(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-30
(45)【発行日】2023-02-07
(54)【発明の名称】記録制御装置、記録制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20230131BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230131BHJP
H04N 23/65 20230101ALI20230131BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20230131BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
H04N7/18 U
H04N5/232 410
H04N5/232 300
H04N5/77
(21)【出願番号】P 2021556028
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2020041046
(87)【国際公開番号】W WO2021095584
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019206397
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-74319(JP,A)
【文献】特開平7-304473(JP,A)
【文献】特開2011-114850(JP,A)
【文献】特開2015-219531(JP,A)
【文献】特開2010-134745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00-15/00
H04N 7/18
H04N 5/232
H04N 5/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置と、
前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替部と、
前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得部と、
前記撮像画像取得部が取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御部と、
前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定部と、
前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を前記補助電力量から前記ファイルのクローズ処理を行うために必要な電力量を差し引いた、余力となる補助電力量に基づいて算出する記録継続可能時間算出部と、
を備え、
前記記録制御部は、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、前記第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続し、前記記録継続可能時間が経過したときに前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する、
記録制御装置。
【請求項2】
複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得部と、
主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置と、
前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替部と、
前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得部と、
前記撮像画像取得部が取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御部と、
前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定部と、
を備え、
前記記録制御部は、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行すると共に、前記第1画像ファイルに対応する撮像部からの撮像画像を記録する画像記録時間を前記補助電力量に応じて、前記電力供給源の切り替えが行われる前と比較して短く設定した第2画像ファイルへの前記撮像画像の記録を開始する、
記録制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の記録制御装置であって、
前記複数の撮像部を制御する撮像制御部を更に備え、
前記複数の撮像部は、前記記録制御装置からの電力供給により動作するように構成されており、
前記撮像制御部は、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、前記第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像部の撮像を停止させる、
記録制御装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか1項に記載の記録制御装置であって、
前記記録制御部は、前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行した後、前記第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルの少なくとも何れか1つに対してクローズ処理を実行する、
記録制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録制御装置であって、
前記記録制御部は、前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行した後、前記第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとの重要度に基づいて、前記第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとに記録継続可能時間を設定し、前記記録継続可能時間に基づいたタイミングで、前記第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとにクローズ処理を実行する、
記録制御装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか1項に記載の記録制御装置であって、
前記重要度判定部は、加速度検出部によって検出された加速度の方向と逆の方向に最も近い撮像方向を有する撮像部に対応する画像ファイルの重要度が最も高くなるように、前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する、
