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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】端末装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20230131BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20230131BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230131BHJP
【FI】
G06F21/32
G06K7/14 017
G06T7/00 510F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019051357
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020154577
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 靖明
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0098631(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0161750(US,A1)
【文献】特開2015-046061(JP,A)
【文献】特開2016-015578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G06K 7/14
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の機能を実行するための端末装置であって、
特定のユーザの顔を撮像するための第1の撮像部と、
前記第1の撮像部とは異なる第2の撮像部であって、情報コードを撮像するための前記第2の撮像部と、
情報を表示するための表示部と、
事前に登録された登録済みユーザの顔の特徴点を表わす登録済み顔データを記憶するメモリと、
制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記特定の機能の実行のために認証を行うべき特定の場合において、
前記第1の撮像部が前記特定のユーザの顔を撮像することによって生成される顔画像と、前記第2の撮像部が前記情報コードを撮像することによって生成されるコード画像の両方を前記表示部に表示させるとともに、
前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、
(a)前記顔画像に基づいて前記特定のユーザの顔の特徴点を表わす特定の顔データを抽出し、抽出された前記特定の顔データが、前記メモリに記憶された前記登録済み顔データと対応するか否かの第1種の判定を実行するとともに、
(b)前記コード画像に基づいて前記情報コードに記録されたデータの出力が成功するか否かの第2種の判定を実行し、
前記顔画像と前記コード画像とが前記表示部に表示されている間に、前記第1種の判定と前記第2種の判定の両方において肯定的に判定される特定の状況が成立する場合に、前記認証に成功したと判断し、前記特定の機能の実行を許可し、
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像を重ねて前記表示部に表示させるとともに、前記表示部に表示される前記顔画像と前記コード画像のうち、上方に重ねられた側の画像を、少なくとも一部が半透過された態様で表示させる、
端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、
前記第1種の判定において肯定的に判定される前に、前記第2種の判定において肯定的に判定された合には、前記顔画像を前記コード画像よりも強調して前記表示部に表示させ、
前記第2種の判定において肯定的に判定される前に、前記第1種の判定において肯定的に判定された合には、前記コード画像を前記顔画像よりも強調して前記表示部に表示させる、請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
特定の機能を実行するための端末装置であって、
特定のユーザの顔を撮像するための第1の撮像部と、
前記第1の撮像部とは異なる第2の撮像部であって、情報コードを撮像するための前記第2の撮像部と、
情報を表示するための表示部と、
事前に登録された登録済みユーザの顔の特徴点を表わす登録済み顔データを記憶するメモリと、
制御部と、
を備えており、
前記制御部は、前記特定の機能の実行のために認証を行うべき特定の場合において、
前記第1の撮像部が前記特定のユーザの顔を撮像することによって生成される顔画像と、前記第2の撮像部が前記情報コードを撮像することによって生成されるコード画像の両方を前記表示部に表示させるとともに、
前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、
(a)前記顔画像に基づいて前記特定のユーザの顔の特徴点を表わす特定の顔データを抽出し、抽出された前記特定の顔データが、前記メモリに記憶された前記登録済み顔データと対応するか否かの第1種の判定を実行するとともに、
(b)前記コード画像に基づいて前記情報コードに記録されたデータの出力が成功するか否かの第2種の判定を実行し、
