】
より詳細には、コンフィグファイルに含まれる設定情報は、たとえば、宅側装置200のMAC(Media Access Control)アドレス、LLID(Logical Link Identifier)、VLAN(Virtual Local Area Network)、最大帯域、最低保証帯域、帯域優先度、宅側装置200のIDおよびパスワード等の情報を含む。
【0045】
局側装置100は、コンフィグファイルに含まれる設定情報のうち、たとえば宅側装置200のMACアドレス、LLID、VLAN、最大帯域、最低保証帯域、帯域優先度、宅側装置200のIDおよびパスワードを自己のLSI等に設定する。以下、局側装置100が自己に設定する、MACアドレス、LLID、VLAN、最大帯域、最低保証帯域、帯域優先度、宅側装置200のIDおよびパスワードを、通信用設定情報と総称する。
【0046】
局側装置100は、自己に設定した通信用設定情報に含まれる、宅側装置200のMACアドレス、宅側装置200のIDおよびパスワード等の認証情報を用いて、宅側装置200の認証処理を行う。
【0047】
より詳細には、局側装置100は、宅側装置200から受信した認証要求に含まれるMACアドレス、ユーザIDおよびパスワード等の認証情報と、自己の保持する認証情報とを照合する。
【0048】
局側装置100は、宅側装置200の認証が成功すると、取得したコンフィグファイルに含まれる設定情報に含まれる一部または全部の情報を、拡張OAM等を用いて当該宅側装置200へ送信する。
【0049】
より詳細には、局側装置100は、コンフィグファイルに含まれる設定情報のうち、たとえば宅側装置200のLLID、最大帯域および最低保証帯域を当該宅側装置200へ送信する。以下、局側装置100が宅側装置200へ送信する、LLID、最大帯域および最低保証帯域を、ONU設定情報と総称する。
【0050】
宅側装置200は、ONU設定情報を局側装置100から受信すると、受信したONU設定情報を自己のLSI等に設定する。
【0051】
宅側装置200によるONU設定情報の設定が完了すると、局側装置100および宅側装置200間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始される。
【0052】
[課題]
ところで、PONシステム300において、複数の宅側装置200が同時期にリンクアップする場合がある。
【0053】
たとえば、PONシステム300において、定期的または不定期に、局側装置100のファームウェアの更新または書き換えが行われる。光ファイバに多数の宅側装置200が接続された状態で局側装置100のファームウェアの更新等を行って局側装置100を再起動すると、再起動の直後に多数の宅側装置200が一斉にリンクアップする。
【0054】
このように、多数の宅側装置200が一斉にリンクアップする場合、宅側装置200がリンクアップしてから実際に局側装置100および宅側装置200間において上記通信情報の伝送が開始されるまでの時間(以下、通信待ち時間とも称する。)は長くなる。
【0055】
図2は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける各種処理の順番の一例を示す図である。
【0056】
図2を参照して、1つの局側装置100に対して、宅側装置200-3、宅側装置200-4、宅側装置200-1、宅側装置200-5および宅側装置200-2がこの順にリンクアップした場合を想定する。
【0057】
たとえば、局側装置100は、宅側装置200の接続状態すなわちリンクアップ済か否かに関わらず、宅側装置200の通し番号の順番に従い、宅側装置200-1、宅側装置200-2、宅側装置200-3、宅側装置200-4および宅側装置200-5の順に、対応の設定情報をそれぞれ用いて設定処理を行う。この場合、宅側装置200-3が最初にリンクアップしたにも関わらず、リンクアップ済でない宅側装置200-1および宅側装置200-2についての設定処理が完了した後に、宅側装置200-3の設定処理が開始される。したがって、宅側装置200-3の通信待ち時間は長くなってしまう。
【0058】
一例として、局側装置100は、1台の宅側装置200についての設定処理を完了するまでに数百ミリ秒の時間を要し、512台の宅側装置200についての設定処理を逐次的に行う場合、すべての宅側装置200についての設定処理が完了するまでに数分の時間を要する。
【0059】
したがって、たとえば512台の宅側装置200のうち宅側装置200-512が最初にリンクアップした場合において、局側装置100が512台の宅側装置200についての設定処理を通し番号の順番に従って行うと、宅側装置200-512の設定処理は最後に行われるため、宅側装置200-512の通信待ち時間は、数分間となる。
【0060】
このように、多数の宅側装置200が一斉にリンクアップする状況において、宅側装置200の接続状態に関わらず複数の宅側装置200にそれぞれ対応する設定情報を用いて設定処理を行った場合、一部または全部の宅側装置200の通信待ち時間が長くなってしまう。
【0061】
そこで、本開示の実施の形態に係るPONシステムでは、以下のような構成および動作により、上記問題を解決する。
【0062】
[局側装置]
局側装置100は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、リンクアップ済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0063】
図3は、本開示の実施の形態に係る局側装置の構成を示す図である。
【0064】
図3を参照して、局側装置100は、取得部110と、設定部120と、通信部130と、記憶部140とを備える。通信部130は、たとえばLSIにより実現される。記憶部140は、たとえば不揮発性メモリである。
【0065】
取得部110は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応するコンフィグファイルを取得する。
【0066】
たとえば、記憶部140は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数のコンフィグファイルを記憶している。
【0067】
取得部110は、記憶部140におけるコンフィグファイルのうち、設定処理されていない通信用設定情報に対応するコンフィグファイルを取得し、取得したコンフィグファイルを設定部120へ出力する。
【0068】
より詳細には、たとえば、記憶部140における各コンフィグファイルには、設定処理されている通信用設定情報に対応するコンフィグファイルと、設定処理されていない通信用設定情報に対応するコンフィグファイルとを区別するためのフラグが付与されている。取得部110は、上記フラグを確認することにより、設定処理されていない通信用設定情報に対応するコンフィグファイルを識別する。
