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特許7218616プログラム、コンピュータ、及びコンピュータの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータ、及びコンピュータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20230131BHJP
   G01R 33/02 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
H02J3/00 170
G01R33/02 K
G01R33/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019036520
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141514
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 庸輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】平原 尚也
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-281230(JP,A)
【文献】特開2007-195318(JP,A)
【文献】特開2013-201855(JP,A)
【文献】特開2003-032891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
G01R 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
複数の電力線のうちの何れかを電力が供給されない停止線に決定する決定操作を受付ける決定操作受付部、
前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電圧の算出に用いられる情報の入力操作を受付ける入力操作受付部、
前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電圧を自動で算出する電圧算出部
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記情報は、前記電力線と前記停止線との相互距離が相違し得る各種の装柱の何れかを特定する装柱情報を含み、
前記装柱情報が入力された場合、当該装柱情報で特定される装柱における前記電力線と前記停止線との相互距離を自動で算出する距離算出部として前記コンピュータを機能させる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記情報は、前記電力線と前記停止線との相互距離が相違し得る各種の装柱の何れかを特定する装柱情報を含み、
前記装柱情報により特定される装柱に応じて、前記電力線へ供給される電圧を自動で入力する自動入力部として前記コンピュータを機能させる
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記入力操作受付部は、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電流の算出に用いられる情報の入力操作を受付け、
前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電流を自動で算出する電流算出部として前記コンピュータを機能させる
請求項1から請求項3の何れかに記載のプログラム。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載のプログラムが記憶された記憶媒体。
【請求項6】
複数の電力線のうちの何れかを電力が供給されない停止線に決定する決定操作を受付ける決定操作受付部と、
前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電圧の算出に用いられる情報の入力操作を受付ける入力操作受付部と、
前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電圧を自動で算出する電圧算出部と
を具備するコンピュータ。
【請求項7】
複数の電力線のうちの何れかを電力が供給されない停止線に決定する決定操作を受付けるステップと、
前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電圧の算出に用いられる情報の入力操作を受付けるステップと、
前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電圧を自動で算出するステップと
を具備するコンピュータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起誘導体が被誘導体に誘起する誘導電圧を算出するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、起誘導体が被誘導体に誘起する誘導電圧を算出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、電力線の近傍の設備(通信線)に誘起される誘導電圧を算出する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-281230公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装柱(鉄塔等)には複数の電力線が併架され、電力線の取替作業等電力線近傍での作業をする場合、一部の電力線への電力の供給が停止される。以上の場合、電力が供給されない電力線(以下「停止線」という)には、他の電力線により誘導電圧が誘起される。
【0005】
本来、停止線に誘起する誘導電圧を事前に算出し、誘導電圧の大きさに応じた安全対策をするのが望ましい。しかし、作業場所毎に電力線の種類等が異なるため,誘導電圧の算出作業が算出条件を変えて毎回必要となる。したがって、誘導電圧の算出作業が負担になるという不都合があった。以上の事情を考慮して、本発明は、停止線となる電力線が変化する場合において、誘導電圧の算出作業の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明に係るプログラムは、コンピュータを、複数の電力線のうちの何れかを電力が供給されない停止線に決定する決定操作を受付ける決定操作受付部、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電圧の算出に用いられる情報の入力操作を受付ける入力操作受付部、前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電圧を自動で算出する電圧算出部として機能させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の電力線から停止線を任意に決定可能であるとともに、当該停止線の誘導電圧が自動で算出される。したがって、誘導電圧の算出作業の負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成を説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電磁誘導電圧の計算モデルを説明するための図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る誘導算出画面の模擬図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る処理で参照される各テーブルの模擬図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る自動入力に際して表示される各画像の模擬図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る誘導算出処理のフローチャートである。