前記顔画像と前記コード画像とが前記表示部に表示されている間に、前記第1種の判定と前記第2種の判定の両方において肯定的に判定される特定の状況が成立する場合に、前記認証に成功したと判断し、前記特定の機能の実行を許可し、
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、
前記第1種の判定において肯定的に判定される前に、前記第2種の判定において肯定的に判定された場合には、前記顔画像を前記コード画像よりも強調して前記表示部に表示させ、
前記第2種の判定において肯定的に判定される前に、前記第1種の判定において肯定的に判定された場合には、前記コード画像を前記顔画像よりも強調して前記表示部に表示させる、
端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像とを並べて前記表示部に表示させる、請求項3に記載の端末装置。
【請求項5】
前記特定のユーザが把持可能な筐体をさらに備え、
前記筐体は、第1の平面と、前記第1の平面と反対側の第2の平面と、を有しており、
前記第1の撮像部及び前記表示部は、前記第1の平面上に露出するように設けられ、前記第2の撮像部は、前記第2の平面上に露出するように設けられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、特定の機能を実行するための端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの認証を行ない、認証が成功したユーザに特定の機能の実行を許可する認証装置が開示されている。この認証装置は、撮像部と制御部とを備える。この認証装置で認証を行う場合、まず撮像部はユーザの顔を撮像する。そして、制御部は、撮像されたユーザの顔の画像からユーザの顔の特徴点を表わす第1の顔データを抽出する。その後、撮像部は、ユーザが所持する携帯端末の表示部に表示された情報コードを撮像する。そして、制御部は、撮像された情報コードの画像から、事前に情報コードに記録されているユーザの顔の特徴点を表わす第2の顔データを出力する。制御部は、第1の顔データと第2の顔データとを照合し、両者が対応するか否か(即ち、同一人物を表わす顔データ同士であるか否か)を判定する。そして制御部は、両者が対応すると判定される場合に、認証が成功したと判断し、当該ユーザに特定の機能の実行を許可する。
【0003】
特許文献1の認証装置は、認証のために、ユーザに、撮像部に自身の顔を撮像させるための動作と、携帯端末の表示部に表示させた情報コードを撮像部に撮像させる動作と、の2つの異なる動作を順番に行わせることを要求することにより、高いセキュリティ性の実現を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-222445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、特許文献1の認証装置では、認証のために、ユーザは、撮像部に自身の顔を撮像させるための動作と、携帯端末の表示部に表示させた情報コードを撮像部に撮像させる動作と、の2つの異なる動作を順番に行う必要がある。しかしながら、特許文献1の認証装置による認証では、2つの異なる動作が異なるタイミングで行われるため、本来のユーザ(即ち、事前に情報コードに第2の顔データが記録されているユーザ)以外の第三者が不正に認証を成功させてしまうおそれがある。
【0006】
本来のユーザ以外の第三者が不正に認証を成功させてしまう例を説明する。例えば、本来のユーザの携帯端末を不正に入手した第三者が、本来のユーザの携帯端末のメモリ内に保存されている本来のユーザの顔画像を表示部に表示させて、その顔画像を認証装置の撮像部に撮像させることによって、認証装置の制御部に本来のユーザの顔の特徴点を表わす第1の顔データを不正に抽出させることができる。続けて、第三者は、情報コードを携帯端末の表示部に表示させて、その情報コードを認証装置の撮像部に撮像させることによって、制御部に、事前に情報コードに記録された第2の顔データを不正に出力させることができる。この場合、第1の顔データと第2の顔データが対応するため、ユーザではない第三者による認証が不正に成功してしまう。このように、特許文献1の認証装置によっては、ユーザではない第三者による認証が不正に成功してしまう事態が生じるおそれがある。
【0007】
本明細書では、事前に登録されたユーザ以外の第三者が不正に認証を成功させてしまう事態を抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、特定の機能を実行するための端末装置を開示する。前記端末装置は、特定のユーザの顔を撮像するための第1の撮像部と、前記第1の撮像部とは異なる第2の撮像部であって、情報コードを撮像するための前記第2の撮像部と、情報を表示するための表示部と、事前に登録された登録済みユーザの顔の特徴点を表わす登録済み顔データを記憶するメモリと、制御部と、を備えている。前記制御部は、前記特定の機能の実行のために認証を行うべき特定の場合において、前記第1の撮像部が前記特定のユーザの顔を撮像することによって生成される顔画像と、前記第2の撮像部が前記情報コードを撮像することによって生成されるコード画像の両方を前記表示部に表示させるとともに、前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、(a)前記顔画像に基づいて前記特定のユーザの顔の特徴点を表わす特定の顔データを抽出し、抽出された前記特定の顔データが、前記メモリに記憶された前記登録済み顔データと対応するか否かの第1種の判定を実行するとともに、(b)前記コード画像に基づいて前記情報コードに記録されたデータの出力が成功するか否かの第2種の判定を実行し、前記顔画像と前記コード画像とが前記表示部に表示されている間に、前記第1種の判定と前記第2種の判定の両方において肯定的に判定される特定の状況が成立する場合に、前記認証に成功したと判断し、前記特定の機能の実行を許可する。
