(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20230131BHJP
B23D 49/16 20060101ALI20230131BHJP
B23D 51/16 20060101ALI20230131BHJP
B24B 23/04 20060101ALI20230131BHJP
B27B 19/09 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B23D49/16
B23D51/16
B24B23/04
B27B19/09
(21)【出願番号】P 2021501798
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2020003665
(87)【国際公開番号】W WO2020175009
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019036347
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茉奈美
(72)【発明者】
【氏名】村上 卓宏
(72)【発明者】
【氏名】川又 隆
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-155049(JP,A)
【文献】特開2013-071373(JP,A)
【文献】特開2016-087730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0126803(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0034353(US,A1)
【文献】特開2013-169623(JP,A)
【文献】特開平02-209653(JP,A)
【文献】特表2000-501030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B23D 49/16
B23D 51/16
B24B 23/04
B27B 19/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、
前記動力源によって回転する回転軸と、
前記回転軸に設けられて偏心して回転する
偏心軸と、
前記偏心軸において軸方向に摺動可能に取りつけられる円環部材と、
前記
円環部材と係合して往復方向への動きに変換する往復動変換部
と、
前記円環部材に対して軸方向
の付勢力を与える付勢部材
と、
前記偏心軸に設けられ、前記付勢部材を前記偏心軸に固定する固定部材と、
を有することを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記付勢部材は前記
軸方向に付勢力を与える弾性体であり、
前記弾性体は前記
偏心軸によって保持されることを特徴とする請求項
1に記載の作業機。
【請求項3】
前記付勢部材は前記偏心軸と同軸に設けられるコイルバネであって、前記往復方向と交差する軸方向の付勢力を前記
円環部材に与えることを特徴とする請求項
1に記載の作業機。
【請求項4】
前記コイルバネは、前記円環部材に対して軸方向の両側に2つ設けられ、第一のコイルバネが軸方向一方側に向けて前記円環部材を付勢し、第二のコイルバネが軸方向他方側に向けて前記円環部材を付勢することを特徴とする請求項
3に記載の作業機。
【請求項5】
前記動力源を収容するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記動力源をオンオフ操作する操作部が配置される筒状の把持部を有し、
前記把持部の軸線方向が前記円環部材の移動方向と略平行であることを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記作業機は、前記動力源の回転方向と交差する方向に軸線を有する出力軸を有し、
前記往復動変換部には円筒部が形成されて前記出力軸に固定され、前記円筒部から径方向に延在して前記
円環部
材と接触するU字状の腕部を有し、
前記往復動変換部によって前記出力軸が周方向に所定角度だけ往復動することを特徴とする請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記付勢部材の少なくとも一部が、U字状の前記腕部の内側に位置するように配置されることを特徴とする請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
動力源と、
前記動力源によって前後方向を軸として回転する回転軸と、
前記回転軸に設けられて偏心して回転する偏心軸と、
前記偏心軸に対して前後方向に摺動可能に取りつけられる円環部材と、
前記円環部材と左右方向で係合して左右方向に往復揺動する往復動変換部と、
前記回転軸よりも前方にて前記往復動変換部と接続され、前記往復動変換部によって往復動作する出力軸と、
前記円環部材を後方へ付勢する付勢部材と、を有することを特徴とする作業機。
【請求項9】