図7】本発明の第1実施形態に係るインピーダンス行列の概念図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る静電誘導電圧の計算モデルを説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る誘導算出処理のフローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態に係る相互距離を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るコンピュータ100のハードウェア構成を説明するための図である。図1に示す通り、コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104およびI/F105を含む。各構成は、例えばデータバスを介して互いに通信可能である。なお、コンピュータ100のハードウェア構成は適宜に変更できる。
【0011】
CPU101は、プログラムを実行することで各種の機能を実現する。なお、CPU101に替えてMPU(Micro Processing Unit)をプロセッサとして採用してもよい。ROM102は、CPU101が実行するプログラムを含む各種の情報を不揮発的に記憶する。RAM103は、CPU101がプログラムを実行する場合に参照される情報が一時的に記憶される。
【0012】
HDD104は、各種の情報を不揮発的に記憶する。例えば、HDD104は、誘電算出プログラムPGを記憶する。詳細には後述するが、誘電算出プログラムPGを実行することで、誘電算出画面M(後述の図3参照)が表示される。誘電算出画面Mを用いて各種の情報(例えば、後述の種類情報)を利用者が入力することで、電力の供給が停止した電力線Lの電磁誘導電流および電磁誘導電圧が算出される。誘導算出プログラムPGは、携帯可能な記憶媒体(例えば、USBメモリ)に記憶され、当該記憶媒体からHDD104へ記憶される。
【0013】
I/F105は、図1に示す通り、ポインタ装置300および表示装置200が接続可能である。ポインタ装置300は、利用者により操作される。例えば、ポインタ装置300が適宜に操作されると、上述の誘導算出プログラムPGが実行され、誘導算出画面Mが表示される。また、誘導算出画面Mが表示される期間において、ポインタ装置300に対して入力操作をすることで、電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出するための各種の情報を入力できる。
【0014】
表示装置200は、コンピュータ100により制御され、各種の画面を表示する。例えば、表示装置200は、誘導算出プログラムPGの実行に応じて、上述の誘導算出画面Mを表示する。なお、電磁誘導電圧を算出するために操作される操作部の一例として、ポインタ装置300を例示したが、他の操作部を採用してもよい。
【0015】
図2(a)は、本実施形態の誘導算出プログラムPGにより算出される電磁誘導電圧を説明するための図である。図2(a)に示す通り、複数個の鉄塔(装柱)Tにより複数本の電力線Lが併架される。図2(a)の具体例では、3相3線方式により送電される場合を想定する。以上の場合、各鉄塔Tにより合計で6本の電力線Lが併架される。
【0016】
なお、図2(a)の具体例では、各鉄塔Tのうち鉄塔T1および鉄塔T2を抜粋して示す。共通の電力線を併架する各鉄塔T(例えば、鉄塔T1および鉄塔T2)は、原則、構造が共通である。また、図2(a)の具体例では、6本の電力線Lのうち2本の電力線Lを示し、他の4本の電力線Lを省略する。また、実際は架空地線が各鉄塔Tにより併架されるが図2(a)では省略する。以上の架空地線は、電力線Lを雷などから保護する。
【0017】
ところで、通常は電力線Lの全てに電力が供給される。しかし、電力線Lまたは鉄塔Tにおいて、各種の作業をする際には、一部の電力線Lへの電力の供給を停止する場合がある。例えば、電力線Lの取替作業をする場合、または、ジャンパJの解放作業をする場合、当該電力線Lへの電力を停止する。以下、電力の供給が停止した電力線Lを、電力が供給される他の電力線Lと区別するため「停止線LS」と記載する。
【0018】
図2(a)に示す通り、碍子Iを介して電力線Lは鉄塔Tに支持される。以上の場合、停止線LSおよび鉄塔Tに電位差が生じ得る。そこで、安全のためアースE(乙種アース)を介して停止線LSを鉄塔Tに複数個所で接続する。図2(a)の具体例では、2個のアースE(1、2)により、停止線LSと鉄塔Tとが2箇所で接続される。
【0019】
ただし、停止線LSと鉄塔TとをアースEにより接続した場合であっても、他の電力線Lに交流電圧が供給されるため、当該停止線LSに電磁誘導電圧(電磁誘導電流)が生じる。したがって、仮に停止線LSに接触した場合、当該停止線LSに生じた電磁誘導電圧により事故(感電事故)が生じる可能性がある。
【0020】
以上の事情から、安全対策のため、停止線LSに生じる電磁誘導電圧の大きさを事前に把握することが重要になる。しかし、停止線LSとなる電力線Lは作業を行う箇所毎に電線種類等が相違し得るため、電磁誘導電圧の算出作業が停止線LSを変えて(算出条件を変えて)毎回必要となる。したがって、電磁誘導電圧の算出作業が負担になるという不都合があった。
【0021】
以上の事情を考慮して、本実施形態の誘電算出プログラムPGでは、複数の電力線Lから停止線LSを任意に決定可能であるとともに、当該停止線LSの電磁誘導電圧および電磁誘導電流が自動で算出される構成とした(詳細には後述)。以上の誘電算出プログラムPGによれば、電磁誘導電圧の算出作業が負担になるという不都合が抑制される。
【0022】
また、本実施形態の誘電算出プログラムPGでは、停止線LSの電磁誘導電圧および電磁誘導電流に加え、仮に作業者が感電した場合に人体を通過する電流(以下「通過電流」と記載する)の大きさを算出可能とした。以上の通過電流を把握することで、感電した場合の被害の大きさをより具体的に(直観的に)把握可能になる。例えば、感電した際の通過電流が約100mAを超えた場合、心室細動の発生および心肺停止の可能性が高まり極めて危険であることが知られている。
【0023】
図2(b)は、通過電流の算出条件を説明するための図である。上述の図2(a)に示す通り、停止線LSと鉄塔TとをアースEにより接続した場合、停止線LS→アースE1→鉄塔T1→大地→鉄塔T2→アースE2→停止線LSの閉回路Cが形成される。本実施形態では、停止線LSにより感電した場合、閉回路Cの各構成(停止線LS等)と直列に人体が電気的に接続され、人体に通過電流が流れるものと仮定し、通過電流が算出される。
【0024】