【0069】
以下、設定処理されている通信用設定情報に対応するコンフィグファイルを設定済コンフィグファイルとも称し、設定処理されていない通信用設定情報に対応するコンフィグファイルを未設定コンフィグファイルとも称する。たとえば、局側装置100のファームウェアの更新等を行って局側装置100を再起動すると、上記フラグがリセットされることにより、すべてのコンフィグファイルは未設定コンフィグファイルとなる。
【0070】
設定部120は、取得部110によって取得されたコンフィグファイルに含まれる一部または全部の情報を通信部130に設定する設定処理を行う。
【0071】
たとえば、設定部120は、取得部110からコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130へ出力することにより、通信部130のレジスタ等に設定情報を書き込む。
【0072】
ここで、局側装置100では、一例として、ハードウェア的な制約により、宅側装置200についての設定処理を逐次的に行う必要がある。
【0073】
設定部120は、たとえば、宅側装置200についての設定処理を逐次的に行い、1つの宅側装置200についての設定処理が完了すると、次の宅側装置200についての設定処理を開始する。
【0074】
より詳細には、通信部130は、設定部120による1つの宅側装置200についての設定処理が完了すると、当該設定処理が完了したことを示す設定完了情報を取得部110へ出力する。
【0075】
取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けると、記憶部140を参照し、直近で取得したコンフィグファイルに付与されているフラグを設定することにより、当該コンフィグファイルを設定済コンフィグファイルとするとともに、1または複数の未設定コンフィグファイルの中から次の設定処理に用いるコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0076】
設定部は、取得部110からコンフィグファイルを受けて、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する。
【0077】
通信部130は、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理たとえばディスカバリ処理を行う。また、通信部130は、設定部120に設定された通信用設定情報を用いて、対応する宅側装置200と通信する。
【0078】
たとえば、通信部130は、設定部120に設定された通信用設定情報に含まれる認証情報を用いて、宅側装置200の認証処理を行う。
【0079】
より詳細には、通信部130は、宅側装置200から受信した認証要求に含まれる認証情報と、設定部120に設定された通信用設定情報に含まれる認証情報とを照合する。
【0080】
通信部130は、宅側装置200の認証が成功すると、対応する宅側装置200のMACアドレスを含む認証成功情報を、設定部120へ出力する。
【0081】
設定部120は、通信部130から認証成功情報を受けると、受けた認証成功情報が示すMACアドレスに対応するコンフィグファイルに含まれるONU設定情報を、拡張OAM等を用いて、対応の宅側装置200へ通信部130経由で送信する。
【0082】
宅側装置200は、ONU設定情報を通信部130経由で設定部120から受信すると、受信したONU設定情報を自己のLSI等に設定する。
【0083】
通信部130は、宅側装置200によるONU設定情報の設定が完了すると、通信用設定情報を用いて、当該宅側装置200と互いに光信号を送受信することにより、当該宅側装置200と通信する。
【0084】
設定部120は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を通信部130が行うことと並行して、リンクアップ済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0085】
たとえば、設定部120は、リンクアップ済の1または複数の宅側装置200を示す接続情報に基づいて、設定処理を開始する。
【0086】
たとえば、記憶部140は、上記接続情報として、リンクアップ済の宅側装置200の識別情報たとえばMACアドレスを示す管理テーブルを記憶している。
【0087】
取得部110は、記憶部140における管理テーブルを参照することにより、記憶部140における1または複数の未設定コンフィグファイルの中から、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する。
【0088】
より詳細には、取得部110は、記憶部140における管理テーブルを参照し、管理テーブルに宅側装置200のMACアドレスが含まれている場合、記憶部140における1または複数の未設定コンフィグファイルの中から、当該MACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。取得部110は、検索対象のコンフィグファイルを検出すると、当該コンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0089】
たとえば、取得部110は、管理テーブルに複数のMACアドレスが含まれている場合、管理テーブルに含まれるMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0090】
一方、取得部110は、管理テーブルに宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合、たとえば通し番号が最も小さい宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0091】
通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200がリンクアップすると、当該宅側装置200のMACアドレスを管理テーブルに登録する。
【0092】
より詳細には、宅側装置200は、通信部130によるディスカバリ処理において、自己の識別情報たとえば自己のMACアドレスを通信部130へ送信する。
【0093】
通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200がリンクアップすると、ディスカバリ処理において当該宅側装置200から受信したMACアドレスを記憶部140における管理テーブルに登録する。
【0094】
また、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けると、直近で取得したコンフィグファイルに対応するMACアドレスを、管理テーブルから削除する。そして、取得部110は、更新後の管理テーブルを参照することにより、次の設定処理において用いるコンフィグファイルとして、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを取得する。