前記付勢部材は弾性体であることを特徴とする請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記弾性体は、前記円環部材が前方へ移動した際に弾性変形するように構成されることを特徴とする請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータ等の動力で先端工具を動作させて作業を行う作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駆動源として電動モータの動力で先端工具を動作させ手作業を行う作業機が知られており、その作業機が特許文献1に記載される。特許文献1に記載された作業機は、いわゆるマルチツールと呼ばれる工具であり、装置本体の内部には、電動モータと、動力変換機構等が収容され、装置本体の外部には電池パックが装着される。装置本体は筒状のモータハウジングの先端に、モータの回転軸と90度方向に向くように出力軸が設けられており、出力軸はモータの動力を利用して回転方向に数度程度揺動するように駆動される。出力軸にはネジ孔が設けられ、出力軸に先端工具を取りつけて、先端工具の取付穴を貫通させたボルトをネジ穴に挿入して締め付けることにより、先端工具が出力軸に固定される。先端工具としては、切削、削り取り、際切り、深切り、タイル目地切断、切り込み、面取り、研磨表面仕上げ加工等をおこなうための様々な形状のものがあり、それらを選択して取り付け可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業機では、先端工具が出力軸を中心に周方向に往復動するために、その反動によって振動が発生し、その振動がハンドル部にも伝達する。そのため特許文献1に記載された作業機では、所定の質量を有するウエイトを先端工具の揺動とは逆位相で動かすことによって出力軸で発生する往復動方向の振動を打ち消すようにしている。しかしながら、ウエイトを用いることで振動が大きく減少する一方で、作業機の重量が増加してしまうという欠点がある。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、動作時の振動を効果的に低減できるようにした作業機を実現することにある。本発明の他の目的は、動力伝達部同士の接触により、先端工具の往復動方向と異なる方向の振動が発生することを抑えるようにした作業機を実現することにある。本発明のさらに他の目的は、往復動変換部において動力伝達時に生じる加振力によって発生する振動を低減させた作業機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、モータ等の動力源と、動力源によって回転する回転軸と、回転軸に設けられて偏心して回転する偏心軸と、偏心軸において軸方向に摺動可能に取りつけられる円環部材と、円環部材と係合して往復方向への動きに変換する往復動変換部と円環部材に対して軸方向の付勢力を与える付勢部材と、偏心軸に設けられ、付勢部材を偏心軸に固定する固定部材と、を有する作業機とした。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、偏心軸の軸移動の方向に付勢力を与える弾性体であり、弾性体は偏心軸に保持される。偏心軸には付勢部材を偏心軸に固定する固定部材が設けられる。円環部材は、ボールベアリングやニードルベアリング等の回転軸受で良いし、又は、円筒状のメタル等の摺動軸受でも良い。特に、メタルの場合、摺動時にかじり等が生じないように油などを含浸できる焼結材などが望ましい。付勢部材は偏心軸と同軸に設けられるコイルバネであって、往復方向と交差する軸方向の付勢力を回転部に与えるようにした。尚、円環部材に対してコイルバネを軸方向の両側に2つ設けて、第一のコイルバネが軸方向一方側に向けて円環部材を付勢し、第二のコイルバネが軸方向他方側に向けて円環部材を付勢するように構成しても良い。
【0008】
本発明のさらに他の特徴によれば、作業機は、動力源を収容するハウジングと、ハウジングに設けられ、動力源をオンオフ操作する操作部が配置される筒状の把持部を有し、把持部の軸線方向が円環部材の移動方向と略平行となるように構成した。また、作業機は、動力源の回転方向と交差する方向に軸線を有する出力軸を有し、往復動変換部には円筒部が形成されて出力軸に固定され、円筒部から径方向に延在して回転部と接触するU字状の腕部を有し、往復動変換部によって出力軸が周方向に所定角度だけ往復動するように構成した。ここで付勢部材の少なくとも一部が、U字状の腕部の内側に位置するように配置さした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、往復動駆動時の反力伝達を抑制でき、往復動変換部から回転部を介して回転軸側に伝わる振動を大幅に低減できる。しかも、円環部材はスプリング等の付勢手段によって付勢されるので、円環部材と往復動変換部の接触状況を良好に維持することができ、接触部材が往復動変換部と衝突する際に発生する高周波の荷重を効果的に減衰できる。この結果、円環部材に対し軸方向の両側に付勢部材を設けることにより、伝達される不要な荷重を2つの方向で減衰、或いは、伝達を遮断し、ボールベアリング等の円環部材の耐久性を大幅に向上させることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る作業機1の全体構造を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る作業機1の上面図である。
【