記録制御装置。
【請求項7】
請求項1から5までの何れか1項に記載の記録制御装置であって、
前記複数の画像ファイル毎に動きベクトルを算出する動きベクトル算出部を更に備え、
前記重要度判定部は、前記動きベクトルに基づいて前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する、
記録制御装置。
【請求項8】
請求項1から5までの何れか1項に記載の記録制御装置であって、
前記複数の画像ファイル毎に画像ファイルに現れる物体を検出すると共に、前記物体までの距離を算出する物体検出部を更に備え、
前記重要度判定部は、前記物体までの距離に基づいて前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する、
記録制御装置。
【請求項9】
主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置を有する記録制御装置の記録制御方法であって、
複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得ステップと、
前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替ステップと、
前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得ステップと、
前記撮像画像取得ステップで取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御ステップと、
前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定ステップと、
前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を前記補助電力量から前記ファイルのクローズ処理を行うために必要な電力量を差し引いた、余力となる補助電力量に基づいて算出する記録継続可能時間算出ステップと、
を含み、
前記記録制御ステップでは、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、前記第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続し、前記記録継続可能時間が経過したときに前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する、
記録制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の記録制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録制御装置、記録制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008-123501号公報)は、バックアップ用電源を搭載したドライブレコーダーを開示している。具体的には、車両のバッテリーからの電力供給が絶たれた場合に、RAMに記録されている画像情報を間引いてコンパクトフラッシュカード(登録商標)に記憶するようにしている。これにより、供給される電力量が限られている状況下でも、記録すべき情報を確実にコンパクトフラッシュカードに記録することができるとしている。
【発明の概要】
【0003】
しかし、上記特許文献1は、複数のカメラが車両に搭載されている場合の処理について言及がない。
【0004】
本発明の目的は、車両に複数のカメラが搭載されている場合に、主電源装置から補助電源装置に電力供給源が切り替わったときの画像ファイルに関し、重要度に応じて画像ファイルの記録の保護および記録時間の適正化を行う技術を提供することにある。
【0005】
本実施形態の第1の観点によれば、複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得部と、主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置と、前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替部と、前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得部と、前記撮像画像取得部が取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御部と、前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定部と、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を前記補助電力量に基づいて算出する記録継続可能時間算出部と、を備え、前記記録制御部は、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、前記第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続し、前記記録継続可能時間に基づいたタイミングで前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する、記録制御装置が提供される。
本実施形態の第2の観点によれば、複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得部と、主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置と、前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替部と、前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得部と、前記撮像画像取得部が取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御部と、前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定部と、を備え、前記記録制御部は、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源切替部による前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行すると共に、前記第1画像ファイルに対応する撮像部からの撮像画像を記録する画像記録時間を前記補助電力量に応じて設定した第2画像ファイルへの前記撮像画像の記録を開始する、記録制御装置が提供される。