【0095】
図4は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける各種処理の順番の一例を示す図である。
【0096】
図5は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおける管理テーブルの一例を示す図である。
【0097】
図4を参照して、宅側装置200-3、宅側装置200-4、宅側装置200-1、宅側装置200-5および宅側装置200-2がこの順にリンクアップした場合を想定する。
【0098】
この場合、
図5に示すように、通信部130は、宅側装置200-3のMACアドレス、宅側装置200-4のMACアドレス、宅側装置200-1のMACアドレス、宅側装置200-5のMACアドレスおよび宅側装置200-2のMACアドレスがこの順に並ぶように各MACアドレスを管理テーブルに登録する。
【0099】
図4に示す例では、取得部110は、
図5に示す管理テーブルを参照することにより、リンクアップ済の宅側装置200のうち最先にリンクアップした宅側装置200-3に対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得し、取得したコンフィグファイルを設定部120へ出力する。
【0100】
設定部120は、取得部110から宅側装置200-3に対応するコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する。
【0101】
通信部130は、宅側装置200-3に対応するコンフィグファイルに含まれる認証情報を用いて、宅側装置200-3の認証処理を行う。
【0102】
[動作の流れ]
PONシステム300における各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0103】
図6は、本開示の実施の形態に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0104】
図6を参照して、まず、局側装置100における取得部110は、記憶部140を参照し、記憶部140に未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS102でYES)、記憶部140における管理テーブルを参照する(ステップS104)。
【0105】
次に、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが含まれている場合(ステップS106でYES)、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、当該MACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。なお、取得部110は、管理テーブルに含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する(ステップS108)。
【0106】
次に、取得部110は、コンフィグファイルを検索した結果、検索対象のコンフィグファイルが記憶部140に含まれていない場合(ステップS110でNO)、エラーログを記憶部140に保存するとともに、記憶部140に他の未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS102でYES)、再び記憶部140における管理テーブルを参照する(ステップS104)。
【0107】
一方、取得部110は、コンフィグファイルを検索した結果、検索対象のコンフィグファイルが記憶部140に含まれている場合(ステップS110でYES)、当該コンフィグファイルを取得して設定部120へ出力する(ステップS112)。
【0108】
一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合(ステップS106でNO)、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、所定の順番たとえば宅側装置200の通し番号の順番に従って対応のコンフィグファイルを取得し、取得したコンフィグファイルを設定部120へ出力する(ステップS114)。
【0109】
次に、設定部120は、取得部110からコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を行う(ステップS116)。
【0110】
次に、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けるまで待機し(ステップS118でNO)、通信部130から設定完了情報を受けると(ステップS118でYES)、記憶部140における管理テーブルを参照し、管理テーブルに直近で取得したコンフィグファイルに対応するMACアドレスが含まれている場合、当該MACアドレスを管理テーブルから削除する(ステップS120)。
【0111】
次に、取得部110は、再び記憶部140を参照し、記憶部140に未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS102でYES)、次の設定処理に用いるコンフィグファイルを取得するために、再び管理テーブルを参照する(ステップS104)。
【0112】
図7は、本開示の実施の形態に係るPONシステムの局側装置および宅側装置による各種処理のシーケンスを示す図である。
【0113】
図8は、
図7のシーケンスに従って各種処理を行った場合における管理テーブルの変化の一例を示す図である。
【0114】
図7を参照して、まず、局側装置100における通信部130は、ディスカバリ処理を行うことにより、宅側装置200-1との通信接続を確立する(ステップS202)。
【0115】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200-1がリンクアップすると、宅側装置200-1のMACアドレスを管理テーブルに登録する(ステップS204)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-1のMACアドレスが含まれる。
【0116】
次に、局側装置100における取得部110は、管理テーブルを参照し、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する。
図8に示すように、管理テーブルには宅側装置200-1のMACアドレスが含まれるため、取得部110は、宅側装置200-1に対応するコンフィグファイルを取得して設定部120へ出力する(ステップS206)。
【0117】