また、本実施形態では、人体の抵抗(以下「人体抵抗Rh」という)が500Ωであるものとして通過電流を算出する。なお、人体が濡れて比較的電気を通し易い場合、人体抵抗Rhは約500Ωである。また、アースE1の抵抗(以下「接地抵抗R1」)が1Ωであると仮定して通過電流が算出される。同様に、アースE2の抵抗(以下「接地抵抗R2」)が1Ωであると仮定して通過電流が算出される。
【0025】
閉回路Cにおける大地の抵抗は、停止線LSと電力線Lとが併架される距離(以下「併架こう長」という)、および、大地導電率から求められる。本実施形態では、大地導電率が0.03(S/m)であるものと仮定して大地の抵抗が求められる。併架こう長は、利用者により入力情報として入力される(詳細には後述。図5(d)参照)。
【0026】
図3(a)は、誘導算出画面Mの模擬図である。上述した通り、誘導算出画面Mは、誘導算出プログラムPGを実行することで、表示装置200に表示される。本実施形態の誘導算出画面Mは、算出表画像Ga(後述の図3(b)参照)、入力支援ボタンBxおよび計算実行ボタンByを含んで構成される。また、図3(a)に示す通り、誘導算出画面Mには指示画像Gsが表示される。なお、誘導算出画面Mに表示される画像は適宜に変更できる。
【0027】
図3(a)に示す通り、誘導算出画面Mは「周波数」および「併架こう長」を表示する。誘導算出画面Mにおける「周波数」は、電力線Lに供給される交流電流の周波数を示す。図3(a)の具体例では、周波数は60Hzである。「併架こう長」は、停止線SLのうち電力線Lと併架されている部分の長さを示す。停止線LSにおける電磁誘導電流は、電力線Lとの併架こう長が長いほど大きくなる。
【0028】
図3(a)の具体例では、併架こう長は1kmである。また、誘導算出画面Mには、上述の大地導電率(0.03S/m)、接地抵抗R1(1Ω)、接地抵抗R2(1Ω)および人体抵抗Rh(500Ω)が表示される。誘導算出画面Mにおける各種の情報は、当該情報に対応するセルCに表示される。算出表画像Gaは、電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出するための他の情報を表示する各セルCを含む。
【0029】
上述した通り、誘導算出画面Mが表示される期間において、ポインタ装置300に対して入力操作をすることで、電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出するための各種の情報を入力できる。具体的には、ポインタ装置300を移動操作(マウスドラッグ)することで、誘導算出画面Mの指示画像Gsが移動する。また、ポインタ装置300を選択操作(マウスクリック)することで、指示画像Gsが位置するセルCを選択可能である。セルCを選択した場合、所定の入力装置(キーボード等)を操作することで、当該セルCに各種の情報を入力できる。
【0030】
なお、本実施形態では、指示画像GsによりセルCを選択し、当該セルCに情報を入力することを「直接入力」という場合がある。詳細には後述するが、誘導算出画面Mの入力支援ボタンBxを操作することで、電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出するための各種の情報を自動的に入力することが出来る。以下、入力支援ボタンBxを操作して各種の情報を算出表示画像Gaへ自動的に入力することを「自動入力」という場合がある。入力支援ボタンBxが操作された後に、電磁誘導電流および電磁誘導電圧が自動で算出可能となり、算出表画像Gaに算出された電磁誘導電流および電磁誘導電圧が表示される。
【0031】
計算実行ボタンByが操作されると、通過電流(人体を通過する電流)が自動で算出され、算出された通過電流が算出表画像Gaに表示される。なお、電磁誘導電流、電磁誘導電圧および通過電流の算出方法の詳細は後述する。
【0032】
図3(b)は、算出表画像Gaの模擬図である。図3(b)の具体例では、3相3線方式で送電する2回線鉄塔における電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出する場合を想定する。図3(b)に示す通り、算出表画像Gaは、鉄塔Tにより併架される各架渉線(電力線L、架空地線)の「種別」「座標」「相別」「電流値」「線種」「外径」「抵抗」および「素導体間隔」を表示する。
【0033】
算出表画像Gaの「種別」は、鉄塔Tにより併架される架渉線が電力線Lであるか架空地線であるかを示す。図3(b)の具体例では、6本の電力線および2本の架空地線が併架される場合を想定する。また、算出表画像Gaの「座標」は、所定の地点を原点とした場合の架渉線の座標を示す。架渉線の座標の詳細については、後述の図4(c)を用いて説明する。
【0034】
算出表画像Gaの「相別」は、電力線Lの3相交流における位相(青、白、赤)を示す。また、架渉線に電力が供給されない場合、当該架渉線に対応する「相別」のセルCには「停止」を入力する。例えば、架空地線には電力が供給されないため、架空地線に対応する「相別」のセルCには「停止」が入力される。
【0035】
図3(b)の具体例では、「No.6」から「No.8」の各電力線Lに電力が供給され、「No.3」から「No.5」の各電力線Lへの電力の供給が停止している場合を想定する。すなわち、「No.3」から「No.5」の各電力線Lが停止線LSの場合を想定する。以上の場合、「No.3」から「No.5」の各電力線L(停止線LS)に対応する「相別」のセルCには「停止」が入力される。
【0036】
算出表画像Gaの「電流値」は、電力が供給される電力線Lに流れる電流の大きさ(A)を示す。例えば、「No.6」から「No.8」の電力線Lの各々の電流値は、3968(A)である。電力が供給されない架空地線および停止線(「No.3」から「No.5」の電力線L)の電流値は0(A)になる。
【0037】
算出表画像Gaの「線種」は、架渉線の種類を示す。例えば、図3(b)の具体例では、各電力線がACSR(鋼心アルミより線)の場合を想定する。また、算出表画像Gaの「外径」は架渉線の外径(mm)を示し、「抵抗」は架渉線の抵抗値(Ω/km)を示す。また、算出表画像Gaの「素導体間隔」は、架渉線が複導体の場合における各導体の距離を示す。
【0038】
図3(b)に示す通り、算出表画像Gaは、電磁誘導電圧および通過電流を表示する。図3(b)の具体例において算出される電磁誘導電圧は複素数で表され、電磁誘導電圧の実部および虚部が別々に表示される。なお、電磁誘導電圧をそのまま複素数で算出表画像Gaに表示してもよい。また、電磁誘導電圧の実数成分および虚数成分のベクトル合成を算出し、算出結果が算出表画像Gaに表示される構成としてもよい。また、誘導算出プログラムPGにより算出された電磁誘導電圧および通過電流が算出表示画像Ga以外に表示される構成としてもよい。
【0039】
上述した通り、算出表画像Gaの各情報は、指示画像GsによりセルCを選択して直接入力が可能である。また、算出表画像Gaの各情報は、入力支援ボタンBxを操作することで自動入力することも可能である。以下、各種の情報を自動入力可能とするための構成について詳細に説明する。
【0040】
図4(a)は、電力線諸元テーブルの概念図である。電力線諸元テーブルは、架渉線の線種と、当該線種の種別(架空地線および電力線の何れであるか)、当該線種の断面積、外径(上述の算出表画像Gaの「外径」に対応)、鋼心外径、外層素線径、抵抗(算出表画像Gaの「抵抗」に対応)、導体数、素導体間隔(算出表画像Gaの「素導体間隔」に対応)および電流値(算出表画像Gaの「電流値」に対応)とが対応して記憶される。