【0009】
上記の構成によると、特定の機能の実行のために認証を行うべき特定の場合において、表示部には、顔画像とコード画像の両方が表示される。制御部は、表示部に顔画像とコード画像の両方が表示されている間に、第1種の判定と第2種の判定の両方において肯定的に判定される特定の状況が成立する場合に認証に成功したと判断する。即ち、特定のユーザは、端末装置によって認証を行うために、第1の撮像部に顔を撮像させる動作と、第2の撮像部に情報コードを撮像させる動作と、の両方を同タイミングで実行する必要がある。さらに、その上で、認証の成功のためには、表示部に顔画像とコード画像の両方が表示されている間に、第1種の判定と第2種の判定の両方において肯定的に判定される必要がある。
【0010】
そのため、仮に、登録済みユーザ以外の第三者が登録済みユーザの端末装置を不正に入手したとしても、登録済みユーザの許可なく、第1の撮像部に登録済みユーザの顔(若しくは、登録済みユーザの顔の画像)を撮像させる動作と、第2の撮像部に情報コードを撮像させる動作と、を同タイミングで実行することは非常に困難である。そのため、表示部に登録済みユーザの顔画像と、情報コードのコード画像の両方が表示されている間に第1種の判定と第2種の判定の両方において肯定的に判定される事態を実現することは極めて困難である。そのため、上記の構成によると、顔の撮像及び撮像された顔の画像に基づく判定と、情報コードの撮像及び撮像されたコード画像に基づく判定と、を別個に行う従来の構成に比べて、事前に登録された登録済みユーザ以外の第三者が不正に認証を成功させてしまう事態の発生が抑制され得る。
【0011】
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像を重ねて前記表示部に表示させるとともに、前記表示部に表示される前記顔画像と前記コード画像のうち、上方に重ねられた側の画像を、少なくとも一部が半透過された態様で表示させてもよい。
【0012】
この構成によると、顔画像とコード画像の両画像を表示部の比較的広範な領域内に表示させることができる。そのため、特定のユーザは、比較的大きく表示された顔画像とコード画像を見ながら、顔と情報コードが適切に撮影されるように、第1の撮像部及び第2の撮像部の位置、角度等を調整することができる。
【0013】
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像とを並べて前記表示部に表示させてもよい。
【0014】
この構成によると、顔画像とコード画像の両画像を明確に視認できる対応で表示部内に表示させ得る。そのため、特定のユーザは、明確に表示された顔画像とコード画像を見ながら、顔と情報コードが適切に撮影されるように、第1の撮像部及び第2の撮像部の位置、角度等を調整することができる。
【0015】
前記制御部は、前記特定の場合において、前記顔画像と前記コード画像の両方が前記表示部に表示されている間に、前記第1種の判定において肯定的に判定される前に、前記第2種の判定において肯定的に判定された第1種の場合には、前記顔画像を前記コード画像よりも強調して前記表示部に表示させ、前記第2種の判定において肯定的に判定される前に、前記第1種の判定において肯定的に判定された第2種の場合には、前記コード画像を前記顔画像よりも強調して前記表示部に表示させてもよい。
【0016】
この構成によると、顔画像と前記コード画像の両方が表示部に表示されている間に、第1種の判定及び第2種の判定のうち、いずれか一方の判定で先に肯定的な判定が得られた場合において、特定のユーザが、他方の判定において肯定的に行われ易いよう、対応する側の撮像部の位置、角度等を調整することができる。
【0017】
前記端末装置は、前記特定のユーザが把持可能な筐体をさらに備えてもよい。前記筐体は、第1の平面と、前記第1の平面と反対側の第2の平面と、を有していてもよい。前記第1の撮像部及び前記表示部は、前記第1の平面上に露出するように設けられ、前記第2の撮像部は、前記第2の平面上に露出するように設けられていてもよい。
【0018】
この構成によると、特定のユーザが、表示部と対面するように(即ち、表示部を視認できるように)筐体を把持すると、特定のユーザの顔が第1の撮像部によって撮像され得る。そして、特定のユーザは、表示部を視認し、第1の撮像部で自身の顔を撮像しながら第2の撮像部を情報コードに向けることができる。従って、この構成によると、特定のユーザは、表示部を見ながら、第1の撮像部で顔を撮影する動作と、第2の撮像部で情報コードを撮像する動作と、を適切に行い得る。
【0019】
なお、上記の端末装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ読取可能記録媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施例において端末装置10を利用した認証が実行される状況の例を示す。
図2】端末装置10のブロック図を示す。
図3】制御部30が実行する機能実行処理のフローチャートを示す。
図4】第1実施例において表示部14に顔画像I1及びコード画像I2が表示される場合の例を示す。
図5】第2実施例において表示部14に顔画像I1及びコード画像I2が表示される場合の例を示す。