次に、局側装置100における設定部120は、取得部110から宅側装置200-1に対応するコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を開始し(ステップS208)、通信用設定情報を通信部130へ出力する(ステップS210)。
【0118】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理を行うことにより、宅側装置200-7との通信接続を確立する(ステップS212)。
【0119】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200-7がリンクアップすると、宅側装置200-7のMACアドレスを管理テーブルに登録する(ステップS214)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-1のMACアドレスおよび宅側装置200-7のMACアドレスがこの順に含まれる。
【0120】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理を行うことにより、宅側装置200-3との通信接続を確立する(ステップS216)。
【0121】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200-3がリンクアップすると、宅側装置200-3のMACアドレスを管理テーブルに登録する(ステップS218)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-1のMACアドレス、宅側装置200-7のMACアドレスおよび宅側装置200-3のMACアドレスがこの順に含まれる。
【0122】
次に、通信部130は、宅側装置200-1についての設定処理が完了すると、設定処理が完了したことを示す設定完了情報を取得部110へ出力する(ステップS220)。
【0123】
次に、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けると、記憶部140における管理テーブルを参照し、宅側装置200-1のMACアドレスを管理テーブルから削除する(ステップS222)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-7のMACアドレスおよび宅側装置200-3のMACアドレスがこの順に含まれる。
【0124】
次に、取得部110は、管理テーブルを参照し、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する。
図8に示すように、管理テーブルには宅側装置200-7のMACアドレスおよび宅側装置200-3のMACアドレスがこの順に含まれるため、取得部110は、最先にリンクアップした宅側装置200-7に対応するコンフィグファイルを取得して設定部120へ出力する(ステップS224)。
【0125】
次に、設定部120は、取得部110から宅側装置200-7に対応するコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を開始し(ステップS226)、通信用設定情報を通信部130へ出力する(ステップS228)。
【0126】
次に、通信部130は、宅側装置200-7についての設定処理が完了すると、設定処理が完了したことを示す設定完了情報を取得部110へ出力する(ステップS230)。
【0127】
次に、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けると、記憶部140における管理テーブルを参照し、宅側装置200-7のMACアドレスを管理テーブルから削除する(ステップS232)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-3のMACアドレスが含まれる。
【0128】
次に、取得部110は、管理テーブルを参照し、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する。
図8に示すように、管理テーブルには宅側装置200-3のMACアドレスが含まれるため、取得部110は、宅側装置200-3に対応するコンフィグファイルを取得して設定部120へ出力する(ステップS234)。
【0129】
次に、設定部120は、取得部110から宅側装置200-3に対応するコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を開始し(ステップS236)、通信用設定情報を通信部130へ出力する(ステップS238)。
【0130】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理を行うことにより、宅側装置200-5との通信接続を確立する(ステップS240)。
【0131】
次に、通信部130は、ディスカバリ処理により宅側装置200-5がリンクアップすると、宅側装置200-5のMACアドレスを管理テーブルに登録する(ステップS242)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-3のMACアドレスおよび宅側装置200-5のMACアドレスがこの順に含まれる。
【0132】
次に、通信部130は、宅側装置200-3についての設定処理が完了すると、設定処理が完了したことを示す設定完了情報を取得部110へ出力する(ステップS244)。
【0133】
次に、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けると、記憶部140における管理テーブルを参照し、宅側装置200-3のMACアドレスを管理テーブルから削除する(ステップS246)。更新後の管理テーブルには、
図8に示すように、宅側装置200-5のMACアドレスが含まれる。
【0134】
次に、取得部110は、管理テーブルを参照し、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する。
図8に示すように、管理テーブルには宅側装置200-5のMACアドレスが含まれるため、取得部110は、宅側装置200-5に対応するコンフィグファイルを取得して設定部120へ出力する(ステップS248)。
【0135】
次に、設定部120は、取得部110から宅側装置200-5に対応するコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を開始し(ステップS250)、通信用設定情報を通信部130へ出力する(ステップS252)。
【0136】
(変形例1)