【0041】
電力線諸元テーブルは、各種の情報を自動入力するための操作(後述の図5に示す各画像に対する操作)がされた場合に参照される。具体的には、各種の情報が自動入力される場合、各架渉線の線種を利用者が選択可能な画面(後述の図5(c)参照)が表示される。電力線Lの線種が選択された場合、当該線種に応じた断面積、外径、鋼心外径、外層素線径、抵抗、導体数、素導体間隔および電流値が電力線諸元テーブルから検索される。
【0042】
利用者により選択された架渉線の線種は、その後、算出表画像Gaに表示される。また、電力線諸元テーブルから検索された各種の情報のうち種別、外径、抵抗、素導体間隔および電流値が算出表画像Gaに表示される。なお、他の情報が算出画像Gaに表示される構成としてもよい。例えば、利用者が選択した線種の素導体数が算出画像Gaに表示される構成としてもよい。また、電力諸元テーブルの構成は、上述の例に限定されない。例えば、架渉線の抵抗温度係数、連続許容温度および短時間許容温度が電力諸元テーブルに含まれる構成としてもよい。
【0043】
電力線諸元テーブルに存在しない線種の架渉線について誘導(電圧、電流)を算出する場合を想定する。以上の場合、電力線諸元テーブルに存在しない線種の架渉線に係る各種の情報を、利用者は算出表画像GaのセルCへ直接入力する。なお、電力線諸元テーブルへ新たな線種の各情報が追加可能な構成としてもよい。
【0044】
図4(b)は、標準装柱テーブルの概念図である。詳細には後述するが、各種の情報が自動入力される場合、鉄塔(装柱)の種類を2回線鉄塔および4回線鉄塔から選択可能である(後述の図5(a)参照)。標準装柱テーブルは、2回線鉄塔が選択された場合に用いられる。
【0045】
2回線鉄塔の種類は、鉄塔TAから鉄塔TDが設けられる。図4(b)に示す通り、標準装柱テーブルは、各架渉線の座標を鉄塔Tの種類に対応させる。以上の各鉄塔Tは、電力線Lへ供給される電圧(66kV、110kV、220kV、500kV)が相違する。例えば、鉄塔TAの電力線Lへ供給される電圧は66kVである。また、鉄塔TBの電力線Lへ供給される電圧は110kVであり、鉄塔TCの電力線Lへ供給される電圧は220kVであり、鉄塔TDの電力線Lへ供給される電圧は500kVである。
【0046】
各種の情報が自動入力される場合、鉄塔Tの種類(電圧の種類)が利用者により選択される(後述の図5(b)参照)。鉄塔Tの種類が選択されると、当該鉄塔Tの種類に応じて各架渉線の座標が標準装柱テーブルから特定され、上述の算出表画像Gaに表示される。
【0047】
図4(c)は、本実施形態における各架渉線(電力線L、架空地線)の座標を説明するための図である。図4(c)では、上述の鉄塔TBを例として各架渉線の座標を説明する。鉄塔TBは、図4(b)に示す通り、「No.1」から「No.7」の架渉線(以下、「No.1の架渉線」を「架渉線N1」等という)が設けられる。なお、鉄塔TBにおける架渉線N1は架空地線である。また、鉄塔TBにおける架渉線N2から架渉線N7は、電力線Lである、架渉線N2から架渉線N5の3相により一の回線が構成される。また、架渉線L5から架渉線L7の3相により他の一の回線が構成される。
【0048】
標準装柱テーブルの座標は、図4(c)に示す通り、所定の位置を原点Oとした場合における、地表と垂直な方向(鉛直方向)であるZ軸方向上の架渉線の位置、および、地表と並行、且つ、各架渉線と垂直に交わる方向であるX軸方向上の架渉線の位置の組合せである。詳細には後述するが、各架渉線の座標により、架渉線間の相互距離等が算出される。
【0049】
本実施形態では、4回線鉄塔が選択された場合、架空地線の本数、各回線(3相の各電力線L)の電圧、架渉線間の相互距離を直接入力可能な画像(図示略)が表示される。以上の画像において、誘導を算出するために要する各情報を直接入力する。ただし、4回線鉄塔が選択された場合に参照される標準装柱テーブルを設け、4回線鉄塔が選択された場合であっても、各架渉線の座標(相互距離)が自動入力される構成としてもよい。
【0050】
上述した通り、誘導算出画面Mの入力支援ボタンBxを操作することで、各種の情報を自動入力できる。具体的には、入力支援ボタンBxを操作した後に、特定の情報(回線数、電圧、線種、停止回線、併架こう長)を選択または入力するための各種の画像が表示装置200において順次に表示される。
【0051】
本実施形態では、算出表画像Gaにおける入力支援ボタンBxを操作した後に、装柱選択画像Gb(後述の図5(a)参照)が表示され、電圧選択画像Gc(図5(b)参照)が表示され、線種選択画像Gd(図5(c)参照)が表示され、亘長入力画像Ge(図5(d)参照)が表示される。当該各画像に応じた特定の情報を利用者が選択または入力することで、誘導を算出するのに用いる各種の情報が自動入力される。
【0052】
図5(a)は、装柱選択画像Gbの模擬図である。上述した通り、装柱選択画像Gbは、誘導算出画面Mの入力支援ボタンBxの操作に応じて表示される。図5(a)に示す通り、装柱選択画像Gbは、回線選択ボタンBb1、回線選択ボタンBb2およびキャンセルボタンBb3を表示する。キャンセルボタンBb3へ指示画像Sを移動操作(マウスドラッグ)し、選択操作(マウスクリック)することで、自動入力がキャンセルされて装柱選択画像Gbが非表示となる。
【0053】
回線選択ボタンBb2が選択操作された場合、4回線鉄塔の誘導が算出可能になる。具体的には、回線選択ボタンBb2が選択操作された場合、架空地線の本数、各回線(3相の各電力線L)の電圧、架渉線間の相互距離を直接入力可能な画像が表示される。一方、回線選択ボタンBb1が選択操作された場合、2回線鉄塔の誘導が算出可能になる。回線選択ボタンBb1が操作された場合、装柱選択画像Gbに替えて、電圧選択画像Gcが表示装置200に表示される。
【0054】
図5(b)は、電圧選択画像Gcの模擬図である。図5(b)に示す通り、電圧選択画像Gcは、電圧ボタンBc1から電圧ボタンBc4および、戻るボタンBc5を含んで構成される。戻るボタンbc5が選択操作された場合、電圧選択画像Gcが非表示になり、上述の装柱選択画像Gbが再度表示される。
【0055】
電圧選択画像Gcの電圧ボタンBc1が選択操作された場合、鉄塔TAが決定される。また、電圧ボタンBc2が選択操作された場合、鉄塔TBが決定される。同様に、電圧ボタンBc3が選択操作された場合、鉄塔TCが決定され、電圧ボタンBc4が選択操作された場合、鉄塔TDが決定される。
【0056】
以上の通り、電圧ボタンBc(1~4)が操作された場合、鉄塔Tの種類が決定される。鉄塔の種類が決定された場合、鉄塔Tの各架渉線の種別(架空地線、電力線)が特定できる。また、以上の各架渉線の座標が上述の標準装柱テーブルを用いて特定できる。架渉線の種別および座標は、上述した通り、算出表画像Gaに表示される。電圧ボタンBcの何れかが操作されると、電圧選択画像Gcに替えて、線種選択画像Gdが表示装置200に表示される。
【0057】
図5(c)は、線種選択画像Gdの模擬図である。線種選択画像Gdを操作することで、鉄塔Tの各架渉線の線種(ACSR等)を選択できる。具体的には、上述の電圧選択画像Gcで選択された鉄塔Tの各架渉線の線種を選択できる。図5(c)の具体例では、各鉄塔Tのうち鉄塔TCが選択された場合を想定する。鉄塔TCは、2本の架空地線および6本の電力線Lが併架する(上述の図4(b)参照)。電力線Lは3本で一の回線を構成する。なお、同一の回線を構成する各電力線Lの線種は、共通であるのが通常である。