図6】第3実施例において端末装置10を利用した認証が実行される状況の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
(端末装置10の構成;図1図2
図1に示すように、本実施例の端末装置10は、ユーザUによって携帯される可搬式の端末装置である。端末装置10は、例えば、ユーザUが所持するスマートフォン等である。他の例では、端末装置10は、ユーザUが所持するタブレット端末、ノートPC等、ユーザが携帯可能な可搬型端末であれば任意の端末装置であってもよい。
【0022】
図1の例では、ユーザUが端末装置10を用いて電子決済を実行しようとする状況において、端末装置10が認証を行う状況が図示されている。この状況では、端末装置10は、ユーザUの顔画像に基づいて、ユーザUが事前に登録されている登録済みユーザ本人であるか否かを判定するとともに、決済を実行する店舗に配置されたサービス利用のための情報コードCのデコードが成功したか否かを判定することにより、認証を行っている。認証が成功すると、端末装置10は、ユーザUによって指示された電子決済を実行することができる。
【0023】
図1に示すように、端末装置10は、ユーザUが把持可能な筐体11を有している。筐体11は、第1の平面11aと、第1の平面11aとは反対側の第2の平面11bと、を有している。第1の平面11aには、操作部12であるとともに表示部14であるタッチパネルと、内側カメラ18とが、第1の平面11a上に露出する態様で設けられている。一方、第2の平面11bには、外側カメラ16が、第2の平面11b上に露出する態様で設けられている。
【0024】
図2に示すように、端末装置10は、操作部12と、表示部14と、外側カメラ16と、内側カメラ18と、通信インターフェース20と、制御部30と、メモリ32と、を備えている。なお、以下ではインターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0025】
操作部12は、1個以上のキーを備えており、ユーザUの操作を受け付ける。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイであり、いわゆるタッチパネルとしても機能する。即ち、表示部14は、操作部12としても機能する。
【0026】
外側カメラ16は、撮像範囲内を撮像可能なCCDカメラである。外側カメラ16は、上記の通り、筐体11の第2の平面11b上に露出する態様で設けられている。そのため、図1に示すように、ユーザUが、表示部14と対面するように(即ち、表示部14を視認できるように)筐体11を把持し、第2の平面11bを情報コードCに向けることで外側カメラ16の撮像範囲内に情報コードCが入ると、外側カメラ16は、情報コードCを撮像することができる。外側カメラ16が情報コードCを撮像することにより、情報コードCを表わすコード画像が生成される。
【0027】
ここで、図1に示す情報コードCは、電子決済の実行に関係するデータ(例えば、電子決済に用いられるURLなど)が記録された二次元コード等である。情報コードCが光学的に読み取られることで、情報コードCに記録された電子決済の実行に関係するデータが出力される。
【0028】
内側カメラ18は、外側カメラと同様に、撮像範囲内を撮像可能なCCDカメラである。内側カメラ18は、上記の通り、筐体11の第1の平面11a上に表示部14とともに露出する態様で設けられている。そのため、図1に示すように、ユーザUが、表示部14と対面するように(即ち、表示部14を視認できるように)筐体11を把持すると、内側カメラ18の撮像範囲内にユーザUの顔が入る。その場合、内側カメラ18は、ユーザUの顔を撮影することができる。内側カメラ18がユーザUの顔を撮像することにより、ユーザUの顔を表す顔画像が生成される。
【0029】
図2の通信I/F20は、図示しない外部端末(例えば、電子決済サービスの提供者が設置するサーバ等)との間で無線通信を実行するためのI/Fである。
【0030】
制御部30は、メモリ32に記憶されているOS(Operation Systemの略)プログラム34に従って、様々な処理を実行する。メモリ32は、さらに、電子決済サービスを提供するためのアプリケーションプログラム36(以下では「アプリケーション36」と呼ぶ)を記憶している。アプリケーション36は、電子決済サービスを提供する提供者によって設置されるサーバ(図示しない)から端末装置10にインストールされる。
【0031】
メモリ32は、さらに、事前に登録されたユーザUの顔の特徴点を表わす登録済み顔データ38を記憶している。登録済み顔データ38は、アプリケーション36のインストール後、後述の機能実行処理(図3)が実行される前に、ユーザUによって所定の登録処理が実行されることによって、メモリ32に記憶される。詳しい説明は省略するが、所定の登録処理は、例えば、ユーザUの顔画像を撮像すること、撮像された顔画像からユーザUの顔の特徴点を抽出すること、抽出された特徴点を表わすデータを登録済み顔データ38としてメモリ32に記憶させること、等を含む。
【0032】
(機能実行処理;図3
続いて、図3を参照して、端末装置10の制御部30がアプリケーション36に従って実行する機能実行処理の内容について説明する。本実施例における機能実行処理は、ユーザUの指示に従って、制御部30が認証を行ない、認証が成功する場合に「電子決済」という特定の機能を実行するための処理である。上記の通り、図3の機能実行処理が実行される前提として、事前に所定の登録処理が行われ、メモリ32にユーザUの登録済み顔データ38が記憶されている必要がある。