本開示の実施の形態に係る局側装置では、取得部110は、管理テーブルに複数のMACアドレスが含まれている場合、管理テーブルに含まれるMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスが含まれていない場合、通し番号が最も小さい宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。そして、設定部120は、取得部110から受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0137】
設定部120は、リンクアップ済の複数の宅側装置200の中から、宅側装置200の優先度に応じた順番に従って設定処理を開始する構成であってもよい。また、設定部120は、リンクアップ済の宅側装置200が存在しない場合、リンクアップ済ではない複数の宅側装置200の中から、宅側装置200の優先度に応じた順番に従って設定処理を開始する構成であってもよい。
【0138】
より詳細には、記憶部140は、優先的に設定処理をすべき宅側装置200のMACアドレスを示す優先テーブルを記憶している。
【0139】
図9は、本開示の実施の形態の変形例1に係る局側装置における記憶部が記憶している優先テーブルを示す図である。
【0140】
図9に示す例では、記憶部140における優先テーブルには、優先的に設定処理をすべき宅側装置200の通し番号である17、33、151および435と、対応するMACアドレスとが含まれている。
【0141】
取得部110は、記憶部140における管理テーブルを参照し、管理テーブルに複数の宅側装置200のMACアドレスが含まれている場合、優先テーブルを参照し、管理テーブルに含まれる複数のMACアドレスの中から、優先テーブルに含まれるMACアドレスと一致するMACアドレスを検索する。すなわち、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスを検索する。
【0142】
そして、取得部110は、記憶部140における1または複数の未設定コンフィグファイルの中から、当該MACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。取得部110は、検索対象のコンフィグファイルを検出すると、当該コンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0143】
たとえば、取得部110は、管理テーブルに宅側装置200-10のMACアドレスおよび宅側装置200-17のMACアドレスが含まれている場合、記憶部140における優先テーブルを参照して、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスである、宅側装置200-17のMACアドレスを抽出する。
【0144】
そして、取得部110は、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、宅側装置200-17のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。取得部110は、検索対象である宅側装置200-17のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検出すると、当該コンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0145】
また、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0146】
また、取得部110は、管理テーブルに宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合、優先テーブルを参照し、優先テーブルに含まれる1または複数のMACアドレスのうち、たとえば通し番号が最も小さい宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0147】
図10は、本開示の実施の形態の変形例1に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0148】
図10を参照して、まず、局側装置100における取得部110は、記憶部140を参照し、記憶部140に未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS302でYES)、記憶部140における管理テーブルを参照する(ステップS304)。
【0149】
次に、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが複数含まれている場合(ステップS306でYES、かつステップS308でYES)、記憶部140における優先テーブルを参照する(ステップS310)。
【0150】
次に、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスを検索する(ステップS312)。
【0151】
次に、取得部110は、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。なお、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する(ステップS314)。
【0152】
一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが1つ含まれている場合(ステップS306でYES、かつステップS308でNO)、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、当該MACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する(ステップS314)。
【0153】
次に、取得部110は、コンフィグファイルを検索した結果、検索対象のコンフィグファイルが記憶部140に含まれていない場合(ステップS316でNO)、エラーログを記憶部140に保存するとともに、記憶部140に他の未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS302でYES)、再び記憶部140における管理テーブルを参照する(ステップS304)。
【0154】
一方、取得部110は、コンフィグファイルを検索した結果、検索対象のコンフィグファイルが記憶部140に含まれている場合(ステップS316でYES)、当該コンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する(ステップS318)。
【0155】
一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合(ステップS306でNO)、記憶部140における優先テーブルを参照する(ステップS320)。
【0156】
次に、取得部110は、優先テーブルに含まれるMACアドレスに対応するコンフィグファイルの中から、所定の順番たとえば宅側装置200の通し番号の順番に従って対応のコンフィグファイルを取得し、取得したコンフィグファイルを設定部120へ出力する(ステップS322)。