図3】
図1の作業機1の前方部分の拡大縦断面図である。
【
図4】
図1の作業機1の動力伝達機構35の図であり、(A)は組み込んだ状態の斜視図で有り、(B)は展開した状態の斜視図である。
【
図5】
図1の作業機1の動力伝達機構35の図であり、(A)は上面図で、(B)は側面図(一部断面図)である。
【
図6】本発明の第2の実施例に係る作業機1Aの前方部分の拡大縦断面図である。
【
図7】
図6の作業機1Aの動力伝達機構75の図であり、(A)は上面図で、(B)は側面図(一部断面図)である。
【
図8】(A)は従来の作業機101の前方部分の部分縦断面図であり、(B)は部分横断面図(一部断面図)である。
【
図9】従来の作業機101の動力伝達機構135であり、(A)は上面図で、(B)は側面図である。
【
図10】従来の作業機101の動力伝達機構135に加わる荷重を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。本明細書では作業機の実施例として、電動モータにより駆動軸に沿って周方向に数度程度先端工具を揺動させる携帯型の作業機を用いて説明する。尚、本明細書においては前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0012】
図1は本発明の実施例に係る作業機1の縦断面図である。作業機1は、モータ15を収容した装置本体10と、モータ15に電力を供給する電池パック90とを有する。電池パック90は装置本体10に着脱することが可能である。作業機1は、商用電源のコンセントに接続する電源コードが装置本体10に設けられない、いわゆるコードレスタイプである。
【0013】
装置本体10のハウジングは、軸線A1方向を長手方向とする筒状のモータハウジング2と、軸線A1に沿った方向でモータハウジング2の一端に取り付けられたカバー3を有する。モータハウジング2とカバー3は別体式であり、カバー3は、ネジ等の固定要素によりモータハウジング2に固定される。モータハウジング2は軸線A1を長手軸とする筒形状であり、モータハウジング2の後方側には、軸線A1の径方向に拡がるようにして電池パック90を装着するための電池パック装着部6が形成される。
【0014】
動力源であるモータ15はモータハウジング2内の軸線A1方向の中央付近に設けられる。モータ15はブラシレスDCモータであって、回転軸18に永久磁石を有するロータ16が固定され、ロータ16の外周側にコイルが巻かれたステータ17が配置される。回転軸18の後方側の端部は軸受32によってモータハウジング2に軸支される。回転軸18の前方側の端部にはスピンドル36が接続される。スピンドル36は、モータ15によって回転される回転軸であって、大径の軸受34によってホルダ29に回転可能に軸支される。
【0015】
モータハウジング2のうち、軸線A1に沿った方向で、スイッチレバー26a付近と電池パック装着部6との間が把持部5であり、作業者は把持部5を片手で握りながら作業をおこなう。スイッチレバー26aは前後方向にスライド可能であって、スライドアーム26bによってスイッチ25にその操作が伝達される。スイッチ25はモータ15の回転をオン又はオフにするものであって、モータハウジング2内に設けられる。
【0016】
モータハウジング2のうち、中央付近から後方側にかけては、モータ15と、モータ15の回転を制御するための制御回路部20が収容され、後方上部には速度調整ダイヤル23が設けられる。速度調整ダイヤル23は、モータ15の目標回転数を設定する機構であり、作業者により操作される。制御回路部20は、回路基板21上に図示しないマイクロコンピュータ、電源回路や、半導体スイッチング素子22等が搭載される。半導体スイッチング素子22は、6つのFET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を含み、モータ15へ駆動電流を供給するインバータ回路を形成する。図示しないマイクロコンピュータは、演算部、記憶部、入力ポート、出力ポート等を備えた市販のワンチップマイコンを用いることができ、速度調整ダイヤル23やスイッチ25の出力に基づいて、モータ15の回転制御を行う。
【0017】
電池パック装着部6にはレール部(図では見えない)が形成され、電池パック90のレール溝部と係合することによって、電池パック90が装置本体10に装着される。電池パック90の装着方向は、モータ15の回転軸線A1と交差する方向であって、上から下方向が本実施例での装着方向である。電池パック90は、図示しない複数の電池セルを合成樹脂製のケース91、92の内部に収容したものである。電池セルは、充電及び放電を繰り返し行うことのできる二次電池であって、リチウムイオン電池セル等の公知の電池を用いることができる。上側のケース91には電池パック装着部6側のレール部と嵌合するための図示しないレール溝が設けられる。電池パック装着部6に電池パック90が取り付けられると複数の本体側端子13は電池側端子94と嵌合するので、電池パック90の電力を制御回路部20に供給することが可能となる。本体側端子13は電力ケーブル28及び信号ケーブルにより回路基板21に接続される。
【0018】
電池パック90を電池パック装着部6から取り外す際には左右両側に設けられるラッチボタン93を押し込みながら電池パック90を上方に移動させる。電池パック装着部6の前方側には、電池パック90の残量表示やLED14の点灯スイッチを有する操作パネル24が設けられる。