【0033】
アプリケーション36が起動された後で、ユーザUが操作部12を操作して、電子決済を実行するための所定の機能実行指示を入力すると、制御部30は、図3の機能実行処理を開始する。
【0034】
S10では、制御部30は、外側カメラ16及び内側カメラ18を起動させる。これにより、外側カメラ16及び内側カメラ18は、それぞれの撮像範囲内の画像の撮像を開始する。この際、図1に示すように、ユーザUが、筐体11の第2の平面11bを、店舗に配置された情報コードCに向けることで、外側カメラ16の撮像範囲内に情報コードCを入れることができる。外側カメラ16が情報コードCを撮像することにより、コード画像が生成される。そして、ユーザUが、表示部14と対面するように(即ち、表示部14を視認できるように)筐体11を把持することで、内側カメラ18の撮像範囲内にユーザUの顔を入れることができる。内側カメラ18がユーザUの顔を撮影することにより、顔画像が生成される。
【0035】
続くS12では、制御部30は、表示部14への画像の表示を開始する。具体的には、S12では、制御部30は、外側カメラ16が撮像している画像、及び、内側カメラ18が撮像している画像の表示部14への表示を開始する。上記の例のように、ユーザUが、筐体11の位置及び角度を調整したことによって、外側カメラ16に情報コードCを撮像させ、内側カメラ18に自身の顔を撮像させている場合、S12では、外側カメラ16で撮像されたコード画像と、内側カメラ18で撮像された顔画像と、が両方とも表示部14に表示される。
【0036】
ここで、図4を参照して、本実施例において、表示部14に表示される画面の例を説明する。図4中の(a)は、外側カメラ16が情報コードCを撮像し、内側カメラ18がユーザUの顔を撮像している状況において、S12の時点で表示部14に表示される画面の一例である。図4の(a)に示すように、表示部14には、顔画像I1と、コード画像I2と、が重複した態様で表示される。即ち、図4の(a)の例では、表示部14には、顔画像I1の上に、半透過された態様のコード画像I2が重ねて表示されている。他の例では、表示部14には、コード画像I2の上に、半透過された態様の顔画像I1が表示されてもよい。また、さらに他の例では、顔画像I1と、コード画像I2と、が重複した態様で表示される際、上に表示される側の画像のうちの一部のみが半透過された態様で表示されるようにしてもよい。
【0037】
次いで、S14において、制御部30は、表示部14に表示されている画像(即ち、内側カメラ18が撮像している画像、及び、外側カメラ16が撮像している画像)に基づいて、第1種の判定と、第2種の判定と、を開始する。
【0038】
S14で開始される第1種の判定は、顔画像に基づくいわゆる本人認証である。具体的には、第1種の判定では、制御部30は、以下の各処理を実行する。まず、制御部30は、内側カメラ18によって撮像されている顔画像(図4の(a)の顔画像I1参照)に基づいて、当該顔画像から顔の特徴点を表わす顔データ(以下では「特定の顔データ」と呼ぶ)を抽出する。この際、内側カメラ18によって顔画像が撮像されていない場合(例えば、内側カメラ18の撮像可能範囲にユーザUの顔が適切に配置されていない場合)には、制御部30は、特定の顔データの抽出を行なうことができない。その場合、制御部30は、内側カメラ18によって顔画像が撮像されるまで、特定の顔データの抽出の試行を継続して行う。特定の顔データが抽出されると、制御部30は、抽出された特定の顔データが、メモリ32に記憶されている登録済み顔データ38と対応するか否か(即ち、同一人物を表わしているか否か)を判定する。制御部30が、抽出された特定の顔データが、メモリ32に記憶されている登録済み顔データ38と対応すると判定する場合(即ち同一人物であると判定する場合)、第1種の判定が成功したと判断する(即ち、肯定的に判定する)。第1種の判定が成功する場合、制御部30は、メモリ32に、第1種の判定が成功したことを示す第1種のフラグを記憶させる。本実施例では、制御部30は、メモリ32に第1種のフラグが記憶された後も、後述のS16でYESと判断されるまで、第1種の判定を継続して実行する。即ち、メモリ32に第1種のフラグが記憶された後、S16でYESと判断される前に、第1種が成功する条件が満たされなくなった場合(例えば、ユーザUの顔が内側カメラ18の撮像可能範囲から外れた場合など)には、制御部30は、メモリ32から記第1種のフラグを削除する。
【0039】
一方、S14で開始される第2種の判定は、いわゆる情報コード(即ち情報コードC)の読み取り処理である。具体的には、第2種の判定では、制御部30は、外側カメラ16によって撮像されているコード画像(図4の(a)のコード画像I2参照)に基づいて、当該コード画像が表す情報コード(即ち情報コードC)から、電子決済の実行に関係するデータ(例えば、電子決済に用いられるURLなど)が出力される(「デコードされる」又は「読み取られる」と言い換えてもよい)ことを監視する。第2種の判定が開始されると、まず、制御部30は、現在外側カメラ16によって撮像されている画像が、コード画像であるか否かを判断する。外側カメラ16によって撮像されている画像に、情報コードを表わす特徴点(例えばファインダパターン等)が含まれている場合、制御部30は、撮像されている画像がコード画像であると判断する。その場合、制御部30は、撮像されているコード画像に対してデコードを試行する。詳しく言うと、制御部30は、コード画像が表している情報コードに記録されたデータのデコードを試行する。