【0157】
次に、設定部120は、取得部110からコンフィグファイルを受けると、受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する設定処理を行う(ステップS324)。
【0158】
次に、取得部110は、通信部130から設定完了情報を受けるまで待機し(ステップS326でNO)、通信部130から設定完了情報を受けると(ステップS326でYES)、記憶部140における管理テーブルを参照し、管理テーブルに直近で取得したコンフィグファイルに対応するMACアドレスが含まれている場合、当該MACアドレスを管理テーブルから削除する(ステップS328)。
【0159】
次に、取得部110は、再び記憶部140を参照し、記憶部140に未設定コンフィグファイルが含まれている場合(ステップS302でYES)、次の設定処理に用いるコンフィグファイルを取得するために、再び管理テーブルを参照する(ステップS304)。
【0160】
(変形例2)
本開示の実施の形態の変形例1に係る局側装置では、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち最先にリンクアップした宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスが含まれていない場合、優先テーブルに含まれる1または複数のMACアドレスのうち通し番号が最も小さい宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。そして、設定部120は、取得部110から受けたコンフィグファイルに含まれる通信用設定情報を通信部130に設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0161】
記憶部140は、優先的に設定処理をすべき宅側装置200のMACアドレスを優先順位とともに示す優先テーブルを記憶している。
【0162】
図11は、本開示の実施の形態の変形例2に係る局側装置における記憶部が記憶している優先テーブルを示す図である。
【0163】
図11に示す例では、記憶部140における優先テーブルには、優先的に設定処理をすべき宅側装置200の通し番号である17、33、151および435ならびにこれらの優先順位と、対応するMACアドレスとが含まれている。
【0164】
取得部110は、記憶部140における管理テーブルを参照し、管理テーブルに複数の宅側装置200のMACアドレスが含まれている場合、優先テーブルを参照し、管理テーブルに含まれる複数のMACアドレスの中から、優先テーブルに含まれるMACアドレスと一致するMACアドレスを検索する。すなわち、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスを検索する。
【0165】
取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち優先順位がより高い宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0166】
たとえば、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に、宅側装置200-151のMACアドレスおよび宅側装置200-33のMACアドレスが含まれている場合、優先順位がより高い宅側装置200-151のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0167】
また、取得部110は、管理テーブルに宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合、優先テーブルを参照し、優先テーブルに含まれる1または複数のMACアドレスのうち、優先順位がより高い宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶部140から取得して設定部120へ出力する。
【0168】
図12は、本開示の実施の形態の変形例2に係るPONシステムにおいて局側装置が宅側装置の設定処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0169】
図12におけるステップS402からステップS412の処理は、
図8におけるステップS302からステップS312の処理と同様である。
【0170】
ステップS412の次に、取得部110は、記憶部140における未設定コンフィグファイルの中から、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する。なお、取得部110は、管理テーブルおよび優先テーブルの両方に含まれるMACアドレスが複数存在する場合、これらのMACアドレスのうち優先テーブルにおける優先順位がより高い宅側装置200のMACアドレスに対応するコンフィグファイルを検索する(ステップS414)。
【0171】
次に、取得部110は、ステップS416からステップS418の処理として、
図8におけるステップS316からステップS318と同様の処理を行う。
【0172】
一方、取得部110は、管理テーブルにMACアドレスすなわちリンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスが含まれていない場合(ステップS406でNO)、記憶部140における優先テーブルを参照する(ステップS420)。
【0173】
次に、取得部110は、優先テーブルに含まれるMACアドレスに対応するコンフィグファイルの中から、優先順位がより高い宅側装置200に対応するコンフィグファイルを取得し、取得したコンフィグファイルを設定部120へ出力する(ステップS422)。
【0174】
次に、取得部110および設定部120は、ステップS424からステップS428の処理として、
図8におけるステップS324からステップS328と同様の処理を行う。
【0175】
なお、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、取得部110は、局側装置100の記憶部140に含まれるコンフィグファイルを取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。取得部110は、局側装置100の外部からコンフィグファイルを取得する構成であってもよい。
【0176】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、設定部120は、コンフィグファイルに含まれる設定情報の一部である通信用設定情報を通信部130に設定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定部120は、設定情報の全部を通信部130に設定する構成であってもよい。