【0019】
モータ15の回転軸18の前方側には、モータ15によって回転する回転軸たるスピンドル36と、スピンドル36の回転力によって駆動される動力伝達機構35が設けられる。スピンドル36には合成樹脂製の冷却ファン27が設けられ、冷却ファン27はモータ15の回転に同期して回転することにより、モータハウジング2の吸気口9a(
図2参照)から外気を吸引して、制御回路部20やモータ15等の発熱部位を冷却した後に、冷却ファン27の外周付近に形成された排気口9bから空気を外部に排出させる。
【0020】
動力伝達機構35は偏心して回転する円筒部材(
図3、4で詳述する軸受45)と、円筒部材に接することによって偏心回転を往復方向への動きに変換する往復動変換部(スイングアーム40)を含んで構成される。動力伝達機構35は、回転軸18の回転力によって、出力軸50を軸線A1を中心に所定角度の範囲内で周方向に揺動させる力に変換する機構である。スイングアーム40は、先端工具80が取りつけられる出力軸50に固定され、スイングアーム40を揺動させることで出力軸50が軸線B1を中心とした揺動をすることになる。
【0021】
モータハウジング2の前方側の開口にはカバー3が取り付けられる。カバー3の内部には合成樹脂製のホルダ29が設けられ、筒形状の出力軸50を軸線B1を中心に回転自在に支持する。また、ホルダ29内の空間に動力伝達機構35が設けられる。ホルダ29は、スピンドル36を保持するための軸受34を円筒状のスリーブ33を介して固定する。ホルダ29の内側であって動力伝達機構35の周囲は、十分な量のグリスが充填され、回転部分や摺動部分の摩擦を低減する。出力軸50は、スピンドル36の回転軸方向(軸線A1方向)と直交方向に延在し、ホルダ29の下側の貫通穴部29aから下方に延在する。出力軸50の下側には、固定部材たる取付ボルト58によって先端工具80が取り付けられる。
【0022】
モータハウジング2とカバー3は合成樹脂の成形品であって、左右に2分割できるように形成される。モータハウジング2とカバー3の左側部分には、ネジボス7a~7k(図では7a、7c、7dは見えない)が形成され、右側部分にはネジ穴を有するネジボス(図では見えない)が対応して形成され、それらは複数のネジ(図ではネジ8c、8dのみを図示)にて固定される。カバー3の前側側面にはLEDによる照明装置14が設けられ、先端工具80による作業箇所付近を照射する。
【0023】
図2は本発明の実施例に係る作業機1の上面図である。モータハウジング2は円筒状で有り、スイッチレバー26aから速度調整ダイヤル23までの領域が作業者が手で把持するための把持部5(符号は
図1参照)となる。モータハウジング2の前端付近であって、冷却ファン27の左右両側には、冷却風の吸気口9aと排気口9bがそれぞれ設けられる。モータハウジング2の前方側には出力軸50(
図1参照)と動力伝達機構35(
図1参照)を収容するカバー3が接続される。先端工具80は、カバー3よりも前方側に突出するもので、
図2の例では上面視で略長方形のブレードである。モータハウジング2の後方側には電池パック90が装着される。尚、本実施例の作業機1は、電池パック90を電源とするが、図示しない電源ケーブルをモータハウジング2の後方側に接続することによって商用交流電源にて動作させるようにしたコード式の作業機においても同様に本発明を適用できる。
【0024】
図3は、
図1の作業機1のモータ15よりも前方部分の拡大縦断面図である。スピンドル36は、一端側(後端側)に嵌合孔36dが形成され、嵌合孔36dにモータ15の回転軸18が圧入される。スピンドル36の他端側(前端側)には、軸線A1に対して偏心して取りつけられる軸受45が設けられ、軸受45を介してスピンドル36の回転力がスイングアーム40に伝達される。なお、軸受45はボールベアリングであり、便宜上軸受と呼称するが、スピンドル36を軸支するものではない。スピンドル36のうち軸受45が設けられる部分は偏心軸(
図4で詳述する細径部36c)になっていて、スピンドル36が回転することによって軸受45が回転軸線A1の周りを公転する。偏心軸3の後側部分には、偏心軸と同軸の偏心円筒面37が形成され、そこにバランスウエイト39が装着される。バランスウエイト39は、偏心軸によって回転軸線A1から一方向にずれた重心位置を逆方向に偏心させるためのするウエイトを置くことによって回転バランスを取るものである。スイングアーム40は、出力軸50の外周面に固定されるものであって、出力軸50と共に軸線B1を中心に回動する。スイングアーム40には、出力軸50の外周部分から径方向外側方向に延在する2本のアーム部42a、42b(符号は
図4参照)が形成され、軸受45の外輪と接触する。
【0025】