デコードの手法自体は公知であるため、詳細な説明は省略する。制御部30は、デコードが成功する場合、デコードされたデータが、電子決済の実行に関係するデータであるか否かを判断する。制御部30は、デコードされたデータが、電子決済の実行に関係するデータであるか否かを判断する場合、第2種の判定が成功したと判断する(即ち、肯定的に判定する)。第2種の判定が成功する場合、制御部30は、メモリ32に、第2種の判定が成功したことを示す第2種のフラグを記憶させる。本実施例では、制御部30は、メモリ32に第2種のフラグが記憶された後も、後述のS16でYESと判断されるまで、第2種の判定を継続して実行する。即ち、メモリ32に第2種のフラグが記憶された後、S16でYESと判断される前に、第2種が成功する条件が満たされなくなった場合(例えば、情報コードCが外側カメラ16の撮像可能範囲から外れた場合など)には、制御部30は、メモリ32から記第2種のフラグを削除する。
【0040】
上記のように、S14で第1種の判定及び第2種の判定を開始させると、制御部30は、S16に進む。
【0041】
S16では、制御部30は、この時点で第1種の判定が成功した状態と第2種の判定が成功した状態の両方が同時に成立することを監視する。上記の通り、S14で第1種の判定及び第2種の判定が開始された後、第1種の判定が成功した状態が成立すると、メモリ32には第1種のフラグが記憶される。同様に、第2種の判定が成功した状態が成立すると、メモリ32には第2種のフラグが記憶される。この時点でメモリ32に第1種のフラグと第2種のフラグの両方が記憶された状態が成立していれば、制御部30は、S16でYESと判断し、S22に進む。一方、この時点でメモリ32に第1種のフラグと第2種のフラグの両方が記憶されていない場合(一方のみが記憶されている場合又は両方とも記憶されていない場合)には、制御部30は、S16でNOと判断し、S18に進む。
【0042】
S18では、制御部30は、この時点で、第1種の判定と第2種の判定のうちの一方が成功した状態が成立しているか否かを判断する。この時点で、メモリ32に第1種のフラグと第2種のフラグの一方のみが記憶されている場合、制御部30は、S18でYESと判断し、S20に進む。一方、この時点で、メモリ32に第1種のフラグと第2種のフラグのうちのどちらも記憶されていない場合、S18でNOと判断し、S16に戻る。
【0043】
S20では、制御部30は、この時点で、表示部14に表示されている内側カメラ18の撮像画像と外側カメラ16の撮像画像のうち、まだ成功していない側の判定(以下では「未成功判定」と呼ぶ場合がある)に対応する側の画像を強調表示させる。例えば、この時点で、第1種の判定が既に成功しているが、第2種の判定が未成功である場合、S20では、制御部30は、未成功判定である第2種の判定に用いられる画像(即ち、外側カメラ16の撮像画像)を強調表示する。逆に、この時点で、第2種の判定が既に成功しているが、第1種の判定が未成功である場合、S20では、制御部30は、未成功判定である第1種の判定に用いられる画像(即ち、内側カメラ18の撮像画像)を強調表示する。
【0044】
図4の(b)は、S20において、第1種の判定が既に成功しており、第2種の判定に用いられる画像が強調表示された場合の表示部14の表示内容の例を示す。即ち、図4の(b)は、S12の時点で図4の(a)のように顔画像I1及びコード画像I2が表示部14に表示された後で、第1種の判定が先に成功した場合における表示部14の表示内容を示す。図4の(b)の例でも、表示部14には、顔画像I1とコード画像I2とが重ねて表示されている。但し、この場合は、顔画像I1の上に、透過されない態様のコード画像I2が重ねて表示されている。これにより、ユーザUは、第2種の判定に用いられるべきコード画像I2を明確に視認しながら、外側カメラ16の位置及び角度を、第2種の判定に適した位置及び角度に調整することができる。
【0045】
これに対し、図4の(c)は、S20において、第2種の判定が既に成功しており、第1種の判定に用いられる画像が強調表示された場合の表示部14の表示内容の例を示す。即ち、図4の(c)は、S12の時点で図4の(a)のように顔画像I1及びコード画像I2が表示部14に表示された後で、第2種の判定が先に成功した場合における表示部14の表示内容を示す。図4の(c)の例でも、表示部14には、顔画像I1とコード画像I2とが重ねて表示されている。但し、この場合は、コード画像I2の上に、透過されない態様の顔画像I1が重ねて表示されている。これにより、ユーザUは、第1種の判定に用いられるべき顔画像I1を明確に視認しながら、内側カメラ18の位置及び角度を、第1種の判定に適した位置及び角度に調整することができる。
【0046】
S20を終えると、制御部30は、S16に戻る。その後、制御部30は、S16でYESと判断されるまで、S16、S18の判断を繰り返す。なお、二度目以降のS20では、制御部30は、未成功判定に対応する側の強調表示状態を維持する。
【0047】
S22では、制御部30は、機能(本実施例では「電子決済」)実行のための認証が成功したと判断する。続くS24では、制御部30は、ユーザUによって指示された機能(即ち電子決済)を実行する。S24で機能が実行されると、制御部30は、メモリ32に記憶された第1種のフラグ及び第2種のフラグを削除し、図3の機能実行処理を終了する。
【0048】