本実施形態の第3の観点によれば、主電源装置からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置を有する記録制御装置の記録制御方法であって、複数の撮像部から撮像画像を取得する撮像画像取得ステップと、前記主電源装置からの電力供給が絶たれた場合に前記電力供給源を前記主電源装置から前記補助電源装置に切り替える電力供給源切替ステップと、前記補助電源装置が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得ステップと、前記撮像画像取得ステップで取得した前記撮像画像を、前記複数の撮像部毎の画像ファイルに記録する記録制御ステップと、前記複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定ステップと、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を前記補助電力量に基づいて算出する記録継続可能時間算出ステップと、を含み、前記記録制御ステップでは、前記主電源装置からの電力供給が絶たれ、前記電力供給源の切り替えが行われた場合に、前記第1画像ファイルへの前記撮像画像の記録を継続し、前記記録継続可能時間に基づいたタイミングで前記第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する、記録制御方法が提供される。
【0006】
本実施形態によれば、車両に複数のカメラが搭載されている場合に、主電源装置から補助電源装置に電力供給源が切り替わったときの画像ファイルに関し、重要度に応じて画像ファイルの記録の保護および記録時間の適正化を行う技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像記録装置の機能ブロック図である。(第1実施形態)
【
図2】RAMの記憶内容を例示する図である。(第1実施形態)
【
図3】SDカードの記憶内容を例示する図である。(第1実施形態)
【
図4】画像記録装置の制御フローである。(第1実施形態)
【
図5】画像記録装置の機能ブロック図である。(第2実施形態)
【
図6】画像記録装置の機能ブロック図である。(第3実施形態)
【
図7】画像記録装置の機能ブロック図である。(第4実施形態)
【
図8】画像記録装置の制御フローである。(第4実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図4を参照して、本願発明の第1実施形態を説明する。
【0009】
図1には、画像記録装置1の機能ブロック図を示している。画像記録装置1は、記録制御装置の一具体例である。
図1に示すように、画像記録装置1は、中央演算処理器としてのCPU1a(Central Processing Unit)と、読み書き自由であって揮発性記録媒体としてのRAM1b(Random Access Memory)、読み出し専用のROM1c(Read Only Memory)を備えている。また、画像記録装置1は、補助電源装置としてのスーパーキャパシタ2と、記録媒体インターフェース3と、を備えている。
【0010】
CPU1aがROM1cに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで、制御プログラムは、CPU1aなどのハードウェアを、各種機能部として機能させる。各種機能部は、カメラ制御部4、カメラ画像取得部5、電力供給源切替部6、電力量取得部7、記録制御部8、重要度判定部9、記録継続可能時間算出部10を含む。
【0011】
画像記録装置1には、前方カメラ20、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23、加速度検出部としての加速度センサ24が接続されている。前方カメラ20及び後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23の撮像方向は互いに異なる方向である。なお、画像記録装置1がこれらのカメラを備えていてもよい。
【0012】
前方カメラ20は、車両の前方を撮像する撮像部の一具体例であって、典型的には車両のフロントグリル付近又はフロントガラス上部に取り付けられている。前方カメラ20は、撮像画像を画像記録装置1に出力する。
【0013】
後方カメラ21は、車両の後方を撮像する撮像部の一具体例であって、典型的には車両のリアバンパー付近又はリアガラス上部、若しくはリアのナンバープレート付近に取り付けられている。後方カメラ21は、撮像画像を画像記録装置1に出力する。
【0014】
右方カメラ22は、車両の右方を撮像する撮像部の一具体例であって、典型的には右ドアミラーに取り付けられている。右方カメラ22は、撮像画像を画像記録装置1に出力する。
【0015】
左方カメラ23は、車両の左方を撮像する撮像部の一具体例であって、典型的には左ドアミラーに取り付けられている。左方カメラ23は、撮像画像を画像記録装置1に出力する。
【0016】
本実施形態では、前方カメラ20及び後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23が画像記録装置1に接続しているが、これに代えて、前方カメラ20及び後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23のうち少なくとも何れか2つ又は3つが画像記録装置1に接続していてもよい。また、例えば、撮像方向は重複するが撮像範囲が互いに異なる複数の撮像部が画像記録装置1に接続されていてもよく、この場合、複数の撮像部は、例えば、前方カメラ20と、360°全方位を撮影可能な超広角カメラと、を含む。
【0017】
加速度センサ24は、車両に作用した加速度を検出する加速度検出部の一具体例であって、検出結果を画像記録装置1に出力する。なお、画像記録装置1や前方カメラ20、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23が加速度センサ24を備えていてもよい。
【0018】
スーパーキャパシタ2は、補助電源装置の一具体例であって、主電源装置12からの電力供給が絶たれたときに画像記録装置1の電力供給源となるものである。主電源装置12は、典型的には車載バッテリーである。画像記録装置1は、通常時においては主電源装置12から電力供給を受ける。車両が事故に巻き込まれるなどして主電源装置12から画像記録装置1への電力供給が絶たれたとき、スーパーキャパシタ2が主電源装置12に代わって画像記録装置1の電力供給源となる。補助電源装置は、スーパーキャパシタ2と出力電圧や出力電流の制御を行う制御回路を組み合わせたものであってもよい。補助電源装置は、スーパーキャパシタ2に限定されず、補助バッテリーや電池などであってもよい。
【0019】
カメラ制御部4は、前方カメラ20、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23の動作を制御する。本実施形態において前方カメラ20等は、画像記録装置1からの電力供給を受けて動作する。即ち、カメラ制御部4は、前方カメラ20への動作電力の供給を開始することで前方カメラ20の撮像を開始させ、前方カメラ20への動作電力の供給を停止することで前方カメラ20の撮像を停止させる。なお、主電源装置12が画像記録装置1を介さずに直接前方カメラ20へ動作電力を供給するように構成してもよい。後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23についても同様である。