出力軸50は軸線B1を中心に、周方向に回動可能なように保持される回転体であって、ボール式(ボールベアリング)の軸受55とニードル式(ニードルベアリング)の軸受56によってホルダ29に軸支される。出力軸50は、大径部51aと小径部51bを有する中空の円筒部51と、円筒部51の上側の開口を塞ぐと共に軸受55によって軸支される支持軸57を含んで構成される。円筒部51の大径部51aと小径部51bは、出力軸線B1に沿った方向に並べて設けられ、大径部51aの内側空間は、小径部51bの内側空間よりも大きくなっている。小径部51bは、ホルダ29の貫通穴部29aよりも下側に突出してカバー3のより外部に露出する。支持軸57は2つの異なる径を有する円筒状であり、支持軸57のうち細径部分は軸受55を介してホルダ29により回転可能に支持され、大径部分は外周側に形成された雄ねじ部が大径部51aの内周側に形成された雌ネジ部と螺合する。支持軸57は出力軸50と同心状に配置され、出力軸50及び支持軸57は一体で回転する。出力軸50及び支持軸57は、出力軸線B1に沿った方向には実質的に移動しないようにホルダ29に軸支される。円筒部51の大径部51aの外周部に当接するようにニードルベアリング56がホルダ29に設けられる。ホルダ29の下側にはホルダ29内に充填されたグリスが外部に漏洩しないようにシール部材66にて密封される。
【0026】
支持軸57内には第1シャフト52が設けられる。第1シャフト52の一部は円筒部51内に配置される。第1シャフト52の下側の軸心には雌ネジ穴が形成され、雌ネジ穴に第2シャフト53の上端の雄ねじ部が螺合される。第2シャフト53は円筒部51の内側に位置して、下側端部に雌ネジ部を形成することによって、先端工具80を固定するための取付ボルト58を螺合させるためのものである。第1シャフト52のうち大径部51a内に配置された箇所に、外向きフランジ52aが設けられる。円筒部51と小径部51bとの間に段差が形成され、段差と第1シャフト52の間にスプリング54が設けられる。スプリング54は金属製の圧縮コイルバネであり、出力軸線B1方向に沿って、第1シャフト52と円筒部51が離反する方向に付勢する。第1シャフト52はスプリング54の力で上向きに押され、上側端部が支持軸57の中央の貫通孔を貫通する。第1シャフト52の上側細径部の外周面は、支持軸57の内周面に対して軸方向に摺動可能である。
【0027】
円筒部51の小径部51b内に亘って第2シャフト53が配置される。第1シャフト52及び第2シャフト53は出力軸線B1に沿った方向に一体で移動可能である。小径部51bの下端部には工具支持部59が設けられる。工具支持部59の中心には軸孔が設けられ、軸孔を貫通するように取付ボルト58が挿入される。取付ボルト58は第2シャフト53に着脱可能であって、上側部分は雄ネジ部が形成された軸部58aと六角形状の頭部58bが形成される。出力軸線B1に沿った方向の両側から、取付ボルト58と工具支持部59が協働して先端工具80を挟んで固定する。
【0028】
円筒部51の小径部51bには、クランプ部材63が設けられる。クランプ部材63は2個設けられており、クランプ部材63は小径部51bに形成された径方向の貫通穴に沿って、軸線B1の径方向に移動可能とすることによって取付ボルト58を第2シャフト53から取り外すことの可能なロック解除状態と解除状態を切り替える。ガイド部材62は、クランプ部材63をロック状態とする第1の回転位置と、クランプ部材63をロック解除状態とする第2の回転位置に移動可能である。ガイドカバー60はガイド部材62の外側に設けられる円筒状のカバーである。
【0029】
図4は本実施例の作業機1の動力伝達機構35の図であり、(A)は組み込んだ状態の斜視図で有り、(B)は展開した状態の斜視図である。動力伝達機構35は、モータ15の回転軸18に接続されるものであって、回転軸18と一体回転するスピンドル36と、スイングアーム40と、スピンドル36からスイングアーム40を接続するボールベアリング式の軸受45を含んで構成される。
【0030】
動力伝達機構35は、偏心して回転する“偏心回転部”と“往復動変換部”によって構成される。偏心回転部は、回転軸の回転によって偏心して回転する回転部分である。本実施例では、スピンドル36に、回転部の一部を構成する偏心軸36cを形成した。つまり、スピンドル36は回転軸と偏心軸36cの双方の機能を果たす。スピンドル36は、金属の削り出し加工によって製造され、モータ15に近い後方側から、モータ15の回転軸18を圧入させるための嵌合孔36dを形成するための太径部36aと、外周側にてボール式の軸受45によって軸支される中径部36bと、細径部36cが形成される。ここで細径部36cは円柱状に形成されるが、細径部36cの中心軸は、太径部36a及び中径部36bの中心軸線(軸線A1)に対して偏心するように形成される。嵌合孔36dにはモータ15の回転軸18が圧入される。太径部36aにはエア抜きのための径方向に貫通する貫通穴36gが形成され、回転軸18が嵌合孔36dに圧入されることで、モータの回転軸18とスピンドル36が相対回転しないように固定される。
【0031】