【0177】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、設定部120は、コンフィグファイルに含まれる設定情報の一部であるONU設定情報を通信部130経由で宅側装置200へ送信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定部120は、設定情報の全部を宅側装置200へ送信する構成であってもよい。
【0178】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、設定部120が通信部130に設定する通信用設定情報の一部と、設定部120が宅側装置200へ送信するONU設定情報の一部とが同じである構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信用設定情報およびONU設定情報は全部が同じであってもよいし、全部が異なっていてもよい。
【0179】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、設定部120は、各宅側装置200についての設定処理を逐次的に行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。設定部120は、複数の宅側装置200についての設定処理を並行して行う構成であってもよい。すなわち、設定部120は、1つの宅側装置200についての設定処理が完了する前に、次の宅側装置200についての設定処理を開始する構成であってもよい。
【0180】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置100では、取得部110は、リンクアップ済の宅側装置200のMACアドレスを示す管理テーブルを参照することにより、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを優先的に取得して設定部120へ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、局側装置100は、リンクアップ済の宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶する第1の記憶部、およびリンクアップしていない宅側装置200に対応するコンフィグファイルを記憶する第2の記憶部を備え、取得部110は、第1の記憶部から優先的にコンフィグファイルを取得する構成であってもよい。
【0181】
ところで、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することが可能な技術が望まれる。
【0182】
これに対して、本開示の実施の形態に係る局側装置は、複数の宅側装置200と通信可能である。取得部110は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する。通信部130は、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理を行うとともに、対応する設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて宅側装置200と通信する。設定部120は、取得部110によって取得された設定情報に含まれる一部または全部の情報を通信部130に設定する設定処理を行う。設定部120は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を通信部130が行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0183】
このように、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置200との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置200についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置200についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、宅側装置200との通信接続を確立してから、局側装置100および宅側装置200間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。
【0184】
したがって、本開示の実施の形態に係る局側装置では、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0185】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置では、設定部120は、通信接続を確立済の複数の宅側装置200の中から、宅側装置200の優先度に応じた順番に従って設定処理を開始する。
【0186】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置200を優先することに加えて、さらに、通信接続を確立済の複数の宅側装置200の中から、優先度に応じて通信待ち時間を短縮することができる。これにより、たとえばビジネス向けの契約および一般住宅向けの契約等の契約内容に応じて、異なるサービスクラスの通信サービスを提供することができる。
【0187】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置では、設定部120は、通信接続を確立済の1または複数の宅側装置200を示す接続情報に基づいて、設定処理を開始する。
【0188】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置200を簡易な処理で認識し、当該通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始することができる。
【0189】
また、本開示の実施の形態に係る局側装置では、設定部120は、通信接続を確立済の宅側装置200が存在しない場合、通信接続を確立していない複数の宅側装置200の中から、宅側装置200の優先度に応じた順番に従って設定処理を開始する。
【0190】
このような構成により、通信接続を確立済の宅側装置200が存在しない場合においても、通信接続を確立していない複数の宅側装置200の中から、優先度に応じて通信待ち時間を短縮することができる。
【0191】