【0020】
カメラ画像取得部5は、前方カメラ20及び後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23の夫々から撮像画像を例えば1秒あたり30枚取得し、取得した撮像画像をRAM1bに記憶する。
【0021】
RAM1bは、いわゆるリングバッファとして用いられている。即ち、カメラ画像取得部5は、新たに記憶させるべき撮像画像をRAM1bに記憶させるに際し、最も撮像時間の古い撮像画像の記憶領域に当該撮像画像を上書きするようにしている。
【0022】
図2には、RAM1bの記憶内容を例示している。カメラ画像取得部5は、前方カメラ20から取得した撮像画像に撮像された時刻を示す撮像時刻情報及び前方カメラ20の識別情報を付加したものをRAM1bに格納するようにしている。例えば、「A27」の「A」は前方カメラ20を特定するための識別情報であり、「27」は当該撮像画像の撮像時刻情報を示している。撮像時刻情報は、例えば撮像フレーム毎や、1分間などの撮像の単位時間毎、画像ファイル毎などに付された連番である。「A27」は、撮像画像のファイル名としてもよいし、撮像画像のヘッダ情報に書き込まれていてもよい。後方カメラ21及び右方カメラ22、左方カメラ23についても同様である。「B」は後方カメラ21を示し、「C」は右方カメラ22を示し、「D」は左方カメラ23を示している。RAM1bの記憶形態は
図2の例示に限定されず、各カメラ毎に記憶領域が分離されていてもよい。
【0023】
図1に戻り、電力供給源切替部6は、主電源装置12からの電力供給が絶たれた場合に画像記録装置1の電力供給源を主電源装置12からスーパーキャパシタ2に切り替える。電力供給源切替部6は、公知技術により、主電源装置12からの電力供給が絶たれたことを検出し得る。電力供給源切替部6は、例えば、主電源装置12の出力電圧や出力電流を監視することで電力供給が絶たれたことを検出してもよく、主電源装置12から出力されるエラー信号を取得して電力供給が絶たれたことを検出してもよい。
【0024】
電力量取得部7は、スーパーキャパシタ2が供給可能な電力量である補助電力量を取得する。電力量取得部7は、公知技術により、スーパーキャパシタ2が供給可能な電力量である補助電力量を取得し得る。例えば、電力量取得部7は、スーパーキャパシタ2に供給された電力の累積値からスーパーキャパシタ2が供給した電力の累積値を差し引くことで補助電力量を取得してもよく、スーパーキャパシタ2の出力端子の電圧を取得して、出力電圧と補助電力量との相関関係に基づいて補助電力量を取得してもよい。
【0025】
記録媒体インターフェース3は、記録媒体の一具体例であるSDカード11(登録商標)に対して読み書きアクセスするものであり、SDカード11を挿入するスロットや、SDカード11を読み書きするためのコントローラを含む。SDカード11は、不揮発性記録媒体及び可搬型記録媒体の一具体例である。なお、不揮発性記録媒体としては、SDカードに代えて、コンパクトフラッシュメモリ(登録商標)やハードディスクなどであってもよい。
【0026】
記録制御部8は、カメラ毎に別個の画像ファイルをSDカード11内に作成した上で、RAM1bに記憶されている撮像画像を対応する画像ファイルに記録する。
図3には、SDカード11の記憶内容の一部を例示している。
【0027】
図3において、前方カメラ20に対応する画像ファイルは「前方ファイル_3829」というファイル名でSDカード11に保存されている。同様に、後方カメラ21に対応する画像ファイルは「後方ファイル_3829」というファイル名でSDカード11に保存されている。同様に、右方カメラ22に対応する画像ファイルは「右方ファイル_3829」というファイル名でSDカード11に保存されている。同様に、左方カメラ23に対応する画像ファイルは「左方ファイル_3829」というファイル名でSDカード11に保存されている。
【0028】
なお、1つの画像ファイルに記録される画像の総再生時間である画像記録時間は、例えば1分や5分など短い時間に設定されており、長時間に及ぶ画像を複数の画像ファイルに分割して保存するようにしている。
図3に示す”_3829”は、時系列順に分割された複数の画像ファイルに付された連番である。即ち、SDカード11には、「前方ファイル_3829」の他に、例えば「前方ファイル_3828」「前方ファイル_3827」「前方ファイル_3826」も保存されていることになる。
【0029】
また、記録制御部8は、新たに記録すべき撮像画像が所定フレーム数、RAM1bに溜まった時点で、当該所定フレーム数の複数の撮像画像をSDカード11の対応する画像ファイルの末尾に記録するようにしている。
図2及び
図3の例においては、新たに記録すべき撮像画像が10フレーム分、RAM1bに溜まった時点で、当該10フレーム分の撮像画像、即ち、例えばA20、A21、A22・・・A28、A29で示す撮像画像をSDカード11の前方ファイル_3829の末尾に記録している。なお、上記所定フレーム数は10フレームに限定されず、例えば、5フレームでもよいし、20フレームでもよく、1フレームであってもよい。このように、記録制御部8は、SDカード11の画像ファイルに逐次撮像画像を蓄積し、上記の画像記録時間分の撮像画像を蓄積した段階で、当該画像ファイルをクローズ処理し、もって、画像ファイルが読み込み可能な有効な画像ファイルとして確定される。
【0030】
重要度判定部9は、SDカード11に記憶されている複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。本実施形態では、重要度判定部9は、加速度センサ24によって検出された加速度の方向と逆の方向に最も近い撮像方向を有するカメラに対応する画像ファイルの重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。
【0031】
例えば、自車両が他車両と正面衝突した場合、自車両は後方に向かって瞬間的に加速することになるので、重要度判定部9は、後方と逆の前方に最も近い撮像方向を有する前方カメラ20に対応する画像ファイル、即ち前方ファイル_3829の重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。また、例えば、自車両が右側前方の他車両と正面衝突した場合、重要度判定部9は、前方と右側方に撮像方向を有する前方カメラ20と右方カメラ22に対応する画像ファイル、即ち前方ファイルと右方ファイルの重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。衝突の角度に基づいて、前方ファイルと右方ファイルのどちらの重要度が高いかを判定する形態がより好ましい。