偏心回転部は、偏心軸である細径部36c及び軸受45とその付属物で構成される。こここでは軸受45が偏心軸(細径部36c)と共に回転する円環部材を構成する。軸受45はボールベアリングであり、外周面の形状は樽状にわずかに湾曲するように形成されている。軸受45は細径部36cに圧入では無くて、差し込まれている程度であって、軸方向に摺動可能である。軸受45の後方側にはスプリング46が設けられる。スプリング46は圧縮コイルバネであり、その後方側端部が軸受45の内輪に当接し、前方側端部にワッシャ47が介在され、Cリング48にて細径部36cから抜け落ちないように固定される。細径部36cの端部付近には、Cリング48を装着するための周方向に連続する周方向溝36eが形成される。軸受45は。内輪と外輪を有し、それぞれの間にある複数の転動体を有するものであるが、大きく連続回転するものではなく、偏心動作によってわずかに外輪が揺動する程度である。以上のように、偏心軸36cの中心線は、軸線A1から偏心した位置となるため、スピンドル36が回転することによって軸受45が、軸線A1の回りを公転し、軸受45の外輪にアーム部42a、42bが接触しているスイングアーム40が往復動することになる。尚、回転部は本実施例のように偏心軸36c(又は偏心カム)と軸受45で構成しても良いし、偏心軸36cと円環メタル(図示せず)で構成しても良いし、偏心軸36cとニードルベアリングで構成しても良い。
【0032】
スイングアーム40は、出力軸50に固定され、スイングアーム40の出力軸線B1を中心としたスイング動作が、出力軸50の出力軸線B1を中心とした周方向の往復動運動に変換される。スイングアーム40は円筒部41と、軸方向視にてU字状のアーム部42a、42bが一体に形成されたもので、金属製とすることができる。アーム部42a、42bの軸受45と当接する部分は、平坦面43a、43bが形成される。平坦面43a、43bは摩耗を防止するために浸炭処理等の熱処理が施されている。以上のような動力伝達機構35が組み付けられると、付勢部材のほぼ全部が、軸方向視でU字状のアーム部42a、42bの内側に位置するので、従来では用いられていなかったスペースの有効活用を図ることができる。従って、従来の動力伝達機構から大型化させずに、ほぼ同じ大きさで本実施例を実現できる。
【0033】
ここで本実施例の動力伝達機構35の理解のために、従来例の動力伝達機構135を
図8~
図10を用いて説明する。
図8(A)は従来の作業機101の前方部分の部分縦断面図であり、(B)は部分横断面図である。本実施例の作業機1と異なるのはスピンドル136の形状と、軸受45の保持構造である。ここではスピンドル136には、付勢部材(
図4のスプリング46)が設けられていない。それ以外の構成、特にホルダ29の形状と出力軸50及びスイングアーム40は本実施例と同じであり、同じ部品を用いている。
【0034】
図9は従来の作業機101の動力伝達機構135であり、(A)は上面図で、(B)は側面図(一部断面図)である。スピンドル136の形状は、
図4で示したスピンドル36に比べて、偏心回転部の一部を構成する偏心軸136cの軸方向長さが短いだけである。そして、軸受45に軸方向に付勢するスプリングが設けられない。スイングアーム40は、本実施例と同じ部品である。スピンドル136は、金属の削り出し加工によって製造され、モータ15に近い後方側から、モータ15の回転軸18を圧入させるための嵌合孔136dを形成するための太径部136aと、外周側にてボール式の軸受45によって軸支される中径部136bと、太径部136a及び中径部136bの中心軸(軸線A1)と偏心するように形成される細径部136cを有する中径部136bの太径部136aとの接続部付近の周方向に連続する窪み136fは、切削加工を容易にするために形成したものである。細径部136cは軸受45を固定するのに必要十分な軸方向長さだけを有し、端部付近にCリング48を取りつけるための、周方向溝136eが形成される。軸受45の内輪45aは、中径部136bと細径部136cの段差部分とCリング48によって実質的に軸方向に移動できないように保持される。従って、軸受45を圧入又は圧入に近い形で細径部136cに取り付けるようにした。このように従来の動力伝達機構135では細径部136cとスイングアーム40の円筒部41との間に、ある程度の隙間143を有することになり、この隙間143がデッドスペースになっている。
【0035】
図10は従来の作業機101の動力伝達機構135に加わる荷重を説明するための上面図である。
図10(A)は、回転するスピンドル136によって上面視で左右方向に往復動する軸受45が左端位置からわずかだけ右側に移動し、軸受45の右側部分が平坦面43bを押圧し始めた瞬間の状態を表している。すなわち
図10(A)は、左方向に(図中での時計回り方向)移動していた平坦面43bを右方向に動いた軸受45が押圧し始めた瞬間を表す。軸受45の外周形状は図からも分かるように断面視で湾曲しているので、スイングアーム40の揺動位置によって、軸受45と平坦面43aとの接触位置が変化する。
図10(A)の場合、軸受45の中心位置よりもわずかに後方で軸受45と平坦面43bとが接触する。この結果、平坦面43bと接触する軸受45の外周部における法線方向は、スイングアーム40の往復動方向(左右方向)と交差する方向になるため、軸受45から平坦面43bへの押圧力(荷重)はF2方向となり、軸受45が受ける反力はF1方向となる。荷重F2は、左方向に移動している部材を右方向に移動するように、部材の運動方向を逆にする際の荷重のため、軸受45が1回転する間において特に大きい荷重となる。F2の分力は、図のように軸線A1と直交方向のラジアル分力R2と、軸線A1と平行方向のスラスト分力S2となる。(図では理解しやすいように、F1の傾斜角を大きく図示している)。また、F2の反力であるF1の荷重も大きく、F1の分力は、図のように軸線A1と直交方向のラジアル分力R1と、軸線A1と平行方向のスラスト分力S1となる。
【0036】