【0058】
図5(c)に示す通り、線種選択画像Gdは、リスト表示ボタンBd1、停止線決定ボタンBd2および決定ボタンBd3を含む。リスト表示ボタンBd1は、架空地線に対応するリスト表示ボタンBd1、および、回線に対応するリスト表示ボタンBd1を含む。図5(c)の具体例では、鉄塔TCにより併架される2本の架空地線(架空地線1、架空地線2)に対応する2個のリスト表示ボタンBd1、および、2個の回線(回線1、回線2)に対応する2個のリスト表示ボタンBd1の合計4個のリスト表示ボタンBd1が表示される。
【0059】
リスト表示ボタンBd1が操作されると、線種リストDLが表示される。図5(c)の具体例では、回線2に対応するリスト表示ボタンBd1が操作され、線種リストDLが表示された場合を想定する。線種リストDLは、上述の電力線諸元テーブルに記憶される線種を表示する。利用者は、誘導を算出する鉄塔Tに支持される各架渉線の線種を線種リストDLから選択する。例えば、図5(c)の具体例では、回線1の線種として「ACSR410×4」が設定された場合を想定する。以上の場合、鉄塔TCの6本の電力線Lのうち回線1を構成する3本の電力線Lの線種が「ACSR410×4」に決定される。
【0060】
図5(c)に示す通り、停止線決定ボタンBd2が各回線に対応して設けられる。停止線決定ボタンBd2が操作(決定操作)された場合、当該停止線決定ボタンBd2に対応する回線を構成する電力線Lが停止線LSとして決定される。図5(c)の具体例では、各回線のうち回線1の各電力線Lが停止線LSとして決定された場合を想定する。架渉線の線種および停止線LSを適宜に決定した後に、決定ボタンBd3が操作されると、線種選択画像Gdに替えて、亘長入力画像Geが表示装置200に表示される。
【0061】
図5(d)は、亘長入力画像Geの模擬図である。停止線LS(架空地線)と電力線Lとの併架こう長(亘長)が亘長入力画像Geを用いて入力される。具体的には、亘長入力画像Geには亘長入力領域rが設けられる。亘長入力領域rを選択操作し、例えばキーボード等で併架こう長が入力できる。
【0062】
停止線LSの電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出する場合に考慮される当該停止線LSと電力線Lとの併架こう長は、停止線LSに取付けられたアースE間の距離である。図5(d)に示す通り、併架こう長として入力すべき長さが直感的に把握可能なモデル図mdが亘長入力画像Geに表示される。
【0063】
図5(d)に示す通り、亘長入力画像Geは決定ボタンBe3を表示する。決定ボタンBeが選択操作された場合、今回誘導が算出された鉄塔T(架渉線)に関する各種の情報、および、当該鉄塔Tの架空地線および停止線LSの電磁誘導電圧および電磁誘導電流が算出表画像Gaに表示される。
【0064】
具体的には、上述の電圧選択画像Gcにより入力された鉄塔Tの種類、線種選択画像Gdにより入力された各架渉線の線種、亘長入力画像Geにより入力された併架こう長、および、以上の各情報に応じて電力線諸元テーブルから取得した情報に基づいて、停止線LSとして決定された電力線Lおよび架空地線に生じる電磁誘導電圧および電磁誘導電流が算出される。なお、停止線LSを決定しない場合、架空地線に生じる電磁誘導電圧および電磁誘導電流のみが算出される。決定ボタンBeが選択操作されると亘長入力画像Geは非表示になる。
【0065】
以上の説明から理解される通り、本実施形態では、複数の電力線から停止線を任意に決定可能であるとともに、当該停止線の誘導電圧が自動で算出される。したがって、誘導電圧の算出作業の負担が軽減される。
【0066】
なお、詳細な説明は省略するが、上述の装柱選択画像Gbにおいて4回線鉄塔が選択された場合(回線選択ボタンBb2が選択操作された場合)、架空地線の本数、各回線(3相の各電力線L)の電圧、架渉線間の相互距離を直接入力可能な画像が表示される。また、以上の画像では停止線LSを決定可能であり、その後、2回線鉄塔が選択された場合と同様に、上述の亘長入力画像Geが表示される。また、亘長入力画像Geの決定ボタンBe3を選択操作することで、4回線鉄塔における停止線LSの電磁誘導電圧および電磁誘導電流が算出され、算出表画像Gaに表示される。
【0067】
図6は、誘導算出プログラムGPにより実行される誘導算出処理のフローチャートである。誘導算出処理は、コンピュータ100(CPU101)により実行される。誘導算出処理では、上述の算出表画像Gaに入力(直接入力または自動入力)された各種の情報に基づいて、停止線LSおよび架空地線における電磁誘導電圧および電磁誘導電流が算出される。
【0068】
以下、説明のため、電力が供給される電力線Lを「起誘導線」と記載する場合がある。また、停止線LSおよび架空地線を「被誘導線」と記載する場合がある。また、電磁誘導電圧および電磁誘導電流を算出することを単に「誘導計算」という場合がある。なお、被誘導線における電磁誘導電圧および電磁誘導電流の具体的な算出方法(数式等)は、以下に示す本実施形態の例に限定されず適宜に変更できる。
【0069】
図6に示す通り、誘導算出処理を開始すると、コンピュータ100は、検索処理(Sa1)を実行する。検索処理では、算出表画像Gaに入力された各種の情報に応じて、誘導計算に用いる情報を電力線諸元テーブル(上述の図4(a)参照)から検索する。例えば、算出表画像Gaに入力された架渉線の線種(ACSR等)に応じて、当該架渉線の外径、抵抗、導体数、素導体間隔が検索される。電力諸元テーブルから検索された各情報は、例えばRAM103に記憶される。
【0070】
検索処理を実行した後に、コンピュータ100は、複素電流算出処理(Sa2)を実行する。複素電流算出処理において、コンピュータ100は、算出表画像Gaに入力された電力線L(起誘導線)の電流値および相別(青、白、赤)に基づいて、当該電力線の複素電流値を算出する。電力線Lのうち停止線LSの複素電流値は0Aである。
【0071】
複素電流算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、実抵抗算出処理(Sa3)を実行する。実抵抗算出処理では、算出表画像Gaに入力された導体数および各架渉線の抵抗から実抵抗値が算出される。実抵抗算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、等価半径算出処理(Sa4)を実行する。
【0072】
等価半径算出処理では、導体数が2個以上の架渉線について等価半径rが算出される。等価半径rは、導体数n、導体の半径rおよび導体間の距離sを用いて以下の数式(1)により算出される。
【0073】
【数1】
【0074】
以下、説明のため、鉄塔Tに設けられる各架渉線のうちの一を「架渉線i」と記載し、他の架渉線を「架渉線j」と記載する場合がある。また、架渉線iのX座標を「X」と記載し、架渉線iのX座標を「X」と記載する場合がある。同様に、架渉線jのX座標を「X」と記載し、架渉線iのX座標を「X」と記載する場合がある。
【0075】
等価半径算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、相互距離算出処理(Sa5)を実行する。相互距離算出処理では、一の架渉線から見た他の架渉線までの距離が算出される。例えば、架渉線iと架渉線jとの相互距離Dijは、以下の数式(2)から求められる。
【0076】
【数2】
【0077】