【0032】
また、例えば、自車両が後方から他車両に追突された場合、自車両は前方に向かって瞬間的に加速することになるので、重要度判定部9は、前方と逆の後方に最も近い撮像方向を有する後方カメラ21に対応する画像ファイル、即ち後方ファイル_3829の重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。
【0033】
なお、重要度判定部9は、加速度センサ24によって検出された加速度が所定値以上である場合にのみ、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定するようにしてもよい。また、重要度判定部9は、後述する電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合にのみ、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定するようにしてもよい。
【0034】
重要度判定部9は、加速度センサ24によって検出された加速度が所定値以上である場合や主電源装置からの電力供給が絶たれ電力供給源の切り替えが行われた場合に、その時点から所定時間遡った時点までの所定期間内で、最も大きい加速度が検出された方向と逆の方向に最も近い撮像方向を有するカメラに対応する画像ファイルの重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定することが好ましい。
【0035】
「重要度」は、重要であればあるほど大きくなる数値で表現されてもよいし、重要であればあるほど小さくなる数値で表現されてもよい。数値は、例えば、0(最も重要でない)から100(最も重要)まで、または1(最も重要)から5(最も重要でない)までなどの、任意の数値であってよい。
【0036】
記録継続可能時間算出部10は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を、電力量取得部7が取得したスーパーキャパシタ2の補助電力量に基づいて算出する。即ち、記録継続可能時間算出部10は、例えば、スーパーキャパシタ2の補助電力量から後述するファイルのクローズ処理を行うために必要な電力量を差し引いた、余力となる補助電力量を画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量で除することで、画像記録装置1がスーパーキャパシタ2からの電力供給によって継続して動作可能な時間を算出し、この時間を記録継続可能時間とすることができる。余力となる補助電力量とは、ファイルのクローズ処理以外に必要な電力量、例えば後述する不要なカメラへの電力供給を停止する処理に要する電力やマージンとなる電力量を、さらにスーパーキャパシタ2の補助電力量から差し引いた電力量であってよい。
【0037】
なお、本実施形態では、前方カメラ20等が画像記録装置1からの電力供給により動作するように構成されているので、画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量は、前方カメラ20等の単位時間あたりの消費電力量が加味されることになる。従って、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、不要なカメラへの電力供給を停止することで、その後の画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量を低く抑えることができる。同様に、不要なカメラの画像ファイルへの記録を停止することで、その後の画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量を低く抑えることができる。ここで、「不要なカメラ」とは、例えば、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対応するカメラ以外のカメラを意味する。例えば、自車両が他車両と正面衝突した場合、第1画像ファイルには前方ファイル_3829が該当し、不要なカメラには後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23が該当することになる。「不要なカメラ」とは、重要度判定部9が判定した重要度が予め定めた閾値より低いカメラを意味してもよく、重要度が最も低いカメラを意味してもよい。
【0038】
そして、記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、第1画像ファイルへの撮像画像の記録を継続すると共に、記録継続可能時間が経過したときに第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する。これによれば、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合でも、第1画像ファイルの記録可能な画像時間が可及的に延長されるため、第1画像ファイルが事故後の事後検証に大いに役立つことになる。
【0039】
ここでクローズ処理とは、画像ファイルを、他機器でも取り扱いが可能なファイルとして成立させるよう、各ファイルのフォーマット内での情報を完結させる処理である。例えば、クローズ処理は、
図3に示す前方ファイル_3829を、MPEG(Moving Picture Experts Group)などの動画フォーマットの形式に沿い、ファイル名やタイムスタンプなどの情報と合わせてひとつのファイルとして成立させる。クローズ処理の他の例としては、クローズ処理の対象である画像ファイルの末尾に数バイトの所定のデータを追記することで、画像ファイルの記憶領域の末尾を確定する処理が挙げられる。
【0040】
次に、
図4を参照して、画像記録装置1の動作を説明する。
【0041】
S100:
まず、記録制御部8は、各カメラからの撮像画像を記録するSDカード11上の各画像ファイル、具体的には前方ファイル_3829、後方ファイル_3829、右方ファイル_3829、左方ファイル_3829をファイルオープンする。ファイルオープンとは、具体的には、各画像ファイルを記憶するのに必要となる記憶領域を重複なく予めSDカード11内で確保するための処理であって、書き込みのための書き込みポインタのアドレスが各ファイルの先頭アドレスにセットされる。
【0042】
S110(撮像画像取得ステップ):
次に、カメラ画像取得部5は、前方カメラ20、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23から撮像画像を取得し、取得した撮像画像を
図2に示すようにRAM1bに一時的に格納する。
【0043】
S120(記録制御ステップ):
次に、記録制御部8は、RAM1bから所定フレーム数分、撮像画像を取得し、取得した複数の撮像画像をSDカード11の対応する画像ファイルの書き込みポインタの位置に記録する。なお、この記録処理により前述の書き込みポインタは適宜繰り下がることになる。