図10(B)は、軸受45が右端位置からわずかだけ左側に移動し、軸受45の左側部分が平坦面43aを押圧し始めた瞬間の状態を表している。すなわち
図10(B)は、右方向に(図中での反時計回り方向)移動していた平坦面43aを左方向に動いた軸受45が押圧し始めた瞬間を表す。その際の軸受45にかかる荷重は、
図10(A)と同様に、F1となり、その分力は分力R1、分力S1となる。ここで、(A)と(B)と比較するとわかるように、ラジアル方向の分力R1とR2は、スイングアーム40の揺動方向によって方向が変わるが、分力S1、S2は方向に変化がない。従って、軸線C1の右側と左側において分力S1が断続的に軸受45に対してかかり、軸受45を前方に移動させるような力が断続的に加わることになる。分力S1は先端工具80を動作させる力としては機能しない分力S2の反力であり、余分な荷重として軸受45に伝達されるため、減少させる必要がある。このような現象に対し、軸受45が受ける荷重のうち、分力S1を吸収させるため、軸受45を軸線C1方向に移動可能(摺動可能)として、さらに弾性部材によって弾性的に保持するようにしたのが本発明である。
【0037】
次に
図5を用いて本実施例の動力伝達機構35を説明する。
図5(A)は動力伝達機構35の上面図であり、(B)はその側面図である。スピンドル36には、太径部36a、中径部36b、細径部(偏心軸)36cが形成される。ここで太径部36a、中径部36bの形状は、
図9で示した従来のスピンドル136の形状と全く同じである。一方、細径部36cは、その径は同じであるが、従来の細径部136c(
図9参照)よりも軸線A1方向前側に延ばしている。そして、その延ばした部分に、圧縮コイル式のスプリング46を配置した。スプリング46は細径部136cと同軸に配置され、その後方側は軸受45の内輪45aの前側の円環状の側壁に当接し、前方側は金属製のワッシャ47と当接する。ワッシャ47の前方にはCリング48が周方向溝36eに装着され、ワッシャ47の軸方向前方側への移動を阻止する。軸受45は、内輪45aと外輪45cの間に複数のスチールボール45bが配置される公知のボールベアリングであって、軸受45の全体は、
図3で示した矢印31のように軸方向に移動可能である。以上のように、従来のスピンドル136の細径部136cを延長して、スプリング46とワッシャ47を追加するだけで、軸受45を軸線A1方向(矢印31の方向)に移動できるように構成できた。尚、細径部36cの外径は、従来のスピンドル136の細径部136cよりもわずかに細くして、軸受45を従来の圧入からすきまばめ程度とするように変更すると良い。このように軸受45を軸方向に移動可能に保持することによって、スイングアーム40の軸線B1周りの周方向揺動時に生ずる、軸線A1と平行方向の周期的な反力の変化をスプリング46によって効果的に吸収できるため、軸受45の局所的に加わる力を低減できる。また、軸受45に受ける反力が低減されるため、回転軸たるスピンドル36を介してモータ15やモータハウジング2側に伝達される振動を低減できる。
【0038】
スイングアーム40は出力軸50の円筒部51に固定される円筒部41と、軸受45と当接するためのU字状の腕部となるアーム部42a、42bを有して構成される。スイングアーム40の周方向へ往復動作させる移動量は、軸線B1を中心点として基準位置から回転角度にして±5度程度である。但し、揺動角は数度から十数度程度の範囲で設定しても良い。円筒部41とアーム部42a、42bは金属の一体品であり、円筒部41の内周面44が出力軸50の円筒部51の外周面と当接する。スイングアーム40のアーム部42a、42bは軸受45の外輪の外径に等しい間隔で配置され、軸受45と当接する部分には、平坦な平坦面43a、43bが形成される。平坦面43a、43bは表面をアルマイト加工することによって、摩耗しにくい高硬度面とし、すべり性などの表面特性を付与するように加工すると良い。軸受45の外輪45cは、軸線C1を含む断面で円弧状に湾曲するような形状とされ、平坦面43a、43bとの接触面積を減らして抵抗を減らしている。このように軸受45の外輪45cは、一対のアーム部42a、42bの間に挟まれるようにして保持されることになる。
【0039】
以上の構成によって本実施例では、偏心して回転する円筒部材(軸受45)を、それに接触する往復動変換部(スイングアーム40)に対して軸線A1方向に相対移動可能に構成したので、スイングアーム40の往復動駆動時の反力伝達を抑制でき、往復動変換部から回転部を介して回転軸側に伝わる振動を大幅に低減できる。特に、本実施例では先端工具の往復動方向と異なる方向の振動が発生することを抑えることが可能となった。円環部材(軸受45)は、スプリング46等の軸方向付勢手段によってモータ15側に付勢され、円環部材(軸受45)と往復動変換部(スイングアーム40)の接触状況も良好に維持されるため、接触部材が往復動変換部に衝突する際に発生する軸方向の荷重を効果的に減衰できる。従って、軸方向の振動が作業者に伝達されることを効果的に抑制できる。
【実施例2】
【0040】
図6は本発明の第2の実施例に係る作業機1Aの前方部分の拡大縦断面図である。第2の実施例ではスピンドル76の形状を変更して、偏心軸となるスピンドル76の細径部76cに長さを軸方向にさらに長くして、軸方向の両側からスプリング46、86によって軸受45を保持するように構成した。そのためカバー73の軸線A1方向の長さを第一の実施例のカバー3よりわずかに長くして、動力伝達機構75の収容空間を広くした。スイングアーム40は第一の実施例と同じ部品であって、出力軸50付近の構造も同じである。