等価半径算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、インピーダンス算出処理(Sa6)を実行する。架渉線jおよび架渉線iの相互インダクタンスMijは、電流の帰路である大地の導電率が均一と仮定した場合、カーソンポラチェック(Carson-Pollaczek)の公式から以下の数式(3)で表される。
【0078】
【数3】
【0079】
数式(2)のKは、起誘導線に供給される交流電流の角周波数ωに大地導電率(0.03)および4πを乗じた値の平方根である(K=(4πω×0.03)^(1/2))。また、数式(3)のDijは、架渉線iと架渉線jとの相互距離であり、上述した相互距離算出処理(Sa5)で算出される。以上の相互インダクタンスMijから相互インピーダンスZijが以下の数式(4)から求められる。なお、数式(4)におけるYは、架渉線iと架渉線jとの併架こう長である。
【0080】
【数4】
【0081】
自己インダクタンスLは、以下の数式(5)から求められる。なお、数式(5)におけるrは、上述した等価半径算出処理(Sa4)で求められる架渉線iの等価半径である。
【0082】
【数5】
【0083】
以上の自己インダクタンスLを用いて、自己インピーダンスZが以下の数式(6)から求められる。なお、数式(6)におけるRは架渉線iの実抵抗であり、上述の実抵抗算出処理(Sa3)で算出される。また、数式(6)におけるR1およびR2は接地抵抗(アースEの抵抗)である。
【0084】
【数6】
【0085】
図7(a)、図7(b-1)および図7(b-2)は、インピーダンス行列を説明するための図である。以上の自己インピーダンスZおよび相互インピーダンスZijから図7(a)に示す生成前行列が生成される。コンピュータ100は、生成前行列から被誘導線以外の成分を除外し、インピーダンス行列を生成する。
【0086】
図7(a)には、鉄塔DTが選択された場合の生成前行列の具体例を示す。鉄塔DTはNo.1からNo.8までの8本の架渉線(架渉線N1から架渉線N8)を併架する。例えば、生成前行例の各成分のうち成分Zは、架渉線N1の自己インピーダンスである。また、成分Z12は、架渉線N2を起誘導線とした場合の架渉線N1の相互インピーダンスZである。
【0087】
図7(b-1)は、インピーダンス行列の一例を示す図である。図7(b-1)は、図7(a)の生成前行列が生成される場合において、架渉線N6、架渉線N7および架渉線N8が起誘導線(電力が供給される電力線L)の場合を想定する。すなわち、架渉線N1から架渉線N5が被誘導線の場合を想定する。以上の場合、図7(a)に示す生成前行列のうち6~8行目の各成分、および、6~8列目の各成分が除外され、図7(b-1)に示すインピーダンス行列が生成される。
【0088】
図7(b-2)は、インピーダンス行列の他の例を示す図である。図7(b-2)は、図7(a)の生成前行列が生成される場合において、架渉線N3、架渉線N4および架渉線N5が起誘導線の場合を想定する。すなわち、架渉線N1および架渉線N2、架渉線N6から架渉線N8が被誘導線の場合を想定する。以上の場合、図7(a)に示す生成前行列のうち3~5行目の各成分、および、3~5列目の各成分が除外され、図7(b-2)に示すインピーダンス行列が生成される。
【0089】
コンピュータ100は、インピーダンス算出処理を実行した後に、電磁誘導電圧算出処理(Sa7)を実行する。電磁誘導電圧算出処理では、インピーダンス算出処理(Sa6)で算出したインピーダンス行列の各成分、および、複素電流算出処理(Sa7)で算出した起誘導線の複素電流を用いて、被誘導線における電磁誘導電圧が算出される。
【0090】
例えば、架渉線i(被誘導線)に誘起する電磁誘導電圧Eは、架渉線j(起誘導線)における複素電流をIとした場合、以下の数式(7)から求められる。なお、数式(7)において、ERiは電磁誘導電圧Eの実部であり、EIiは電磁誘導電圧Eの虚部である。また、数式(7)において、IRjは複素電流Iの実部であり、IIjは複素電流Iの虚部である。
【0091】
【数7】
【0092】
仮に、起誘導線が複数本の場合を想定する。以上の場合、被誘導線における電磁誘導電圧を起誘導線毎に算出し、各電磁誘導電圧のベクトル和を算出することで、当該被誘導線における実際の電磁誘導電圧が求められる。例えば、上述の図7(b-1)に示す具体例(架渉線が8本の場合の具体例)では、架渉線N1の電磁誘導電圧は以下の数式(8)で求められる。
【0093】
【数8】
【0094】
上述の図7(b-1)に示す具体例では、8本の架渉線N(1~8)のうち架渉線N6、架渉線N7および架渉線N8が起誘導線の場合を想定した。数式(8)における「(ZR16+j・ZI16)・(IR6+j・II6)」は、架渉線N6が架渉線N1に誘起する電磁誘導電圧である。また、「(ZR17+j・ZI17)・(IR7+j・II7)」は、架渉線N7が架渉線N1に誘起する電磁誘導電圧であり、「(ZR18+j・ZI18)・(IR8+j・II8)」は、架渉線N8が架渉線N1に誘起する電磁誘導電圧である。コンピュータ100は、電磁誘導電圧算出処理で求めた電磁誘導電圧の実部および虚部を算出表画像Gaに表示する。
【0095】
電磁誘導電圧算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、電磁誘導電流算出処理(Sa8)を実行する。電磁誘導電流算出処理において、コンピュータ100は、上述のインピーダンス算出処理で算出したインピーダンス行列、および、電磁誘導電圧算出処理で算出した電磁誘導電圧を用いて被誘導線における電磁誘導電流を算出する。
【0096】
例えば、上述の図7(b-1)に示す具体例では、被誘導線である架渉線N1から架渉線N5までの電磁誘導電流は以下の数式(9)を用いて求められる。
【0097】
【数9】
【0098】
数式(9)において、IR1は架渉線N1における電磁誘導電流の実部であり、II1は架渉線N1における電磁誘導電流の虚部である。また、IR2は架渉線N2における電磁誘導電流の実部であり、II2は架渉線N2における電磁誘導電流の虚部である。同様に、IR3は架渉線N3における電磁誘導電流の実部であり、II3は架渉線N3における電磁誘導電流の虚部であり、IR4は架渉線N4における電磁誘導電流の実部であり、II4は架渉線N4における電磁誘導電流の虚部であり、IR5は架渉線N5における電磁誘導電流の実部であり、II5は架渉線N5における電磁誘導電流の虚部である。
【0099】
数式(9)において、上述の電磁誘導電圧算出処理で算出された架渉線N1の電磁誘導電圧の実部をER1とし虚部をEIiとする。他の架渉線N(2~5)の電磁誘導電圧についても同様に複素数で表記する。また、上述のインピーダンス算出処理で算出されたインピーダンス行列の各成分も同様に複素数で表記する。
【0100】
電磁誘導電流は、数式(9)を計算することで求められる多元連立一次方程式を解くことで算出される。なお、本実施形態の誘導算出プログラムPGでは、インピーダンス行列の逆行列が算出され、電磁誘導電圧を成分とする行列と当該逆行列との積により各被誘導線の電磁誘導電流が算出される。コンピュータ100は、電磁誘導電流算出処理で求めた電磁誘導電流の実部および虚部を算出表画像Gaに表示する。
【0101】