【0044】
S130(電力量取得ステップ):
次に、電力量取得部7は、スーパーキャパシタ2が供給可能な電力量である補助電力量を取得する。
【0045】
S140(重要度判定ステップ):
次に、重要度判定部9は、加速度センサ24からの検出結果に基づいて、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。
【0046】
S150(電力供給源切替ステップ):
次に、記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電源供給源が切り替わったか否かを判定する。記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電源供給源が切り替わったと判定した場合に(S150:YES)、処理をS200に進める。一方、記録制御部8は、電源供給源が切り替わっていないと判定した場合に(S150:NO)、処理をS110に戻す。
【0047】
なお、重要度判定部9は、S150の判定の後にS140の判定処理を実行するようにしてもよく、S150の判定と実質的に同時にS140の判定処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
以下、重要度判定部9が判定した最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルが前方ファイル_3829であるものとして説明を続ける。
【0049】
S200:
まず、カメラ制御部4は、前方ファイル_3829に対応する前方カメラ20以外のカメラ、即ち、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23の撮像を停止させる。これにより、画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量を抑制する。
【0050】
S210(記録継続可能時間算出ステップ):
次に、記録継続可能時間算出部10は、記録継続可能時間をスーパーキャパシタ2の補助電力量に基づいて算出する。
【0051】
S220:
記録制御部8は、前方ファイル_3829への撮像画像の記録を継続しながら、上記の記録継続可能時間を算出した時点を起点として記録継続可能時間が経過したか判定する。記録制御部8は、記録継続可能時間が経過していないと判定した場合は(S220:NO)、S220の処理を繰り返す。一方、記録制御部8は、記録継続可能時間が経過したと判定した場合は(S220:YES)、処理をS230に進める。
【0052】
S230:
次に、記録制御部8は、前方ファイル_3829に対してクローズ処理を実行する。
【0053】
S240:
その後、スーパーキャパシタ2からの電力供給が続いている場合は、記録制御部8は、記録継続可能時間に基づいたタイミングで、他の画像ファイル、即ち、後方ファイル_3829、右方ファイル_3829、左方ファイル_3829に対してクローズ処理を実行する。この場合、重要度が相対的に高い画像ファイルから順にクローズ処理を実行することが好ましい。例えば、自車両が他車両と正面衝突した場合、正面衝突後に後続車が自車両に追突する可能性があるので、重要度判定部9は、後方ファイル_3829の重要度が右方ファイル_3829及び左方ファイル_3829の重要度よりも高く判定することが好ましい。この場合、記録制御部8は、前方ファイル_3829に対するクローズ処理が完了したら(S230)、続けて、記録継続可能時間に基づいたタイミングで、後方ファイル_3829に対するクローズ処理を実行する。
【0054】
以上に、本願発明の第1実施形態を説明したが、上記実施形態は、以下の特徴を有する。
【0055】
画像記録装置1は、前方カメラ20等から撮像画像を取得する撮像画像取得部としてのカメラ画像取得部5と、主電源装置12からの電力供給が絶たれたときに電力供給源となる補助電源装置としてのスーパーキャパシタ2と、を備える。画像記録装置1は、主電源装置12からの電力供給が絶たれた場合に電力供給源を主電源装置12からスーパーキャパシタ2に切り替える電力供給源切替部6と、スーパーキャパシタ2が供給可能な電力量である補助電力量を取得する電力量取得部7と、を備える。画像記録装置1は、カメラ画像取得部5が取得した撮像画像を、前方カメラ20毎の別個の画像ファイルに記録する記録制御部8と、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する重要度判定部9と、を備える。画像記録装置1は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルへの撮像画像の記録を継続可能な記録継続可能時間を補助電力量に基づいて算出する記録継続可能時間算出部10を備える。記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、第1画像ファイルへの撮像画像の記録を継続すると共に(S220)、記録継続可能時間が経過したときに第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する(S230)。以上の構成によれば、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合でも、第1画像ファイルの記録可能な画像時間が可及的に延長され、もって、第1画像ファイルが事故後の事後検証に大いに役立つことになる。
【0056】
画像記録装置1は、前方カメラ20等を制御する撮像制御部としてのカメラ制御部4を更に備える。前方カメラ20等は、画像記録装置1からの電力供給により動作するように構成されている。カメラ制御部4は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、第1画像ファイルに対応するカメラ以外のカメラの撮像を停止させる。以上の構成によれば、画像記録装置1の単位時間あたりの消費電力量が抑制されるので、第1画像ファイルの記録可能な画像時間が更に延長され得る。
【0057】
記録制御部8は、第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行した後、第1画像ファイル以外の画像ファイルの少なくとも何れか1つに対してクローズ処理を実行する。以上の構成によれば、第1画像ファイル以外の画像ファイルもクローズ処理されるので、事故後の事後検証に資する。
【0058】