以上、本実施例の端末装置10の構成及び動作について説明した。上記の通り、本実施例では、電子決済機能の実行のために認証を行うべき場合において、制御部30は、表示部14に顔画像とコード画像の両方が表示されている間に(図4参照)、第1種の判定が成功した状態と第2種の判定が成功した状態の両方が同時に成立することを監視する(図3のS16参照)。そして、制御部30は、表示部14に顔画像とコード画像の両方が表示されている間に、第1種の判定と第2種の判定の両方が成功した状態が同時に成立する場合に認証に成功したと判断する(S16でYES、S22)。即ち、本実施例では、電子決済機能の実行を希望するユーザUは、端末装置10によって認証を行うために、内側カメラ18に顔を撮像させる動作と、外側カメラ16に情報コードCを撮像させる動作と、の両方を同タイミングで実行する必要がある。さらに、その上で、認証の成功のためには、表示部14に顔画像とコード画像の両方が表示されている間に、第1種の判定と第2種の判定の両方において肯定的に判定(即ち成功する)される必要がある。
【0049】
そのため、仮に、登録済みのユーザであるユーザU以外の第三者がユーザUの端末装置10を不正に入手したとしても、ユーザUの許可なく、内側カメラ18にユーザUの顔(若しくは、ユーザUの顔の画像)を撮像させる動作と、外側カメラ16に情報コードCを撮像させる動作と、を同タイミングで実行することは非常に困難である。そのため、表示部14にユーザUの顔画像と、情報コードCのコード画像の両方が表示されている間に第1種の判定と第2種の判定の両方において肯定的に判定される事態(S16でYES)を実現することは極めて困難である。そのため、上記の構成によると、顔の撮像及び撮像された顔の画像に基づく判定と、情報コードの撮像及び撮像されたコード画像に基づく判定と、を別個に行う従来の構成に比べて、事前に登録された登録済みのユーザU以外の第三者が不正に認証を成功させてしまう事態の発生を抑制することができる。
【0050】
また、本実施例では、図4の(a)に示すように、第1種の判定及び第2種の判定のために表示部14に顔画像I1とコード画像I2を表示させる際に、顔画像I1の上に、半透過された態様のコード画像I2が重ねて表示される。そのため、本実施例では、顔画像I1とコード画像I2の両画像を表示部14の比較的広範な領域内に表示させることができる。そのため、ユーザUは、比較的大きく表示された顔画像I1とコード画像I2を見ながら、自身の顔と情報コードCが適切に撮影されるように、内側カメラ18及び外側カメラ16の位置、角度等を調整することができる。
【0051】
また、本実施例では、S20において、制御部30は、未成功判定に対応する側の画像を強調表示させる(図4の(b)及び(c)参照)。これにより、ユーザUは、未成功判定に用いられるべき画像(顔画像又はコード画像)を明確に視認しながら、内側カメラ18又は外側カメラ16の位置及び角度を、未成功判定に適した位置及び角度に調整することができる。
【0052】
また、図1に示すように、本実施例の端末装置10では、内側カメラ18と表示部14が、筐体11の第1の平面11a上に露出するように設けられ、外側カメラ16は、第1の平面11aの反対側の第2の平面11b上に露出するように設けられている。そのため、認証を行うべき際に、ユーザUが、表示部14と対面するように(即ち、表示部14を視認できるように)筐体11を把持すると、ユーザUの顔が内側カメラ18によって撮像され得る。そして、ユーザUは、表示部14を視認し、内側カメラ18で自身の顔を撮像しながら外側カメラ16を情報コードCに向けることができる。従って、本実施例では、ユーザUは、表示部14を見ながら、内側カメラ18で顔を撮影する動作と、外側カメラ16で情報コードCを撮像する動作と、を適切に行い得る。
【0053】
本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。電子決済機能が「特定の機能」の一例である。ユーザUが、「特定のユーザ」及び「登録済みユーザ」の一例である。内側カメラ18が「第1の撮像部」の一例であり、外側カメラ16が「第2の撮像部」の一例である。図3の機能実行処理が開始される場合が「特定の場合」の一例である。図3のS16でYESと判断される場合が「特定の状況が成立する場合」の一例である。
【0054】
(第2実施例)
第2実施例の端末装置10について、第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の端末装置10も、その基本的構成及び動作内容は、第1実施例と共通する。ただし、本実施例では、第1種の判定及び第2種の判定のために表示部14に顔画像I1とコード画像I2を表示させる態様が、第1実施例の態様(図4の(a)参照)とは異なる。本実施例では、図5の(a)に示すように、顔画像I1と、コード画像I2とが、区画された態様で並べて表示される。そのため、本実施例では、ユーザUは、明確に表示された顔画像I1とコード画像I2を見ながら、顔と情報コードCが適切に撮影されるように、内側カメラ18及び外側カメラ16の位置、角度等を調整することができる。
【0055】
また、本実施例では、図5の(b)及び(c)に示すように、図3のS20において、制御部30が、未成功判定に対応する側の画像を強調表示させる際の表示態様も、第1実施例とは異なる。図5の(b)は、本実施例のS20において、第1種の判定が既に成功しており、第2種の判定に用いられる画像が強調表示された場合の表示部14の表示内容の例を示す。即ち、図5の(b)の例でも、表示部14には、顔画像I1とコード画像I2とが区画されて並べて表示されている。但し、この場合は、コード画像I2が、顔画像I1よりも大きく表示される。そして、既に判定が成功している顔画像I1には、判定が成功していることを示す表示(図中の「OK」)が付されている。これにより、ユーザUは、第2種の判定に用いられるべきコード画像I2を明確に視認しながら、外側カメラ16の位置及び角度を、第2種の判定に適した位置及び角度に調整することができる。