また、本開示の実施の形態に係る通信システムは、複数の宅側装置200と、複数の宅側装置200と通信可能な局側装置100とを備える。局側装置100は、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理を行う。局側装置100は、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得し、取得した各設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の宅側装置200との通信に関する設定処理を行う。局側装置100は、設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の宅側装置200と通信する。局側装置100は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0192】
このように、局側装置100が、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置200との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置200についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置200についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置100が宅側装置200との通信接続を確立してから、局側装置100および宅側装置200間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。
【0193】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信システムでは、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0194】
また、本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の宅側装置200と通信可能な局側装置100における通信制御方法である。この通信制御方法では、まず、局側装置100が、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理を行う。また、局側装置100が、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する。次に、局側装置100が、取得した各設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の宅側装置200との通信に関する設定処理を行う。局側装置100は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0195】
このように、局側装置100が、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置200との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置200についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置200についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置100が宅側装置200との通信接続を確立してから、局側装置100および宅側装置200間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。
【0196】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信制御方法では、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0197】
また、本開示の実施の形態に係る通信制御方法は、複数の宅側装置200と、複数の宅側装置200と通信可能な局側装置100とを備える通信システムにおける通信制御方法である。この通信制御方法では、まず、局側装置100が、宅側装置200との通信接続を確立するための接続処理を行う。また、局側装置100が、複数の宅側装置200にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する。次に、局側装置100が、取得した各設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて対応の宅側装置200との通信に関する設定処理を行う。次に、局側装置100が、設定処理において設定された情報を用いて、通信接続を確立済の宅側装置と通信する。局側装置100は、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する。
【0198】
このように、局側装置100が、通信接続を確立していない宅側装置200についての接続処理を行うことと並行して、通信接続を確立済の宅側装置200についての設定処理を優先的に開始する構成により、各宅側装置200との通信接続が順次確立していく状況において、通信接続が確立した宅側装置200についての設定処理を、通信接続が未確立の宅側装置200についての設定処理よりも先に開始することができる。これにより、局側装置100が宅側装置200との通信接続を確立してから、局側装置100および宅側装置200間において各種通信サービスを提供するための通信情報の伝送が開始されるまでの時間すなわち通信待ち時間を短縮することができる。
【0199】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信制御方法では、宅側装置との通信接続が確立されてから当該宅側装置へ通信サービスが提供できるまでに要する時間を短縮することができる。
【0200】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0201】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
複数の宅側装置と通信可能な局側装置であって、
複数の前記宅側装置にそれぞれ対応する複数の設定情報を取得する取得部と、
前記宅側装置との通信接続を確立するための接続処理を行うとともに、対応する前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を用いて前記宅側装置と通信する通信部と、
前記取得部によって取得された前記設定情報に含まれる一部または全部の情報を前記通信部に設定する設定処理を行う設定部とを備え、
前記設定部は、前記宅側装置についての前記設定処理を逐次的に行い、
前記設定部は、通信接続を確立していない前記宅側装置についての前記接続処理を前記通信部が行うことと並行して、通信接続を確立済の前記宅側装置についての前記設定処理を優先的に開始する、局側装置。
【符号の説明】
【0202】
100 局側装置
110 取得部
120 設定部
130 通信部
140 記憶部
200 宅側装置
210 端末装置
300 PONシステム
SP スプリッタ