また、重要度判定部9は、加速度センサ24(加速度検出部)によって検出された加速度の方向と逆の方向に最も近い撮像方向を有する撮像部に対応する画像ファイルを最も重要な画像ファイルとして特定する。このとき、重要度が同程度の画像ファイルが複数あれば、記録継続可能時間算出部10が算出した記録継続可能時間を、それら複数の画像ファイルごとに割り振ってもよい。例えば、前方ファイル_3829と右方ファイル_3829の重要度が同等であり、記録継続可能時間算出部10が算出した記録継続可能時間が30秒である場合、前方ファイル_3829と右方ファイル_3829の記録継続可能時間をそれぞれ15秒としてもよい。前方ファイル_3829と右方ファイル_3829の重要度がともに所定レベルを超えており、前方ファイル_3829と右方ファイル_3829の重要度に差があり、記録継続可能時間算出部10が算出した記録継続可能時間が30秒である場合、それらの重要度に基づいて、前方ファイル_3829と右方ファイル_3829の記録継続可能時間を例えば20秒と10秒などに割り振る形態があってもよい。以上の構成によれば、衝突が発生した方角に対応する画像ファイルを確実にクローズ処理することが可能となる。
【0059】
記録制御部8は、第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行した後、第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとの重要度に基づいて、第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとに記録継続可能時間を設定し、記録継続可能時間に基づいたタイミングで、第1画像ファイルに対応する撮像部以外の撮像画像を記録する画像ファイルごとにクローズ処理を実行してもよい。例えば、後方ファイル_3829の重要度をp1とし、及び右方ファイル_3829の重要度をp2とした場合、記録制御部8は、後方ファイル_3829の記録継続可能時間及び右方ファイル_3829の記録継続可能時間の比率がp1:p2となるように各画像ファイルの記録継続可能時間を設定する。そして、記録制御部8は、後方ファイル_3829の記録継続可能時間に基づいたタイミングで(典型的には、後方ファイル_3829の記録継続可能時間が経過したタイミングで)後方ファイル_3829をクローズ処理すると共に、右方ファイル_3829の記録継続可能時間に基づいたタイミングで(典型的には、右方ファイル_3829の記録継続可能時間が経過したタイミングで)右方ファイル_3829をクローズ処理する。
【0060】
上記第1実施形態は、以下のように変更することができる。
【0061】
記録制御部8は、前方ファイル_3829に対してクローズ処理を実行した後(S230)、SDカード11に前方カメラ20に対応する新しい画像ファイルとしての前方ファイル_3830(第2画像ファイル)を作成し、前方ファイル_3830への撮像画像の記録を開始してもよい。この場合、画像ファイルの画像記録時間は、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われる前と比較して短縮することが好ましい。即ち、例えば、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われる前の画像ファイルの画像記録時間が1分に設定されていた場合、記録制御部8は、画像ファイルの画像記録時間を例えば10秒に短縮してもよい。これにより、前方カメラ20に対応する画像ファイルが細切れに分割されることになるので、スーパーキャパシタ2からの電力供給が途絶えて画像記録装置1の動作が突然停止しても、前方カメラ20で撮像された前方画像の記録時間を可及的に延長することができる。このとき、記録制御部8は、前方ファイル_3830の画像記録時間を電力量取得部7が取得した補助電力量に応じて設定してもよい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、
図5を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0063】
図1に示すように、上記第1実施形態では、加速度センサ24が画像記録装置1に接続されていた。これに対し、本実施形態では、
図5に示すように、加速度センサ24を省略している。画像記録装置1は、複数の画像ファイル毎に動きベクトルを算出する動きベクトル算出部30を備えている。動きベクトル算出部30は、ROM1cに記憶された制御プログラムによって各種機能部として実現され得る。
【0064】
動きベクトルとは、基準となるフレームからの動きをベクトルとして表現したものである。動きベクトルの算出方法としては、典型的にはブロックマッチング法が挙げられるがこれに限定されない。
【0065】
そして、重要度判定部9は、動きベクトル算出部30が算出した動きベクトルに基づいて複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。具体的には、重要度判定部9は、複数の画像ファイル毎に動きベクトルの総スカラー量を算出し、総スカラー量が相対的に大きい画像ファイルの重要度を相対的に高く判定し、総スカラー量が相対的に小さい画像ファイルの重要度を相対的に低く判定する。また、車両が走行している場合、一般的に横方向を撮影した画像である右方ファイル_3829および左方ファイル_3829の動きが大きくなり、右方ファイル_3829および左方ファイル_3829の総スカラー量が大きいため、総スカラー量の絶対値ではなく、スカラー量の変化量に基づいて各画像ファイルの重要度を判定することが好ましい。または、前方ファイル_3829、後方ファイル_3829と、右方ファイル_3829および左方ファイル_3829と、で重み付けを変更し、重み付け後のスカラー量が各画像ファイルで同等となるような変換を行っておくことで、重み付け後の動きベクトルの総スカラー量に基づいて事故原因が発生した方角を判定するようにしてもよい。
【0066】
以上の構成によれば、加速度センサ24を用いなくても、事故原因が発生した方角を撮像した画像ファイルの重要度を高く判定することができる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、
図6に基づいて、本願発明の第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0068】
図1に示すように、上記第1実施形態では、加速度センサ24が画像記録装置1に接続されていた。これに対し、本実施形態では、
図6に示すように、加速度センサ24を省略している。画像記録装置1は、複数の画像ファイル毎に画像ファイルに現れる物体を検出すると共に、当該物体までの距離を算出する物体検出部31を備えている。物体検出部31は、ROM1cに記憶された制御プログラムによって各種機能部として実現され得る。物体の検出には、画像認識などの公知の技術が使用されてよい。
【0069】
上記物体の具体例としては、撮像画像に映る他車両や歩行者などの移動体や、ガードレール、側壁、電柱などが挙げられるがこれに限定されない。
【0070】
前方カメラ20に対応する画像ファイル内に映る物体までの前方カメラ20からの距離は、典型的には前方カメラ20をステレオカメラとして構成することにより算出することができる。しかし、これに限らず、公知の画像処理技術を用いて、前方カメラ20に対応する画像ファイル内に映る物体までの前方カメラ20からの距離を算出するようにしてもよい。