【0041】
図7は第2の実施例の動力伝達機構75の図であり、(A)は上面図で、(B)は側面図(一部断面図)である。偏心軸(細径部76c)に取りつけられる軸受45は第一の実施例と同じボールベアリングであるが、ニードルベアリングや、円筒状のメタル等を用いるようにしても良い。また、偏心軸(細径部76c)を設けず、軸線A1から中心位置をずらすように円環部材を直接中径部76bに取り付けて、カム状に形成した回転部が軸線A1を中心に回転するように構成しても良い。スプリング46の一端(後端)は軸受45の内輪45aの前側側面に当接し、他端(前端)がワッシャ47に当接する。ワッシャ47は周方向溝76eに嵌め込まれるCリング48によってスピンドル76に保持される。軸受45の後方に配置されるスプリング86は、スプリング46と同じコイルバネを用いることによって付勢力が同じになるようにした。スプリング86の後端は軸受45の内輪45aの後側側面に当接し、他端(前端)がワッシャ87を介して細径部76cと中径部76bの段差部分に当接する。軸受45の外輪45cの外周面45dは、スイングアーム40のU字状に形成されたアーム部42a、42bの平坦面43a、43bに当接する。スピンドル76は、
図5にて示した第一の実施例のスピンドル36に比べて、スプリング86を収容する領域分だけ軸方向に長くなる。
【0042】
第2の実施例によれば軸受45が、スイングアーム40から受ける荷重に応じて軸方向の前側だけでなく後側にも弾性力を介した移動が可能となるので、前後両方の荷重を好適に減衰可能である。さらに、軸受45の追従性がさらに良くなり、軸受45と平坦面43a、43bとの接触状況が大いに改善されるため、振動の発生を大きく抑制できる。従って、第2の実施例によれば把持部5(
図1参照)の振動を抑制できる。
【0043】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では軸受45とし、ボールベアリングとスプリングの組合せで回転部を構成しているが、付勢部材であるスプリングは、ゴム製のブッシュやOリング等の別の弾性体にて置き換えるように構成しても良い。また上述の実施例では、回転部の一部である円環部材(軸受45)をスピンドル76に摺動可能に取り付けることで、円環部材が往復動変換部(スイングアーム40)に対して相対移動可能としたが、円環部材が軸方向に移動できないように固定されたスピンドル76の全体が、往復動変換部(スイングアーム40)に対して相対移動可能に構成する、すなわちスピンドル76と円環部材の組立体を軸方向に移動可能とすることで、円環部材が往復動変換部に対して相対移動可能とするような構成としても良い。
【符号の説明】
【0044】
1…作業機、1A…作業機、2…モータハウジング、3…カバー、5…把持部、6…電池パック装着部、7a~7k…ネジボス、8c,8d…ネジ、9a…吸気口、9b…排気口、10…装置本体、13…本体側端子、14…照明装置、15…モータ、16…ロータ、17…ステータ、18…回転軸、20…制御回路部、21…回路基板、22…半導体スイッチング素子、23…速度調整ダイヤル、24…操作パネル、25…スイッチ、26a…スイッチレバー、26b…スライドアーム、27…冷却ファン、28…電力ケーブル、29…ホルダ、29a…貫通穴部、31…軸方向、32…軸受、33…スリーブ、34…軸受、35…動力伝達機構、36…スピンドル、36a…太径部、36b…中径部、36c…細径部(偏心軸)、36d…嵌合孔、36e…周方向溝、36f…窪み、36g…(径方向)貫通穴、37…偏心円筒面、39…バランスウエイト、40…スイングアーム、41…円筒部、42a,42b…アーム部、43a,43b…平坦面、44…内周面、45…軸受、45a…内輪、45b…スチールボール、45c…外輪、45d…外周面、46…スプリング(第一のコイルバネ)、47…ワッシャ、48…Cリング、50…出力軸、51…(出力軸の)円筒部、51a…大径部、51b…小径部、52…第1シャフト、52a…外向きフランジ、53…第2シャフト、54…スプリング、55…軸受(ボールベアリング)、56…軸受(ニードルベアリング)、57…支持軸、58…取付ボルト、58a…軸部、58b…頭部、59…工具支持部、60…ガイドカバー、62…ガイド部材、63…クランプ部材、66…シール部材、73…カバー、75…動力伝達機構、76…スピンドル、76a…太径部、76b…中径部、76c…細径部(偏心軸)、76d…嵌合孔、76e…周方向溝、76f…窪み、76g…(径方向)貫通穴、77…偏心円筒面、79…ホルダ、80…先端工具、86…スプリング(第二のコイルバネ)、87…ワッシャ、90…電池パック、91…上ケース、92…下ケース、93…ラッチボタン、94…電池側端子、101…作業機、135…動力伝達機構、136…スピンドル、136a…太径部、136b…中径部、136c…細径部(偏心軸)、136d…嵌合孔、136e…周方向溝、136f…窪み、136g…(径方向)貫通穴、137…偏心円筒面、143…隙間、A1…(回転)軸線、B1…(出力)軸線、C1…(偏心)軸線