【0056】
一方、図5の(c)は、図3のS20において、第2種の判定が既に成功しており、第1種の判定に用いられる画像が強調表示された場合の表示部14の表示内容の例を示す。図5の(c)の例でも、表示部14には、顔画像I1とコード画像I2とが区画されて並べて表示されている。但し、この場合は、顔画像I1が、コード画像I2よりも大きく表示される。そして、既に判定が成功しているコード画像I2には、判定が成功していることを示す表示(図中の「OK」)が付されている。これにより、ユーザUは、第1種の判定に用いられるべき顔画像I1を明確に視認しながら、内側カメラ18の位置及び角度を、第1種の判定に適した位置及び角度に調整することができる。
【0057】
(第3実施例)
第3実施例の端末装置10について、第1、第2実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の端末装置10は、その構成及び動作内容は、第1、第2実施例と共通する。図6に示すように、本実施例では、端末装置10を用いて認証を行うべき状況が、第1、第2実施例の場合と異なる。
【0058】
図6に示すように、本実施例では、ユーザUが端末装置10を用いて扉50の電子錠を解錠しようとする状況において、端末装置10が認証を行う状況が図示されている。この状況では、端末装置10は、ユーザUの顔画像に基づいて、ユーザUが事前に登録されている登録済みユーザ本人であるか否かを判定するとともに、ユーザUが解錠を希望する扉50の近傍に配置され、扉50を示す扉IDが記録された情報コードCのデコードが成功したか否かを判定することにより、認証を行っている。本実施例では、認証が成功する場合に、端末装置10から、図示しないサーバに、解錠要求が送信される。サーバにおける照合が成功すると、サーバから扉50に解錠指示が出力され、扉50の電気錠が解錠される。
【0059】
本実施例における機能実行処理の内容も、基本的にはほぼ第1、第2実施例と共通する(図3)。ただし、本実施例における機能実行処理は、ユーザUの指示に従って、制御部30が認証を行ない、認証が成功する場合に「解錠要求をサーバに送信する」という特定の機能を実行するための処理である。そのため、図3のS10~S22の各処理は第1、第2実施例と共通する。ただし、本実施例では、S14で開始される第2種の判定において、制御部30は、コード画像から、当該コード画像が示す情報コードから、扉50を示す扉IDが出力されることを監視する。
【0060】
また、S24では、制御部30は、ユーザUによって指示された機能(即ち、解錠要求のサーバへの送信)を実行する。この場合、例えば、制御部30は、ユーザUの登録済み顔データ38と、情報コードCから読み取られた扉50の扉IDとを含む解錠要求を生成し、通信I/F20を介して、図示しないサーバに送信する。その場合、サーバにおいて、受信された解錠要求扉IDと、登録済み顔データ38との組み合わせの照合(即ち、ユーザUが扉50を解錠することが許可された許可者であることが確認されること)が成功すると、サーバから扉50に解錠指示が出力され、扉50の電気錠が解錠される。
【0061】
本実施例のように使用される場合も、端末装置10は、第1、第2実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0062】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0063】
(変形例1)上記の各実施例の端末装置10では、内側カメラ18と表示部14が、筐体11の第1の平面11a上に露出するように設けられ、外側カメラ16は、第1の平面11aの反対側の第2の平面11b上に露出するように設けられている。これに限られず、端末装置は、ユーザの顔を撮像するための第1のカメラと、情報コードを撮像するための第2のカメラと、を備えていれば、その配置は任意としてもよい。例えば、端末装置において、第1及び第2のカメラが、本体に対して有線接続され、撮像方向を自在に変化させられるように構成されていてもよい。この変形例における第1のカメラ及び第2のカメラが、「第1の撮像部」及び「第2の撮像部」の一例である。
【0064】
(変形例2)上記の第2実施例において、顔画像I1と、コード画像I2とを並べて表示させる際の顔画像I1及びコード画像I2の配置も、図5に示すものに限られず、任意とすることができる。
【0065】
(変形例3)また、図3のS20において、制御部30が、未成功判定に対応する側の画像を強調表示させる際の強調の態様も、図4の(b)及び(c)、図5の(b)及び(c)に示すものに限られず、任意の態様で強調を行うようにしてもよい。
【0066】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0067】
10:端末装置
11:筐体
11a:第1の平面
11b:第2の平面
12:操作部
14:表示部
16:外側カメラ
18:内側カメラ
20:通信I/F
30:制御部
32:メモリ
34:OSプログラム
36:アプリケーション
38:登録済み顔データ
50:扉
C:情報コード
U:ユーザ
I1:顔画像
I2:コード画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6