【0071】
そして、重要度判定部9は、物体までの距離に基づいて複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。典型的には、重要度判定部9は、自車両から物体までの距離が最も短い物体が映る画像ファイルの重要度が最も高くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。具体的には、重要度判定部9は、自車両から物体までの距離が短いほど画像ファイルの重要度が相対的に高く、自車両から物体までの距離が長いほど画像ファイルの重要度が相対的に低くなるように、複数の画像ファイルの重要度をそれぞれ判定する。以上の構成によれば、加速度センサ24を用いなくても、事故原因が発生したと推定される方角を撮像した画像ファイルの重要度を高く判定することができる。
【0072】
(第4実施形態)
以下、
図7及び
図8を参照して、第4実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0073】
図7に示すように、本実施形態の画像記録装置1は、
図1に示す記録継続可能時間算出部10を省略している。
【0074】
記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行する。以上の構成によれば、最も重要度の高い画像ファイルに対して確実にクローズ処理することが可能となり、最も重要度が高い画像ファイルを破損させることなく1つの画像ファイルとして確定させることができる。従って、確定された画像ファイルが事故後の事後検証に大いに役立つことになる。
【0075】
そして、記録制御部8は、画像ファイルの画像記録時間を電力供給源の切り替えが行われる前と比較して短縮した上で、新しい画像ファイルへの撮像画像の記録を開始する。新しい画像ファイルは、第2画像ファイルの一具体例である。新しい画像ファイルへの撮像画像の記録を開始するに際し、重要度が最も高いと判定された画像ファイルが前方ファイル_3829であった場合は、前方カメラ20からの撮像画像を継続して記録すべく、記録制御部8は、前方ファイル_3829に続く画像ファイルとして前方ファイル_3830をSDカード11内に作成するとよい。しかし、これに代えて、すべてのカメラ制御部4に対応する画像ファイルをSDカード11内に作成してもよい。
【0076】
記録制御部8は、画像ファイルの画像記録時間を電力供給源の切り替えが行われる前と比較して短縮するに際し、スーパーキャパシタ2の補助電力量に応じて画像ファイルの画像記録時間を短縮する。例えば、スーパーキャパシタ2の余力となる補助電力量が0.05Whであり、画像記録装置1の1時間あたりの消費電力量が5Whであるとき、画像記録装置1は、スーパーキャパシタ2からの電力供給により36秒間、継続して動作可能となる。従って、この場合、記録制御部8は、画像ファイルの画像記録時間を36秒、又は36秒未満に設定する。
【0077】
次に、
図8を参照して、画像記録装置1の動作を説明する。なお、S100からS150までの処理は、
図4に示した処理と同一であるから説明を省略する。以下、重要度判定部9が判定した最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルが前方ファイル_3829であるものとして説明を続ける。
【0078】
S400:
まず、記録制御部8は、前方ファイル_3829に対してクローズ処理を実行する。
【0079】
S410:
次に、カメラ制御部4は、前方ファイル_3829に対応する前方カメラ20以外のカメラ、即ち、後方カメラ21、右方カメラ22、左方カメラ23の撮像を停止させる。
【0080】
S420:
次に、記録制御部8は、画像ファイルの画像記録時間を補助電力量に応じて短縮する。
【0081】
S430:
次に、記録制御部8は、SDカード11内に、前方カメラ20からの撮像画像を記録するための新しい画像ファイルとしての前方ファイル_3830を作成する。
【0082】
S440:
次に、カメラ画像取得部5は、前方カメラ20から撮像画像を取得し、取得した撮像画像をRAM1bに一時的に格納する。
【0083】
S450:
次に、記録制御部8は、RAM1bから所定フレーム数分、撮像画像を取得し、取得した複数の撮像画像を前方ファイル_3830に記録する。
【0084】
S460:
そして、記録制御部8は、S420で短縮された画像記録時間が経過した場合、前方ファイル_3830に対してクローズ処理を実行する。
【0085】
以上に、第4実施形態を説明したが、第4実施形態は、以下の特徴を有している。
【0086】
記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行すると共に、画像ファイルの画像記録時間を補助電力量に応じて短縮した上で、新しい画像ファイルへの撮像画像の記録を開始する。記録制御部8は、主電源装置12からの電力供給が絶たれ、電力供給源切替部6による電力供給源の切り替えが行われた場合に、最も重要度の高い画像ファイルとしての第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行すると共に、画像ファイルの画像記録時間を補助電力量に応じて設定した第2画像ファイルへの撮像画像の記録を開始する。以上の構成によれば、1つの画像ファイルとして確定された第1画像ファイルが事故後の事後検証に大いに役立つことになる。また、補助電力量に応じて新しい画像ファイルの画像記録時間が決定されるので、新しい画像ファイルの画像記録時間を補助電力量に適した時間とすることができる。
【0087】
以上に、第1から第4実施形態を説明したが、これらの実施形態は任意に組合せて実施することが可能である。また上記各実施形態は、例えば以下のように変更できる。
【0088】
即ち、記録制御部8は、第1画像ファイルに対してクローズ処理を実行した後、撮像画像を画像ファイルとしてSDカード11に記録するようにしてもよい。
【0089】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0090】
この出願は、2019年11月14日に出願された日本出願特願2019-206397を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、例えばスーパーキャパシタなどの補助電源装置を備えた画像記録装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 画像記録装置
2 スーパーキャパシタ
3 記録媒体インターフェース
4 カメラ制御部
5 カメラ画像取得部
6 電力供給源切替部
7 電力量取得部
8 記録制御部
9 重要度判定部
10 記録継続可能時間算出部
11 SDカード
12 主電源装置
20 前方カメラ
21 後方カメラ
22 右方カメラ
23 左方カメラ
24 加速度センサ
30 動きベクトル算出部
31 物体検出部