以上が電磁誘導電圧および電磁誘導電流の算出方法の説明である。以下において、感電事故が生じた場合に人体を通過する通過電流の算出方法について説明する。通過電流を算出する場合、電磁誘導電流を算出する場合と同様に、図6に示す誘導算出処理が実行される。ただし、通過電流を算出する場合の処理と電磁誘導電流を算出する場合の処理とでは、インピーダンスを算出する処理(インピーダンス算出処理)の内容が相違する。
【0102】
具体的には、コンピュータ100は、通過電流を算出するに際して、被誘導線の何れか一を接触線に設定する。その後のインピーダンス算出処理では、接触線の相互インピーダンスの実部、および、接触線の自己インピーダンスの実部に、人体抵抗Rh(500Ω)が加算される。すなわち、閉回路に人体が取り込まれたものとして、当該閉回路に流れる電磁誘導電流が算出される。
【0103】
コンピュータ100は、人体抵抗Rhが加算された相互インピーダンスおよび自己インピーダンスを用いて電磁誘導電流を算出する。また、当該電磁誘導電流は、接触線で感電した場合に人体を通過する通過電流として、算出表画像Gaに表示される。コンピュータ100は、接触線を他の被誘導線に切替えて、誘導算出処理を繰り返し実行し、全ての被誘導線について通過電流を算出する。
【0104】
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0105】
上述の第1実施形態の誘導算出プログラムPGでは、被誘導線の電磁誘導電流および電磁誘導電圧が算出された。第2実施形態の誘導算出プログラムPGでは、被誘導線の電磁誘導電流および電磁誘導電圧に加え、静電誘導電流および静電誘導電圧が算出される。
【0106】
図8(a-1)は、静電誘導電圧の計算モデルを説明するための図である。上述の図2(a)に示した通り、電力線L(停止線LS)は他の電力線LとジャンパJを介して接続される。したがって、停止線LSの両端のジャンパJが解除された場合、当該停止線LSには他の電力線Lを起誘導線とする静電誘導電圧が生じる。すなわち、停止線LSが絶縁された場合に当該停止線LSに静電誘導電圧が生じる。
【0107】
図8(a-2)は、静電誘導電流の計算モデルを説明するための図である。上述の図8(a-1)を用いて説明した通り、停止線LSが絶縁された場合に当該停止線LSに静電誘導電圧が生じる。第2実施形態の誘導算出プログラムPGは、停止線LSに静電誘導電圧が生じている状態で、当該停止線LSが接地された場合に生じる電流を静電誘導電流として算出する。
【0108】
図8(b)は、算出表画像Gxの模擬図である。算出表画像Gxは、例えば、第1実施形態の誘電算出画面M(上述の図3(a)参照)に算出表画像Ga(上述の図3(b)参照)とともに表示される。ただし、算出表画像Gxおよび算出表画像Gaが別々の画面に表示される構成としてもよい。
【0109】
算出表画像Gxは、第1実施形態の算出表画像Gaと同様に、各種の情報が入力できる。具体的には、算出表画像Gxには、起誘導線となる(停止線LSに決定されない)電力線Lの電圧値を含む各種の情報を表示する。第2実施形態の誘導算出プログラムPGが実行された場合、算出表画像Gxに表示される各情報に基づいて、静電誘導電圧および静電誘導電流が算出される。算出表画像Gxには、誘導算出プログラムの実行により算出された静電誘導電圧および静電誘導電流が表示される。
【0110】
また、算出表画像Gxには各架渉線(停止線LS)の接地の有無が表示される。具体的には、接地の有無(非接地であるか否か)は、停止線LSとして決定された架渉線について表示される。例えば、停止線LSをアースEで接地していない場合、利用者は、当該停止線LSに対応するセルに「非接地」を入力する。図8(b)の具体例では、全ての停止線LS(No.1からNo.5までの架渉線)が非接地の場合を想定する。
【0111】
第2実施形態における算出表画像Gxにおける各種の情報は、第1実施形態における算出表画像Gaの各種の情報と同様に、直接入力または自動入力により入力される。例えば、第2実施形態の誘導算出画面Mには、第1実施形態と同様に、入力支援ボタンBx(図3(a)参照)が表示される。入力支援ボタンBxが操作された場合、第1実施形態と同様に、装柱選択画像Gb、電圧選択画像Gc、線種選択画像Gdおよび亘長入力画像Geが順次に表示され、各種の情報が自動入力できる。例えば、装柱選択画像Gbにおいて操作された電圧ボタンBc(図5(b)参照)に応じて、算出表示画像Gxの「電圧」が自動入力される。
【0112】
図9は、第2実施形態における誘導算出処理のフローチャートである。第2実施形態では、誘導算出画面Mの入力支援ボタンBxが操作された後に、第1実施形態の図6の誘導算出処理、および、図9の誘導算出処理の双方が実行される。以上の構成では、被誘導線の電磁誘導電流、電磁誘導電圧、静電誘導電流および静電誘導電圧が算出(誘導計算)される。
【0113】
図9に示す通り、誘導算出処理を開始すると、コンピュータ100は、検索処理(Sb1)を実行する。第2実施形態の検索処理では、第1実施形態における検索処理(図6のSa1)と同様に、算出表画像Gxに入力された各種の情報に応じて、誘導計算に要する情報を電力線諸元テーブル(上述の図4(a)参照)から検索する。
【0114】
検索処理が実行された後に、複素電圧算出処理(Sb2)が実行され、被誘導線の電圧値および相別から複素電圧が算出される。また、複素電圧算出処理が実行された後に、実抵抗算出処理(Sb3)が実行され、各架渉線の実抵抗が算出される(第1実施形態の図6のSa3と同様)。実抵抗算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、相互距離算出処理(Sb4)を実行する。
【0115】
相互距離算出処理において、コンピュータ100は、第1実施形態の相互距離算出処理(図6のSa5)と同様に、各架渉線の相互距離Dを算出する。また、コンピュータ100は、相互距離算出処理において、架渉線の影像と他の架渉線との相互距離Fを算出する。以上の相互距離Fは、後述の電位係数を算出する場合に用いられる。
【0116】
図10は、相互距離Fを説明するための図である。図10の具体例では、X軸(上述の図4(c)参照)と垂直な方向から各架渉線(i、j)を見た場合を想定する。また、図10の具体例では、架渉線iおよび架渉線jが抜粋して示される。架渉線iと架渉線jとの相互距離はDijである。図10には、架渉線iの影像が示される。以上の影像は、Z軸方向から見て架渉線iと重なる位置に設けられる。また、図10に示す通り、架渉線iのZ軸方向の座標をZとした場合、影像のZ軸方向の座標は-Zとなる。
【0117】
図9に説明を戻す。相互距離算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、電位係数算出処理(Sb5)を実行する。電位係数算出処理において、コンピュータ100は、各架渉線の電位係数P(m/F)を以下の数式(10A)および数式(10B)により算出する。
【0118】
【数10】
【0119】
数式(10A)において、Zは架渉線iのZ座標であり、rは架渉線iの導体半径である。また、数式(10B)において、Dijは架渉線iと架渉線jとの相互距離である。Fijは架渉線iの影像と架渉線jとの相互距離である。
【0120】
相互距離算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、電荷量算出処理Aを実行する。電荷量算出処理Aにおいて電荷量が算出される。以上の電荷量は、後述の静電誘導電流算出処理(Sb7)において、静電誘導電流を算出するために用いられる。
【0121】
上述の複素電圧算出処理で算出された架渉線iの複素電圧を「VRi+jVIi」、架渉線iの電荷量を「QRi+jQIi」とした場合、以下の数式(11A)および数式(11B)が成立する。なお、数式(11A)および数式(11B)におけるnは架渉線の合計本数である。
【0122】
【数11】
【0123】
以上の数式(11A)から電荷量Qに関する多元連立一次方程式を解くことで、各架渉線の電荷量Q(電荷の実部)が算出される。また、以下の数式(11B)から電荷量Qに関する多元連立一次方程式を解くことで、各架渉線の電荷量Q(電荷の虚部)が算出される。
【0124】
以下、数式(11A)および数式(11B)における、電圧値Vを成分とする行列を「電圧値行列」という。また、電位係数Pを成分とする行列を「電位係数行列」という。同様に、電荷量Qを成分とする行列を「電荷量行列」という。詳細には後述するが、静電誘導電圧を算出するために電荷量Qを求める場合、算出表画像Gxで「非接地」が入力された架渉線の成分が以上の各行列から除外される。
【0125】
電荷算出処理Aを実行した後に、コンピュータ100は、静電誘導電流算出処理(Sb7)を実行する。コンピュータ100は、静電誘導電流算出処理において、静電誘導電流を算出する。
【0126】
以下の数式(12)の通り、電荷量Qを時間微分することで、静電誘導電流が求められる。なお、数式(12)のQiは、架渉線iの電荷量Qである。また、数式(12)のfは交流電圧の周波数であり、数式(12)のYは架渉線iの亘長である。コンピュータ100は、架渉線毎に静電誘導電流(I)を算出し、算出表画像Gxに表示する。
【0127】
【数12】
【0128】
静電誘導電流算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、接地判定処理(Sb8)を実行する。接地判定処理では、算出表画像Gxで「非接地」が入力された架渉線(以下「非接地線」という)が特定される。非接地判定処理を実行した後に、コンピュータ100は、電荷量算出処理B(Sb9)を実行する。
【0129】
電荷量算出処理Bにおいて、コンピュータ100は、上述の数式(11)(A、B)を用いて電荷量Qを算出する。ただし、電荷量算出処理Bでは、非接地線の成分が除外された電圧値行列、電位係数行列および電荷量行列から電荷量Qが算出される。なお、非接地線ではない停止線LS(接地された停止線LS)の電圧値行列の成分は、数値「0」となるが除外はされない。
【0130】
電荷量算出処理Bを実行した後に、コンピュータ100は、静電誘導電圧算出処理(Sb10)を実行する。静電誘導電圧算出処理では、非接地線における静電誘導電圧が算出される。具体的には、非接地線における静電誘導電圧は、上述の電荷量算出処理Bで算出された電荷量Qの電荷(起誘導線)により生じる当該非接地線における空間電位と等しい。コンピュータ100は、電位係数Pおよび電荷量Qを用いて非接地線の空間電位を求め、当該空間電位を非接地線の静電誘導電圧として算出表画像Gxに表示する。静電誘導電圧算出処理を実行した後に、コンピュータ100は、誘導算出処理を終了する。
【0131】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様に係るプログラムは、コンピュータ(100)を、複数の電力線(L)のうちの何れかを電力が供給されない停止線(LS)に決定する決定操作(図5(c)に示す停止線決定ボタンBd2の操作)を受付ける決定操作受付部、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電流の算出に用いられる情報(例えば、線種)の入力操作(図5(c)に示すリスト表示ボタンBd1の操作)を受付ける入力操作受付部、前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電流を自動で算出する電流算出部(図6のSa8)として機能させる。以上の本態様によれば、複数の電力線から停止線を任意に決定可能であるとともに、当該停止線の誘導電流が自動で算出される。したがって、誘導電流の算出作業の負担が軽減される。
【0132】
<第2態様>
本態様に係るプログラムは、前記情報は、前記電力線と前記停止線との相互距離が相違し得る各種の装柱の何れかを特定する装柱情報を含み、前記装柱情報が入力された場合、当該装柱情報で特定される装柱における前記電力線と前記停止線との相互距離を自動で算出する距離算出部として前記コンピュータを機能させる。以上の本態様では、例えば相互距離が自動で算出されない構成と比較して、誘導電流の算出作業の負担が軽減されるという効果は格別に顕著である。
【0133】
<第3態様>
本態様に係るプログラムは、前記装柱情報により特定される装柱に応じて、前記電力線へ供給される電圧を自動で入力する自動入力部として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。本態様によれば、装柱情報を入力する操作と電力を入力する操作との双方が必要な構成と比較して、入力操作の手間が省略されるという利点がある。
【0134】
<第4態様>
本態様のプログラムは、前記入力操作受付部は、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電流の算出に用いられる情報の入力操作を受付け、前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電流を自動で算出する電流算出部として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。以上の構成によれば、誘導電圧および誘導電流との双方が自動で算出される。
【0135】
<第5態様>
本態様の記憶媒体は、第1態様から第4態様の何れかに記載のプログラムを記憶する。以上の本態様によれば、上述の第1態様から第4態様の何れかと同様な効果が奏せられる。
【0136】
<第6態様>
本態様に係るコンピュータは、電力が供給されない停止線を複数の電力線から決定する決定操作を受付ける決定操作受付部と、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電流の算出に用いられる情報の入力操作を受付ける入力操作受付部と、前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電流を自動で算出する電流算出部とを具備する。以上の本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0137】
<第7態様>
本態様に係るコンピュータの制御方法は、電力が供給されない停止線を複数の電力線から決定する決定操作を受付けるステップと、前記電力線により前記停止線に誘起される誘導電流の算出に用いられる情報の入力操作を受付けるステップと、前記入力操作により入力された前記情報を用いて前記誘導電流を自動で算出するステップとを具備する。以上の本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【符号の説明】
【0138】
100…コンピュータ、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…HDD、105…I/F、200…表示装置、300…ポインタ装置
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10